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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X25
管理番号 1356125 
審判番号 取消2017-300236 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-04-03 
確定日 2019-09-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第5302387号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5302387号商標の指定商品中,第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5302387号商標(以下「本件商標」という。)は,「TOXIC」の文字を標準文字で表してなり,平成21年5月11日に登録出願,第18類「かばん類,袋物」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,帽子,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品とし,同22年2月19日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年4月19日にされた(以下,当該登録前3年以内を「要証期間」という。)

第2 請求人の主張の要点
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)サムライ社に係る使用について
商品カタログ(乙1)は,「輸入販売元株式会社サムライ サムラー事業部」(以下「サムライ社」という。)が発行したと推認されるカタログであり,「2016 summer collection」との表示はあるが,発行日の記載がなく,展示又は頒布等の事実を裏付ける証拠も提出されていない。
被請求人は,サムライ社と本件商標権者又は通常使用権者とが,「長年にわたり運動用特殊衣服をはじめとする各種衣服関連商品の製造販売において協力して事業を行ってきた」事実を前提に,るる主張するが,この前提事実の証明が一切なされていない以上,被請求人の主張はすべて理由がないものである。
(2)村瀬商会に係る使用について
商品カタログ(乙2)は,合資会社村瀬商会(以下「村瀬商会」という。)が発行したと推認されるカタログであり,「Snowboard Wear Collection 2016」との表示はあるが,発行日の記載がなく,展示又は頒布等の事実を裏付ける証拠も提出されていない。
被請求人は,上述のサムライ社の場合と同様,「長年にわたり運動用特殊衣服をはじめとする各種衣服関連商品の製造販売において協力して事業を行ってきた」事実を前提に,るる主張するが,この前提事実の証明が一切なされていない以上,被請求人の主張はすべて理由がないものである。
商品パンフレット(乙3)は,発行者が不明である。「2016」との表示はあるが,発行日の記載がなく,展示又は頒布等の事実を裏付ける証拠も提出されていない。
(3)その他の使用について
ア 仕入伝票(乙4,乙5)について
仕入伝票(乙4,乙5)は,有限会社ミックコーポレーション(以下「ミック社」という。)がサムライ社からラッシュガード,サーフパンツ,レディースパンツ,メンズサーフを仕入れたことを証明するものだが,本件仕入伝票に記載の商品番号と,納品書(控)(乙6)に記載の商品番号とが全く一致しないため,乙第4号証及び乙第5号証の存在が乙第6号証の信憑性を高める役割も果たしていない。
イ 納品書(乙6),仕入伝票(乙7)及び宅配便控(乙8)について
納品書(乙6)は,商品ごとの小計の記載や合計金額の記載がなく,仮をマルで囲んだ記載が存在するなど,記載が不自然である。他の証拠が統一伝票で揃えられているにもかかわらず,納品書のみが簡易な伝票であることも不自然感が否めない。
仕入伝票(乙7)は,村瀬商会に対する譲渡又は引渡しを証明するのであれば,統一伝票の「物品受領書」又は「納品書(控)」が提出されてしかるべきである。宛先が「(有)ミックコーポレーション様」となっている「仕入伝票」は,村瀬商会からミック社ヘの譲渡又は引渡しの証拠になり得るかもしれないが,村瀬商会に対する譲渡又は引渡しを証明することにはならない。
宅配便控(乙8)は,ヤマト運輸では東京都台東区から大阪市天王寺区への配送においては存在しない当日配達サービス(受付日29年2月16日でご希望のお届け日2月16日)を要求している点,発払なのに領収印がない点,お届け予定日の記載がない点,乙第6号証に記載の商品群を配達する荷物にしてはコンパクトすぎる(サイズ60)点等々,とても客観的で信憑性のある証拠書類とはいえない。
ウ インターネット掲載記事(乙9)及び商品を撮影した写真(乙10)について
インターネット掲載記事(乙9)は,アマゾンのウェブページの画面をプリントアウトしたものと思われるが,このウェブページに商品情報等アップロードした出品者と被請求人との関係が不明である。商品を撮影した写真(乙10)は,撮影日時を証明する証拠がなく,この商品が存在していた日時やこの商品と納品書(控)(乙6)に記載の商品との関係も不明である。
エ 納品書(控)(乙12),請求書(控)(乙13,14),領収書(控)及び納品書(控)(乙16?乙19)について
株式会社ミヤマ(以下「ミヤマ社」という。),有限会社アースカンパニー(以下「アースカンパニー社」という。),株式会社三愛販売(以下「三愛販売」という。),及び株式会社プラスワン・ショップ(以下「プラスワン・ショップ」という。)のホームページの掲載内容からすれば,当該店舗で,スポーツに限って使用する運動用特殊衣服としてのラッシュガードを取り扱っているようには見受けられない。「ラッシュガード」と称する商品には,ウェットスーツと同様の沖に出るサーファーが着用する本格的な商品から,単にビーチで着用される機会が多いだけの日用品と同等の衣服や,一般的な水着と差異のない商品までさまざまなものが含まれる。これらの店舗でサーフィンの際に専ら使用する機能等を有する本格的なラッシュガード,すなわち「運動用特殊衣服」の商品該当性が認められるラッシュガードが取り扱われているとは到底思われない。
(4)商品「ラッシュガード」及び「スノーボードウェア」について
ア 被請求人は,「商品『ラッシュガード』は,ワンウェイ,ツーウェイといった素材を用いて,着用時に身体にぴったりフィットする運動用特殊衣服としてのラッシュガード特有の機能を有するものである。」と説明するが,生地となる素材について,ワンウェイ,ツーウェイとは,素材の伸び方を示しており,ワンウェイは,縦または横方向のみ伸びることを意味し,ツーウェイとは,縦および横の両方向に伸びることを意味するものであって,カットソー等の日用衣服においてワンウェイは採用されており,日用の水着やコンプレッションウェアにおいてもツーウェイは採用されている。
そうすると,被請求人の商品「ラッシュガード」は,一般的な水着や日用のコンプレッションウェアと差異のない商品であるといえる。
イ 被請求人の商品「スノーボードウェア」が運動用特殊衣服に該当するという主張の根拠として,Waterproof:10,000mm/Breathble:10,000mgと記載された商品のタグを挙げているが,この程度の機能は,例えば,日用品としてのレインウェアで散見されるものある。楽天市場で販売されているレインウェア(甲6,透湿度:10,000g/平方メートル/24時間,耐水圧:10,000mm)があり,その他アマゾンやワークマンのウェブページにも同等機能のレインウェアが多数存在する。
したがって,「こうした特殊化工を備える被覆をスノーボード等の運動時以外の日用被服として選択することは通常考えられない」旨の主張は,失当である。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第24号証を提出した。
1 本件商標の使用に至るまでの経緯について
本件商標を付した各商品の大部分は,サーフィン・スノーボード関連商品を自ら企画・デザインする本件商標権者が,サムライ社(担当はサムラー事業部)に製造依頼したものである。サムライ社は,当該商品を中華人民共和国において製造し,平成24年6月に当該商品を輸入している(乙20)。
そして,輸入された当該商品を本件商標権者又は通常使用権者のミック社(以下「商標権者等」という。)が,サムライ社より(本件商標を付した商品以外の商品を含め)数年にわたり何度かに分け相当量を購入している(乙4,乙5)。
なお,輸入された商品中,サムライ社によっても販売される商品が存在する。したがって,商品カタログ(乙1)には,「輸入販売元」との記載がある。また,当該商品カタログに記載される「株式会社 サムラー事業部」は,本来記載すべき「株式会社サムライ サムラー事業部」の誤記である。
2 サムライ社に係る使用について
商品カタログ(乙1,「2016 summer col1ection」)には,例えば,本件商標が付された商品「ラッシュガード」が掲載されている(11頁 Men’s Lush Guard)。当該商品「ラッシュガード」は,サーフィン等のマリンスポーツにおいて,主として紫外線対策を目的として使用する「運動用特殊衣服」であり,商品「ラッシュガード」の特許庁類似群コードは「運動用特殊衣服」と同一の「24C01」となっている。なお,商品カタログ(乙1)に掲載される「ラッシュガード」以外の各種商品も,主としてサーフィンの際に使用される商品であり,「被服」としての性格を有しながら,「運動用特殊衣服」としての性格も併せ有している。
サムライ社は,商標権者等とは,長年にわたり運動用特殊衣服をはじめとする各種衣服関連商品の製造販売において協力して事業を行ってきており,当該商品に付される商標については当然その使用を許諾する関係にある。したがって,商品カタログに掲載される本件商標を付した商品の販売等について,明示の契約書等は存在しないものの,サムライ社は,本件商標権者よりその使用を許諾されているものである。しかし,当該事実を証するサムライ社の陳述書を受領することはできなかった。
なお,当該商品カタログは,デザインはじめ全体の監修者として本件商標権者が作成し,「45プリントプロ日暮里支店」を通じ2016年(平成28年)3月頃に作成したものであるが,作成日を証明する領収書等は発見されなかった。
3 村瀬商会に係る使用について
商品カタログ(乙2,「Snowboard Wear collection 2016」)には,本件商標が付された商品「スノーボード用衣服」が各種掲載されている。当該商品はスノーボードを行う際に使用する「運動用特殊衣服」である。
上記の商品カタログ(乙1,乙2)に掲載された商品には,商品本体,当該商品カタログ内において,「toxic」の欧文字が顕著に配されたブランドロゴが使用されており,本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている。
村瀬商会は,主としてウィンタースポーツ用被服の製造販売において商標権者等と長年にわたり取引をする協力関係にあり(乙7),当該商品に付される商標については当然その使用を許諾する関係にある。したがって,当該商品カタログに掲載される本件商標を付した商品の販売等について,明示の契約書等は存在しないものの,村瀬商会は,本件商標権者よりその使用を許諾されているものである。
なお,当該商品カタログは,デザインはじめ全体の監修者として本件商標権者が作成し,「45プリントプロ日暮里支店」を通じ2016年(平成28年)9月頃に作成したものであるが,作成日を証明する領収書等は発見されなかった。
また,商品パンフレット(乙3)には,本件商標が付された商品「スノーボード用ブーツ」が掲載されている。当該商品「スノーボード用ブーツ」は,スノーボードを行う際に使用する「運動用特殊靴」であり,商品「スノーボード用ブーツ」の特許庁類似群コードは「運動用特殊靴」と同一の「24C01」となっている。
上記の商品パンフレット(乙3)に掲載された商品には,商品本体,当該商品カタログ内において,「toxic」の欧文字が顕著に配されたブランドロゴが使用されており,本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている。
なお,当該商品パンフレットは,デザインはじめ全体の監修者として本件商標権者が作成し,「45プリントプロ日暮里支店」を通じ2016年(平成28年)9月頃に作成したものであるが,作成日を証明する領収書等は発見されなかった。
4 その他の使用について
(1)ミック社は,代表取締役が本件商標権者と同一人であり,住所も本件商標権者の住所と同一である(乙11)から,ミック社は,本件商標権者から黙示に許諾された通常使用権者として,商標法第50条における商標の使用権者と評価されるべき者である。
(2)本件商標権者又は本件商標の通常使用権を黙示に許諾されたミック社は,サーフィン・スノーボード関連商品を自ら企画・デザインするなどして,当該商品の製造者であるサムライ社(住所東京都墨田区八広)に各種商品を製造依頼し,本件商標を付したラッシュガード等の商品を所有する(乙4,乙5)。
(3)本件商標権者又はミック社は,本件商標を付した商品「ラッシュガード」等をマリンスポーツ商品取扱業者である「株式会社トリプルスレット」(以下「トリプルスレット社」という。)や,スノーボード商品取扱業者である「村瀬商会」に譲渡又は引渡している(乙6?乙8)。
また,本件商標権者又はミック社は,本件商標を付した商品「ラッシュガード」等を衣料品その他各種商品取扱業者である「ミヤマ社」,スポーツ商品取扱業者である「アースカンパニー社」,各種商品取扱業者「三愛販売」,各種商品取扱業者「プラスワン・ショップ」に譲渡又は引渡している(乙12?19)。
なお,ミック社とミヤマ社との間で請求額と入金額との若干の差額は,請求後に生じた返品等によるものと推測する。
本件商標を付した商品は,上記トリプルスレット社その他の業者を介して一般消費者に販売される(乙9)。
5 商品「ラッシュガード」及び「スノーボードウェア」について
商品「ラッシュガード」は,ワンウェイ,ツーウェイといった素材を用いて,着用時に身体にぴったりフィットする運動用特殊衣服としてのラッシュガード特有の機能を有するものである。こうした着用時に強度に密着する被服をサーフィン等の運動時以外の日用被服として選択することは通常考えられない。
商品「スノーボードウェア」は,スノーボードウェアとして特殊化工が施されており,運動用特殊衣服としての撥水機能と防水機能を有するものである(乙22,23)。こうした特殊化工を備える被服をスノーボード等の運動時以外の日用被服として選択することは通常考えられない。

第4 当審の判断
1 事実認定
証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者とミック社との関係について
ミック社の履歴事項全部証明書には,代表役取締役として本件商標権者の氏名が記載されていることから,本件商標権者は,ミック社の代表取締役であるといえる(乙11)。
(2)サムライ社に係る使用について
「2016 summer collection」の商品カタログ(乙1)の11ページには,左上部にX字状の図形とその下部に「toxic」の文字,その右に「Men’s Lush Guard」の文字が表示されるとともに,品番を「TX200」,「TX204」,「TX205」,「TX221」,「TX231」,「TX223」,「TX232」,「TX225」及び「TX235」とする9種類の商品「ラッシュガード」の左胸部分又は中央部分にX字状の図形と「toxic」の文字が表示されている9種類の商品「ラッシュガード」の画像が掲載されている。そして,当該商品カタログの裏表紙には,「輸入販売元 株式会社 サムラー事業部」の文字が記載され,サムライ社の名称の記載はないが,被請求人は,「株式会社サムライ サムラー事業部」の誤記である旨述べていることからすると,当該商品カタログは,サムライ社の出所に係るものと認められる。
以上よりすると,当該商品カタログは,サムライ社の出所に係るものであり,当該カタログにおいて「Toxic」の表示が商品「ラッシュガード」に使用されたことが認められる。
(3)村瀬商会に係る使用について
「Snowboard Wear collection 2016」の商品カタログ(乙2)の2葉目には,右上部にX字状の図形とその下部に「toxic」の文字,その右に大きく「toxic(R)」((R)は,登録商標であることを表示したものと認められる,○内に「R」の文字が小さく付されていることを表す。以下同じ。)の文字が表示されるとともに,品番を「TX502」,「TX503」,「TX505」,「TX602」,「TX603」及び「TX605」とする6種類の商品「スノーボード用衣服」の画像が掲載されている。そして,当該商品カタログの表紙には,「輸入販売元 合資会社 村瀬商会」が記載されていることからすると,当該商品カタログは,村瀬商会の出所に係るものであり,当該カタログにおいて「Toxic」の表示が商品「スノーボード用衣服」に使用されたことが認められる。
商品パンフレット(乙3)には,上部にX字状の図形とその下部に「toxic(R)」及び「2016」の文字が表示され,品番を「TX502」及び「TX602」等とする商品「スノーボード衣服,スノーボード用ブーツ」の画像が掲載されているが,当該パンフレットの発行者の記載はない。
(4)ミック社とトリプルスレット社との取引について
ア 納品書(控)(乙6)は,平成29年2月15日に,ミック社からトリプルスレット社に宛てたものであり,品名欄には「ラッシュガード半袖紳士TX200」,「同TX205」,「同TX204」,「同長袖TX223」,「長袖ファスナーTX231」,「同TX232」,「同TX235」とする商品「ラッシュガード」7枚に関する記載がある。
イ ミック社からトリプルスレット社へ「衣類」を配達依頼した宅配便の控(乙8)には,受付日に平成29年2月16日と記載されているものの,当該宅配便の控には,領収印がない。また,当該宅配便の控については,別途,「間違いなく配達致しました。」の手書き文字とヤマト運輸株式会社東日暮里5丁目センターの押印と丸判が押印されているものが提出された(乙24)。
(5)ミック社と村瀬商会との取引について
仕入伝票(乙7)は,平成28年12月15日に,村瀬商会からミック社に宛てたものであり,品名・規格を「スノーボードウェアー/TX505」とする商品「スノーボードウェアー」310枚に関する記載がある。
(6)ミック社とミヤマ社との取引について
ア 納品書(控)(乙12)(伝票No018及び019)は,平成26年5月26日に,ミック社からミヤマ社に宛てたものであり,当該納品書には,品名「メンズラッシュガードTX200」,「同TX204」,「同TX205」,「同TX221」,「同TX223」,「同TX225」,「同TX231」,「同TX232」及び「同TX235」の記載とともに,それぞれ税込合計金額227,610円又は72,122円の記載がある。
また,請求書(控)(乙13)は,平成26年5月28日に,ミック社からミヤマ社に宛てたものであり,税込合計金額317,941円の記載があり,そして,当該請求書の請求の詳細を記載した表には,同年5月26日,品名「伝票No018 メンズラッシュガード各種」及び品名「伝票No019 メンズラッシュガード各種」として,227,610円及び66,780円の記載がある。
さらに,ミック社の普通預金通帳の記載(乙15)によれば,平成26年6月13日に,ミヤマ社から,297,172円がミック社の普通預金口座に振り込まれた。
イ 納品書(控)(乙12)(伝票No020及び021)は,平成26年6月4日に,ミック社からミヤマ社に宛てたものであり,「メンズラッシュガードTX200」,「同TX204」,「同TX205」,「同TX221」,「同TX223」,「同TX225」,「同TX231」,「同TX232」,「同TX235」並びに「レディースラッシュガードRP100」,「同RP102」及び「同RP104」の記載とともに,それぞれ税込合計金額492,804円又は446,634円の記載がある。
また,請求書(控)(乙14)は,平成26年6月28日に,ミック社からミヤマ社に宛てたものであり,税込合計金額1,071,630円と記載があり,そして,当該請求書の請求の詳細を記載した表には,同年6月4日,品名「伝票No020 メンズラッシュガード各種」及び品名「伝票No021 メンズ&レディースラッシュガード各種」として,456,300円又は413,550円の記載,及び同年6月14日,品名「伝票No022 レディースラッシュガード各種」として,122,400円の記載がある。
さらに,ミック社の普通預金通帳の記載(乙15)によれば,平成26年7月15日に,ミヤマ社から,1,069,858円がミック社の普通預金口座に振り込まれた。
(7)その他の取引について
ア ミック社とアースカンパニー社との取引について
納品書(控)及び領収書(控)(乙16)は,ミック社の作成に係る平成26年5月30日及び同年6月3日のミック社とアースカンパニー社の取引に関するものであり,品名を「メンズラッシュガードTX231」,「同TX232」及び「同TX235」とする商品「ラッシュガード」145枚についてのものである。
イ ミック社とプラスワン・ショップとの取引について
(ア)納品書(控)及び領収書(控)(乙17)は,ミック社の作成に係る平成26年6月3日のミック社とプラスワン・ショップの取引に関するものであり,品名を「メンズラッシュガードTX221」,「同TX223」及び「同TX225」とする商品「ラッシュガード」79枚についてのものである。
(イ)納品書(控)及び領収書(控)(乙18)は,ミック社の作成に係る平成26年7月5日のミック社とプラスワン・ショップの取引に関するものであり,品名を「メンズラッシュガードTX231」,「同TX232」及び「同TX235」とする商品「ラッシュガード」67枚についてのものである。
ウ ミック社と三愛販売との取引について
納品書(控)及び領収書(控)(乙19)は,ミック社の作成に係る平成28年6月27日のミック社と三愛販売の取引に関するものであり,品名を「メンズラッシュガードTX221」,「同TX223」及び「同TX225」とする商品「ラッシュガード」81枚についてのものである。
2 判断
(1)本件商標権者とミック社との関係について
上記1(1)によれば,本件商標権者はミック社の代表取締役であることからすると,本件商標の使用許諾を示す契約書等の提出はないとしても,本件商標権者とミック社には密接な業務上の繋がりが認められることは明らかであるから,本件商標権者は,ミック社に対して,本件商標の使用について,黙示の許諾を与えていたものと見て差し支えない。
したがって,ミック社は,本件商標の通常使用権者であると推認することができる。
(2)サムライ社と村瀬商会との取引について
上記1(2)によれば,商品カタログ(乙1),商品カタログ(乙2)には,共に「toxic」の文字が表示され,それぞれ,サムライ社又は村瀬商会の出所表示に係るものと認められる。
また,商品パンフレット(乙3)には,「toxic」の文字が表示されているが,当該商品パンフレットには,出所を表示する記載は認められない。
被請求人は,本件商品カタログ(乙1,乙2)及び本件商品パンフレット(乙3)は,2016年(平成28年)9月頃に本件商標権者が作成した旨述べるが,これを裏付ける証拠の提出はなく,しかも,本件商標権者又は通常使用権者であるミック社がサムライ社及び村瀬商会に対し,本件商標について使用を許諾した証拠もない。
以上よりすると,サムライ社又は村瀬商会による本件商品カタログ(乙1,2)に係る本件商標の使用は,本件商標権者又は通常使用権者による使用とは認められず,また,パンフレット(乙3)に係る本件商標の使用は,その使用者が特定できないことから,本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による使用とは認めることはできない。
(3)ミック社の取引について
ア トリプルスレット社との取引について
納品書(控)(乙6)は,本件商標の通常使用権者と認められるミック社の作成に係るものであって,商品カタログ(乙1)に掲載された商品の品番と当該納品書の品名に記載された商品の品番とが一致するとしても,当該納品書に係る取引を裏付ける納品先であるトリプルスレット社の発注書又は受領書等は提出されていない。
また,被請求人は,トリプルスレット社への商品発送について,「ヤマト運輸東日暮里5丁目センター」に商品を持参し配送手続を行ったものであり,当該配送事実が間違いない旨の言質を得ている旨主張するが,宅配便の依頼主控(乙8,乙24)の領収印の欄に荷物を引き受けた際の押印がないのは不自然であること,ヤマト運輸の担当者が1年以上前の配達をいかなる具体的事実に基づき証明しているかも不明であることから,当該宅配便の控は信憑性に欠けるといわざるを得ない。
そうすると,ミック社とトリプルスレット社との取引については,商品カタログ(乙1)に掲載された商品の品番と納品書の品名に記載された商品の品番とが一致するとしても,当該納品書に係る取引を裏付ける納品先であるトリプルスレット社の発注書又は受領書等が提出されていないこと,宅配便の依頼主控(乙8,乙24)が信憑性を欠くものであることを踏まえると,ミック社が要証期間内に本件商標が付された商品をトリプルスレット社に販売したと認めることはできない。
イ ミヤマ社との取引について
納品書(控)(乙12)は,本件商標の通常使用権者と認められるミック社の作成に係るものであるところ,当該納品書の品名に記載された商品の品番が商品カタログ(乙1)に掲載された商品の品番と一致する。しかしながら,当該納品書に係る取引を裏付ける納品先であるミヤマ社の発注書又は受領書等は提出されていない。
また,納品書(控)(乙12)のNo.018に記載された227,610円と同No.19に記載された72,122円の合計額299,732円は,請求書(控)(乙13)に記載された317,941円とは一致しない。さらに,請求書(控)(乙13)に記載された317,941円と平成26年6月13日に,ミヤマ社からミック社の口座に振り込まれた297,172円(乙15)とは,その金額が一致しない。同じく,平成26年7月15日に,ミック社の口座に振り込まれた1,069,858円(乙15)についても,請求書(控)(乙14)に記載された1,071,630円とは一致しない。
この点について,被請求人は,請求額と入金額との若干の差額は,請求後に生じた返品等によるものと推測すると主張するが,これを裏付ける具体的な証拠を提出していないから,被請求人の主張は認められない。
そうすると,ミック社とミヤマ社のとの取引については,商品カタログ(乙1)に掲載された商品の品番と納品書の品名に記載された商品の品番とが一致するとしても,当該納品書に係る取引を裏付ける納品先であるミヤマ社の発注書又は受領書等が提出されていないこと,納品書の金額と請求書の金額が一致しないこと及び請求書の金額と振込金額が一致しないことからすると,ミック社が要証期間内に本件商標が付された商品をミヤマ社に販売したと認めることはできない。
ウ その他の取引について
領収書(控)及び納品書(控)(乙16?乙19)は,本件商標の通常使用権者と認められるミック社の作成に係るものであるところ,当該納品書の品名に記載された商品の品番が商品カタログ(乙1)に掲載された商品の品番と一致する。しかしながら,当該納品書に係る取引を裏付ける納品先であるアースカンパニー社,プラスワン・ショップ,三愛販売の発注書又は受領書等は提出されていないから,ミック社が要証期間内に本件商標が付された商品をアースカンパニー社等に販売したと認めることはできない。
(4)小括
以上のとおり,商品カタログ(乙1,乙2)による本件商標の使用は,サムライ社又は村瀬商会の出所表示に係るものであって,本件商標権者及び通常使用権者の使用とは認められないし,本件商標の通常使用権者と認められるミック社に係る取引は,商品カタログ(乙1)に掲載された商品の品番と納品書の品番とが一致するとしても,いずれもミック社が,要証期間内に商品に本件商標を付したものを譲渡又は引渡ししたものと認めることはできない。
その他,被請求人が提出した証拠によっては,要証期間内に,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中の「結論掲記の指定商品」について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2019-07-30 
結審通知日 2019-08-02 
審決日 2019-08-15 
出願番号 商願2009-34453(T2009-34453) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X25)
最終処分 成立  
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 平澤 芳行
早川 文宏
登録日 2010-02-19 
登録番号 商標登録第5302387号(T5302387) 
商標の称呼 トキシック、トクシック 
代理人 須田 元也 
代理人 井口 和仁 

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