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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y30 |
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管理番号 | 1356999 |
審判番号 | 取消2017-300797 |
総通号数 | 240 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-12-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2017-10-24 |
確定日 | 2019-11-05 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5024955号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5024955号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5024955号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成18年2月21日に登録出願、第30類「穀物より抽出したミネラル類・ビタミン類・タンパク質類を主成分とする栄養補助のための粉末状・顆粒状・錠剤状・ゲル状・カプセル状の加工食品,穀物の加工品」を指定商品として、同19年2月9日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成29年11月7日である。 なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成26年11月7日ないし同29年11月6日である(以下「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)商標権者による使用 被請求人は、「被請求人が開設するウェブサイト」の写しを根拠に、本件商標が使用されていることを主張する。 しかしながら、提出された証拠には、被請求人である「ティー.シー.ユニオン グローバル パブリック カンパニー リミテッド」に関する記述は一切なく、「被請求人(商標権者)」自身が本件商標を使用していることは一切証明していない。 (2)商品の不特定 被請求人は、本件商標が指定商品について使用されている旨主張する。 しかしながら、乙第2号証に掲載された「ブリンク・コラーゲン」なる商品は、商品の中身が全く不明で、果たして「指定商品」に該当する商品であるのかについては全く立証していない(むしろ、乙第2号証に掲載された商品は、「加工食品」というよりは「飲料類」と目されるため、「指定商品には該当しない」と推定される。)。 (3)日付の不特定等 被請求人は、使用証拠として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出する。 しかしながら、これらの証拠には、印刷された日付もなければ、該当する商品が製造された日付など、「登録商標が使用された日付」が一切記されていない。 被請求人は、乙第5号証を提出するものの、以下の理由により、同号証はウェブサイトにおける本件商標が使用された日付を全く特定していない。 第一に、乙第5号証は、何者が、何を見て、何を証明しているのかが全く不明なものである。また、単に書類作成者が自ら署名をしているだけの書類であり、本件不使用取消審判において本件商標の使用を立証する証拠としては証拠力がない。 第二に、乙第5号証は、タイ人と目される人間が作成をした英語の書類である。すなわち、乙第5号証を作成した人物は日本語の読み書きができない者であると推定されるところ、このような人物が「日本語で書かれたウェブサイトの内容」に関する証言を行ったとしても、全く説得力がなく、合理性もない。乙第5号証には、日本語の内容を証明する証拠としては、何ら法的証明力はないと考えるのが自然である。 (4)ウェブサイトの証明力 ア 請求人、請求人代理人、及び請求人が委託した調査会社が、本件不使用取消審判を請求する時点(2017年10月)で該当するウェブサイトを確認した時点においては、提出された日本語のウェブサイトは見つけられなかった。 甲第2号証に示すとおり、2017年5月13日及び2016年12月19日時点におけるウェブサイトにおいては、言語選択ボタンの箇所では英語とタイ語のみしか選択できない。 このような状況において、被請求人が日本語ウェブサイトの掲載時期を特定できない以上、提出されたウェブサイトの写しをもって「要証期間内の使用を立証した」とは判断すべきではない。 イ 該当するウェブサイトを仔細に検討すると、記載されている日本語が極めて不自然である。 例えば、「商品」の箇所には「ワォーター」という意味不明な商品がある(おそらく「ウォーター」の誤り。)。 また、その他の文章も、日本人からみると明らかに不自然で、「自動翻訳」したものをそのまま貼り付けているのではないかという強い疑義の生じるウェブサイトである。 現在の技術においては、タイ語や英語のページを日本語に自動翻訳し、それをウェブサイトに掲載するのは極めて容易であること、また、該当するウェブサイトの日付が全く特定されていないことに鑑みれば、提出された証拠のみをもって「本件商標の使用」を立証することはできない。 (5)日本国内での使用 被請求人は、日本語で書かれたウェブサイトの写しを証拠として提出している。 しかしながら、(a)ウェブサイトのうち、主要箇所はタイ語のみで記載されている点、(b)翻訳された日本語が不自然である点、(c)サーバーは日本にはないと目される点などに鑑みると、被請求人は、本件商標の「日本国内での使用」は立証していないと考えられる。 また、被請求人が提出した証拠では、指定商品が日本国内で「実際に販売された事実」は一切証明されていない。 なお、請求人が2017年10月に行った内偵調査によれば、タイの被請求人の担当スタッフに、現在のところ(2017年10月16日)日本に店舗や代理店はないこと及びオンラインショッピングでも日本へは商品は送らないことを確認した。 (6)むすび 以上述べたように、被請求人により提出された証拠からは、本件商標の使用の事実は何ら証明されていないから、本件商標は取り消されるべきである。 3 令和元年5月17日付け上申の内容(要旨) 請求人は、既に弁駁書において主張立証を尽くしたので書面審理を希望する。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。 1 答弁の理由 被請求人は、平成27年2月15日から現在まで、自社製品を宣伝するウェブサイト上において、本件商標を指定商品に使用している。 以下に、答弁書に添付した証拠について説明する。 乙第1号証は、被請求人が開設するウェブサイトの一部を抜粋した証拠画像及び当該ウェブサイトのURLを示している。また、乙第2号証は、上記ウェブサイト上で表示される日本語での広告ページ及びそのURLを示している。 需要者は、日本国内から乙第1号証に記載されたURLを通じて、上記ウェブサイトにアクセスすることができる。また、需要者は、乙第1号証に記載された言語選択用のラジオボタンを選択し、上記ウェブサイトに表示される商品選択用のラジオボタン(製品選択用のラジオボタン)を選択することにより、乙第2号証に示す日本語で記載された製品広告を閲覧することができる。なお、乙第2号証には、ウェブサイト上で日本語により表示される一部の製品の製品広告だけを参考に表示しているが、需要者は上記と同様の手順を行うことにより乙第2号証に示す製品以外の他の製品についてもウェブサイト上で製品広告を閲覧することができる。 乙第3号証は、被請求人の製品に対する需要者からの日本語による質問を受け付けるウェブサイトの一部を抜粋した証拠画像及び当該ウェブサイトのURLを示している。また、乙第4号証は、被請求人に対する需要者からの日本語による質問を受け付けるウェブサイトの一部を抜粋した証拠画像及び当該ウェブサイトのURLを示している。 乙第5号証は、被請求人の所在地が存在するタイ国のウェブサイト・コンテンツ提供企業が、乙第1号証ないし乙第4号証に示したウェブサイトの提供が平成27年2月15日から開始されたことを証明した証明書である。 2 平成31年4月25日付け上申書の内容(要旨) 被請求人は、答弁書において既に主張立証を尽くしたことを上申する。 第4 当審の判断 1 被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。 (1)乙第1号証ないし乙第4号証は、被請求人の主張によれば、被請求人が開設するウェブサイトの一部を抜粋した画像及び当該ウェブサイトのURLが記載された書面であるところ、これらは、いずれもウェブサイトのURLが記載された部分とウェブサイトの一部と思しき画像部分とで構成された書面である。 乙第1号証ないし乙第4号証のウェブサイトのURLが記載された部分には、乙第1号証は「www.blink.co.th」の記載、乙第2号証は「http://www.blink.co.th/products.php?id=5」の記載、乙第3号証は「http://www.blink.co.th/about-us.php」の記載、乙第4号証は「http://www.blink.co.th/contact-us.php」の記載がある。 そして、乙第1号証ないし乙第4号証における画像部分は二段構成であり、その上段には、いずれも上部中央に本件商標が表示され、その下に「ホーム」「商品」「プロモーション」「ニュース&アップデート」「美の秘訣」「私たちについて」「お問い合わせ」の文字がある。 また、乙第1号証ないし乙第4号証の画像部分の下段は、それぞれ記載内容が異なり、乙第1号証においては、本件商標及び「Collagen」の文字が付された商品の画像とその横に設置された枠内に「Shopping Online」の記載とともに、本件商標及び何らかの商品が掲載されており、乙第2号証においては、「Blink Products」の表題の下、本件商標及び「Collagen」の文字が付された商品の画像とともに、「ブリンク・コラーゲン 2,000」「Blink Collagen Peptide 2,000mg」の記載及び「日本から輸入されたコラーゲンペプチド2000mgとビタミンCが豊富に配合されており、肌のコラーゲンを増やし、肌を透明にしてくれます。」の記載がある。さらに、乙第3号証においては、「私たちについて」の表題の下、「ティー・シー・ナチュラル(株)は、『Blink』・・・という商標を使用し、商品を国内で販売、海外へ輸出することを目的に、1991年8月13日に設立されました。・・・」の記載、乙第4号証においては、「お問い合わせ」の表題の下、「ティー・シー・ナチュラルバイオテクノロジー研究所」等の記載がある。 なお、乙第1号証ないし乙第4号証における画像部分には、ウェブサイトのアドレス、日付及び被請求人の名称などの記載はない。 (2)乙第5号証は、2018年4月10日付けの「VERSATILE HAUS COMPANY LIMITED」による、表題に「TO WHOM IT MAY CONCERN:」と記載された英語の書面であり、その内容についての翻訳は提出されていない。 2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。 (1)乙第1号証ないし乙第4号証について 被請求人は、 乙第1号証ないし乙第4号証は被請求人が開設するウェブサイトの画像とURLであり、乙第2号証においては、日本語で記載された製品広告を閲覧することができる旨主張している。 しかしながら、乙第1号証ないし乙第4号証のいずれの画像にも、日付及び被請求人の名称などの掲載はないことから、要証期間において被請求人が上記画像に係るウェブサイトを開設し、商品の広告をしていたと認めることはできない。 また、本件請求に係る指定商品は「穀物より抽出したミネラル類・ビタミン類・タンパク質類を主成分とする栄養補助のための粉末状・顆粒状・錠剤状・ゲル状・カプセル状の加工食品,穀物の加工品」であるところ、日本語での広告ページとされる乙第2号証のウェブサイトに掲載されている商品には「Collagen」「コラーゲン」の記載があり、「コラーゲン」とは、「動物の皮革・腱・軟骨などを構成する硬蛋白質の一種。」であって、穀物由来のものということはできないし、さらに、当該商品の具体的な内容も確認できないことから、被請求人が上記ウェブサイトに掲載したとされる商品が、本件審判の請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品と認めることはできない。 (2)乙第5号証について 被請求人は、 上記(1)のウェブサイトの提供が平成27年2月15日から開始されたことを証明した証明書として乙第5号証を提出している。 しかしながら、これが当該ウェブサイトに対応するものであるかが確認できず、その内容を裏付ける客観的な証拠もないことから、乙第5号証によって上記(1)のウェブサイトが平成27年2月15日から提供されたことが明らかになったということはできない。 (3)小括 上記(1)及び(2)のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に被請求人(商標権者)が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。 3 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていることを証明したものということができない。 また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
審理終結日 | 2019-06-11 |
結審通知日 | 2019-06-13 |
審決日 | 2019-06-28 |
出願番号 | 商願2006-15200(T2006-15200) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Y30)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 達夫 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
小松 里美 中束 としえ |
登録日 | 2007-02-09 |
登録番号 | 商標登録第5024955号(T5024955) |
商標の称呼 | ブリンク |
代理人 | 岡村 信一 |
代理人 | 小林 十四雄 |
代理人 | 八田国際特許業務法人 |