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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W354142
管理番号 1357045 
異議申立番号 異議2019-900078 
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-03-08 
確定日 2019-11-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6116825号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6116825号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6116825号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成30年3月19日に登録出願され、第35類「インターネットを利用したオークションの企画・運営又は開催,インターネットを利用したオークションに関する情報の提供」、第41類「書籍・定期刊行物・雑誌・新聞及びニュースレターの制作」及び第42類「電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),クラウドコンピューティング」を指定役務として、同年12月27日に登録査定、同31年1月25日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 具体的理由
(1)本件商標について
本件商標は、立方体の図形を、一回り大きな透過の立方体の図形が取り囲むような形状を有する図形部分と、図形部分の右側にアルファベットで「Bullion Token」と表記される形態としてなるものである(甲1)。
(2)商標法第4条第1項第19号について
ア 他人の業務に係る商品(役務)を表示する商標と同一又は類似の商標であること
本件商標における「図形部分」は、英国Garmarley Ltd.の運営するBullionVaultサービスが用いている別掲2に示すロゴマーク(甲2:以下「引用商標」という。)と類似(色彩部分のみが異なる)である。
また、「Token」は、「代用通貨」の意味があり、金融サービスの分野においては、識別力の弱い言葉と捉えることができる。
したがって、商標全体として、本件商標と引用商標は類似する。
イ 他人の業務に係る商品(役務)を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていること
申立人のウェブサイト(甲3)には、「BullionVaultは、2005年に開設された、世界最大規模の金地金現物小口取引プラットフォームです。お客様は世界で最も古く権威あるロンドン金地金専門市場で取引される金地金(グッド・デリバリ・バー)を最小1グラムから取引並びに所有することができ、2015年4月末現在175カ国55,000人以上のユーザーによって日々利用されています。」との記載がある。
また、BullionVaultサービスの沿革及び実績については、甲第4号証に記載されており、周知性を備える根拠の1つとして、「現在175カ国以上の70,000人以上の顧客が弊社サービスを利用し、38トン以上の金地金と500トン以上の銀地金を弊社にて保管しています。これらの資産の評価額は、約20億ドル(約2,100億円相当)となります。そのため、弊社顧客が保管する金の総量は、世界の多くの中央銀行の金備蓄量を上回っています。」との記載がある。
さらに、周知性を備える他の根拠の1つとして、検索順位が挙げられ、インターネット検索エンジン「goog1e」にて本件商標に係る商標のロゴ部分を画像検索すると、1頁目は全て英国Garmarley Ltd.の運営するBullionVaultサービスに関するものである(甲5)。
また、1頁目の1番目には、Garmarley Ltd.の「https://gold.bullionvault.jp/」(甲5)が表示される。
加えて、「google」にて「Bullion 秋山 満」や「Bullion Token 秋山 満」を検索しても、秋山 満氏が「Bullion」や「Bullion Token」を使用している形態は、少なくとも検索結果の1頁目には表示されなかった。
不正の目的をもって使用するもの
周知性を備えるBullionVaultサービスに用いられている引用商標は、本件商標の図形部分と酷似している。その周知範囲は、金地金サービスを超え、あたかも英国Garmarley Ltd.が新たに仮想通貨サービスを開始したかのような誤認を需要者に与えるものである。
2 むすび
本件商標は、引用商標の著名性を利用して不正の目的をもって使用をするものと推認するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第3 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
申立人は、甲第3号証ないし甲第5号証を提出し、引用商標は、英国Garmarley Ltd.の業務に係る金地金取引サービスを表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている旨主張する。
しかしながら、申立人提出の上記証拠は、ウェブサイトの写し(甲3、甲4)及びインターネットにおける検索結果(甲5)であるところ、それらは、「BullionVault」についての企業情報(事業内容、会社沿革、役員一覧、経営理念等)、引用商標の表示及びインターネット検索エンジンの「BullionVault」に関する検索結果の第1頁目の内容を確認できるにすぎないものであり、引用商標についての使用開始時期、使用商品(役務)、使用地域等は不明であって、引用商標に係る広告の回数や範囲、市場シェア等も、提出された証拠からは明らかにされておらず、その他に引用商標に係る営業規模等を示す客観的な証拠は何ら提出されていない。
また、引用商標の周知著名性を客観的に把握することができる証拠も見いだせない。
そうすると、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、英国Garmarley Ltd.又は同人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されていると認めることはできないものである。
2 本件商標と引用商標の類似性について
本件商標は、別掲1のとおり、黒色と灰色で線書きされた立方体の中に灰色で塗りつぶした立方体を配した図形と、その右横に「Bullion Token」の欧文字を横書きした構成からなるところ、当該図形部分と文字部分とを常に一体のものとして把握しなければならない特段の理由は認められないから、図形部分と文字部分が、それぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。
一方、引用商標は、別掲2のとおり、黒色と灰色で線書きされた立方体の中に黄色で塗りつぶした立方体を配した図形と、その右横に「BullionVault」の欧文字を横書きした構成からなるところ、当該図形部分と文字部分とを常に一体のものとして把握しなければならない特段の理由は認められないから、図形部分と文字部分が、それぞれ独立して自他商品(役務)の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そこで、本件商標と引用商標の図形部分とを比較してみると、両商標の図形部分の構成は上記したとおりであり、内側に配された立方体の色彩は異なるものの、その形状は、線の太さ及び線の切り欠き位置も含め、極めて似通っているものである。
そうすると、両図形は、互いに類似しており、彼此見誤るおそれがあるものであるから、本件商標と引用商標は、外観において類似する商標というのが相当である。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そうすると、上記2のとおり、本件商標と引用商標は類似の商標であるとしても、上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、英国Garmarley Ltd.又は同人の業務に係る商品(役務)を表すものとして、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであるから、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

【別掲1】
本件商標


【別掲2】
引用商標
(色彩については、平成31年4月10日付け手続補正書参照)

異議決定日 2019-10-28 
出願番号 商願2018-31970(T2018-31970) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W354142)
最終処分 維持  
前審関与審査官 根岸 克弘 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
冨澤 美加
登録日 2019-01-25 
登録番号 商標登録第6116825号(T6116825) 
権利者 秋山 満
商標の称呼 ブリオントークン、ブリオン、トークン 
代理人 井上 真一郎 
代理人 三田 大智 

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