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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W09
管理番号 1356948 
審判番号 取消2019-300231 
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-03-25 
確定日 2019-10-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第5744337号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5744337号商標の指定商品中,第9類「自動車用バッテリー,電気自転車用電池,電池」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5744337号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成24年11月22日に登録出願,第9類「カーオーディオ機器,カーオーディオ取り付けキット,自動車用のスピーカー,リモートコントロール装置,電気通信機械器具用リモートコントローラー,自動車用ナビゲーション装置,自動車用ナビゲーション装置取り付けキット,車両用通信機械器具,車両後方確認用のモニター及びカメラ,車載用DVDプレーヤー,地上波デジタルテレビジョン放送受信用チューナー,テレビジョン受信機用チューナー,電気通信機械器具,ETC(自動料金収受システム)車載器,自動車の電子制御装置並びにその部品,電子応用機械器具及びその部品,超音波式車両感知器,自動車用バッテリー,電気自転車用電池,電池,自動車用電気配線ケーブル,電線及びケーブル,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,自動車用緊急保安炎筒,交通整理及び人・車誘導用の電気点灯式発光棒,保安用ヘルメット」並びに第7類,第11類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同27年2月27日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成31年4月8日にされた(以下,当該登録前3年以内を「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,請求の理由を要旨以下のように述べた。
本件商標は,その指定商品中,第9類「自動車用バッテリー,電気自転車用電池,電池」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1 使用商品について
乙第1号証は,本件商標権者が,株式会社カシムラ(東京都足立区綾瀬)に製造委託したモバイルバッテリーの画像である。
当該モバイルバッテリーは,被請求人の茨城工場が平成23年3月の東日本大震災で被災して停電を経験したことから,災害その他非常事態が生じた際に必要となる電源の重要性を本件商標権者が再認識するとともに,平成26年にISO22301を取得したことを機に製造したものであり,顧客等が非常時において電源を得られるように,本件商標権者が継続してその代理店,取引先,顧客等に無償で譲り渡したものである。平成27年2月27日に本件商標につき商標権設定登録を受けた後は,本件商標を付したものを提供するようになった。
当該モバイルバッテリーは,本件商標権者の会社設立月である6月や,上記ISOを取得した2月のほか,展示会などで,商談の相手方等に提供された。近時では,平成30年8月22日及び23日に,東京流通センター(東京都大田区平和島)の第一展示場で開催されたエンパイヤ自動車株式会社(以下,「エンパイヤ自動車」という。)の展示会「EMCフェア」において提供された。また,平成31年2月14日及び15日にも,同展示場で,同展示会が開催され,3月1日の「防災用品点検の日」に絡めて自然災害への対策コーナーが設置されたことから,非常時に役立つ商品として,商標権者のブースを訪れた顧客に提供された。
一般社団法人日本自動車部品協会(東京都港区虎ノ門)の2019年(平成31年)3月発行の会報誌より抜粋したインターネット上の記事「協会ニュース&NEWS」(http://www.japa.gr.jp/news/news_201903.html)において当該フェアが紹介された(乙2)。
このように,本件商標と同一の商標が,本件商標権者によって,本件審判の請求に係る第9類の指定商品中,少なくとも「電池」に含まれる「モバイルバッテリー」ついて要証期間内に日本国内で使用されていた。
なお,当該モバイルバッテリーは無償で提供しているものであるが,入力5V/5VA,出力5V/1A,電力容量5200mAhで,市価にして3,000円?5,000円程度のものであり,単なる景品として配布されるボールペン,ティッシュ等のグッズとは価格帯が異なる。
また,当該モバイルバッテリーは,別の商品の広告のために配布されたり,広告を兼ねた単なるサービス品として無作為に配布されたりするものでなく,顧客等との取引の一環として提供されるものであり,いわゆるノベルティにあたらない。
当該モバイルバッテリーは,非常時を想定した本件商標権者の取り組みの一環で,防災用品として商品化されたものであり,そこに付された本件商標は当該モバイルバッテリーの識別標識となり得るものである。
2 むすび
本件商標は,本権商標権者等により,本件審判の請求に係る第9類の指定商品中,少なくとも「電池」に含まれる「モバイルバッテリー」について要証期間内に継続して日本国内で使用されていた。

第4 当審における令和元年7月1日付け審尋及び被請求人の回答
1 審尋の要旨
(1)商品写真(乙1)は,撮影者,撮影日及び撮影場所が不明であって,当該写真に掲載された商品(以下「写真掲載商品」という。)が,モバイルバッテリーであるか確認できない。
(2)写真掲載商品は,本権商標権者の事業の宣伝用のサービス品として,無償で代理店,取引先又は顧客等へ引き渡したものというのが相当であるから,商標法上の「商品」とは認められない。
(3)本件商標権者がエンパイヤ自動車の展示会「EMCフェア2019」に出展していたか明らかでなく,写真掲載商品が顧客等に頒布されたかも明らかでない。
2 被請求人の回答
被請求人から,上記審尋に対する回答はなかった

第5 当審の判断
1 事実認定
証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)写真掲載商品について
写真掲載商品(乙1)には,本件商標権者の名称のほか,2つの三角形状の図形と「NKK」の文字,「事業継続 BCMS ISO22301 認証取得記念」の文字,「自動車用各種フィルタ・ワイパー/カーAV取付キット」の文字が記載されている。
そして,本件商標権者は,写真掲載商品を代理店,取引先又は顧客等に無償で引き渡した(請求人の主張)。
(2)本件商標権者のウェブサイトには,「会社概要」の見出しの下,「事業内容」の項に,「各種フィルタ製造販売/カーAV取付キット販売/ワイパーブレード販売」の記載がある(http://www.nitto-kogyo.co.jp/company.html(職権調査))。
(3)一般社団法人日本自動車部品協会(JAPA)のウェブサイトについて
一般社団法人日本自動車部品協会(JAPA)のウェブサイト(乙2)によれば,エンパイヤ自動車は,2019年(平成31年)2月14日及び15日に,「変化する未来と共に」をテーマに展示会「EMCフェア2019」を開催した。
2 判断
(1)商品写真(乙1)は,撮影者,撮影日及び撮影場所が不明であって,しかも,写真掲載商品が,商品「モバイルバッテリー」であるかについても確認することができない。
(2)商標法における「商品」とは,商取引の目的物として流通性のあるもの,すなわち,一般市場で流通に供されることを目的として生産され又は取引される有体物であると解すべきところ,本件商標権者は写真掲載商品を代理店,取引先又は顧客等に無償で引き渡したこと,写真掲載商品には,本件商標権者の名称のほか,「事業継続 BCMS ISO22301 認証取得記念」の文字が記載されていること,及び写真掲載商品には,「自動車用各種フィルタ・ワイパー/カーAV取付キット」の文字が記載され,当該記載は本件商標権者の事業概要とその内容が一致することを踏まえると,写真掲載商品は,本件商標権者の事業の宣伝用のサービス品として,無償で代理店,取引先又は顧客等に引き渡したというのが相当であるから,一般市場で流通に供されることを目的に生産された有体物であるとはいえないため,商標法上の「商品」と認めることはできない。
なお,写真掲載商品が,本件商標権者に係る商品の広告物に該当するものとしても,商品「自動車用各種フィルタ・ワイパー,カーAV取付キット」に関する広告であるといわざるを得ないため,本件審判の請求に係る指定商品について,商標法第2条第3項第8号に該当する行為をしたと認めることもできない。
(3)一般社団法人日本自動車部品協会(JAPA)のウェブサイト(乙2)からは,2019年(平成31年)2月14日及び15日に,エンパイヤ自動車が展示会「EMCフェア2019」を開催したことは認められるものの,本件商標権者が当該展示会に出展していたかは明らかではなく,写真掲載商品を顧客等に対し頒布したかも明らかではない。
また,被請求人が主張する「EMCフェア2019」以外の展示会等において,本件商標権者が写真掲載商品を代理店,取引先又は顧客等に引き渡した事実についても明らかではない。
(4)小括
以上(1)ないし(3)のとおり,被請求人が提出した証拠によっては,要証期間内に,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしたことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 むすび
以上のとおりであるから,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中の「結論掲記の指定商品」について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標


審理終結日 2019-08-23 
結審通知日 2019-08-27 
審決日 2019-09-09 
出願番号 商願2012-95151(T2012-95151) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W09)
最終処分 成立  
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 平澤 芳行
薩摩 純一
登録日 2015-02-27 
登録番号 商標登録第5744337号(T5744337) 
商標の称呼 エヌケイケイ 
代理人 飯田 伸行 
代理人 特許業務法人信友国際特許事務所 
代理人 飯田 和彦 

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