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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W07
審判 全部申立て  登録を維持 W07
審判 全部申立て  登録を維持 W07
管理番号 1356248 
異議申立番号 異議2019-900076 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-11-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-03-08 
確定日 2019-09-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第6106272号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6106272号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6106272号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり「HASWING」の文字を横書きしてなり,平成30年3月26日に登録出願,第7類「水上の乗物用の交流電動機又は直流電動機,電動機(陸上の乗物用のものを除く。),起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,ボート用原動機,原動機(陸上の乗物用のものを除く。),ボート用エンジン,エンジン(陸上の乗物用のものを除く。),駆動原動機(陸上の乗物用のものを除く。),船舶用の動力機械器具,漁業用機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),動力機械器具の部品,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」を指定商品として,同年11月14日に登録査定,同年12月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において,本件商標は商標法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する標章は,別掲2のとおり「HASWING」の文字(以下「使用標章」という。)よりなり,申立人がゼネラルマネージャーであるZhongshan Yatai Electric Appliaiice Co.,Ltd.社(以下「Yatai社」という。)の業務に係る商品「釣り用ボート用船外機及びそれに関連する商品」を表示するものとして需要者の間に広く知られていると主張するものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第38号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号
本件商標は,Yatai社の著名な釣り用ボート用船外機及びそれに関連する商品の商標「HASWING」と同一であって,Yatai社の案出に係る造語であり,同社以外に過去使用された事実はない。
本件商標権者は,釣り具メーカーの株式会社レスターファインの経営者であり,立場上,釣りに使用するボート用の船外機及びそれに関連する商品とは密接な関連があり,Yatai社のことを十分知り得る立場にあるから,同人がYatai社の「HASWING」と無関係に本件商標を案出し,出願したと考えることは経験則に照らして不自然である。
このような状況のもとで,本件商標権者が,Yatai社の「HASWING」と寸分違わない本件商標を登録出願し,その登録を受けることは,Yatai社の利益を害するものであり剽窃的であって,信義則に反する不穏当な行為であり,本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものであり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ず,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号
Yatai社の「HASWING」を付した商品は中国本土にとどまらず多年にわたって日本を含む世界各国に輸出されるとともにインターネット上で多数露出されており,その名が広く知れ渡っている。
このような状況のもとで,本件商標は,Yatai社の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標といわざるを得ず,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号
Yatai社の「HASWING」を付した商品は中国本土にとどまらず多年にわたって日本を含む世界各国に輸出されるとともにインターネット上で多数露出されており,その名が知れ渡っている。
本件商標権者は,釣り具メーカー株式会社レスターファインの経営者であり,釣りに使用するボート用の船外機及びそれに関連する商品とは密接な関連があり,Yatai社のことを十分知り得る立場にあるから,同人がYatai社の「HASWING」と無関係に本件商標を案出し,出願したと考えることは経験則に照らして不自然である。
このような状況のもとで,本件商標権者がYatai社の「HASWING」と寸分違わない本件商標を出願し,その登録を受けることは,商標権を楯にYatai社の商品の販売を独占するなどの不法の目的をもって使用をするためのものと考えざるを得ず,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)使用標章の周知性について
ア 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(ア)申立人は,Yatai社は1995年(平成7年)に創立され,「HASWING」ブランドの釣り用ボート用船外機及びそれに関連する商品を主力商品とし,3つの工場を持ち,従業員数は1000人を超える中国法人であり,Yatai社の商品は中国内にとどまらず,西ヨーロッパ,東アジア,中東,オセアニア,アフリカ,南アジア,束ヨーロッパ,南アメリカ,北アメリカなどの海外に広く輸出されており(甲2),Yatai社作成に係る,中国国内の客別売上一覧表(2013年(平成25年)?2018年(平成30年))及び海外の客別売上一覧表(2013年(平成25年)?2018年(平成30年))(甲3)やYatai社から日本への商品の輸出に関する輸出許可証,船積みの請求書(甲4,甲5)からも上記輸出は明らかである旨主張する。
しかし,中国国内の客別売上一覧表,海外の客別売上一覧表,輸出許可証,船積みの請求書(甲3?甲5)は,いずれも外国語(英語及び中国語)で作成されているところ,翻訳文の添付がないため,その詳細な内容は不明であり,また,我が国において頒布・発行されたものとは認められない。
(イ)申立人は,Yatai社発行に係る2015年(平成27年)から2019年(平成31年)までの商品カタログ(甲14?甲16)により,使用標章を付した釣り用ボート用船外機及びそれに関連する商品を販売している旨主張する。
しかし,当該商品カタログは,外国語で作成されているところ,翻訳文の添付がないため,発行年,使用標章及び発行者(甲16のみに表示が見られる。)の表示は見受けられるが,その詳細な内容は不明であり,また,当該商品カタログの頒布された場所,頒布量などを示す証拠の提出はなく,我が国において頒布・発行されたものとは認められない。
(ウ)申立人は,米国の雑誌FTR/Fishing Tackle Retailer(2010年(平成22年)11月号)に使用標章に関する広告が記載されているから,少なくとも平成22年当時には使用標章が使用されていたと主張する(甲17)。
しかし,当該雑誌は,発行年(November 2010)及び使用標章の表示は見受けられるが,当該雑誌の広告欄は,外国語で作成されているところ,翻訳文の添付がないため,その詳細な内容は不明であり,また,当該雑誌の発行された場所,発行部数等を具体的に示す証拠の提出はなく,我が国において頒布・発行されたものとは認められない。
(エ)申立人は,近年のインターネットの普及により,使用標章を付した商品は世界各国で流通しており,Yatai社の広告サイトのみでなく,各国の扱い業者による多数の広告サイトが存在する旨主張する(甲18?甲32)。
しかし,当該ウェブサイトにおいて,使用標章の表示は見受けられるが,外国語で作成されたウェブサイトであるところ,翻訳文の添付がないため,その詳細な内容は不明であり,また,甲第23号証を除き,我が国において公開されたものとは認められない。
(オ)本件商標権者は,滋賀県大津市在の「レスターファイン」と称する釣り具メーカーの代表者であり,「Restaffine」の商標で釣り具用品の販売を行っている(甲33?甲36)。また,申立人は,本件商標権者は台湾を拠点とする著名な釣り用ボートメーカーのブランド「KIMPLE」と同じ商標「KIMPLE」を登録している旨主張する。
しかし,本件商標権者が当該釣り具メーカーの代表者であり,「Restaffine」の標章で釣り具用品を販売していることは推認されるが,上記釣り用ボートメーカーのホームページとする書面(甲38)は,外国語で作成されたものであるところ,翻訳文の添付がないため,その詳細な内容は不明である。
イ 上記アにおいて認定した事実によれば,使用標章は,Yatai社の業務に係る商品「釣り用ボート用船外機及びそれに関連する部品」に使用する商標であり,外国おいては2010年(平成22年,甲17)から,我が国においては2017年(平成29年,甲23)から販売していることはうかがえるとしても,証拠として提出された外国語の証拠資料には,翻訳文の添付がないことから,その内容が明らかとはいえないものであって,また,我が国及び外国においてその周知性の度合いを客観的に判断するための資料,すなわち,申立人の業務に係る商品を広告・宣伝した時期,回数及びその方法,あるいは,当該商品をどの時期に,どの地域で,どの位の台数を販売したものか等,その取引状況を具体的に示す取引書類等の提出はないから,申立人提出の上記証拠によっては,使用標章の使用状況を把握することができず,使用標章の周知性の程度を推し量ることができない。
その他,申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても,使用標章が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国及び外国の取引者,需要者の間で,申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足る事実は見いだせない。
したがって,提出された証拠によっては,使用標章が,我が国及び外国において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国及び外国の需要者の間に広く認識され,本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたとは認められないものである。
(2) 商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と使用標章との類似性
(ア)本件商標について
本件商標は,「HASWING」の文字を横書きしてなるところ,当該文字は辞書に掲載されていない文字であって,特定の意味合いを有しない造語といえるものである。
そして,欧文字からなる造語の場合は,我が国で一般に普及したローマ字又は英語の読みに倣って称呼されるものであるから,本件商標は,英語の読みに倣って「ハスウイング」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(イ)使用標章について
使用標章は,別掲2のとおり,ややレタリングされた「HASWING」の文字に下線を引き,当該下線をGの文字に接続した構成よりなるところ,当該文字部分は,同じ書体,同じ大きさ,等間隔で外観上まとまりよく表され,かつ下線と相まって視覚上一体的に看取されるものである。
そうすると,使用標章は「HASWING」の文字からなるから,上記(ア)と同様に,「ハスウイング」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(ウ)本件商標と使用標章との比較
本件商標と使用標章との類否について検討するに,外観においては,使用標章はややレタリングされているものではあるが,文字部分において,本件商標と使用標章は,同じつづりの欧文字「HASWING」を表したものであるから,外観上,両者は,近似した印象を与えるものである。
次に,称呼においては,本件商標及び使用標章からは,共に「ハスウイング」の称呼を生じるものであるから,その称呼を同じくするものであり,観念においては,共に特定の観念を生じないから,比較することができないものである。
そうすると,本件商標と使用標章とは,観念において比較することができないとしても,外観において,近似した印象を与えるものであって,かつ,その称呼を同一にするものであるから,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合的に勘案すれば,両商標は類似の商標というべきであって,類似性の程度は高いものといえる。
(エ)本件商標の指定商品と使用標章が使用される商品との関連性並びに商品の取引者及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品中「ボート用原動機,原動機(陸上の乗物用のものを除く。),ボート用エンジン,エンジン(陸上の乗物用のものを除く。),駆動原動機(陸上の乗物用のものを除く。),船舶用の動力機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),動力機械器具の部品」と使用標章が使用される「釣り用ボート用船外機及びそれに関連する商品」とは,共に動力を発生させる機械器具であって,原動機製造メーカーにより製造され,その製造販売者も共通する場合があるといえることから,商品の取引者及び需要者を共通にすることも少なくないといえるものである。
そうすると,本件商標の指定商品と使用標章が使用される商品とは,相当な部分において取引者,需要者を共通にするといえることから,互いに関連性を有する商品といえるものである。
イ 出所の混同のおそれについて
上記ア(ウ)のとおり,本件商標と使用標章との類似性の程度は高く,上記ア(エ)のとおり,本件商標の指定商品と使用標章が使用される商品とは,互いに関連性を有する商品といえるとしても,使用標章は,上記(1)イのとおり,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認められないものであるから,本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合には,取引者,需要者をして使用標章を連想又は想起させることはなく,その商品が,他人の業務と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
また,その他に,本件商標と使用標章とが取引者,需要者において出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と使用標章とは,上記(2)ア(ウ)のとおり,類似の商標であるとしても,上記(1)イのとおり,使用標章は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであるから,使用標章が需要者の間に広く認識されていた商標であることを前提に,本件商標は不正の目的をもって使用するものであるとする申立人の主張は,その前提を欠くものである。
また,申立人が提出した証拠からは,本件商標権者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的,その他の不正の目的を持って剽窃的に本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は,「本件商標は,Yatai社の釣り用ボート用船外機及びそれに関連する商品の著名な使用標章と同一であって,Yatai社の案出にかかる造語であり,同社以外に過去使用された事実はない。また,本件商標権者は釣り具メーカーの経営者であり,釣りに使用するボート用の船外機とは密接な関連があり,使用標章のことを十分知り得る立場にあるから,Yatai社の『HASWING』と無関係に本件商標を案出し,出願したと考えることは経験則に照らして不自然であって,Yatai社の利益を害するものであり剽窃的であって,信義則に反する不穏当な行為であり,本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものであり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものである。」旨主張する。
しかしながら,上記(1)イのとおり,使用標章は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから,本件商標は,これをその指定商品について使用をすることが,使用標章の周知性による信用及び顧客吸引力に便乗するものということはできない。
また,上記(3)のとおり,申立人が提出した証拠からは,本件商標権者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的,その他の不正の目的を持って剽窃的に本件商標を出願し,登録を受けたというような本件商標の出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠く事実は認められないものである。
その他,本件商標は,その構成自体がきょう激,卑わい,差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないし,本件商標をその指定商品について使用することが,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するということもできず,他の法律によってその使用が禁止されている等の事情も見あたらないことから,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく,その登録は,同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 使用標章


異議決定日 2019-09-11 
出願番号 商願2018-38292(T2018-38292) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W07)
T 1 651・ 22- Y (W07)
T 1 651・ 222- Y (W07)
最終処分 維持 
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 平澤 芳行
大森 友子
登録日 2018-12-14 
登録番号 商標登録第6106272号(T6106272) 
権利者 樋上 吉秀
商標の称呼 ハスウイング 
代理人 神保 欣正 
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