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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W10 審判 全部申立て 登録を維持 W10 審判 全部申立て 登録を維持 W10 審判 全部申立て 登録を維持 W10 審判 全部申立て 登録を維持 W10 |
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管理番号 | 1358887 |
異議申立番号 | 異議2019-900204 |
総通号数 | 242 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-02-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-07-26 |
確定日 | 2020-01-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6142688号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6142688号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6142688号商標(以下「本件商標」という。)は,「AWG」の文字を標準文字により表してなり,平成30年8月3日に登録出願,第10類「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。),家庭用電気マッサージ器」を指定商品として,同31年4月12日に登録査定,令和元年5月10日に設定登録されたものである。 2 申立人標章 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するとして引用する標章は,別掲に示すとおり,デザイン化された「Depth Pulse」及び当該文字の下に大きく「A」と「G」の間に波線様にデザイン化された「w」を配し,該「w」の下に収まるように小さく「AC5000」を配した構成からなるもの(以下「申立人標章1」という。)及び「デプスパルスAWG AC5000」の文字からなり(以下「申立人標章2」という。),申立人の業務に係る商品「低周波治療器」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとするものである。 以下,申立人標章1及び申立人標章2をまとめて「申立人標章」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第3条第1項第1号,同項第2号,同法第4条第1項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。 (1)商標法第3条第1項第1号及び同項第2号について 「AWG」の文字は,書籍(甲1?甲5)にも掲載され,「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」の普通名称となっており,また,「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器及び治療方式について慣用されている。 (2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について 申立人は,AWGの文字及び係る文字を使った機器の販売を従前から行っており(全甲号証,特に甲6),本件商標の登録がなされると,申立人の業務及び商品と混同のおそれがある。 (3)商標法第4条第1項第19号について 本件商標権者と同じ代表者・住所の株式会社イー・キューブ(以下「イーキューブ社」という。)が,申立人と業務委託契約を締結し,AWGの文字を使用した機器の販路拡大を業務としていた。本件商標の登録は,イー・キューブ社が,本件商標権者を隠れ蓑として,ただ乗りや申立人の業務の不正な妨害を行い,不正な利益を得る目的でなされているものといえる。 4 当審の判断 (1)本件商標について 本件商標は,上記1のとおり,「AWG」の文字を標準文字で表してなるものである。 (2)商標法第3条第1項第1号及び同項第2号該当性について 申立人は,「AWG」の文字について,書籍(甲1?甲5)に掲載され,「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」の普通名称となっており,また,「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」及び治療方式について慣用されている旨主張しているので,申立人の提出した書籍をみると,以下の事実が確認できる。 ア 「『ガン呪縛』を解く」(2006年6月14日 株式会社Eco・クリエイティブ発行:甲1)には,402頁に「電子照射機=AWG(Arbitrary Waveform Generator)」の記載,408頁に「量子論的治療器(AWG)」の記載がある。 イ 改訂版「『AWG』は魔術か,医術か?」(2017年12月18日 株式会社五月書房新社発行:甲2)には,79頁に「◇従来型の低周波治療器と,どこがちがうのか?/『AWG』は低周波電流の周波数を,1?1万ヘルツ間の範囲で,一定時間ごとに順次高くして治療する発明である。」の記載,85頁には,「松浦が『AWG』器機と初めて出会ったのは米国本土ではなく,ハワイにおいてである。『AWG』によって,ウィルス,真菌,寄生虫,雑菌を死滅させる器具,痛みなし,手術なし,注射なし,投薬なしの万病治療器具を,日本国内で実用化するための活動が始まった。1993(平成5)年,日本に帰国した松浦は,1996(平成8)年,静岡県浜松市内で『シーメックスジャパン』社,『アジアス』社を設立,自分で考案した家畜用妊娠判定機を販売しながら,懸案の治療器具改良に取り組んだ。」の記載,86頁に「松浦はこれに『ドクターハイエゼックス』と命名し,とりあえず治療原理について,米国を始め,各国の著作権特許取得を急いだ。現在の『AWG』器具の前身である。」の記載がある。 ウ 「未来を救う『波動医学』/瞬時に診断・治療し,痛みも副作用もない」(2017年3月25日 共栄書房発行:甲3)には,223頁ないし225頁に「松浦優之という医学博士が完成させた『魔術』のような『AWG』という器具と気功術で,主婦の乳房再生が始まった・・・」,「気功と似ているAWG原理・・・『・・・「AWG」は,人から人への注入ではなく,人工的にプログラミングさせた波動を,段階的に発生させ,集めて人体の深部に働きかけるのです』まさに,原理は波動医学そのもの・・・」の記載のほか,「AWG照射」や「『AWG』療法」等の記載がある。 エ 「ソマチッドがよろこびはじける秘密の周波数」(2018年6月30日 株式会社ヒカルランド発行:甲4)には,1頁に「ソマチッドを観察するようになったのは,さまざまな病気の症状の緩和に効果のある機器,AWG(Arbitrary Waveform Generator=段階的波動発生装置)の施術の結果を確認してお伝えするためでした。」の記載,14頁に「AWGは,松浦優之博士を中心とする日本とアメリカの医師や科学者が,25年もの歳月をかけて開発した機器とされています。・・・AWGという名前の日本語訳は,『段階的波動発生装置』とされています。」の記載がある。 オ 「難病治療はなぜ成功しないのか?」(2019年2月28日 株式会社幻冬舎メディアコンサルティング発行:甲5)には,「第6章 心と身体への負担が少ない難病治療を実現できるAWG(段階的波動発生装置)治療」の見出しの下,162頁に申立人が画像提供する装置の写真が掲載され,当該装置の正面左側上方には,申立人標章1が付されている。 カ 上記アないしオによれば,書籍において,「AWG」の文字の記載が認められる。 しかしながら,「AWG」の文字の意味合いについては,「『AWG』は低周波電流の周波数を,1?1万ヘルツ間の範囲で,一定時間ごとに順次高くして治療する発明である。」,「気功と似ているAWG原理・・・人工的にプログラミングさせた波動を,段階的に発生させ,集めて人体の深部に働きかけるのです」,「電子照射機=AWG(Arbitrary Waveform Generator)」,「量子論的治療器(AWG)」,「AWG(Arbitrary Waveform Generator=段階的波動発生装置)」のように,それぞれに異なる記載がなされているものである。 そうすると,上記のような書籍における記載例のみをもって,「AWG」の文字が,本件商標の登録査定時に特定の商品又は治療方式の一般的名称として使用され,認識されているということはできない。 さらに,「AWG」の文字について,職権をもって調査するも,「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」に関する業界において,特定の商品や治療方式の一般的名称を表すものとして使用されている事実,辞書等及び新聞等への掲載は見いだすことができないから,「AWG」の文字は,商品「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」の普通名称であるとはいえず,また,商品「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」や特定の治療方式について慣用されている商標であるとはいえない。 したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第1号及び同項第2号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について ア 申立人の業務に係るAWGの文字及び係る文字を使った機器の周知著名性について (ア)申立人が発行した請求書(2004年(平成16年)10月20日:甲6)には,内容の欄に「AH3000本体価格」の記載,同請求書(2016(平成28)年8月10日:甲7)には,品番・品名の欄に「●AH3500新古品」の記載があるが,これらには,「AWG」の文字は記載されていない。 (イ)申立人の商品カタログ(甲8)は,作成日が確認できないが,「品名」を「デプスパルス AWG AC5000」とし,「一般的名称」を「低周波治療器」とするものであって,商品の左側上方には,申立人標章1が付されている。 (ウ)買主をリコーリース株式会社とし売主を申立人とする注文書(2018年(平成30年)5月8日:甲9)には,「品名・仕様・型式」の欄に「デプスパルスAWG AC5000」の文字(申立人標章2)の記載がある。 (エ)株式会社コスミックエムイーからペテスダ有限責任事業組合宛ての御請求明細書(2018年(平成30年)7月26日発行:甲10,甲11)には,「商品名」の欄に「デプスパルスAWG 2次試作音鳴り改良」と記載されているが,株式会社コスミックエムイーと申立人との関係が確認できないから,これをもって,AWGの文字を使用した機器を申立人が使用しているとはいえない。 (オ)上記(ウ)によれば,申立人は,2018年(平成30年)5月8日に「品名・仕様・型式」を「デプスパルスAWG AC5000」とする注文を受けていることが確認でき,また,申立人の商品カタログにおいて申立人標章1が付された装置の写真が掲載されていること(甲8)を併せみると,申立人は,本件商標の登録出願前の2018年(平成30年)5月8日に低周波治療器「デプスパルス AWG AC5000」を取引していた事実が認められる。 しかしながら,当該商品の売上高,販売数,市場シェアなど販売実績,使用地域,並びに広告宣伝の方法,期間,地域及び規模を示す具体的な証左は見いだせない。 そうすると,提出された証拠からは,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人標章が申立人の業務に係る商品「低周波治療器」を表示するものとして,我が国の取引者及び需要者の間で広く認識されていたと認めることができない。 イ 本件商標と申立人標章との類似性の程度 (ア)本件商標について 本件商標は,「AWG」の文字を表してなるところ,該文字は辞書に掲載されているとしても,特定の意味合いをもって,一般に親しまれているということはできないものであるから,特定の意味合いを有しない造語といえるものである。 したがって,本件商標は,「エイダブリュウジイ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。 (イ)申立人標章1について 申立人標章1は,別掲のとおりの構成からなり,デザイン化された「Depth Pulse」及び該文字の下に大きく「A」と「G」の間に波線様にデザイン化された「w」を配し,当該「w」の下に収まるように小さく「AC5000」を配してなるものであるところ,「Depth Pulse」,「AwG」及び「AC5000」の各文字部分は,構成上,分離して看取できるものである。 そして,構成中の「Depth Pulse」の文字は,辞書に掲載されていない文字であり,「AwG」の文字は,上記(ア)のとおりであるから,いずれも特定の意味合いを有しない造語といえるものである。 さらに,構成中の「AC5000」の文字は,商品の規格,品番,型式などを表示するための記号,符号として採択,使用されるローマ字2文字と数字を組み合わせた標章であって,その一類型と理解されるものであるから,出所識別標識としての称呼及び観念は生じないものである。 そうすると,申立人標章1において,大きく表された「AwG」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから,当該部分を申立人標章1の要部として抽出し,本件商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。 したがって,申立人標章1は,その要部である「AwG」の文字部分に相応して「エイダブリュウジイ」の称呼を生じ,これより特定の観念を生じないものである。 (ウ)申立人標章2について 申立人標章2は,「デプスパルスAWG AC5000」の文字からなるところ,その構成中の「AC5000」は,上記(イ)と同様に,商品の規格,品番,型式などを表示するための記号,符号の一類型として理解されるものであるから,出所識別標識としての称呼及び観念は生じないものである。 そうすると,申立人標章2は,構成中の同じ大きさで一連かつ一体的に表されている「デプスパルスAWG」の文字に相応して「デプスパルスエイダブリュウジイ」の称呼を生じるものであり,当該文字は,特定の意味合いを有しない造語といえるものである。 したがって,申立人標章2は,「デプスパルスエイダブリュウジイ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。 (エ)本件商標と申立人標章との類似性の程度 a 本件商標と申立人標章1との類否 本件商標「AWG」と引用標章1の要部である「AwG」の文字部分とを比較すると,両者は,そのつづりを同じくするものであるから,外観については類似するといえる。また,両者は,「エイダブリュウジイ」の称呼を共通にするものである。そして,両者は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念については比較することができない。 そうすると,本件商標と引用標章1の要部である「AwG」の文字部分とは,観念において比較することができないとしても,外観において類似し,称呼を共通にするものであるから類似の商標と認められる。 したがって,本件商標と引用標章1とは,互いに類似する商標であって,類似性の程度は高いといえる。 b 本件商標と申立人標章2との類否 本件商標「AWG」と申立人標章2の「デプスパルスAWG AC5000」を比較すると,「デプスパルス」の文字の有無という明らかな差異を有するものであり,外観上,相紛れるおそれはないものである。 また,本件商標から生じる「エイダブリュウジイ」の称呼と,申立人標章2から生じる「デプスパルスエイダブリュウジイ」とを比較すると,前半部における「デプスパルス」の音の有無に差異を有し,全体の構成音数,構成音を異にするものであるから,明瞭に聴別し得るものである。 さらに,本件商標と申立人標章2とは,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念において比較することができない。 そうすると,本件商標と申立人標章2とは,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において明らかに区別し得るものであるから,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって,本件商標と引用標章2とは,非類似の商標であって,類似性の程度は低いものである。 ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「低周波治療器」との関連性及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品は,上記1のとおりであって,申立人の業務に係る商品「低周波治療器」が治療に使用されるという点において,本件商標の指定商品と同一又は類似する商品であって関連性のある商品といえ,その需要者を共通する場合があるというべきである。 エ 出所の混同のおそれについて 上記イのとおり,本件商標と申立人標章1とは互いに類似する商標であって,類似性の程度は高いといえる。また,本件商標と申立人標章2とは相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであり,両者の類似性の程度は低いものである。 しかしながら,上記ア(オ)のとおり,申立人標章は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品「低周波治療器」を表示するものとして,取引者,需要者の間に広く認識されていたとはいえない。 そうすると,本件商標の申立てに係る指定商品と,申立人の業務に係る商品「低周波治療器」とは,同一又は類似する商品であって関連性があり,需要者が共通するとしても,本件商標は,本件商標権者がこれを本件商標の指定商品について使用しても,取引者,需要者が,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他,本件商標について,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 上記(3)イのとおり,本件商標と申立人標章1とは,類似する商標であって,本件商標と申立人標章2とは非類似の商標である。 しかしながら,申立人標章は,上記(3)アのとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品「低周波治療器」を表示するものとして,取引者及び需要者の間に広く認識されていたということはできないものである。 また,本件商標権者と同じ代表者・住所のイー・キューブ社が,「申立人の顧客獲得代行業務ならびにそれに付随する一切の業務」に関する業務委託契約を申立人と締結した(甲12,甲13)としても,そのことから本件商標を不正の目的をもって使用するとはいえない。 さらに本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件商標は,その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情が存するものということはできず,かつ,申立人標章の周知著名性へのただ乗りをする等の事実も確認できないことから,本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる事実は見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第1号,同項第2号,同法第4条第1項第10号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (申立人標章1:色彩については,甲8を参照。) |
異議決定日 | 2020-01-17 |
出願番号 | 商願2018-99365(T2018-99365) |
審決分類 |
T
1
651・
12-
Y
(W10)
T 1 651・ 25- Y (W10) T 1 651・ 271- Y (W10) T 1 651・ 222- Y (W10) T 1 651・ 11- Y (W10) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 日向野 浩志 |
特許庁審判長 |
薩摩 純一 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 渡邉 あおい |
登録日 | 2019-05-10 |
登録番号 | 商標登録第6142688号(T6142688) |
権利者 | 株式会社ジーウェーブ |
商標の称呼 | エイダブリュウジイ |
代理人 | 青木 康郎 |
代理人 | 前田 勘次 |
代理人 | 大矢 正代 |