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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29
管理番号 1358831 
審判番号 不服2018-14825 
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-07 
確定日 2020-01-06 
事件の表示 商願2016-118056拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類「納豆」を指定商品として、平成28年10月24日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標の構成中、『炭火』の文字は、『炭でおこした火』の意味を、『発酵』の文字は、『酵母・細菌などの微生物が、有機化合物を分解してアルコール・有機酸・炭酸ガスなどを生じる過程。本態は酵素反応。』の意味をそれぞれ有する語であり、本願商標全体として、『炭でおこした火を使用し酵素反応させる製法』といった意味合いを理解させるものである。そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、納豆は、通常、蒸し、あるいは煮た大豆に納豆菌を付し、これを発酵室等で発酵させ製品にするところ、その工程中、発酵室の温度を保つために、炭火が用いられていることが認められる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、『炭火を使用して発酵させて作られた商品』であること、すなわち、単に商品の品質を表示したものとして認識するというべきである。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ
審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、令和元年6月25日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、要旨以下のとおり、意見を申し立てた。
(1)別掲2(1)に掲載されている情報において、7件中6件は、過去のある時点における情報でしかなく、また、掲載されている納豆商品の中に、「炭火発酵」という標章が使用されているものは存在していない。さらに、掲載されている情報によれば、納豆の製造過程(製造工程)で「炭火を使用している」と説明している生産者の間に、「炭火発酵」の意味、観念について共通する認識が存在していないことは明らかである。
(2)商品「納豆」に使用される「炭火発酵」という標章は、「商品『納豆』の製造に、天然物、自然物のみが用いられていて、化学的なものが使用されていないのではないか」という印象を、暗示的に、一般消費者に認識させるだけのものでしかなく、商品の品質、製造方法等を明確に表す語とはいえない。
(3)別掲2(2)に掲載されている情報は、僅か3件であり、「ある文字が略枠線で囲われている」という表記方法が「業界で普通に用いられていない」証左となっているとすら考えられる。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、毛筆体で二行に縦書きされた「炭火」及び「発酵」の文字を略枠線で囲った構成からなるものであるところ、その構成中の「炭火」の文字は「炭でおこした火」の意味を、「発酵」の文字は「一般に、酵母・細菌などの微生物が、有機化合物を分解してアルコール・有機酸・炭酸ガスなどを生じる過程」の意味を有する語である(各語の意味については、いずれも「広辞苑第六版」から引用。)。
そして、本願の指定商品である「納豆」は、「よく煮た大豆を藁づとなどに入れて適温中に置き、納豆菌を繁殖させて作った食品。現在は、蒸し大豆に直接納豆菌を散布して発酵させたものが多い。」(上記「広辞苑」から引用。)という食品であるところ、納豆を取り扱う業界においては、別掲2(1)のとおり、原料を発酵させる方法として、炭火を使用する方法が古くから現在に至るまで広く採用されており、炭火で発酵させる方法を「炭火発酵」と称することもある事実が認められる。
他方、本願商標の構成中の文字部分に採択された書体(毛筆体)及び表記方法(縦書き、二行構成)は、いずれも一般的に用いられるものであり、また、構成中の略枠線の部分は、別掲2(2)に加えて別掲3のとおり、商品(納豆)の包装の前面に表示された記載事項を略枠線で囲むように表示することが一般に行われている事実が認められることから、本願商標は、取引上普通に用いられる方法で表示されたものである。
そうすると、本願商標は、その指定商品である「納豆」との関係において、「炭火で発酵させた納豆」の意味合いを認識させるにすぎず、その表示方法も、取引上普通に用いられる方法で表示されたものであるから、これをその指定商品に使用するときは、その需要者及び取引者をして、単に商品の品質を表したものと認識、理解させるにとどまり、自他商品の識別標識又は商品の出所を表示する標識として認識させることはないとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、別掲2(1)に掲載されている情報の多くは、過去のある時点における情報でしかなく、また、掲載されている納豆商品の中に、「炭火発酵」という標章が使用されているものは存在していない旨述べるとともに、掲載されている情報によれば、「炭火を使用している」と説明している生産者の間に、「炭火発酵」の意味、観念について共通する認識が存在していないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、例えば、「炭火を使って発酵させる昔ながらの納豆づくり」(別掲2(1)エ)などの記載に見られるように、原料を発酵させる方法として、炭火を使用する方法は古くから広く採用されており、現在においても、炭火で発酵させた納豆が製造販売されている事実(別掲2(1)キ)があること、また、請求人が主張するように「炭火発酵」を行う生産者の間に、共通認識が存在していないとしても、いずれも炭火を使用して発酵させていることにおいて変わりはなく、さらに、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、当該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないというべきであるところ、別掲2(1)に掲げる事例は、第三者によって納豆商品に「炭火発酵」という標章が使用されていることは示していないとしても、納豆を取り扱う業界において、炭火で発酵させる方法を「炭火発酵」と称することもある実情を十分示すものであり、当該取引の実情を踏まえれば、本願商標は「炭火で発酵させた納豆」であることを認識させるにとどまることは、上記(1)のとおりである。
イ 請求人は、「納豆」に使用される「炭火発酵」という標章は、天然物、自然物のみが用いられていて、化学的なものが使用されていないという印象を、暗示的に、一般消費者に認識させるだけのものでしかなく、商品の品質、製造方法等を明確に表す語とはいえない旨主張する。
しかしながら、本願商標は、納豆の取引の実情を踏まえれば、「炭火発酵」の文字が「炭火で発酵させた納豆」という商品の品質を表示するものとして、取引者、需要者によって一般に認識されるものであること、上記(1)のとおりである。
ウ 請求人は、別掲2(2)に掲載されている情報は、僅か3件であり、「ある文字が略枠線で囲われている」という表記方法が「業界で普通に用いられていない」証左となっている旨主張する。
しかしながら、別掲2(2)に加えて別掲3のとおり、納豆を取り扱う業界において、商品の包装の前面に表示された記載事項を、略枠線で囲むように表示することが一般に行われている事実から、本願商標の構成中の略枠線についても、普通に用いられる方法といえる程度のものであり、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得るものではないと判断するのが相当である。
したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
本願商標


別掲2
令和元年6月25日付け証拠調べ通知書をもって請求人に示した事実
(1)炭火を用いて発酵させた納豆が一般に製造、販売されている事実
ア 1986年11月22日付け「日本経済新聞」(地方経済面、東北A、2ページ)において、「太子食品工業が発売、炭火発酵の最高級納豆、国産極小大豆使う??豆乳プリンも。」の見出しの下、「納豆、豆腐メーカー大手、太子食品工業・・・は、国産極小粒大豆を使い、炭火で発酵させた最高級の手づくり納豆を二十一日から東日本全域で発売した。・・・炭火作りの『味小粒』納豆は・・・炭火を使って納豆菌を発酵させ、納豆菌本来の持ち味をひき出している。納豆はもともと炭火により、自然に近い形で納豆菌を発酵させるのが最高とされており、太子食品は炭火の温度と湿度を熟成の程度に応じ管理し、大量生産する仕組みをつくり上げた。」の記載がある。
イ 2002年2月1日付け「日本食糧新聞」(13ページ)において、「2002年冬期西日本納豆特集:西日本主要メーカー動向=カジノヤ」の見出しの下、「(株)カジノヤ・・・は、生協チャネルを中心に、有機大豆など厳選された原料を、昔ながらの炭火でじっくり時間をかけて発酵させた、こだわりの商品を展開している。」の記載がある。
ウ 2010年7月8日付け「東京読売新聞」(朝刊、28ページ)において、「[企業探訪]登喜和食品 大豆発酵食『テンペ』に商機=多摩」の見出しの下、「主力商品の納豆は、良質な環境で育った納豆菌を使い、発酵の熱源には炭火を用いるなど、大豆のうまみを引き出す工夫を凝らしている。」の記載がある。
エ 2015年5月21日付け「東京読売新聞」(朝刊、32ページ)において、「[教えて先輩]納豆菌と『会話』 最高賞 関本政英さん39=多摩」の見出しの下、「菅谷食品 創業68年の納豆メーカーです。圧力釜などを使った一般的な製法のほか、大豆をせいろで蒸し、石室で炭火を使って発酵させる昔ながらの納豆づくりも行っています。」の記載がある。
オ 「安全な食べものネットワーク Alter オルター」のウェブサイトにおいて、「炭火発酵無農薬納豆 洋蹄食品 カタログ“2001年9月3週”」の見出しの下、「納豆のおいしさの決め手は、水と蒸し上がりとのこと、とくに炭火発酵は特徴的です。」「炭火発酵とは 七輪に炭を熾して、ムロに入れます。炭は、2?3時間で燃え尽きる量。炭から遠赤外線が発生することにより、豆の表面と中の温度差を縮める効果がある。豆が早く、均一な温度になり、納豆菌の繁殖が進み、熟成が進む。炭を熾している状態なので、ムロは無酸素状態になり人間はムロには入れない状態になる。7時間後、吸排気するまでは無酸素状態におく。その効果は、炭酸ガスが発生して無酸素状態が長く続いてから空気を入れるので、納豆菌はよりいっそう空気を取り込もうとして活動が活発になり、発酵が進み、熟成することにあります。この発酵によって、完全熟成されて、おいしいコクのある納豆になります。」の記載がある。
(http://kakokiji.tri.to/Preview2.aspx?id=1017&cls=)
カ 「きたかんナビ」のウェブサイトにおいて、「<<上州ブランド図鑑>> 下仁田納豆 経木で炭火発酵 臭い抑えうま味」(2017年10月13日)の見出しの下、「蒸煮(じょうしゃ)という工程を経て納豆菌を付け、経木に包んで炭火で発酵させる。発酵は41度の温度で23時間。強制的に空気をかき回すことは厳禁なため、炭火による温度管理が適しているという。」の記載がある。
(http://kitakan-navi.jp/archives/24978)
キ 「下野豆富あらた家」のウェブサイトにおいて、「納豆小粒」の見出しの下、「榛名山の北面の経木に包み、24時間炭火で蒸らし発酵させた商品です。」の記載がある。
(https://arataya.com/item/other/arataya-natoo-kotsubu/)
(2)納豆の包装の前面に表示された記載事項を略枠線で囲むように表示することが一般に行われている事実
ア 「納豆 国内外の納豆情報総合サイト」のウェブサイトにおいて、「粢薬膳」の見出しの下、「品書き:粢 小粒納豆」の記載とともに、以下の画像が表示されている。
(https://seesaawiki.jp/w/taiji141/d/%e4%e7%cc%f4%c1%b7)

イ 「蒜山食品加工株式会社」のウェブサイトにおいて、「蒜山納豆『まろみ』 3P」の見出しの下、以下の画像が表示されている。
(http://www.hirusyoku.com/goods.html)

ウ 「有限会社高丸食品」のウェブサイトにおいて、「2018年2月23日 第23回全国納豆鑑評会【国産中粒納豆】 第1位 最優秀賞・農林水産大臣賞受賞」の見出しの下、「2018年2月23日、第23回全国納豆鑑評会におきまして、高丸食品の『国産中粒納豆』が見事、第1位 最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞いたしました。」の記載とともに、以下の画像が表示されている。
(https://takamarusyokuhin.com/)


別掲3
(1)「納豆 国内外の納豆情報総合サイト」のウェブサイトにおいて、「日本の中粒」の見出しの下、「品書き:こもり 国産大豆使用 日本の中粒」の記載とともに、以下の画像が表示されている。
(https://seesaawiki.jp/w/taiji141/d/%c6%fc%cb%dc%a4%ce%c3%e6%ce%b3)

(2)「納豆 国内外の納豆情報総合サイト」のウェブサイトにおいて、「丹波の恵」の見出しの下、「品書き:丹波ハピー農園 自家産豆納豆 丹波の恵」の記載とともに、以下の画像が表示されている。
(https://seesaawiki.jp/w/taiji141/d/%c3%b0%c7%c8%a4%ce%b7%c3)


(上記イメージ図の色彩等の詳細については、それぞれ記載したURLを参照のこと。)



審理終結日 2019-11-01 
結審通知日 2019-11-05 
審決日 2019-11-19 
出願番号 商願2016-118056(T2016-118056) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W29)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 駒井 芳子 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 石塚 利恵
中束 としえ
商標の称呼 スミビハッコー、スミビ、ハッコー 
代理人 涌井 謙一 
代理人 鈴木 一永 
代理人 工藤 貴宏 
代理人 三井 直人 
代理人 山本 典弘 
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