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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X09
管理番号 1357757 
審判番号 取消2016-300742 
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-10-19 
確定日 2019-11-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第5427549号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第5427549号商標(以下「本件商標」という。)は,「TART」の文字を標準文字で表してなり,平成23年1月18日に登録出願,第9類「眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」を指定商品として,同年7月22日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判請求の登録日は,平成28年11月2日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標を取り消す,審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,その理由を審判請求書,平成29年6月12日及び同30年1月22日付け審判事件弁駁書,口頭審理陳述要領書及び上申書において,要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 請求人適格について
被請求人は,別異の案件や学説を挙げて,請求人が自らの事業と関係のない出願をしているなどとして,「請求人適格を有しない」などと主張している(乙19?乙23)。
しかしながら,不使用取消審判は「何人も」請求することができるのであって(商標法第50条第1項),利害関係を要しない。しかも,そもそも,商標法第50条の立法趣旨は,不使用の登録商標には需要者の信頼,信用などが化体することがないので保護する必要がないことを理由とするものである。
3 本件商標権者による日本人顧客に対する眼鏡の直接販売について
(1)被請求人が,提出した請求書(インボイス)(乙3の1,乙4の1,乙5の1,乙6の1,乙7の1)は,本件商標権者が日本に居住する者に対して交付した請求書の原本ではなく,本件商標権者が保有していると思われる原本の写しにすぎず,このような原本の写しは,本件商標を故意に表示させる等の改ざんが可能であるので商品等に関する取引書類を頒布した事実を立証することにはならない。
加えて,請求書の項目が商品「眼鏡の附属品」であることを示す証拠は一切提出されていない。
また,これらの請求書(インボイス)が顧客に郵送又はメールで送信された事実を示す書証を一切提出しておらず,発行者である本件商標権者の署名がなされてないことから信ぴょう性は低く,これらの書証は証拠能力が乏しい。
さらに,要証期間外の日付のインボイス及び対価なしの物品が米国内から米国内へ発送されたであろうことがうかがえるインボイスもある(乙35,乙47の1,乙51の1,乙52の1)。
(2)被請求人が提出した取引明細,入金明細及び発送書類の写し(乙3の2・3,乙4の2・3,乙5の2・3,乙6の2・3,乙7の2)では,商品の譲渡行為があった事実が証明されることにはならない。
加えて,これらの書証には,本件商標は一切表示されていない。
さらに,当該入金明細の写しからは,被請求人の主張する作成年月日に当該書証が作成された事実を看取することはできず,本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)の使用を立証するものではない。
(3)通常の商取引においては,まず販売者が請求書を発行し,それを受けて購入者が代金を支払うのが,取引の自然な流れと解されるところ,請求書(インボイス)の写し(乙3の1,乙4の1)に記載されている日付はすべて,入金明細の写し(乙3の2,乙4の2)に記載されている日付より,後の日付となっており,通常の商取引の流れからすると,不自然というほかなく,被請求人は,顧客に対して常に前払いによる支払いを求めている事実を立証する書証を何ら提出していない。
そして,前払いによって入金がされていることが確認されているのに,さらに,その代金を請求することは極めて不自然といわざるを得ない。
(4)乙第3号証ないし乙第7号証に記載されている者は,すべて日本国内に所在する個人であり,これらの個人消費者が本件商標権者との間で譲渡契約を締結し,本件商標権者が商品を日本国外から日本国内に発送したとしても,それは本件商標権者による日本国内における「譲渡」には該当しない(甲2)。
4 本件商標権者と眼鏡店BLINCとの取引について
(1)眼鏡店BLINCが制作した本件商標権者の広告
ア 情報サイトの記事(乙33)が商標法第2条第3項第8号の「広告」でないことは明らかであるし,そもそも当該書証表示されている標章は本件商標と別異の「TART OPTICAL」である。さらに,当該ウェブサイトの印刷日は要証期間外の2018年(平成30年)11月12日であるし,当該ウェブサイトに「発売日2014年3月28日」と記載されているが,これは,被請求人のいうところの「広告」がされた日ではない。
イ 眼鏡店BLINC(以下「BLINC」という。)が本件商標の使用許諾を受けた使用権者であることの証明はー切なされていない。
ウ T氏に係るウェブサイトの印刷日(乙34)は要証期間外の2018年(平成30年)11月12日であるし,当該書証に示されているのは,本件商標と別異の「TART OPTICAL」である。
(2)BLINCのA氏による陳述書(乙76)について
被請求人は,被請求人代理人がA氏に送ったメールの写し(乙27)は,過去に本件商標権者とA氏との間に「購入代金」に関するトラブルが存在したことをうかがわせるものであり,購入代金に係るトラブルということは,購入の有無にも関連する可能性がある。
そして,上記陳述書が,本件商標権者とA氏との間の同トラブルに対する「誠意ある対応」と引き換えに提出されたものではないかという疑念を禁じ得ない。
そうすると,このような本件商標権者と金銭トラブルがあったことが推測されるA氏による本件商標権者に全面的に有利な陳述書は,信ぴょう性を著しく欠くといわざるを得ず,当該陳述書(乙76)によっては,本件商標権者発行のインボイスが実際に日本の顧客に頒布されたことについて,証明されたということはできない。
(3)BLINCによる広告及び商品の販売は本件商標権者の使用に該当するかについて
平成24(行ケ)第10310号判決(乙75)は,流通業者による,本件商標権者の製造に係る商品の販売であればすべて商標権者による登録商標の使用となる,と判示しているわけではない。
してみれば,BLINCによる商品の販売が,本件商標権者による本件商標の使用にあたるとはいえないし,被請求人自身も認めているとおり,BLINCに本件商標の使用を許諾していないことから,使用権者による使用にもあたらない。
加えて,本件においては本件商標権者が外国の法人である等,本件と上記判決とは全く事案を異にするのであって,当該判決は本件の参考とはなり得ない。
5 ウェブサイトについて
(1)本件商標権者のウェブサイトについて
本件商標権者の英語による会社ホームページを印刷したもの(乙1,乙10,乙11,乙17,乙26,乙53)は,本件商標と同一の標章が記載されていたとしても本件商標の日本国内における使用の事実をなんら立証するものではない。
また,これらのウェブサイトのうち,印刷日及びアーガイブの日付が要証期間外のものもある(乙1,乙17,乙53の2・5?7)。
そして,被請求人は,ウェブサイト上の「TART」の文字が本件商標権者のハウスマーク又はブランド名であることを示す書証を提出していない。
(2)BLINCのウェブサイト上における本件商標の使用について
BLINCが本件商標の使用権者であることの証明はなされていないから,BLINCのウェブサイト(乙29)に本件商標と同一の文字列が記載されているとしても,それはBLINC自身が表示しただけのものであって,本件商標権者の製造に係る商品又は商品の包装がそのままの状態でBLINCのウェブサイトに掲載され,商品又は商品の包装上の商標が,商品の出所が本件商標権者であることを示しているわけではない。
(3)その他の眼鏡店のウェブサイトについて
本件商標権者の商品販売店舗のウェブサイト(乙2)は要証期間外のものである。また,これを含む眼鏡店のウェブサイト(乙2,乙54)から確認できる標章は,本件商標とは別異の「TART OPTICAL」又は「タートオプティカル」である。さらに,これらの眼鏡店が本件商標の使用権者であるとの証拠は何ら提出されていない。
(4)個人ブログについて
個人ブログの写し(乙13,乙15)は,商標法上の「広告」でもなければ「取引書類」でも「価格表」でもなく,しかも,その作成日は要証期間外である。
6 雑誌(雑誌のウェブサイトを含む)について
単に眼鏡を紹介する雑誌の写し又は雑誌のウェブサイト(乙55?乙60)は,商標法上の「広告」でもなければ「取引書類」でも「価格表」でもなく,しかも,これらの書証から確認できる文字列は,本件商標とは別異の「タート・オプティカル」,「タートオプティカル」,「TARTOPTICAL」又は「タート」である。
さらに,雑誌(乙55)は,その発行日が要証期間外の2013年(平成25年)6月25日である。
7 商品の包装物について
(1)眼鏡ケースのサンプル(乙8),眼鏡ケースの包装物のサンプル(乙9),眼鏡フレームの包装箱(乙31),保護ケース(乙32)とする写真の作成日は,いつ撮影されたのか不明であるばかりか,これらの写真に表示されている箱及びケースが,眼鏡フレームの包装箱,保護ケースであるとの証明は一切なされていない。さらには,写真(乙32の1)にある,2つの円図形や文字は不自然なほどに鮮明に表示されており,ケース自体に印刷(表示)されているとは考え難く,当該写真は,保護ケース自体の写真ではなく,ケースの写真に円図形や文字を重ねて合成したものなのではないか,との疑念を抱かざるを得ない。
また,眼鏡ケースのサンプルとする写真(乙8),眼鏡ケースの包装物のサンプルとする写真(乙9)には,本件商標は表示されていない。
なお,眼鏡ケースと包装物が収納された箱に「TART」の文字が表示されているが(乙8),当該箱は,「眼鏡の附属品」又は「眼鏡の附属品の包装」はではないので,本件商標の使用にはあたらない。
(2)米国特許商標庁の「TART」の記事(乙66)及び写真(乙64,乙65)のプロパティ画像(乙67,乙68)をもって,日本国内において,本件商標が本件商標権者等によって使用されていたことを立証するものでないことは明らかである。
8 インボイスについて
(1)インボイスの記載の不一致について
インボイス(甲3)においては,「OTE(ロゴ)」が表示されているものと表示されていないものがある。
そうすると,同一人が発行したインボイスであるにもかかわらず,本件で書証として提出されているインボイスとフォーマットが異なっていることは不自然であって,これらの書証は証拠能力が乏しい。
9 本件商標の使用について
(1)本件商標とインボイスのヘッダーに記載されている標章の同一性について
本件商標権者が提出したインボイスの写しとされる書証(乙3の1,乙4の1,乙5の1,乙6の1,乙7の1,乙28の1,乙35,乙36,乙37の1,乙38,乙39の1,乙40の1,乙42の1,乙44の1,乙45の1,乙46の1,乙47の1,乙48の1,乙49の1,乙50の1,乙51の1)の上部に表示されている標章は「THE OFFICIAL TART OPTICAL ENTERPRISES」であって,本件商標とは別異の標章である。
そして,「ENTERPRISES」の右下に「TMマーク」が付されていることから,被請求人自身が「THE OFFICIAL TART OPTICAL ENTERPRISES」をひとつの標章として認識し,使用している。
(2)インボイスの明細欄に記載の「TART」の文字について
これらのインボイスには,その明細欄に「TART-Arnel Amber46-24・・・」等の記載がなされているものがあるが,このような記載は,商標の品番・型番等を記載したにすぎず,「商標」(商標法2条1項1号)の「使用」(商標法第2条第3項各号)ではない。
(3)「TART OPTICAL」の文字について
「TART OPTICAL」の文字については,常に同書・同大で表示されており,「TART」の文字と「OPTICAL」の文字のいずれかに明らかな軽重の差を見いだすことができないのみならず,「OPTICAL」の文字が商品の普通名称を表示するものであるとの事情も存在しない。むしろ,「TART OPTICAL」の文字が会社の名称である「TART OPTICAL ENTERPRISES」に含まれており,社名に会社を表す文字を含む法人が多数存することを踏まえるならば,全体として会社の略称として捉えられる可能性があるものである。そうすると,使用標章「TART OPTICAL」は,全体を以って一体不可分のものといえるのであり,やはり,本件商標とは外観,称呼,観念が異なるものといえる。
10 結論
以上のとおり,被請求人の提出に係る証書及び証拠のいずれをもってしても,商標法第50条2項で定める商標登録の使用を証明したということはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を,答弁書,上申書,平成30年11月16日付け及び同年12月13日付け口頭審理陳述要領書において要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第90号証(枝番号を含む。)及び参考資料1を提出した。
1 請求人適格について
(1)請求人は,商標「TART」及び被請求人が所有する「TARTのロゴ商標」と同一のロゴ商標を出願している(商願2016-122222,商願2016-146816)(乙19)。
また,請求人は,第三者の商標登録に対して数多くの取消審判を請求しており(乙22,乙90),これらの取消審判は,請求人の実際の事業と関連しているようには見えず,脈略もなく審判請求行為が行われているように見える。
(2)以上のような状況に鑑みると,そもそも請求人は,自らの事業とは関係のない「他人の商標」を出願し,これを登録させんがために本件不使用取消審判を請求したものである。
他人の著名商標に係る出願行為や,脈略のない取消審判請求行為を繰り返している事実も鑑みれば,本件審判請求は,「商標法の趣旨」及び「不使用取消審判の趣旨」を逸脱した審判請求行為であり,そもそも認められるべきではない。本件審判請求は,「請求人適格のない者による審判請求」として却下すべきである(乙23)。
2 本件商標権者について
本件商標権者は,米国カリフォルニア州に本社を置く法人であり,主に「眼鏡,眼鏡の附属品」などを製造販売する企業である。現在,日本においても東京都目黒区自由が丘の店舗内で,自社商品を販売している(乙1,乙2,乙11)。
3 本件商標について
本件商標は,米国ニューヨークにおいて誕生したメガネブランドであり,その歴史は1940年代である。
第二次世界大戦直後の1948年,被請求人の前身である「TART OPTICAL ENTERPRIES INC.」(以下「TART社」という。)がニューヨークに設立され,人々に知られていた(乙12,乙13)。
その後,TART社の創立者は,2000年(平成12年)に,本件商標権者の創設者に,「TART」の眼鏡及び「TART OPTICAL ENTERPRISES」に係る全ての権利を譲り渡し(乙14),現在まで本件商標権者がTARTブランドの眼鏡を製造・販売している。
なお,本件商標権者は,米国において,「TART」関連の商標権を有しており(乙16),その他多くの国でも「TART」に関する商標権を有している(乙17)。
4 日本におけるTART関連商標の権利関係
本件商標権者は,日本において,2011年(平成23年)に本件登録商標及びTART社のロゴ商標に関する商標権を取得した。しかし,取得した登録商標が不十分であったこともあり,多くの者が「TART」に類似の商標を出願し,現在,請求人,被請求人も含めると,実に5つもの会社・個人がTART関連商標の商標権者・出願人となってしまっており,現在市場における出所の混同は深刻な事態となっている(乙18)。
5 本件商標権者による日本人顧客に対する眼鏡等の販売について
(1)本件商標権者は,要証期間内に,日本人顧客に宛てて商品である眼鏡,革製の眼鏡ケースを販売し又は取引を行い(乙4?乙7,乙37?乙52),その代金は,本件商標権者に入金され,商品の包装に本願商標を付した包装物(包装箱,商品保護ケース)を使用した(乙8,乙9)。
また,本願商標を付したインボイスを各顧客に対して送付した。
(2)以上より,本件商標権者は,要証期間内に,本件商標を取引書類に付して,日本国内で頒布していたこととなり,本行為は,商標法第2条第3項第8号の商標の使用に該当するものである。
さらに,本件商標権者は,本件商標を付した「革製の眼鏡ケース」を販売しており,また,「眼鏡」及び「眼鏡ケース」の「包装物」にも本件商標を付していたことから,商標法第2条第3項第2号の商標の使用にも該当する。
6 本件商標権者と眼鏡店BLINCとの取引について
(1)BLINCについて
BLINC(荒岡眼鏡)は,東京に店舗を構える眼鏡販売店である(乙24)。
BLINCは,1940年代から続く眼鏡店であり,現在は,三代目であるA氏が店主を務める(乙25)。
BLINCは,本件商標権者の「TART」眼鏡の販売代理店として,要証期間内に数多くの「TART」眼鏡の輸入・販売・プロモーションを行っていた(乙27)。
本件商標権者の販売代理店のリストには,要証期間内においてBLINCが販売代理店として掲載されている(乙26)。
また,BLINCが「TART」ブランドの眼鏡を要証期間内に取り扱っていたことに関しては,A氏に直接電話で確認をとっている(乙27)。
(2)BLINCによる2014年(平成26年)1月の商品発注に係る取引
ア 本件取引では,2014年(平成26年)1月にBLINCが本件商標権者に対して合計163本の「TART」ブランドの眼鏡を発注し,同月に海外送金,その後,本件商標権者のイタリアの工場で商品を製造,同年4月末にイタリアから日本に商品を発送,同年5月1日にBLINCへ商品が到着,その後,BLINCにより日本の顧客に対して「TART」ブランドの眼鏡が販売された(乙28)。
イ 当該取引行為の過程において,本件商標は,その指定商品「眼鏡」について,以下のとおり使用している。
(ア)「TART」ブランドの眼鏡について
当該取引において扱われている商品は,全て「TART」というメインブランドの下で取引されている(乙29)。
(イ)インボイス(納品書)についての使用
インボイス(納品書)には,「TART OPTICAL ENTERPRISES」の記載がある。
そして,下記10(3)のとおり,当該インボイスに書かれた「TART」の文字部分は,本件商標と社会通念上同一であり,本件商標権者が「取引書類」において本件商標を使用していたことは明らかである(乙28の1)。
(ウ)商品の包装についての使用
本件商標権者は,本件取引において,商品「眼鏡フレーム」の包装箱に本件商標を付して(乙31),BLINCにこれを譲渡した(商標法第2条第3項第2号)。
(エ)「商品保護ケース」における使用
本件商標権者は,本件取引において,商品「眼鏡フレーム」の「商品保護ケース」に,下記10(2)のとおり,本件商標を付して(乙9,乙32),BLINCにこれを譲渡した(商標法第2条第3項第2号)。
(3)BLINCよる宣伝広告活動
ア BLINCが制作した本件商標権者の広告
BLINCは,本件商標権者の国内販売代理店として,ファッション関連サイト「ChangeFashion」のウェブページにおいて,商品の宣伝・広告を行った(乙33)。
イ BLINCが制作した本件商標権者の広告の写真の制作者及び使用された眼鏡について
上記アのBLINCが制作した本件商標権者の広告の写真は,BLINCの依頼の下,クリエイターのT氏により作成され,それが要証期間内に掲載された(乙34)。
本件商標権者が,T氏宛に送付したインボイス(乙35)の明細欄に記載されている商品は,上記アに係る広告のウェブページ(乙33)2枚目冒頭に記載されている商品情報及び展開カラーと一致する。
また,当該明細欄の「配送費」の欄の記載の番号は,BLINCの番号であるから,インボイス記載の商品は,BLINCのFED-EXのアカウント番号を使用して配送されたものであり,BLINCが当該広告作成の指示を行ったものである。
ウ 上記広告における「本件商標の使用」について
上記広告活動においては,下記10(5)のとおり,本件商標と社会通念上同一の商標を使用した。
(4)BLINCとのその他の取引活動
本件商標権者は,2013年(平成25年)11月及び2014年(平成26年)2月にBLINC及びA氏と取引を行っている(乙3,乙36)
(5)A氏の陳述書について
A氏は,要証期間内に本件商標権者から,BLINC及びこの姉妹店である「BLINC VASE」において販売するために,添付のインボイスの明細欄に記載された眼鏡フレーム計420本余を購入し,これらの取引に係るインボイス4点を受領したことを陳述した(乙76)。
(6)BLINGによる商品の販売が,本件商標権者による本件商標の使用に該当するかについて
本件商標の使用者は,本件商標権者である。
中間業者が商標権者の商品を販売するにあたり商標権者の商標を使用する行為は必然的であるところ,これを,全ての中間業者と商標使用許諾契約をしなければならないと商標権者に課することは非現実的であり,かえって我が国の市場の流通を阻害する要因となり,商標法制定の趣旨に反する。
よって,眼鏡店が一般需要者へ商標権者の商品を販売するにあたり,ここでの「中間業者」たる眼鏡店が被請求人の商標の使用をする行為は,商標権者による商標の使用行為と認められるべきである(乙75)。
7 ウェブサイトにおける本件商標の使用
(1)本件商標権者のウェブサイト上における本件商標の使用
本件商標権者は,自身のウェブサイト(乙11,乙53)において,要証期間の相当前である2010年(平成22年)から要証期間を経て現在に至るまで,本件商標と同一の商標を使用している。
本件商標権者のウェブサイトは,多くの箇所が英語で書かれているところ,実際に商品を注文していた日本人顧客が多くいたこと,そして現実に被請求人と日本の顧客との間に多くの取引があった事実に鑑みると,日本の顧客が同ウェブサイトに頻繁にアクセスし,同ウェブサイトが日本のマーケットも対象としていたことは十分に推認できる。
さらに,同ウェブページの「PRESS」には,日本を含む4か国の雑誌記事等がそれぞれページ毎に掲載されており(乙73,乙74),その掲載順は本国のすぐ下に「JAPAN」が掲載されている。
(2)BLINCのウェブサイト上における本件商標の使用
BLINCのウェブサイト(乙29)上において,要証期間の相当前である2012年(平成24年)4月から要証期間を経て現在に至るまで,本件商標権者の商品を紹介するウェブページに,本件商標が使用されている。
これは,商標法第2条第3項第8号の広告的使用に該当する(乙77)。
(3)OBJのウェブサイト上における登録商標の使用
本件商標権者の販売代理店OBJのウェブサイトにおいて,本件商標権者の商品を紹介するウェブページに,本件商標が使用されている(乙54)。
8 雑誌における登録商標の使用
本件商標は,要証期間内に,多くの日本の雑誌にも掲載されており(乙55?乙60),これらは,商標法第2条第3項第8号に該当する。
9 本件商標権者による商品保護ケースの使用時期
日本においては,要証期間前からすでに商品保護ケースが譲渡されていた(乙29の4)こと及び,本件商標権者が米国特許商標庁へ提出した写真(乙66,乙67)から,米国で使用されていた商品保護ケースと同一の商品保護ケースが我が国における取引において使用されていたと考えるべきである。
9 インボイスについて
(1)取引におけるインボイス(納品書)について
「インボイス」という英語は,そもそも「納品書」,「送り状」という意味も有し,商取引上「インボイス」が商品と同封して送られてくることは一般的に行われている。
したがって,「インボイス」は,購入者が商品を受け取った際,自分がオーダーした商品や値段,個数を確認するために非常に重要な書類である。
一般的な商取引において,対面販売でない限りは,販売者が納品書を作成し,商品に同封して配送する,というのが常識である。まして外国との取引において商品明細が記載された納品書が同封されないということは,ほぼ考えられない。
さらに,被請求人が提出したインボイスには,取引ごとの状況が反映された内容が記載されていることからも,実際の取引ごとに,真正に作成されたものと考えるのが自然である。
(2)インボイスに記載された商品について
本件商標権者は眼鏡の製造販売を行う企業であり,本件登録商標の指定商品も「眼鏡,眼鏡の附属品」に限定している。そして,これまで提出した証拠だけでも本件商標権者が眼鏡を販売している事実は明白である。
よって,本件商標権者の取引書類に記載された商品名が,眼鏡又は眼鏡フレームであることには何の疑義もない。
(3)インボイスが「写し」であることに基づく証拠能力
証拠方法は自由であり,デジタルデータを印刷した書証は証拠能力を有するとして,実務で普通に取り扱われている。
(4)インボイスの署名の不存在
現在の商取引において,大量の納品書の一つ一つに署名を書く方が不自然である。
(5)インボイスの記載の不一致について
被請求人が提出したインボイスにおける記載の不一致は,異なるフォーマットが複数存在したという理由による。
10 本件商標の使用について
(1)本件商標について
本件商標は,「TART」の欧文字を表してなるところ,我が国の需要者は,当該文字からはその意味を理解することができないため,造語と認められるものであり,「タ-ト」の称呼が生じる。
(2)本願商標と商品保護ケースの商標の同一性について
商品保護ケースの表面には,眼鏡を図案化した図柄の円の中に,「TART/OPTICAL/ENTERPRISES」と3行で記載されている(以下「使用商標1」という。)。
使用商標1のうち,一行目の「TART」の部分が殊更に大きく,かつ太文字で強調された態様で表されている。
また,「OPTICAL」が「目の,視覚の」等の意味を有する形容詞であり,眼鏡ブランドや眼鏡ショップの名称に慣用的に用いられる語であるため(乙69,乙70),使用商品「眼鏡・眼鏡フレーム」との関係においては識別力がない。
さらに,「ENTERPRISES」は,「企業」の意味を有する語であり,欧米企業の名称の一部に頻繁に用いられる語であるため企業名の一部とのみ認識され得る語である。
そうすると,「OPTICAL」及び「ENTERPRISES」の部分に識別力はないから,使用商標1は,本件商標と社会通念上同一の商標である。
(3)本件商標とインボイスのヘッダー上の商標の同一性について
(ア)インボイスのヘッダー上の商標の外観
インボイスのヘッダーに記載された2段構成から成る欧文字「THE OFFICIAL/ TART OPTICAL ENTERPRISES」(以下「使用商標2」という。)は,「THE OFFICIAL」部分と「TART」部分と「OPTICAL ENTERPRISES」部分ごとに,文字の大きさ及び太さも著しく相違する。そしてその構成上の対比により,視覚上「TART」の文字部分が,顕著かつ独立した印象を受けるものである。
(イ)使用商標2の観念・称呼
使用商標2は,その構成中の「TART」の文字部分は造語と認識されるものであり,語そのものが有する観念は生じない。
それに対し,「THE」は,単なる定冠詞であり,「OFFICIAL」は,「正式な」,「公式の」等の意味を有することから,本件のような文書のヘッダーに記載されている場合には「正式・公式な(ブランド/商品)」等の意味で認識されるにすぎないものである。
また,「OPTICAL」及び「ENTERPRISES」は,上記(2)と同様に「目の,視覚の」及び「企業」と認識され得る語である。また,「THE OFFICIAL TART」,「TART OPTICAL ENTERPRISES」,あるいは「THE OFFICIAL TART OPTICAL ENTERPRISES」それぞれの表示をみたとき,いずれの表示においても,「TART」が造語であることにより,「TART」とそれ以外の語の結合から,直接的な観念上のつながりも見いだせず,外観上の顕著な差異も相まって,「TART」の文字部分が自他商品の識別標識として独立して表記されてなるとの印象を観念上与えるものである。
そうすると,使用商標2は,その構成中の「TART」以外の文字部分は,その単語そのものが有する記述的な意味合い,あるいは指定商品「眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」との関係における意味合いから,自他商品の識別標識としての機能を有さず,よって商標の同一性という観点からは重要性を持たない部分である。
一方,顕著に表された「TART」の文字部分が,商品「眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」に係る出所識別標識としての機能を果たし得るもので,商標の同一性を基礎づける中核的部分ということができる。
そして,当該「TART」の文字部分からは観念が生じず,「タート」の称呼が生じる(乙78?乙89)。
(ウ)本件商標と使用商標2の「TART」の文字の同一性
上記(ア)及び(イ)を踏まえて,使用商標2の「TART」の文字部分を,本件商標と比較すると,両者は,共に欧文字で文字種,構成文字が同一であり,当該「TART」の文字が多少図案化していることによる外観上の相違はあるものの,社会通念上同一の商標と認められるべきものである。
(4)インボイスの明細欄の記載の「TART」(以下「使用商標3」という。)について
インボイス(乙3の1)については,明細書欄に「TART ARNEL’55Demi・・」と記載されており,オンラインストアに展示されている商品名と照合すると,商品名は,「ARNEL’55」,「Demi Blonde」は色名,「46-24」はサイズ,「w/ OTE leather case」は「OTEレザーケース付」で付属品の有無を記載していることが容易に理解される。
そうすると,明細欄に記載の「TART」は,明らかに,メインブランド名として記載されたものとみるのが相当である。
まして,「TART」ブランドの知名度や,インボイス冒頭に上記のとおり本件商標と社会通念上同一の「TART」の表示があること,そしてこのインボイスの受取人が,明細欄に記載の商品を実際にオーダーした購入者である事実に鑑みれば,明細欄に記載の「TART」が,出所識別標識として機能する。
(5)上記6(3)に係る広告における「本件商標の使用」について
上記6(3)に係る広告おいては,「TART」単独ではなく,「TART OPTICAL」という商標が使用されている箇所も多くある。
しかしながら,上記(2)及び(3)と同様の理由で,自他商品の識別標識としての機能を果たすのは「TART」文字部分であるから,本件商標と「TART OPTICAL」は社会通念上同一の商標である(乙30)。
11 まとめ
以上より,本件商標権者が,要証期間内に日本国内において,本件の指定商品「眼鏡,眼鏡の附属品」について本件商標を使用していたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 請求人適格(請求人による権利濫用)について
被請求人は「請求人は,自らの事業とは関係のない『他人の商標』を出願し,これを登録させんがために本件不使用取消審判を請求したものであり,請求人が,他人の著名商標に係る出願行為や,脈略のない取消審判請求行為を繰り返している事実も鑑みれば,本件審判請求は,『商標法の趣旨』及び『不使用取消審判の趣旨』を逸脱した審判請求行為であり,そもそも認められるべきではない。」旨を主張している。
しかしながら,商標法第50条第1項で規定される審判請求は,「継続して三年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標・・・の使用をしていないときは,何人も,その指定商品又は指定役務に係る登録商標を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定されており,この規定において,請求人適格については,「何人も」とされており,当該登録商標を使用する意思を要する規定もなく,商標法上,これを制限する規定はない。
また,登録商標の不使用による取消審判の請求が,専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情がない限り,当該請求が権利の濫用となることはないと解するのが相当であるところ,被請求人の主張する当該審判の請求が被請求人を害することを目的とするものである理由について,本件審判請求に係る全証拠からみても,権利の濫用とすべき事情を認めることができないから,本件審判請求は,請求人の権利濫用にあたるということはできない。
したがって,本件商標について,請求人が商標法第50条第1項の規定により審判請求を行っていることによって,本件審判請求を排斥することにはならないと解するのが相当である。
2 当事者が提出した証拠及び当事者の主張によれば,以下の事実が認められる
(1)本件商標権者及び「blinc」について
ア 本件商標権者(タート オプティカル エンタープライゼス エルエルシー)は,米国カリフォルニア州に所在する眼鏡の製造,販売業者である。
本件商標権者に係るウェイバックマシン(過去のウェブページの保存閲覧サービス。以下同じ。)を使用した2013年(平成25年)11月2日,2014年(平成26年)3月12日,2016年(平成28年)3月7日及び同年10月16日のウェブサイト情報からすると,少なくとも要証期間内の2013年(平成25年)11月2日には,米国内において,英文により記載された本件商標権者のウェブサイトに,本件商標(社会通念上同一の商標を含む。以下同じ。)を表示して,眼鏡の販売を行っていたことが認められる。
そして,当該ウェブサイト上の,「All frames 100%,Handmade in Italy.」(全てのフレームは100%,イタリアにおけるハンドメイド。)の記載からすると,本件商標権者の製造に係る眼鏡フレームは,イタリアにおいてハンドメイドで生産されていることが認められる(乙11,乙53の1・3・4)。
イ 「blinc aoyama」は,平成13年にオープンした東京都港区に所在する眼鏡店で代表者はA氏である。また,平成20年には別店舗「blinc vase」が同じく東京都港区にオープンしている(乙24,乙25)。
なお,A氏を紹介したウェブサイトの写しには,A氏について「『荒岡眼鏡』の三代目」の記載があり,また,有限会社荒岡眼鏡(以下「荒岡眼鏡」という。)より本件商標権者に宛てた海外送金依頼書には,「Payment for blinc」(blincの支払い)の文字があることから,A氏は,眼鏡店である有限会社荒岡眼鏡の関係者でもあると認められる(乙25,乙28の2)。
以下,眼鏡店「blimc aoyama」及び「blinc vase」を合わせて「blinc」ということがある。
(2)本件商標権者とblincとの取引の状況について
ア 荒岡眼鏡は,2014年(平成26年)1月29日に28,715米ドルを「blincの支払い」として,本件商標権者に送金し,本件商標権者は,同日に同金額を受領した(乙28の2・3)。
イ 本件商標権者は,2014年(平成26年)4月9日にblinc宛に商品を送付する旨のインボイスを作成した。当該インボイスの上部には,上段に「THE OFFICIAL」と下段に「TART OPTICAL ENTERPRISES」の欧文字を2段に表した商標(以下「使用商標」という。)が付されているところ,使用商標の構成中,下段の「TART」の文字部分は,他の文字よりも大きな文字で顕著に表されている。
また,当該インボイスの「DESCRIPTION」(物品の説明)欄には,商品の内訳として「Ex-Man Glossy Black 50-24」,「FDR Glossy Black 44-24」等の70種類の商品名,色,サイズが記載され,商品の総数は163個であり,合計金額は27,395米ドルである(乙28の1)。
ウ 本件商標権者より,blincに宛てた2014年(平成26年)4月30日付けのメールによると,本件商標権者は,同月25日にイタリアよりblincに貨物便を利用して,商品を発送し,blincは同年5月1日(日本時間)に当該商品を受領した(乙28の5)。
エ blincに係る2015年(平成27年)2月16日のウェイバックマシンのウェブサイト情報によると,blincは,2014年(平成26年)5月5日及び同年7月15日付けのブログ記事において「『Ex-Man』col.Glossy Black ¥43,000(税込)」及び「・・・タートの人気モデルF.D.R.。」の記事とともに商品「眼鏡」の画像を掲載した(乙29の1)。
これらの記事に係る商品名「F.D.R.」及び「『Ex-Man』col.Glossy Black」は,表記が多少異なるものの,上記ウに係るインボイスの商品名とぼぼ同じものと認められる。
3 判断
被請求人は,本件商標権者が2014年(平成26年)4月9日付けのblinc宛のインボイス(乙28の1,以下「本件インボイス」という。)に本件商標を付して,頒布したとして,これをもって本件商標の使用をした旨主張するので,これについて検討する。
(1)本件インボイスの頒布について
ア 本件インボイスは上記2(2)イのとおり,2014年(平成26年)4月9日に作成されていることが認められる。
そして,上記2(2)エのとおり,2014年(平成26年)5月1日のblincへの貨物便の到達後の同年5月5日付け及び同年7月15日付けのblincのブログにおいて,本件インボイスに係る商品とほぼ同じ商品名の商品が紹介されている。
イ また,本件商標権者は,上記2(2)アのとおり,2014年(平成26年)1月29日に,荒岡眼鏡より「blincの支払い」とする代金を受領しており,受領の2か月後に本件インボイスを作成していること及び本件インボイスの作成より2週間後に,イタリアより貨物便を利用した商品の発送を行っているところ,上記2(1)アのとおり,本件商標権者の製造に係る眼鏡フレームがハンドメイドであることから,入金後,163本のフレームを作成するまで2か月程度の期間が必要なことは当然であって,また,米国におけるインボイスの作成後に商品がイタリアよりblincへ送付される期間を考慮すると,インボイスの作成から商品の発送までに2週間程度の期間があっても不自然ではない。
ウ 以上よりすると,本件インボイスに係る商品代金は,2014年(平成26年)1月29日に荒岡眼鏡より本件商標権者に送金され,本件インボイスに係る商品は,同年4月25日に貨物便を利用して発送され,同年5月1日(日本時間)にblincによって受領されていると認められるものでるから,本件インボイスは,同年5月1日頃にはblincによって受領されていると推認できる。
(2)使用商標について
ア 本件商標は「TART」の文字を標準文字で表してなるものである。
イ 使用商標は,本件インボイスの上部にある「THE OFFICIAL」の文字と「TART OPTICAL ENTERPRISES」の文字を2段に表示したものであるところ,上記2(2)イのとおり,使用商標の構成中,下段の「TART」の文字は,上段の「THE OFFICIAL」の文字及び下段の「OPTICAL ENTERPRISES」の文字に比して大きく顕著に表されているから,外観上,当該「TART」の文字部分が明瞭に区別して認識され得るものである。
また,上段の「THE OFFICIAL」の文字は「公式の」の意味を有することから,本件インボイスが公式のものであることを示していることを表す文字であり,下段の「OPTICAL ENTERPRISES」の文字は「眼の企業」すなわち「眼鏡店」程度の意味を認識される文字であり,本件商標の指定商品を扱うことを表している文字と認められる。
そうすると,使用商標の構成中,「THE OFFICIAL」及び「OPTICAL ENTERPRISES」の部分は自他識別力を欠くものといえるから,大きく顕著に表された「TART」の部分のみが出所識別標識としての機能を有する要部として認識,理解されるというのが相当である。
ウ 以上よりすると,本件商標と使用商標の要部は,書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標といえる。
したがって,本件商標と本件インボイスに付されている使用商標とは,社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用商品について
本件商標権者は,上記2(1)アのとおり,米国に所在する眼鏡の製造,販売業者であり,本件商標権者は,要証期間内に,少なくとも米国国内において,自己のウェブサイトに本件商標を付して商品「眼鏡」を販売していたこと,及び本件インボイスの宛先であるblincは,上記2(1)イのとおり,眼鏡の小売店であることが認められる。
しかも,上記(1)のとおり,本件インボイスは2014年(平成26年)4月9日に作成され,本件インボイスに係る商品がblincに同年5月1日に配送されたと推認できること,及び本件インボイスに記載の商品とほぼ同じ商品名の商品が,同年5月5日及び同年7月15日付けのblincのブログに商品「眼鏡」の画像とともに掲載されたことを踏まえると,本件インボイスにおいて取引された商品は,商品「眼鏡」(以下「使用商品」という。)であるといえる。
そして,使用商品は,本件審判の請求に係る指定商品に含まれるものであることは明らかである。
(4)使用期間及び本件インボイスについて
上記(1)のとおり,本件インボイスは,要証期間内である遅くとも2014年(平成26年)5月1日(日本時間)頃にはblincに頒布されたといえる。
そして,本件インボイスは,使用商品に関する取引書類であるといえる。
(5)小括
以上によれば,本件商標権者は,要証期間内に使用商品である「眼鏡」に関する取引書類である本件インボイスに本件商標と社会通念上同一の商標を付して日本国内の眼鏡店に頒布したものと認めることができる。
3 請求人の主張について
請求人は,被請求人より提出された各インボイスのフォーマットが異なることをもって,本件インボイスの信ぴょう性も極めて低い旨を主張する。
しかしながら,同一の者に係るインボイス等のフォーマットが必ずしも統一されていなければならないとする理由はなく,上記3(1)のとおり,本件インボイスは,要証期間内に日本国内において頒布されたものと認められるから,その信ぴょう性は低いとはいえず,請求人の主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,本件商標権者が本件請求に係る指定商品中「眼鏡」に関する取引書類に,本件商標を付して頒布していたことを証明したと認め得る。
そして,本件商標権者の上記使用行為は,商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(使用商標)



審理終結日 2019-07-23 
結審通知日 2019-07-25 
審決日 2019-10-01 
出願番号 商願2011-2446(T2011-2446) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X09)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 佐藤 松江内藤 隆仁 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 榎本 政実
大森 友子
登録日 2011-07-22 
登録番号 商標登録第5427549号(T5427549) 
商標の称呼 タート、テイアート、ティエイアールティ 
代理人 竹中 陽輔 
代理人 篠田 貴子 
代理人 近藤 友紀 
代理人 稲垣 朋子 
代理人 中山 真理子 
代理人 山頭 めぐみ 
代理人 林 栄二 
代理人 松澤 由香 
代理人 松本 慶 
代理人 達野 大輔 
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