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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29 |
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管理番号 | 1357765 |
審判番号 | 不服2018-12323 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-09-13 |
確定日 | 2019-11-15 |
事件の表示 | 商願2017-57816拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成29年4月24日に登録出願されたものである。 その後、本願の指定商品については、原審における平成30年2月9日受付の手続補正書及び当審における令和元年8月5日受付の手続補正書により、第29類「さんま(生きているものを除く。),さんまの蒲焼き,味付けしたさんまのフライ,その他のさんまを使用した加工水産物(さんまのフライを除く。)」と補正されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由(要点) 原査定は、「本願商標は、『さんま』及び『カツ』の文字を書してなるところ、その構成中、『カツ』の文字は、『カツレツ』の略称であって、『カツレツ』を指称する語として親しまれており、また、飲食品業界においては、肉はもとより、魚のカツ(カツレツ)が普通に食されている実情があるから、本願商標は、その構成全体から『さんまを用いたカツ(カツレツ)』ほどの意味合いを無理なく看取させるものであって、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、自他商品の識別標識とは認識しないというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記意味合いに照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて職権で証拠調べをし、その結果を請求人に対して同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、令和元年7月2日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。 第4 請求人の意見 請求人は、前記第3の証拠調べ通知書に対し、令和元年8月5日受付の意見書を提出し、要旨以下のように主張した。 証拠調べ通知書において、「さんまカツ」の使用の事実は示されておらず、また、取引者、需要者は、本願商標の構成中の「カツ」につき、「豚カツ」、「ヒレカツ」の「カツ」と想起できても、「カツレツ」の略と認識できないし、本願商標は、全体として特定の意味合いを看取させない一種の造語であって、商品の品質等を直接的かつ具体的に表示するものではない。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、別掲1に示すとおりの構成態様からなるところ、これよりは、直ちに「さんま」及び「カツ」の文字を縦書き二列で表してなるものと看取、把握できるものであるから、本願商標は、「さんまカツ」の文字を普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示するものといえる。 そして、本願商標の構成中、「カツ」の文字は、「カツレツ」の略称であって、「○○カツ」の文字(○○は、肉の種類、魚介類などの名称)が、本願の指定商品を取り扱う業界において、一般に使用されている実情がある(別掲2及び別掲3参照)。 そうすると、本願商標をその指定商品中、「味付けしたさんまのフライ」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、本願商標全体から、「さんまを使用したカツレツ」であることを認識するにとどまるとみるのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 2 請求人の主張について 請求人は、証拠調べ通知書においては「さんまカツ」の使用の事実は示されていない、また、本願商標構成中の「カツ」の部分について、取引者、需要者は「カツレツ」の略とは認識しない、さらに、本願商標は全体として特定の意味合いを看取させない一種の造語であって、商品の品質等を直接的かつ具体的に表示するものではない旨主張する。 しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、指定商品の品質、用途を表すものとして取引者、需要者に認識される表示態様の商標につき、そのことのゆえに商標登録を受けることができないとしたものであって、同号を適用する時点において、当該表示態様が、商品の品質、用途を表すものとして現実に使用されていることは必ずしも必要でないものと解すべきである(東京高裁平成13年(行ケ)第207号(平成13年12月26日言渡))とされていることから、たとえ、本願商標の構成文字全体(「さんまカツ」)が、指定商品を取り扱う業界において、商品の品質等を表すものとして実際に使用されていないとしても、別掲2及び別掲3のとおり指定商品を取り扱う分野における実情を勘案すれば、本願商標は、その取引者、需要者に、「さんまを使用したカツレツ」という商品の具体的な品質を認識させるにすぎないものであって、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとはいえないことは、上記1で述べたとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 (本願商標) 別掲2 (原審の拒絶査定において提示された使用例) (1) [株式会社岩波書店 広辞苑第六版] カツ カツレツの略。「?‐ライス」「豚とん?」 (2)[株式会社岩波書店 広辞苑第六版] カツレツ【cutlet】 豚肉・牛肉・鶏肉などの切り身に小麦粉・溶き卵・パン粉をつけて、油で揚げた料理。カツ。 (3)『さんまづくし』by tomokichi1980:駒八 目黒店(こまはち)-目黒/居酒屋 ・・・牛すじ煮込みはさんまじゃないけど、思いのほかちゃんとした出汁で美味しい。さんまの盛り合わせは、刺身、なめろう、焼き、から揚げが乗っていて贅沢。さんまのなめろうとか滅多に食べられないので良かったです。さんまカツやスタミナ焼きなども食べました・・・。 https://tabelog.com/tokyo/A1316/A131601/13027734/dtlrvwlst/B237463466/ (4)有限会社スズ市水産 - 地方銀行フードセレクション201 ・・・薄衣なうえ、フライパンに油を敷くだけで調理でき、余分な油が抑えられ、とてもヘルシーです。商品名:フライパンでできる!さんまカツ(チーズ入り) http://food-selection.com/detail.php?id=7492 (5)【みんなが作ってる】さんま かつのレシピ【クックパッド】 簡単おいしい・・・さんま かつの簡単おいしいレシピ(作り方)が14品!「さんまの骨フライ」「サンマのカツレツ」「さんまの蒲焼缶の卵とじ」「豪華な秋刀魚のフライピザ」など。 https://cookpad.com/search/%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%BE%E3%80%80%E3%81%8B%E3%81%A4 (6)徳島のカツはフィッシュカツ|フード・レストラン|NIKKEI STYLE 徳島県で「カツ」といえば、トンカツではなくフィッシュカツのことを指す。魚のすり身をカレー粉などで味付けし、パン粉をまぶして揚げる。およそ60年前に小松島市で誕生し、いまや県内全域で老若男女に愛される県民食として定着した。 https://style.nikkei.com/article/DGXKZO04454880V00C16A7NZ1P01?channel=DF130120166138 (7)お魚カツレツ|キリンレシピノート-とっておきの「おつまみ」から「デザート・・・「おつまみ」から「デザート」まで、とっておきのレシピをお届けする「キリンレシピノート」。“カンタン・おいしい・楽しい!”をテーマに、さまざまなシーンにあわせたレシピが満載!「お魚カツレツ」のレシピをご紹介します。 http://recipe.kirin.co.jp/a03152.html 別掲3 (証拠調べ通知書において提示した使用例) 1 「カツ」の文字が、「カツレツ」の略である事実及び「〇〇カツ」(○○は、肉の種類などの名称)の文字が、「〇〇を使用したカツ(カツレツ)」、「○○を使用し、パン粉などをつけて油で揚げたもの」ほどの意味合いで一般に使用されている事実。 (1)株式会社岩波書店発行「広辞苑第六版」の「カツ」の項には、「カツレツの略。」、「・・・、豚(トン)カツ」の記載があり、「カツレツ」の項には、「豚肉・牛肉・鶏肉などの切り身に小麦粉・溶き卵・パン粉をつけて、油で揚げた料理。カツ。」の記載がある。 (2)株式会社三省堂発行「新明解国語辞典第七版」の「カツ」の項には、「カツレツの略。『豚(トン)カツ、ヒレカツ』」の記載があり、「カツレツ」の項には、「ブタ・ウシ・トリなどの肉を平たく切り、パン粉をつけて揚げたもの。カツ。」の記載がある。 (3)公益社団法人全国調理師養成施設協会発行「総合 調理用語辞典[特装版]」の「カツレツ」の項には、「牛肉,豚肉,鶏肉に,小麦粉,卵,パン粉をつけてたっぷりの油脂で揚げた料理。・・・ビーフカツ,チキンカツ,メンチカツなどがある。」の記載がある。 2 「〇〇カツ」(〇〇は、魚介類などの名称)の文字の使用例。 (1)「Rakuten」の「漁師が目利きしたお取り寄せグルメ 株式会社フォーシーズン」のウェブサイトにおいて、「マグロカツ」の見出しの下、「商品内容」の項に、「鮮度の良いマグロを加工して臭みがなく冷めても美味しいマグロカツです。」の記載がある。また、「原材料」の項に、「マグロ、衣(パン粉)、・・・」の記載が、「お召し上がり方」の項に、「170-180℃の油で5分30秒?6分揚げるだけです!」の記載がある。 (https://item.rakuten.co.jp/syun-sakana/magurokatu50g10ko/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_113_0_10001868) (2)「Rakuten」のウェブサイトにおいて、「まぐろ問屋のカジキマグロカツ」の見出しの下、「パテではなくカジキの身1枚ものを使用!生パン粉をまぶし、サクっとした歯ごたえとカジキの美味しさを衣の中に包み込みました。」の記載がある。 (https://item.rakuten.co.jp/premoa/2980000132247/) (3)「セイウ株式会社」のウェブサイトにおいて、「まぐろ・鯖などの水産関連商品,冷食,外食,惣菜,給食」、「まぐろカツ」の見出しの下、「開封後の取扱」の項に、「凍ったまま約170?180度の油で5分程度揚げてください。」の記載がある。 (http://seiu.co.jp/product/tuna-cutlets/) (4)「Rakuten」の「対馬ふれあい産直便」のウェブサイトにおいて、「(有)対馬かまぼこ店 対馬産あじカツ 6個入(約500g入)」の見出しの下、「対馬産の新鮮なあじを使った魚のカツです。ボリュームたっぷりのカツが化粧箱に6個入っています。」の記載がある。また、「お魚をカツにしました」、「(対馬産)純あじ」、「あじカツ」の文字が付された商品パッケージの画像が掲載されている。 (https://item.rakuten.co.jp/tsushima/10000045/) (5)「道の駅うずしおレストラン」のウェブサイトにおいて、「淡路島産丸鯵使用 鯵カツごはん」の見出しの下、「肉厚のカツは、タルタルソース・自凝雫塩・淡路島ソースをお好みで使ってお召し上がりいただきます。」、「ぜひ旬の丸鯵をお楽しみにお越し下さいませ。」の記載がある。 (http://eki.uzunokuni.com/m_restaurant/archives/2018/10/topics-03164753.html) (6)「Rakuten」の「HalloDay」のウェブサイトにおいて、「煉屋海三郎冷凍ギフト」の見出しの下、「・・・えびカツ いわしカツ・・・」の記載、「原材料」の項に、「【いわしカツ】:魚肉(いわし)、パン粉(小麦由来)、・・・」、「【えびカツ】:・・・、えび、・・・、パン粉、・・・」の記載があり、「いわしカツ」、「えびカツ」の文字が付された商品パッケージの画像が掲載されている。 (https://item.rakuten.co.jp/halloday/10000063/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_113_0_10001868) (7)「Rakuten」のウェブサイトにおいて、「甘辛いわしカツ 3袋セット」の見出しの下、「二度揚げいわしのふっくら食感!」、「三陸石巻産のいわしを使用しています。」の記載がある。 (https://item.rakuten.co.jp/mediaprice/7855700000001/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_113_0_10001868) (8)「株式会社 博多魚嘉」のウェブサイトにおいて、「チルド商品」の「フライ」の項に、「いかカツ」、「まぐろカツ」、「いわしカツ」の記載があり、「いかカツ」、「まぐろカツ」、「いわしカツ」の文字が付された商品パッケージの画像が掲載されている。 (http://www.meritbank.net/uoka/product.html」 (9)「津久司蒲鉾」のウェブサイトにおいて、「はもカツ」の見出しの下、「その高級食材『はも』のすり身を使った新名物です。」の記載があり、「はもカツ」の文字が付された商品パッケージの画像が掲載されている。 (http://tsukushikamabok.shop-pro.jp/) |
審理終結日 | 2019-09-06 |
結審通知日 | 2019-09-13 |
審決日 | 2019-09-25 |
出願番号 | 商願2017-57816(T2017-57816) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W29)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 正和、大島 康浩 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
小松 里美 有水 玲子 |
商標の称呼 | サンマカツ |
代理人 | 入江 一郎 |