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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
管理番号 1355099 
異議申立番号 異議2019-900064 
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-02-18 
確定日 2019-08-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第6104905号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6104905号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6104905号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成30年3月29日に登録出願,第12類「自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として,同年11月15日に登録査定,同年12月7日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において,引用する商標は以下の(1)ないし(7)のとおりであり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第1348446号商標(以下「引用商標1」という。)は,「JAG」の文字を書してなり,2016年(平成28年)9月8日に国際商標登録出願,第12類「Automobiles, sports utility vehicles, racing cars, vans [vehicles],trucks and two-wheeled motorized vehicles; motor vehicle axles; motor vehicle bodies; brake callipers, braking installations, bumper bars, clutches, differential gears, drive gears, drive shafts, engines and motors, gear change selectors, transmissions, transmission shafts, hydraulic cylinders and motors, and carrying bearings, all for motor vehicles; chassis for motor vehicles; manual and power steering apparatus (other than automatic), personal safety restraints, seats, sliding roofs, steering columns, all for motor vehicles; motor vehicle wheel hubs; motor vehicle wheels; deflectors, direction indicators, doors, hatches, upholstery, handles for doors, horns, mirrors (retrovisors), mud-flaps, snow chains, shock absorbers, springs, stabiliser bars, steering wheels, steering linkages, suspensions, torsion bars, windows, window winding mechanisms, windscreen wipers, all for motor vehicles; arm rests for motor vehicles; balance weights for motor vehicle wheels; spare wheels for motor vehicles; shaped covers for steering wheels for motor vehicles; brake pads and brake linings, all for motor vehicles; cabs for trucks and for tractors; caps for motor vehicle fuel tanks; mechanical controls for brakes, clutches, accelerators and for transmissions, mountings for engines, all for motor vehicles; tanks, engine noise shields, fitted protective vehicle covers for automobiles and two-wheeled motorized vehicles, fitted protective motor vehicle seat covers, radiator grilles, stowage boxes and stowage compartments, wheel carriers, all being parts of motor vehicles; tilt mechanisms for motor vehicle cabs; trim panels for motor vehicle bodies; pumps for inflating motor vehicle tyres; sun blinds for motor vehicles; motor vehicles; parts and fittings for motor vehicles; military motor vehicles for transport; automobiles for police; two-wheeled motorized vehicles for police; trailers; parts and fittings for all of the aforesaid goods, none being for engines or motors.」を指定商品及び第37類に属する国際登録原簿に記載の役務を指定役務として平成30年5月25日に設定登録されたものである。
(2)登録第4023925号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成7年5月24日に登録出願,第12類「船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにその部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」を指定商品として,同9年7月4日に設定登録されたものである。
(3)登録第6095153号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲3のとおりの構成よりなり,平成29年10月3日に登録出願,第12類「陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,乳母車,自動車及び二輪自動車,オフロード車,全地形対応車,自動運転車,自律走行式自動車及び自律走行式二輪自動車,電動式乗物,ハイブリッド自動車,ハイブリッドスポーツユーティリティービークル,ハイブリッドバス,ハイブリッドトラック,ハイブリッド乗用車,ハイブリッド路面電車,軍事用船舶・航空機・鉄道車輌・自動車,緊急時の路上における自動車・二輪自動車の修理用装置を装備した自動車,救急車,けん引トラック,動力伝導装置(陸上の乗物用の機械要素),動力伝導用ベルト(陸上の乗物用の機械要素),乗物の座席用アームレスト,自動車のトランク専用の荷物バッグ,自動車の内装用部品,乗物の座席用ヘッドレスト,乗物のヘッドレスト用カバー,自動車のサイドミラー用の保護カバー及びバニティカバー,乗り物用カバー(型に合わせたもの),航空機・鉄道車輌・自動車・二輪自動車・自転車用車輪,合金製ホイール,航空機・自動車・二輪自動車・自転車用リム,ホイール,車輪用ハブキャップ,乗物用スポイラー,自転車の車体専用カバー,船舶・航空機・鉄道車輌・自動車・二輪自動車用座席,乗物用シートベルト,乗物用座席の安全帯,自動車用警音器,乗物用エアバッグ,乗物用盗難防止装置,船舶・航空機・鉄道車輌・自動車用扉,船舶・航空機・鉄道車輌・自動車用窓,乗物用風防ガラス,乗物の窓及び風防ガラス用の窓ガラス,乗物用ルーフウィンドウ,車載式電子情報表示装置・電子制御装置を備えた乗物用センターコンソールボックス,車載式電子情報表示装置・電子制御装置を備えた乗物用のセンターコンソール,三輪車,スクーター,四輪自転車,四輪原動機付自転車,レース用ゴーカート・ベビーカー・手押し車,折畳み式乳母車及び乳母車並びにそれらの部品及び付属品,乗物用の乳児用・幼児用及び子供用の座席,乗物用ブラインド・乗物用ルーフラック・乗物用荷物台及び網棚・乗物用サイクルキャリヤー・乗物用セイルボードキャリヤー・乗物用スキーキャリヤー及び乗物用スノーチェーン,民間用ドローン,軍事用ドローン,潜水艦,ジェットボート,遠隔操作式乗物(おもちゃを除く。)」及び第27類「型に合わせた又はぴったり合うように仕立てられた乗物用フロアマット」を指定商品として,同30年11月2日に設定登録されたものである。
(4)登録第1538826号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲4のとおりの構成よりなり,昭和53年7月10日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同57年9月30日に設定登録,その後,平成16年2月4日に第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(5)登録第2113684号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲5のとおりの構成よりなり,昭和60年8月12日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,平成元年2月21日に設定登録,その後,同21年9月2日に第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,リヤカー」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(6)登録第534732号商標(以下「引用商標6」という。)は,「JAGUAR」の文字を書してなり,昭和33年7月9日に登録出願,第20類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同34年3月19日に設定登録,その後,平成21年8月5日に第7類「自動車(トラクターを除く。)の発動機の部品」及び第12類「自動車(トラクターを除く。)並びにその部品及び附属品,自動車(トラクターを除く。)の発動機(その部品を除く。),自動車(トラクターを除く。)のベアリング,自動車(トラクターを除く。)の緩衝器,自動車(トラクターを除く。)の制動機,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,二輪自動車の機関(その部品を除く。),二輪自動車・自転車のベアリング,二輪自動車・自転車の歯車,二輪自動車・自転車のブレーキ,小児用車,自動車(トラクターを除く。)の車輪,二輪自動車・自転車の車輪,乳母車・人力車・手押し車・荷車・馬車・リヤカーの車輪,自動車(トラクターを除く。)のタイヤ,二輪自動車・自転車のタイヤ,乳母車・人力車・手押し車・荷車・馬車・リヤカーのタイヤ,ペダル,船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(7)登録第2234126号商標(以下「引用商標7」という。)は,「JAGUAR CLUB」の文字を書してなり,昭和62年7月22日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,平成2年5月31日に設定登録,その後,同22年9月15日に第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」とする指定商品の書換登録がされたものである。
以下,引用商標1ないし引用商標7をまとめて「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第27号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,飛翔するネコ科の動物をモチーフにしたと思しき図形を配し,その下方には,やや図案化した文字で表した「JAGTEC」を配した構成よりなり,「JAGTEC」の文字部分は,既成語ではないし,「JAG」と「TEC」の文字を結合した一種の造語のごときであるところ,その意味内容において,馴染まれた熟語的意味合いを有しているなど,密接あるいは自然な関係性は全くなく,その他両者を常に一体のものとして把握されなければならない格別の事情も見当たらず,後半部に位置する「TEC」の文字部分の「E」と思しき文字部分が,一見すれば,一種の幾何図形のようであって,特定の文字を認識できないところから,前半部の「JAG」の文字部分が,後半部に比べて,本件商標に接する需要者等をして,本件商標を識別するための「ジャグ」と称呼するものと考えられ,看者の注意をより強くひき,独立して自他商品等の識別機能を果たす場合も少なくないとみられる。
また,本件商標の指定商品を取り扱う自動車業界においては,「JAG」の文字は,我が国において申立人の日本法人又は自動車ディーラーが長年使用してきた自動車のブランド「JAGUAR」又はその愛称「JAG」を表すものとして周知著名なものになっているという取引の実情にかんがみれば,本件商標の構成にあって,これに接する取引者,需要者をして,「JAG」の文字部分こそが脳裏に印象付けられるのであり,商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。
さらに,本件商標の文字部分の後半部の「TEC」の文字は「科学技術」を表す「TECHNOLOGY」の略語であることを考慮すれば,自他商品の識別機能がないとまではいえないとしても,比較的弱いものといわなければならない。
してみると,本件商標からは,文字部分の全体に照応した「ジャグテック」の称呼のほか,「JAG」の文字に照応した「ジャグ」の称呼をも生じ,申立人の自動車ブランド「JAGUAR」の観念を想起,連想させる。
引用商標は,その全体をもって把握されるのみならず,「JAG」,「JAGUAR」の文字,「リーパー(飛翔するネコ科の動物)図形商標」がそれぞれ着目され,「ジャグ」又は「ジャガー」の称呼とともに,自動車ブランド「JAGUAR」を想起,連想する。
そこで本件商標と引用商標とを比較対照して観察すると,まず,本件商標は「JAG」の文字列を含んでいるとともに,図形部分が,「飛翔するネコ科の動物」をモチーフにした図形であると容易に理解できるところである。そうすると,本件商標と引用商標とは,文字部分と図形部分のそれぞれを個別に比較した場合においては,仔細な点においては多少の相違点があるとしても,他に採択例のない「JAG」の文字で始まる文字列を含んでいる点と,「飛翔するネコ科の動物」をモチーフにした図形との組み合わせであるという点において,外観において引用商標と類似する。
また,観念においても,自動車ブランド「JAGUAR」,同ブランドに関連する商品を想起,連想する点において,観念において同一である。
さらに,本件商標からは「ジャグテック」のほかに「ジャグ」の称呼も生じるものといえ,本件商標の称呼も,少なくとも引用商標1の称呼「ジャグ」とは同一のものとなる。
以上のとおり,本件商標は各引用商標と観念上同一であり,称呼及び外観においても共通点が多いものであるから,本件商標は,引用商標と類似する。また,本件商標の指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」は,引用商標の指定商品と同一のものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は,申立人の業務にかかる商品であることを表す周知著名な商標であり,かかる周知著名性は,申立人の永年の企業活動によって獲得したものである。
かかる点から,本件商標は,申立人の自動車ブランドである「JAGUAR」を想起,連想させ,かつ,「JAGUAR」の愛称でもある「JAG」を含み,さらに,自動車ブランド「JAGUAR」のシンボルデザインである「リーパー(飛翔するネコ科の動物)図形商標」を想起させる図形を含んでなり,また,その指定商品も申立人が周知,著名性を獲得した商品である「自動車」に使用されるものであって,高い類似性を有することに加えて,引用商標の独創性や,本件商標の指定商品が,引用商標が周知著名性を獲得した商品と強い関連性を有するものであり,本件商標をその指定商品に使用した場合には,これに接した取引者及び需要者は,その商品が,あたかも申立人又は経済的,組織的に関連する者が取り扱う業務に係る商品であるかのごとく認識し,その出所について混同を生ずるおそれがある
したがって,本件商標は,申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある商標であるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,英国における自動車製造メーカーであり,1990年にフォードの傘下に入り,2008年にインドのタタ・モーターズの傘下に入った(甲3,甲10)。
(イ)申立人は,「JAGUAR」ブランドの自動車について,1935年の「SS JAGUAR」,1951年の「Jaguar XK120」,1961年の「JAGUAR E TYPE」,2008年の「JAGUAR XF」,2015年の「JAGUAR XE」,「JAGUAR XF」,2016年の「JAGUAR F-PACE」,2018年の「JAGUAR I-PACE」を発売しており,我が国のメディアを通じて紹介されている(甲3,甲5,甲7,甲9,甲12?甲14,甲16)。
(ウ)申立人は,2014年(平成26年)9月17日,テニスプレーヤー錦織圭選手とのパートナーシップ締約に関する発表会を開催した(甲18)。
(エ)「JAGUAR」ブランドの自動車は,カーアクション映画「ワイルドスピード」の8作目において,「ジャガー F TYPE」が登場した(甲19)。
(オ)「JAGUAR」の文字は,英和辞典(甲22)において,「ジャガー,ジャグワー」,「英国の乗用車メーカー(Jaguar Cars Ltd),同社の製の高級乗用車。Jagの愛称でも呼ばれる。」と記載されている。
(カ)リーパー(飛翔するネコ科の動物)図形商標は,少なくとも1938年以来,申立人の自動車のエンブレムとして使用されている(甲24?甲27)。
イ 判断
上記(ア)ないし(カ)において認定した事実によれば,「JAGUAR」の文字は,申立人の業務に係る自動車の車種名として,1935年に「SS JAGUAR」を発売して以来,2018年3月発表の「JAGUAR I-PACE」に至るまで継続して使用され,自動車の愛好家やその取引者の間ではある程度知られていることはうかがえるものの,我が国においてその周知性の度合いを客観的に判断するための資料,すなわち,申立人の業務に係る商品(自動車)を広告宣伝した時期,回数及びその方法,あるいは,当該商品をどの時期に,どの地域で,どの位の台数を販売したものか等,その取引状況を具体的に示す取引書類等の提出はないから,申立人提出の上記証拠によっては,引用商標の使用状況を把握することができず,引用商標の周知性の程度を推し量ることができない。
また,申立人は,引用商標2ないし引用商標5(別掲2ないし別掲5)について,それらの標章からなるエンブレム(リーパー(飛翔するネコ科の動物)図形商標)は,1938年以来,永年にわたり採択されており,取引者,需要者になじみ深いものとなっている旨主張するが,申立人の提出に係る甲各号証においては,上記ア(イ),(カ)に係るウェブサイト(外観上同一視できるもの。甲14,甲17,甲20,甲25ないし甲27)上(2010年,2015年?2018年)に,別掲3ないし別掲5に示す図形と同様の構成からなる標章の表示を見いだすにすぎず,申立人の主張に係る長年にわたるエンブレムの使用の事実は明らかでないから,その主張を認めることはできない。
さらに,申立人は,「JAGUAR」は,「ジャグ(JAG)」の愛称で親しまれているとも主張するが,わずか,英和辞典(甲22)1件にその記載が見受けられるのみで,この証拠に掲載されていることのみをもって,その主張を認めることもできない。
なお,申立人は,テニスプレーヤー錦織圭氏を起用したプロモーション活動(甲18)や外国有名人のJAGUAR車の所有,英国首相の自動車の提供等の実績などを主張して,JAGUARブランドの自動車を購入していない需要者や自動車に強い興味を持っていない需要者においても知られている旨主張しているが,テニスプレーヤーとの広告宣伝の実績があるとしても、その他の実績は主張のみで,仮にこれらが事実であるとしても,外国における事情が,我が国における需要者の認識に直接反映されるものとはいい難く,かかる事情によって上記判断を覆し得るものではない。
その他,申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても,引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間で,申立人の業務に係る商品(自動車)を表示するものとして広く認識されていたと認められないものであり,また,他に「JAGUAR」,「JAG」及び「リーパー(飛翔するネコ科の動物)図形商標」の文字及び図形からなる,又はこれらを含む引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る証左は見いだせない。
したがって,提出された証拠によっては,引用商標が,我が国において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識され,本件商標の登録出願時及び登録査定時に著名性を獲得していたと認めることはできない。
(2) 商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,右端をこぶ状にした赤色の波線を上段に配し,左右二箇所をやや膨らませた黒色の波線を下段に配し,これらを平行に並べた図形(以下「本件図形部分」という。)と,当該図形部分の下部にデザイン化した「JAGTEC」の文字(以下「文字部分」という。)を配した構成よりなるところ,本件図形部分は,我が国において特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないことから,本件図形部分からは,特定の称呼及び観念は生じない一種の幾何図形を表したものと判断するのが相当である。
また,本件図形部分と文字部分とは,視覚上明確に分離して看取されるだけでなく,特別な関連性を有するものではないことからすると,これらは分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであるから,本件図形部分と文字部分とは,それぞれ独立して出所識別機能を果たす部分として認識されるものといえる。
そして,当該文字部分は,その構成中の文字を一部省略させたりして文字全体としてはやや図案化されているものの,「JAGTEC」の文字を書したものと容易に理解されるものと認められ,かつ,その構成文字は,それぞれ同じ書体,同じ大きさ,等間隔で文字部分全体として外観上の構成がまとまりよく表されており,また,これより生ずる「ジャグテック」の称呼も格別冗長ではなく,よどみなく一連に称呼できるものである。
また,「JAGTEC」の文字は辞書等に掲載されていない語であるから,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
そうすると,かかる構成において,当該文字部分は,「JAGTEC」の文字が不可分一体のものとして認識,把握されるとみるのが相当であるから,本件商標は,その構成中の「JAGTEC」の文字部分に相応して,「ジャグテック」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は,「JAG」の文字を横書きしてなるものであるところ,当該文字は,「ジャガー(英国産の高級乗用車)」,「(岩石などの)鋭い角」,「(のこぎりの歯のような)ぎざぎざ」等を意味する語(「新英和中辞典」研究社)ではあるものの,我が国において親しまれた語とはいえないから,これよりは,特定の観念を生じないものである。
そうすると,引用商標1は,その構成文字に相応して「ジャグ」又は「ジェイエージー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(イ)引用商標2及び3は,別掲2及び3のとおりの構成からなるところ,「JAGUAR」の文字の右上及び上段に,左方向に向かって手足を前後に伸ばして飛び跳ねるように前進する四足動物の図形を配してなるから,引用商標2及び3は,「JAGUAR」の文字と相まって,図形部分も線画的に表現されたジャガーを描画したものといえるから,「ジャガー」の称呼を生じ,ネコ科の哺乳動物である「ジャガー」の観念を生じるものである。
(ウ)引用商標4は,別掲4のとおりの構成からなるところ,右方向に向かって手足を前後に伸ばして飛び跳ねるような姿勢をした四足動物及び左方向に向かって手足を前後に伸ばして飛び跳ねるように前進する四足動物の図形を配してなるものであるが,抽象的に描写されており,直ちに特定の動物を想起させるとはいい難いものであるから,これより,格別の称呼及び観念は生じない。
(エ)引用商標5は,別掲5のとおりの構成からなるところ,左方向に向かって手足を前後に伸ばして飛び跳ねるように前進する四足動物の図形を配してなるものであるが,抽象的に描写されており,直ちに特定の動物を想起させるとはいい難いものであるから,これより,格別の称呼及び観念は生じない。
(オ)引用商標6は,「JAGUAR」の文字を横書してなるところ,構成文字に相応して「ジャガー」の称呼を生じ,ネコ科の哺乳動物である「ジャガー」の観念を生じるものである。
(カ)引用商標7は,「JAGUAR CLUB」の文字を横書してなるところ,その構成中,「CLUB」の文字は,その指定商品との関係において,直ちに商品の品質等を表示するために普通に用いられている事実も認められないし,他に引用商標7から上記文字部分を捨象して考察しなければならない理由も見出すことができないから,かかる構成において,引用商標7は,「JAGUAR CLUB」の文字が不可分一体のものとして認識,把握されるとみるのが相当であって,「ジャガークラブ」の一連の称呼のみを生じ,親しまれた既成の観念を有しない一種の造語からなるものとして認識し,把握されるというのが自然である。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1について比較すると,両商標は,「JAG」の文字を同じくするものの,「TEC」の文字の有無において顕著な差異を有するものであり,さらに,図形の有無という差異があることからすれば,外観上,相紛れるおそれはない。
次に,本件商標は,「ジャグテック」の称呼を生じるのに対し,引用商標1は,「ジャグ」又は「ジェイエージー」の称呼を生じるものであるから,称呼全体の語調,語感が相違し,称呼上,相紛れるおそれはない。
さらに,本件商標と引用商標1とは,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。
したがって,本件商標と引用商標1とは,観念は比較できないとしても,外観及び称呼の点からみれば,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(イ)本件商標と引用商標2及び3との類否
本件商標の本件図形部分は,一種の幾何図形を表したものであるのに対し,引用商標2及び3の図形部分は,ジャガーの線図形を表してなるものであり,本件商標の文字部分は「JAGTEC」の文字をデザイン化して表したものであるのに対し,引用商標2及び3の文字部分は「JAGUAR」の文字を表したものであるから,両者は,商標全体としての構成態様において明らかに相違するものであって,異なるものとして認識されるとみるのが相当であるから,その外観上,相紛れるおそれはないものである。
また,本件商標の本件図形部分は,特定の称呼及び観念を生じないが,文字部分からは,「ジャグテック」の称呼が生じ,特定の観念は生じないのに対し,引用商標2及び3は,「ジャガー」の称呼を生じ,ネコ科の哺乳動物である「ジャガー」の観念を生じるものであるから,称呼及び観念において,相紛れるおそれはないものである。
したがって,本件商標と引用商標2及び3とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(ウ)本件商標と引用商標4との類否
本件図形部分は,右端をこぶ状にした赤色の波線を上段に配し,左右二箇所をやや膨らませた黒色の波線を下段に配し,これらを平行に並べた図形であり,引用商標4は,右方向に向かって手足を前後に伸ばして飛び跳ねるような姿勢をした四足動物及び左方向に向かって手足を前後に伸ばして飛び跳ねるように前進する四足動物をそれぞれ横から捉えた線画を描いてなるものものであって,それぞれの構成態様及び描出方法において明らかな差異を有するものであるから,外観において十分区別し得るものであり,相紛れるおそれはない。
また,本件商標の本件図形部分は,特定の称呼及び観念を生じないが,文字部分からは,「ジャグテック」の称呼が生じ,特定の観念は生じないのに対し,引用商標4は,称呼及び観念は生じないものであるから,称呼及び観念において,相紛れるおそれはないものである。
したがって,本件商標と引用商標4とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(エ)本件商標と引用商標5との類否
本件図形部分は,右端をこぶ状にした赤色の波線を上段に配し,左右二箇所をやや膨らませた黒色の波線を下段に配し,これらを平行に並べた図形であり,引用商標5は,左方向に向かって手足を前後に伸ばして飛び跳ねるような姿勢をした四足動物及び左方向に向かって手足を前後に伸ばして飛び跳ねるように前進する四足動物をそれぞれ横から捉えた線画を描いてなるものものであって,それぞれの構成態様及び描出方法において明らかな差異を有するものであるから,外観において十分区別し得るものであり,相紛れるおそれはない。
また,本件商標の本件図形部分は,特定の称呼及び観念を生じないが,文字部分からは,「ジャグテック」の称呼が生じ,特定の観念は生じないのに対し,引用商標5は,称呼及び観念は生じないものであるから,称呼及び観念において,相紛れるおそれはないものである。
したがって,本件商標と引用商標5とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(オ)本件商標と引用商標6及び7との類否
本件商標と引用商標6及び7について比較すると,本件商標の文字部分は,「JAGTEC」の文字を横書きしたものであるのに対し,引用商標6及び7は,それぞれ「JAGUAR」及び「JAGUAR CLUB」の文字を横書きしたものであるから,両商標は,「JAG」の文字を同じくするものの,「TEC」と「UAR」及び「UAR CLUB」の文字の相違において顕著な差異を有するものであり,さらに,図形の有無という差異があることからすれば,外観上,相紛れるおそれはない。
次に,本件商標は,「ジャグテック」の称呼を生じるのに対し,引用商標6及び7は,「ジャガー」及び「ジャガークラブ」の称呼を生じるものであるから,称呼全体の語調,語感が相違し,称呼上,相紛れるおそれはない。
また,引用商標6は,ネコ科の哺乳動物である「ジャガー」の観念を生ずるものであるから,本件商標と観念上,相紛れるおそれはない。
さらに,本件商標と引用商標7とは,いずれも特定の観念を生じないものであって,観念において比較することができないものであるから,観念上,相紛れるおそれはない。
したがって,本件商標と引用商標6及び7とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
エ 小括
上記(ア)ないし(オ)によれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は,上記(1)イのとおり,申立人又は申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願日前より,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められないものである。
また,上記(2)ウのとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標であり,全体として異なる視覚的印象や記憶を与え,看者に全く別異のものとして認識されるものといえるものであって,外観において,「JAG」の文字を共通にする部分を有するとしても,類似性の程度は決して高いとはいえないものである。
さらに,「JAGUAR」の文字は,「ネコ科の哺乳動物であるジャガー」の意味を有し,よく知られた語である「JAGUAR(ジャガー)」であることから,その独創性の程度は低いものである。
そうすると,これらの事情を考慮すれば,商品「自動車」という取引の実情が共通するとしても,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件商標権者が,本件商標をその指定商品について使用をしても,これに接する取引者,需要者が,引用商標又は申立人を連想,想起することはないというべきであり,本件商標は,その取引者,需要者をして,当該商品が申立人又は同人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものとは認められない。
その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は,本件商標の文字部分の後半部に位置する「TEC」の文字部分の「E」と思しき文字部分が,一見すれば,一種の幾何図形のようであって,特定の文字を認識できないところから,前半部の「JAG」の文字部分が,後半部に比べて,本件商標に接する需要者等をして,本件商標を識別するための「ジャグ」と称呼するものと考えられ,看者の注意をより強くひき,独立して自他商品等の識別機能を果たす場合も少なくないとみられる旨主張する。
しかしながら,本件商標の構成中,「T」と「C」の間のデザイン化された部分(以下「デザイン部分」という。)は,これに接する者に何らかの幾何図形を表したと理解されるというよりは,むしろ,その左右にアルファベットの「T」と「C」から,アルファベットと考えるのが自然であり,横線3本から構成されるアルファベットを想起するのは「E」しかないから,デザイン部分は,アルファベットの「E」をデザイン化して表したものと容易に理解,認識されるといえる。
そうすると,本件商標は,その文字部分(視覚上4番目は「T」,6番目は「C」と判読できる。)の1番目をアルファベットの「J」,同じく2番目を「A」,3番目を「G」及び5番目を「E」の語とその形状を同じくし,それぞれ「J」「A」「G」「T」「E」「C」をデザイン化した文字として看取されるものであるから,当該文字部分は,「JAGTEC」をデザイン化して表したものと認められる。
そして,「JAGTEC」の構成文字は,同じ大きさ,同じ書体,等間隔でまとまりよく一体的に表されており,「JAG」,「TEC」のいずれか一方を強調するような構成態様ではなく,外観上「JAG」の文字部分のみが独立して着目されるものではない。
したがって,申立人の主張は採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標(色彩については,原本を参照。)


別掲2 引用商標2


別掲3 引用商標3


別掲4 引用商標4


別掲5 引用商標5


異議決定日 2019-08-20 
出願番号 商願2018-39691(T2018-39691) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W12)
T 1 651・ 262- Y (W12)
T 1 651・ 263- Y (W12)
T 1 651・ 271- Y (W12)
最終処分 維持 
前審関与審査官 浦崎 直之齋藤 健太 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 平澤 芳行
薩摩 純一
登録日 2018-12-07 
登録番号 商標登録第6104905号(T6104905) 
権利者 株式会社東北安全ガラス
商標の称呼 ジャグテック 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
復代理人 右馬埜 大地 
復代理人 石田 昌彦 
代理人 齋藤 博子 
代理人 齋藤 昭彦 
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