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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1358888 
異議申立番号 異議2018-685009 
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-31 
確定日 2019-10-21 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1357508号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1357508号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1357508号商標(以下「本件商標」という。)は「AIRMAN」の欧文字を横書きしてなり、2017年1月26日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年5月11日に国際商標登録出願、第3類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品、「Abrasive preparations;soaps;perfumes;essential oils;cosmetics;hair lotions;dentifrices;depilatories;make-up removing products;lipstick;beauty masks;shaving products.」を指定商品として,平成30年5月14日に登録査定され、同年6月22日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、次のとおりである。
米国商標登録第2374713号商標(以下「引用商標」という。)
商標の構成:AIRMAN
指定商品 :第14類「Watches,watch cases,movements for clocks and watches,dials for watches,hands for watches,and watch bands.」
登録出願日:1999年3月9日
登 録 日:2000年8月8日
3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第38号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、欧文字「AIRMAN」からなり、引用商標も欧文字「AIRMAN」からなるため、両商標は「エアマン」もしくは「エアーマン」の称呼を同一にし、かつ、外観、観念を共通にする同一のものである。引用商標は、申立人の商標として広く一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標とは、「エアマン」もしくは「エアーマン」の称呼を同一にし、かつ、外観、観念を共通にする同一のものである。引用商標を含む申立人所有の商標は、申立人の商標として日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されており、本件商標は不正の目的をもって使用されるものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標の商標権者は、引用商標が本件商標の指定商品において我が国において商標登録されていないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したものとみるのが相当である。してみれば、本件商標の商標権者が本件商標を商標登録出願し、商標権を取得した行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 当審の判断
(1)「AIRMAN」の周知・著名性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)1914年にスイスで設立された時計メーカー「Glycine Watch SA」(以下「グリシン社」という。)は、1953年に「AIRMAN」と称する腕時計の製造販売を開始し、2016年には申立人の傘下に入った(甲4、甲5)。
(イ)申立人は、腕時計やその関連商品を取り扱う米国法人であって、現在、「AIRMAN」に関する商標権を、米国、オーストラリア、中国等で所有しており、これらの全てにおいて腕時計を含む第14類の商品を指定商品としている(甲3、甲6、甲7)。
(ウ)申立人(又はグリシン社)のウェブサイトにおいて「AIRMAN」の文字を付した腕時計(以下「使用商品」という。)が複数種類掲載されており、日本における正規販売店が23店舗存在するとされ(甲8)、グリシン社の日本版facebookが開設されている(甲36)。
(エ)「楽天市場」及び「Amazon」並びに外国企業が運営するオンラインショップにおいて、申立人の使用商品が掲載されている(甲9?甲29)。
(オ)外国事業者が運営する「Forbes」、「HODINKEE」及び「Page&Cooper」と称するウェブサイト等において申立人の使用商品に関する記事が掲載されている(甲30?甲35)。
イ 上記アからすれば、申立人は、腕時計を製造、取引するグリシン社を傘下にもつ米国法人であって、商品「腕時計」を指定商品とする「AIRMAN」に係る商標権を米国はじめ複数の国で所有しており、グリシン社が申立人の使用商品にそれらの商標を使用していることが認められる(以下、引用商標及び申立人所有の「AIRMAN」商標をまとめて「使用商標」という。)。
しかしながら、申立人の使用商品が掲載された我が国や外国のオンラインショップのウェブサイトを表示する日付は、いずれも、本件商標の登録査定日以降の日付であるうえに、当該各オンラインショップにおける取引開始日やその期間等の詳細は不明である。
また、申立人(又はグリシン社)のウェブサイトやグリシン社の日本版facebookは、その掲載期間等が不明であり、一方、他者による申立人の使用商品の紹介記事は、商品の機能性の説明やグリシン社に対するインタビューの中で商品が紹介されている程度であることに加え、そのうち、本件商標の登録査定日以前の記事はわずか3件にとどまり、さらに、我が国や外国における申立人の使用商品に関する、広告宣伝、流通量、販売期間、売上額等は何ら明らかにされていない。
そうすると、申立人の使用商品の広告の規模、市場シェア、販売実績等が把握できないことから、申立人の使用商標は、本件商標の国際商標登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「腕時計」を表示するものとして、我が国や外国における需要者の間に広く認識されている商標とはいえない。
また、他に申立人の使用商標が、本件商標の国際商標登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「腕時計」を表示するものとして、我が国や外国における需要者の間に広く認識されていると認めるに足りる証拠は見いだせない。
したがって、申立人の使用商標は、本件商標の国際商標登録出願時及び登録査定時において、我が国や外国における需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、申立人の使用商標は、本件商標の国際商標登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「腕時計」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたとは認められない。
次に、本件商標と申立人の使用商標とは、共に「AIRMAN」の文字からなるところ、両者は構成文字を同じくすることから外観において類似し、かつ、当該文字より「エア(ー)マン」の称呼及び「飛行家、飛行士」(「小学館ランダムハウス英和大辞典」<特装版> 株式会社小学館発行)の観念を生じるものであるから、両者は類似性の程度が高いとしても、一般に使用されている既成の語であることから、その独創性の程度は低く、また、構成上顕著な特徴を有するものではない。
さらに、本件商標に係る指定商品は、上記1のとおりであり、一方、申立人の業務に係る商品は「腕時計」であるところ、両者の生産部門、販売部門、需要者の範囲等は異なることから、両者は非類似の商品であって、商品の関連性は低いというべきである。
以上よりすれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、需要者をして、申立人の使用商標を連想、想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
なお、申立人は、本件商標に係る指定商品中、特に「香水」と、申立人の業務に係る商品「腕時計」とは、同一の販売経路、同一の販売店、同一の売り場で販売されることが多いため、両者の関連性は高い旨主張し、同じブランドの香水と腕時計が、共通のオンラインショップと思しきウェブサイトに掲載されている証拠を提出している(甲37)。
しかしながら、オンラインショップにおける各種商品の取り扱いが一般に行われているとしても、この証拠のみをもって、香水と腕時計とが常に同じ販売店等で扱われているとはいい難く、その他、両者の生産部門、原材料及び品質、用途、並びに需要者の範囲等が異なることから、両者は非類似の商品であって商品の関連性は低いというべきであり、加えて、本件指定商品中、香水以外の商品についても腕時計と類似の商品であって関連性があるものと認めるに足る証拠も見いだせないものであるから、申立人の主張を採用することはできない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記(2)のとおり、本件商標の国際商標登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「腕時計」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであり、また、申立人の業務に係る商品「腕時計」を表示するものとして、外国における需要者の間に広く認識されていたと認め得る証拠も見いだせない。
そして、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標権者が、申立人の使用商標の名声と信用にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
なお、申立人は、韓国における本件商標権者所有の登録商標「AIRMAN」に対する異議申立てにおいて、当該商標が不正の目的でもって使用されるとする暫定拒絶が発せられた旨主張している(甲38)。
しかしながら、我が国における異議申立ての審理は、自国の法律に基づき、申立人の主張や提出された証拠等を検討、認定したうえで、個別に判断されるべきものであるから、韓国における暫定的な判断を直ちに本件の判断の基礎としなければならない理由はなく、それによって上記判断が左右されるものではないから、申立人の主張は採用することができない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記(2)のとおり、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして申立人の使用商標を連想又は想起させることのないものである。
そうすると、本件商標は申立人の使用商標が我が国で登録されていないことを奇貨として先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したとは到底いえず、また、公正な商取引の秩序を乱し、公の秩序を害するおそれがあるとも認められない。さらに、他に申立人の提出する証拠をもってしても、商標権者が本件商標をその指定商品に使用することが社会一般の道徳に反する、あるいは国際信義に反するなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)結び
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-10-16 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 22- Y (W03)
T 1 651・ 222- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 啓之山田 和彦 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 小田 昌子
岩崎 安子
登録日 2017-05-11 
権利者 SOCIETE PARISIENNE DE PARFUMS ET COSMETIQUES
商標の称呼 エアーマン、エアマン 
代理人 山田 智重 
代理人 安達 友和 
代理人 山田 勝重 
代理人 山田 克巳 
代理人 山田 博重 

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