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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W3541
審判 査定不服 観念類似 登録しない W3541
審判 査定不服 外観類似 登録しない W3541
管理番号 1358766 
審判番号 不服2018-17591 
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-29 
確定日 2019-12-26 
事件の表示 商願2017- 76439拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第35類及び第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成29年6月8日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同30年3月26日受付の手続補正書により、第35類「おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ヘアゴム・ヘアターバン・ヘアクリップ・カチューシャ・コンパクトミラー及びその他の身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,帽子・耳あて・よだれかけ及びその他の被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,生理用ナプキンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,小物入れの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第41類「おむつ・生理用ナプキン及びその他の生理用品をデコレーションケーキ風に飾り付けるための技芸の教授」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下の1及び2のとおり、認定、判断し、本願を拒絶したものである。
1 商標法第4条第1項第15号について
本願商標は、「セイコーホールディングス株式会社」のグループ会社の一つである「セイコーウオッチ株式会社」が商品「時計」に使用して著名性を獲得している「SEIKO」の文字を含むものであり、その他グループ会社においても、時計以外の各種商品・役務の業務を行う多角経営を積極的に展開していることを総合すれば、これをその指定役務に使用するときは、これがあたかも前記会社又はこれと組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、以下の登録商標と類似の商標であって、その登録商標に係る指定商品及び指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
なお、以下の登録商標は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1825534号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字
・登録出願日:昭和57年7月30日
・設定登録日:昭和60年12月25日
・書換登録日:平成18年4月12日
・最新更新登録日:平成27年9月29日
・指定商品:第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第1901755号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:昭和59年3月12日
・設定登録日:昭和61年10月28日
・書換登録日:平成19年2月7日
・最新更新登録日:平成28年9月6日
・指定商品:第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(3)登録第1941121号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字
・登録出願日:昭和57年7月30日
・設定登録日:昭和62年3月27日
・書換登録日:平成19年10月24日
・最新更新登録日:平成28年12月20日
・指定商品:第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(4)登録第1979187号商標
・商標の構成:「セイコー」の片仮名
・登録出願日:昭和59年3月8日
・設定登録日:昭和62年8月19日
・書換登録日:平成20年3月5日
・最新更新登録日:平成29年4月18日
・指定商品:第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(5)登録第2085953号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字
・登録出願日:昭和57年7月30日
・設定登録日:昭和63年10月26日
・書換登録日:平成21年4月1日
・最新更新登録日:平成30年9月4日
・指定商品:第11類、第20類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(6)登録第2196855号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字
・登録出願日:昭和57年7月30日
・設定登録日:平成元年12月25日
・書換登録日:平成21年11月4日
・最新更新登録日:平成21年10月20日
・指定商品:第14類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(7)登録第2217432号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:昭和59年3月12日
・設定登録日:平成2年3月27日
・書換登録日:平成22年7月14日
・最新更新登録日:平成21年10月20日
・指定商品:第4類ないし第6類、第8類、第10類、第11類、第16類、第18類ないし第21類、第24類、第26類ないし第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(8)登録第2395686号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:昭和59年3月12日
・設定登録日:平成4年3月31日
・書換登録日:平成14年5月1日
・最新更新登録日:平成24年2月14日
・指定商品:第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(9)登録第2441506号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:昭和59年3月12日
・設定登録日:平成4年8月31日
・書換登録日:平成15年10月22日
・最新更新登録日:平成24年7月3日
・指定商品:第1類、第5類及び第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(10)登録第3181135号商標
・商標の構成:別掲2のとおり
・登録出願日:平成5年6月28日
・設定登録日:平成8年7月31日
・最新更新登録日:平成28年6月28日
・指定商品:第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(11)登録第3253577号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字
・登録出願日:平成4年8月14日
・設定登録日:平成9年1月31日
・最新更新登録日:平成28年12月20日
・指定役務:第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
(12)登録第3253578号商標
・商標の構成:「セイコー」の片仮名
・登録出願日:平成4年8月21日
・設定登録日:平成9年1月31日
・最新更新登録日:平成28年12月20日
・指定役務:第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
(13)登録第4720091号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字
・登録出願日:平成15年4月15日
・設定登録日:平成15年10月24日
・更新登録日:平成25年10月15日
・指定商品:第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(14)登録第5036142号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「ネットClub」の文字(上下二段併記)
・登録出願日:平成18年3月22日
・設定登録日:平成19年3月30日
・更新登録日:平成28年12月20日
・指定商品・指定役務:第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品・役務
(15)登録第5385101号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年1月21日
・指定商品:第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(16)登録第5385106号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年1月21日
・指定商品:第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(17)登録第5385108号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年1月21日
・指定商品:第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(18)登録第5385110号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年1月21日
・指定商品:第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(19)登録第5385112号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年1月21日
・指定商品:第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(20)登録第5385114号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年1月21日
・指定商品:第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(21)登録第5390843号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年2月10日
・指定商品:第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(22)登録第5390846号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年2月10日
・指定商品:第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(23)登録第5390847号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年2月10日
・指定商品:第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(24)登録第5390850号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年2月10日
・指定商品:第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(25)登録第5390852号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年2月10日
・指定商品:第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(26)登録第5395299号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年3月4日
・指定商品:第8類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(27)登録第5395302号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年3月4日
・指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(28)登録第5405328号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年4月8日
・指定商品:第6類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(29)登録第5409443号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年4月28日
・指定商品:第8類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(30)登録第5409444号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年4月28日
・指定商品:第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(31)登録第5421291号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成22年8月19日
・設定登録日:平成23年6月24日
・指定商品:第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(32)登録第6022493号商標
・商標の構成:「SEIKO」の欧文字及び「セイコー」の片仮名(上下二段併記)
・登録出願日:平成29年6月5日
・設定登録日:平成30年2月23日
・指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
以下、上記(1)ないし(32)を順次、「引用商標1」ないし「引用商標32」のように表し、これらをまとめていうときは「引用商標」という場合がある。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「SEIKO」及び「TSUCHIMOTO」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、上段の「SEIKO」の欧文字は、下段の「TSUCHIMOTO」の欧文字と比較して大きく顕著に表されているものである。
そして、原審において提出された刊行物等提出書及び当審における職権調査によれば、「セイコーホールディングス株式会社」は、遅くとも昭和3年(1928年)には、商品「時計」について「SEIKO」及び「セイコー」の文字を使用しており、現在に至るまで新聞、雑誌及びテレビなどで商品「時計」の商標として、大規模に広告宣伝を行っていることが認められる。
してみれば、本願商標の上段の「SEIKO」の欧文字は、「セイコーホールディングス株式会社」が商品「時計」に使用する商標として、取引者である当該商品を製造・販売、小売り等を行う者や需要者である一般消費者に広く認識されているものであり、本願の指定役務の分野における取引者、需要者間においても、「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」として、その著名性の程度は極めて高いといえるものである。
そうすると、本願商標は、下段の「TSUCHIMOTO」の欧文字が、人名の姓を想起させる場合があるとしても、上段の「SEIKO」の欧文字が大きく顕著に表されていることに加え、当該欧文字の「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」の著名性も考慮すれば、これに接する取引者、需要者において、その構成全体から直ちに人名を表したものとして看取されるとはいい難く、むしろ、その構成中「SEIKO」の欧文字部分が、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというのが相当であるから、当該欧文字部分だけを要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるといえる。
したがって、本願商標からは、その構成中の要部である「SEIKO」の欧文字部分に相応して「セイコー」の称呼を生じ、「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1、3、5、6、11及び13(以下、まとめて「引用商標A」という。)について
引用商標Aは、「SEIKO」の欧文字を横書きしてなるところ、当該欧文字は、上記のとおり「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」として著名なものといえる。
そうすると、引用商標Aは、その構成文字に相応して「セイコー」の称呼を生じ、「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」の観念を生じるものである。
イ 引用商標2、7ないし9、15ないし32(以下、まとめて「引用商標B」という。)について
引用商標Bは、「SEIKO」の欧文字と「セイコー」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、下段の片仮名は上段の欧文字の読みを特定したものと理解されるものであり、上段の「SEIKO」の欧文字は、上記のとおり「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」として著名なものといえる。
そうすると、引用商標Bは、その構成文字に相応して「セイコー」の称呼を生じ、「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」の観念を生じるものである。
ウ 引用商標4及び12(以下、まとめて「引用商標C」という。)について
引用商標Cは、「セイコー」の片仮名を横書きしてなるところ、当該文字は、上記(1)のとおり、原審において提出された刊行物等提出書及び当審における職権調査によれば、「セイコーホールディングス株式会社」が商品「時計」に使用する商標であって、取引者、需要者間において「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」として著名なものといえる。
そうすると、引用商標Cは、その構成文字に相応して「セイコー」の称呼を生じ、「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」の観念を生じるものである。
エ 引用商標10について
引用商標10は、別掲2のとおり、「SEIKO」の欧文字と五角形状の図形内に数字の「5」を配した図形を上下二段に配してなるところ、上段の欧文字部分と下段の図形部分とは、視覚的に分離して看取され、下段の図形部分は、特定の意味合いを表すものとして認識されるという事情は認められず、上段の「SEIKO」の欧文字部分は、上記のとおり「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」として著名なものといえる。
そうすると、引用商標10は、その構成中の欧文字部分に相応して「セイコー」の称呼を生じ、「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」の観念を生じるものである。
オ 引用商標14について
引用商標14は、上段に「SEIKO」の欧文字を、下段にやや大きく「ネットClub」の文字を二段に横書きしてなるところ、上段と下段の文字部分は、その文字の大きさから視覚的に分離して看取され、下段の「ネットClub」の文字部分は、特定の意味合いを表すものとして認識されるという事情は認められず、上段の「SEIKO」の欧文字部分は、上記のとおり「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」として著名なものといえる。
そうすると、引用商標14は、「セイコーネットクラブ」の称呼のほか、その構成中の欧文字部分に相応して「セイコー」の称呼を生じ、「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」の観念をも生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の類否について検討すると、外観においては、本願商標の要部と引用商標A、引用商標B、引用商標10及び引用商標14の欧文字部分との比較において、両者は、その欧文字のつづりが共通するものであるから、外観上、類似するものである。
また、本願商標の要部と引用商標Cとの比較において、両者は、欧文字と片仮名の表記の相違があるとしても、商標の構成文字を同一の称呼の生じる範囲内で欧文字と片仮名を相互に変換して表記したりすることが一般的に行われていることからすると、それぞれの文字を置き換えたものとして、取引者、需要者に認識されるものであるから、この文字種の相違が出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないものである。
次に、称呼においては、本願商標の要部と引用商標は、共に「セイコー」の称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標の要部と引用商標とは、共に「時計のブランドとしてのSEIKO(セイコー)」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標の要部と引用商標とは、外観において類似し、称呼及び観念において共通するものであるから、これらを総合して考察すれば、本願商標と引用商標とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願商標の指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務の類否について
本願商標の指定役務中「おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ヘアゴム・ヘアターバン・ヘアクリップ・カチューシャ・コンパクトミラー及びその他の身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,帽子・耳あて・よだれかけ及びその他の被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,生理用ナプキンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と引用商標1ないし10及び13ないし32の指定商品に含まれる商品とは、小売等の役務における取扱商品の関係にあり、これらは一般的に同一業者によって行われ、需要者の範囲も一致することから、相互に類似するものといえる。
また、本願商標の指定役務中「おむつ・生理用ナプキン及びその他の生理用品をデコレーションケーキ風に飾り付けるための技芸の教授」と引用商標11及び引用商標12の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授」とは、同一又は類似するものである。
(5)小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
請求人は、「本願商標は、需要者等にとって人名的に把握され、一連の称呼が生じるものであるし、外観にしても横幅の揃ったデザインであるがゆえに『TSUCHIMOTO』が小さく表記されているだけであって、需要者が『TSUCHIMOTO』を落失してしまうほどのものでないことは明らかである。本願商標の『SEIKO』のみを恣意的に取り出して引用商標と比較し、その類否を判断した拒絶査定の判断は明らかに失当である。」旨主張している。
しかしながら、上記1(1)のとおり、本願商標の構成中「SEIKO」の欧文字部分は、大きく顕著に表されており、かつ、当該欧文字は、本願の指定役務における取引者、需要者間において、「セイコーホールディングス株式会社」が商品「時計」に使用する商標として、その著名性の程度は極めて高いものであるから、「SEIKO」の欧文字部分が強く支配的な印象を与える要部といえるものである。
そうすると、本願商標から「SEIKO」の欧文字部分を抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することは許されるものである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その他の拒絶の理由について検討するまでもなく、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標10)



審理終結日 2019-10-25 
結審通知日 2019-10-29 
審決日 2019-11-12 
出願番号 商願2017-76439(T2017-76439) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W3541)
T 1 8・ 262- Z (W3541)
T 1 8・ 263- Z (W3541)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 木住野 勝也
小俣 克巳
商標の称呼 セイコツチモト、セーコツチモト、ツチモトセーコ、セイコ、ツチモト 
代理人 西村 竜平 

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