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審決分類 審判 全部無効 商品(役務)の類否 無効としない W32
審判 全部無効 外観類似 無効としない W32
審判 全部無効 観念類似 無効としない W32
審判 全部無効 称呼類似 無効としない W32
管理番号 1355009 
審判番号 無効2018-890010 
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-02-08 
確定日 2019-09-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第5919926号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5919926号商標(以下「本件商標」という。)は、「桑の葉美人青汁」の文字を標準文字で表してなり、平成28年7月13日登録出願、第32類「桑の葉を使用した飲料用青汁,桑の葉を使用した飲料用青汁のもと,桑の葉を使用した青汁を加えた飲料用野菜ジュース,桑の葉を使用した青汁を加えた清涼飲料,桑の葉を使用した青汁を加えた果実飲料,桑の葉を使用した青汁を加えた乳清飲料」を指定商品として、同29年1月5日に登録査定、同年2月3日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第5865457号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成28年1月25日に登録出願、第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」を指定商品として、同年7月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項の規定によりその登録は無効とされるべきである。
2 本件商標を無効とすべき理由
(1)本件商標と引用商標との類否
本件商標は、「桑の葉美人青汁」の文字を標準文字で表したものであるが、本件商標の構成中の「青汁」の部分は、「緑色の生野菜をしぼった汁」(広辞苑第6版)を意味する普通名称であり、本件商標の指定商品において使用される際には、単に指定商品そのものを示す普通名称又は商品の品質、原材料を示すにすぎないのであるから、自他商品の出所識別力に乏しいものである。
そうすると、本件商標は、「桑の葉美人」の文字と商品の普通名称の文字によって構成されるものとして把握され、このような商標に接する取引者、需要者は、前半の「桑の葉美人」に着目することが少なくないことから、本件商標の要部は「桑の葉美人」の文字部分と考えられる。
他方、引用商標は、「桑の葉美人」の文字をややデザイン化して表したものである。
そうすると、本件商標の要部である「桑の葉美人」と引用商標とは、外観上、実質的に同一であり、「クワノハビジン」の称呼が生じる点でも同一である。
そして、両者はどちらも「桑の葉(の成分)を体に取り入れて美人になる。」という程度の意味合いを想起させるものであり、観念においても同一である。
このように、本件商標の要部である「桑の葉美人」と引用商標は、外観が実質的に同一であり、称呼及び観念も同一であることからすると、本件商標及び引用商標をそれぞれ同一又は類似する商品に使用したときは、その商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるというべきである。
(2)指定商品について
本件商標の指定商品「桑の葉を使用した飲料用青汁,桑の葉を使用した飲料用青汁のもと,桑の葉を使用した青汁を加えた飲料用野菜ジュース,桑の葉を使用した青汁を加えた清涼飲料,桑の葉を使用した青汁を加えた果実飲料,桑の葉を使用した青汁を加えた乳清飲料」は、「桑の葉を使用した飲料用青汁のもと」が「桑の葉を使用した飲料用青汁」と実質的には同一であることにかんがみると、引用商標の指定商品「食餌療法用飲料」に全て包含されるということができる。
また、仮に本件商標の指定商品が引用商標の指定商品「食餌療法用飲料」に全て包含されるとまではいえなくても、これらの商品は、健康・美容志向の飲料という点で共通し、健康維持や美容に関心のある者を需要者層とするものであって、これらの商品が、薬局やドラッグストアなど同一店舗で取り扱われることが多く、同一のインターネット通販サイトで取り扱われることも多いという取引の実態にも照らせば、本件商標をその指定商品に使用して販売したときは、需要者が引用商標の指定商品と同一営業主の製造又は販売に係るものと誤認混同を生じるおそれがあるというべきであるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似するものである。
(3)まとめ
本件商標と引用商標とは、互いに類似する商標であり、その指定商品も同一又は類似する商品である。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
本件商標と引用商標とは非類似の商標であり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品も非類似の商品であるから、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。
1 本件商標と引用商標との類否について
(1)本件商標について
請求人は、本件商標について「本件商標の構成中の『青汁』の部分は『緑色の生野菜をしぼった汁』(広辞苑第6版)を意味する普通名称であり、本件商標の指定商品において使用される際には、単に指定商品そのものを示す普通名称又は商品の品質、原材料を示すにすぎないのであるから、自他商品の出所識別力に乏しいものである。そうすると、本件商標は『桑の葉美人』の文字と商品の普通名称の文字によって構成されるものとして把握され、このような商標に接する取引者、需要者は、前半の『桑の葉美人』に着目することが少なくないことから、本件商標の要部は『桑の葉美人』の文字部分と考えられる。」と述べている。
しかしながら、本件商標は「桑の葉美人青汁」の文字を標準文字で表してなり、その構成は、同じ書体、同じ大きさにより等間隔に外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、また、構成全体から生じる「クワノハビジンアオジル」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は全体として特定の意味を有する成語とはいえないものの、本件商標全体から、例えば「桑の葉で美人になれる青汁」程の意味合いを暗示させるものといえるので、本件商標構成中に「青汁」の文字を有するとしても、本件商標全体の構成においては、殊更「青汁」の文字部分を捨象して、あえて「桑の葉美人」の部分に着目して取引に資するというよりは、むしろ本件商標の構成全体が一体不可分の商標として把握し、認識されるとみるのが自然である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「クワノハビジンアオジル」の称呼のみを生じるものというべきである。
(2)引用商標について
引用商標は、やや右に傾いた「桑の葉美」の文字を横書きにし、その右側に二股に分かれた枝状の図形を配し、かかる枝状の図形の左側の枝状部の先端を「桑」の文字の左下まで長く伸ばし、右側の枝状部先端近傍に桑の葉を図案化したものと思われる1枚の葉の図形を表している商標であるから、引用商標は「桑の葉美」の文字部分と1枚の葉が生えた二股の枝状の図形とからなる商標である。
かかる引用商標を構成する文字部分「桑の葉美」は、特定の意味を有する成語とはいえないので、特段の観念は生じないし、「桑の葉美」の文字部分からは「クワノハビ」の称呼が生じるものである。
なお、仮に、引用商標を構成する二股に分かれた枝状部を「人」の文字を図案化したものであるとして、引用商標が「桑の葉美人」の文字部分を有するとしても、「桑の葉美人」は特定の意味を有する成語ではない点に変わりはないので、引用商標からは特段の観念は生じず、「クワノハビジン」の称呼が生じ得るにすぎない。
(3)両商標の類否について
本件商標と引用商標は、上記のとおり、外観においては「人青汁」の文字の有無だけでなく、引用商標には1枚の葉が生えた二股の枝状の特徴的な図形が表されている点においても大きく相違するので、外観上明らかに区別し得るものである。
そして、称呼においては、本件商標から生じる「クワノハビジンアオジル」の称呼と引用商標から生じる「クワノハビ」の称呼は、「ジンアオジル」の音の有無という極めて顕著な差異を有するから、両称呼は明確に聴別し得るものであるし、仮に引用商標から「クワノハビジン」の称呼が生じ得るとしても、本件商標から生じる「クワノハビジンアオジル」の称呼と引用商標から生じ得る「クワノハビジン」の称呼は、「アオジル」の音の有無という顕著な差異を有するから、両称呼は明確に聴別し得るものであることに変わりはない。
さらに、本件商標は「桑の葉で美人になれる青汁」といった意味合いを暗示させる一方、引用商標は特定の観念を生じるものでないから、観念上、両商標が相紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
2 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
(1)請求人は、「本件商標の指定商品『桑の葉を使用した飲料用青汁,桑の葉を使用した飲料用青汁のもと,桑の葉を使用した青汁を加えた飲料用野菜ジュース,桑の葉を使用した青汁を加えた清涼飲料,桑の葉を使用した青汁を加えた果実飲料,桑の葉を使用した青汁を加えた乳清飲料』は、『桑の葉を使用した飲料用青汁のもと』が『桑の葉を使用した飲料用青汁』と実質的には同一であることにかんがみると、引用商標の指定商品『食餌療法用飲料』に全て包含されるということができる。」と述べている。
しかしながら、そもそも「桑の葉を使用した飲料用青汁のもと」は、そのまま飲料として用いるものではない「もと」、すなわち青汁の原料であって、かかる商品を容器へ移し、そこへ水等を注いで溶くことによって飲料とすることができる商品であるから、そのまま飲用するための商品「桑の葉を使用した飲料用青汁」とは実質的に同一ということはできない。
そして、「桑の葉を使用した飲料用青汁のもと」が「桑の葉を使用した飲料用青汁」と実質的に同一ということはできないのであるから、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品「食餌療法用飲料」に全て包含されるとの請求人の主張には根拠がないといわざるを得ない。
さらに、「桑の葉を使用した飲料用青汁のもと」が「桑の葉を使用した飲料用青汁」と実質的に同一であると仮定したとしても、そのことにかんがみると、なぜ本件商標の指定商品が引用商標の指定商品「食餌療法用飲料」に全て包含されるといえるのか、何らの説明も証拠もないので全く不明である。
したがって、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品「食餌療法用飲料」に全て包含されるとの請求人の主張は明らかに失当である。
(2)請求人は、さらに「仮に本件商標の指定商品が引用商標の指定商品『食餌療法用飲料』に全て包含されるとまではいえなくても、これらの商品は、健康・美容志向の飲料という点で共通し、健康維持や美容に関心のある者を需要者層とするものであって、これらの商品が、薬局やドラッグストアなど同一店舗で取り扱われることが多く、同一のインターネット通販サイトで取り扱われることも多いという取引の実態にも照らせば、本件商標をその指定商品に使用して販売したときは、需要者が引用商標の指定商品と同一営業主の製造又は販売に係るものと誤認混同を生じるおそれがあるというべきであるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似するものである。」と述べている。
しかしながら、引用商標の指定商品「食餌療法用飲料」は「食餌療法」に用いられる飲料であるところ、「食餌療法」とは、「広辞苑第六版」の「食事療法」の項目によれば、「食物の品質・成分・分量などを調節して、疾病を治療し、または罹患臓器を庇護しながら全身栄養を全うする法。食餌療法。」を意味するので(乙1)、「食餌療法用飲料」は「食物の品質・成分・分量などを調節して、疾病を治療し、または罹患臓器を庇護しながら全身栄養を全うする法に用いられる飲料」を意味するものと思料する。
また、フリー百科事典Wikipediaの「食事療法」の記事には、「食事療法(しょくじりょうほう、食餌療法とも、medical diet)とは、食事の量やバランス、また成分を調節することによって、病気の療養をはかったり、病気の臓器を守り健康管理をはかること。糖尿病・腎臓病・高血圧などで行われる。」と記載されており、食餌療法用の治療食の例として、高血圧、心不全、慢性腎臓病や肝不全といった浮腫性疾患の治療の際に用いられる「塩分制限食」、腎不全、透析の際に用いられる「カリウム制限食」、甲状腺の疾患の際に用いられる「ヨウ素制限食」、C型肝炎に用いられる「鉄制限食」などが挙げられている(乙2) 。
さらに、例えば東京都病院経営本部のウェブサイトには、「食事療法のすすめ方」を紹介するページが設けられ、「糖尿病の食事」「高血圧症の食事」「脂質異常症(高脂血症)の食事」等、各疾病ごとの食餌療法について詳細に説明されており、疾病ごとの治療目標、食事療法のポイント、注意点、食事療法のための食品交換表、献立例、レシピなどについても詳細に記載されている(乙3)。
このように、「食餌療法」とは、特定の疾病を治療し、罹患臓器を守りつつ、患者の全身栄養状態を改善して健康管理を図ることを目的とする方法であって、疾病の種類によっては必ず行わなければならない治療の基本であるから、引用商標の指定商品「食餌療法用飲料」は、請求人が述べるような誰でも気軽に摂取できる健康・美容志向の飲料ではないし、健康維持や美容に関心のある者を需要者層とする商品でもない。
一方、本件商標の指定商品は「桑の葉を使用した飲料用青汁、桑の葉を使用した飲料用青汁のもと、桑の葉を使用した青汁を加えた飲料用野菜ジュース、桑の葉を使用した青汁を加えた清涼飲料、桑の葉を使用した青汁を加えた果実飲料、桑の葉を使用した青汁を加えた乳清飲料」、すなわち桑の葉を使用した青汁や、桑の葉を使用した青汁を使用した飲料用野菜ジュースや清涼飲料等の各種飲料であるから、例えば喉の渇きを癒すために用いられるのであって、疾病の治療や罹患臓器を庇護しながら健康管理をはかることを目的として用いられる商品ではないから、両商品が健康・美容志向の飲料という点で共通するとの請求人の主張も明らかに失当である。
また、請求人は、これらの商品が、薬局やドラッグストアなど同一店舗で取り扱われることが多く、同一のインターネット通販サイトで取り扱われることも多いという取引の実態があるかのように述べているが、請求人はこのような事実を裏付ける証拠を何ら示していない。
そして、被請求人が調べた限りでは、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品「食餌療法用飲料」とが薬局やドラッグストアなど同一店舗で取り扱われることが多く、同一のインターネット通販サイトで取り扱われるといった事実を発見することはできなかった。
さらに、仮に薬局やドラッグストアなど同一店舗や同一のインターネット通販サイトで取り扱われることがあるとしても、昨今の薬局やドラッグストアでは医薬品だけでなく、飲食料品、化粧品、せっけん類等のいわゆる日用品等といった多種多様な商品が取り扱われていることは一般的に知られるところであるし、インターネットの通販サイトにおいてはさらに多岐に渡る分野の商品が取り扱われていることは周知の事実である。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品「食餌療法用飲料」とが薬局やドラッグストアなど同一店舗で取り扱われることが多く、同一のインターネット通販サイトで取り扱われることも多いという取引の実態があると仮定するとしても、そのことのみをもって本件商標をその指定商品に使用して販売したときに、需要者が引用商標の指定商品と同一営業主の製造又は販売に係るものと誤認混同を生じるおそれがあるとする請求人の主張は根拠がなく、失当であるといわざるを得ない。
(3)上述の本件商標の指定商品と引用商標の指定商品「食餌療法用飲料」との相違から、両商品の生産部門・販売部門については、本件商標の指定商品が一般的な食品等の製造部門で生産・販売されるのに対し、食餌療法用飲料は疾病や罹患臓器の状態等に応じて食物の品質・成分・分量などの細かな調整が可能な専門の部門で生産・販売されるといった相違がある。
また、原材料及び品質についても、本件商標の指定商品が桑の葉を主原料とする自然由来の原材料が主に使用されるのに対し、食餌療法用飲料は、細かく調整等がなされた栄養成分等が主な原材料とされる点でも相違する。
そして、用途についても、本件商標の指定商品が喉の渇きを癒やす等の目的のために用いられるのに対し、食餌療法用飲料は疾病の治療や罹患臓器を庇護しながら全身の栄養・健康管理をはかるために用いられる点で相違する。
さらに、需要者の範囲についても、本件商標の指定商品の需要者は疾病の治療等を目的とするわけではないごく一般的な消費者であるのに対し、食餌療法用飲料の需要者は、疾病や罹患臓器を有する食餌療法が必要な患者に限られる点でも相違する。
そして、本件商標の指定商品と食餌療法用飲料とは完成品と部品の関係にないことも明らかである。
したがって、本件商標の指定商品と食餌療法用飲料とは、生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲の全てにおいて一致せず、完成品と部品との関係にもないのであるから、両商品は非類似の商品であることは明らかである。
3 まとめ
以上に述べたとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品も非類似の商品である。

第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理し、判断する。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「桑の葉美人青汁」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「青汁」の文字は、単に本件商標の指定商品の品質、原材料を表示したものにすぎないから、当該文字部分は、出所識別標識としての機能がないものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中の「青汁」の文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められるから、本件商標の要部は「桑の葉美人」というべきである。
したがって、本件商標は、その構成中の「桑の葉美人」の文字に相応して、「クワノハビジン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものといえる。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、その構成中の、右端部分は、他の文字部分との関係から、葉と思しき図形に図案化した「人」の文字を重ねて表示したものと、理解、認識されるものである。
そうすると、引用商標の文字部分は、その構成全体から、「桑の葉美人
」の文字を表したものと容易に理解されるものである。
したがって、引用商標は、その構成中の「桑の葉美人」の文字に相応して、「クワノハビジン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の構成態様は、上記(1)及び(2)のとおりであるから、両者の全体の外観は相違するものの、本件商標の構成中の「桑の葉美人」の文字と引用商標とは、引用商標において末尾の「人」の文字が図案化されているとしても、構成文字を同じくするから、近似した印象を与えるものである。
また、本件商標と引用商標とは、「クワノハビジン」の称呼を共通にするものである。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないから、観念において比較することはできないものである。
以上からすると、本件商標と引用商標とは、観念においては比較できないとしても、外観において近似し、称呼を共通にするものであるから、これらを総合勘案すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というべきものである。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標及び引用商標の指定商品は、上記第1及び上記第2のとおりである。
そこでまず、請求人は、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品中の「食餌療法用飲料」とは同一又は類似する商品であると主張しているので、この点について検討する。
ア 本件商標の指定商品である「桑の葉を使用した飲料用青汁,桑の葉を使用した飲料用青汁のもと,桑の葉を使用した青汁を加えた飲料用野菜ジュース,桑の葉を使用した青汁を加えた清涼飲料,桑の葉を使用した青汁を加えた果実飲料,桑の葉を使用した青汁を加えた乳清飲料」(以下、これらをまとめて「本件商品」という場合がある。)は、「桑の葉」を原料に使用した飲料であり、「桑の葉」がいわゆる健康食品の原材料として使用されるものであることからすれば、その需要者は、健康に興味のある一般消費者といえ、本件商品は、主として健康食品の製造者により製造されるものであって、通常、スーパーマーケット、コンビニエンスストア及びドラッグストアを含む様々な小売店やインターネット上の通信販売等によって販売されているものである。
イ 引用商標の指定商品中、請求人が本件商品と同一又は類似すると主張している「食餌療法用飲料」(以下「引用商品」という場合がある。)は、食事の成分・量などを調節することによって、糖尿病・腎臓病・高血圧症などの病気の治療を図り、あるいは病気の臓器を守り健康管理を図る食餌療法において用いる飲料であり、その目的からすれば原材料や品質は、対象となる疾病に応じた食餌療法に適したものといえ、その需要者は、専ら、食餌療法を必要とする者であって、主として食餌療法用の食品や飲料を扱う製造者により製造され、通常、処方箋薬局やインターネット上の通信販売で販売されるものである。
ウ 上記ア及びイによれば、本件商品と引用商品とは、需要者については一般消費者の中に食餌療法の対象者が含まれることから、需要者の一部が共通する場合があり、また、販売部門についてはインターネット上の通信販売を介して販売される点において、かつ、原材料については引用商品に桑の葉を原料とすることもあり得る点において、それぞれ共通する場合があるとしても、それらは限定的なものであって、両商品の一般的、恒常的な取引の実情であるという事情は見いだせない。
また、本件商品は一般消費者が健康維持を目的として購入する商品といえ、他方、引用商品は病気の治療を必要とする者が食餌療法を目的として購入する商品であるから、その用途は明らかに異なるものである。
そして、本件商品の製造者は主として健康食品の製造者であり、他方、引用商品の製造者は主として食餌療法用の食品や飲料を扱う製造者であるから、生産部門が一致するとはいえないものである。
そうすると、本件商品と引用商品とは、用途は明らかに異なり、生産部門が一致するとはいえないものであって、請求人が提出した証拠及び両商品の一般的、恒常的な取引の実情において、販売部門、原材料及び品質、需要者の範囲を共通にするというべき事情は見いだせず、また、両者が完成品と部品との関係にないことも明らかである。
これらの事情を総合的に考慮して判断すれば、本件商品と引用商品とは、類似しない商品というのが相当である。
さらに、請求人が提出した証拠によっては、他に、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品のいずれかが類似するというべき事情は見いだせない。
エ 上記のとおりであるから、本件商標と引用商標の指定商品は、それらに同一又は類似の商標を使用しても、同一営業主の製造に係る商品と誤認されるおそれのないものであって、類似しない商品というべきものである。
(5)まとめ
上記(3)のとおり、本件商標と引用商標とは類似する商標であるとしても、上記(4)のとおり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは類似しない商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標)





審理終結日 2019-03-15 
結審通知日 2019-03-19 
審決日 2019-04-12 
出願番号 商願2016-75659(T2016-75659) 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (W32)
T 1 11・ 261- Y (W32)
T 1 11・ 263- Y (W32)
T 1 11・ 264- Y (W32)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 小松 里美
中束 としえ
登録日 2017-02-03 
登録番号 商標登録第5919926号(T5919926) 
商標の称呼 クワノハビジンアオジル、クワノハビジン、ビジンアオジル、ビジン 
代理人 特許業務法人太陽国際特許事務所 
代理人 小林 実 
代理人 風祭 靖之 
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