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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042 |
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管理番号 | 1357800 |
審判番号 | 取消2018-300281 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-05-09 |
確定日 | 2019-11-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3324144号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3324144号商標の指定役務中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第3324144号商標(以下「本件商標」という。)は、「HIMARAYA」の欧文字を横書きしてなり、平成5年8月10日に登録出願、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,入浴施設の提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,衣服の貸与」を指定役務として、同9年6月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年5月23日である。 なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年5月23日から同30年5月22日までを、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」(以下「取消請求役務」ということがある。)について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)乙第1号証について 本件商標が使用されているのは、第42類に属する指定役務「電子計算機用プログラムの性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」である。このことは、乙第1号証の1頁目の登録商標の右にあるサイト概況紹介として「株式会社ヒマラヤ インターネットEDIシステム資料提供サイト」との記載があることより明らかである。 サイトの概況紹介以外、乙第1号証の内容が、おおむね、ア「更新履歴」、イ「お知らせ」、ウ「デモサイトのご案内」、エ「よくあるお問い合わせ」、オ「資料のダウンロード」という五つの部分に分けられている。 五つの部分中、「お知らせ」の内容は2つの部分に分けられており、1つは、「システムを操作できる時間帯」のお知らせであり、もう1つは、仕様書をサイトで公開したとのお知らせである。これらの内容に関するお知らせは、どちらも「電子計算機用プログラムの性能・操作方法等に関する紹介及び説明」に属し、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に属しない。 「デモサイトのご案内」は、システムの使用者のため、システムのデモサイトを提供することである。デモサイトの提供は、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」ではなく、せいぜい第42類の「電子計算機用プログラムの提供」に属するものである。 「よくあるお問い合わせ」では、例の質問と回答が挙げられている。例の質問は「動作環境を教えてください」という「電子プログラムの操作方法」に関する質問であり、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に関するものではない。 「資料のダウンロード」の項目では、説明会とか、操作マニュアル、仕様書などについての資料がアップロードされている。これらの資料の提供は、「電子計算機用プログラムの性能・操作方法等に関する紹介及び説明」に属し、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に属しない。 よって、乙第1号証は、請求の対象とされた指定役務の要件を満たしていない。 (2)乙第2号証について 乙第2号証の更新の対象は、上記で言及した「資料のダウンロード」でアップロードされた資料の更新である、「システムを改良・最適化していく」ためのシステムの更新ではない。つまり、これらの更新は、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に属しない。 なお、「コード一覧表を更新しました」にある「コード」は、被請求人が新店舗に付与したコードである。「コードの更新」は、システム更新することより、むしろ、被請求人自身がシステムを使用する際、システムで自分自身についての最新情報を記入することである。 よって、乙第2号証は、請求の対象とされた指定役務の要件を満たしていない。 (3)乙第3号証及び乙第4号証について 本件商標と社会通念上同一の商標である「ヒマラヤ」がインターネットEDIシステムのデモ画面の左上で表示されている。これらの商標としての使用は、第42類に属する「電子計算機用プログラムの提供」であり、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」ではない。 よって、乙第3号証及び乙第4号証は、請求の対象とされた指定役務の要件を満たしていない。 (4)乙第5号証について 乙第5号証には、「2012年11月28日」の記載があり、2012年(平成24年)11月28日の印刷物であることがわかる。 よって、乙第5号証は、要証期間内の使用の要件を満たしていない。 なお、そもそも乙第5号証では、本件商標が使用されていない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。 被請求人は、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用して、電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守を行っている。 1 乙第1号証について 乙第1号証は、被請求人の提供するインターネットEDIシステムを紹介し、その資料を提供しているウェブサイトのプリントアウトである。このシステムは、被請求人と需要者であるその取引先とをオンラインで結び、取引先が商品発注等を管理することを可能にしたプログラムである。このシステムを紹介したウェブサイトの記載より、被請求人が電子計算機用のプログラムを設計し、その保守を行っており、そのプログラムをインターネットEDIシステムとして取引先である需要者に提供していることが認められる。 2 乙第2号証について 乙第2号証は、乙第1号証に表示されているインターネットEDIシステムの「更新履歴」の記載である。この更新履歴は、被請求人がインターネットEDIシステムの提供に当たり、そのプログラムのデータを最新のものに保つために随時プログラムデータの更新を行い、その履歴を需要者にお知らせしたものである。この「更新履歴」の記載から、少なくとも2012年11月21日から2018年8月6日の間、被請求人により、継続して当該プログラムデータの更新が行われ、本件取消請求に係る指定役務である「電子計算機の保守」が行われてきたことが認められる。 乙第2号証の表示を含む乙第1号証のウェブサイトには、本件商標が表示されており、本件商標を使用したインターネットEDIシステムが、被請求人により、要証期間に提供され、あわせて、そのシステムの電子計算機のプログラムの保守も行なわれてきたことは明らかである。 3 乙第3号証について 乙第3号証は、乙第1号証で示したインターネットEDIシステムの提供に当たり、そのデモ版を顧客に提供しているウェブサイトのプリントアウトである。電子計算機用プログラムの提供については本件取消に係る役務ではないものの、このサイトのデモ版の提供に当たり、本件商標と社会通念上同一の商標である「ヒマラヤ」が表示されている。 4 乙第4号証について 乙第4号証は、乙第3号証で示したインターネットEDIシステムのデモ版の最初のページのプリントアウトである。乙第3号証の説明と同様ではあるが、このシステムにも本件商標と社会通念上同一の商標である「ヒマラヤ」が表示されている。 5 乙第5号証について 乙第5号証は、乙第1号証で説明した被請求人が提供しているインターネットEDIシステムの御取引先様向け説明会資料の写しである。この資料の表紙の記載「2012年11月28日 第2版」の表記から、少なくとも2012年11月28日には、このシステムが需要者に提供されていたことが明らかである。 また、乙第5号証の3ページ目に「5)インターネットEDIシステム稼働目標」の記載があり、そこには「2011年9月1日(木)発注分よりインターネットEDIシステムへの全切替を行います」との記載がある。この記載から、2011年9月1日(木)よりも前から本サービスの前身となるサービスを被請求人が行ってきたことが認められ、2011年9月1日(木)以降は、現在提供中のインターネットEDIシステムに移行されたことが認識できる。また、このシステムへの切替にともない、電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守が被請求人によって行われたことは明らかである。 6 以上により、被請求人が本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を、取消請求役務に、要証期間内に使用していることは明らかである。 第4 当審における審尋 当審において、平成31年4月26日付けで、被請求人に対し、以下の1ないし5についての説明、立証を求める旨の審尋を送付し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。 1 本件審判請求に係る指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」は、他人が保有・管理すべき電子計算機のプログラムについて、その他人に代わって行う役務であると解されるところ、被請求人の提供するインターネットEDIシステムは、誰が作成し、管理・保有するプログラムであるのか不明である。 2 乙第2号証に掲載されている更新履歴について、「コード一覧表」の更新等が、インターネットEDIシステムのプログラムの保守に当たるのか不明である。特に、これが、他人のために行うプログラムの保守といえるものなのか不明である。 3 「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務の提供について、顧客とどのような契約をしているのか不明であり、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務の提供を受ける者からの役務の提供に係る対価はどうなっているのか不明である。 4 「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に関して、株式会社サイバーリンクスと被請求人との関係が不明である。 5 「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について、要証期間内に、どのように本件商標を使用していたのか不明である。 第5 被請求人の対応 被請求人は、上記審尋に対し何らの応答もしていない。 第6 当審の判断 1 被請求人提出の証拠について (1)乙第1号証は、2018年8月打ち出しの、被請求人が、自己の提供するインターネットEDIシステムを紹介し、その資料を提供しているウェブサイトのプリントアウトと主張するものであり、その1葉目の上段の枠内には、左側に、青字で「HIMARAYA」と表示され、その右側には、「株式会社ヒマラヤ インターネットEDIシステム資料提供サイト」の文字がやや小さめの青字で表示されている。そして、その下には、「当サイトではインターネットEDIシステムに関する資料をダウンロードする事ができます。」との記載がある。 さらに、その下には、「更新履歴」「お知らせ」「デモサイトのご案内」「よくあるお問い合わせ」「資料のダウンロード」の項目が、それぞれ、枠内に表示されている。 また、「資料のダウンロード」の項目には、「各種ご案内」「操作マニュアル・自動送受信パック設定表のご案内」「資料のダウンロード」「サンプルデータ」「オプションソフトのご案内」のカテゴリーが表示されており、各カテゴリーごとに各種資料が掲載されている。 (2)乙第2号証は、被請求人が、乙第1号証に表示されているインターネットEDIシステムの「更新履歴」の記載と主張するものであり、「[更新日:2018/08/06]/・コード一覧表を更新しました。」「[更新日:2017/12/04]/・操作マニュアルを更新しました。」「[更新日:2016/02/08]/・『インターネットEDIシステム動作環境変更のお知らせ』を掲載しました。」「[更新日:2012/11/21]/・コード一覧表を更新しました。(新規1店舗追加)」等の記載がある。 (3)乙第3号証は、被請求人が、乙第1号証で示したインターネットEDIシステムの提供に当たってのデモ版を顧客に提供しているウェブサイトのプリントアウトであると主張するものであり、左上部には、「ヒマラヤ」の文字が青字で表示され、その右側には、「Internet EDI System」の文字が表示されている。 また、下部には、「初回ログインされる際には、/『インターネットEDIシステムを使用する前の準備』/を参照頂き、設定作業を行ってください。」「インターネットEDI資料提供サイトへ」等の記載がある。 なお、当該資料の打ち出し日等、具体的な日付を確認できる記載は見当たらない。 (4)乙第4号証は、被請求人が、乙第3号証で示したインターネットEDIシステムのデモ版の最初のページのプリントアウトであると主張するものであり、上部の枠内には、左側に「ヒマラヤ」の文字が表示され、中央には、「ブラウザ型取引先様メニュー」の文字が表示されている。 その下部には、項目ボタンとおぼしき表示があり、「納品・客注納品データダウンロード」「一括受信メニュー」「受信ログ表示」等の文字が表示されている。 なお、当該資料の打ち出し日等、具体的な日付を確認できる記載は見当たらない。 (5)乙第5号証は、被請求人が、自己が提供しているインターネットEDIシステムの取引先向け説明会資料の写しであると主張するものであり、表紙には、「インターネットEDIシステム/お取引先様 説明会資料」「2012年11月28日 第2版」「株式会社ヒマラヤ」の表示がある。 また、11葉目には、「11.本件に関する問合せ先」として、「株式会社ヒマラヤ」「株式会社サイバーリンクス/株式会社ヒマラヤ インターネットEDIシステム担当」がそれぞれの住所・電子メールアドレスとともに、表記されている。 2 判断 (1)乙第1号証及び乙第2号証について 乙第1号証は、上段の枠内における「株式会社ヒマラヤ インターネットEDIシステム資料提供サイト」の文字の表示、「当サイトではインターネットEDIシステムに関する資料をダウンロードする事ができます。」の記載及び「資料のダウンロード」の項目に掲載されている「各種ご案内」「操作マニュアル・自動送受信パック設定表のご案内」「資料のダウンロード」「サンプルデータ」「オプションソフトのご案内」のカテゴリー中の各種資料等を含めた全体の構成をみるに、インターネットEDIシステムを紹介するための資料をダウンロードすることができるサイトであるといえる。 また、被請求人が、乙第1号証に表示されているインターネットEDIシステムの「更新履歴」と主張する乙第2号証に関して、前記第4の審尋の2で挙げた「『コード一覧表』の更新等が、インターネットEDIシステムのプログラムの保守に当たるのか不明である。特に、これが、他人のために行うプログラムの保守といえるものなのか不明である。」との点についても、被請求人からは何ら回答がなく、具体的に、第三者に対し、被請求人が主張するプログラムデータの更新が行われた事実を把握することができない。 そうすると、乙第1号証において「HIMARAYA」の表示があり、乙第2号証における更新日が要証期間内であるとしても、乙第1号証及び乙第2号証に係るウェブサイトは、全体として、インターネットEDIシステムの運用・活用方法を説明するにすぎないものというべきであり、かつ、当該サイトにおいて、他人のためにプログラムデータの更新が行われた事実も認められないから、被請求人が、第三者に対して、取消請求役務である「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務を提供しているものとみることはできない。 (2)乙第3号証及び乙第4号証について 乙第3号証は、被請求人が、乙第1号証で示したインターネットEDIシステムの提供に当たってのデモ版を顧客に提供しているウェブサイトのプリントアウトであり、乙第4号証は、乙第3号証で示したインターネットEDIシステムのデモ版の最初のページのプリントアウトであると主張するものであるところ、これらにおいて、「ヒマラヤ」の表示が確認できるものの、具体的な日付を確認することはできない。 また、これらが「電子計算機用プログラムの提供」に係るサイトであると認め得るとしても、被請求人自身が「電子計算機用プログラムの提供」については本件取消に係る役務ではないと認めているとおり、乙第3号証及び乙第4号証からは、被請求人が、第三者に対して、取消請求役務である「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務を提供しているものとみることはできない。 (3)乙第5号証について 乙第5号証は、被請求人が、自己が提供しているインターネットEDIシステムの取引先向け説明会資料の写しであると主張するものであり、表紙には、「インターネットEDIシステム/お取引先様 説明会資料」「2012年11月28日 第2版」「株式会社ヒマラヤ」の表示があることから、当該資料は、2012年11月28日に用いられていたものと推認し得るとしても、この日付は要証期間外である。 また、乙第5号証には、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の表示を確認することができず、かつ、乙第5号証における記載内容は、インターネットEDIシステムの運用・活用方法を説明するにすぎないものというべきであって、これからは、被請求人が、第三者に対して、取消請求役務である「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務を提供しているものとみることはできない。 (4)小括 以上からすれば、被請求人が、要証期間内に、日本国内において、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務を提供したと認めることはできない。 そうすると、要証期間内に、被請求人が、取消請求役務を実際に提供していたことを確認することができないから、当該指定役務のいずれかについて、本件商標を使用したと認めることはできない。 その他、要証期間において、取消請求役務のいずれかについて、本件商標の使用をしたことを認めるに足りる証拠の提出はない。 3 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求役務について本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。 また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、結論掲記の役務について、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-09-17 |
結審通知日 | 2019-09-19 |
審決日 | 2019-10-03 |
出願番号 | 商願平5-83701 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(042)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 冨澤 美加 |
登録日 | 1997-06-20 |
登録番号 | 商標登録第3324144号(T3324144) |
商標の称呼 | ヒマラヤ |
代理人 | 樋口 頼子 |
代理人 | 山川 茂樹 |
代理人 | 下田 一徳 |
代理人 | 辻田 朋子 |
代理人 | 山川 政樹 |