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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1355094 |
異議申立番号 | 異議2018-900335 |
総通号数 | 238 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-10-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-11-15 |
確定日 | 2019-08-24 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6075316号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6075316号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6075316号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年5月23日に登録出願、第3類「大豆を原料とする日本製のせっけん類,大豆を原料とする日本製の洗剤,大豆を原料とする日本製の洗濯用洗剤,大豆を原料とする日本製のジーンズ専用洗剤」を指定商品として、同年8月13日に登録査定、同年8月24日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する申立人使用商標及び登録商標は、以下のとおりであって、登録商標は、現に有効に存続しているものである。 (1)申立人がデニム用洗剤(以下「申立人商品」という場合がある。)に使用する商標(甲2、別掲2。以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり (2)登録第5837524号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:NANO COLLOID PREMIUM(標準文字) 登録出願日:平成27年10月5日 設定登録日:平成28年4月8日 指定商品:第3類「せっけん類,洗剤,清掃用洗剤,洗濯用洗剤,ハンドソープ,脱色用せっけん類,洗濯用漂白剤」 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証(枝番を含む。なお、枝番の全てを示すときは、以下、枝番を省略する。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第10号について 本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されている引用商標1に類似する商標である(甲7?甲16)。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、その外観、称呼又は観念等によって、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すれば、引用商標2と出所混同のおそれがある類似の商標である。 (3)商標法第4条第1項第7号について 本件商標の登録出願は、その出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないものである(甲17?甲20)。 4 当審の判断 (1)周知性について ア 申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (ア)甲第2号証は、商品の正面及び背面の写真であって、商品の正面には、引用商標1が付され、背面には、販売元として、申立人の旧名称である「株式会社 OKIHIRO」(以下「OKIHORO社」(申立人)という。)が表示されている。また、該商品の背面に、「DENIM-WASH〔gentle cleanser for denim〕」の表示があることから、該商品は、デニム用洗剤と推測される。 (イ)「NANO COLLOID PREMIUM」と題するウェブサイト(甲9)は、引用商標1の構成文字の一部を題として表示するものであり、社名としてOKIHORO社(申立人)が表示されていることから、申立人のウェブサイトと推測されるものである。 該ウェブサイトには、引用商標1が付された商品であって、上記(ア)と同一と思しきものが掲載されているが、その説明及び値段の記載はない。 なお、該ウェブサイトは、2018年10月25日に出力されたものであって、本件商標の登録査定後の出力である。 (ウ)申立人作成に係る「NANO COLLOID PREMIUM」の出荷データとする表(甲10の1)は、2015年が130ケース(780本)、2016年が107ケース(642本)、2017年が311ケース(1,866本)とするものであるが、上記出荷ケース数について、客観的な裏付け及び市場シェアに関する記載はない。 (エ)甲第11号証ないし甲第14号証は、雑誌における紹介記事であり、引用商標1が付された「ナノコロイドプレミアム デニムウォッシュ」、「NANO COLLOID PREMIUM DENIM WASH」などと称するデニム用洗剤が、「WAREHOUSE」又は「ウエアハウス」の表示とともに掲載されているものである。 なお、(イ)の申立人のウェブサイトの「News」欄において、これら雑誌に記事が掲載された旨の記載がある(甲9の5)ものの、上記記事において、申立人に関する記載は見当たらない。 (オ)甲第15号証及び甲第16号証は、ウェブサイトにおける紹介記事である。甲第15号証は、2017年5月27日付け「AIIRO DENIM WORKS」のウェブサイトであって、「ジーンズを洗おう!『ジーンズ専用洗剤』のおすすめ5選。」、「おすすめのジーンズ専用洗剤」の見出しの下、「『NANO COLLOID PREMIUM DENIM WASH(ウエアハウス)』」として、不鮮明ではあるが、引用商標1が付された商品の写真が掲載されており、「ヴィンテージジーンズを研究し尽くしたウエアハウスが近年、開発したジーンズ専用洗剤。」の記載がある。甲第16号証は、2018年11月28付け「コジカジ」のウェブサイトであって、「デニム(ジーンズ)用の洗剤で見た目キープ!おすすめ商品6選」の見出しの下、「4.『デニムウォッシュプレミアムナノコロイド』」として紹介され、商品の写真が掲載されているが、商品に付された標章は不鮮明で確認できず、かつ、該記事は、本件商標の登録査定後のものである。 (カ)甲第7号証及び甲第8号証は、本件商標権者とOKIHORO社(申立人)との取引書類である。甲第7号証には、「御見積書」(2015/4/22?9/30)として、「トイレコーティングボトルの件」との記載があり、甲第8号証には、「納品書」(’16年4月1日及び’17年3月1日)として、品名欄に「デニムウォッシュMSDS英文」及び「ナノコロイドデニムウォッシュ製作分」の記載があるものの、上記証拠において、引用商標1の使用は確認できない。 (キ)甲第10号証の2及び甲第10号証の3は、OKIHORO社(申立人)及び申立人とウエアハウスとの取引書類である。甲第10号証の2は、Gmailと思われる「ナノコロイドプレミアム/デニムウォッシュに発注について」であって、2016年6月11日から2018年2月17日までの、ウエアハウスからOKIHIRO社(申立人)及び申立人への発注依頼書であり、甲第10号証の3は、「請求書」であって、2015年11月30日から2018年2月28日までの、「ナノコロイド・プレミアム デニムウォッシュ」等についてのOKIHIRO社(申立人)及び申立人からウエアハウスへの請求書である。 イ 上記(ア)ないし(キ)からすれば、申立人が引用商標1を付した申立人商品を販売したことはうかがえるものの、該商品に関する広告の範囲、回数、市場シェア等、その他、引用商標1の著名性を客観的に裏付ける証拠は何ら提出がなく、さらに、該商品の出荷ケース数についての証拠は、客観的な裏付け及び市場シェアに関する記載がない。 また、引用商標1が付されたデニム用洗剤は、雑誌及びウェブサイトにおいて、「WAREHOUSE」又は「ウエアハウス」の表示や、ウエアハウスが開発したものなどとして紹介されているものの、申立人に関する記載は何ら見当たらないから、引用商標1が申立人商品を表示するものとして我が国の需要者に認識されているとはいえない。 その他、引用商標1が、本件商標の登録出願の日及び登録査定日において、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていると認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、引用商標1は、いずれも本件商標の登録出願の日及び登録査定日において、我が国の需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。 なお、申立人が、「ナノコロイドプレミアム/デニムウォッシュ」と称する商品をウエアハウス等と取引、販売していたことはうかがえるものの、申立人と本件商標権者とが、申立人商品の製造管理を行うという取引関係にあったとする申立人の主張を裏付ける証拠は見いだせない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、内側に太い白枠を有する黒塗りの縦長四角形内に、いずれも白抜きで、上部に「DENIM-WASH」及び「PREMIUM」の各文字(他の文字に比して大きく表されている。)を同じ書体で二段に書したものを、また、中央部に「V字状に2つ折りにしたズボンの図形」とその図形の上に弧を描くように書された「NANO-COLLOID」の文字及びその図形の下に「by soy beans」の文字を表したものを、さらに、下部に「-made in japan-」及び「500ml(16-9/10fl oz)」の各文字を二段に書したものをそれぞれ配した構成からなるものである。 そして、上記構成からなる本件商標は、中央部に弧を描くように書された「NANO-COLLOID」の文字が分離して看取されるものであるから、当該文字に相応した「ナノコロイド」の称呼を生じるものであり、また、当該文字は辞書等に掲載が認められないことから、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標2について 引用商標2は、前記2(2)のとおり、「NANO COLLOID PREMIUM」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、同じ書体及び大きさをもって表されており、視覚上、その構成中のいずれかの文字のみが強く印象付けられるとはいい難いものである。また、その構成全体から生じる「ナノコロイドプレミアム」の称呼は、やや冗長ではあるものの、無理なく一連に称呼し得るものであり、当該文字は辞書等に掲載が認められないことから、特定の観念を生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標2との類否について 本件商標と引用商標2とは、それぞれ、上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、その構成全体の比較においては、図形の有無や構成文字において明らかに相違するものであり、本件商標の構成中の「NANO-COLLOID」の文字部分と引用商標2との比較においては、「-」及び「PREMIUM」の各文字の有無に差異を有するから、外観において、相紛れるおそれはない。 また、本件商標から生じる「ナノコロイド」の称呼と引用商標2から生じる「ナノコロイドプレミアム」の称呼とを比較すると、両者は語尾における「プレミアム」の音の有無に差異を有するから、両商標は、称呼において、明瞭に聴別できるものである。 さらに、本件商標及び引用商標2は、いずれも特定の観念を生じないから、比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標2とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において類似しないものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶等を総合してみれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標2とは、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第10号該当性について 本号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されている。 引用商標1は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る「デニム用洗剤」を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は、「本件商標は、引用商標1に化体した需要者の信用を取り込む目的から登録出願された類似の商標であるから、本件商標の登録出願は、取引上の信義則に反するものであり、社会的相当性を欠くものである」旨主張している。 しかしながら、引用商標1は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る「デニム用洗剤」を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標1を連想又は想起させることのないものである。 そうすると、本件商標は、申立人が主張するようないわゆる引用商標1の信用力や顧客吸引力にフリーライドすることを目的に出願したものとはいえず、また、他に申立人の提出する証拠をもってしても、商標権者が本件商標をその指定商品に使用することが社会一般の道徳に反し公正な取引秩序を乱す、あるいは国際信義に反するなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせず、さらに、本件商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、これらの構成自体がきょう激、卑わい、差別的な印象を与える文字からなるものともいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 (本件商標) 別掲2 (引用商標1) |
異議決定日 | 2019-08-16 |
出願番号 | 商願2018-67905(T2018-67905) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W03)
T 1 651・ 261- Y (W03) T 1 651・ 25- Y (W03) T 1 651・ 22- Y (W03) T 1 651・ 263- Y (W03) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 旦 克昌 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
中束 としえ 有水 玲子 |
登録日 | 2018-08-24 |
登録番号 | 商標登録第6075316号(T6075316) |
権利者 | 有限会社ザ・グローブ |
商標の称呼 | デニムウオッシュプレミアム、デニムウオッシュ、デニム、プレミアム、ナノコロイド、バイソイビーンズ、ソイビーンズ |
代理人 | 特許業務法人 小笠原特許事務所 |