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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1355102 
異議申立番号 異議2018-900266 
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-14 
確定日 2019-09-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6055221号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6055221号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6055221号商標(以下「本件商標」という。)は,「伏水蔵」の文字を標準文字で表してなり,平成28年8月26日に登録出願,第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,にごり酒,濁酒,柳陰,マッコリ,ソジュ,発泡性清酒,発泡性焼酎,発泡性濁酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く。)」を指定商品として,同30年6月12日に登録査定,同年6月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第63号証(枝番号を含む。)を提出した。
申立人が、本件登録異議の申立ての理由において引用する標章(以下「引用標章」という。)は、別掲(1)ないし(4)に示すとおりの「伏水蔵(藏)」の文字等からなるものであり、申立人が「国内初の日本酒や地ビールの製造過程を同時に見学できる醸造施設の名称」として使用しているものである。
(1)商標法第4条第1項第15号の該当性について
(ア)本件商標と引用標章とは同一のものであること、(イ)本件商標の指定商品と申立人の醸造所の名称(引用標章)とは密接な関係があること、(ウ)本件商標の指定商品と申立人の「伏水蔵」とは取引者・需要者を共通にすること、(エ)引用標章は、国内初の清酒と地ビールの醸造過程を見学することができる醸造施設の名称として、本件商標の登録出願の日前から現在に至るまで、取引者、需要者の間に広く認識されていることから、本件商標をその指定商品に使用すれば、取引者、需要者において、その商品が申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあるといえる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号の該当性について
引用標章は、本件商標の登録出願時において、特に、我が国の日本酒やビールの需要者及び取引者の間で、広く認識されるに至っていたものであり、その周知著名性は、現在も継続するものである。
本件商標の登録は,引用標章の使用を妨げ、その出所表示機能を希釈化させる意図をもって出願したと考えられるものであり、本件商標がその指定商品に使用されると、引用標章に化体した信用、名声、顧客吸引力等が毀損されるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあリ、その登録を認めることは、商標法の予定する秩序に反するものとして、到底容認し得ないものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断
(1)引用標章の周知性について
ア 申立人は、平成28年8月25日に、京都市伏見区所在の本社工場内において、「伏水蔵(ふしみぐら)」と称する日本酒と地ビールの製造工程を同時に見学できる施設(以下「申立人施設」という。)を開設した。申立人施設には、その見学のための通路が設けられているほか、申立人の年譜等の展示、伏見の地名の由来となり、申立人の酒造りに欠かせないとされる地下水「伏水」等の映像紹介や、申立人商品の試飲及び購入等に係るレストラン及びショップも設けられている(甲3、甲6?甲19)。
また、申立人施設の入口周辺には、別掲(1)又は(2)に示す引用標章を表示した看板が掲示されている(甲2、甲3、甲6、甲13、甲15、甲25、甲26、甲31、甲33、甲36、甲37、甲41)。
なお、申立人施設に係る広告においては、別掲(3)に示す引用標章が用いられる場合がある(甲3、甲25)。
イ 申立人は、平成28年8月18日に、申立人施設について、その概要や開設日(8月25日)等を発表するとともに、報道機関向けの内覧会を行ったところ、その記事は、同日付けの「産経ニュース」(甲7)、翌8月19日付けの「京都新聞(地元経済)」、「産経新聞」、「日本経済新聞(近畿経済・京滋)」、「日本経済新聞(電子版)」、「毎日新聞」及び「Lmaga.jp」(ウェブニュース)(甲8?甲13)、8月22日付けの「電子版 日刊食品通信」(甲14)、8月24日付け「WebLeaf」及び「YAHOO!JAPANニュース」(甲15、甲16)並びに8月25日付け「朝日新聞DIGITAL」及び「毎日新聞(ウェブ版)」(甲17、甲18)に掲載されたほか、開設日後の9月30日付けの「日本食糧新聞(電子版)」にも掲載された(甲19)。
その後、申立人施設については、平成29年5月末に発売された同施設製造のクラフトビールに係る記事(甲20?甲22)や訪日客による酒造見学に係る平成29年9月5日付けの記事(甲23)において言及されたことが見受けられる。
しかしながら、上記各記事によっては、「伏水蔵」の文字からなる標章が、例えば、日本酒やビールといった商品の商標などとして使用されているといった事実は見いだせない。
ウ 申立人は、平成29年10月及び平成30年10月に、出来立ての地ビールや搾り立ての限定酒の販売等を行う「蔵開き」と称するイベントを開催し、平成29年の第1回においては、約1,500名の来場者があったことがうかがえる(甲4、甲26)。
また、申立人施設は、「黄桜 伏水蔵(きざくら ふしみぐら)」などとして、その施設概要等とともに、平成30年に旅行業者により企画された京都の酒蔵訪問や伏見地域の散策といった旅行案内先の1つとして掲載(甲28、甲29)されたり、平成28年10月頃から平成30年6月頃までに発行された主に関西や京都に関する旅行情報誌において、見学スポットの1つとして掲載(甲30?甲41)されたことが見受けられるが、当該掲載期間における申立人施設の来訪者数(訪日客数を含む。)は明らかでなく、さらに、同期間において、「伏水蔵」の文字からなる標章が、例えば、日本酒やビールといった商品の商標などとして使用されているといった事実も見いだせない。
エ 上記アないしウによれば、平成28年8月25日に開設された申立人施設は、その開設1週間前に申立人によりされた発表、内覧会に基づき、その開設日ないしその直後までの間、新聞やウェブニュース等を通じて報道がされたが、その主な内容は、日本酒と地ビールの製造工程を同時に見学できる施設などといった施設の概要とその開設日の告知にとどまるものである。
また、申立人施設については、その開設後から平成30年6月頃までの間において、申立人からイベント情報が発信されたり、京都や関西での旅行における訪問先の候補の1つなどとして旅行情報誌等で紹介されたりしたことはあるものの、例えば、それらにより、年間を通じてどの程度の来場者があったか等は明らかでない。
さらに、申立人施設が設置されている申立人の本社工場においては、日本酒や地ビールが製造されているところ、それらについての商標などとして、「伏水蔵」の文字からなる標章が使用されているといった事実も見いだせない。
そうすると、申立人提出の甲各号証によっては、引用標章が、本件商標の登録出願(平成28年8月26日)時及び登録査定(平成30年6月12日)時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、我が国の需要者の間で広く認識されていたとはいえず、まして、外国の需要者の間で広く認識されていたとは到底いえない。
(2)本件商標と引用標章との類似性
ア 本件商標は、前記1のとおり、「伏水蔵」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書類に掲載されている既存の語ではなく、また、特定の意味合いを想起させる語等として知られているものではない。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「フクスイクラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
もっとも、本件商標の指定商品には、前記1のとおり、「清酒」等が含まれており、また、申立人提出の証拠によれば、本件商標の構成中の「伏水」の文字は、申立人の本社工場もある京都市の伏見の地名の由来となり、酒造りに用いられるその地の地下水を指すものなどとされていることを考慮すると、本件商標からは、「フシミグラ」の称呼をも生じ得るとはいえる。
してみれば、本件商標は、「フクスイクラ」又は「フシミグラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用標章は、別掲(1)ないし(4)に示すとおり、「伏水藏」の文字又はその文字の上方に小さく表された「ふしみぐら」の文字を配してなるもの、「黄桜株式会社 伏水蔵」の文字を縦書きしてなるもの及び「伏水蔵」の文字を横書きしてなるものであるところ、そのうち、「伏水藏」又は「伏水蔵」の文字については、前者において、「藏」の文字が旧字で表されているものの、いずれも、本件商標と文字構成を同じくするものといえるから、本件商標における場合と同様に、「フクスイクラ」又は「フシミグラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
また、「黄桜株式会社 伏水蔵」の文字を縦書きしてなるものについては、その構成中、「黄桜株式会社」の文字は、申立人の名称を表したと認識され得るものである一方、「伏水蔵」の文字は、本件商標における場合と同様に、特定の観念を生じないものであるから、その構成態様とあいまって、両者の間に密接不可分とみるべき関連性があるとはいえない。
そうすると、上記「黄桜株式会社 伏水蔵」の文字を縦書きしてなるものは、その構成全体から「キザクラカブシキガイシャフクスイクラ」又は「キザクラカブシキガイシャフシミグラ」の称呼を生じるとはいえるものの、特定の観念を生じるとはいえず、また、その構成中、「黄桜株式会社」の文字から「キザクラカブシキガイシャ」の称呼及び「申立人自身」の観念を生じ、「伏水蔵」の文字から「フクスイクラ」又は「フシミグラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
さらに、「伏水蔵」の文字の上方に小さく表された「ふしみぐら」の文字を配してなるものについては、当該「ふしみぐら」の文字が、その下方に位置する「伏水蔵」の文字の読みを特定するものといえるから、その構成文字全体をもって、「フシミグラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 上記ア及びイによれば、本件商標は、引用標章のうち、「伏水藏」若しくは「伏水蔵」の文字からなるもの又は「伏水蔵」の文字の上方に小さく表された「ふしみぐら」の文字を配してなるものとの関係においては、観念上、比較することはできないものの、文字構成を同じくする又は、文字構成上、近似した印象を与えるものであり、かつ、「フクスイクラ」又は「フシミグラ」の称呼を同じくするものであるから、これらを総合勘案すれば、両者の類似性は高いとみるのが相当である。
また、本件商標は、引用標章のうち、「黄桜株式会社 伏水蔵」の文字を縦書きしてなるものとの関係においては、外観上、「伏水蔵」の文字は共通にするものの、申立人の名称を表したと認識され得る「黄桜株式会社」の文字の有無という差異があり、称呼上、「フクスイクラ」又は「フシミグラ」の称呼を生じる点では共通するものの、当該「黄桜株式会社」の文字に相応する称呼又はその文字を含めた構成全体から生じる称呼とでは聴き誤るおそれはなく、観念上、当該「黄桜株式会社」の文字から生じる観念又はその文字を含めた構成全体から生じる観念とでは相紛れるおそれはなく、「伏水蔵」の文字同士では比較することができないから、これらを総合勘案すれば、両者の類似性はさほど高くないとみるのが相当である。
(3)本件商標の指定商品と引用標章の使用に係る申立人施設との関連性
本件商標の指定商品は、前記1のとおり、第33類に属する「清酒」等である一方、引用標章は、上記(1)のとおり、申立人が平成28年8月25日に本社工場内に開設した日本酒と地ビールの製造工程を同時に見学できる施設の名称であり、当該施設内には、申立人商品の試飲及び購入等に係るレストラン及びショップも設けられているが、「伏水蔵」の文字からなる標章が、例えば、日本酒やビールといった商品の商標などとして使用されているといった事実は見いだせない。
そうすると、本件商標の指定商品と引用標章の使用に係る申立人施設とは、前者が「清酒」等の具体的な商品に使用をするものであるのに対し、後者は日本酒等の工場見学用の施設名として使用をするものであるから、それぞれの目的に照らせば、両者の間には、さほど高い関連性があるとはいい難い。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標は、引用標章のうち、特に、「伏水藏」若しくは「伏水蔵」の文字からなるもの又は「伏水蔵」の文字の上方に小さく表された「ふしみぐら」の文字を配してなるものとの関係においては、類似性が高いとはいえるものの、本件商標の指定商品と引用標章の使用に係る申立人施設との間には、さほど高い関連性があるとはいい難い上、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、我が国又は外国における需要者の間で広く認識されていたとはいえないものである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用をしても、これに接する需要者が、引用標章を連想、想起して、その商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように認識することはなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用標章は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、我が国の需要者間はもとより、外国の需要者の間で広く認識されていたとは認められないものである。
そして、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、本件商標権者が、引用標章に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させる目的など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(6)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記(2)アのとおり、「伏水蔵」の文字を標準文字で表してなるものであり、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
また、本件商標は、これをその指定商品に使用することが社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものではなく、さらに、その使用が他の法律によって禁止されているもの、外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって、国際信義に反するものでもない。
加えて、本件商標の登録出願日が申立人施設の開設日の翌日であることは認められるものの、申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(7)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、その登録は、同法第43条の2第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
引用標章

(1)


(色彩については、申立人提出の甲第2号証を参照されたい。)

(2)



上掲写真中の「黄桜株式会社 伏水蔵」の文字を縦書きしてなる標章。

(3)




(4)
「伏水蔵」

異議決定日 2019-08-29 
出願番号 商願2016-93594(T2016-93594) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W33)
T 1 651・ 271- Y (W33)
T 1 651・ 22- Y (W33)
最終処分 維持 
前審関与審査官 小林 正和椎名 実 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 岩崎 安子
小田 昌子
登録日 2018-06-22 
登録番号 商標登録第6055221号(T6055221) 
権利者 宝ホールディングス株式会社
商標の称呼 フシミグラ 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 
代理人 特許業務法人 小笠原特許事務所 
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