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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z07
管理番号 1358761 
審判番号 取消2015-300315 
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-04-28 
確定日 2019-12-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4426188号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4426188号商標(以下「本件商標」という。)は、「GOODWIN」の文字を横書きしてなり、平成11年9月2日に登録出願、第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,包装用機械器具,プラスチック加工機械器具,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),風水力機械器具,農業用機械器具,漁業用機械器具,ミシン,ガラス器製造機械,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,機械式駐車装置,芝刈機,修繕用機械器具,電動式カーテン引き装置,陶工用ろくろ,塗装機械器具,乗物用洗浄機,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」を指定商品として、同12年10月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成27年5月15日にされたものであるから、商標法第50条第2項にいう「その審判の請求の登録前三年以内」とは、同24年5月15日ないし同27年5月14日(以下「要証期間」という場合がある。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第7類「バルブ」については、その登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書、審判事件弁駁書、平成28年2月23日付け口頭審理陳述要領書、同年4月8日付け上申書、同年8月10日付け上申書、同29年8月21日付け回答書及び同30年1月22日付け回答書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第7類「バルブ」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その商品についての登録は取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁
本件商標の使用証拠として提出された乙第1号証ないし乙第16号証によっては、以下のとおり、本件審判の請求に係る取消対象の商品「バルブ」についての使用とは認められない。
(1)乙第1号証及び乙第2号証
乙第1号証は、本件商標の登録原簿であり、また、乙第2号証は、本件商標権者の現在事項全部証明書であって、「目的」の項において、「1.各種バルブ類及び関連機器類の製造並びに販売」、「9.電子機器,計測機器,バルブ類の設計,製作に伴う相談業務」が掲載されているところ、これらの証拠からは、本件商標権者が各種バルブ類の製造や販売、設計や製作に伴うコンサルタント業を行っていることが分かるが、同人の業務範囲を示すのみであり、本件商標の使用は証明されていない。
(2)乙第3号証
乙第3号証は、本件商標権者のホームページに掲載されている製品情報であり、「ボールバルブ、バタフライバルブ、チャッキバルブ等が代表的な取扱商品として紹介されている」と被請求人が述べているところ、ボールバルブ、バタフライバルブ、チャッキバルブは、いずれもバルブの名称であり、バルブの種類を表す語として一般に使用されているもの(甲2)であるが、当該製品情報においては、本件商標の記載はない。
また、被請求人は、「当該ホームページに掲載された製品カタログには更に多くのバルブが掲載されているが、これらも本件商標権者が扱うごく一部の標準的なバルブにすぎない」と述べているが、乙第3号証に係る製品情報には、本件商標権者が所有する登録第2446300号商標「KUGEL-H」による登録表示である「KUGEL-H(R)」及び「KUGEL-H3(R)」(「(R)」は、○の中に「R」の文字を配してなる記号。以下同じ。)の商品名の記載があるほかは、「T-SERIES」や「METAL SEAT BALL VALVE」等の一般名称とみられる名称の記載があるだけであり、登録商標である本件商標の商品名は掲載されていない。
したがって、本件商標の使用は、証明されていない。
(3)乙第4号証ないし乙第6号証
乙第4号証は、本件商標権者の会社概要及び会社沿革が記載されているものであり、本件商標の記載はなく、その使用は証明されていない。
また、乙第5号証及び乙第6号証は、本件商標権者の所有に係る商標権を示すものであり、前者が現存及び消滅した商標権27件(本件商標以外)を、後者が現存する商標権16件(本件商標を含む)を、それぞれ示している。本件商標権者のホームページに掲載されている製品情報(乙3)には、これらに含まれる登録第3177957号商標「KVC」(第7類)及び登録第4523951号商標「KVC」(第6類)のほか、登録第2446300号商標「KUGEL-H」(第6類)の使用がされているが、本件商標の使用は認められない。
(4)乙第7号証及び乙第8号証
乙第7号証及び乙第8号証は、本件商標権者が顧客から発注を受けたチェッキバルブの注文書であり、その内容として、乙第7号証には「DUAL PLATE CHECK」等及びその仕様、乙第8号証には「Dual Plate Wafer Check Valve」等及びその仕様が記載されており、「チェッキバルブ」の注文であることが示されているが、本件商標の記載がないことから、これらを本件商標の使用証拠と認めることはできない。
(5)乙第9号証及び乙第11号証
乙第9号証及び乙第11号証は、本件商標権者が顧客からの注文を受けて作成した図面等の一例であるとされているところ、図面中に「KVC CO.,LTD.」や「CHECK VALVE」の表示があることから、これらが本件商標権者の作成したチェッキバルブの図面であることは理解される。
ところで、乙第9号証及び乙第11号証には本件商標が表示されているが、被請求人は、図面が本件商標権者の図面であること、加えて、本件商標権者が扱うどの図面であるのかが一目で分かるようにするため、図面部分の空白箇所に本件商標権者独自の標章を付すように努めているため、図面中に登録番号を付し、登録商標を使用している旨述べている。
しかし、次のアないしウに述べる点から、乙第9号証及び乙第11号証は、その記載に疑義があり、本件商標の使用証拠としては妥当でない。
ア 乙第9号証及び乙第11号証に係る図面は、本件商標の表示以外は全て英文で記載されているにもかかわらず、「商標登録証」及び「登録第4426188号」の部分のみが日本語で表示されており、不自然な様式となっている。この点に関し、被請求人は、日頃から図面等に本件商標権者の登録商標を付していることを明らかにするためとして、乙第12号証ないし乙第14号証を提出しているが、乙第12号証に係る図面には、登録商標「ITAG」が「設計 DESIGNE」に欄に記載されており、乙第13号証に係る図面には、登録商標であることを示す「(R)」を付した「KUGEL(R)-H3」が「設計 DESIGNE」の欄の横に記載されており、乙第14号証に係る図面には、登録商標であることを示す「(R)」を付した「KUGEL(R)-H」が「設計 DESIGNE」の欄の横に記載されており、これらと乙第9号証及び乙第11号証に係る図面にされた上記表示とは、記載方法が全く異なっている。
すなわち、登録商標の表示を付する場合には、乙第13号証及び乙第14号証のように「(R)」を付する、登録番号を併記する又は「○○は登録商標です。」などといった文章で表示することが通常であり、「商標登録証 (CERTIFICATE TRADEMARK REGISTRATION)」の語を使用することは一般的ではない。
イ 被請求人は、注文内容に応じた図面等を顧客へ提供していることを示すためとして、乙第7号証及び乙第8号証を提出しているが、乙第7号証及び乙第8号証に記載された商品内容の仕様番号は、乙第9号証及び乙第11号証の図面中に記載された仕様番号のいずれとも一致しない。例えば、乙第7号証に係る注文書に記載された「DUAL PLATE CHECK」の仕様である「A216-WCB300LB-RF100A」は、乙第9号証及び乙第11号証に係る図面中に該当する記載がなく、また、乙第8号証に係る注文書に記載された「Dual Plate Wafer Check Valve」の仕様は「Body:A351 CF3M」であるのに対し、乙第9号証に係る図面中の「BODY」の欄には「A536 65-45-12」の記載、乙第11号証の図面中の「BODY」の欄には「ASTM A351 CF8」の記載がされていることから、一致する番号の記載は見当たらない。
さらに、乙第7号証に係る注文書の日付は2014年5月9日であるのに対し、乙第9号証に係る図面の日付は2013年3月17日であるから、乙第7号証及び乙第8号証に係る注文書と乙第9号証及び乙第11号証に係る図面とは、何ら関連のないものである。
加えて、乙第9号証及び乙第11号証に係る図面が顧客からの注文内容に応じて顧客へ提供するためのものであるならば、本件商標権者によるものと思料される日付印が押印されている理由が不明であるし、また、当該図面は、上述のとおり、専ら英語で記載されているものであって、かつ、その設計者や承認者として日本人以外の名前が記載されていることからすると、国内で製造するための図面ではないとの疑念は払拭されない。
ウ そもそも、図面は、設計に際して使用される書類であるから、これ自体を取引書類ということはできない。
したがって、図面以外に本件商標が現れる証拠の提出がない状態では、本件商標が、需要者において、バルブの商標として認識されているとはいえない。
(6)乙第10号証
乙第10号証は、本件商標権者の社名の英語表記を示すものであり、本件商標は記載されていないから、本件商標の使用を示す証拠資料にはなり得ない。
(7)乙第12号証ないし乙第14号証
乙第12号証ないし乙第14号証は、本件商標権者が所有する本件商標以外の登録商標を記載した図面等であり、本件商標は記載されていないから、本件商標の使用を示す使用証拠とは認められない。
(8)乙第15号証及び乙第16号証
被請求人は、乙第15号証は、本件商標権者に対するチェッキバルブの注文書であり、乙第16号証は、その注文に対応する物品受領書である旨述べているが、そのいずれにも本件商標は記載されていないから、本件商標の使用を示す使用証拠とは認められない。
(9)請求人の商品について
英国に拠点を置く請求人は、1883年に設立された長年の歴史を有する企業(現在の「GOODWIN PLC」への社名変更は1981年)であって、チェックバルブを国際的に販売しており、50か国を超える国々へ輸出している(甲3、甲4)。
請求人の子会社である「グッドウィンインターナショナル社」のウェブサイトの日本語版では、「世界各国のハイドロカーボン、エネルギー、プロセスインダストリー向デュアルプレートチェックバルブの設計、製造、供給において、世界のマーケットリーダーとして知られており、2007年には、そのチェックバルブ(逆止弁)ソリューションにアクシャルチェックバルブも加えられました。」、「グッドウィンは、35年のバルブの製造、国際的な販売を通じて、国際的な価格競争力をもつ高品質な製品を供給する会社として、高い評価を得ています。」と紹介され、請求人グループが、バルブについて、長年の間、国際的な販売を行っていることが示されている(甲5)。
他方、本件商標権者は、そのホームページにある会社沿革によれば、グッドウィングループ設立後の1987年設立(乙4)とあることから、その設立時には、請求人によるバルブ製品は既に存在していたことが分かる。本件商標権者は、請求人との取引をベースにして、「バルブ」について、本件商標の登録を受けたと考えられるところ、そのことは、本件商標権者も自認している(この点につき、請求人は、必要に応じて、本件商標権者の自認を示す書面を提出する用意がある。)。

3 平成28年2月23日付け口頭審理陳述要領書
(1)乙第7号証及び乙第8号証の注文書に対応して提出された図面について
ア 被請求人は、本件商標権者が株式会社米田商店(以下「米田商店」という。)へ提出した図面の表紙、バルブの一覧及び図面の控えとして、乙第17号証を提出している。
しかし、乙第17号証の1は、図面の表紙であり、注文書に記載された各社の整理番号と一致することを示しているが、本件商標は記載されていない。
また、乙第17号証は、乙第7号証に関する取引を示すものとして提出されたところ、図面の表紙(乙17の1)には、バルブの納品先である株式会社神戸製鋼所(以下「神戸製鋼所」という。)の社名及び整理番号の記載はあるものの、米田商店が、神戸製鋼所へ納品するよう指示をしたことを示す資料が提出されていない。
したがって、乙第17号証は、単に整理番号が一致することをもって、本件商標の使用を証明する証拠として採用すべきでない。このことは、被請求人が、答弁書において、当初、乙第9号証及び乙第11号証を乙第7号証及び乙第8号証の取引に関する図面と誤解するような主張を行っていたことからも、乙第17号証をにわかに採用すべきでない。
請求人は、納品先を神戸製鋼所とするよう米田商店が指示したことを示す資料の提出を求める。
イ 乙第17号証の2は、図面に添付したバルブの仕様概要一覧であり、注文書の整理番号、仕様表示等と図面番号の組合せを示しているが、本件商標が記載されているものではなく、また、日付の記載がないため、その作成日は不明である。
ウ 乙第17号証の3ないし乙第17号証の7は、注文書に対応するバルブの図面控えとして提出されているところ、乙第17号証の3ないし乙第17号証の5に記載された「MODEL NO.」並びに乙第17号証の6及び乙第17号証の7に記載された「DWG.NO.」は、乙第17号証の2の仕様概要の「Drawing No.」と一致していることから、乙第17号証の3ないし乙第17号証の7が、乙第17号証の2の仕様概要に対応した図面であることは理解できる。
そして、乙第17号証の3ないし乙第17号証の5の図面には本件商標が記載されている一方、乙第17号証の6及び乙第17号証の7の図面には本件商標が記載されていないから、前者の図面に記載されている商品が本件商標に係る商品であると考えられるところ、当該図面が請求人(審決注 「本件商標権者」の誤記と認める。)自身により描かれたものであるかについて、疑義がある。
既述のとおり、本件商標権者は、過去に請求人と取引していた経緯があり、また、上記図面が英語で記載され、かつ、その作成者が日本人でない点からみて、当該図面が真に本件商標権者により描かれたものであるかについて疑義があるから、当該図面が本件商標権者により描かれたものであるならば、その作成者と本件商標権者との関係及びその作成日時を明らかにすべきである。
仮に、上記図面が流用されたものである場合には、著作権法及び不正競争防止法上における重大な問題が存在することに留意する必要があり、法律に反する状態での使用行為は、商標法上の使用を構成することにはならないことから、かかる点において、乙第17号証の3ないし乙第17号証の5の図面の作成者及び作成日について開示する実益はある。
エ 被請求人は、本件商標権者が米田商店へ提出した図面の表紙及び図面の控えとして、乙第18号証を提出している。
しかし、乙第18号証の1は、図面の表紙であり、注文書に記載された各社の整理番号と一致することを示しているが、本件商標は記載されていない。
また、乙第18号証の2は、注文書に対応する図面控えとして提出されたものであって、本件商標が記載されているが、乙第18号証の2には、上記乙第17号証に係る疑義と同様の疑義が存在するから、これについても同様に疎明を求める。
(2)乙第7号証及び乙第8号証に関する取引が実際に行われたことについて
ア 被請求人は、本件商標権者と米田商店との取引手順を説明した上で、本件商標権者の担当者が米田商店の担当者へ図面一式をメールした際のメール文として、乙第20号証を提出している。
しかし、乙第20号証によれば、本件商標権者の担当者による2014年5月19日付け送信メールの宛先として、米田商店の担当者名の記載があるが、米田商店からの受領確認等の返信を示す証拠が提出されていないから、当該メールに係る取引において、米田商店が、本件商標が記載された図面を含む乙第17号証の1ないし乙第17号証の7を受領したかについて疑義がある。
また、上記メールのタイトルは、「見積依頼 経常工事:新設スクリュ圧縮機試運転設備」であり、これをもって、本件審判の請求による取消対象の商品「バルブ」に関する取引であることは確認できない。
なお、被請求人が提出した乙第19号証は、注文書発行に関する書類であり、当該注文書が乙第7号証を指すのであれば、本件商標の使用を証明する性質のものではないし、また、当該注文書に商標の記載がないことからすれば、米田商店が、注文に際して、本件商標を認識していたかについて疑義があるから、本件商標権者による「GOODWIN」の使用が、商標としての使用に当たるとはいえない。
イ 被請求人は、乙第7号証の注文書に対応する納品書の控えとして、乙第21号証を提出し、乙第8号証の注文書に対応する納品書の控えとして、乙第23号証を提出しているが、当該控えの品番・品名の欄には、「WAFER CHECK」又は「CHECK」などと記載されているのみであり、本件商標は記載されていないから、本件商標権者及び米田商店は、本件商標権者の商品納品の際に、本件商標を認識していないといえる。
ウ 被請求人は、乙第7号証の注文書に対応する請求を含む請求書の控えとして、乙第22号証を提出し、乙第8号証の注文書に対応する請求を含む請求書の控えとして、乙第24号証を提出しているが、上記イの納品書における場合と同様に、当該控えの品番・品名の欄には、「WAFER CHECK」又は「CHECK」などと記載されているのみであり、本件商標は記載されていないから、たとえ、これらの取引が実際に行われていたとしても、本件商標権者及び米田商店は、本件商標権者の商品納品の際に、本件商標を認識していないといえる。
(3)乙第7号証及び乙第8号証に関する取引において本件商標が使用されていることについて
ア 被請求人は、本件商標が乙第17号証の3ないし乙第17号証の5及び乙第18号証の2において表示されているから、本件商標の使用が認められるべきである旨主張しつつ、その表示に関し、本件商標権者は、その図面が自社の図面であり、自社が扱うどのバルブの図面であるかを一目で分かるようにするため、商品(バルブ)に応じた自身の登録商標を図面に付している旨述べている。
そうすると、本件商標権者は、自己の登録商標を単に自社内部における図面の整理、分類等のためのインデックスとして付しているのであり、顧客との取引に当たり、自己の業務に係る商品を他社の商品と識別するために使用しているのではない。
したがって、本件商標権者は、図面のみにおいて登録商標であることの表示をしているにすぎず、カタログ、広告、ウェブサイト上の商品一覧等において本件商標が一切使用されていないことから、被請求人が本件商標の使用と主張及び立証する内容では、自他識別力を発揮しているとはいえず、商標法上の使用ということはできない。
イ 被請求人は、図面への登録商標の記載方法として、本件商標権者は、図面の大きさに合わせて登録証を拡大又は縮小してコピーし、それを適当な大きさに切り取って図面に貼付した後、更にそれをコピーして図面の作成を行っている旨述べているが、商標法第73条に規定する登録商標の表示と同法第2条に規定する商標の使用とは、異なるものである。すなわち、前者は、需要者が登録商標であるか否かを判断できるように付するものであるのに対し、後者は、取引における出所識別標識としての使用状態において付するものであるから、その目的を異にするものである。
そうすると、登録商標の表示をもって、商標の使用ということはできず、また、図面は、指定商品又は指定商品の包装のいずれにも該当しないから、そもそも図面上の表示を商標法第73条の登録商標の表示とすることはできない。
したがって、乙第17号証の3ないし乙第17号証の5及び乙第18号証の2の図面における本件商標が本件商標権者により付されたものであるとしても、それは、自他識別力を発揮する商標法上の使用とはいえない。
ウ 被請求人は、本件商標権者が、本件商標が記載された図面(乙第17号証の3ないし乙第17号証の5及び乙第18号証の2)を米田商店へメールにより提出した旨述べているが、米田商店による当該図面の受領の確認が証明されていないから、要証期間内における使用であるかについて疑義がある。
エ 乙第7号証及び乙第8号証に関する取引が日本国内におけるものであることは認められるが、被請求人は、当該取引に係る図面表紙、仕様概要、各図面が英語により記載されている理由を明らかにしていない。
したがって、請求人は、被請求人に対し、上記理由について、請求人と本件商標権者との間で取引があった点との関係性も含め、追加の疎明を求める。
オ 乙第7号証及び乙第8号証に関する取引が商品「バルブ」に関するものであることは認められるが、本件において、本件商標が付されている使用証拠は、図面のみである。
そして、図面は、「取引書類とは、注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品受領書、カタログ等である。」(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説[第19版])とされていることに照らせば、文書ではなく、取引書類として示されているものでもない。
そうすると、本件商標が、米田商店の注文書、本件商標権者の納品書及び請求書のいずれにも全く記載されていない本件において、本件商標権者の社内用記載事項ともみられる図面に本件商標を付することのみをもって、本件商標の使用証拠と認めることは妥当でない。
カ 本件商標権者が乙第17号証の3ないし乙第17号証の5及び乙第18号証の2の図面に本件商標を付した行為は、上述のとおり、取引書類に標章を付したものとはいえず、商標法上の商標の使用ともいえないから、本件商標権者による要証期間内の本件商標の使用には該当しない。
(4)乙第9号証及び乙第11号証について
被請求人は、乙第9号証及び乙第11号証の図面について、誰の注文に対して作成されたものであるかを確認することができなかった旨述べている。
そうすると、上記図面は、注文書との関連性が不明のままであり、また、当該図面における本件商標の表示については、既述のとおり、疑義があるから、本件商標の使用証拠として採用すべきではない。

4 平成28年4月8日付け上申書
(1)バルブに係る取引について
ア 被請求人の説明によれば、乙第7号証に係るバルブの取引は、まず、神戸製鋼所から米田商店へ発注されるところ、発注の際には「発注した部品を用いる設備名」や「神戸製鋼所の管理番号」が伝えられると述べていることから、神戸製鋼所の発注時に本件商標の記載がないことが分かる。
また、米田商店は、本件商標権者へ発注書(乙7)を送るが、当該書面中にも本件商標は表示されていない。
さらに、上記バルブの製造に関する納品書(乙21、乙23)及び請求書(乙22、乙24)のいずれにも本件商標の表示はない。
イ 被請求人は、乙第7号証に係るバルブのうちの「DUAL PLATE CHECK VALVE」(以下「本件チェッキバルブ」という場合がある。)の取引に関する図面(乙17の3ないし乙17の5。以下「本件図面」という場合がある。)が米田商店へ送信された事実について、2014年5月19日のメール(乙20)に添付して米田商店の担当者へ送った旨述べているが、当該メール送信を受領した事実が証明されていないことから、本件図面が米田商店へ確かに納品されたかが依然不明である。
この点につき、第1回口頭審理において、審判官からメールの添付書類の提出を求める指示があったにもかかわらず、被請求人は、その提出をしていない。当該口頭審理において指摘されたように、乙第19号証及び乙第20号証のメール内容は、宛先が社内通信で終わっており、顧客に対する通信記録として不確実なものであるから、乙第7号証に係るバルブの一連の取引において、本件図面が米田商店や神戸製鋼所へ送られたことは証明されておらず、実際に顧客が本件図面を目にしたかも不明である。
上記の点に係る事実は、非常に重要な要証事実であるから、被請求人が証拠書類をこれ以上提出しないのであれば、請求人は、米田商店の担当者及び神戸製鋼所の担当者(後者については、被請求人が特定する者)の証人尋問を行う必要がある旨申し出る。
ウ 被請求人は、本件図面について、バルブを製造する前に本件商標を付した本件チェッキバルブの図面を米田商店及び神戸製鋼所へ送り、その内容について承認を得る旨述べているところ、これは、顧客が本件商標を目にするのは商品の選択を完了した後であることを自認していることになるので、本件図面に付された本件商標の表示が自他商品識別機能を発揮した状態での使用でないことは、疑う余地がない。
エ 被請求人は、本件チェッキバルブについて、神戸製鋼所の設備に適合した特注品であると述べているところ、長年の取引があり、特注品と認識している米田商店や神戸製鋼所は、注文時に「GOODWIN」を指定するはずであるが、注文書(乙7)には製品番号や仕様を表す番号が表示されているにすぎないから、「GOODWIN」の表示は、顧客である米田商店や神戸製鋼所においても商標として認識されていない。
オ 被請求人は、本件図面からも分かるように、本件チェッキバルブは、既製品ではなく、神戸製鋼所の設備に適合した特注品であり、注文時に受けた素材やサイズに関する指示に適合するように個別に製造するものである旨述べているが、これは、本件図面が受託によるバルブの製造という役務(第40類)に資するものであることを認めるものであり、「商品」に資するものとはいえない。
(2)取引に係る顧客について
被請求人は、本件取引に係る直接の顧客は米田商店であり、エンドユーザーは神戸製鋼所である旨述べているが、登録商標の使用を証明するためには、直接の取引書類等による証明が必要であるところ、本件商標権者と神戸製鋼所その他の企業とが直接の取引関係にない場合には、その証明をするための取引書類等が存在しないこととなるので、米田商店及び神戸製鋼所がどのような関係にある顧客であるかは、登録商標の使用の証明とは関連がないと請求人は考える。
(3)顧客が本件商標に接する機会について
ア 被請求人は、顧客が本件商標に接する機会について、直接的な顧客である米田商店は、本件商標が付された図面が本件商標権者から送られた際に目にするとし、また、最終的な顧客である神戸製鋼所は、当該図面が米田商店から送られた際に目にする旨主張しているが、いずれの機会においても、本件図面が送付されるのは発注後であるから、被請求人による上記主張は、何ら意味をなさない。
イ 被請求人は、後述するように、カタログに本件商標が使用されていない点について、本件チェッキバルブが特注品であるためである旨述べているが、注文書(乙7)には、仕様等の記載があるのみで、本件商標の記載がないことから、本件図面における「GOODWIN」の表示が品質保証機能を果たしているとは考えられない。
(4)納品先を神戸製鋼所とする指示を示す資料の提出について
被請求人は、納入先を神戸製鋼所とする指示を示す資料の提出を請求人が求めたことに対し、追加の資料を提出せず、図面等の納品先がどこであるかは本件商標の使用の有無の判断に何ら影響を与えるものではない旨述べている。
しかし、納品先である顧客が商品名を「GOODWIN」と認識していたか否かは、商標法上の使用であるかを判断するために最も重要な点であるところ、本件商標が注文時に全く表示されていない本件の場合、本件商標は、本件商標権者の商品を表示する識別標識として使用されているとはいえない。
なお、被請求人が証拠書類をこれ以上提出しないのであれば、請求人は、前述のとおり、米田商店の担当者及び神戸製鋼所の担当者に対し、本件チェッキバルブを「GOODWIN」製品として認識していたかの点について、証人尋問を行う必要がある旨申し出る。
(5)乙第17号証の1及び乙第18号証の1における「Messengers」の記載の意味について
被請求人は、乙第17号証の1及び乙第18号証の1における「Messengers」の記載について、単純なタイプミスである旨述べているが、図面の表紙等が英語で記載されている理由として、本件商標権者の社内スタッフは、欧米人が多く、通常の会話においても英語が使用されることが多いため、図面や仕様概要が英語表記になることは否めないなどと説明していることとの関係に照らすと、そのような社内環境において、最重要の取引先へ送付される書類上で単純なタイプミスが生じる理由が理解できない。
(6)乙第19号証及び乙第20号証のメールの件名について
被請求人は、第1回口頭審理において、審判官から乙第19号証及び乙第20号証のメールがバルブの取引に関するものであるか疑義があるとされたことに対し、米田商店が配管用器材を取り扱う商社であること、本件商標権者がバルブメーカーであることから、工事の請負を依頼するメールではない旨述べているが、これは、工事の依頼を受託していないことを積極的に証明していることにはならない。
また、経常工事というのは、結局、修理保守であるところ、米田商店は、インターネット上で、「修理 株式会社米田商店」との表示がされ、その取扱業務として「配管用器材の販売、修理、各種金網製造、フィルター、フルイ、振とう器」と記載されている(甲6の1、甲6の2)ことからすると、工事依頼ではなく、バルブ商品を発注するために送信されたメールであるとする被請求人の主張は、採用されるべきではない。
(7)口頭審理における新たな主張について
ア 被請求人は、本件商標権者のカタログに本件商標の表示がないことについて、本件チェッキバルブが神戸製鋼所から特注されるものであり、その注文の特殊性から、一般向けのカタログに掲載する必要はないと考えており、通常、口伝や評判により、注文を受けているのが実情である旨述べているが、特注品であるからといって、口伝や評判による注文を受けることが通常であるとはいえず、カタログや注文書に明確な記載がない以上、本件商標の使用は証明されていないといえる。
イ 被請求人は、米田商店からの受領確認等の返信について証拠が提出されていないことに関し、乙第7号証の注文書に関するバルブが納品されたことは、乙第21号証の納品書により明らかであること、米田商店は、当該注文書において、図面も要求していること、などを理由に挙げて、米田商店が乙第17号証の1ないし乙第17号証の7の図面一式を受領したことは明らかである旨述べているが、被請求人が挙げた理由は、本件商標が記載された図面等を米田商店が実際に受領したことを直接証明するものではない。
ウ 被請求人は、乙第21号証ないし乙第24号証の納品書及び請求書について、本件商標が付されていないことは認めるが、本件チェッキバルブが滞りなく納品されたことを立証し、その結果、本件商標が付された図面が米田商店及び神戸製鋼所へ送付されたことを証明するために提出したものである旨述べているが、本件チェッキバルブに関する一連の取引が行われたことをもって、本件図面が、いつ、どのように顧客へ提出されたか明示されているとはいえないから、上記納品書及び請求書によって、本件商標が付された図面が米田商店や神戸製鋼所へ送られたことが証明されているとはいえない。
エ 被請求人は、本件図面に付された「GOODWIN」の表示について、取引先である米田商店及び神戸製鋼所が、その図面が本件商標権者が扱うどのバルブの図面なのかを一目で分かるようにするため、商品(バルブ)に応じた本件商標権者の登録商標を図面に付している旨述べているが、顧客である米田商店及び神戸製鋼所が、「GOODWIN」を注文した事実はない。
なお、被請求人は、口頭審理陳述要領書において、本件商標権者は、その図面が自社の図面であり、自社が扱うどのバルブの図面であるかを一目で分かるようにするため、商品(バルブ)に応じた自身の登録商標を図面に付している旨述べるとともに、図面の大きさに合わせて登録証を拡大又は縮小してコピーし、それを適当な大きさに切り取って図面に貼付した後、更にそれをコピーして図面の作成を行っている旨述べているが、これは、登録証の一部を貼付しているにすぎない行為を自認していることのほか、図面用紙に記載することで自社内における図面の取違いを防止する意図であることを述べているにほかならない。
オ 被請求人は、図面について、工業所有権法(産業財産権法)逐条解説における例示を挙げて、図面が当該例示された文書等に添付されたものであれば、当然に文書や取引書類の一部に該当することは明らかである旨述べるとともに、商標が図面に表示されていることをもって登録商標の使用を認定した審決例(乙30)を挙げる。
しかし、被請求人が審決例として挙げた事件は、商標権者が、登録商標を表示した図面を作成し、それを顧客へ提示して商品説明を行い、その後、当該商品の注文があったとの事実認定がされたものであり、商標が図面に表示されていることをもって登録商標の使用を認定したものではなく、注文時に識別標識機能を果たしていた点で登録商標の使用を認めたものである。
他方、本件は、本件商標が、注文書には記載されておらず、注文後に作成された図面に付されていたのであり、注文時に登録商標として認識されていない点で上記事件とは事案を異にするものであるから、当該事件をもって、本件における図面等についての使用が登録商標の使用と認められる理由とはならない。
(8)以上によれば、本件商標権者が本件図面に付した「GOODWIN」の表示は、商取引において、出所表示機能、自他商品識別機能、品質保証機能のいずれの機能も発揮しているとはいえず、商標法上の使用とはいえない。
また、要証期間内の使用については、米田商店が本件図面を受領した確実な証明がされていないことから認められない。
したがって、本件商標は、要証期間内に、本件審判の請求に係る指定商品「バルブ」について使用されていたとはいえない。

5 平成28年8月10日付け上申書
(1)被請求人提出の平成28年5月9日付け上申書について
ア 後記第3の5(1)イの主張について
(ア)被請求人は、「乙第7号証の発注書における『図面』の欄にチェックされているとおり、米田商店は、当該発注の際に、バルブの『図面』も要求している。」旨述べている。
しかし、乙第7号証は、「単価」や「金額」の欄が白塗りとなっていること、指印や赤線が付されていることから、被請求人により加工・加筆が行われて提出されたものであることが明白である。
したがって、上記図面の欄のチェックが、当初からあったものか、後に加えられたものかの真偽が不明であるから、当該チェックがあることをもって、図面が要求されたものと判断することはできない。
(イ)被請求人は、「なお、上記メール(乙20)の添付書類については、確認の上、後日提出する。」旨述べている。
しかし、被請求人は、平成28年3月25日付け上申書において、「本件商標権者は、2014年5月19日付けメール(乙20)に、注文を受けた本件チェッキバルブに係る図面一式(乙17の1ないし乙17の7)を添付して、米田商店の担当者へ送付した。」旨、既に述べている。
したがって、これ以上、被請求人からの新たな証拠の提出を待つ必要はない。
イ 後記第3の5(1)ウの主張について
被請求人は、「米田商店及び神戸製鋼所の各担当者は、これまで行ってきた取引から、自ら注文するバルブが本件商標に係る商品であることを認識し、注文を行っている。」旨述べている。
しかし、本件商標に係る商品は、カタログに掲載されておらず(乙3)、また、平成28年3月25日付け上申書において、「本件チェッキバルブは、既製品ではなく、神戸製鋼所の設備に適合した特注品であり、注文時に受けた素材やサイズに関する指示に適合するように個別に製造するものである。」旨説明していることからすると、需要者は、寸法を特定したバルブの受託製造を本件商標権者に依頼しているにすぎず、本件商標を認識して注文を行っていたとする事実を認定することはできない。
ウ 後記第3の5(1)エの主張について
被請求人は、「そのような(シリーズ)商品を発注する際には、誤りがないように、商標ではなく、正式名称、型番、品番等により注文品を特定することが一般的と考える。」旨述べている。
しかし、商標を使用しなければ、どのシリーズ商品に当たる発注なのか不明であるし、それが特定されずに注文が成立するということは、需要者は、商標をそもそも認識しておらず、規格に合ったバルブの製造受託を依頼しているにすぎない。
したがって、被請求人が上記のとおり述べることは、正に本件商標が自他商品識別標識として取引に資していないことを自認するものである。
エ 後記第3の5(3)の主張について
被請求人は、「顧客は、本件商標が使用されるバルブに係る取引を行うたびに、本件商標が付された図面を目にすることから、自ら注文するバルブが本件商標が使用されるバルブであることを認識している。」旨述べている。
しかし、本件商標権者が、注文が成立する前に、需要者に対して図面を示した事実は、何ら証明されていない。
オ 後記第3の5(6)の主張について
被請求人は、「米田商店のホームページは、バルブの販売に関する情報がほとんどであり、修理に関する具体的な情報は見当たらない。」旨述べている。
しかし、米田商店のホームページにある「サポート情報」をクリックすると、「点検について」及び「修理について」の欄が設けられている(甲7)。これらは、いずれも「ただいま制作中です。」となっているが、「製品情報」と「サポート情報」が並んでいる状況からすれば、修理点検という役務も、米田商店の重要な事業であることが十分にうかがえる。
(2)被請求人提出の平成28年6月6日付け上申書について
ア 後記第3の6(1)アの主張について
被請求人は、乙第35号証の4を提出し、その「A」部分において、神戸製鋼所の担当者が、米田商店の担当者に対し、スクリュ圧縮機試運転設備用のバルブの見積りを依頼した資料である旨述べている。
しかし、乙第35号証の4の「A」部分の電子メールの宛先を見ると、「to」及び「cc」に示されているメールアドレスは、いずれも「@kobelco.com」であって、神戸製鋼所に関するものであり、米田商店のメールアドレス「@yoneda-shoten.co.jp」ではない。
したがって、上記「A」部分の電子メールは、米田商店宛てとなっていないことから、被請求人が上記のとおり述べることは、失当であり、そのことと矛盾する乙第35号証の4の証拠力、そして、それに続く乙第35号証に係る電子メールの証拠力は、認められるべきではない。
イ 後記第3の6(1)イの主張について
被請求人は、乙第35号証の4の「B」部分について、バルブに関する依頼があったことを示す証拠である旨主張する。
しかし、上記「B」部分における添付ファイルのバルブがどのように示されていたかは不明であるし、当該添付ファイルが提出されないということは、そのファイルでは、本件商標により商品が特定されていないことを裏付けている。すなわち、発注者は、本件商標によりバルブを特定して発注を行っていない。
ウ 後記第3の6(2)の主張について
被請求人は、乙第36号証の1ないし乙第36号証の3について、2014年(平成26年)4月22日(乙35の3における「D」部分)に、本件商標権者の担当者が、米田商店の担当者に対し、メールで送った見積内容の図面の控え(写し)である旨述べている。
しかし、上記メールには、「改正見積を添付します。」としか記載されておらず、上記図面が当該メールで送信された事実はない。
この点につき、被請求人は、乙第37号証を提出して、手渡した旨述べるが、これは、本人(当時の社長)による記述であり、いつでも追記できるものであるから、手渡した事実を証明する証拠として採用されるものではない。
また、上記記述には「PM7.15分 梅田にて米田商店(担当者名)様にチャッキ弁仕様変更参考図(見積図)手渡し。」とあるが、この部分の時間表記は「PM7.15分」である一方、他の時間表記には「分」の文字がないことから、この部分の記述だけが不自然である。
さらに、上記記述は、本件商標が表示されていないから、何の「チャッキ弁」であるかが特定できないし、手渡したとする相手の受領確認もないことからすれば、手渡したとする事実を証明するには不十分である。
いずれにせよ、見積金額の検討においては、既に商品の選択が完了しているのであるから、仮に、被請求人が述べる図面の手渡しの事実があったとしても、それが、本件商標が商標として機能していない事実に影響を及ぼすものではない。
(3)最後に
被請求人は、平成28年3月25日までに、口頭審理において新たに主張した内容を上申書として提出するよう求められていたにもかかわらず、その後も、平成28年5月9日付け上申書、同年6月6日付け上申書を五月雨式に提出しており、これらは、審理遅延を招く不誠実な態度であるから、請求人は、速やかな結審及び審決を求める。
因みに、本件商標権者は、近年、商標登録出願(商願2006-105364)を行ったが、当該出願は、商標法第4条第1項第19号に該当するとの拒絶理由通知(甲8)が発せられ、その後、拒絶査定が確定している。
さらに、本件商標権者は、以下のとおり、外国のバルブ会社の商標について、商標登録を有している。
ア 登録第3093358号商標は、ドイツのバルブメーカー名である(甲9)。
イ 登録第3219956号商標は、韓国のバルブメーカー名である(甲10)。
ウ 登録第3239815号商標は、英国のバルブメーカーの商品名である(甲11)。
エ 登録第4499485号商標は、イタリアのバルブメーカーの商品名である(甲12)。
これらだけを見ても、本件商標権者は、外国のバルブメーカーの商標名を取得する傾向にあり、ひょう窃していると判断された事実も存在する。本件商標も、請求人の商標が我が国において登録されていないことを奇貨として、不正の目的で登録されたことは明らかであり、本件商標権者による本件商標の使用は、法的保護に値しない使用というべきである。
加えて、実体的に見ても、被請求人が主張する本件商標の使用は、図面に登録商標の表示がなされているのみで、需要者が、取引に際し、本件商標権者の商品を本件商標から選択した事実は全くない。
したがって、本件商標は、不使用である。

6 平成29年8月21日付け回答書
(1)被請求人提出の平成29年3月15日付け回答書について
ア 後記第3の7(2)アについて
(ア)被請求人は、乙第17号証の1ないし乙第17号証の7は、「厳密には、乙第20号証に添付して送付した図面一式(乙45)のうち、第1ページの表紙の作成日を『2014.05.19』(表紙の下方に表示されたKVC.CO.,LTD.の右下に記載)から『2014.05.20』へと修正して全ページを印刷し、表紙の下方に本件商標権者の日付印を押印して、乙第20号証の送信日の翌日である2014年(平成26年)5月20日に、米田商店の担当者へ渡した図面の控えであることが判明した。」旨説明しているが、この説明には、疑義がある。
被請求人の図面に関するこれまでの主張を整理すると、次のとおりである。
a 2014年4月22日:見積時の修正図面を電子メールで送信
これは、平成28年6月6日付け上申書において主張され、その図面として、乙第36号証の1ないし乙第36号証の3が提出されている。
b 2014年4月22日:本件商標権者の社長が米田商店の担当者へ変更図面を手渡し
これは、上記上申書において主張され、その図面として、乙第36号証の1ないし乙第36号証の3が提出されている。
c 2014年5月19日:承認図面を電子メールで送信
これは、平成29年3月15日付け回答書において主張され、その図面として、乙第45号証が提出されている。
d 2014年5月20日:米田商店の担当者へ図面を渡す
これは、上記回答書において主張され、その図面として、乙第17号証の1ないし乙第17号証の5を用いている。
このように、本件商標権者は、少なくとも同じ図面を4回渡していることになる。
また、平成28年6月6日付け上申書において、「上記見積りの改正は、米田商店の担当者から仕様の変更依頼があったために行った」と説明され、変更点を「Dual Plate Seat:EPDM → Metal(Stellite)」で、Dual Plate Seatの素材がゴム製から金属製に変更されたと説明されており、当該上申書において、これが、「チャッキ弁仕様変更参考図」として、2014年4月22日に送信されたと説明している。
そうすると、上記仕様変更参考図を渡す前には、仕様変更前の参考図(見積図面)が存在し、それが何らかの手段で手渡されているべきところ、これについては、上記上申書以降、言及がない。
さらに、平成28年3月25日付け上申書に添付された参考資料1の手順表を見ると、乙第17号証の図面は、手順3から5のように、確認作業が行われているようであるが、見積りの段階で修正図面が電子メールと手渡しで2度も渡されたということは、修正前の図面と修正後の図面も、一旦神戸製鋼所へ確認作業が行われていると考えるのが自然であるところ、乙第47号証では、2014年5月19日の電子メールの受領しか述べられていないため、請求人は、参考資料1に示された納品先である神戸製鋼所が、手順4及び5に従って、本当に確認したか否かを確認することができない。
(イ)被請求人が本件商標を使用していると主張する図面は、乙第20号証のメールに添付して送った図面(乙45)と、その送信日翌日に米田商店の担当者に手渡した図面(乙17の1ないし乙17の7)であるが、どちらの図面が最終納品物であるのか不明である。
この点について、米田商店の担当者の受領証明書(乙47)によれば、2014年5月19日に図面一式が添付された電子メールを受け取ったとあることからすれば、当該図面は、表紙に「2014.05.19」と記載された乙第45号証の図面が対応するものと考えられるが、手渡ししたとする図面(乙17の1ないし乙17の7)は、表紙に「2014.05.20」と記載され、日付印が押印されているものの、米田商店の受領証明はされていない。
また、上記受領証明書に記載されている図面は、不鮮明であり、本件商標権者がメールに添付したとする図面との一致を確認することができない。
イ 後記第3の7(3)アについて
被請求人は、本件商標権者の担当者が米田商店の担当者へ承認図面を送信した際のメール(乙20)を表示したパソコン画面の写真として、乙第44号証を提出しているが、当該写真には、日付の表示がないため、乙第20号証第2段目のメールと一致するものか否かを確認することができず、また、当該写真中の送信者欄の右側の「19.05.14」の記載のみでは、何が添付されていたかを確認することができないから、乙第44号証は、本件商標権者の図面の添付の有無を示す証拠とはいえない。
さらに、被請求人は、メールソフト内でのメール検索の際に、「経常工事」という検索キーワードを用いたと述べているが、これは、本件商標を表示した通信が存在しないため、「経常工事」のキーワードによる検索を行ったと考えられるから、顧客との取引の際に本件商標が使用されていないことの証左であり、この点からも、「経常工事」のための使用に適合する商品を発注する取引内容であることが理解でき、一連の取引において本件商標が使用されていないことが分かる。
ウ 後記第3の7(5)ウについて
被請求人は、米田商店により、神戸製鋼所から受けた商品一覧の全てを送られ、そのうちの自社で対応できる商品のみ対応を行う旨述べているところ、当該商品一覧(乙50)をみると、「購入品リスト」のタイトルの下、一覧表には「系統、流体、サイズ、レイティング、タイプ、オプション、材質、数量、設計温度、設計圧力、耐圧テスト、気密テスト」の項目により仕様の指定がされており、これらの記載からすれば、神戸製鋼所は、仕様により発注しているのであって、商標を指定して注文しているのではないことが明らかである。そして、本件商標権者が見積りを行った黄色マーカー部分の商品についても、本件商標の記載はなく、また、被請求人が述べているように、「日頃から」このような方法により商品を購入していることが分かる。
さらに、被請求人は、「見積り及び注文時における商品の特定は、商標ではなく、品番及び型番で行われることが一般的」であるとも述べているから、たとえ、それが顧客指定の発注方法であったとしても、商標の記載がない以上、商品取引の際に、本件商標が識別標識として使用されていないことは明確である。
エ 後記第3の7(6)イについて
被請求人は、米田商店及び神戸製鋼所の担当者が本件商標を本件商標権者の識別標識として認識している旨述べているが、上述のとおり、本件商標権者の商品は、米田商店及び神戸製鋼所との取引において、発注時に本件商標が使用されている証拠はなく、また、本件商標権者の図面に本件商標の記載がされていたとしても、「繰り返し行われるバルブ商品の各取引の中」であるなら、なおさら顧客等による本件商標の使用がないのは不自然であり、図面への本件商標の使用が記載されていたとしても、本件商標権者の社内用の使用にすぎず、顧客に対して識別標識として機能しているということはできない。

7 平成30年1月22日付け回答書
(1)乙第52号証について
ア 被請求人は、米田商店との取引の際に最終的に用いられた図面は手渡しした「5月20日付けの図面」であるとし、当該取引がされた事実を明らかにするためとして、米田商店の担当者による受領証明書(2)(乙52)を提出しているが、これは、既に提出された乙第51号証の添付書類を鮮明なものに差し替えたにすぎない証拠であり、新たな事実を明らかにしたものではない。
また、被請求人は、「乙第45号証と5月20日付けの図面の内容は同一」である旨述べているが、乙第52号証の添付2の図面の3ページないし7ページは、乙第45号証と異なる順序となっており、さらに、被請求人は、乙第52号証の添付1について、5月19日付けメールの送付版と述べていることから、乙第45号証と一致するはずであるが、このページの順序も相違する。
よって、被請求人の説明は、正確でなく、客観的な証拠として疑義が残るといわざるを得ない。
イ 乙第52号証で証言されているのは、「5月20日付けの図面」が、米田商店と本件商標権者との間で最終の承認用図面として納品されたことを示すものであり、本取引の真の発注者である神戸製鋼所との取引は、客観的に明らかにされていない。そして、被請求人は、例えば、「米田商店が、本件商標権者から受領した図面を神戸製鋼所へ送付して内容の確認を依頼したことを証する書面。」や「神戸製鋼所による承認がされた後、米田商店が、本件商標権者に対し、その事実を知らせ、かつ、納品を指示したことを証する書面。」などといった本件取引がされた事実をより具体的に明らかにする証拠を提出していない。
被請求人提出の証拠のうち、乙第35号証の4については、バルブ取引の際に、発注者である神戸製鋼所から各取引会社に対し、一斉配信メールにより依頼がされる旨の説明がされているが、他に神戸製鋼所との間で個別の取引内容を示す証拠は提出されていない。
(2)乙第53号証について
乙第53号証で表示されている添付ファイルのタイトルが乙第45号証の図面のPDF文書タイトルと同一であることは確認できるが、上述のとおり、「5月20日付けの図面」が最終の承認用図面として納品されたのであるから、表紙の日付を5月20日へ変更するなどのファイル更新がされ、乙第42号証の図面のPDFデータが最終納品用のものとみられるところ、この最終納品用の図面の文書プロパティは、本件商標権者の社内通信により変更されていて(乙43)、納品時のファイルであることが確認できないが、米田商店の担当者が5月19日にメール受信した際の図面の全てについてのプロパティを示すものなど、被請求人から新たな証拠は提出されていない。
乙第53号証は、既に提出された乙第44号証と同じものであり、添付ファイルのタイトル名が確認できるものにすぎない。
(3)見積り及び注文時における商品の特定について
被請求人は、「見積り及び注文時における商品の特定を、商標ではなく、品番・型番等で行うことは至極一般的なことである」旨述べているが、一般に、商品取引において品番や型番等を示すことは、商品の規格、形状、サイズ、材料等の品質を表示する語とみられ、記述的な表示として、自他識別力を発揮しないか、極めて低いと考えられる。
また、バルブ商品に関し、上記のような品質表示といえる品番や型番の使用が一般的であることを示す証拠は、示されていない。
仮に、被請求人の提出したメールや図面中の品番や型番が製造者を特定できるほど限定された仕様であるとしても、登録商標の使用がされていないことの理由とはならない。
本件においては、本件商標権者の顧客である米田商店や神戸製鋼所から発信されたメール等の取引連絡において本件商標が表示されていない以上、本件商標は、自他識別標識として使用されていたということができない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を審判事件答弁書、平成27年12月25日付け上申書、同28年2月9日付け口頭審理陳述要領書、同年3月25日付け上申書、同年5月9日付け上申書、同年6月6日付け上申書、同29年3月15日付け回答書及び同年11月28日付け回答書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第53号証(枝番号を含む。)及び参考資料1を提出した。
1 審判事件答弁書
本件商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件指定商品「バルブ」について本件商標を使用している。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものではない。
(1)本件商標権者について
本件商標権者は、京都府京都市南区に本社を置き、昭和62年2月の設立から約30年間、主として各種バルブ類の製造、販売を行っており、バルブの設計、製作に伴うコンサルタント業にも携わっている(乙2)。本件商標権者のホームページには、製品情報として、ボールバルブ、バタフライバルブ、チャッキバルブ等が代表的な取扱商品として紹介されており(乙3)、さらに、当該ホームページに掲載された製品カタログには更に多くのバルブが掲載されているが、これらも本件商標権者が取り扱うごく一部の標準的なバルブにすぎない。
また、本件商標権者は、設立当初から海外進出を果たしており、シンガポール及びスコットランドでの現地法人設立、ドイツ企業との技術提携など、国際的なビジネスを展開している(乙4)。
なお、本件商標権者は、消滅したものも含めて、これまでに本件商標以外に27件の商標権を有しており(乙5)、現存する商標権は、本件商標を含めて16件である(乙6)。
(2)本件商標の使用について
ア 本件商標権者と顧客との取引は、通常、顧客から本件商標権者へFAX等で注文書が届くことから始まり、注文を受けた本件商標権者は、発注されたバルブの図面とその仕様や検査内容が記された書面(以下「図面等」という場合がある。)を顧客に提供し、受注した商品を納品する。このことは、顧客である米田商店が本件商標権者へ送付した注文書(乙7、乙8)からも裏付けられる。
上記注文書の表の上部には、「図面」、「テストレポート」、「ミルシート」等の記載があり、それぞれのチェックボックスの黒丸が記されていることから、当該注文の際に米田商店がこれらの書面を要求していること、すなわち、本件商標権者から米田商店へ図面等が提供されていることが分かる。
なお、注文書の様式の一部として、予め図面やテストレポート等のチェック欄が設けられているように、図面等の提供は、本件商標権者の取引において、日常的に行われている。
イ 乙第9号証は、図面等の一例であり、左側には図面、右側にはバルブの仕様や検査内容が記載されており、右側最下段には、本件商標権者の英語表記である「KVC CO.,LTD.」の記載がある(乙10)ことから、これが本件商標権者により作成された書面であることが分かる。そして、「DRAWING NAME」欄に「DUAL PLATE WAFER FLANGED TYPE CHECK VALVE」と記載されていることから、これがバルブの1種であるチェッキバルブの図面等であることが分かる。
また、乙第11号証も、乙第9号証と同様に、「KVC CO.,LTD.」及び「WAFER TYPE DOUBLE DOOR CHECK VALVE」の記載があることから、これが本件商標権者により作成された書面であって、チェッキバルブに関する図面等であることが分かる。
上述のとおり、本件商標権者の図面等にはバルブの名称が記載されているものの、情報量が多く、一見して何の図面等であるか判別し難いことから、本件商標権者は、その図面が自社の図面であることに加え、自社が扱うどの商品の図面であるのかを一目で分かるようにするため、日頃から図面部分の空白箇所に自社独自の標章を付すように努めている。
具体的には、乙第9号証及び乙第11号証の図面部分に表されている「GOODWIN」が該当し、本件商標権者は、チェッキバルブの図面には本件商標を使用しており、登録番号とともに付している。また、乙第12号証ないし乙第14号証に係る図面等についても、本件商標権者の登録商標である「ITAG」(登録第3093358号商標と社会通念上同一の商標)や「KUGEL-H」(登録第2446300号商標と社会通念上同一の商標)が付されていることから、本件商標権者が継続して登録商標を図面等に表示していることが分かる。
図面等は、注文書やカタログ等と同様に、顧客との取引に際して使用されるものであって、商標法第2条第3項第8号にいう取引書類に該当するものであり、また、本件商標権者が本件商標を付して顧客に提供(頒布)する図面等は、商品「バルブ」に関するものであるから、本件商標は、本件商標権者により、本件指定商品について使用されている。
ウ 本件商標権者が取引に際して注文内容に応じた図面等を顧客に提供していることは、上述のとおりであるところ、米田商店からの注文書(乙7)に係る注文に関しては、米田商店から明示的に図面等の提供の依頼を受けていることから、当該取引において、本件商標権者から米田商店へ図面等が提供されたと考えるのが当然である。
そして、上記注文書(乙7)の「内容・仕様」欄には「DUAL PLATE CHECK」と記載されており、その注文がチェッキバルブに関するものであることが分かるから、その注文に関する図面等には、本件商標が表示されていた。
また、米田商店から本件商標権者へのチェッキバルブに関する別の注文書(乙8)についても、図面に係るチェックボックスがチェックされていることから、両者の間では、乙第7号証に係る注文に続いてチェッキバルブに関する取引が行われ、本件商標を付した図面等が提供されたことは明らかであるし、本件商標権者が継続的に本件商標を使用していることも裏付けられる。
エ 本件商標権者による図面等の提供は、注文後の納品前又は納品と同時に行われる。注文から納品までの期間は、通常、3月ないし5月程度であるところ、乙第7号証の注文日は2014年(平成26年)5月9日、乙第8号証の注文日は同月30日であるから、これらにより、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標権者から米田商店へ本件商標が付された図面等の提供がされたことが十分に推認される。
また、乙第9号証の図面部分中央には、本件商標権者が図面等を発行した日である2013年(平成25年)3月17日を意味するスタンプが押されており、乙第11号証にも同様に、2014年(平成26年)6月14日を意味するスタンプが押されているから、これらの図面等は、本件審判の請求の登録前3年以内に顧客へ提供されたといえる。
さらに、乙第15号証は、別の顧客である「株式会社インダストリアルサービス・インターナショナル」(以下「インダストリアル社」という。)から本件商標権者へ宛てた2014年(平成26年)11月10日付けのチェッキバルブに関する注文書であり、乙第16号証は、その注文書に対応する2015年(平成27年)1月20日付け物品受領書であるところ、これらの書面には、同一の注文番号「No.P1400402-0394」が記載されており、当該取引は、チェッキバルブに関するものであるから、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標権者からインダストリアル社へ本件商標が付された図面等の提供がされたことが推認される。
オ 上記アないしエを総合すると、本件商標権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において本件指定商品について本件商標を使用していたことは明らかである。

2 平成27年12月25日付け上申書
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
乙第1号証は、本件商標の登録原簿であって、本件商標権の登録内容及び本件審判の請求に係る要証期間(本件審判の請求の登録前3年以内)を明らかにするために提出したものであり、また、乙第2号証は、本件商標権者の現在事項全部証明書であって、その目的欄の記載に照らし、本件商標権者が、本件審判の請求に係る取消対象の商品「バルブ」に関するビジネスを業として行っていることを明らかにするために提出したものである、
したがって、乙第1号証及び乙第2号証に係る事実は、本件商標権者が、「バルブ」について、本件商標を使用していることを立証するに当たり、それを基礎付ける重要な事実である。
(2)乙第3号証について
乙第3号証は、本件商標権者のホームページに掲載されている製品情報であって、本件商標権者が取り扱う多数のバルブ商品のうち、標準的なものを紹介しているものであり、これによれば、本件商標権者が、要証期間内に、「バルブ」を取引していることは明らかである。
(3)乙第4号証ないし乙第6号証について
乙第4号証は、本件商標権者のホームページに掲載された会社概要であって、営業内容として、「各種バルブ類及び関連機器の製造並びに販売」等の記載があることから、本件商標権者が、バルブを専門に扱う会社であることを立証している。
また、乙第5号証及び乙第6号証は、本件商標権者が、過去に所有した又は現在において所有する登録商標の公報及び情報であり、これから、本件商標権者が約30年以上も前から積極的かつ継続的に自社製品名について商標登録を行ってきたことが分かるし、当該登録商標が本件商標権者のホームページや図面において使用されている(乙3、乙9、乙11ないし乙14)ことからすれば、本件商標権者が本件商標を「バルブ」について使用していることが十分に推認される。
(4)乙第7号証及び乙第8号証について
既述のとおり、本件商標権者は、顧客からバルブの注文を受けると、その図面を顧客に提供しているところ、「チェッキバルブ」の図面について、本件商標を使用している(乙9、乙11)。
したがって、「チェッキバルブ」の取引が行われたということは、本件商標が付された図面が顧客に提供されたこと、すなわち、本件商標について、商標法第2条第3項第8号にいう使用がされたことを意味するのであり、乙第7号証及び乙第8号証は、「チェッキバルブ」の注文書であるから、本件商標の付された図面が顧客へ提供されたことを裏付ける重要な証拠である。
(5)乙第9号証及び乙第11号証について
乙第9号証及び乙第11号証は、本件商標が付されたバルブの図面(取引書類)であって、本件商標権者が要証期間内に作成したものであるから、これらにより、本件商標が、本件商標権者により、要証期間内に「バルブ」について使用されていたことが立証されている。
この点に関し、請求人は、乙第9号証及び乙第11号証における本件商標の表示に疑義がある旨主張するが、乙第9号証及び乙第11号証に係る図面と乙第12号証ないし乙第14号証に係る図面とで記載方法が異なるのは、単に図面の書式に応じた任意の記載がされているだけであり、また、乙第9号証及び乙第11号証に係る図面において、「商標登録証」及び「登録第4426188号」の部分のみが日本語で表示されていることも、商標法施行規則第17条の規定に則ったものであり、何ら不自然な様式ではない。
さらに、乙第7号証及び乙第8号証に記載された仕様番号と乙第9号証及び乙第11号証に記載された仕様番号とが一致しないのは、答弁書の提出時点で、本件商標の使用を証明するための一連の取引に係る書類の確認ができなかったためである。仮に、請求人が主張する乙各号証に対する疑義が事実であれば、被請求人は、一連の取引書類として、仕様番号まで揃ったものを準備するはずであるから、乙第7号証及び乙第8号証と乙第9号証及び乙第11号証とが一連の取引に関するものでないことは、むしろ乙各号証の信用性を肯定するものである。
加えて、請求人は、英語による図面について、国内で流通した証拠にはならない旨主張するが、本件商標権者のホームページが日本語によるものであること、本件商標権者の顧客には日本企業がいること(乙7、乙8、乙15、乙16)からすれば、国内で流通していることは明らかである。
したがって、上記乙各号証は、何ら疑義をもたれるものではない。
(6)乙第10号証について
乙第10号証は、本件商標権者の英文表記を証するものであり、乙第9号証及び乙第11号証に係る図面において、その英語表記がされていることから、当該図面が本件商標権者により作成されたものであること、すなわち、本件商標が本件商標権者により使用されたことが立証される。
(7)乙第12号証ないし乙第14号証について
乙第12号証ないし乙第14号証は、本件商標権者による図面であり、当該図面には、本件商標権者が所有する登録商標が付されていることから、本件商標権者が、日頃から図面に自社の登録商標を表示していることを証明しており、本件商標権者による本件商標の使用の事実を基礎付ける重要な証拠である。
(8)乙第15号証及び乙第16号証について
既述のとおり、本件商標は、チェッキバルブに用いられているものであり、乙第15号証及び乙第16号証がチェッキバルブの注文書及び納品書であることから、チェッキバルブの取引が実際に行われていることを証明する重要な証拠である。
(9)請求人の商品について
本件商標権者は、日本国内で行うビジネスにおいて本件商標を使用する以上、自己防衛として本件商標を登録したまでであり、安心、安全なビジネスを行うためには、これを確保する義務もある。
出願に係る商標が他人の標章として採用されていることは、一般に起こり得ることであり、商標法は、そのことをもって出願に係る商標の登録を排除しておらず、本件商標は、正当な手続により、登録されたものである。
請求人は、本件商標権者が、請求人との取引をベースにして、本件商標の登録を受けた旨主張するが、仮にそうであるとしても、私的な利害の調整は、当事者の話合いにより図られるべきであり、不使用取消審判の扱うところではない。

3 平成28年2月9日付け口頭審理陳述要領書
(1)乙第7号証について
被請求人は、2014年5月9日付けの米田商店からの注文書(乙7)に対応する図面に本件商標が使用されていたことを明らかにするため、当該注文書に対応して米田商店へ提出された図面の表紙、バルブの一覧及び図面の控えを乙第17号証の1ないし乙第17号証の7として提出する。
ア 乙第17号証の1
乙第17号証の1は、乙第7号証の注文書に対応して提出された図面の表紙であり、「KVC CO.,LTD.」の表示と日付印から、当該書面が本件商標権者により作成されたものであることが分かる。そして、当該注文に係る納品先は神戸製鋼所であることから、乙第17号証の1の宛名は、「Kobe Steel,Ltd.」となっている。
上記図面の表紙の中央に表示された「Ref.No.D328095」は、本件商標権者の受注番号であり、「O.No.412-B853-701」は、神戸製鋼所の整理番号、「R.O.No.14050034」は、米田商店の整理番号であるところ、米田商店の整理番号は、乙第7号証の左上に記載された注文番号「No.14050034」と一致するものであり、また、神戸製鋼所の整理番号は、乙第7号証の左下にある摘要欄に記載された番号「412-B853-701」と一致する。
したがって、乙第17号証の1が、乙第7号証の注文書に対応して提出された図面の表紙であることが分かる。
イ 乙第17号証の2
乙第17号証の2は、乙第17号証の1とともに提出されたバルブのリストであり、乙第7号証の注文書により発注された各バルブの仕様概要を1行ごとにまとめたものである。
乙第7号証の注文書では、2種類のGATEバルブが1台ずつ、SWING CHECKバルブが1台、5種類のDUAL PLATE CHECKバルブが小計14台で、合計17台のバルブが注文されているところ、その種類と数量は、乙第17号証の2の記載内容と一致する(種類は「Type」列に、数量は「Q’ty」列に記載されている。)。
また、上記リストの左上には、神戸製鋼所の整理番号「O.No.412-B853-701」の記載があり、当該整理番号は、乙第7号証の注文書の摘要欄に記載された整理番号とも一致するため、乙第17号証の2のリストが乙第7号証の注文書に対応して提出されたバルブの一覧であることが分かる。
さらに、上記リストの右端には、「Drawing No.」の列があり、各バルブについて提出された図面の番号が分かる。
ウ 乙第17号証の3ないし乙第17号証の7
乙第17号証の3ないし乙第17号証の7は、乙第17号証の1及び乙第17号証の2とともに米田商店へ提出された図面の控えであり、以下に述べるとおり、乙第7号証の注文書に対応して提出された図面である。
(ア)図面番号が一致すること
乙第17号証の3ないし乙第17号証の5は、それぞれの左下の「MODEL NO.」欄に、また、乙第17号証の6及び乙第17号証の7は、それぞれ右下の「DWG.NO.」欄に、図面番号が表示されている。
そして、これらの表示は、乙第17号証の3における「TC0-W-S4-E-140414-1」が乙第17号証の2のNo.19に係る「Drawing No.」と一致するものであり、同様に、乙第17号証の4の「TC0-W-S4-E-1404-1」が乙第17号証の2のNo.21及びNo.22、乙第17号証の5の「TC0-S4-S4-E-140414-1」がNo.23及びNo.24、乙第17号証の6の「ICL140519-01」がNo.1及びNo.2、乙第17号証の7の「ICL140519-02」がNo.20に係る「Drawing No.」とそれぞれ一致する。
したがって、乙第17号証の3ないし乙第17号証の7の図面番号は、乙第17号証の2の図面番号と一致することから、乙第17号証の1及び乙第17号証の2とともに米田商店へ提出された図面の控えであることが明らかである。
(イ)乙第17号証の2の各バルブの仕様と対応する図面(乙第17号証の3ないし乙第17号証の7)の仕様とが一致すること
a 乙第17号証の2の各バルブの仕様は、対応する図面(乙第17号証の3ないし乙第17号証の7)の仕様と一致する。
例えば、乙第17号証の2のNo.19は、乙第17号証の3の図面番号「TC0-W-S4-E-140414-1」に対応するものであるところ、両者の仕様は、以下のとおり、一致する。
(a)乙第17号証の2の「Body」列に記載された「WCB」は、材質を示すものである一方、乙第17号証の3の図面枠右横にある「PART NAME」列に記載されたバルブの各パーツに関する仕様のうち、No.1のBODY部分に係る「MATERIAL(材質)」列には、材質記号として、「WCB」と記載されていることから、乙第17号証の2のNo.19と乙第17号証の3のBODYの材質は一致する。
(b)乙第17号証の2の「Body」以外の材質を表す「Trim」列に記載された「DISC:304SS」は、乙第17号証の3の「PART NAME」列のNo.4及びNo.5に記載された「SUS304」と一致し、また、乙第17号証の2の同列に記載された「Seat:Metal」は、乙第17号証の3の同列のNo.9に記載された「METAL」と一致する。
なお、上記「304SS」に含まれる「SS」は、合金鋼「Stainless Steel」(ステンレス スティール)の一般的な略称であり、また、上記「SUS304」に含まれる「SUS」は、ステンレスのグレードを表すJIS規格の表示であるから、両者は、表記が異なるだけで、いずれも同じステンレス鋼を表すものである。
(c)乙第17号証の2の圧力検査の規格を表す「Class」列に記載された「JIS10K」は、乙第17号証の3の図面枠の下にある圧力検査について記載する欄の「SHELL」列の左端に記載された「10K」と一致する。
なお、上記「JIS10K」に含まれる「JIS」は、単にJIS規格を指すものであり、乙第17号証の3では省略されている。
(d)乙第17号証の2の「End」列には「Wafer」と記載されている一方、乙第17号証の3の「DRAWING NAME」には「DUAL PLATE WAFER TYPE CHECK VALVE」と記載されていることから、いずれもWafer形状の薄版タイプで一致し、また、乙第17号証の2の「Size」列に記載された「32”」は、乙第17号証の3の図面枠右横にある「Size」列に記載された「32”」と一致する。
b 上記a(a)ないし(d)と同様に、乙第17号証の2のNo.21及びNo.22は乙第17号証の4と、乙第17号証の2のNo.23及びNo.24は乙第17号証の5と、乙第17号証の2のNo.1及びNo.2は乙第17号証の6と、乙第17号証の2のNo.20は乙第17号証の7と、それぞれ仕様が一致する。
(ウ)乙第7号証と対応する図面の内容とが一致すること
乙第7号証の注文書にある一覧のうち、3行目に記載された「DUAL PLATE CHECK A216-WCB JIS 10k?RF 800A」は、下線部が、それぞれ、Bodyの材質を表す「WCB」と圧力検査の規格を表す「JIS10K」であることから、乙第17号証の2のNo.19に該当することが分かる。
そして、乙第17号証の2のNo.19は、そのDrawing No.が「TC0-W-S4-E-140414-1」であることから、乙第17号証の3がこれに対応する図面であるところ、乙第17号証の3のBODYの素材は「WCB」であり、圧力検査の規格は「JIS10K」であることから、これらは、上記乙第7号証の一覧中の3行目の記載における下線部と一致する。
また、乙第7号証の注文書にある一覧のうち、5行目に記載された「DUAL PLATE CHECK A216-WCB 300LB-RF 100A」及び6行目に記載された「DUAL PLATE CHECK A216-WCB 300LB-RF 80A」に対応する図面は、乙第17号証の4であるところ、乙第17号証の4のBODYの素材は「WCB」であり、圧力検査の規格は「300LB」であることから、これらは、上記乙第7号証の一覧中の5行目及び6行目の記載における下線部と一致する。
さらに、乙第7号証の注文書にある一覧のうち、7行目に記載された「DUAL PLATE CHECK A351-CF8 300LB-RF 50A」及び8行目に記載された「DUAL PLATE CHECK A351-CF8 300LB-RF 40A」に対応する図面は、乙第17号証の5であるところ、乙第17号証の5のBODYの素材は「CF8」であり、圧力検査の規格は「300LB」であることから、これらは、上記乙第7号証の一覧中の7行目及び8行目の記載における下線部と一致する。
上記のとおり、乙第17号証の3ないし乙第17号証の7の整理番号や仕様は、乙第7号証の注文書、乙第17号証の1の図面表紙及び乙第17号証の2のバルブリストと一致するものであるから、乙第17号証の3ないし乙第17号証の7の図面が、乙第7号証の注文書に対応して提出された図面の控えであることに疑いの余地はない。
(2)乙第8号証について
被請求人は、2014年5月30日付けの米田商店からの注文書(乙8)に対応する図面に本件商標が使用されていたことを明らかにするため、乙第18号証の1及び乙第18号証の2を提出する。
ア 乙第18号証の1
乙第18号証の1は、乙第8号証の注文書に対応して提出された図面の表紙であり、「KVC CO.,LTD.」の表示と日付印から、当該書面が本件商標権者により作成されたものであることが分かる。そして、当該書面に記載された神戸製鋼所の整理番号「O.NO.1-14-16904-0」は、乙第8号証の左下にある摘要欄に記載された番号「O.NO.1-14-16904-0」と一致するものであり、また、米田商店の整理番号「R.O.No.14050200」は、乙第8号証の左上にある注文書番号「No.14050200」と一致する。
したがって、乙第18号証の1が乙第8号証の注文書に対応して提出された図面の表紙であることが分かる。
イ 乙第18号証の2
乙第18号証の2は、乙第18号証の1とともに米田商店へ提出された図面の控えである。
そして、乙第8号証の注文書により発注されたバルブの品名は、「Dual Plate Wafer Check Valve」であり、乙第18号証の2の「DRAWING NAME」に記載された「DUAL PLATE WAFER CHECK VALVE」と一致する。
また、乙第8号証における上記バルブの品名の下には、当該バルブの仕様が記載されているところ、BODYの材質記号「CF3M」は、乙第18号証の2の「PART NAME」列に記載されたNo.1のBODY部分に係る「MATERIAL(材質)」列に記載された材質記号「CF3M」と一致し、さらに、乙第8号証におけるTrimの材質記号「316SS」は、乙第18号証の2のNo.4及びNo.5に係る「MATERIAL(材質)」列に記載された材質記号「SUS316」と一致する(なお、「316SS」に含まれる「SS」と「SUS316」に含まれる「SUS」とは、上記(1)における場合と同様に、表記が異なるだけで、いずれも同じ材質のステンレス鋼を表すものである。)。
加えて、乙第8号証に記載された「Plate:CF8M+Stellite」は、乙第18号証の2の「PART」列のNo.2に記載された「CF8M+STLT」(「STLT」は、「Stellite」を略したものである。)と、同じく、「Seat:Stellite」は、「PART」列のNo.9に記載された「STLT」と、「Spring:Low Torque 316SS」は、「PART」列のNo.3に記載された「SUS316-Low torque」と、それぞれ一致するものであり、また、乙第8号証に記載された「Rating:150Lb」は、乙第18号証の2の図面枠下に記載された圧力検査の規格を表す「SHELL」列左端の「150LB」と、同じく、「End:Wafer」は、「DRAWING NAME」中にある「WAFER」と、「Size:6”」は、図面枠右横に記載された「SIZE」列の「6”」と、それぞれ一致するものである。
上記のとおり、乙第18号証の2の仕様は、乙第8号証の注文書に記載されたバルブの仕様と一致するものであるから、乙第18号証の2が乙第8号証の注文書に対応して提出された図面の控えであることに疑いの余地はない。
(3)小括
上記(1)及び(2)によれば、乙第7号証の注文書に対応して提出された図面一式が乙第17号証の1ないし乙第17号証の7であること並びに乙第8号証の注文書に対応して提出された図面一式が乙第18号証の1及び乙第18号証の2であることは明らかである。
(4)乙第7号証及び乙第8号証に関する取引が実際に行われたこと
本件商標権者と米田商店との取引は、(i)米田商店が本件商標権者へ注文書を送る、(ii)本件商標権者が注文されたバルブの図面を米田商店へ提出する、(iii)本件商標権者が米田商店から指定された納品先へ商品を納品する、(iv)本件商標権者が米田商店へ代金を請求する、といった手順で行われるところ、乙第7号証及び乙第8号証に関する取引は、以下のとおり、実際に行われたことが明らかである。
ア 乙第7号証に関する取引について
乙第7号証に関する取引において、上記取引手順(i)については、乙第7号証により立証されているが、被請求人は、これを補強すべく乙第19号証を提出し、続く上記取引手順(ii)ないし(iv)について、乙第20号証及び乙第21号証を提出する。
(ア)乙第19号証
乙第19号証は、米田商店の担当者が本件商標権者の担当者へ乙第7号証の注文書を送った際のメール文を印刷したものであり、上記取引手順(i)について立証した内容を補強する客観的な証拠である。
上記メール文の「Subject」には、「見積依頼 経常工事:新設スクリュ圧縮機試運転設備 412-B853-701」と記載されているところ、これは、乙第7号証の注文書の摘要欄の記載内容並びに乙第17号証の1及び乙第17号証の2に記載された神戸製鋼所の整理番号と一致する。
また、上記メールは、送信日が「2014年5月9日」であって、乙第7号証の注文書の日付と一致するものであり、送信者名も乙第7号証の担当欄に記載されたものと同一名である。
したがって、乙第7号証に関する取引において、上記取引手順(i)が行われたことは明らかである。
(イ)乙第20号証
乙第20号証は、本件商標権者の担当者が、乙第7号証の注文書に対応する図面一式(乙17の1ないし乙17の7)を米田商店の担当者へメールした際のメール文を印刷したものであり、上記取引手順(ii)が行われたことを立証する客観的な証拠である。
上記メール文の「Subject」には、「見積依頼 経常工事:新設スクリュ圧縮機試運転設備 412-B853-701」と記載されていることから、乙第19号証の件名(Subject)と一致するものであり、また、当該件名に続く内容も乙第19号証の内容と同一のものであるから、乙第20号証が乙第19号証のメールに対する返信であることが分かる。
したがって、乙第7号証に関する取引において、上記取引手順(ii)、すなわち、本件商標権者から米田商店へ乙第7号証の注文書に対応する図面一式(乙17の1ないし乙17の7)が提出されたことが分かる。
なお、乙第20号証の送信日が「2014年5月19日」であるのに対し、乙第17号証の1の日付印が「2014年5月20日」であることは、単に5月20日に送る予定で準備していた図面を、米田商店からの依頼により、1日早く提出した結果であり、可能な限り顧客からの依頼に応えることはビジネスにおいて当然のことであって、このようなことは日常的に行われていることから、何ら疑義を生じさせるものではない。
(ウ)乙第21号証
乙第21号証は、乙第7号証の注文書に対する納品書の控えであり、上記取引手順(iii)が行われたことを立証するものである。
上記納品書の控えに記載された宛名は、「株式会社米田商店」であり、かつ、当該控えの左下の摘要欄には、乙第7号証の注文書の左上に記載された米田商店の注文書番号「No.14050034」の記載がある。
したがって、乙第21号証が、乙第7号証の注文書に対する納品書の控えであること、すなわち、乙第7号証の注文書により発注された商品「バルブ」が、実際に米田商店(納品場所は、神戸製鋼所)へ納品されたことが分かる。
(エ)乙第22号証
乙第22号証は、2014年8月31日までに行われた本件商標権者と米田商店との取引に関する請求書の控えである。
上記請求書の控えのうち、伝票日付が「14/8/22」の伝票No.「280229」は、乙第21号証の納品書の右上に記載された伝票番号と一致するものであり、さらに、当該伝票番号に係る品名、数量、単価及び金額は、乙第7号証の注文書に記載されたWAFER CHECKバルブの注文内容及び乙第21号証の納品書に記載された納品内容と一致する。
そして、通常の商取引において、注文された商品を納品せずに代金を請求することは考えられない。
したがって、本件商標権者は、乙第22号証のとおり、請求を行っていることから、本件商標権者と米田商店との間で、実際に乙第7号証に関する取引があったことは明らかである。
イ 乙第8号証に関する取引について
(ア)乙第23号証
乙第23号証は、乙第8号証の注文書に対する納品書の控えであり、当該控えの左下の摘要欄には、乙第8号証の注文書の左上に記載された米田商店の注文書番号「No.14050200」の記載がある。
したがって、乙第23号証が、乙第8号証の注文書に対する納品書の控えであること、すなわち、乙第8号証の注文書により発注された商品「バルブ」が、実際に米田商店(納品場所は、神戸製鋼所)へ納品されたことが分かる。
(イ)乙第24号証
乙第24号証は、2014年11月31日(審決注 「30日」の誤記と認める。)までに行われた本件商標権者と米田商店との取引に関する請求書の控えである。
上記請求書の控えのうち、伝票日付が「14/10/3」の伝票No.「280284」は、乙第23号証の納品書の右上に記載された伝票番号と一致するものであり、さらに、当該伝票番号に係る品名、数量、単価及び金額は、乙第8号証の注文書に記載された注文内容及び乙第23号証の納品書に記載された納品内容と一致する。
そして、通常の商取引において、注文された商品を納品せずに代金を請求することは考えられない。
したがって、本件商標権者は、乙第24号証のとおり、請求を行っていることから、本件商標権者と米田商店との間で、実際に乙第8号証に関する取引があったことは明らかである。
(5)乙第7号証及び乙第8号証に関する取引において本件商標が使用されていること
本件商標の使用が認められるためには、(i)本件商標「GOODWIN」が、(ii)本件商標権者によって、(iii)要証期間内に、(iv)日本国内において、(v)指定商品「バルブ」について使用されていることを証明する必要があるが(商標法第50条第2項)、本件商標は、以下のとおり、本件商標権者により紛れもなく使用されている。
ア 上記要件(i)について
既述のとおり、本件商標権者は、その図面が自社の図面であり、自社が扱うどのバルブの図面であるかを一目で分かるようにするため、商品(バルブ)に応じた自身の登録商標を図面に付しているところ、乙第17号証の3ないし乙第17号証の5及び乙第18号証の2に表示された本件商標も同様の理由により付されたものである。
なお、本件商標権者は、図面の大きさに合わせて登録証を拡大又は縮小してコピーし、それを適当な大きさに切り取って図面に貼付した後、更にそれをコピーして図面の作成を行っている。
イ 上記要件(ii)について
乙第17号証の1ないし乙第17号証の7は、乙第7号証の注文書に対応して提出された図面一式であり、乙第18号証の1及び乙第18号証の2は、乙第8号証の注文書に対応して提出された図面一式であるところ、それぞれの図面の表紙である乙第17号証の1及び乙第18号証の1には、本件商標権者の社名である「KVC CO.,LTD.」の表示及び「KVC CO.,LTD.」の語を含む日付印が押されていることから、乙第17号証の1ないし乙第17号証の7並びに乙第18号証の1及び乙第18号証の2は、本件商標権者により作成されたものであって、それらにおいて表示された本件商標「GOODWIN」は、本件商標権者により付されたものである。
ウ 上記要件(iii)について
本件審判の要証期間は、平成24年(2012年)5月15日から平成27年(2015年)5月15日(審決注 「14日」の誤記と認める。)であるところ、乙第17号証の1ないし乙第17号証の7の図面一式が米田商店へメール送信されたのは2014年5月19日であるから、当該図面一式は、要証期間内に米田商店へ送られたことが明らかである。
また、乙第8号証に関する取引においては、注文書(乙8)の日付が2014年5月30日であり、納品書(乙23)の日付が同年10月3日であるところ、上述した取引手順によれば、図面は、注文書の受領後、納品前に提出されるので、乙第8号証の注文書に対応して提出された図面一式(乙18の1及び乙18の2)は、要証期間である2014年5月30日から同年10月3日の間に米田商店へ提供されたことになるから、当該図面一式は、要証期間内に米田商店へ送られたことが明らかである。
エ 上記要件(iv)について
本件商標権者及び米田商店は、いずれも日本国内にある企業であり、また、注文書(乙7、乙8)、納品書(乙21、乙23)、請求書(乙22、乙24)、乙第7号証の注文書を送ったメール(乙19)及び乙第17号証の1ないし乙第17号証の7の図面一式を送ったメール(乙20)の全てが日本語で記載されたものであることから、乙第7号証及び乙第8号証に関する取引は、日本国内で行われたことが明らかである。
オ 上記要件(v)について
乙第17号証の3ないし乙第17号証の7及び乙第18号証の2は、いずれもバルブの図面であり、また、乙第7号証及び乙第8号証に関する取引は、いずれもバルブに関するものである。
ここで、取引書類とは、注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品受領書、カタログ等とされている(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説[第19版]第1267頁)ところ、本件図面(乙17の3ないし乙17の7、乙18の2)は、注文書(乙7、乙8)により受注したバルブの取引において、当該取引のために提出されたものであり、上記注文書等と異なる扱いをされる理由はない。
したがって、本件図面は、バルブに関する取引書類に該当するものであり、当該図面には、本件商標が付されている。
カ 本件商標の使用について
本件商標権者が本件商標を商品「バルブ」に関する取引書類(図面)に付して米田商店へ提出する行為は、商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当するものであり、当該行為は、上記アないしオのとおり、本件商標権者により、要証期間内に、日本国内において行われたものである。
したがって、本件商標は、本件商標権者により、要証期間内に、日本国内において、商品「バルブ」について使用されたことは明らかである。
(6)乙第9号証及び乙第11号証について
乙第9号証及び乙第11号証については、誰の注文に対して作成されたものであるかを明らかにする証拠物件を確認することができなかったが、何らの注文もなく、図面を作成することなど到底考えられないことから、乙第9号証及び乙第11号証は、乙第7号証及び乙第8号証に関する取引の手順と同様に、注文主へ提出されたものであることが明らかである。
そして、乙第9号証の日付印は、「2013年3月17日」、乙第11号証の日付印は、「2014年6月14日」であって、いずれも要証期間内であり、また、乙第9号証及び乙第11号証の各図面は、商品「バルブ」に関するものであって、本件商標が表示されている。
したがって、本件商標は、乙第9号証及び乙第11号証によっても、本件商標権者により、要証期間内に、商品「バルブ」について使用されたことが認められる。

4 平成28年3月25日付け上申書
(1)顧客が本件商標に接する機会について
ア 本件商標が使用されるバルブに係る取引について
(ア)本件商標権者がバルブのメーカーであることは、既述のとおりであるところ、本件商標権者が製造するバルブの品質の良さは、日本を代表する鉄鋼メーカーである神戸製鋼所も認めるところであり、多くの本件商標権者の製品が、神戸製鋼所の数ある製鉄設備等に採用されている。
本件商標権者は、1987年頃から、米田商店を通じて、神戸製鋼所との取引を行っており、その実績は、種々のバルブを年間約6,000個神戸製鋼所に販売しているというものである。
本件商標権者は、10年前から、約25種類ある自己製造の商品「バルブ」のうち、本件チェッキバルブについて、本件商標を使用し、米田商店を通じて販売しているところ、本件チェッキバルブは、数ある神戸製鋼所の大型コンプレッサ製造のための試運転設備に設置され、また、小型コンプレッサについては、コンプレッサ内部の逆止弁としても採用されており、さらに、神戸製鋼所以外にも販売され、流通している。
(イ)本件商標権者は、商品「バルブ」を製造する前に、本件商標を付した本件チェッキバルブの図面を米田商店や神戸製鋼所へ送り、その内容について承認を得ているところ、米田商店及び神戸製鋼所の担当者には、長年にわたるやりとりを通じて、本件商標が本件チェッキバルブを表す商標であり、本件商標が使用されるバルブは、同一の機能及び品質を有したものであることが浸透している。
すなわち、米田商店及び神戸製鋼所の担当者は、本件商標の表示を認識することにより、取引に係るチェッキバルブが、長年にわたり注文取引をしている同一の機能及び品質を有するバルブであることを認識し、他社又は他種類のバルブと容易に区別することができる。
(ウ)本件チェッキバルブに係る取引は、エンドユーザーである神戸製鋼所その他のユーザー、エンドユーザーとメーカーとを仲介する商社の米田商店、メーカーである本件商標権者の3社によって行われる。
神戸製鋼所は、上述のとおり、日本を代表する鉄鋼メーカーであるとともに、大型又は小型のコンプレッサの世界的なメーカーでもあり(乙25)、また、米田商店は、明治13年に創立された兵庫県神戸市に本社を置く商社であって(乙26)、主にバルブを中心とする配管用器材を扱っており、多数のバルブメーカーとの取引がある(乙27)。そして、神戸製鋼所と米田商店とは約50年間、本件商標権者と米田商店とは約30年間、神戸製鋼所と本件商標権者とは約30年間、取引を行っている。
(エ)上記3社間における本件チェッキバルブの取引の流れは、乙第7号証に関する取引に当てはめた場合、以下のとおりである(当該取引の流れについては、参考資料1を参照)。
a 神戸製鋼所から米田商店への発注
乙第7号証に関する取引は、神戸製鋼所が採用する本件チェッキバルブの交換のために米田商店へ発注されたものである。
神戸製鋼所から米田商店への発注の際には、神戸製鋼所の他の設備の部品との取り違えを避けるため、「発注した部品を用いる設備名」及び「神戸製鋼所の管理番号」が伝えられ、また、それらは、本件商標権者が、直接、神戸製鋼所へ商品「バルブ」を納品することがあるため、本件商標権者へも通知されるところ、乙第7号証に関する取引においては、注文書(乙7)に記載された「WETスクリュ試運転設備 412-B853-701」やメール(乙19、乙20)に記載された「経常工事:新設スクリュ圧縮機試運転設備 412-B853-701」等が該当する。
b 米田商店から本件商標権者への発注
(a)神戸製鋼所から本件チェッキバルブの注文を受けた米田商店は、2014年5月9日付けメール(乙19)に添付して、本件商標権者へ注文書(乙7)を送付した。
米田商店から本件商標権者への発注の際には、他の案件との間違いを避けるため、注文書に米田商店の管理番号が記載されるところ、乙第7号証に関する取引においては、注文書(乙7)の左上に記載された「No.14050034」が該当する。
そして、上記管理番号は、取引の管理上、図面表紙(乙17の1における「R.O.No.14050034」)や納品書の控え(乙21における「14050034」)といった一連の取引書類にも表示される。
(b)神戸製鋼所の承認を得るために作成した図面表紙(乙17の1)、バルブリスト一覧表(乙17の2)及び承認を得るための具体的な図面(乙17の3ないし乙17の5)の関連性は、それぞれに記載された神戸製鋼所の管理番号(412-B853-701)と各図面番号(TC0-W-S4-E-140414-1(乙17の3)、TC0-W-S4-E-1404-1(乙17の4)、TC0-S4-S4-E-140414-1(乙17の5))の全てが一連につながっていることから分かる。
したがって、本件商標が表示された図面(乙17の3ないし乙17の5)は、神戸製鋼所に対し、当該図面に記載されたバルブを納品するために承認申請をした図面である。
c 本件商標権者から米田商店への図面等(乙17の1ないし乙17の7)の送信(乙20)
(a)本件商標権者は、2014年5月19日付けメール(乙20)に、注文を受けた本件チェッキバルブに係る図面一式(乙17の1ないし乙17の7)を添付して、米田商店の担当者へ送付した。
上記図面の表紙(乙17の1)には、既述の神戸製鋼所の管理番号「412-B853-701」及び米田商店の管理番号「14050034」に加え、本件商標権者の管理番号「D328095」も記載されており、エンドユーザー(神戸製鋼所)、商社(米田商店)及びメーカー(本件商標権者)の3社は、各自の管理番号を図面の表紙に記載することで、混乱なく取引を行っている。
そして、本件商標権者は、乙第17号証の3ないし乙第17号証の5の図面が本件チェッキバルブのものであることを取引者である米田商店や需要者である神戸製鋼所が一目で分かるように、当該図面に本件商標を付していることから、当該図面に付された本件商標は、本件商標権者から米田商店、神戸製鋼所へと流通する過程で、商標としての出所表示機能、自他商品識別機能、品質保証機能を発揮している。
(b)上記送付された図面(乙17の3ないし乙17の5)からも分かるように、本件チェッキバルブは、既製品ではなく、神戸製鋼所の設備に適合した特注品であり、注文時に受けた素材やサイズに関する指示に適合するように個別に製造するものである。
そこで、注文を受けた本件商標権者は、まず、注文内容に沿った図面を作成し、それを米田商店や神戸製鋼所に送付して、注文内容が正しく伝わっているかの確認をした後、米田商店や神戸製鋼所による承認を経て、図面どおりのバルブを製造し、納品する。このようなやりとりが通常行われていることは、図面の表紙(乙17の1)における本件商標権者の社名の下に、「出図後15日以内にご承認返却なき場合は承認されたものとして、本図面通り、制作させて頂きます。」と記載されていることからも明らかである。
(c)上記(a)及び(b)によれば、本件商標が付された図面(乙17の3ないし乙17の5)が米田商店の担当者及び神戸製鋼所の担当者へ送付されたことは明白であり、また、米田商店及び神戸製鋼所は、当該図面の確認をする際に、図面に表示された本件商標を目にすることで、当該図面が本件チェッキバルブの図面であり、納品される商品が本件チェッキバルブであることを認識する。
さらに、米田商店及び神戸製鋼所は、これまでの使用実績から、同一機能、同一品質の本件チェッキバルブが納品されるとの安心感を得る。
したがって、上記図面に付された本件商標は、商標としての出所表示機能、自他商品識別機能、品質保証機能を発揮している。
なお、上記図面に対する最終的な承認権限を有する者は、本件チェッキバルブの発注者であり、かつ、エンドユーザーである神戸製鋼所であるから、その図面の表紙(乙17の1)の宛名は、神戸製鋼所(Kobe Steel,Ltd.)となっている。
d 本件商標権者による本件チェッキバルブの納品(乙21)
本件商標権者は、上記図面(乙17の3ないし乙17の5)について米田商店及び神戸製鋼所による承認を得たので、注文を受けたバルブを製造し、2014年8月22日に納品した。
e 本件商標権者から米田商店への請求(乙22)
本件商標権者は、乙第7号証に関する注文品の納品が滞りなく済んだため、米田商店に対し、本件取引代金の請求を行った。
イ 取引に係る顧客について
乙第7号証に関する取引の一連の流れは、上記アのとおりであるところ、当該取引における本件商標権者の直接の顧客は、仲介者である米田商店であるものの、本件商標を用いた本件チェッキバルブのエンドユーザーは神戸製鋼所であることから、神戸製鋼所も本件商標権者の顧客となる。
また、本件チェッキバルブは、神戸製鋼所以外の企業からも発注があり、その近年における発注数量は、神戸製鋼所からのものを超えている。
ウ 顧客が本件商標に接する機会について
本件商標が付された図面は、上述のとおり、米田商店の担当者へ送付され、その後、米田商店の担当者から神戸製鋼所の担当者へ送付されるところ、米田商店の担当者は、神戸製鋼所の担当者への送付前にその内容を確認することから、当然に当該図面に付された本件商標を目にする。
また、本件商標が付された図面は、米田商店を経て、神戸製鋼所へ送付されるところ、神戸製鋼所の担当者は、受け取った当該図面の内容を確認することから、その確認の際に、当該図面に付された本件商標を目にする。
(2)請求人提出の口頭審理陳述要領書における質問に対する回答
ア 納品先を神戸製鋼所とする指示を示す資料の提出について
(ア)請求人は、納品先を神戸製鋼所とする指示を示す資料の提出を求めているが、米田商店からの注文書(乙7)に係る取引が実際に行われたことは、本件商標権者が米田商店へ図面一式を送付した際のメール(乙20)及び当該メールに添付した図面一式(乙17の1ないし乙17の7)、本件商標権者から米田商店へ宛てた納品書(乙21)及び請求書(乙22)によって明らかであり、また、乙第17号証の3ないし乙第17号証の5の図面には、本件商標が明示されている。
そして、納品先がどこであるかは、本件商標の使用の有無の判断に何ら影響を与えるものではない。
(イ)請求人は、被請求人が、答弁書において、当初、乙第9号証及び乙第11号証を乙第7号証及び乙第8号証の取引に関する図面と誤解するような主張を行っていた、と主張する。
しかしながら、被請求人は、乙第9号証及び乙第11号証について、図面等の一例であると断った上で説明を行っており、これらを乙第7号証及び乙第8号証に関する取引図面であるなどとは述べておらず、請求人が主張する誤解を招くような主張もしていない。
また、審理事項通知書においても、乙第7号証及び乙第8号証の注文書に対してどのような図面を提出したかが明らかでないと指摘されていることから、請求人が主張する誤解が生じていないことは明らかである。
(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、乙第17号証をにわかに採用することができないとする請求人の主張は、根拠がないものであるから、乙第17号証は、証拠として採用されて然るべきものである。
なお、請求人は、乙第18号証についても同様の質問をしているが、これに対する回答も上記と同様である。
イ 図面作成者等と本件商標権者との関係について
(ア)請求人は、図面作成者と本件商標権者との関係や、図面作成日を明らかにすることを求めているが、これらの事項は、本件商標の使用の有無の判断に何ら関係のないものである。
また、乙第17号証の3ないし乙第17号証の5の図面は、確かに本件商標権者が作成したものであり、図面を英語で作成するのは、本件商標権者のバルブがアメリカ石油協会の定める石油に関する規格であるAPI規格(乙28)に準拠したものであって、当該規格に則った記載をする際に、英語による方が適切な表現をすることができるためである。
(イ)請求人は、本件商標権者が図面を流用している可能性があるとの主張をしているが、全く根拠のないものである。請求人は、そのような主張をするのであれば、本件商標権者が請求人のどの図面を流用しているのか、その証拠を提出すべきである。
なお、請求人は、乙第18号証についても同様の質問をしているが、これに対する回答も上記と同様である。
ウ 図面の表紙等が英語で記載されている理由について
請求人が説明を求めている、図面の表紙、仕様概要及び各図面が英語で記載されている理由は、上記イにおいて述べたとおり、本件商標権者のバルブがAPI規格に準拠したものであって、当該規格に則った記載をする際に、英語による方が適切な表現をすることができるためである。
また、本件商標権者の社内スタッフは、欧米人が多く、通常の会話においても英語が使用されることが多いため、図面や仕様概要が英語表記になることは否めないことである。
したがって、本件商標権者が図面の表紙や仕様概要等を英語で作成することには、合理的な理由があり、何ら疑義を生じさせるものではない。
(3)乙第17号証の1及び乙第18号証の1における「Messengers」の記載の意味について
乙第17号証の1及び乙第18号証の1における「Messengers」の記載は、本件商標権者が確認したところ、「御中」を表す略称「Messrs.」の正式なつづりである「Messieurs」と勘違いして「Messengers」と記載した単純なタイプミスであった。
なお、上記タイプミスについては、その後、すぐに気がつき、以後の表示では「Messrs」としている(乙29)。
(4)口頭審理における新たな主張について
ア 本件商標権者のカタログに本件商標の表示がないことについて
本件商標権者は、本件商標を「2枚の蝶羽根の開閉による逆止弁機能」を特長とする本件チェッキバルブに使用しているところ、既述のとおり、当該バルブは、神戸製鋼所から特注される製品であり、他の企業からも特注されるものである。
したがって、本件商標権者は、その注文の特殊性から、一般向けのカタログに本件商標の表示や本件チェッキバルブを掲載する必要はないと考えており、通常、口伝や評判により、「本件商標権者のGOODWINのDUAL PLATE CHECK VALVE」として注文を受けているのが実情である。
なお、本件商標がカタログに掲載されていないからといって、本件商標が使用されていないとの単純な論理になるものではない。
イ 乙第19号証及び乙第20号証のメールの件名が「経常工事:新設スクリュ圧縮機試運転設備 412-B853-701」であることについて
乙第19号証及び乙第20号証のメールの件名は、「経常工事:新設スクリュ圧縮機試運転設備 412-B853-701」と記載されているところ、その名称は、神戸製鋼所が定めるものであり、案件の取り違え等を防止するために、米田商店へ通知されるものである。
そして、上記件名が「経常工事」や「試運転設備」となっているため、当該件名に係るメールがバルブの取引に関するものであるのか疑義が生じていると考えられるところ、米田商店が、バルブを中心とする配管用器材を扱う商社であって、建設工事会社ではないことは明らかであり(乙26、乙27)、また、本件商標権者が、バルブのメーカーであることについても疑いの余地はない(乙2ないし乙4)。
さらに、注文書(乙7)の左下にある摘要欄には、上記件名と実質的に同一の「WETスクリュ試運転設備 412-B853-701」と記載されているところ、当該注文書は、商品「バルブ」を発注するものである。
したがって、上記件名として「経常工事:新設スクリュ圧縮機試運転設備」の記載があるとしても、これは、他の案件と区別しやすいように、注文に係るバルブが使用される設備を記載したにすぎないものであり、当該件名に係るメールは、試運転設備の工事を依頼するものではなく、バルブを注文するために送信されたものであるから、当該件名に係るメールがバルブの取引に関するものであることについて何ら疑義を生じさせるものではない。
ウ 請求人提出の口頭審理陳述要領書における主張に対する反論
(ア)米田商店からの受領確認等の返信について証拠が提出されていないことについて
請求人は、米田商店からの受領確認等の返信について証拠が提出されていないことから、米田商店が乙第17号証の1ないし乙第17号証の7の図面一式を受領していたか疑義がある旨主張する。
しかしながら、本件商標権者と米田商店とは、約30年間にわたり取引を行っていて、信頼関係が構築されており、また、両社間の取引件数が大量で、毎日、多くのメールでのやりとりがされていることから、受領返信がされない場合や、電話で受領返信をする場合もある。
そして、乙第7号証の注文書に関するバルブが納品されたことは、乙第21号証の納品書により明らかであり、また、米田商店は、当該注文書において、図面も要求しているところ、その図面の受領がないまま、本件商標権者が、米田商店に対し、納品を行ったり(乙21)、商品代金の請求を行ったり(乙22)することは、通常のビジネスにおいて考えられない。
したがって、米田商店が乙第17号証の1ないし乙第17号証の7の図面一式を受領したことは、明らかである。
(イ)乙第21号証ないし乙第24号証に本件商標が付されていないことについて
請求人は、乙第21号証ないし乙第24号証には本件商標が付されていないから、本件商標権者及び米田商店は、本件商標権者の商品納品の際に、本件商標を認識していない旨主張する。
確かに、乙第21号証ないし乙第24号証に本件商標が付されていないことは、被請求人も認めるが、これらの号証は、本件チェッキバルブが滞りなく納品されたことを立証し、その結果、本件商標が付された図面が米田商店及び神戸製鋼所へ送付されたことを証明するために提出したものである。
そして、既述のとおり、本件商標が表示された乙第17号証の3ないし乙第17号証の5及び乙第18号証の2の図面が米田商店及び神戸製鋼所へ送付されたことは、明らかである。
したがって、本件商標権者、米田商店及び神戸製鋼所は、本件チェッキバルブの取引において、本件商標を認識している。
(ウ)乙第7号証及び乙第8号証に関する取引の中で本件商標が使用されていることについて
a 被請求人が述べた、本件商標権者は、その図面が自社の図面であり、自社が扱うどのバルブの図面であるかを一目で分かるようにするため、商品(バルブ)に応じた自身の登録商標を図面に付している、とは、取引先である米田商店及び神戸製鋼所が、その図面が本件商標権者の図面であり、本件商標権者が扱うどのバルブの図面なのかを一目で分かるようにするため、商品(バルブ)に応じた本件商標権者の登録商標を図面に付している、という意味である。
すなわち、本件商標権者は、米田商店及び神戸製鋼所に対し、2枚の蝶羽根の開閉による逆止弁機能を特長とする自社の「DUAL PLATE CHECK VALVE」であることを知らしめるために本件商標を付しているのであり、自社内部における図面の整理等のためのインデックスとして付したものではない。通常、書類や図面の整理のために使用するインデックスであれば、わざわざ商標を使用する必要はなく、もっと簡便な符号を用いることが、ビジネス業界のプラクティスといえる。
b 請求人は、商標法第73条に規定する登録商標の表示と同法第2条に規定する商標の使用とは目的が異なるなどと主張する。
しかしながら、被請求人が行った商標法第73条に関する主張は、本件商標権者による本件商標の表示のうち、「登録商標」及び「登録第4426188号」の部分のみが日本語で表示されており、不自然であるなどといった請求人の主張に対する説明として行ったものであり、登録商標とともに登録番号等を記載することは、登録商標の表示方法として、何ら不自然なものではないことを主張したものである。
c 本件商標権者が本件チェッキバルブの取引に際して図面に付した本件商標は、上述のとおり、出所表示機能、自他商品識別機能、品質保証機能といった商標の機能を発揮していることから、当該本件商標の表示は、商標法上の使用そのものである。
また、要証期間内に、商品が納品され(乙21、乙23)、その代金が請求されている(乙22、乙24)ことから、本件商標権者が、要証期間内に、本件チェッキバルブを製造し、売買取引が成立していたことが分かるところ、既述のとおり、本件商標権者によるバルブの製造は、米田商店及び神戸製鋼所が図面内容を確認し、承認した後でなければ行われないものであり、その承認がないときに、商品が納品されたり、代金の請求がされることはないから、本件商標権者による出図後に、米田商店及び神戸製鋼所が図面を確認して承認したという事実は、自ずと明らかになる。
そうすると、本件商標が付された図面(乙17の3ないし乙17の5及び乙18の2)が要証期間内に米田商店へ送られて受領されたという事実は、明らかである。
d 本件商標が付された図面の表紙や仕様概要等が英語で記載されていることには、上記(2)ウで述べたとおり、合理的な理由があり、何ら疑義を生じさせるものではない。
e 請求人は、図面について、文書ではなく、取引書類として示されているものではないから、本件商標の使用証拠として認められない旨主張する。
しかしながら、工業所有権法(産業財産権法)逐条解説[第19版]には、取引書類に当たる文書等の具体例が示されており、図面が当該例示された文書等に添付されたものであれば、当然に文書や取引書類の一部に該当することは明らかであり、商標が図面に表示されていることをもって登録商標の使用を認定した審決例もある(乙30)。

5 平成28年5月9日付け上申書
(1)バルブに係る取引について
ア 請求人は、発注書(乙7)、納品書(乙21、乙23)、請求書(乙22、乙24)に本件商標の表示がない旨述べているが、これらの書類は、乙第7号証及び乙第8号証に係る取引が行われたことを立証するものであり、本件商標が表示された図面(乙17の3ないし乙17の5、乙18の2)は、当該取引において、顧客に渡されている。
イ 請求人は、米田商店が2014年5月19日のメール(乙20)送信を受領した事実が証明されていないことから、本件図面が米田商店へ確かに納品されたかが依然不明である旨述べている。
しかし、既述のとおり、本件商標権者は、米田商店に対し、乙第7号証に係る取引についての代金を請求している(乙22)ところ、乙第7号証の発注書における「図面」の欄にチェックがされているとおり、米田商店は、当該発注の際に、バルブの図面も要求している。
そして、商取引において、納品が完了していないにもかかわらず代金を請求することは考え難いことから、本件図面一式(乙17の1ないし乙17の7)が米田商店に納品されたことが推認できる。
なお、上記メール(乙20)の添付書類については、確認の上、後日提出する。
ウ 請求人は、本件図面の送付が顧客による商品選択完了後になされることから、本件図面に付された本件商標の表示は、自他商品識別機能を発揮した状態での使用ではない旨主張する。
しかし、「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」は、標章の使用に該当するものであり(商標法第2条第3項第8号)、また、「取引書類」とは、注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品受領書、カタログ等とされているところ、注文書、納品書、送り状、出荷案内書及び物品受領書は、商品の選択が完了した後に作成されるものである。
さらに、米田商店を介して行われる「GOODWIN」商品の神戸製鋼所への販売は、1回限りではなく、反復継続的に行われており、その販売の都度、本件商標が表示された図面が納品されていることから、顧客は、そのような取引を通じて、当該図面に表示された本件商標を目にし、それが本件商標権者のバルブに係る商標であると認識しており、米田商店及び神戸製鋼所の各担当者は、これまで行ってきた取引から、自ら注文するバルブが本件商標に係る商品であることを認識し、注文を行っている。
よって、本件図面に付された本件商標の表示は、自他商品識別機能を発揮している。
エ 請求人は、本件チェッキバルブについて、長年の取引があり、特注品と認識している米田商店や神戸製鋼所は、注文時に「GOODWIN」を指定するはずであるが、注文書(乙7)には製品番号や仕様を表す番号が表示されているにすぎないから、「GOODWIN」の表示は、顧客である米田商店や神戸製鋼所においても商標として認識されていない旨主張する。
しかし、ある商標が複数のバリエーションを持つ一連のシリーズ商品全体の商標として用いられることは、よくあることであるところ、本件「GOODWIN」商品についても同様に、仕様が異なる商品が存在しており(乙17の3ないし乙17の5、乙18の2)、そのような商品を発注する際には、誤りがないように、商標ではなく、正式名称、型番、品番等により注文品を特定することが一般的と考える。
したがって、乙第7号証の注文書に製品番号や仕様を表す番号しか表示されていないことは、当然であり、また、注文書に「GOODWIN」の表示がないとしても、何ら不自然なことではないから、その表示がないことをもって、直ちに顧客が商標として認識していないとはいえない。
オ 請求人は、本件チェッキバルブが、既製品ではなく、神戸製鋼所の設備に適合した特注品であり、注文時に受けた素材やサイズに関する指示に適合するように個別に製造するものであることをもって、本件商標を付した本件図面は、受託によるバルブの製造という役務(第40類)に資するものであり、「商品」に資するものとはいえない旨主張する。
しかし、本件商標権者は、これまでに30件近い商標権を取得(乙5)しており、例えば、「TOP ENTRY TYPEのBALL VALVE」に登録商標「ITAG」(乙12)、「FULL BORE TYPEのBALL VALVE」に登録商標「KUGEL-H」(乙13、乙14)のように、当該商標権に係る登録商標を自社のバルブの種類ごとに使い分けている。
そして、本件商標は、既述のとおり、「DUAL PLATE CHECK VALVE」に使用している。
したがって、本件商標権者は、自己の登録商標を商品「バルブ」に使用しているのであり、本件商標は、「バルブの製造」という役務に使用されているものではなく、商品「バルブ」に使用されているものである。
(2)取引に係る顧客について
取引書類である図面の表紙(乙17の1、乙18の1)には、宛名として、「Kobe Steel,Ltd.」と記載されており、本件図面が神戸製鋼所宛てのものであることは明らかであるから、神戸製鋼所も取引に係る顧客であることに疑いの余地はない。
(3)顧客が本件商標に接する機会について
請求人は、顧客である米田商店及び神戸製鋼所が本件商標を目にするのは、発注後に本件図面が送付されたときであり、また、本件商標権者の商品カタログには本件商標が使用されておらず、注文書(乙7)にも本件商標の記載がないことからすると、本件図面における「GOODWIN」の表示が品質保証機能を果たしているとは考えられない旨主張する。
しかし、既述のとおり、顧客は、本件商標が使用されるバルブに係る取引を行うたびに、本件商標が付された図面を目にすることから、自ら注文するバルブが本件商標が使用されるバルブであることを認識しているし、当該バルブの品質に満足していることから、再びその注文をするのであり、その注文に係るバルブには本件商標が使用されている。
したがって、本件図面に付された本件商標は、品質保証機能を発揮している。
(4)納品先を神戸製鋼所とする指示を示す資料の提出について
請求人は、納品先である顧客が商品名を「GOODWIN」と認識していたか否かは、商標法上の使用であるかを判断するために最も重要な点であるところ、本件商標が注文時に全く表示されていない本件の場合、本件商標は、本件商標権者の商品を表示する識別標識として使用されているとはいえない旨主張する。
しかし、顧客が本件商標を本件商標権者の商品を表示する識別標識として認識していることは、既述のとおりであり、また、本件商標が商品「バルブ」に使用されていることは、被請求人によるこれまでの主張及び立証により明らかと考える。
なお、請求人が申し出る証人尋問の必要性を検討するときは、本件商標権者の今後の取引への影響も考慮されたい。
(5)乙第17号証の1及び乙第18号証の1における「Messengers」の記載の意味について
請求人は、被請求人が述べた本件商標権者の社内環境を引用しつつ、最重要の取引先へ送付される書類上で単純なタイプミスが生じる理由が理解できない旨述べているが、英語を使用する機会の多い職場であっても、英語に精通していない従業員もおり、また、どんなに細心の注意を払っていても、単純なミスは起こり得るものである。
(6)乙第19号証及び乙第20号証のメールの件名について
請求人は、米田商店のホームページにおける会社概要に「配管用器材の販売、修理、各種金網製造、フィルター、フルイ、振とう器」と記載されていることをもって、乙第19号証及び乙第20号証のメールがバルブ商品を発注するために送信されたメールであるとする被請求人の主張は、採用されるべきではない旨主張する。
しかし、企業が、自己のホームページにおける会社概要に主業務のみならず、携わる可能性がある業務を併記することは、一般的に行われていることである。
そして、米田商店のホームページのトップページ(乙31)には、「バルブシステムを中心とした工業部品・機械の豊富な納入実績による高い専門性」の記載があるほか、「取扱いメーカー一覧」があり、それをクリックすると、多数のバルブ等のメーカーが表示される(乙32)。同じく、トップページにある「在庫処分品一覧」をクリックすると、「在庫処分品につき、特別価格にてご提供!」の下に「GATE」等の表示がされ(乙33)、例えば、「GATE」をクリックすると、商品の一覧が表示される(乙34)。
このように、米田商店のホームページは、バルブの販売に関する情報がほとんどであり、修理に関する具体的な情報は見当たらないことから、米田商店の主業務がバルブの販売であることは一目瞭然である。
また、仮に、上記メールが工事の依頼に係るものである場合、注文書(乙7)や納品書(乙21)には、「○○工事」や「○○修理」といった件名、工事(修理)の期間及び場所等が記載されるはずであるが、当該注文書及び納品書には、そのような記載が一切ないことからすれば、それらが工事に関する書類とみるのは不自然である。
さらに、本件商標権者がバルブメーカーであることからも、上記メールに係る取引がバルブの販売に関するものであることは、明らかである。
(7)口頭審理における新たな主張について
本件商標が付された図面が顧客である米田商店及び神戸製鋼所へ渡されていることは、被請求人のこれまでの主張により、明らかであり、本件商標は、商品「バルブ」に使用されている(商標法第2条第3項第8号)。
また、本件商標権者が本件商標を図面に表示する目的は、既述のとおり、自社内の図面の取違いを防止することではない。
さらに、被請求人が挙げた審決例(乙30)において、商標権者が、登録商標を表示した図面を作成し、それを顧客へ提示して商品説明を行い、その後、当該商品の注文があったとの事実認定がされたことは認めるが、請求人が主張する「商標が図面に表示されていることをもって登録商標の使用を認定したものではなく、注文時に識別標識機能を果たしていた点で登録商標の使用を認めたものである。」との記載は、審決においてなされておらず、あくまでも請求人の憶測にすぎない。
そして、被請求人が上記審決例を挙げた趣旨は、図面が取引書類として扱われていることを立証するためであり、本件においても同様に、本件図面は、取引書類として扱われるべきである。

6 平成28年6月6日付け上申書
被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標権者が本件商標を本件指定商品に使用していたことを明らかにするため、新たな証拠を提出する。
(1)乙第19号証の転送前のメールについて
乙第19号証のメール(写し)が社内での転送後のものであり、また、メールのやりとりの一部であったため、転送前のやりとりの全てを提出する(乙35の1ないし乙35の4)。これらにより、乙第7号証に係る注文が、バルブに関するものであり、かつ、神戸製鋼所から、米田商店を通して、本件商標権者へ行われたことが分かる。
ア 神戸製鋼所の担当者は、2014年(平成26年)4月14日、米田商店に対し、スクリュ圧縮機試運転設備用のバルブの見積りを依頼した(乙35の4における「A」部参照)。
上記見積依頼に係るメールには、「経常工事でスクリュ圧縮機の試運転設備の新設があり御見積もり依頼のメールをさせて頂きました。添付エクセルに記載しております、手動弁・ストレーナー・逆止弁が必要です。」の記載があることから、当該依頼が、工事そのものの依頼ではなく、新設する設備に必要なバルブに関する依頼であることが分かる。
また、上記メールには、「短納期となっておりますので1日でも早いとありがたいです。」の記載があることから、当該メールに係る依頼が至急案件であったことが分かる。
イ 米田商店の担当者は、上記アに述べた神戸製鋼所からの依頼を受けて、同日に、本件商標権者の担当者に対し、バルブについての見積りを依頼した(乙35の4における「B」部参照)。
上記見積依頼に係るメールには、「バルブについて見積りをお願いいたします」の記載があることから、当該依頼がバルブに関するものであることは、明らかである。
ウ 本件商標権者の担当者は、2014年(平成26年)4月18日、米田商店の担当者に対し、見積りを送った(乙35の3における「C」部参照)後、同月22日、改正見積りを送った(乙35の3における「D」部参照)。
なお、上記見積りの改正は、米田商店の担当者から仕様の変更依頼があったために行ったものであり、「変更点:Dual Plate Seat:EPDM → Metal(Stellite)」とあるとおり、Dual Plate Seatの素材をゴム製から金属製に変更した。
エ 米田商店の担当者は、2014年(平成26年)5月8日、本件商標権者の担当者に対し、再見積りの依頼をした(乙35の2における「E」部参照)。これに対し、本件商標権者の担当者は、同日に、米田商店の担当者に対し、再見積りを送った(乙35の3における「F」部参照)ところ、米田商店の担当者は、同日に、本件商標権者の担当者に対し、値引きの依頼をした(乙35の1における「G」部及び乙35の2における「H」部参照)。
オ 本件商標権者の担当者は、2014年(平成26年)5月9日、米田商店の担当者に対し、見積りを送った(乙35の1における「I」部参照)。これに対し、米田商店の担当者は、本件商標権者の担当者に対し、注文書(乙7)を送った(乙35の1における「J」部参照)。
そして、乙35の1における「J」部にあるメールには、添付ファイルとして、「注文書14050034」の記載があり、その注文書番号は、乙第7号証に係る注文書番号と一致するものであるから、乙第35号証(乙19)に係るメールに乙第7号証に係る注文書が添付されていたことは明らかである。
カ 上記アないしオによれば、乙第7号証に係る取引は、神戸製鋼所が米田商店へバルブの見積依頼を行ったことから始まり、その後、米田商店を通じて、本件商標権者に対して発注されたことは明らかである。
そして、乙第7号証に係る注文書は、本件商標を使用するDual Plate Checkバルブに関するものであり、その注文に係る取引により、本件商標が付された図面一式(乙17)が、米田商店を経て、最終的に神戸製鋼所を納められたことは、既述のとおりである。
したがって、本件商標は、本件商標権者により、本件審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る商品「バルブ」について使用されている。
(2)見積時の図面について
乙第36号証の1ないし乙第36号証の3は、本件商標権者の担当者が、2014年(平成26年)4月22日に、米田商店の担当者に対し、メール(乙35の3における「D」部参照)で送った見積内容の図面の控え(写し)であり、それぞれ、「14.4.22」の日付印及び「参考」の印が押されている。
そして、上記図面の控えのいずれも、「SEAT」欄に「METAL」と記載されているところ、その記載内容は、上記メール(乙35の3における「D」部参照)に記載された変更内容と一致するものであり、また、当該図面の控えに記載された「MODEL NO.」(左下部)や各仕様も、乙第17号証の3ないし乙第17号証の5に係る図面に記載されているものと一致する。
そうすると、乙第36号証の1ないし乙第36号証の3は、乙第17号証の3ないし乙第17号証の5に係る図面の見積時(2014年(平成26年)4月22日付け)におけるものであることが分かる。
また、乙第36号証の1ないし乙第36号証の3に係る図面には、その右下に本件商標が表示されている。
したがって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る商品「バルブ」について使用されている。
(3)見積時の図面(乙36の1ないし乙36の3)の米田商店への納品について
本件商標権者の社長(当時)は、2014年(平成26年)4月22日、米田商店の担当者に対し、直接、見積時の図面(乙36の1ないし乙36の3)を手渡した。
この点については、社長(当時)の手帳(乙37の2及び乙37の3)における2014年(平成26年)4月22日の欄(乙37の1)の最下段に、「PM7.15分 梅田にて米田商店(担当者名)様にチャッキ弁仕様変更参考図(見積図)手渡し。」の記載があるところ、当該「仕様変更参考図(見積図)」の記載は、同日に、本件商標権者の担当者が米田商店の担当者に対して送ったメール(乙35の3における「D」部参照)の内容と一致するものであり、米田商店の担当者から、至急案件であって、ゴールデンウィーク前に図面を納めて欲しい旨の依頼があったため、同日に大阪へ出張を予定していた社長(当時)が、梅田で米田商店の担当者と待ち合わせの上、直接手渡すこととなったものである。

7 平成29年3月15日付け回答書
(1)乙第19号証の添付ファイルについて
ア 乙第38号証
乙第38号証は、乙第19号証の印刷前のデータを表示したパソコン画面の写真である(中段のFrom行の米田商店の担当者の表示の後ろには、当該担当者の名が表示されているが、乙第19号証に合わせて白塗りしてある。)。
乙第38号証には、乙第19号証には表示のない送信者のメールアドレスの表示があり、また、乙第19号証の「添付ファイル」の表示が、乙第38号証では「黄色の図形+メッセージ」と表示されていたりするなど、乙第19号証と乙第38号証とでは、表示態様が異なる箇所があるが、これは、(i)本件商標権者が、2017年(平成29年)1月5日より、メールソフトの「Outlook」のバージョンを「2007」から「2013」の変更したため、又は、(ii)乙第38号証は、送信したメールをパソコン画面に表示した状態のものである一方、乙第19号証は、乙第38号証を印刷したものであって、各アプリケーション機能に差異があるため、のいずれかの理由によるものと思われるところ、乙第38号証が乙第19号証の印刷前のパソコン画面を表示したものの写真であることに相違はない。
乙第19号証及び乙第38号証は、米田商店の担当者が2014年(平成26年)5月9日に、本件商標権者の担当者へ注文書(乙7)を送った際のメールを本件審判の証拠として使用するため、本件商標権者の社員が本件商標権者の会長へ転送したものであり、乙第38号証の最上段の送信日が「2016/01/21(木)16:58」となっているのは、このためである。
イ 乙第39号証
乙第19号証の添付ファイルであるPDF「注文書14050034.pdf」は、本件商標権者の社員が本件商標権者の会長へ乙第19号証(乙第38号証)を転送する際に添付したものであり、当該PDFデータは、2014年(平成26年)5月9日に、乙第19号証(乙第38号証)第2段目のメールの添付ファイルとして、本件商標権者の担当者が米田商店の担当者から受領した注文書(乙7)のデータである。
後述する乙第48号証は、乙第35号証の1ないし4、すなわち、乙第19号証の第2段目以下のやりとりを表示したパソコン画面の写真であり、最終ページの下方左側にPDF「注文書14050034.pdf」の表示があるから、乙第19号証の第2段目のメール(乙35の1ないし4、乙48)には、間違いなく当該PDFが添付されていたことが分かる。
そして、乙第39号証は、上記PDFデータを表示したパソコン画面の写真(乙第39号証におけるピンクマーカーは被請求人が付したものであり、また、金額部分については、重要な営業情報であるため、乙第7号証と同様、白塗りとしてある。)であり、これと乙第7号証の内容が一致するため、乙第39号証が乙第7号証のPDFデータであることは明らかである。
ウ 乙第40号証
乙第40号証は、乙第39号証のPDFデータのプロパティを表示したパソコン画面の写真(乙第40号証における黄色マーカーは被請求人が付したものである。)であり、ファイル名称を示す項目「ファイル」の「注文書14050034」が乙第39号証のファイル名と一致することから、乙第40号証が乙第39号証のプロパティであることが分かる。
また、乙第39号証の作成日を示す項目「作成日」は、「2014/05/09 17:14:17」となっていることから、乙第39号証が2014年(平成26年)5月9日17時14分17秒に作成されたことが分かる。
そして、乙第19号証第2段目に表示された米田商店の担当者から本件商標権者の担当者へのメール送信日時は、「2014年5月9日5:15pm」であり、乙第39号証の作成日時と整合する。
エ 小括
上記アないしウによれば、乙第19号証(乙38)及び乙第19号証第2段目のメールの添付書類は、いずれも乙第7号証(乙39)であることが明らかである。
(2)乙第20号証の添付ファイルについて
ア 乙第17号証の1ないし乙第17号証の7について
被請求人において、メールの履歴や控え書類を改めて確認したところ、乙第17号証の1ないし乙第17号証の7は、厳密には、乙第20号証に添付して送付した図面一式(乙45)のうち、第1ページの表紙の作成日を「2014.05.19」(表紙の下方に表示されたKVC.CO.,LTD.の右下に記載)から「2014.05.20」へと修正して全ページを印刷し、表紙の下方に本件商標権者の日付印を押印して、乙第20号証の送信日の翌日である2014年(平成26年)5月20日に、米田商店の担当者へ渡した図面の控えであることが判明した。
乙第17号証の1の作成日及び日付印の日付が「2014.5.20」となっている理由は上記のとおりであり、乙第20号証に添付して送付した図面(乙45)と乙第17号証の1ないし乙第17号証の7の内容とは、表紙における作成日と日付印の有無を除き、同一である。
イ 乙第41号証
乙第41号証は、乙第20号証を表示したパソコン画面の写真(下から3行目のTo行の米田商店の担当者の表示の後ろには、当該担当者の名が表示されているが、乙第20号証に合わせて白塗りしてある。)であり、乙第20号証と乙第41号証とでは、最上部に表示されている送信日時と差出人の表示の順番が入れ替わっているなど、表示態様が異なる箇所があるが、これは、(i)本件商標権者が、2017年(平成29年)1月5日より、メールソフトの「Outlook」のバージョンを「2007」から「2013」の変更したため、又は、(ii)乙第41号証は、送信したメールをパソコン画面に表示した状態のものである一方、乙第20号証は、乙第41号証を印刷したものであって、各アプリケーション機能に差異があるため、のいずれかの理由によるものと思われる。
乙第20号証及び乙第41号証は、本件商標権者の担当者が米田商店の担当者へ承認図面(乙45)を送った際のメール(乙20の第2段目のメール)を本件審判の証拠として使用するため、本件商標権者の社員が本件商標権者の会長へ転送したものであり、乙第20号証の最上段の送信日は、「2016年1月21日木曜日17:12」(乙第41号証では「2014/01/21(木)17:12」)となっている。
ウ 乙第42号証
添付ファイルのPDF「20160121170944.pdf」は、本件商標権者の社員が本件商標権者の会長へ乙第20号証(乙41)を転送する際に添付して送付したものであり、当該PDFデータは、2014年5月20日に米田商店の担当者へ渡した図面(乙17の1ないし乙17の7)の控え(上記(2)ア参照)を乙第20号証(乙41)に添付するためにPDF化したものである。
そして、乙第42号証は、上記PDFファイルを表示した画面の写真(乙第42号証におけるピンクマーカーは被請求人が付したものである。)であり、その1ページ目は乙第17号証の1と、その2ページ目は乙第17号証の2と、その3ページ目は乙第17号証の6と、その4ページ目は乙第17号証の7と、その5ページ目は乙第17号証の3と、その6ページ目は乙第17号証の4と、その7ページ目は乙第17号証の5と、それぞれの内容が一致することから、当該PDFファイルの内容が乙第17号証の1ないし乙第17号証の7であったことが明らかである。
エ 乙第43号証
乙第43号証は、PDF「20160121170944.pdf」のプロパティを表示したパソコン画面の写真(乙第43号証における黄色マーカーは被請求人が付したものである。)であり、ファイル名称を示す項目「ファイル」の「20160121170944」が乙第42号証のファイル名と一致するから、乙第43号証が乙第42号証のプロパティであることが分かる。
そして、乙第42号証の作成日を示す項目「作成日」は、「2016/01/21 17:09:54」となっており、当該日時は、乙第20号証(乙41)の送信日時「2016年1月21日17:12」と整合する。
オ 小括
上記アないしエによれば、乙第20号証(乙41)には、乙第17号証の1ないし乙第17号証の7を内容とするPDF「20160121170944.pdf」が添付されていたことが明らかである。
(3)乙第20号証第2段目のメールの添付ファイルについて
ア 乙第44号証
乙第20号証第2段目のメールは、本件商標権者の担当者が米田商店の担当者へ承認図面を送信した際のメールの本文であるところ、被請求人は、当該メールが偽造などされたものではないことを明らかにするため、本件商標権者の会長へ転送(乙20)する前の状態を表示したパソコン画面の写真(乙44)を提出する(メールの宛先表示欄の米田商店の担当者の表示の後には、当該担当者の名が表示されているが、乙第20号証に合わせて白塗りしてある。また、乙第44号証におけるピンクマーカーは被請求人が付したものである。)。
上記写真(乙44)において、件名の「経常工事」が黄色でマーキングされているのは、「経常工事」という検索キーワードを用いて、メールソフト内で該当するメールの検索を行ったためであり、また、宛名や送信日時の表示等が乙第20号証と若干異なるのは、(i)本件商標権者が、2017年(平成29年)1月5日より、メールソフトの「Outlook」のバージョンを「2007」から「2013」の変更したため、又は、(ii)乙第44号証は、送信したメールをパソコン画面に表示した状態のものである一方、乙第20号証は、本件商標権者の会長への転送後のメールを印刷したものであって、各アプリケーション機能に差異があるため、のいずれかの理由によるものと思われる。
そして、送信日(2014年5月19日)、件名(RE:【見積依頼 経常工事:新設スクリュ圧縮機試運転設備 412-B853-701】/328095)及びメール本文の内容等が一致することから、乙第44号証が、乙第20号証第2段目のメールを表示したパソコン画面の写真であることは明らかである。
イ 乙第45号証
乙第45号証は、乙第44号証の添付書類を表示した画面の写真(乙第45号証におけるピンクマーカーは被請求人が付したものである。)であり、乙第45号証の内容は、乙第17号証の1ないし乙第17号証の7と一致する。
具体的には、上記写真の1ページ目は、乙第17号証の1(作成日の「2014.05.19」及び日付印の有無以外)と、2ページ目は乙第17号証の2と、3ページ目は乙第17号証の6と、4ページ目は乙第17号証の7と、5ページ目は乙第17号証の3と、6ページ目は乙第17号証の4と、7ページ目は乙第17号証の5と、それぞれ内容が一致する。
ウ 乙第46号証
乙第46号証は、乙第45号証のプロパティを表示した画面の写真(乙第46号証における黄色マーカーは被請求人が付したものである。)であり、ファイル名は、「D328095(14050034)412-B853-01」となっている。
ここで、「D328095」は、乙第45号証の1ページに記載された本件商標権者の受注番号「D328095」と一致し、「14050034」は、米田商店の整理番号「14050034」と一致し、「412-B853-01」は、神戸製鋼所の整理番号「412-B853-701」と一致する(PDFファイル名の下二桁「01」は、下三桁「701」とすべきところを誤って入力したものである。)。
また、「D328095」は、乙第20号証(乙第44号証)の件名の末尾「328095」と、「412-B853-01」は、同件名の「412-B853-701」と一致する(「01」は、「701」の入力誤りである。)。
さらに、乙第46号証の更新日時は、「2014年5月19日、13:34:50」であり、乙第20号証の第2段目のメールの送信日時「2014年5月19日1:37pm」及び乙第44号証の送信日「2014年5月19日」と整合する。
なお、乙第46号証の作成日時が「2017年1月16日」となっているのは、当該日時に、当該データをコピー・アンド・ペーストして新たに保存したためであり、データ内容については、最終更新日時を示す「更新日時」のとおり、「2014年5月19日」現在のものであることに相違ない。
エ 小括
上記アないしウによれば、第20号証第2段目のメール(乙44)には、本件商標が表示された図面を含む乙第45号証が添付されていたことが明らかである。
(4)乙第35号証の4について
ア 「A」部のメールアドレスが「@kobelco.com」となっていることについて
乙第35号証の4の「A」部のメール本文の宛名が「バルブ・(XX)ストレーナー取引先営業ご担当者各位」(審決中:「XX」部分は、2つの記号。以下、同一箇所の記載について同じ。)となっていることから明らかなとおり、当該「A」部の依頼メールは、神戸製鋼所から、その取引各社に送信されたものである。そして、当該「A」部のメールは、神戸製鋼所の送信者が、TO欄に自身のメールアドレスを設定し、CC欄には神戸製鋼所の関係者を設定し、本来メールを送りたい取引各社のメールアドレスはBCC欄に設定して配信したものと考えられ、当該「A」部の発信者及び受信者のいずれのメールアドレスも「@kobelco.com」となっているのは、このためであり、このような手法は、メールを一斉配信する際に、各受信者に他の受信者を知らせたくない場合などに用いられるものである。
上記のような手法は、神戸製鋼所のような大企業による見積依頼は、複数の会社に対して行うため、個別にメールを送信することは非常に煩雑である一方、見積りを依頼した会社に、他の依頼者の情報が伝わることは避けなければならないことから、一般的に採られているものであるところ、上記「A」部のメールも見積りの依頼文であるため、同様の手法が採られたものと考える。
また、BCC欄には、米田商店の担当者のメールアドレスが含まれており、当該担当者は、「A」部のメールを受信した後、そのメールの内容を踏まえて、本件商標権者の担当者へ「B」部のメールを発信した。
イ 乙第48号証
被請求人は、上記アで述べた米田商店の担当者による「A」部のメールの受信及び本件商標権者の担当者への「B」部のメールの発信を立証するため、乙第35号証の1ないし乙第35号証の4を表示したパソコン画面の写真(乙48)を提出する。
乙第35号証と乙第48号証とでは、一部の表示態様が異なるが、これは、(i)本件商標権者が、2017年(平成29年)1月5日より、メールソフトの「Outlook」のバージョンを「2007」から「2013」の変更したため、又は、(ii)乙第48号証は、送信したメールをパソコン画面に表示した状態のものである一方、乙第35号証は、乙第48号証を印刷したものであって、各アプリケーション機能に差異があるため、のいずれかの理由によるものと思われる。
乙第48号証によれば、乙第35号証の4の「A」部のメールを米田商店の担当者が受信し、それをもって、「B」のメールが本件商標権者の担当者へ発信された後に、一連のやりとりが行われたことが明らかである。
ウ 乙第49号証及び乙第50号証
乙第35号証の4「B」部のメール本文に記載された「添付ファイル」とは、神戸製鋼所が「A」部のメールで言及した「添付エクセル」であって、見積りを依頼した商品の一覧であるところ、乙第49号証は、当該「添付ファイル」を表示したパソコン画面の写真である。また、乙第50号証は、上記乙第49号証を印刷したものである(乙第50号証における黄色マーカー及び左端の[1]ないし[8](丸付き数字)は被請求人が付したものである。)。
ここで、日頃より、米田商店の担当者は、神戸製鋼所から受けた商品一覧の全てを本件商標権者に送り、本件商標権者は、自社が対応できる商品についてのみ見積りを行うという流れができているところ、上記「B」部メールで行った見積依頼についても同様であり、本件商標権者は、上記「添付ファイル」の商品一覧(乙49、乙50)の中から、自社が対応できるものについてのみ、具体的には、乙第50号証の左端の[1]ないし[8](丸付き数字、黄色マーカー行)について見積りを行った。
そして、上記見積りを行った商品内容は、乙第7号証との関係において、乙第50号証の[1]ないし[8](丸付き数字)と乙第7号証の表内1行目ないし8行目とが、それぞれ一致する。
よって、乙第35号証の1ないし乙第35号証の4及び乙第7号証が、一連のバルブ取引における見積依頼及びこれに応じた注文が行われた事実を示す証拠であることが分かる。
(5)請求人提出の平成28年8月10日付け上申書について
ア 前記第2の5(1)ア(ア)について
被請求人は、乙第7号証の一部について加筆を行っている点は認めるが、加工は断じて行っていない。
また、加筆についても、既述のとおり、乙第7号証の「単価」及び「金額」欄は、本件商標権者の重要な営業情報であるため白塗りとしたものであり、指線や赤線は、審理における理解を容易にするために加筆したものである。
図面のチェック欄の「●」印は、乙第7号証を米田商店から受領した段階で確かにあった。
イ 前記第2の5(1)ア(イ)について
本件商標権者、米田商店及び神戸製鋼所の間で行われるバルブ商品の取引の流れについては、答弁書ないし平成28年6月6日付け上申書において述べてきたとおりであり、繰り返し行われるバルブ商品の各取引の中で、本件商標権者の取引先である米田商店及び神戸製鋼所は、本件商標が表示された図面を目にする。
すなわち、上記取引を通じて、米田商店及び神戸製鋼所の担当者は、本件商標を本件商標権者のバルブの識別標識として認識する。
ウ 前記第2の5(1)イないしオについて
乙第17号証の3ないし乙第17号証の5及び乙第45号証の5ページないし7ページのとおり、本件商標権者は、自己のDUAL PLATE CHECK VALVE商品について本件商標を使用している。
そして、本件商標は、繰り返し行われる上記商品の取引を通じて、取引先に本件商標権者の商品の商標として認識されている。
また、本件商標が表示された図面が取引先である米田商店の担当者の手元に渡った事実は、当該担当者による受領証明書(乙47)によって立証されている。
エ 前記第2の5(2)アについて
乙第35号証の4「A」部のメールアドレスがいずれも「@kobelco.com」となっているのは、上記(4)アで述べたとおりであり、「A」部のメールは、見積りを依頼した各社に他の依頼先が分からないようにするため、(i)TO欄には送信者のメールアドレスを設定し、(ii)本来のメールの送り先である見積依頼先各社のメールアドレスはBCCに設定して送信されたものと考えられ、当該メールアドレスの全てが「@kobelco.com」となっているのは、このためである。
そして、上記のような手法は、ビジネスにおいて一般的に行われるものであり、乙第35号証の4及びその他の乙第35号証には何ら不自然な点はなく、これらの証拠能力は、認められて然るべきものである。
なお、被請求人は、乙第35号証の証拠能力を補強するため、乙第48号証を提出した。
オ 前記第2の5(2)イについて
被請求人は、上記(4)のとおり、乙第35号証の4の「B」部のメールの添付ファイルを乙第49号証及び乙第50号証として提出している。
乙第49号証及び乙第50号証には、本件商標が表示されていないが、既述のとおり、見積り及び注文時における商品の特定は、商標ではなく、品番及び型番で行われることが一般的であり、乙第49号証及び乙第50号証の見積依頼も、これに従った至極自然な内容である。
カ 前記第2の5(2)ウについて
乙第37号証の1において、時間の後に「分」の記載があるのは、確かに22日の「PM7.15分」のみであるが、乙第37号証の1は、飽くまで個人の手帳であり、記載内容に厳格な取り決めがあるわけではなく、「分」を記載したり又は記載しなかったりすることは、ごく自然に起こり得る。
また、仮に、請求人の主張するとおり、上記記載が不自然であり、例えば、後から本件審判のために追記されたものであれば、わざわざ他の表示と違いが出るような記載をするはずがないから、「分」があることは、かえって乙第37号証の1の信ぴょう性を高めるものと考える。
さらに、請求人による「見積金額の検討においては、既に商品の選択が完了しているのであるから、仮に、被請求人が述べる図面の手渡しの事実があったとしても、それが、本件商標が商標として機能していない事実に影響を及ぼすものではない。」との主張については、既述のとおり、本件商標権者、米田商店及び神戸製鋼所間の取引は、1回限りのものではなく、繰り返し行われているのであって、米田商店及び神戸製鋼所の担当者は、繰り返し行われる取引を通じて、本件商標を本件商標権者のバルブの識別標識として認識している。
キ 前記第2の5(3)について
請求人は、本件商標権者の本件商標以外の商標登録出願や商標登録について言及しているが、本件審判は、本件商標に係る取消審判であり、他の商標登録出願や商標登録は、本件審判とは何ら関係がない。
本件商標権者の信用のためにあえて述べるならば、請求人が主張する商標登録出願や商標登録は、不正の目的で行ったものではなく、本件商標権者及びその取引先が安全にビジネスを行えるように、飽くまで防衛手段の一つとして行ったものであり、本件商標権者は、請求人が主張する商標登録をもって、他者に対し、積極的な買取り要求や、差止請求又は損害賠償請求等の行為を行ったことはない。

8 平成29年11月28日付け回答書
(1)米田商店が2014年5月9日に本件商標権者へ注文したバルブ取引においていずれの書面が用いられたかについて
ア これまでも説明してきたとおり、2014年5月19日に、米田商店の担当者へ宛てて、乙第45号証に係る図面等一式がメールにて送信され、翌5月20日には、作成日を「2014.5.20」とし、日付印を押印した図面(以下「5月20日付けの図面」という。)が、原本として、当該担当者へ渡されたから、最終的に、上記取引に用いられた図面は、5月20日付けの図面となる。
もっとも、乙第45号証と5月20日付けの図面とは、内容が同一であり、両者の違いは、表紙の作成日と日付印の有無のみであるところ、スピード化した今日の商取引においては、顧客への書類の提出に際し、まず、メールで情報を提供(添付書類として送信)し、その後、原本を郵送したり、手渡ししたりして、先にメールで送ったものと差し替えるといったことがごく一般的に行われており、本取引においても、同様に図面の提出が行われた。
イ 上記アに述べた取引がされた事実をより具体的に明らかにするため、被請求人は、米田商店の担当者から受け取った受領証明書(2)(乙第51号証(乙第47号証の原本)に係る受領証明書の添付書類を鮮明にしたもの)を乙第52号証として提出する。
上記受領証明書(2)においては、米田商店の担当者が、2014年5月19日に、当該証明書の「添付1」を、翌5月20日に、同「添付2」を受領したことが述べられているから、これにより、上記取引がされた事実が明らかになったものと思われる。
(2)乙第44号証に添付されたファイルが乙第45号証に係る図面であったことの証明
被請求人は、乙第44号証に添付されたファイルが乙第45号証に係る図面であったことを証明するため、乙第44号証と同一のメールを表示したパソコン画面の写真(乙53)を提出する。これらは、件名において、乙第44号証は「経常工事」部分が、乙第53号証は「328095」部分が黄色でマーキングされている点で異なるが、これは、それぞれ当該キーワードを用いてメールソフト内でメールの検索を行ったためであり、メールの内容は同一である。
また、乙第53号証は、当該メールに添付ファイルがあることを示すクリップマークにパソコンのカーソルを合わせたところを撮影したものであり、そのカーソルの下には、添付ファイル名として、「D328095(14050034)412-B853-01.pdf」の表示があることから、当該メールに当該名称のPDFファイルが添付されていたことは明らかである。
そして、上記「D328095(14050034)412-B853-01.pdf」は、乙第45号証の名称と同一である。
以上によれば、乙第53号証及び乙第44号証のメールに添付されたファイルは、乙第45号証に係る図面であったことが明らかである。
なお、乙第45号証は、乙第44号証に添付されていたものであるが、その状態では、メールソフト上で乙第45号証のプロパティを表示することができないために、一度パソコン上に保存し、プロパティを表示したものを乙第46号証として提出したのであり、何ら不自然な点はない。
(3)米田商店の担当者が受領した図面等が鮮明に分かるものの提出
米田商店の担当者の受領証明書(2)(乙52)には、当該担当者が受領した図面等の内容が鮮明に分かるもの(添付1及び添付2)が添付されており、これにより、当該担当者が2014年5月19日にメールで受領した図面及び翌5月20日に受領した図面の原本の内容が明らかとなり、また、これらには、本件商標が表示されていることから、米田商店が2014年5月9日に本件商標権者へ注文したバルブの取引において、本件商標が使用されたことは明らかである。
(4)請求人提出の平成29年8月21日付け回答書について
ア 請求人は、平成29年8月21日付け回答書において、「本件商標権者は、少なくとも同じ図面を4回渡している」と述べているが、2014年4月22日の図面は、見積時の参考図面であり、同年5月の19日及び20日の図面は、承認用の図面であるから、両者は、性格を異にするものである。
そして、ビジネスにおいては、まず、参考見積を作成し、その後、最終見積を作成するといったことは一般的に行われていることから、上記のように、参考図面と最終の承認用図面が作成されたとしても、何ら不自然ではない。
また、請求人は、「仕様変更前の参考図(見積図面)について、平成28年6月6日付け上申書以降、言及がない。」、「乙第47号証では、2014年5月19日の電子メールの受領しか述べられていない」旨述べているが、いずれもこれまでの審理内容に影響を与えるものではないので、これらについての言及は差し控える。
イ 請求人は、乙第44号証には日付の記載がないと述べているが、乙第44号証のマーカーがされた箇所「19.05.14」は、「2014年5月19日」を意味するものであり、この日付は、乙第20号証第2段目のメールの日付である「May 19,2014」と一致する。
また、乙第44号証に添付されていたファイルが「D328095(14050034)412-B853-01.pdf」という名称のPDFファイル、すなわち、乙第45号証であったことは、上記(2)で述べたとおりである。
さらに、請求人は、「メールソフト内でのメール検索の際に、『経常工事』という検索キーワードを用いることは、顧客との取引の際に本件商標が使用されていないことの証左である。」旨述べているが、これは、乙第44号証のメールを検索するに当たり、メールソフト内の検索では添付ファイルの内容までは検索ができないため、メールの件名に用いられた文字を検索キーワードとして用いただけのことであるから、この点についての請求人の主張は、根拠に欠ける。
ウ 請求人は、「見積り及び注文時における商品の特定に関し、商標の記載がない以上、商品取引の際に、本件商標が識別標識として使用されていないことは明確である。」旨述べているが、これまでも主張しているとおり、見積り及び注文時における商品の特定を、商標ではなく、品番、型番等で行うことは至極一般的なことであるから、商品発注の明細に商標の記載がないことが、請求人が述べるような「商品取引の際に、本件商標が識別標識として使用されていないこと」の論拠となることはない。
エ 請求人は、本件商標権者による本件商標の使用について、社内用の使用にすぎない旨述べているが、これまで主張してきたとおり、本件商標は、本件商標権者の識別標識として対外的に使用されているものであり、請求人が述べるような「社内用の使用にすぎない」ということはない。

9 まとめ
以上のとおり、被請求人の主張及び立証によれば、本件商標権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその請求に係る商品「バルブ」について使用したことは明らかであるから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項に規定により、取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下のとおりである。
ア 本件商標権者は、昭和62年2月に設立された企業であって、ボールバルブ、バタフライバルブ、鍛造弁及び鋳造弁(ゲートバルブ、グローブバルブ、チャッキバルブ)等の各種バルブ類及び関連機器類の製造並びに販売等を目的とするものである(乙2ないし乙4)。
本件商標権者は、顧客からバルブの注文を受けた場合、発注されたバルブに係る図面等を顧客に提供するなどしてその仕様等の確認をし、納品を行っているところ、当該図面には、自社が取り扱ういかなる商品であるかを視認できるように、登録商標を含む独自の標章を付していることがうかがえる(乙9、乙11ないし乙14、乙17の3ないし乙17の5、乙18の2、乙42、乙45)。
イ 米田商店は、昭和35年12月に設立された企業であって、配管用器材の販売、修理等を取扱業務とするものであり、その業務の一として、本件商標権者を含む国内メーカーのバルブ類を取り扱っている(甲6の2、乙26、乙27、乙31ないし乙34)。
ウ 米田商店の担当者は、2014年(平成26年)4月14日に、神戸製鋼所の資料調達部から、「見積依頼 経常工事:新設スクリュ圧縮機試運転設備 412-B853-701」の標題に係る「手動弁、ストレーナー、逆止弁」についての見積りを依頼する旨のメールを受信した。当該メールには、依頼に係る各種の弁とその仕様が記載された一覧表(購入品リスト)が添付されていた(乙35の1ないし4、乙48ないし乙50)。
エ 米田商店の担当者は、上記神戸製鋼所からのメールを受信した後、同日中に、本件商標権者の担当者に宛てて、当該メールに添付されていた一覧表(購入品リスト)に記載された弁(バルブ)についての見積りを依頼するメールを送信した(乙35の1ないし4、乙48)。
なお、本件商標権者は、上記一覧表(購入品リスト)のうち、次の(ア)ないし(ク)に示す8種類のものについての見積りを行ったとされる(乙49、乙50)。
(ア)手動弁 空気(流体) 600A(サイズ) 300#-RF(レイティング) 仕切弁(タイプ) ギア操作式(オプション) A216-WCB(ボデー) 1(数量)
(イ)手動弁 空気(流体) 400A(サイズ) 300#-RF(レイティング) 仕切弁(タイプ) ギア操作式(オプション) A216-WCB(ボデー) 1(数量)
(ウ)吸込逆止弁 空気(流体) 800A(サイズ) JIS 10k-RF(レイティング) ウェハー(タイプ) A216-WCB(ボデー) 1(数量)
(エ)吐出逆止弁 空気(流体) 400A(サイズ) 300#-RF(レイティング) スイング式(タイプ) A216-WCB(ボデー) 1(数量)
(オ)逆止弁 潤滑油(流体) 100A(サイズ) 300#-RF(レイティング) ウェハー(タイプ) A216-WCB(ボデー) 2(数量)
(カ)逆止弁 潤滑油(流体) 80A(サイズ) 300#-RF(レイティング) ウェハー(タイプ) A216-WCB(ボデー) 1(数量)
(キ)逆止弁 潤滑油(流体) 50A(サイズ) 300#-RF(レイティング) ウェハー(タイプ) SUS(ボデー) 2(数量)
(ク)逆止弁 潤滑油(流体) 40A(サイズ) 300#-RF(レイティング) ウェハー(タイプ) SUS(ボデー) 8(数量)
オ 本件商標権者の担当者は、上記米田商店の担当者からの見積り依頼に対し、2014年(平成26)年4月18日に、米田商店の担当者へ最初の見積りを提示する旨のメールを送信し、その後、米田商店の担当者と本件商標権者の担当者との間で、上記見積りに関するやりとりがなされ、米田商店の担当者は、2014年(平成26年)5月9日に、本件商標権者の担当者に宛てて、注文書を添付したメールを送信した(乙7、乙19、乙35の1ないし4、乙38ないし乙40、乙48、乙52)。
なお、上記注文書には、その左上に「No.14050034」及び右上に「2014年5月9日」の記載があるほか、納期が「2014/8/20」である旨の記載、注文に関して「図面」、「テストレポート(英語版)」及び「ミルシート(英語版)」を要する旨の記載があり、また、摘要欄に「WETスクリュ試運転設備 412-B853-701 見積No.Q280254 Rev.3」の記載があり、さらに、次の(ア)ないし(ク)に示すとおり、注文に係る商品の内容又は仕様及び数量の記載がある(乙7、乙39)。
(ア)「GATE A216-WCB 300LB-RF 600A ギア操作式」 1台
(イ)「GATE A216-WCB 300LB-RF 400A ギア操作式」 1台
(ウ)「DUAL PLATE CHECK A216-WCB JIS 10k-RF 800A」 1台
(エ)「SWING CHECK A216-WCB 300LB-RF 400A」 1台
(オ)「DUAL PLATE CHECK A216-WCB 300LB-RF 100A」 2台
(カ)「DUAL PLATE CHECK A216-WCB 300LB-RF 80A」 1台
(キ)「DUAL PLATE CHECK A351-CF8 300LB-RF 50A」 2台
(ク)「DUAL PLATE CHECK A351-CF8 300LB-RF 40A」 8台
カ 本件商標権者の担当者は、2014年(平成26年)5月19日に、米田商店の担当者に宛てて、承認図面を添付したメールを送信した(乙20、乙44ないし乙46、乙52、乙53)。
上記承認図面は、表紙を含め全7葉からなり、第2葉目が「Valve List」、第3葉目ないし第7葉目が第2葉目のリストに相応するバルブの図面であるところ、表紙及び第2葉目ないし第7葉目には、それぞれ、次のような記載がある(乙45)。
(ア)表紙
左上に神戸製鋼所を英語表記したものと看取、理解される「Kobe Steel,Ltd.」の記載(乙25)、中央に「Drawing For Approval」並びに本件商標権者の管理番号とされる「Ref.No.:D328095」、神戸製鋼所の管理番号とされる「O.No.:412-B853-701」及び米田商店の管理番号とされる「R.O.No.:14050034」の記載、下部に本件商標権者を英語表記したものと看取、理解される「KVC CO.,LTD.」及び「KYOTO JAPAN/2014.05.19」の記載(乙3、乙4、乙10)があるほか、最下段に赤字で「出図後15日以内にご承認返却なき場合は承認されたものとして、本図面通り、制作させて頂きます。」の記載がある。
(イ)第2葉目
リスト(表)の左上欄外に「O.No.:412-B853-701」の記載があるほか、各バルブについての仕様や数量等が次のように記載されている。
a Gate(Type) WCB(Body) 13 Cr+Half Stl.(Trim) 300Lb(Class) RF.with Serration(End) 24”(Size) 1(Q’ty) ICL140519-01(Drawing No.)
b Gate(Type) WCB(Body) 13 Cr+Half Stl.(Trim) 300Lb(Class) RF.with Serration(End) 16”(Size) 1(Q’ty) ICL140519-01(Drawing No.)
c Swing Check(Type) WCB(Body) 13 Cr+Half Stl.(Trim) 300Lb(Class) RF.with Serration(End) 16”(Size) 1(Q’ty) ICL140519-02(Drawing No.)
d Dual Plate(Type) WCB(Body) Disc:304SS,Seal:Metal(Trim) JIS 10K(Class) Wafer(End) 32”(Size) 1(Q’ty) TC0-W-S4-E-140414-1(Drawing No.)
e Dual Plate(Type) WCB(Body) Disc:304SS,Seal:Metal(Trim) 300Lb(Class) Wafer(End) 4”(Size) 2(Q’ty) TC0-W-S4-E-1404-1(Drawing No.)
f Dual Plate(Type) WCB(Body) Disc:304SS,Seal:Metal(Trim) 300Lb(Class) Wafer(End) 3”(Size) 1(Q’ty) TC0-W-S4-E-1404-1(Drawing No.)
g Dual Plate(Type) CF8(Body) Disc:304SS,Seal:Metal(Trim) 300Lb(Class) Wafer(End) 2”(Size) 2(Q’ty) TC0-S4-S4-E-140414-1(Drawing No.)
h Dual Plate(Type) CF8(Body) Disc:304SS,Seal:Metal(Trim) 300Lb(Class) Wafer(End) 1 1/2”(Size) 8(Q’ty) TC0-S4-S4-E-140414-1(Drawing No.)
(ウ)第3葉目
「DWG NO.」の欄に「ICL140519-01」と記載された上記(イ)のa及びbに相応するバルブの図面である。
(エ)第4葉目
「DWG NO.」の欄に「ICL140519-02」と記載された上記(イ)のcに相応するバルブの図面である。
(オ)第5葉目
「MODEL NO.」の欄に「TC0-W-S4-E-140414-1」と記載された上記(イ)のdに相応するバルブの図面である。
そして、上記図面中には、本件商標と社会通念上同一と認められる「GOODWIN」の文字からなる標章が表示されている。
(カ)第6葉目
「MODEL NO.」の欄に「TC0-W-S4-E-1404-1」と記載された上記(イ)のe及びfに相応するバルブの図面である。
そして、上記図面中には、本件商標と社会通念上同一と認められる「GOODWIN」の文字からなる標章が表示されている。
(キ)第7葉目
「MODEL NO.」の欄に「TC0-S4-S4-E-140414-1」と記載された上記(イ)のg及びhに相応するバルブの図面である。
そして、上記図面中には、本件商標と社会通念上同一と認められる「GOODWIN」の文字からなる標章が表示されている。
キ 本件商標権者は、米田商店に宛てて、2014年(平成26年)8月22日付け納品書を発行した(乙21)。
上記納品書には、その右上に「No.280229」(その下に手書きの「328095」の記載もあり。)の記載があり、また、摘要欄に「14050034」の記載があるほか、次の(ア)ないし(オ)に示すとおり、納品に係る商品の品番又は品名及び数量の記載がある。
(ア)「WAFER CHECK WCB/304SS JIS10K 800A」 1(数量)
(イ)「WAFER CHECK WCB/304SS 300Lb 100A」 2(数量)
(ウ)「WAFER CHECK WCB/304SS 300Lb 80A」 1(数量)
(エ)「WAFER CHECK CF8/304SS 300Lb 50A」 2(数量)
(オ)「WAFER CHECK CF8/304SS 300Lb 40A」 8(数量)
ク 本件商標権者は、米田商店に宛てて、2014年(平成26年)8月31日締切分とする請求書を発行した(乙22)。
上記請求書には、2014年(平成26年)8月中の伝票日付及び伝票番号ごとに、品名、数量及び金額等が記載されているところ、そのうち、伝票日付を「14/8/22」とし、伝票番号を「280229」とするものについては、品名に「WAFER CHECK WCB/304SS JIS10K 800A」及び数量に「1」の記載があるほか、以下同様に、「WAFER CHECK WCB/304SS 300Lb 100A」及び「2」、「WAFER CHECK WCB/304SS 300Lb 80A」及び「1」、「WAFER CHECK CF8/304SS 300Lb 50A」及び「2」、「WAFER CHECK CF8/304SS 300Lb 40A」及び「8」の記載があり、さらに、その下に「■14050034」の記載がある。
(2)上記(1)によれば、本件商標権者は、2014年(平成26年)5月に、米田商店から商品の仕様が特定された弁(バルブ)の注文を受けて、その注文において特定された仕様に合致する商品(バルブ)であることを図面等をもって発注者に確認した後、その商品(バルブ)を製造し、同年8月に納品したことが認められるところ、これらは、いずれも要証期間になされたものである。
また、本件商標権者は、上記商品(バルブ)の受注ないし納品の取引において、他の取引における場合と同様に、その取引に係る商品の図面に本件商標と社会通念上同一と認められる標章を付していたことが認められるところ、当該標章は、その使用態様によれば、商品(バルブ)の出所を表示する標識として機能し得るものとみるのが相当であり、さらに、当該標章が付された図面も、本件商標権者による商品(バルブ)の取引においては、取引書類の範ちゅうに属するものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標権者は、要証期間に日本国内において、本件審判の請求に係る商品「バルブ」について、その商品に関する取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる標章を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)というべきである。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本件において、本件商標は、カタログ、広告、ウェブサイト上の商品一覧等で使用されておらず、図面に付されて使用されているにすぎないところ、図面は、設計に際して使用される書類であるから、取引書類ということはできず、また、顧客が本件商標を目にするのは商品の選択を完了した後であって、顧客が発注する際に本件商標により本件商標権者の商品を選択している事実がないことからすれば、当該図面に付された本件商標の表示は、出所表示機能、自他商品識別機能、品質保証機能のいずれの機能も発揮しているとはいえず、商標法上の使用とはいえない旨主張する。
しかしながら、一般に図面が設計に使用される書面であるとしても、そのことのみをもって、直ちに図面が取引書類に当たらないとすることは妥当でなく、また、取引における商標の使用を顧客による商品の選択前の時点における行為に限定すべき特段の事情も見当たらない。
本件においては、上記1のとおり、神戸製鋼所による見積依頼を発端とする商品(バルブ)の取引において、本件商標権者が、直接の発注者である米田商店に対し、その注文において特定された仕様に合致する商品(バルブ)であることを図面等をもって発注者に確認した後、その商品(バルブ)を製造し、納品したことが認められるところ、当該図面には、本件商標と社会通念上同一と認められる標章が付されていたのであるから、少なくとも、発注者である米田商店は、その確認の際に、当該図面に付されていたその標章を視認し得るといえ、それを当該図面に表されている商品(バルブ)の出所を表示する標識として認識し得るといえる。そして、当該図面は、そこに表されている商品(バルブ)の発注ないし納品という取引の成立に資する書面であり、かつ、その事実を裏付ける書面であるから、取引書類の範ちゅうに属するものといえる。
したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。
(2)請求人は、本件商標権者が外国のバルブメーカーの商標名を取得する傾向にあり、ひょう窃していると判断された事実も存在するとした上で、本件商標も、請求人の商標が我が国において登録されていないことを奇貨として、不正の目的で登録されたことは明らかであり、本件商標権者による本件商標の使用は、法的保護に値しない使用というべきである旨主張する。
しかしながら、本件は、商標法第50条第1項に基づく審判請求事件であり、同条第2項では、その請求がなされたときに、被請求人が、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない旨規定されているものの、それ以外の要件は規定されていないことからすれば、少なくとも、本件においては、本件商標が有効に存続しているものである以上、仮に、本件商標が不正の目的で登録されたものであるとしても、そのことが本件についての判断に影響することはない。
したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。
(3)請求人は、本件に係るバルブの取引において顧客が本件商標に接する機会について、被請求人によるその事実を裏付ける証拠書類の提出が不十分である場合には、当該顧客に対する証人尋問を行う必要がある旨述べているが、上記1のとおり、被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、当該取引において、少なくともその顧客の一である米田商店が本件商標にどのように接したかについての事実を認定することができ、それに基づき、本件審判についての判断をすることができるに至ったことから、当合議体は、請求人が述べる上記証人尋問は要しないと判断した。
3 むすび
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者が、その請求に係る指定商品である第7類「バルブ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2019-07-30 
結審通知日 2019-08-02 
審決日 2019-08-19 
出願番号 商願平11-79879 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z07)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 田中 敬規
中束 としえ
登録日 2000-10-20 
登録番号 商標登録第4426188号(T4426188) 
商標の称呼 グッドウイン 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 市川 泰央 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
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