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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1360695 
異議申立番号 異議2019-900092 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-03-20 
確定日 2020-02-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6108464号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6108464号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6108464号商標(以下「本件商標」という。)は、「ヒルメナイド」の片仮名を標準文字で表してなり、平成30年3月2日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同年11月5日に登録査定、同年12月21日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1647949号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「ヒルドイド」
登録出願日:昭和56年1月30日
設定登録日:昭和59年1月26日
指定商品 :第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」並びに第1類及び第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第459931号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「Hirudoid」
登録出願日:昭和29年5月12日
設定登録日:昭和30年2月10日
指定商品 :第5類「薬剤(蚊取線香その他の蚊駆除用の薫料・日本薬局方の薬用せっけん・薬用酒を除く。),キナ塩,モルヒネ,チンキ剤,シロップ剤,煎剤,水剤,浸剤,丸薬,膏薬,散薬,錠薬,煉薬,生薬,薬油,石灰,硫黄(薬剤),鉱水,打粉,もぐさ,黒焼き,防腐剤,防臭剤(身体用のものを除く。),駆虫剤,ばんそうこう,包帯,綿紗,綿撒糸,脱脂綿,医療用海綿,オブラート」
(3)登録第6017880号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「ヒルドイド」(標準文字)
登録出願日:平成29年5月26日
設定登録日:平成30年2月9日
指定商品 :第3類「化粧品,せっけん類」
(4)登録第6017881号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「HIRUDOID」(標準文字)
登録出願日:平成29年5月26日
設定登録日:平成30年2月9日
指定商品 :第3類「化粧品,せっけん類」
以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。
引用商標は、商品「薬剤」について長年にわたり使用され、マルホ株式会社(以下「マルホ社」という。)の出所標識として全国的に周知になっているものである。さらに、本件商標は、引用商標1及び引用商標3に近似し、引用商標2及び引用商標4とは、称呼が近似しており、本件商標がその指定商品に使用されると、マルホ社の製造販売に係る商品と混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
ア 申立人の主張及び提出した証拠(甲6?甲29)によれば、以下のとおりである。
(ア)マルホ社の商品
マルホ社が、1954年10月、1996年7月及び2001年7月に販売を開始した商品「血行促進・皮膚保湿剤」の添付文書(2017年9月改訂(第8版))に、「ヒルドイド クリーム 0.3%」(「ヒルドイド」の文字の右下には小さい○内にRが付されている。以下、甲7、甲8において同じ。)及び「Hirudoid Cream」(「Hirudoid」の文字の右上には小さい○内にRが付されている。以下、甲7、甲8において同じ。)、「ヒルドイド ソフト 軟膏 0.3%」及び「Hirudoid Soft Ointment」、「ヒルドイド ローション 0.3%」及び「Hirudoid Lotion」の記載がある(甲6)。
(イ)医療関係者向け専門誌
a 医学書院発行の「臨床皮膚科」(発行日:1998年1月1日、同年4月1日、1999年1月1日、2000年3月1日、2002年1月1日)に掲載されたマルホ社の商品「血行促進・皮膚保湿剤」の広告に、「ヒルドイド ソフト」及び「Hirudoid Soft」、「ヒルドイド」及び「Hirudoid」、「ヒルドイド ソフト」、「ヒルドイド ローション」及び「Hirudoid Lotion」の記載がある(甲7)
b 日本皮膚科学会西部支部発行の「西日本皮膚科」(発行日:平成18年4月1日、同19年12月1日、同20年6月1日、同21年12月1日、同22年12月1日、同23年12月1日、同24年12月1日、同26年2月1日、同28年6月1日)に掲載されたマルホ社の商品「血行促進・皮膚保湿剤」の広告に、「ヒルドイド ソフト」及び「Hirudoid Soft」、「ヒルドイド」及び「Hirudoid」、「ヒルドイド ローション」及び「Hirudoid Lotion」、「ヒルドイド クリーム 0.3%」及び「Hirudoid Cream」、「ヒルドイド ソフト 軟膏 0.3%」及び「Hirudoid Soft Ointment」、「ヒルドイド ローション 0.3%」及び「Hirudoid Lotion」の記載がある(甲7)。
(ウ)一般需要者向け雑誌
以下の一般需要者向け雑誌には、マルホ社の商品「血行促進・皮膚保湿剤」が掲載されているところ、当該商品には「ヒルドイド ソフト 軟膏 0.3%」及び「Hirudoid Soft Ointment」、「ヒルドイド ローション 0.3%」及び「Hirudoid Lotion」の表示がある(甲8)。
光文社発行「HERS」(2014年5月号)
エムオン・エンタテイメント発行「andGIRL」(2015年9月号)
光文社発行「美ST」(2013年10月号、2016年7月号、同年10月号)
角川春樹事務所発行「美人百花」(2014年6月号)
小学館発行「AneCan」(2016年2月号)
株式会社主婦と生活社発行「ar」(2017年11月号)
(エ)その他の雑誌
「国際医薬品情報」(2017年9月25日)には、「表3 薬剤別調剤金額ランキング(2017/4-6)」中に、「13位 ヒルドイドローション0.3% マルホ」の記載があり、また、同(同年10月23日)には、「薬剤 臨床現場評価リポート Vol.80 皮脂欠乏症(乾皮症)」の見だしの下、「保湿効果の高いヒルドイドが『満足度』1位」と記載されている(甲9)。
(オ)ヒルドイド(Hirudoid)問題
a 「朝日新聞」(2017年(平成29年)8月31日)の7ページには、「美容クリームより処方薬?」、「女性誌やウェブ『安上がり』と特集」の見だしの下、「美容には、何万円もする超高級クリームよりも、医療用医薬品『ヒルドイド』がいい-。」、「販売元のマルホは記事を見つけるたびに出版元に意見書を提出。」と記載されている(甲10)。
b 「医療保障総合政策調査・研究基金事業 政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究3(3はローマ数字)」(平成29年9月 健康保険組合連合会)には、「課題3:保湿剤処方のあり方」の見だしの下、文献調査の項に「雑誌やウェブメディア等における(美容アイテムとしての)ヒルドイドに関する言説から、保湿剤の処方における問題を提起する。」と記載されている(甲11)。
c マルホ社は、「ヒルドイドの適正使用に関するお知らせ」(2017年10月18日)に、「・・・ヒルドイドをあたかも化粧品等と同様のものであるかのように紹介することは控えていただくよう要請してきました。・・・マルホは、『薬機法』『医療用医薬品等適正広告基準』等の関係法規を厳守し、一般の方への医療用医薬品の広告をしておりません。・・・今後とも、ヒルドイドの美容目的での使用を推奨していると受け取られかねない記事に対して厳しい姿勢で臨むとともに、医療関係者の皆様や患者さんへの医療用医薬品の適正使用に関する啓発に務めるなど、責任ある企業として対応していきます。」と記載し、各位に宛てている(甲12)。
d 2017年10月30日及び同月31日に、各種新聞記事において、保湿薬「ヒルドイド」の美容目的での処方が問題となっていることが報じられた(甲13)。
e 2017年11月1日には、厚生労働省の中央社会保険医療協議会において、
「血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質)の使用実態等を踏まえ、医療用保湿剤の適正使用についてどう考えるか。」との議論が始まり(甲14)、翌日から12月下旬にかけて、処方制限の検討に関する記事が各種新聞や女性向け雑誌に掲載され(甲15?甲18、甲21、甲22)、2018年1月24日に開催された同協議会総会において「1.血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質)の使用について、美容目的などの疾病の治療以外を目的としたものについては、保険給付の対象外である旨を明確化する。2.審査支払機関において適切な対応がなされるよう周知する。」ことが確認され(甲19)、同日及びその後の各種新聞記事において報じられた(甲20)。
イ 周知著名性の判断
以上によれば、マルホ社は、血行促進・皮膚保湿剤「ヒルドイドクリーム0.3%」を1954年10月に、「ヒルドイドソフト軟膏0.3%」を1996年7月に、「ヒルドイドローション0.3%」を2001年7月に発売開始しており、該商品には、「Hirudoid」の文字も併記され、引用商標が使用されているといえる。
また、2017年10月30日から同年12月下旬までの各種新聞に「ヒルドイド」の文字を含む記事が掲載されている。
しかしながら、これらの記事は、「ヒルドイド」が処方薬であるものの、美容目的で使用されていることを問題視するものであって、同時期に同一内容の記事が各種新聞に掲載されているものである。
そして、商品「ヒルドイド」は、医療用医薬品の一つであって、一般人を対象とする広告をしていないものであり、雑誌(甲8)にスキンケア商品として美容目的で掲載されていることについては、マルホ社が医療用医薬品の適正使用に関する啓発に務め、控えるよう要請していることより、一部の雑誌に紹介されているにすぎず、さらに、医療関係者向けの雑誌における宣伝広告は、年に一回程度であり、その具体的な広告実績は明らかにされていない。また、薬剤調剤金額ランキング(2017/4-6)において13位であるとしても、その市場シェアについて明らかにされていない。
そうすると、商品「ヒルドイド」に使用されている引用商標は、マルホ社の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
また、その他に引用商標の周知著名性を客観的に把握することができる証拠も見いだせないことから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、マルホ社の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度
ア 本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「ヒルメナイド」の片仮名を標準文字で表してなるところ、該文字に相応して「ヒルメナイド」の称呼を生じ、該文字は辞書等に掲載が認められないことから、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、引用商標1及び引用商標3は「ヒルドイド」の片仮名、引用商標2は「Hirudoid」の欧文字、引用商標4は「HIRUDOID」の欧文字からなる商標であるところ、これらの文字から「ヒルドイド」の称呼を生じ、これらの文字は辞書等に掲載が認められないことから、特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観においては、本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、語頭の「ヒル」及び語尾の「イド」の文字を共通にするものの、文字数及び構成全体の文字において相違し、引用商標2及び引用商標4においては、片仮名と欧文字の差異を有し、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「ヒルメナイド」と引用商標から生じる「ヒルドイド」の称呼とは、その構成音、音数などが明らかに相違するものであるから、称呼上、明確に聴別できるものである。
そして、観念においては、本件商標及び引用商標は特定の観念を生じないものであるから、これらは、観念上、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において明確に区別できる非類似の商標とみるのが相当である。
(3)出所混同のおそれについて
上記(1)イのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、マルホ社の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたとはいえない。
また、本件商標と引用商標は、上記(2)ウのとおり、明らかな差異を有する別異の商標である。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を想起、連想して、当該商品をマルホ社の業務に係る商品、あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は、本件商標を付した商品がドラッグストアで発売され(甲25)、「ヒルメナイド」が「ヒルドイド」であるかのように販売され(甲27)、また、「ヒルメナイド」クリームのチューブ及び包装(甲28)が「ヒルドイド」と同じピンク色(甲29)であることより、一般大衆に誤認されるおそれは否めない旨主張している。
しかしながら、本件商標と引用商標とは、上記のとおり、明らかな差異を有する別異の商標であり、また、本件商標を付した商品「ヒルメナイド」と引用商標を付した商品「ヒルドイド」の包装の一部にピンク色を使用しているとしても、それらの使用態様は明らかに異なるものであり、さらに、商品「ヒルドイド」は、医療用医薬品で処方薬として扱われており、コンビニエンスストアや調剤を兼ねない一般向けの薬局で販売されているものではなく、その販売場所も相違するところがあることからすると、本件商標が引用商標と誤認されるとはいい難く、申立人の該主張は採用することができない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に該当するものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。


異議決定日 2020-02-17 
出願番号 商願2018-25331(T2018-25331) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W05)
最終処分 維持 
前審関与審査官 片桐 大樹浦辺 淑絵 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 半田 正人
中束 としえ
登録日 2018-12-21 
登録番号 商標登録第6108464号(T6108464) 
権利者 ジャパンメディック株式会社
商標の称呼 ヒルメナイド 
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