• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W30
管理番号 1359672 
審判番号 不服2018-14480 
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-01 
確定日 2020-01-24 
事件の表示 商願2017-67574拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 理 由
1 本願商標
本願商標は、「ドラスク」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成29年5月18日に登録出願され、その後、本願の指定商品については、原審における同30年3月9日受付の手続補正書により、第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと,米,脱穀済のえん麦,脱穀済の大麦」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『ドラスク』の文字を標準文字で表してなるところ、近年、どら焼きの皮を使用したラスクが『どらすく』、『どらスク』などと称されている事実があるから、本願商標に接する取引者及び需要者は、本願の指定商品中『ラスク』との関係において、当該商品が『どら焼きの皮を使用したラスク』であると認識するにとどまるとみるのが相当である。したがって、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品『ラスク』以外の商品に使用するときは、その商品があたかも『ラスク』であるかのごとく商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知
審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、令和元年6月19日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えたところ、請求人は、所定の期間を経過するも、何ら意見を申し立てていない。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「ドラスク」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する「菓子」等を指定商品とするものである。
ところで、本願の指定商品中の「菓子」を取り扱う業界においては、別掲1に示すように、「どら焼きの皮を使用したラスク」といった商品を指称する語として、「どらスク」の文字や「どらすく」の文字が一般に広く使用されており、また、別掲2に示すとおり、商品「どら焼き」を表す際に、「ドラ焼き」の文字を用いる場合も少なからずあるというのが実情である。
そうすると、本願商標をその指定商品中の「菓子」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が「どら焼きの皮を使用したラスク」であることを片仮名で表したものと看取、理解する場合も少なくないとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品中の「菓子」との関係においては、商品の品質を表してなるものと認識されるというべきである。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標について、「どら焼きの皮を使用したラスク」といった意味合いが当然に生じることはなく、また、仮に、そのような意味合いが連想されたとしても、同様に2つの意味が連想される既登録例があることからすれば、本願商標も登録されてしかるべきである旨主張する。
しかしながら、「ドラスク」の文字を標準文字で表してなる本願商標は、その指定商品中の「菓子」を取り扱う業界における取引の実情に照らした場合、取引者、需要者により、その構成全体をもって、「どら焼きの皮を使用したラスク」といった商品を片仮名表記したものと認識されるというべきこと、上記(1)のとおりであり、また、請求人が挙げる既登録例に係る商標は、いずれも本願商標とは異なる構成からなるものであり、本件とは事案を異にするものであるから、その既登録例があることにより、本願商標についてした上記認定、判断が左右されることはない。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
(令和元年6月19日付け証拠調べ通知書で示した事実)

1 「どらスク」「どらすく」の文字が「どら焼きの皮を使用したラスク」を表すものとして使用されている例
(1)2016年4月16日付け「日本経済新聞」(地方経済面、北関東、41ページ)において、「どら焼きの皮サクサク、亀印製菓、乾燥させラスクに」の見出しの下、「老舗菓子メーカーの亀印製菓(水戸市)は21日、どら焼きの皮にあたる生地を乾燥させたラスク『どらスク』を発売する。」の記載がある。
(2)2016年5月23日付け「日経MJ(流通新聞)」(12ページ)において、「どら焼きの皮をラスクに、亀印製菓(新製品)」の見出しの下、「亀印製菓・・・のどら焼きの皮を乾燥させて作ったラスク『どらスク』」の記載がある。
(3)「きたかんナビ」のウェブサイトにおいて、「亀印製菓 どら焼き生地でラスク」の見出しの下、「老舗菓子メーカーの亀印製菓・・・は、どら焼きの皮部分の生地を乾燥させたラスク『どらスク』を開発した。」の記載がある。
(http://kitakan-navi.jp/archives/8688)
(4)「野村屋」のウェブサイトにおいて、「どらスク(季節限定)」の見出しの下、「富山県産小麦と県産卵に、地元新湊・中六醸造元の甘口醤油を入れたコクのあるどらやきの皮をラスクにしました。」の記載がある。
(https://nomuraya.theshop.jp/items/15606169)
(5)「木村家」のウェブサイトにおいて、「大人気の新食感!チョコ『どらすく』」の見出しの下、「こだわりのどら焼きをラスクにしました」の記載がある。
(https://www.kimura-ya.biz/SHOP/140-3.html)
(6)「菓子庵 丸京」のウェブサイトにおいて、「どらスク」の見出しの下、「商品詳細」の項に「まぁるいどらやきの生地がサックサクのラスクになっちゃいました」の記載がある。
(http://www.marukyo-eshop.jp/product/79)
(7)「菓子処 梅屋」のウェブサイトにおいて、「どらスク」の見出しの下、「商品紹介」の項に「低温で焼き上げた、どら焼の皮にカカオの香りとやさしい甘味のあるミルクチョコレートをコーティングしました。」の記載がある。
(http://www.ho-umeya.co.jp/item/w_regular_017.html)
(8)「西盛屋」のウェブサイトにおいて、「どら焼きの皮で作ったラスク『チョコッどらスク』」の見出しの下、「ラスク用に焼いたどら焼きを乾燥させ、チョコレートを染み込ませたサクサクラスク。」「どら焼きが人気の西盛屋では、どら焼きの皮の生地をわざわざラスク用に調合し焼き上げます。」の記載がある。
(https://www.n-nishimoriya.com/2016/06/27/%E3%81%A9%E3%82%89%E7%84%BC%E3%81%8D%E3%81%AE%E7%9A%AE%E3%81%A7%E4%BD%9C%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%AF-%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%B3%E3%83%83%E3%81%A9%E3%82%89%E3%82%B9%E3%82%AF/)
(9)「宝石米のアサヅマ」のウェブサイトにおいて、「新感覚のお菓子DO RUSK(どらスク)」の見出しの下、「作成日時:2017/02/01 19:45 昨年初めて販売して大人気お菓子となったDO RUSK(どらスク)!! 今年も販売することになり、現在ご予約承り中です♪」の記載がある。
(https://asazuma.at.webry.info/201702/article_1.html)
(10)「和菓子薫風」のウェブサイトにおいて、「どらすく -DORUSK-」の見出しの下、「薫風特製どら焼きの皮をラスクに仕上げました。」の記載がある。
(https://www.wagashikunpu.com/cn3/dorusk.html)
(11)「フェイスブック」のウェブサイト内の「白根屋」のページにおいて、「こんにちは!今日は『どらすく』の紹介です!こちらの商品はどらやきの皮にバターを塗ってサクサクに焼き上げたラスクです。」の記載がある。
(https://www.facebook.com/644090045620639/posts/1778440818852217/)
(12)「まちだ名産品」のウェブサイトにおいて、「塩どらすく」の見出しの下、「町田の卵、糀を使用し自家製の塩糀を皮に入れて米粉で焼き上げました。甘さ控えめでほんのり塩味の米粉のどら焼きラスクです。」の記載がある。
(https://www.machida-cci.or.jp/meisan/detail/meigetsudo)
(13)「食べログ」のウェブサイト内の「御菓子所 玄舟庵 新小岩店」のページにおいて、「2015/05訪問 ドラスク」の見出しの下、「どら焼きのラスクは、チョコレート味を購入しましたが、チョコレートが染み込んだどら焼きの生地がラスクになっていて、とても美味しかったです。」の記載がある。
(https://tabelog.com/tokyo/A1312/A131204/13127428/dtlrvwlst/B115846390/)
(14)「株式会社松風屋」のウェブサイトにおいて、「商品のご紹介」の見出しの下、「どらすく」の項に「当社特製のどら焼の皮に焦がしバターと砂糖をまぶし焼き上げた創作菓子です。」の記載がある。
(http://www.matsukazeya.com/products/)
(15)「NATURAL LAWSON」のウェブサイトにおいて、「銀座立田野 どらスク」の見出しの下、「創業明治28年の老舗甘味処『銀座立田野』ブランドのどらスク(どら焼き+ラスク)です。ふっくらとした“どら焼き生地”を丁寧に焼き上げ、サクサク食感のラスクに仕上げました。」の記載がある。
(http://natural.lawson.co.jp/recommend/commodity/detail/1319742_4527.html)

2 「ドラ焼き」の文字が、「どら焼き」を表すものとして使用されている例
(1)「新版・日本料理語源集」(株式会社旭屋出版 平成16年8月17日 第二版発行)において、「どらやき〔銅羅焼〕」の見出しの下、「・・・薄い衣を付けて銅板の上で焼くのでドラ焼きであり、煮ればドラ煮です。・・・御菓子で飴に薄い衣をつけて焼いたどらやきもあります。」の記載がある。
(2)1992年10月3日付け「朝日新聞」(夕刊、7ページ)において、「高橋卯助・日本洋菓子協会連合会会長(編集長インタビュー)」の見出しの下、「和菓子は季節感が大切にされますが、ドラ焼き、栗(くり)まんじゅう、もなか……、基本的には何十年も同じですよ。」の記載がある。
(3)1994年3月24日付け「日経流通新聞」(9ページ)において、「源吉兆庵、ロンドンそごう内に和菓子の英国2号店」の見出しの下、「純和風の店舗で『源吉兆庵』と『古都茶屋』の二ブランドを展開、国内の源吉兆庵と同じ商品に加えて洋カンやドラ焼きなど朝生菓子もそろえている。」の記載がある。
(4)1997年8月28日付け「東京読売新聞」(朝刊、23ページ)において、「若い女性に和菓子人気 低カロリーで脂肪分なしの“健康食”魅力」の見出しの下、「大手コンビニチェーンに和菓子を出荷している山崎製パン(東京)では昨年、大福やみたらし団子に加えてドラ焼きや白玉ぜんざい、くずきりなど五品目を売り出した。」の記載がある。
(5)2004年12月20日付け「日経MJ(流通新聞)」(13ページ)において、「2004年度優良食品店コンクール??本社社長賞、丸三三原商店」の見出しの下、「丸三三原商店が運営する『胡蝶庵』は抹茶を使ったドラ焼きや生大福などを販売する和菓子店。」の記載がある。
(6)2005年7月14日付け「日経産業新聞」(11ページ)において、「新日本機械工業、和菓子製造機、海外で拡販??欧米向け大型機開発」の見出しの下、「和洋菓子製造機械の新日本機械工業・・・は、ドラ焼きや人形焼きなど和菓子製造機を海外で拡販する。」の記載がある。
(7)「ドラ焼き専門店 いるか庵」のウェブサイトにおいて、「塩バター入りドラ焼き12個入【送料込&消費税込】」の見出しの下、「塩バターどら焼き12個入(ドラ焼き)」の記載がある。
(https://irukaan.thebase.in/items/7561404)
(8)「くれは製菓」のウェブサイトにおいて、「銀菓」の見出しの下、「このえごまの葉を羊羹に小豆餡とサンドし、生地には噛むとはじける煎った富山エゴマの実を入れ、『えごまドラ焼き』を作りました。」の記載がある。
(https://www.kurehaseika.com/%E5%95%86%E5%93%81%E4%B8%80%E8%A6%A7/%E3%81%88%E3%81%94%E3%81%BE%E3%83%89%E3%83%A9%E7%84%BC%E3%81%8D/)
(9)「くまもと菓房」のウェブサイトにおいて、「『焼きトラ』8個入り しましま模様のどら焼き」の見出しの下、「かわいいトラ柄のどら焼き誕生!中には小豆クリームあん生クリーム入りのどらやきです。耳まで美味しいドラ焼きです。【冷凍配送】【とら箱入り】しましま模様のどら焼き『焼きとら』8個入り」の記載がある。
(http://www.kabou.com/fs/kabou/dorayaki/yakitora8)
(10)「みんなのきょうの料理」のウェブサイトにおいて、「ドラ焼き」の見出しの下、「ホットケーキミックスとつぶあんで簡単ドラ焼き。抹茶といりごまがポイント。」の記載がある。 (https://www.kyounoryouri.jp/recipe/11797_%E3%83%89%E3%83%A9%E7%84%BC%E3%81%8D.html)
(11)「RIZ CAFE」のウェブサイトにおいて、「しふぉんドラ焼き」の見出しの下、「しふぉんドラ焼きのこだわり こだわりの生地を“シフォンケーキ”の技法でふわふわのドラ焼きに仕上げました。」の記載がある。
(http://www.riz-cafe.com/dorayaki.html)
審理終結日 2019-10-10 
結審通知日 2019-11-08 
審決日 2019-11-20 
出願番号 商願2017-67574(T2017-67574) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 駒井 芳子 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 小田 昌子
石塚 利恵
商標の称呼 ドラスク 
代理人 伊藤 將夫 
代理人 小林 弓子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ