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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1357910 
異議申立番号 異議2019-900058 
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-02-15 
確定日 2019-12-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第6101997号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6101997号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6101997号商標(以下「本件商標」という。)は、「DDS RICHNESS CAPSULE」、「dds richness capsule」及び「ディーディーエス リッチネス カプセル」の各文字を三段に表してなり、平成30年1月22日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料」を指定商品として、同年9月26日に登録査定、同年11月30日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、一販売会社の立場にすぎない商標権者が、申立人の製造販売するカプセルに詰まった一回使い切り用の美容液(以下「申立人商品」という。)について、「DDS リッチネスカプセル」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)を使用している事実を十分に知りながら、引用商標が商標登録されていないことを奇貨として、これとほぼ同一の本件商標を申立人に無断で登録出願し、申立人に係る商標権を自ら取得し、ひょう窃的に登録を得たものである。
したがって、本件商標は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」があり、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証(枝番を含む。なお、枝番全てを示すときは、枝番を省略する。)を提出した。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができないとしているところ、商標法は、出願人からされた商標登録出願について、当該商標について特定の権利利益を有する者との関係ごとに、類型を分けて、商標登録を受けることができない要件を、同法第4条各号で個別的具体的に定めているから、このことに照らすならば、当該出願が商標登録を受けるべきでない者からされたか否かについては、特段の事情がない限り、当該各号の該当性の有無によって判断されるべきであるといえる。
また、当該出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨や、国際調和や不正目的に基づく商標出願を排除する目的で設けられた同法第4条第1項第19号の趣旨に照らすならば、それらの趣旨から離れて、同法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。
そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの商標登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(平成19年(行ケ)第10391号)。
イ 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、平成21年1月に設立され、化粧品の製造販売、化粧品機器の販売等を業とする会社である。本件商標の出願時は、夫のAが代表取締役、妻のBが取締役であった(甲3)。
(イ)商標権者は、平成26年6月に設立され、化粧品の販売、美容機器の販売、パッケージ・容器の輸入販売等を業とする会社であって、Bの甥とされるCが設立したが同27年2月以降はBが代表取締役、Cが取締役である。なお、設立当初は、「株式会社インセンス」であったが、同29年12月15日に現在の名称に変更した(甲4)。
(ウ)申立人は、Bを通じて、中国への販売網を拡大することを企図し、商標権者を中国向け販売における販売代理店と位置付けることとした。申立人が商標権者に対して商品を販売し(甲5)、商標権者がその購入した商品を中国の顧客に対して営業・販売した。Cは、株式会社再生美容Y.Kラボ(以下「Y.K社」という。)を平成28年2月に設立しており(甲6)、申立人は、同28年12月31日には、商標権者及びY.K社と申立人商品「リッチネスカプセル」の取引をし、同29年1月31日には、商標権者と申立人商品「リコアセラム DDS リッチネスカプセル」の取引をしていた。なお、大丸松坂屋百貨店を始めとする国内向け販売には、申立人が直接販売していた(甲7、甲8)。
(エ)申立人は、平成28年2月10日に、申立人商品の販売名を「リコアセラム DDS リッチネスカプセル」として、東京都知事に化粧品製造販売届出を行い、同年5月頃より製造販売を開始した。その後、色違いの「リコアセラム DDS リッチネスホワイトカプセル」については同年9月16日に、詰め替え用の「リコアセラム DDS リッチネスカプセル 詰替え」については同30年4月25日に届出を行い、同年8月20日には販売名を「RS DDS リッチネスカプセル」と変更して製造販売届を行い、申立人商品の製造販売を継続してきた(甲9)。
(オ)商標権者は、平成30年1月22日に本件商標を登録出願し(甲1)、代理店あての同年2月15日付け通知書において、「RECORESERUMシリーズのリッチネスカプセルにつきましてお知らせ致します。」として、「2018年1月から製造を停止し、従来の化粧箱をグレードアップの進行中です。」、「市場に販売されているものは偽物の可能性が高いです。」等の通知をした(甲12)。
(カ)商標権者のウェブサイトには、「リコアセラム/DDS リッチネスカプセル」の紹介記事があり、申立人は、商標権者が平成30年4月頃より、申立人商品と酷似する商品を日本国内で製造販売していると主張するが、その掲載日等については不明である(甲13)。また、申立人は、商標権者がSNSにより、申立人商品と酷似する商品を中国に輸出していると主張するが、当該SNSの「RECORE SERUM」の掲載記事は翻訳の提出がなく、その掲載内容を確認することができない(甲14)。さらに、商標権者のウェブサイトには「DDS」の略称に関する記事があるが、このウェブサイトは本件商標とは異なる「リコアセラム」のブランド紹介のものである(甲15)。
(キ)商標権者は、本件商標を含む9件の登録商標を保有し、15件の登録出願が審査に係属している(甲16)。
(ク)申立人は、自ら依頼した振込依頼受付書の写し(甲23)、申立人による外国為替計算書の写し(甲24の1)、外国送金依頼書兼告知書の写し(甲24の2)、申立人の銀行預金通帳の写し(甲25)及び申立人による請求書の写し(甲26)を証拠として提出しているが、これらの証拠がいかなる取引の事実を立証するものであるかが明らかでない。
(ケ)申立人は、平成29年11月29日付けで、商標登録第5883280号に係る商標権(以下「リコアセラム商標」という。)を商標権者に移転登録している(甲16、甲20)。この商標権の譲渡は、申立人と商標権者の間で譲渡証書と覚書が締結されている(甲21、甲22)が、申立人は商標権者の詐欺によりなされたものとして係争中である。そして、商標権者及びY.K社は、平成30年2月5日付け「ご連絡」により、申立人に覚書の解除を通告(甲27、甲28)した後、リコアセラム商標に基づく商標権者の主張等を取引業者に通知すると共に、自身のウェブサイトに記事掲載している(甲29?甲31、甲33)。申立人に対して、取引業者1社から平成30年12月17日付け通知書により、リコアセラム商標に係る商品の取引停止の通知がされている(甲34)。
ウ 判断
上記イ(イ)ないし(エ)によれば、申立人は、商標権者を中国向け販売における販売代理店としており、申立人と商標権者とは、取引関係にあり、Bが申立人と商標権者の取締役であることから、本件商標の登録出願時には、申立人商品に使用する引用商標並びに申立人商品の販売名である「リッチネスカプセル」及び「リコアセラム DDS リッチネスカプセル」が登録出願されていないことを承知していたことは推認できる。
このような状況において、申立人は、商標権者は申立人商品に使用する引用商標並びに申立人商品の販売名である「リッチネスカプセル」及び「リコアセラム DDS リッチネスカプセル」が登録出願されていないことを奇貨として、申立人からブランドや商品を奪って申立人商品の模倣品を自社ブランドとして製造販売して利益を上げるとともに、申立人との紛争を自社に有利に進めるという不当な目的のために、本件商標を取得したと主張する。
しかしながら、商標権者は、申立人商品の販売代理店であって、申立人の提出した証拠からは、具体的に、商標権者が本件商標の登録出願の経緯において、申立人の知的財産を奪うとともに不正な目的で商標登録制度を利用していたとか、事業の遂行を妨害しようとしていることなどを裏付ける事実は見いだせないことからすれば、本件商標が、商標登録されていないことを奇貨として、Bが代表取締役である商標権者により、出願、登録を受けたとまではいえず、本件商標について、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものとまではいえない。なお、上記イ(ク)の取引書類等の写しは、いかなる取引の事実を立証するものであるかが明らかでなく、同(ケ)の事情は、リコアセラム商標の譲渡に起因したものであり、本件商標との関係性を明らかにする証拠の提出がないことから、商標権者によるリコアセラム商標の搾取及び申立人に対する攻撃等の申立人の主張及び証拠は、本件において採用することができない。
また、上記イ(カ)における申立人の各主張は、いずれも証拠の信用性を欠くものであるが、これらの証拠が補完された場合であっても、同(オ)ないし(キ)のような事情は、あくまでも、当事者間の私的な問題といわざるを得ず、申立人は、申立人商品に使用する、商願2018-016280に係る商標と同一の商標については、自ら登録出願し商標登録を受けているにもかかわらず、他の申立人商品に使用する引用商標並びに申立人商品の販売名である「リッチネスカプセル」及び「リコアセラム DDS リッチネスカプセル」、さらには、商標権者が平成29年12月以降に登録出願した商標(商願2018-016280を除く。)については、申立人はそれら商標の使用開始にあたり、自ら登録出願する機会は十分にあったにもかかわらず、自ら登録出願しなかった責めを商標権者に求めるべき事情を見いだすこともできないことから、本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して、特段の事情のある例外的な場合にはあたらないというべきである。
さらに、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字等からなるものではなく、また、本件商標を、その指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものともいえず、さらに、他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されているものではないし、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。
その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る事情は見いだせない。
なお、申立人は、「DDS」の文字について、申立人独自の製造技術に用いられるテクノロジーの略称であり、商標権者の商品に付すことができない旨主張している。
しかしながら、「平成22年度 特許出願技術動向調査報告書(概要)」の「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」には、「薬物の効果を最大限に発揮させるために理想的な体内動態に制御する技術・システムのこと」の記載(甲10)、及び、2019年2月12日出力の申立人のウェブサイトの「DDSについて」には、「DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)/京都大学再生医療研究所 田端教授が発明・特許化したDDSの基礎テクノロジーを利用し、ナノソーム化することにより、化粧品へと応用開発・製品化にキレートジャパンが成功。」の記載(甲11)から、仮に、申立人が化粧品へと応用開発・製品化に成功したとしても、「DDS」の文字は、既存の技術・システムの名称の略称というべきであって、申立人独自の製造技術に用いられるテクノロジーの略称とはいい難いので、該主張は採用することができない。
以上のことから、本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-12-03 
出願番号 商願2018-14507(T2018-14507) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W03)
最終処分 維持 
前審関与審査官 浦辺 淑絵 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 中束 としえ
半田 正人
登録日 2018-11-30 
登録番号 商標登録第6101997号(T6101997) 
権利者 株式会社RECORESERUM
商標の称呼 ディーディーエスリッチネスカプセル、ディーディーエスリッチネス、リッチネスカプセル、リッチネス、カプセル、デイデイエスリッチネスカプセル、デイデイエスリッチネス、デイデイエス、ディーディーエス 
代理人 大寺 正史 
代理人 安藤 文子 
代理人 貝塚 光啓 
代理人 山本 浩貴 
代理人 田辺 克彦 
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