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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W30
審判 査定不服 外観類似 登録しない W30
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W30
管理番号 1359671 
審判番号 不服2019-5782 
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-04 
確定日 2020-01-20 
事件の表示 商願2018-48424拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第30類「宇治地域に由来する製法を用いた抹茶,その他の抹茶」を指定商品として、平成30年4月17日に登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同年7月19日受付の手続補正書により、第30類「宇治地域に由来する製法を用いた抹茶」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4964361号商標(以下「引用商標」という。)は、「若竹」の文字を標準文字で表してなり、平成17年5月20日に登録出願、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,みそ,角砂糖,果糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料」を指定商品として、同18年6月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲のとおり、中央部に、黒字で大きく縦書きした「若竹」の文字と、その下に、小さく黒字で横書きした「WAKATAKE」の文字を、右上部に、緑色の長方形内に白抜きでやや小さく縦書きした「抹茶」の文字を、そして左右部に、一辺になだらかな円形の膨らみを持たせた灰色の縦長略長方形を、それぞれ配し、左側図形には、それを背景として、黒字で小さく縦書きした「宇治」の文字と、その下に、白抜きで円輪郭内に「久」の文字を表したもの(以下「〇久」と表す。)及び縦書きした「小山園」の文字を表した構成からなるものである。
そして、本願商標の構成中、「抹茶」の文字は、「茶の新芽を採り、蒸した後、そのまま乾燥してできた葉茶を臼で碾ひいて粉末にしたもの。」の意味を、「宇治」の文字は、「京都府南部の市。宇治川の谷口に位置し、茶の名産地。」の意味を有する語(いずれも、「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)として、一般に親しまれているものであり、本願の指定商品である「宇治地域に由来する製法を用いた抹茶」との関係においては、「抹茶」の文字は商品名を、「宇治」の文字は製法の由来地を、それぞれ表したものとして看取、理解されるのが自然であるから、商品の出所識別標識としては機能しないものといえ、商品の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないものである。
他方、中央部に、黒字で大きく縦書きした「若竹」の文字は、「その年に生え出た竹。新竹。」(上記広辞苑より引用。)の意味を有する語として、一般に広く知られており、本願の指定商品との関係においては、商品の品質等を表したものとして認識されることはなく、商品の出所識別標識としての機能を発揮するというべきである。また、左側図形内に表された「〇久小山園」の文字中、「〇久」の部分は、店舗ののれん等に表される記号(いわゆる「のれん記号」)の一類型として看取、理解されることから、当該文字部分は、「丸久小山園」という特定の名称の法人を表示したものと認識されるといえる。
以上からすると、本願商標の構成中、商品の出所識別標識としての機能を発揮する部分は、「若竹」の文字部分と「〇久小山園」の文字部分であり、両者は、それぞれの配置、大きさおよび態様から、外観上、明確に分離して看取されるものであり、さらに、両者は、相互に関連性を有する語でもないことから、観念上のつながりもなく、両者全体から生じる「ワカタケマルキュウコヤマエン」の称呼は、13音と冗長であることからすれば、「若竹」の文字部分と「〇久小山園」の文字部分とは、それぞれが独立して出所識別標識としての機能を果たすものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、中央部に大きく表された「若竹」の文字部分に着目して、取引に資する場合も決して少なくないと判断するのが相当であり、要部の一である該文字に相応して、「ワカタケ」の称呼及び「その年に生え出た竹。新竹。」の観念を生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「若竹」の文字を標準文字で表してなるものであり、上記(1)と同様に、「ワカタケ」の称呼及び「その年に生え出た竹。新竹。」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標の類否について検討すると、両商標は、構成全体の外観においては相違するものの、本願商標と引用商標構成中の「若竹」の文字部分とは、同じ文字からなるものであるから、両者は外観上類似するというのが相当である。
そして、両商標は、称呼については「ワカタケ」の称呼を、観念については「その年に生え出た竹。新竹。」の観念を同一とするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観上類似し、称呼及び観念を同一とするものであるから、外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察すれば、両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願の指定商品である第30類「宇治地域に由来する製法を用いた抹茶」は、引用商標の指定商品中、第30類「茶」と同一又は類似の商品である。
(5)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、その構成中、中央部に特徴的に表示されている「若竹」の文字のみで判断されるべきでなく、特徴的に表示されている「抹茶」及び「宇治〇久小山園」の文字も含めて全体で「抹茶 若竹 宇治〇久小山園」として判断されるべきであるところ、「宇治〇久小山園」の文字は、300年以上の歴史を有する請求人のロゴマークであって、請求人は需要者の間に広く認識されているとして、甲第3号証ないし甲第13号証を提出するとともに、本願商標は、「若い竹のような緑色の宇治産の丸久小山園の抹茶」という観念が生じる旨主張する。
しかしながら、仮に、請求人が需要者の間に広く認識されており、本願商標から、請求人の主張する称呼及び観念を生じるものとして理解されることがあるとしても、本願商標の構成中、「若竹」の文字部分は、その構成からすれば、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部として理解されるものであること、上記(1)のとおりである。
してみれば、請求人が主張する取引の実情を考慮しても、本願商標と外観において共通する部分を有し、同一の称呼及び観念を生じる引用商標とは、出所について誤認混同のおそれがあるものというべきであるから、本願商標と引用商標が類似するという上記判断を覆すことはできない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
イ 請求人は、本願商標は、昭和38年頃から使用されているところ、「引用商標権者の玄米茶の『若竹』と思って誤って購入した。」といった苦情等は一切なく、また、引用商標権者に対してもそのような苦情がないものと思われるため、本願商標と引用商標とが同一又は類似する商品に使用されたとしても、取引者、需要者において、その商品の出所について出所混同、誤認混同が生じるおそれはない旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではないと判示されている(昭和49年4月25日 最高裁昭和47年(行ツ)第33号)。
そうすると、請求人が主張する、請求人及び引用商標の商標権者による、現在の使用状況のような特殊的、限定的な取引の実情は必ずしも考慮されるべきものではないから、請求人の上記主張は、採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標(色彩は、原本を参照。)



審理終結日 2019-11-26 
結審通知日 2019-11-29 
審決日 2019-12-10 
出願番号 商願2018-48424(T2018-48424) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W30)
T 1 8・ 261- Z (W30)
T 1 8・ 263- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 正和 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 小田 昌子
石塚 利恵
商標の称呼 マッチャワカタケ、ワカタケ、ウジマルキューコヤマエン、ウジマルヒサコヤマエン、マルキューコヤマエン、マルヒサコヤマエン、マルキュー、マルヒサ、キュー、ヒサ、コヤマエン、オヤマエン、ウジマッチャ 
代理人 本田 史樹 

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