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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y07
管理番号 1356150 
審判番号 取消2018-300960 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-12-19 
確定日 2019-09-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第4721739号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4721739号商標(以下「本件商標」という。)は,「ナイル」の片仮名及び「NILE」の欧文字を上下2段に横書きしてなり,平成14年11月28日に登録出願,第7類「電動式又は空圧式等の動力付き手持ち工具,その他の金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,ミシン,農業用機械器具,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,包装用機械器具,陶工用ろくろ,プラスチック加工機械器具,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),風水力機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,食器洗浄機,電気式ワックス磨き機,電気洗濯機,電気掃除機,電気ミキサー,修繕用機械器具,機械式駐車装置,乗物用洗浄機,消毒・殺虫・防臭用散布機(農業用のものを除く。),機械要素(陸上の乗物用のものを除く。),芝刈機,電動式カーテン引き装置,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,電機ブラシ」を指定商品として,同年10月24日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成31年1月9日にされた(以下,当該登録前3年以内を「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,第7類「農業用機械器具」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第7類「農業用機械器具」について要証期間内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人提出の審判事件答弁書に対して,何ら弁駁するところがない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下の1及び2の事実によれば,本件商標権者は,本件商標を,その指定商品中,第7類「農業用機械器具」について継続して3年以上日本国内において使用している。
1 本件商標の使用の事実1
(1)本件商標権者は,創業90年以上の歴史を持つ,作業工具及び空気工具の専門メーカーであり,「ナイル空気工具」は,同社の古くからのブランド商品として,既に半世紀以上の販売実績を誇っている。「ナイル空気工具」の中でも「エアーニッパ」は,それまでハンドツール(手工具)でしかなかったニッパを,エアーの強みを生かした工具として同社が他社に先駆けて開発したものである。そのため,モノづくり現場だけでなく,「農業用機械器具」としても大きな需要を有している。
(2)乙第6号証(発注書)は,平成28年(2016年)8月20日に,本件商標権者が,アルフレッサ篠原化学株式会社(以下「アルフレッサ社」という。)から受けたエアーハサミ(品番:AS30等)の発注書の写しである。
この発注書は,本件商標権者がアルフレッサ社に平成28年(2016年)8月18日付けで宛てた「御見積書」に発注意思を手書きしたリターン書面として本件商標権者に送付された。
(3)本件商標がエアーハサミ(品番:「AS30」及び「AS100」等)の商品に使用されていることは,「ナイル空気工具 総合カタログ」(乙1,平成29年(2017年)11月発行)から明白である。
(4)高知県三原村(以下「三原村」という。)は,柚子の生産を行う「公益財団法人三原村農業公社」(以下「三原村農業公社」という。)を擁する。三原村は,アルフレッサ社と従来から商取引があるため,取引の便宜を考慮して,高知県三原村参事(以下「三原村参事」という。)は,アルフレッサ社を介して本件商標権者にエアーハサミ等を発注した(乙6)。
(5)平成28年(2016年)8月22日に,本件商標権者からアルフレッサ社に請求書(乙7)が発行され,アルフレッサ社は,平成28年(2016年)8月24日に,本件商標権者の銀行口座に102,006円を入金した。
(6)高知工科大学ものづくり先端技術研究室のM氏(以下「高知工科大M氏」という。)は,平成28年(2016年)6月2日に,本件商標権者に問合せを行い,同日,本件商標権者は高知工科大M氏に受領確認の電子メールを送信した(乙5)。
(7)高知工科大M氏が問い合わせた製品名は,ナイル空気工具の1つであるエアーハサミ(AS100)であり,「ゆずの棘(とげ)をカットするにあたり,作業負担低減,効率化を考えて,エアーハサミの購入を検討しています。この作業は,手作業であれば一本の柚木を剪定するのに1日かかってしまい,重労働となっています。棘(とげ)の大きさと太さは爪楊枝を想像していただければと思います。適する商品を是非教えてください。・・」というものである。
(8)本件商標権者は,エアーハサミのデモ機を高知工科大M氏宛てに送付した(乙3の1?3)。
(9)高知工科大M氏の紹介を受け,本件商標権者のエアーハサミの購入を実際に行った三原村参事が平成28年(2016年)7月26日に本件商標権者に宛てた電子メール(乙2)には,三原村が「日本一の青果ゆず産地」になることを目指し,三原村農業公社を中心に様々な取り組みを行っていることや,ゆずの棘(とげ)がゆずの出荷において大きな課題になっていること,本件商標権者のエアカッターがゆずの棘(とげ)切り工具として有用であること,さらには更なる改良を検討したいことなどが記載されている。
つまり,三原村農業公社は,本件商標権者のエアーハサミを農業用機械器具として購入することを検討している。以上より,本件商標が指定商品中,第7類「農業用機械器具」について使用されていることは明白である。
2 本件商標の使用の事実2
(1)御見積書(乙9)は,平成30年(2018年)7月3日に,本件商標権者が,機械工具の総合卸商社である「株式会社梅村本店本社」(以下「梅村本店」という。)に宛てた本件商標を使用する商品「エアーニッパ」(原型となるエアーニッパの品番「MP25」:乙1の4ページ)に関するものであり,当該商品は,平成30年(2018年)3月に愛知県西尾市の蘭生産業者「蘭工房」からの受注に応じて作成された。
(2)蘭支柱用エアーニッパの写真(乙10)は,平成28年(2016年)12月22日に,有限会社黒臼洋蘭園(埼玉県さいたま市)にて,本件商標権者の従業員が撮影した。撮影目的は,蘭協会へのPR用チラシ作成であり,撮影された製品は,エアーニッパ本体(MP35A)等である(乙1の5ページ)。
(3)替刃改良図面1ないし4(乙11の1?4 ,数字の1ないし4は丸付き数字である。)は,蘭支柱カッターに装着する替刃の製作検討を行った際に作成されたものである。
(4)乙第10号証の写真が示すように、製作販売されたエアーニッパ及びその替刃は、いずれも蘭支柱用であり、開発された替刃は蘭支柱の加工に適するように仕様変更された専用機種である。蘭の栽培出荷は農業といえる。

第4 当審の判断
1 証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者の事業について
ア 本件商標権者は,作業工具及び空気工具の製造・販売を行っている法人である(乙1,乙6)。
イ 本件商標権者が製造する商品「空気工具」は,「圧縮空気の膨張力によって動かす工具。」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)であって,切断,つぶし,かしめ,曲げ,穴抜きなどの作業が簡単に行えるもので,本体と替刃で構成されており用途に合わせて様々な組合せが可能なものである(乙1)。
ウ 本件商標権者の2017年(平成29年)11月10日作成の商品カタログ(乙1)には,型番を「AS30」及び「AS100」とする商品「エアーハサミ」が商品の画像とともに掲載されているところ,当該商品「エアーハサミ」は,商品「空気工具」の一種であって,本体と替刃により構成され,用途により本体及び替刃を使い分けることができることから,用途が特定される工具とはいえない。
(2)本件使用商品について
ア (ア)本件商標権者は,平成28年(2016年)6月2日,高知工科大M氏からゆずの棘(とげ)切り工具として,エアーハサミの購入を検討する旨の連絡を受け,高知工科大M氏に型番を「AS30」及び「AS100」とする商品「エアーハサミ」をデモ機として送付したこと(乙3の2,乙3の3,乙5),(イ)高知工科大M氏は,平成28年(2016年)7月26日に,本件商標権者に対し,本件商標権者の商品を三原村参事に進めたこと(乙8),(ウ)三原村参事は,同日,本件商標権者に対し,本件商標権者の商品が少しの工夫で長年希望してきたゆずの棘(とげ)切り機械となり,三原村農業公社で予算化を検討している旨返答した(乙2)ことを踏まえると,三原村は,本件商標権者の型番を「AS30」及び「AS100」とする商品「エアーハサミ」をゆずの棘(とげ)切りを用途として採用し,三原村農業公社に導入させる検討をしていたと認められる。
イ 見積書(乙6,以下「本件見積書」という。)は,平成28年(2016年)8月18日に,本件商標権者からアルフレッサ社に宛てたものであり,「メリー作業工具・ナイル空気工具・製造元」の記載の下に本件商標権者の名称の記載,形式・品名「AS30」及び「AS100」等の記載,並びに,三原村参事からの依頼である旨の記載がある。
ウ 本件見積書は,書類の標題である「御見積書」の文字部分に取り消し線がひかれ,「室本鉄工株式会社」の後に「御中」の文字,担当者の名前の後に「様」の文字がそれぞれ追記され,また,アルフレッサ社の担当者の「様」の文字に二重線の取り消し線がひかれ,左上部の余白には「8/20発注書」及び「手配お願いします」の文字が手書きで追記されていることからすると,アルフレッサ社は,同月20日,本件商標権者に,本件見積書に記載された形式・品名の商品を発注書として返送したと認められる(乙6)。
そして,請求書(乙7中段)は平成28年(2016年)8月22日に,本件商標権者からアルフレッサ社に宛てたものであるところ,ナイル売上額と本件見積書の金額,及び当該請求書の合計請求額と取引銀行のお取引のご案内(乙7下段)の振込額とは一致する。
エ 以上よりすると,本件商標権者は,本件商標権者に係る商品「エアーハサミ」(以下「本件使用商品」という。)を,アルフレッサ社を介して,三原村農業公社にゆずの棘(とげ)切りを用途として納品したと推認できる。
そして,本件見積書は,平成28年(2016年)8月18日に,本件商標権者からアルフレッサ社に送付されたと認められる。
2 以上の事実を総合勘案すれば,以下のとおり判断することができる。(1)使用商標について
本件商標は,「ナイル」の片仮名及び「NILE」の欧文字を上下2段に表してなるところ,「ナイル」及び「NILE」の文字は,「アフリカ大陸北東部を北流する世界最長の大河。」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)の意味を有しており,「ナイル」の称呼及び「ナイル川」の観念が生じる。
また,上記1(2)イのとおり,本件見積書には,「メリー作業工具・ナイル空気工具・製造元」の文字の記載があるところ,「メリー作業工具」,「ナイル空気工具」及び「製造元」の文字が「・」(中点)で区切られており,その下に本件商標権者の名称があることからすると,本件商標権者が「メリー作業工具」及び「ナイル空気工具」の製造元であることを理解させるものであり,「メリー作業工具」及び「ナイル空気工具」の文字が「・」(中点)で区切られ,それぞれ視覚的に分離して看取されることからすると,両文字が独立して出所識別標識としての機能を果たすものといえる。
そして,本件見積書中の「ナイル空気工具」の文字(以下「本件使用商標」という。)の構成後半の「空気工具」の文字部分は,「圧縮空気の膨張力によって動かす工具。」の意味を有する語であり,指定商品との関係においては,一般名称にあたるため,出所識別標識としての機能を有さない部分である。
そうすると,本件使用商標の出所識別標識としての機能を有する部分は,「ナイル」の文字部分であるといえる。
したがって,本件商標と本件使用商標とは,「ナイル」の片仮名部分を共通にし,同一の文字からなる商標であるから,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一と認められる。
(2)本件使用商品について
本件使用商品は,本件商標権者に係る商品「エアーハサミ」であり,これは圧縮空気の膨張力によって動かす空気工具の一種であって,本体と替刃により構成され,用途により本体及び替刃を使い分けることができることから,用途が特定されない多用途の工具(商品)といえるところ,三原村農業公社に納品された商品は,農業用としてゆずの棘(とげ)切りを用途とするものである。
そして,本件審判の請求に係る指定商品である「農業用機械器具」は,「耕うんや収穫その他の農業用に使用される機械器具」(「商品及び役務の区分解説[国際分類第10版対応]」(特許庁商標課編集,一般財団法人発明推進協会発行)が該当する。
そうすると,本件使用商品は,農業用としてゆずの棘(とげ)切りを用途する工具として納品されたものであるから,本件審判の請求に係る指定商品である「農業用機械器具」の範ちゅうに含まれる商品といえる。
(3)使用者及び使用時期について
本件商標権者は,平成28年(2016年)8月18日に,アルフレッサ社に対し,三原村から依頼された商品「エアーハサミ」に関する本件見積書に,本件使用商標を付して送付したものと認めることができる。
(4)小括
以上によれば,本件商標権者は,要証期間に含まれる平成28年(2016年)8月18日に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品「農業用機械器具」に含まれる本件使用商品「エアーハサミ」に関する本件見積書(取引書類)に,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付して頒布したものと認められる。
そして,上記使用行為は,商標法第2条第3項第8号に該当するものと認められる。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に,日本国内において,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品「農業用機械器具」に含まれる「エアーハサミ」について,本件商標(社会通念上同一を含む。)の使用をしていたことを証明したといえる。
したがって,本件商標の登録は,請求に係る指定商品について,商標法第50条第1項の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2019-08-02 
結審通知日 2019-08-06 
審決日 2019-08-21 
出願番号 商願2002-100652(T2002-100652) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y07)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 浜岸 愛
平澤 芳行
登録日 2003-10-24 
登録番号 商標登録第4721739号(T4721739) 
商標の称呼 ナイル 
代理人 特許業務法人河崎・橋本特許事務所 
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