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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X0916
管理番号 1355045 
審判番号 取消2017-300585 
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-08-08 
確定日 2019-08-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第5496712号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5496712号商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電子出版物」及び第16類「印刷物」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5496712号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成23年11月15日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電子出版物」及び第16類「印刷物」並びに第10類、第41類及び第44類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同24年5月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成29年8月23日である。
なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成26年8月23日ないし同29年8月22日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「電子出版物」及び第16類「印刷物」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)答弁書に対する認否
ア 本件商標は東芝グループのピンクリボン活動の商標であり、被請求人及び被請求人のグループ会社も2003年よりピンクリボンの関連イベントにマンモグラフィの実機やマンモ検診車を展示及び「乳がん検診ガイドBOOK」を配布、「ポスター」を掲示するなどして、参加者への乳がん検診啓発に取り組んできた旨の被請求人の主張に対しては、不知である。
イ 被請求人は、乙第1号証のごとく、「乳がん検診ガイドBOOK」に本件商標を使用している旨の被請求人の主張に対しては、否認する。
商標についての使用(商標法第2条第3項各号のどの号に該当するのか)が明確でなく、本件商標の使用を立証したとはいえない。
ウ 乙第1号証中、「この一冊で安心!乳がん検診ガイドBOOK」等の記載から明らかなとおり、商品は「ガイドブック」であって、当該「ガイドブック」は、本件商標の指定商品中の「印刷物」に含まれる旨の被請求人の主張に対しては、否認する。
商標についての使用が明確でなく、本件商標の使用を立証したとはいえない。
エ 乙第1号証は、「2015年9月発行」の記載から、本件審判請求の登録以前に成立し、使用されたことを明らかに示している旨の被請求人の主張に対しては、当該記載があることは認めるが、商標の使用がされたことは否認する。
商標についての使用が明確でなく、本件商標の使用を立証したとはいえない。
オ 乙第2号証ないし乙第5号証のごとく、「ポスター」に本件商標を使用しており、当該ポスターは、本件商標の指定商品中の「印刷物」の中に含まれる旨の被請求人の主張に対しては、否認する。
商標についての使用が明確でなく、本件商標の使用を立証したとはいえない。
本件商標と使用しているとする商標とは同一ではないので、本件商標の使用を立証したとはいえない。
カ 乙第6号証は、見積書の一部であるが、本件商標を本件審判請求の登録以前に成立し、使用されたことを証明すべく、その写しを提出する旨の被請求人の主張に対しては、否認する。
当該見積書には印がなく、誰がこの書類に対して作成責任を有するのか明確ではない。
当該見積書に記載された「ポスター4種」とは、乙第2号証及び乙第3号証の中のどのポスターなのか不明確である。
そして、実際に取引があったかどうかは、納品書と領収書の証拠資料によっても裏付けられるべきである。
キ 本件商標のライセンシーである東芝メディカルシステムズ株式会社(以下「東芝メディカルシステムズ」という。)は、乙第7号証のごとく、「乳がん検診ガイドブック」に本件商標を使用している旨の被請求人の主張に対しては、否認する。
ライセンシーである東芝メディカルシステムズとあるが、それを裏づける契約書の証拠資料も提出されていない。乙第7号証には、日付が記載されておらず証拠資料として不十分である。
商標についての使用が明確でなく、本件商標の使用を立証したとはいえない。
本件商標と使用しているとする商標とは同一ではないので、本件商標の使用を立証したとはいえない。
ク 乙第8号証は、当該ガイドブックの注文書であるが、本件商標を本件審判請求の登録以前に成立し、使用されたことを証明すべく、その写しを提出する旨の被請求人の主張に対しては、否認する。
注文書とあるが、誰が誰に対して発注(注文をした)したかを示すのか不明瞭であり、印はあるものの会社名役職、何々殿の記載がなく、責任者の特定がなされないので証拠資料として不十分である。
そして、実際に取引があったかどうかは、納品書と領収書の証拠資料によっても裏付けられるべきである。
ケ 本件商標のライセンシーである東芝メディカルシステムズは、乙第9号証のごとく、「ポスター」に本件商標を使用している旨の被請求人の主張に対しては、否認する。
ライセンシーである東芝メディカルシステムズとあるが、それを裏付ける契約書の証拠資料も提出されていない。乙第9号証には、日付が記載されておらず証拠資料として不十分である。
商標についての使用が明確でなく、本件商標の使用を立証したとはいえない。
本件商標と使用しているとする商標とは同一ではないので、本件商標の使用を立証したとはいえない。
コ 乙第10号証は、当該ポスターの注文書であるが、本件商標を本件審判請求の登録以前に成立し、使用されたことを証明すべく、その写しを提出する旨の被請求人の主張に対しては、否認する。
注文書とあるが、誰が誰に対して発注(注文をした)したかを示すのか不明瞭であり、印はあるものの会社名役職、何々様が記載がなく、責任者の特定がなされないので証拠資料として不十分である。
そして、実際に取引があったかどうかは、納品書と領収書の証拠資料によっても裏付けられるべきである。
サ 本件商標のライセンシーである東芝メディカルシステムズは、乙第11号証のごとく、「マンモ検診車」に本件商標を使用している旨の被請求人の主張に対しては、否認する。
乙第11号証には、日付が記載されておらず証拠資料として不十分である。
商標についての使用が明確でなく、本件商標の使用を立証したとはいえない。
本件商標と使用しているとする商標とは同一ではないので、本件商標の使用を立証したとはいえない。
また、ライセンシーであることを裏付ける証拠資料は提出される必要がある。
シ 乙第12号証は、「マンモ検診車」のラッピング、デザイン及び施工に係る注文書であるが、実際に取引があったかどうかは、納品書と領収書の証拠資料によっても裏付けられるべきである。
ス 乙第13号証ないし乙第21号証は、ピンクリボンの関連イベントにおいて本件商標を使用していることを示している旨の被請求人の主張に対しては、否認する。
乙第13号証ないし乙第21号証には、日付が記載されておらず証拠資料として不十分である。
商標についての使用が明確でなく、本件商標の使用を立証したとはいえない。
本件商標と使用しているとする商標とは同一ではないので、本件商標の使用を立証したとはいえない。
セ 被請求人は、本件商標を、請求人が登録取消を求める範囲で使用していることを乙第1号証ないし乙第21号証で立証した旨の被請求人の主張に対しては、争う若しくは否認する。
(2)答弁書に対する請求人の主張
被請求人は、「印刷物」及び「ポスター」は、本件商標の指定商品中の、「印刷物」の中に含まれることは明らかであると主張するのみで、商標についての使用が明確でなく、本件商標の使用を立証したとはいえない。
被請求人が、本件商標を「電子出版物」、「印刷物」の製造、販売に使用していることは立証されておらず、「乳がん検診啓発」の役務は、「乳がん検診啓発に関するイベントの開催」(類似群コード41F06)に該当すると思われ、被請求人が、自社の「乳がん検診啓発に関するイベントの開催」の役務に使用するためのガイドブックを印刷したとしても、「乳がん検診啓発に関するイベントの開催」の宣伝広告のために商標を使用していることになり、「印刷物」の製造、販売のための使用ではないことは明らかである。
ちなみに、被請求人の定款の中には、「印刷物」の製造、販売の記載はされておらず、商標の使用もライセンスもできないことになる(甲2)。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証を提出した。
1 本件商標は、東芝グループのピンクリボン活動の商標である。ピンクリボン活動は、そもそも「乳がんで悲しむ人を一人でも減らしたい」との想いから1980年代にアメリカで始まり、2000年頃から日本でも盛んになってきた。乳がん検診の早期受診を呼びかけるために、行政、市民団体、企業などが独自のピンクリボンマークを掲げ、様々な活動を行っている。
被請求人及び被請求人のグループ会社も2003年よりピンクリボンの関連イベントにマンモグラフィの実機やマンモ検診車を展示及び「乳がん検診ガイドBOOK」を配布、「ポスター」を掲示するなどして、参加者への乳がん検診啓発に取り組んできた。
(1)被請求人は、乙第1号証のごとく、「乳がん検診ガイドBOOK」に本件商標を使用している。
乙第1号証中、「この一冊で安心!乳がん検診ガイドBOOK」等の記載から明らかなとおり、商品は「ガイドブック」であって、当該「ガイドブック」は、本件商標の指定商品中の「印刷物」に含まれる。
そして、乙第1号証は、「2015年9月発行」の記載から、本件審判請求の登録以前に成立し、使用されたことを明らかに示している。
(2)乙第2号証ないし乙第5号証のごとく、「ポスター」に本件商標を使用しており、当該「ポスター」は、本件商標の指定商品中の「印刷物」の中に含まれる。
(3)乙第6号証は、見積書の一部であるが、本件商標を本件審判請求の登録以前に成立し、使用されたことを証明すべく、その写しを提出する。
(4)本件商標のライセンシーである東芝メディカルシステムズは、乙第7号証のごとく、「乳がん検診ガイドブック」に本件商標を使用している。
(5)乙第8号証は、当該ガイドブックの注文書であるが、本件商標を本件審判請求の登録以前に成立し、使用されたことを証明すべく、その写しを提出する。
(6)本件商標のライセンシーである東芝メディカルシステムズは、乙第9号証のごとく、「ポスター」に本件商標を使用している。
(7)乙第10号証は、当該ポスターの注文書であるが、本件商標を本件審判請求の登録以前に成立し、使用されたことを証明すべく、その写しを提出する。
(8)本件商標のライセンシーである東芝メディカルシステムズは、乙第11号証のごとく、「マンモ検診車」に本件商標を使用している。
(9)乙第12号証は、当該マンモ検診車のラッピング、デザイン及び施工に係る注文書であるが、本件商標を本件審判請求の登録以前に成立し、使用されたことを証明すべく、その写しを提出する。
(10)乙第13号証ないし乙第21号証は、ピンクリボンの関連イベントにおいて本件商標を使用していることを示している。
2 以上述べたとおり、被請求人は、本件商標を、請求人が登録取消を求める範囲で使用していることを、乙第1号証ないし乙第21号証で立証した。

第4 手続の経緯
審判長は、口頭審理を行うべく、被請求人及び請求人に対し、「被請求人が提出した証拠によっては、商標法第50条第2項の証明をしたものとは認められない。」旨の暫定的見解や審理事項を示した審理事項通知書を平成31年3月22日付けで送付したところ、被請求人からは、「主張を尽くしており、書面審理を希望する。」旨の平成31年3月26日付け上申書が提出され、請求人からも、「書面審理とすることに同意する。」旨の平成31年4月1日付け上申書が提出されたため、指定した口頭審理期日を職権により取り消し、本件審判についての審理を書面審理によるものとした。

第5 当審の判断
1 被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品中の第16類「印刷物」について、本件商標を要証期間に使用していると主張しているところ、被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、本件商標の使用について、以下のとおりである。
(1)乙第1号証は、商標権者が2015年9月に作成した「乳がん検診ガイドBOOK」であり、1葉目に、桃色に彩色された本件商標(以下「使用標章」という。)が表示されている。
(2)乙第2号証ないし乙第5号証は、商標権者が作成した乳がん検診啓発のためのポスターであるところ、中央には使用標章が表示されているものの、ポスターの作成日等の記載はない。
(3)乙第6号証は、商標権者宛てにA社が作成した2014年9月4日付けの見積書の写しであるところ、「ピンクリボンキャンペーン2014関連制作費」としてポスター4種の印刷が含まれている。
しかしながら、その記載内容からは、当該見積書が、乙第2号証ないし乙第5号証のポスターに対応するものであるかは確認できない。
(4)乙第7号証は、東芝メディカルシステムズが作成した「乳がん検診ガイドブック」であるところ、1葉目には使用商標が表示されているものの、その作成日等の記載はない。
(5)乙第8号証は、B社宛てに東芝メディカルシステムズが作成した注文書の写しであるところ、注文日を2016年9月2日とし納入期限を同月20日とするものであり、カタログ印刷を「PinkRibbon 乳がん検診ガイドブック 2016」という品名で7000部注文したものである。
しかしながら、その記載内容からは、当該注文書が、乙第7号証の「乳がん検診ガイドブック」に対応するものであるかは確認できない。
(6)乙第9号証は、東芝メディカルシステムズが作成した乳がん検診啓発のためのポスターであるところ、中央には使用標章が表示されているものの、ポスターの作成日等の記載はない。
(7)乙第10号証は、C社宛てに東芝メディカルシステムズが作成した注文書の写しであるところ、注文日を2016年9月2日とし納入期限を同月20日とするものであり、カタログ印刷を「PinkRibbon Poster 2016」という品名で300部注文したものである。。
しかしながら、その記載内容からは、当該注文書が、乙第9号証のポスターに対応するものであるかは確認できない。
2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)使用商品について
商標法第50条の適用上、「商品」というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供されるものでなければならないところ、被請求人の主張によれば、「乳がん検診ガイドBOOK(ブック)」(乙1、乙7)及びポスター(乙2?乙5、乙9)(以下、これらをまとめて「本件ガイドブック等」という。)は、商標権者及び東芝メディカルシステムズが、ピンクリボン活動の一環として、その活動に関連するイベントにおいて配布及び掲示するとされるものであるが、提出された証拠からは、要証期間に本件ガイドブック等の販売がされたなど、独立して商取引の対象として流通に供された事実は見いだせない。
そうすると、本件ガイドブック等は、商標法における商品(印刷物)とは認められない。
(2)要証期間の使用について
被請求人は、上記1(3)、(5)、(7)のとおり、見積書や注文書の写しを提出しているところ、それらの記載内容からは、本件ガイドブック等に対応するものであるか否かが明らかでなく、また、本件ガイドブック等の納品に係る証拠は何ら提出されていない。
そうすると、提出された証拠によっては、本件ガイドブック等が要証期間のものであることを証明したということはできない。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に「印刷物」について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていることを証明したということはできない。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第9類「電子出版物」及び第16類「印刷物」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)






審理終結日 2019-06-27 
結審通知日 2019-07-01 
審決日 2019-07-17 
出願番号 商願2011-81953(T2011-81953) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X0916)
最終処分 成立  
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 小松 里美
中束 としえ
登録日 2012-05-25 
登録番号 商標登録第5496712号(T5496712) 
商標の称呼 アイラブミー、ラブミー 
代理人 佐藤 富徳 
代理人 原 拓実 

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