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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3043
審判 全部申立て  登録を維持 W3043
管理番号 1355086 
異議申立番号 異議2018-900209 
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-02 
確定日 2019-08-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6043268号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6043268号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6043268号商標(以下「本件商標」という。)は、「スノーモンスター」の文字を標準文字で表してなり、平成29年6月5日に登録出願、第30類「茶,氷,菓子,氷菓,かき氷,かき氷用の氷,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第43類「かき氷の提供,かき氷を主とする飲食物の提供,氷菓子の提供」を指定商品及び指定役務として、同30年1月23日に登録査定され、同年5月18日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の3件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。
1 登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「MONSTER」(標準文字)
登録出願日:平成22年7月8日
設定登録日:平成22年12月24日
指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
2 登録第5393681号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)
登録出願日:平成22年7月8日
設定登録日:平成23年2月25日
指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
3 登録第5844119号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)
登録出願日:平成27年1月30日
設定登録日:平成28年4月22日
指定役務:第35類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務である第30類「全指定商品」及び第43類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第357号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る商標「MONSTER」(以下「申立人商標」という場合がある。)の著名性
(1)申立人による商標の使用
申立人の使用に係る「MONSTER」は、申立人が2002年に創設したエナジードリンク(エネルギー補給飲料)事業のブランド「MONSTER ENERGY」の基軸商標として2002年から現在に至るまでの長年にわたり継続して使用されているものであり、同ブランドのエナジードリンクは、2002年に米国で最初に販売を開始後、日本では2012年5月から販売を開始し、現在では日本を含む世界100以上の国及び地域で販売中である。申立人は2002年以降、現在まで継続して、当該ブランドから発売された数多くの異なる種類のドリンクの個別商品名のすべてに「MONSTER」の文字を採択しており、当該各種ドリンクの缶の正面に「MONSTER」の文字を特徴的なデザインの太字を用いて大きく目立つ態様で表示して使用している。このように「MONSTER」を基調とする商標を用いた申立人のエナジードリンク事業の成功は、経済界でも高い評価を受けている。
現在までに国内発売された「MONSTER」エナジードリンクのシリーズは、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER KHAOS」、「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」、「MONSTER ENERGY M3」、「MONSTER COFFEE」、「MONSTER ENERGY ULTRA」、「MONSTER ENERGY THE DOCTOR」、「MONSTER CUBA LIBRE」である。
(2)広告及び販売促進活動
申立人による当該エナジードリンクの広告及び販売促進活動は、世界の有名アスリート、レーシングチーム、スポーツ競技会、アマチュアスポーツ選手、音楽祭及びミュージシャンに対するスポンサー提供、スポーツ、音楽、コンピュータゲーム(eスポーツ)などの娯楽イベントの開催、米国ラスベガスの公共交通機関モノレールの「モンスター列車」の走行、これらのイベント開催などと関連して頻繁に実施されるエナジードリンク販売キャンペーン、各イベント会場におけるサンプリング(サンプル配布)、2013年2月から2018年3月までの約5年の期間に国内で実施された販売プロモーションキャンペーンの応募当選者に対する様々な「モンスター限定グッズ」(MONSTERの頭文字「M」を表した爪の図柄を付したTシャツ、帽子、キーホルダー、ステッカー、ギター、バッグパック、エナジードリンク、クーラーボックス、冷蔵庫、自動車など総計70万点を超えるアイテム)の提供、「MONSTER」の文字を付したポスター・商品ネームプレート・チラシ・陳列棚・冷蔵庫などの店舗用什器の使用及び展示、遅くとも2013年から現在に至るまで約1?2月の頻度で定期的に発行されている新商品発売・懸賞キャンペーン・イベント開催情報などを掲載したプレスリリース、申立人ウェブサイト並びにソーシャルメディアを通じた情報発信を介して、2002年から現在まで世界規模で継続的に実施されている。これらの広告物及び販売促進物には、「MONSTER」及びその音訳「モンスター」の文字が独立の商品出所識別標識として認識される態様で使用されてきた。
(3)申立人は、2002年から、ブレスレット、ラペルピン、キーホルダー、Tシャツ、スウェットシャツ、帽子、レーシングジャケット、手袋などのアパレル製品、運動用ヘルメット、バッグ類、ステッカー、傘、ビデオゲームなどの「MONSTER」ライセンス商品の製造販売を第三者に使用許諾している。当該ライセンス商品のカタログやオンラインショッピングサイトは、ブランド名及び個別商品名として「MONSTER」、「Monster」の文字を単独で表示し、販売及び宣伝広告している。これらのライセンス商品は、国内の実店舗のほか、オンラインショップや通信販売を介して国内の一般消費者にも販売されている。
(4)需要者におけるこれらのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも平成25年7月から現在に至るまで継続して度々発生している。
「MONSTER」の文字を世界規模での継続的使用に基づき、申立人は、エナジードリンク等の飲料製品及び上記ライセンス商品等について、引用商標をはじめ、「MONSTER」の文字を基調とする様々な構成の商標について日本を含む世界115以上の国及び地域で商標出願し、登録を取得している。
(5)第三者による市場調査報告書やエナジードリンクの市場に関する記述によれば、2013年時点で申立人の「MONSTER」エナジードリンクの国内市場占有率は既に25%を超えており、それ以降も着実に売上を伸ばし、男子若年層を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、女性層にも知名度、人気を拡大している。また、実際の市場で申立人の「MONSTER」エナジードリンクは「モンスター」と呼ばれ、「モンスター」の表記で認知されている。
(6)以上の事柄に照らせば、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務の出所識別標識として国内外の取引者、需要者の間で広く認識されていた。
2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標の構成文字「スノーモンスター」は辞書等に記載されている成語ではないところ、「スノー」は英単語「snow」の音訳「スノー」として、「モンスター」は英単語「monster」の音訳「モンスター」として、一般に親しまれているから、本件商標は、外来語の「スノー(snow)」と「モンスター(monster)」を結合した構成よりなるものとして容易に認識、理解される。
「スノー(snow)」は「雪」を意味するほか、「(白さ・柔らかさなどで)雪に似た[のような]もの」、「雪のように純白な」、「泡雪:卵白を泡立てたもの」、「雪のような白さ、雪白、純白」、「雪白(pure whiteness」、「あわ立て甘味を付け風味を加えたクリームまたは卵白を主にして作った純白の柔らかいデザート」等の意味を有する。
本件商標の指定商品及び指定役務は、茶、氷、菓子及び菓子等の提供として把握されるものであるから、これらの商品及び役務に「スノー」の文字を使用しても、単に当該商品又は役務の提供に供する物が「雪のように純白な」色合いのものであること、「淡雪(卵白を泡立てたもの)」を原材料として使用してなるものであること、「あわ立て甘味を付け風味を加えたクリームまたは卵白を主にして作った純白の柔らかいデザート」であること等の品質、原材料、その他の特徴を表示するものとして認識、理解されるものに止まり、自他商品役務識別標識としての機能を発揮しない。仮に、自他商品役務識別標識として機能し得る場面があるとしても、「モンスター」の文字と比較した場合、その出所識別力が極めて弱い。
したがって、本件商標の構成においては「モンスター」の文字が商品役務の出所識別標識として強く支配的な印象を取引者、需要者に与える。
よって、本件商標は、申立人の使用に係る「MONSTER」と「モンスター」の称呼及び「モンスター」の観念を共通にする類似性の程度が極めて高いものである。
(2)本件商標の指定商品及び指定役務は、ティータイム、おやつ、休憩、食後のデザート等として日常で消費される茶(飲料)、氷、氷菓子、菓子及びその提供役務であるから、申立人のMONSTERエナジードリンクと製造部門、販売場所、原材料、用途、効能、需要者層が一致ないし重複する類似のもの、あるいは関連性が極めて強い商品又は役務というべきである。
(3)本件商標の指定商品及び指定役務の需要者は一般消費者を多く含むものであり、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
(4)上記のとおり、申立人の使用に係る「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、申立人の商品出所識別標識として本件商標の登録出願時及び査定時には取引者、需要者の間で広く認識されていた。
(5)したがって、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人の使用に係る商標「MONSTER」又は申立人会社を直観し、当該商品等が申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。
また、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所識別力希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力が希釈化するおそれが高いものであり、また、本件商標の使用は、申立人がこれらの商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものであり、申立人に経済的及び精神的損害を与える。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人商標の周知性について
(1)申立人の主張及び同人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、米国の飲料メーカーであり、2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し、米国において販売を開始した(甲7)。
イ 申立人のエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)は、我が国においては、2012年5月8日から「Monster Energy」(モンスターエナジー)及び「Monster KHAOS」(モンスターカオス)の販売が開始され(甲7、8)、その後、2013年5月7日から「モンスター アブソリュートリー ゼロ」(甲10)、2014年8月19日から「モンスターエナジー M3」(甲59)、同年10月7日から「モンスターコーヒー」(甲60)、2015年7月21日から「モンスター ウルトラ」(甲101)が販売されている。
ウ アサヒ飲料株式会社のニュースリリースには、申立人商品の発売及び販売と関連して、「アサヒ飲料 国内独占販売権取得!・・・『Monster Energy(モンスターエナジー)缶355ml』『Monster KHAOS(モンスターカオス)缶355ml』・・・アサヒ飲料株式会社(本社 東京、・・・)は・・・エナジードリンク『モンスターエナジー』ブランドの日本国内における独占販売権を取得しました。」(甲7)、「・・・5月8日(火)から新発売したエナジードリンク『モンスターエナジー』ブランドの販売が好調・・・」(甲8)、「・・・『モンスター アブソリュートリー ゼロ 缶355ml』・・・本商品は・・・『モンスターエナジー』ブランドの中でも、・・・2番目に人気のあるカテゴリー、ダイエット系エナジーです。・・・」(甲10)、「2013年度の『モンスターエナジー』ブランドの販売数量は大変好調であり、『モンスターエナジー』『モンスターカオス』『モンスターアブソリュートリーゼロ』の3品で前年比150%となる237万箱を販売し・・・」(甲59)、「『モンスターエナジー』ブランドの販売は大変好調に推移しています。・・・本年は・・・『モンスターエナジーM3』、『モンスターコーヒー』をラインナップに追加・・・」(甲60)、「『モンスターウルトラ』をラインアップに加えることにより、・・・更に『モンスターエナジー』ブランドの強化を図ってまいります。」(甲101)の記載がある。
エ 申立人商品の容器の側面には、以下のような表示がある。
(ア)「Monster Energy(モンスターエナジー)缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字(「O」の文字部分には、それを貫く縦線が描かれている。以下、申立人商品の容器上の表示をいうときは、同じ。)、その下には「ENERGY」の文字が表されている(甲14、17)。
(イ)発売当初の「Monster KHAOS(モンスターカオス)缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「KHAOS」の文字、さらにその下には「ENERGY」及び「+果汁」の文字が表されている(甲14、17)。そして、2016年にリニューアル発売された同商品の容器には、上部に「KHAOS」の文字、その下に図形を配し、下部に「MONSTER」の文字、その下に「ENERGY」の文字が表されている(甲130)。
(ウ)「モンスター アブソリュートリー ゼロ 缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「ENERGY」の文字、さらにその下には「ABSOLUTELY ZERO」の文字が表されている(甲13)。
(エ)「モンスターエナジー M3 ワンウェイびん150ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「ENERGY」の文字、さらにその下には「M-3 SUPER CONCENTRATE」の文字が表されている(甲61)。
(オ)「モンスターコーヒー 缶250g」の容器下部には、「COFFEE」の文字、その下には「MONSTER」の文字、さらにその下には「COFFEE」、「+」及び「ENERGY」の文字が表されている(甲62)。
(カ)「モンスターウルトラ 缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「ENERGY」の文字、さらにその下には「ULTRA」の文字が表されている(甲101)。
オ 申立人商品の販売促進キャンペーン広告中の宣伝文句の中で、申立人商品の写真とともに、「モンスターを飲んで・・・に行こう」、「モンスターを飲んで・・・に会おう」、「モンスターの対象商品を2本ご購入につき・・・をプレゼント」、「モンスターを買って・・・を当てろ」、「モンスターを飲んで・・・が当たる」、「モンスターを買って・・・に行こう」などと表示することがある(甲63、64、79、113、159、162)。
他方、上記と同様のキャンペーン広告中の宣伝文句の中には、「モンスターエナジーを飲んで・・・に行こう」、「モンスターエナジーを買って・・・当てろ」、「モンスターエナジーを買って・・・ゲットしろ」(甲143、236、268)などと表示するものもある。
カ 申立人商品は、我が国において、2012年5月の発売開始以降、2012年末までの約8か月で157万箱販売された(甲9)。
キ 申立人の最高経営責任者の宣誓供述書(甲58)によれば、申立人商品は、我が国において、2012年の販売開始から2015年6月30日までの約3年間で、約2億3,600万缶販売され、その総販売額は1億7,500万米ドル以上、日本円で170億円以上であるとされる。
ク 上記供述書(甲58)によれば、申立人は、申立人商品の広告、マーケティング及び販売促進活動のために、全世界では、2002年以来、30億米ドル以上を支出しているが、「モンスター社のマーケティング戦略は、従来の方法とは異なり、MONSTER商標及び爪の図柄を広めるための広告を、直接テレビやラジオで行わない」とされ、広告などの予算の多くは、「競技選手への支援及び競技大会やその他イベントへのスポンサー活動」に当てている。特に、マーケティングの焦点は、「主要なターゲットとする若年成人層、主に男性が多くの時間を費やすインターネット上で、ネット配信されるイベント」であり、具体的には、ロードレース世界選手権グランプリ(MotoGP)、MotoGPレーシングチーム、F1レーシングチーム、モトクロスチーム、アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)、音楽祭、音楽イベント、ミュージシャン及びビデオゲームチームへのスポンサー活動及び促進活動などである。
ただし、我が国においては、2012年5月及び6月に申立人商品の販売開始を支援するために、主要テレビ局のテレビ広告枠を購入し、視聴者にウェブサイトで更なる情報を得るように促す広告を行い、それに約190万米ドルを支出したとされる。
ケ 2016年3月31日付けのアサヒ飲料株式会社のニュースリリース(甲129)によれば、申立人商品につき、「『モンスターエナジー』ブランドは・・・ブランド力とファッション性で世界中の若者からの圧倒的な支持を背景に、急成長しているエナジードリンクです。」と紹介し、「エナジードリンク市場は、『モンスターエナジー』などの海外ブランドの浸透により、最近では10代、20代が『炭酸の刺激を楽しみたい』や『気分転換』を目的に飲用する傾向」との記載がある。
(2)上記(1)の認定事実によれば、申立人商標の使用と関連して、以下のような実情がうかがえる。
ア 申立人商品は、2012年5月の我が国における発売以降、その販売額は、約3年間(2012年5月?2015年6月)で約170億円以上とされ、その販売期間は、発売から本件商標の登録出願時までは約5年間程度と長期にわたるものではないが、ある程度継続した販売実績があることがうかがえる。
しかし、申立人は、テレビなどの一般的なメディアを通じた広告宣伝をそもそも行わない方針であることもあり、我が国におけるテレビCMは、2012年の発売当初の1か月程度の短期間であって、その費用も約1億5,000万円(190万米ドル;80円/米ドルで計算)程度のものであり、また、継続的に行われているスポンサー活動や販売促進キャンペーンについても、我が国における広告宣伝費は明らかではない。そして、その広告宣伝の多くは、主に比較的若い世代が集まるようなモータースポーツ、格闘技、音楽イベントやミュージシャン、ビデオゲームなどと関連したスポンサー活動やプロモーション活動であり、申立人商品の紹介にあたっても、10代や20代の需要者層における支持が言及されていることからすると、申立人商品の主要な需要者層や、広告などを通じて申立人商品を目にする需要者層の範囲も、自ずと若年層を中心としたものとみるのが相当である。
イ 我が国で販売されている申立人商品の容器の側面には、文字配置のレイアウトにバリエーションはあるものの、概ね「MONSTER」の文字の下に「ENERGY」の文字を、比較的近接して配置している。そして、これら申立人商品の個別名称は、「Monster Energy」(モンスターエナジー)、「Monster KHAOS」(モンスターカオス)、「モンスター アブソリュートリー ゼロ」、「モンスターエナジー M3」、「モンスターコーヒー」及び「モンスター ウルトラ」であるが、これら一連の商品を指称する際は、「モンスターエナジー」ブランドと総称されている。
ウ 申立人商品の販売促進キャンペーン広告などの宣伝文句においては、申立人商品を「モンスター」と略称する場合はあるが、必ずしも統一的に使用されているものではない。
(3)上記(2)において述べた実情を踏まえると、申立人商品の販売期間は、比較的短いものであり、また、申立人商品について、幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じた広告宣伝の実績は乏しい上、その広告宣伝などを通じた商品名の露出も、主に若年層に向けた活動を通じて行われているものであり、さらに、我が国で販売されている清涼飲料の市場における申立人商品のシェアも明らかとはいい難いことから、申立人商品は、本件商標の登録出願日前までには、その取引者や若い世代を中心とした需要者の間では、ある程度認知されていたということができても、幅広い需要者層を有する清涼飲料の分野一般においては、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
そして、申立人商品は、その容器に「MONSTER」及び「ENERGY」の各文字が比較的近接して表示されており、また、当該商品が「モンスターエナジー」ブランドと総称されている実情があることも踏まえると、申立人商品の獲得した上記認知度は、「Monster Energy」(モンスターエナジー)を中心とした「モンスターエナジー」ブランドのエナジードリンクとして、集合的に生じているというべきである。
なお、申立人商標である「MONSTER」の語は、宣伝文句などにおいて申立人又は申立人商品の略称として用いられる場合があるとしても、必ずしも統一的に使用されているものではなく、上記のとおり、「モンスターエナジー」ブランドと総称されることもあるものであり、また、申立人商品の認知度を紹介するインターネット記事情報においても、あくまで「モンスターエナジー」(MONSTERENERGY)(甲311、319)の認知度が紹介されており、申立人商標単独での認知度は示されていない。
そのため、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人商品を表示する商標として、広く認識されているものということはできない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人商標の独創性及び周知性
申立人商標である「MONSTER」は、既成の語であって、独創性が高いものとはいえず、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人商品「エナジードリンク」を表示する商標として、広く認識されているものでもない。
(2)本件商標と申立人商標との類似性
ア 本件商標について
(ア)本件商標は「スノーモンスター」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ及び書体、等間隔で、横一列に表してなるもので、外観においてまとまりのよい印象を与える。
そして、本件商標の構成中「スノー」の文字は「雪」の意味を、「モンスター」の語は「怪物。化物。」の意味を有する外来語(「広辞苑 第六版」岩波書店)としていずれも我が国においても親しまれている語であるから、各語の語義に相応して、全体として「雪の怪物。雪の化物。」程度の意味合いを認識、看取させる。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「スノーモンスター」の称呼を生じ、「雪の怪物。雪の化物。」の観念を生じるものである。
(イ)申立人は、本件商標の構成中「スノー」の語は、その指定商品及び指定役務の品質(質)、原材料、その他の特徴を表示するもので、自他商品識別標識としての機能を発揮しない、又は出所識別力の程度が極めて弱いため、その構成中「モンスター」の文字部分が商品役務の出所識別標識として強く支配的な印象を取引者、需要者に与えるため、本件商標からは、「モンスター」の称呼及び「モンスター」の観念が生じる旨を主張する。
しかしながら、本件商標の構成中「スノー」の文字が「雪」の意味を有するとしても、商品の品質若しくは原材料又は役務の質を表示する語であるとは直ちにいえず、上記(ア)のとおり、本件商標の構成文字は、外観においてまとまりのよい印象を与えるもので、「雪の怪物。雪の化物。」という一体的な意味合いを有する語を表してなると認識されるものだから、その主張は採択できない。
イ 申立人商標について
申立人商標は、「MONSTER」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は「怪物。化物。」(「広辞苑 第六版」岩波書店)の意味を有する平易な英語である。
そうすると、申立人商標は、「モンスター」の称呼及び「怪物。化物。」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と申立人商標との比較
本件商標と申立人商標とは、その外観は、構成文字やその文字種の相違から、異なる語を表してなると認識されるもので、互いに異なる印象を与えるものである。
また、両商標の称呼は、いずれも「モンスター」の称呼を含むとしても、本件商標より生じる称呼は「スノーモンスター」なる一連の称呼であり、構成音全体としては明確に相違するから、互いに異なる印象を与えるものである。
さらに、両商標の観念は、「雪の怪物。雪の化物。」と「怪物。化物。」の観念とでは、互いに想起させる客体や対象の具体性に差異があり、記憶に残る印象において相違するもので、観念において異なる印象を与えるものである。
以上のとおり、本件商標と申立人商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なる印象を与えるものだから、互いに別異の商標というべきである。
(3)本件商標の指定商品及び指定役務と申立人商品との関連性
本件商標の指定商品及び指定役務は、飲料や氷、菓子などの飲食料品の一種であり、又は飲食料品を提供するサービスの一種であるから、申立人商品とは、飲食料品店を通じて一般消費者に向けて流通する商品である点や、飲食を求める一般消費者に向けたサービスである点で、販売部門や流通経路に関連性があり、需要者層も一部重複するものといえる。
(4)出所の混同のおそれについて
申立人商標は、上記(1)のとおり、独創性が高いものとはいえず、また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示する商標として周知、著名とはいえない上、上記(2)のとおり、本件商標とは、別異の商標であり、上記(3)のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務と申立人商品とは、販売部門や流通経路、需要者層においてある程度関連性があるとしても、本件商標の指定商品及び指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が、申立人商標を連想又は想起することは考え難い。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品又は指定役務について使用しても、その取引者及び需要者をして、当該商品又は役務が申立人の業務に係る商品であると誤信させるおそれがある商標ではなく、また、当該商品又は役務が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信させるおそれがある商標ともいえないから、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように、商品又は役務の出所について混同を生じるおそれがある商標ではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記2(2)アのとおりの構成よりなるもので、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
また、本件商標は、これをその指定商品又は指定役務に使用することが社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものではなく、さらに、その使用が他の法律によって禁止されているもの、外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって、国際信義に反するものでもない。
加えて、本件商標の商標登録出願の経緯について、社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、その出願経緯などに公序良俗に反するおそれがあることを具体的に示す証拠の提出もない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえず、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、本件商標の指定商品及び指定役務について、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号のいずれにも該当せず、同項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-08-21 
出願番号 商願2017-75088(T2017-75088) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W3043)
T 1 651・ 22- Y (W3043)
最終処分 維持 
前審関与審査官 菅沼 結香子 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 阿曾 裕樹
小田 昌子
登録日 2018-05-18 
登録番号 商標登録第6043268号(T6043268) 
権利者 藤野 実
商標の称呼 スノーモンスター 
代理人 井上 周一 
代理人 柳田 征史 
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