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審決分類 審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
管理番号 1357841 
審判番号 無効2018-890082 
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-10-26 
確定日 2019-11-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第6053985号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第6053985号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6053985号商標(以下「本件商標」という。)は、「天神いなり」の文字を横書きしてなり、平成28年9月12日に登録出願、第30類「いなりずし,いなりずし弁当」を指定商品として、同30年5月21日に登録査定、同年6月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録第5288525号(以下「引用商標」という。)は、「天神」の文字を標準文字で表してなり、平成20年9月16日に登録出願、第30類「香辛料,コーヒー豆,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」を指定商品として、同21年12月18日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由、弁駁書及び回答書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証(枝番を含む。)を提出した。

1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効にすべきである。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、漢字と平仮名で「天神いなり」と、横書きした構成よりなるものである。
そして、本件商標の構成中「いなり」の文字は、本件商標の指定商品「いなりずし,いなりずし弁当」との関係において、「いなりずし」の一般名称又は略称として認識されているものであるから、本件商標の要部は「天神」の文字にあり、「天神いなり」や「いなり」の文字にあるのではない。
イ 引用商標について
引用商標は、漢字二字で「天神」と同大に、横書きした構成よりなるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
「いなり」の文字は、本件の指定商品「いなり,いなりずし弁当」との関係において、「いなりずし」の一般名称又は略称として認識されているものであるから、本件商標の要部は「天神」の文字にあり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念を比較するまでもなく同一又は類似の商標である。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
そして、引用商標権者又はその通常使用権者が、その指定商品「すし,べんとう」に引用商標「天神」を商品の一般名称又は略称である「いなり」の文字と共に商品に付して使用した場合、一般需要者は当該表示と本件商標とを識別できず、商品の出所に誤認混同を生じさせるおそれがある。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。

2 答弁書に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 商標の比較対象について
被請求人は、本件商標が同書同大に構成され、かつ、わずか7音構成の商標であることを理由として、一部分のみを分離して抽出することは極めて不適当であるとしているが、結合商標類否判断基準として、一個の商標から二個以上の称呼、観念が生じる場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するとし、そのような場合は分離観察できると判例も認めているところであり、また、結合商標分離観察できる具体的例として、商標審査基準の解説は、例えば、商品の一般名称や広く知れ渡っている商品の略称や形容詞的文字を有する結合商標は、原則としてこれに当たるとしているところ、当該解説に従えば、結合商標である本件商標「天神いなり」を、「天神」と「いなり」に分離して観察することは、判例も認めるところで何ら不適切でも不適当でもない。
そして、「いなり」の文字が、本件商標の指定商品「いなりずし」を指していることは、明白に認識されていることであって、それは単に、商品の略称を表示しているにすぎないものと認識され、本件商標がたとえ同書同大に構成されているものであっても、需要者、取引者は、「いなり」の文字は、単に、商品を表示するものであり、商品の識別機能を有する文字とは認識しないものと考えられる。
イ 「天神」の文字の識別力について
被請求人は、答弁書において「『天神』の部分から一定の観念は生じない。」と主張しておきながら、回答書では「『天神』の文字は、商品の販売地等を表す語として認識される可能性がある。」と主張をし、観念について矛盾した主張をしているところ、「天神」の文字からは、一定の観念が生じ、その観念とは、「天の神、天、菅原道真の神号」等々でもあり、これらの観念が、商品の識別機能を果たしていることは、明白である。
ウ 過去の登録例及び審決例について
請求人の挙げる過去の登録例や審決例は、判例や審査基準の解説でも認める基準を無視し、自ら挙げる事例の内容を良く検討せずに挙げた例にすぎず、本件商標と引用商標の類否に関しては全く参考にならない。

3 令和1年7月29日付け回答書
後記第5の審尋に対する請求人の回答は以下のとおりである。
現実に、引用商標「天神」と「いなり」の文字を同書同大に結合させて、その指定商品につき、時と所を異にして使用した場合、本件商標とは、いずれがいずれの商標であるかを、取引者、需要者は、認識することが出来ず、商品の出所に誤認混同を生じさせるおそれがあることは、明白である。

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を答弁書及び回答書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)商標の比較対象について
本件商標を構成する各文字は同書、同大、同間隔で表記されていることにより、視覚上、全体としてひとまとまりの商標として認識され、さらに本件商標は、わずか7音の商標であるから、一部分のみを分離して抽出することは不適当であり、本件商標から「天神」の部分だけを抽出して比較すべきではない。
(2)商標の類否について
本件商標から生じる「テンジンイナリ」の称呼は7音であり、無理なく一連に称呼できるものであり、本件商標を構成する「天神」の部分は特に特徴的な部分ともいえないことから、本件商標から「テンジン」のみの称呼が生じるとはいえず、「テンジンイナリ」の称呼のみが生じる一方、引用商標は、「テンジン」と称呼されるものであるから、本件商標から生じる称呼「テンジンイナリ」と引用商標から生じる称呼「テンジン」は構成する音数の差異等により明瞭に聴別でき、両商標は、称呼において全く異なる。
また、観念について、本件商標及び引用商標を構成する「天神」の文字は、福岡県福岡市にある繁華街の名称であり、また、神社の種類を表す「天満宮」、「天の神」等(乙1?乙4)、様々な意味合いを有することから、当該文字から一定の観念は生じず、「天神いなり」の文字からも一定の観念を生じないから、両商標からは一定の観念は生じず、観念を比較できない。
さらに、本件商標は、同書、同大、同列に表記された「天神いなり」より構成される一方、引用商標は「天神」より構成されるから、外観が著しく異なることは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標は、少なくとも称呼及び外観が異なるため、非類似の商標といえる。
(3)「天神」の文字の識別力について
「天神」の文字は、「天の神」「天満宮」等の意味合いを有する語であり、福岡県福岡市にある繁華街の名称でもあるから、需要者に地名として認識され、商品の販売地等を表す語として認識される可能性があり、造語のような強い識別力を有しているとはいえず、本件商標に接した需要者等が、殊更「天神」の文字部分に注目するとはいえないから、要部とはいえない。
(4)過去の登録例について
本件商標と同様に「天神○○」の構成からなる商標が、商標「天神」と類似しないと判断された登録例及び「○○いなり」の構成からなる商標が、「いなり」の文字を除いた「○○」の部分からなる商標と類似しないと判断された例が多数あることから、本件商標から「テンジン」のみの称呼は生じず、引用商標と類似しないことは明らかである。
したがって、本件商標は、引用商標と非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

2 令和1年7月25日付け回答書
後記第5の審尋に対する被請求人の回答は以下のとおりである。
(1)本件商標の要部について
ア 「いなり」の文字の識別力について
「いなり」の語に「稲荷鮨の略称」の意味が含まれるという点については認めるが、「いなり」の語は多義的なものである(乙5)。
審尋は、「いなり」の文字のみと、指定商品「いなりずし,いなりずし弁当」との関係のみに着目したうえで、本件商標の構成中の「いなり」の文字部分が「稲荷鮨の略称」であると判断をしているが、「地名」と「いなり」の文字が結合した場合、「その地に所在する稲荷神社」程度の意味合いも連想されるといえるところ、「天神」は、福岡県福岡市にある繁華街の名称であるから、本件商標から、間接的・暗示的に連想される観念のなかには「福岡県福岡市の天神地域に所在する稲荷神社」程度のものも含まれるといえるものであり、本件商標の構成中の「いなり」の文字部分は、「稲荷神社」の略称であるともいえ、識別力は低いとはいえない。
イ 「天神」の文字の識別力について
「天神」の語に「天の神。菅原道真の神号。天満宮。」の意味が含まれるという点については認めるが、「天神」は、福岡県福岡市にある繁華街の名称であり、かつ、極めて有名である(乙6?乙9)から、「福岡県福岡市にある繁華街の名称」として使用されることが一般的であるといえ、一般需要者が「天神」の文字部分から、「福岡県福岡市にある天神地域」程度の観念を連想する可能性は十分にあり、その場合、商品の産地・販売地を表す言葉に該当し、識別力の極めて低い言葉であると考えられる。
また、審尋に記載のとおり、「天神」の語に「天満宮」の観念が含まれるところ、「天満宮」は、北野天満宮・太宰府天満宮など全国各地にあり(乙10)、「天神」から「天満宮」の観念が生じた場合、商品の産地・販売地を表す言葉に該当し得るものであり、識別力の低い言葉であるといえる。
このため、「天神」からは「福岡県福岡市にある繁華街の名称」「天満宮」程度の観念が連想されるといえ、少なくとも「天の神。菅原道真の神号。」の識別性の高い観念が先に連想されることはないといえる。
ウ 小括
上記ア及びイのとおり、「いなり」の語は多義的であり、本件商標の構成中の「いなり」の文字部分から生じる観念は特定が出来ないから、識別性が低いとはいえず、また、「天神」の語の観念として、「福岡県福岡市にある繁華街の名称」「天満宮」が連想されやすいといえるから、識別性が高いとはいえない。
したがって、「天神」と「いなり」の語の間に識別性の強弱はなく、本件商標は一体不可分の造語として認識されるものであるから、その組合せ全体から特定の意味合いを想起、理解させるとはいい難いものである。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 称呼について
本件商標から生じる称呼「テンジンイナリ」と引用商標から生じる称呼「テンジン」は、構成する音数の差異等により明瞭に聴別できるから、本件商標と引用商標は称呼において全く異なる商標である。
イ 観念について
本件商標及び引用商標を構成する文字「天神」は、福岡県福岡市にある繁華街の名称であり、全国に多くある「天満宮」等の意味合いを有し、また、「天の神」等の意味合いも有している。
また、本件商標を構成する「天神」「いなり」の語はそれぞれ多義的な語であり、その組合せ全体から特定の意味合いを想起、理解させるとはいえないから、本件商標と引用商標からは一定の観念は生じず、観念を比較することは出来ない。
ウ 外観について
本件商標は、同書、同大、同列に表記された文字「天神いなり」より構成されるのに対し、引用商標は「天神」の文字により構成されており、本件商標と引用商標の外観が著しく異なることは明らかである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は、少なくとも称呼及び外観が異なるため、非類似の商標であるといえる。

第5 当審における審尋
当審において、請求人及び被請求人に対し、令和1年6月25日付けで、別掲に係る証拠を示した上で、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する旨の見解を示す審尋を通知し、相当の期間を指定して回答を求めた。

第6 当審の判断
1 利害関係について
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがなく、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)分離観察の可否について
複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められないときには、その構成部分の一部を抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許される場合があり、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決参照)。
以下、上記判決に沿って本件商標について、その構成中の「天神」の部分を要部として抽出できるかどうかについて検討する。
(2)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「天神いなり」の文字を横書きしてなるところ、その構成中、「天神」の文字部分は、被請求人も回答書において認めているように「天の神。菅原道真の神号。天満宮。」等の意味を有していること(乙1、乙2)、「いなり」の文字部分は、審尋(別掲)において通知したとおり、「稲荷鮨(いなりずし)の略」等の意味を有していること、「天神」及び「いなり」の各文字は、それぞれ親しまれた既成語であるものの、全体として何らかの意味を看取させないことからすれば、本件商標は、「天神」の語と「いなり」の語とを組み合わせた結合商標と容易に理解されるものである。
そして、審尋(別掲)において通知したとおり、本件商標の構成中の「いなり」の文字は、「いなりずし」の略称を意味する語であって、本件商標の審決時はもとより現在においても継続して、「いなりずし」を表す文字として、広く一般に使用されている事実があることからすれば、「いなり」の文字部分は、本件指定商品「いなりずし,いなりずし弁当」との関係において、商品の普通名称、又は品質(内容)を表すものと理解されて、自他商品を識別する機能は極めて低いものといえる。
他方、上記のような「天の神。菅原道真の神号。天満宮。」の意味を有する「天神」の文字部分は、本件指定商品との関係において、特段、商品の品質等を表示するものではなく、自他商品を識別する機能を十分に果たすものであるから、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として、強く支配的な印象を与えるというべきである。
そうすると、本件商標の「天神」の文字部分と「いなり」の文字部分とを、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められず、本件商標から「天神」の文字部分を要部として
抽出することが許されるというべきである。
したがって、本件商標は、その構成中の要部である「天神」の文字部分に相応して、「テンジン」の称呼及び「天の神。菅原道真の神号。天満宮。」等の観念を生じるものである。
イ 引用商標
引用商標は、上記第2のとおり、「天神」の文字を標準文字で表してなるところ、引用商標からは、その構成文字に相応して、「テンジン」の称呼及び「天の神。菅原道真の神号。天満宮。」等の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標の要部である「天神」の文字部分と引用商標を比較すると、両者は、いずれも「天神」の文字を共通にし、「テンジン」の称呼及び「天の神。菅原道真の神号。天満宮。」の観念を共通にするものであるから、外観、称呼、観念のいずれの点においても、相紛らわしく、互いに類似する。
してみれば、本件商標の要部である「天神」の文字部分と引用商標とは、類似するものであるから、本件商標と引用商標とは、「いなり」の文字の有無といった外観の差異があるとしても、外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(3)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品、第30類「いなりずし,いなりずし弁当」は、引用商標の指定商品中、第30類「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」と同一又は類似の商品である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であり、その指定商品も同一又は類似の商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 被請求人の主張について
(1)被請求人は、「天神」の文字は、極めて有名な「福岡県福岡市にある繁華街の名称」又は神社の種類を表す「天満宮」を連想させるものであり、一般需要者に商品の販売地等を表す語として認識される可能性があるから、「天神」の文字は、強い識別力を有しているとはいえず、特段需要者の注意を惹くような強く支配的な語ではない旨主張している。
しかしながら、「天神」の文字が「天の神。菅原道真の神号。天満宮。」を意味する語として、被請求人提出の辞書(乙1、乙2)にも掲載されていることからすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、「天神」の文字から、直ちに地名を認識するというよりは、一般に上記意味合いを認識するとみるのが自然である。そして、本件商標中「天神」の文字が、本件指定商品との関係に鑑みて、自他商品を識別する機能を十分に果たし、取引者、需要者に対して出所識別標識として強く支配的な印象を与えることは、上記2(2)アのとおりである。
(2)被請求人は、「いなり」の文字について、「地名」と「いなり」の文字が結合した場合、「その地に所在する稲荷神社」程度の意味合いも連想されるといえる旨主張しているが、本件商標の構成中の「いなり」の文字が、本件指定商品との関係において「いなりずし」の略称として一般に使用されていて、自他商品を識別する機能が極めて低いことは、上記2(2)アのとおりであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、請求人が主張するような意味合いが直ちに連想されるということはできない。
(3)被請求人は、商標の構成中に「天神」や「いなり」の各文字を含む商標が、それぞれの文字と併存して登録されている例を挙げ、本件商標も一連の商標と判断されるべきである旨主張しているが、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるものであるところ、本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、類似の商標であるから、被請求人の挙げた過去の登録例等によって、本件商標の商標法第4条第1項第11号についての判断が左右されるものではない。
したがって、被請求人の上記主張は、いずれも採用できない。

4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきである。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
上記第5の審尋において示した「いなり」の文字についての証拠
1「いなり」の文字について
(1)「いなり【稲荷】」の項に、「『油揚げ』の異称。また、稲荷鮨の略。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の記載がある。
(2)「いなり【稲荷】」の項に、「『稲荷鮨(いなりずし)』」の略。」(株式会社小学館 大辞泉第二版)の記載がある。
(3)「いなり【稲荷】」の項に、「『稲荷鮨(いなりずし)』の略。お稲荷さん。」(株式会社三省堂 大辞林 第三版)の記載がある。

2 新聞記事において、「いなり」の文字が「いなりずし」を表すものとして使用されている事実
(1)2007年2月5日付け「日食外食レストラン新聞」(8ページ)において、「売れるメニューのヒント:弁当編(1)」の見出しの下、「◆海鮮いなり 魚廣/福井市中央1-8-1 西武百貨店福井店内 418g/780円内容:マグロ、イカ、エビ、サケ、アナゴ、タイ、イクラ、いなり揚げ、レタス、キュウリ、干瓢、椎茸、紅ショウガ、酢飯。見所:ジャンボサイズのいなり寿司の上に、豪華な海鮮生ネタがのっている。」の記載がある。

(2)2017年1月30日付け「日経MJ(流通新聞)」(19ページ)において、「節分『恵方巻き』の次は、初午『いなり』いかが、ローソンやヨーカドー、来月12日に合わせ販促。」の見出しの下、「初午(はつうま)の日にいなりを??。小売り各社が新暦で2月12日の初午の日に合わせて、いなりずしの販売促進を強化する。(中略)静岡産の茎ワサビをたっぷり混ぜ込んだ酢飯を、大きなお揚げで包んだいなりずしで、3週間限定商品となる。」の記載がある。

3 インターネット情報において、「いなり」の文字が「いなりずし」を表すものとして使用されている事実
(1)「銀のさら」のウェブサイトにおいて、「Y81 いなり1コ」の見出しの下、以下に示すいなりずしの画像が掲載されている。


(https://www.ginsara.jp/menu/inari-1-item2_1_detail.html)

(2)「株式会社阪急デリカアイ」のウェブサイトにおいて、「限定いなり」の見出しの下、「6月月替りいなり」の文字とともに、以下に示すいなりずしの画像が掲載されている。


(http://hankyudelica-i.co.jp/mameda-products)
審理終結日 2019-09-24 
結審通知日 2019-09-27 
審決日 2019-10-17 
出願番号 商願2016-99591(T2016-99591) 
審決分類 T 1 11・ 263- Z (W30)
T 1 11・ 262- Z (W30)
T 1 11・ 261- Z (W30)
最終処分 成立 
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 中束 としえ
小田 昌子
登録日 2018-06-22 
登録番号 商標登録第6053985号(T6053985) 
商標の称呼 テンジンイナリ、テンジン 
代理人 岡崎 ▲廣▼志 
代理人 大槻 聡 
代理人 丸山 幸雄 
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