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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20187529 審決 商標
不服201815721 審決 商標
不服201713410 審決 商標
不服20186450 審決 商標
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審決分類 審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない W30
管理番号 1359670 
審判番号 不服2018-15972 
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-30 
確定日 2020-01-20 
事件の表示 商願2017-52718拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「kojifujita」の文字を標準文字で表してなり、第30類「洋菓子,和菓子,その他の菓子,パン,パイ,ピザ,サンドイッチ,コーヒー,コーヒー飲料,焙煎したコーヒー豆,挽いたコーヒー豆,ココア,ココア飲料,チョコレート飲料,茶,茶飲料,代用茶として使用される花又は葉,浸出液(医療用のものを除く。),調味料,香辛料,食用乾燥ハーブ,加工済みハーブ,アーモンドペースト,チョコレートを主原料としたスプレッド,ケーキ生地,ウエハース生地,クッキーの生地,パイ生地,パン生地,コーンフレーク,オートフレーク,シリアルバー,グラノーラ(穀物・ナッツ・ドライフルーツなどを混ぜた朝食用穀物食品),穀物の加工品,菓子用粉,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,食用穀粉」を指定商品として、平成29年4月17日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、他人の氏名「藤田 孝治」等の英語表記と認められる「kojifujita」の文字を書してなるところ、「藤田 孝治」等と称する他人(審決注:別掲として名前「藤田 孝治」等とその者の住所を多数記載しているが、その記載は省略する。)が多数存在し、かつ、これらの者の承諾を得ているものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第8号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和元年7月30日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
(1)証拠調べ通知書の事実1について、「藤田浩司」等の氏名を有する他人が存在する事実は認めるが、本願商標を菓子等に使用する行為が、医学・法曹界の「藤田浩司」等の人格権を毀損するおそれがあるとは到底考えられない。
(2)証拠調べ通知書の事実2について、いずれも雅号等又はブランド名として使用され、認識されているのであって、人の氏名として客観的に把握されることはない。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号の趣旨
商標法第4条第1項第8号が、他人の肖像又は他人の氏名、名称、著名な略称等を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないと規定した趣旨は、人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護すること、すなわち、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがないという利益を保護することにあると解される(最高裁平成15年(行ヒ)第265号同16年6月8日第三小法廷判決、最高裁平成16年(行ヒ)第343号同17年7月22日第二小法廷判決)。そうすると、ある氏名を有する他人にとって、その氏名を同人の承諾なく商標登録されることは、同人の人格的利益を害されることとなると考えられる(知財高裁平成28年(行ケ)第10065号同28年8月10日判決)。
(2)商標法第4条第1項第8号の該当性
本願商標は、上記1のとおり、「kojifujita」の文字を標準文字で表してなるものである。
ところで、我が国においては、例えば、パスポートやクレジットカードなどには、本人の氏名がローマ字表記されるなど、氏名をローマ字表記することは少なくない。さらに、氏名を英語で表記する場合は通常「名」「氏」の順で表記し、クレジットカードなどにおいては「名」「氏」の順で表記されているものが少なくないなど、氏名をローマ字表記する場合、「名」「氏」の順で記載することは、社会一般に行われているといえる。
そうすると、上記のとおりの構成からなる本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、その構成中「kojifujita」の文字部分を、「フジタ(氏)コウジ(名)」を読みとする氏名を「名」「氏」の順にローマ字表記したものと容易に認識するものと判断するのが相当である。
そして、「フジタ・コウジ」と読まれる「藤田 孝治」等の氏名の者が、原審説示のうち、少なくとも、以下アないしクのとおり、原審説示のインターネット及び各地域のハローページに掲載されていることからすれば、これらの者は、いずれも本願商標の出願時から現在に至るまで現存している者であると推認できる。
ア 島根県邑智郡美郷町において住所を同じくする「藤田 孝治」氏は、「藤田- ネットの電話帳- 住所でポン! 2012年版」及び2019年4月版(掲載情報は2019年1月9日現在)の「ハローページ(島根県大田・川本地方版)」に掲載されている。
イ 京都府京都市において住所を同じくする「藤田 孝治」氏は、「藤田- ネットの電話帳- 住所でポン! 2012年版」及び2019年6月版(掲載情報は2019年2月20日現在)の「ハローページ(京都市南部版)」に掲載されている。
ウ 愛媛県今治市において住所を同じくする「藤田 浩司」氏は、「藤田- ネットの電話帳- 住所でポン! 2012年版」及び2019年7月版(掲載情報は2019年4月1日現在)の「ハローページ(愛媛県今治・越智地区版)」に掲載されている。
エ 富山県中新川郡上市町において住所を同じくする「藤田 孝治」氏は、「藤田- ネットの電話帳- 住所でポン! 2012年版」及び2019年4月版(掲載情報は2019年1月7日現在)の「ハローページ(富山県東部版)」に掲載されている。
オ 秋田県秋田市において住所を同じくする「藤田 孝治」氏は、「藤田- ネットの電話帳- 住所でポン! 2012年版」及び2019年9月版(掲載情報は2019年6月10日現在)の「ハローページ(秋田県 秋田・男鹿地域版)」に掲載されている。
カ 神奈川県川崎市において住所を同じくする「藤田 幸二」氏は、「藤田- ネットの電話帳- 住所でポン! 2012年版」及び2019年11月版(掲載情報は2019年7月23日現在)の「ハローページ(川崎市麻生・高津・多摩・宮前区版)」に掲載されている。
キ 茨城県常陸太田市において住所を同じくする「藤田 孝治」氏は、「藤田- ネットの電話帳- 住所でポン! 2012年版」及び2019年3月版(掲載情報は2018年12月3日現在)の「ハローページ(茨城県日立・常陸太田市版)」に掲載されている。
ク 埼玉県吉川市において住所を同じくする「藤田 幸二」氏は、「藤田- ネットの電話帳- 住所でポン! 2012年版」及び2018年12月版(掲載情報は2018年9月6日現在)の「ハローページ(越谷・草加・三郷市版)」に掲載されている。
また、請求人と上記の者とは他人であると認められるから、本願商標は、他人の氏名を表記したものといわなければならず、かつ、少なくとも上記他人の承諾を得たものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、(ア)本願商標「kojifujita」、及び証拠調べ通知で開示した事実2は、雅号等又はブランド名として使用され、把握されるものであり、人の氏名として客観的に把握されるものではない、(イ)「藤田浩司」等の氏名を有する他人が存在する事実は認めるが、本願商標を菓子等に使用する行為が、医学・法曹界の「藤田浩司」等の人格権を毀損するおそれがあるとは到底考えられない、(ウ)過去の審査・審決例を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張し、本願商標は商標法第4条第1項第8号に該当しない旨述べている。
しかしながら、(ア)については、上記(2)のとおり、「藤田 孝治」等の氏名の者が存在する事実があること、我が国において、氏名の読みをローマ字で表記することは少なくないこと、氏名を英語で表記する場合は通常「名」「氏」の順で表記することが社会一般に行われていることからすれば、ブランド名等を表すといった使用の目的にかかわらず、名と氏の間にスペースを設けずに小文字のローマ字で表記したとしても、人の氏名として客観的に把握されて、氏名をローマ字で表記したものと認識されるとみるのが自然であり、加えて、このように表記することにより、氏名とは認識させないといった特別な事情は見いだせない。
そうすると、本願商標のような構成態様が、特異な表記手法であるとはいえず、本願商標に接する取引者、需要者をして、「kojifujita」の文字を、「フジタ・コウジ」を読みとする氏名を「名」「氏」の順にローマ字表記したものと容易に認識するものと判断するのが相当である。
また、(イ)については、「他人の名称を含む商標については、他人の承諾を得ているものを除いては、商標登録を受けることができないというべきであって、出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がないというべきである。」(知財高裁平成20年(行ケ)10309号同21年2月26日判決)と判示されていることからすれば、商標法第4条第1項第8号該当性の判断において、請求人と他人との間で菓子業界と医学・法曹界というように事業内容が異なることは考慮する必要がないと解釈すべきであるから、本願商標を登録することは、他人の人格的利益を損なうおそれがあるといわざるを得ない。
さらに、(ウ)については、請求人が挙げる過去の審査・審決例は、本願商標とは商標の構成態様が異なり事案を異にするものであり、かつ、具体的事案の判断においては、過去の判断に拘束されることなく個別に判断されるべきであるから、上記判断を左右するものではない。
なお、請求人は、意見書において、本願商標が氏名表示として客観的に使用され把握されている等の事実について、更なる証拠の提示を求めているが、本願商標が、商標法第4条第1項第8号に該当することは、上記のとおりであるから、再度の証拠調べ通知は不要と判断した。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)むすび
以上のとおり、本願商標は、他人の氏名を表記した商標であり、かつ、上記他人の承諾を得ているとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
証拠調べ通知において開示した事実
1 「藤田浩司」等と称する他人が存在する事実
(1)「横浜市立大学 研究者データベース」のウェブサイトにおいて、「藤田 浩司/FUJITA Koji」の記載がある。
(https://www.yokohama-cu.ac.jp/researcher/fujitakoji.html)
(2)「奥野総合法律事務所・外国法共同事業」のウェブサイトにおいて、「藤田 浩司 FUJITA Koji パートナー弁護士」の記載がある。
(http://www.okunolaw.com/profiles/fujita_k.php)
(3)「会計士の履歴書」のウェブサイトにおいて、「一般社団法人日本経営心理士協会 他 代表理事 等 藤田 耕司 ふじた こうじ」の記載がある。
(https://kaikeishinorirekisho.com/career/1616/)
2 ローマ字で氏名を表記する際に、氏と名の間にスペースを設けずに表記する例が存在する事実
(1)「AKIKOAOKI」のウェブサイトにおいて、「AKIKOAOKI」の見出しの下、「designer 青木 明子/Akiko Aoki」の記載がある。
(https://www.akikoaoki.com/about/)
(2)「DESIGNER HARUNOBUMURATA Official Website」において、「HARUNOBUMURATA」の見出しの下、「村田晴信(Designer/Founder)」の記載がある。
(http://harunobumurata.com/profile/)
(3)「MASAHIROMARUYAMA」のウェブサイトにおいて、「MASAHIROMARUYAMA」の見出しの下、「美しいライン-完璧さに疑問を投げかけることで生まれる造型デザイナー マサヒロ マルヤマ(丸山正宏)」の記載がある。
(https://masahiromaruyama.com/#/concept)
(4)「株式会社シィディア」のウェブサイトにおいて、「setaichiro」の見出しの下、「代表者 瀬田一郎」「Director Ichiro SETA」の記載がある。
(http://setaichiro.com/cp/)
(5)「Iam-painter ikedaayako」のウェブサイトにおいて、「ikedaayako」の見出しの下、「ikedaayako Painter」の記載がある。
(https://ikedaayako.jimdo.com/i-a-m/)


審理終結日 2019-11-25 
結審通知日 2019-11-29 
審決日 2019-12-10 
出願番号 商願2017-52718(T2017-52718) 
審決分類 T 1 8・ 23- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 正和 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 小田 昌子
石塚 利恵
商標の称呼 コージフジタ、フジタコージ 
代理人 村上 晃一 
代理人 穂坂 道子 

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