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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2035
審判 全部申立て  登録を維持 W2035
審判 全部申立て  登録を維持 W2035
審判 全部申立て  登録を維持 W2035
審判 全部申立て  登録を維持 W2035
管理番号 1354348 
異議申立番号 異議2018-900229 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-13 
確定日 2019-08-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6045145号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6045145号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6045145号商標(以下「本件商標」という。)は、「日本デルッチ」の文字を横書きした構成からなり、第20類「家具、マットレス」及び第35類「家具の小売りまたは卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、平成29年7月13日に登録出願され、同30年2月23日に登録査定、同年5月25日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、引用する商標は、次のとおりである。
1 国際登録第1322996号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおり、「DeRUCCI」の文字を横書きしてなり、2016年(平成28年)10月11日に国際商標登録出願、第20類、第24類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成30年7月13日に設定登録されたものである。
2 中国商標登録第18317480号(以下「引用商標2」という。)は、別掲2に示すとおり、「DeRUCCI」の文字を横書きしてなるものである。
3 中国商標登録第18330664号(以下「引用商標3」という。)は、別掲3に示すとおり、「DeRUCCI」の文字を横書きしてなるものである。
以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第19号及び同第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第46号証を提出した。
1 本件商標は、申立人の引用商標1と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品及び役務について使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 本件商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている引用商標2及び引用商標3と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知・著名性について
(1)申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、次のとおりである。
ア 申立人について
(ア)設立及びグループ会社について
申立人は、2004年に中国で設立され、寝具ないし健康睡眠システムの研究開発、生産及び販売の全般に係る寝具の総合製造販売業を行っている。
また、申立人は、中国内外に12のグループ会社及び中国国外に10のグループ会社を有している旨主張しているが、それを裏付ける証拠の提出はない。
(イ)時価総額について
申立人は、2017年の総取引額は、約14億中国元(約231億日本円)であり、2018年の総取引額は、20億ないし30億中国元(約328億日本円?約492億日本円)である旨主張しているが、これらの事実を客観的に示す証拠の提出はない。
(ウ)海外展開について
申立人は、オーストラリア、香港、ドイツ、インド、イタリア、日本、カナダ、アメリカ、マレーシア、アラブ首長国連邦、モロッコ、台湾、韓国、ニュージーランド、フィリピンの各市場に進出している旨主張しているが、これらの事実を客観的に示す証拠の提出はない。
(エ)従業員について
申立人は、中国において、現在2,146人の従業員を擁している旨主張しているが、この事実を客観的に示す証拠の提出はない。
イ 引用商標について
(ア)インターネット上の使用について
申立人は、引用商標2及び引用商標3をメインブランドとして使用している旨主張し、インターネットにおける「DERUCCI」の検索結果を提出した。これらの証拠書類には「DERUCCI」又は「DeRUCCI」の文字の記載が認められるものの、具体的な商標の使用態様を示す記載はない。なお、インターネットにおける検索結果の左上には「2018/11/9」の記載がある(甲6、甲7)。
(イ)中国における周知・著名性について
申立人は、中国での寝具の製造販売業者として最大の事業者に成長し、引用商標やシリーズ化している商標を広く使用した結果、引用商標は、少なくとも中国において周知、著名となっており、具体的には「DERUCCI」は、広東省工商行政管理局より著名商標として認められている旨主張し、甲第8号証を提出した。
この証拠資料には、申立人の名称、「d」及び「R」をモノグラム化した図形と「de RUCCI」の文字の組合せからなる商標、「有効期限 自公元2011年12月21日至2014年12月20日止」等の記載はあるものの、引用商標の表示はなく、また、翻訳文の添付はない。
さらに、申立人は、毎年多額の広告宣伝費(約3億中国元(約49億日本円))を投じた結果、2017年の総取引額は、約14億中国元(約231億日本円)に達し、2018年の総取引額は、20億ないし30億中国元(約328億日本円?492億日本円)に達している旨主張しているが、これらの事実を客観的に示す証拠の提出はない。
ウ 世界各国における商標登録について
申立人は、引用商標について、オーストラリア、スイス、日本、韓国等18カ国を指定国とする国際登録出願を行い、また、韓国、チリ、アメリカ、日本、台湾、香港、サウジアラビアにおいて商標登録を有している(甲9?甲16)。
エ 引用商標の取引、宣伝及び広告について
(ア)申立人は、中国の税関において多大な取引を行っていると主張して、外国語による書面を証拠として提出しているが、翻訳文の添付はない(甲17)。
(イ)申立人は、様々な新聞記事に取り上げられている旨主張し、外国語の新聞記事を提出しているが、提出された記事についての翻訳文の添付はない(甲18)。
(ウ)申立人は、2016年から2018年にかけて、大川家具団地展示場、福岡空港国際旅客ターミナルビル、シドニー空港、メルボルン空港、FACEBOOK、パース空港等において広告の展示等を行っている旨主張し各種書面を証拠として提出しているが、これらのうち、外国語による書面について、翻訳文の添付はない(甲19?甲38)。
(2)判断
上記(1)によれば、申立人は、寝具の製造販売を行う中国の企業として、中国国内外で事業を行い、日本を含めた中国以外の国等において「DeRUCCI」の文字からなる商標登録を得ていることがうかがわれる。
しかしながら、「DERUCCI」の語をインターネット検索エンジンで検索すると、287,000件がヒットし、そのほとんどが申立人の業務に関するウェブページであるとしても、当該インターネットの検索結果は、2018年11月9日出力のものであるから、必ずしも本件商標の登録出願時及び登録査定時の状況を示すものではない上に、これらの証拠資料においては、検索結果のリストのプリントアウトのみであり、各ウェブサイトの内容までは添付されておらず、引用商標の具体的な使用状況は明らかでない。さらに、申立人は、「DERUCCI」の語でインターネット画像検索を行うと引用商標を中心に多数検出される旨主張しているが、そのことを裏付ける証拠はない。
また、証拠として提出された外国語の証拠資料や新聞記事の多くは、翻訳文の添付がなく、その記載内容は不明であることに加え、一部の書面には、「DE RUCCI CO.,LTD」等の記載が見受けられるものの、企業名として所定の欄に記載されているにすぎず、また、新聞情報にしても「DERUCCI」の文字はその記事中に記載されているにとどまるものであって、いずれも、引用商標が「寝具」の製造販売、すなわち、商品「寝具」及び役務「寝具の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「寝具の小売等役務」という。)について使用されていることや、その使用量について、具体的かつ客観的に把握できるとはいい難いものである。
してみれば、我が国又は中国その他の外国における、引用商標を使用した商品「寝具」及び役務「寝具の小売等役務」についての具体的な販売実績や宣伝広告の態様は不明であり、引用商標を使用した広告宣伝の回数や期間及びその方法、我が国及び外国における販売数量等の量的規模(マーケットシェア等)などを客観的かつ具体的に把握することはできない。
さらに、申立人は、「DERUCCI」は、広東省工商行政管理局より著名商標として認められている旨主張し、甲第8号証を提出しているが、そこに表示されている商標は、「d」及び「R」の欧文字をモノグラム化した図形と「de RUCCI」の欧文字の組合せからなるものであり、引用商標とは商標の構成態様が相違する上、翻訳文の添付はなく、この証明書がいかなる内容のものか(当該書面には「有効期限 自公元2011年12月21日至2014年12月20日止」の記載がある。)、どのような事実に基づいて著名性が認定されたか、その認定基準、手続等も明らかでなく、これをもって引用商標が直ちに中国において周知、著名であると認めることはできない。
また、申立人は、引用商標について国際登録出願や世界で商標登録されているとして、登録証の写しを提出しているが、諸外国等においてこれらの登録商標を有することをもって、引用商標の周知、著名性を直接的に裏付けるものとはいえない。
してみれば、引用商標と同一又は同一性が認められる構成態様での「DERUCCI」又は「DeRUCCI」が、申立人の業務に係る商品「寝具」及び役務「寝具の小売等役務」について、我が国又は中国その他の外国で商標として広く使用されていることを示し、我が国又は中国その他の外国において周知、著名であったことを認めるに足りる証拠はないものといわざるを得ず、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、我が国又は中国その他の外国の需要者、取引者の間で、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、広く知られ、周知、著名になっていたということはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「日本デルッチ」の文字からなるところ、各構成文字は、同じ大きさ、同じ書体、同じ間隔で横一連に表した構成からなるものであり、該文字に相応して生じる「ニッポンデルッチ」、「ニホンデルッチ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
してみると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「日本」の文字が我が国の国名を表すものと理解するとしても、その外観上及び称呼上の一体性から、特定の文字部分のみに着目することなく、「日本デルッチ」の構成文字全体をもって、特定の意味を有しない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握するとみるのが相当である。
また、他に本件商標の構成中、「デルッチ」の文字部分のみが殊更に分離、抽出され、独立して取引に資されるというべき特段の事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ニッポンデルッチ」、「ニホンデルッチ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。
(2)引用商標1について
引用商標1は、前記第2のとおり、「DeRUCCI」の文字からなるものであるから、これよりは、「デルッチ」の称呼を生じ、該文字は、辞書等に掲載がない造語といえるから、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標1の類否について
本件商標と引用商標1を比較すると、外観においては、両者は、漢字と片仮名の組み合わせと欧文字のみという文字種の違いから、外観上、判然と区別し得るものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「ニッポンデルッチ」、「ニホンデルッチ」の称呼と引用商標1から生じる「デルッチ」の称呼は、語頭の「ニッポン」、「ニホン」の音の有無という明確な差異を有するものであるから、互いに聴き誤るおそれはないものといえる。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標1は、いずれも特定の観念を有しないものであるから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができないとしても、その外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであり、これらを総合して判断すれば、両者は非類似の商標というべきである。
(4)商標法第4条第1項第11号に関する主張について
ア 申立人は、本件商標を構成する「日本」は、指定商品の産地、販売地もしくは指定役務の提供の場所を表示する部分であるから、本件商標の自他商品・役務の識別機能を発揮しない部分であり、需要者・取引者は、「日本」の部分を省略して商品若しくは役務の取引に当たることがあるから、「ニホンデルッチ」及び「ニッポンデルッチ」の称呼の他に、「デルッチ」の称呼も生ずる旨主張している。
しかしながら、本件商標は、上記2(1)のとおり、構成各文字は外観上まとまりよく一体に表現されていて、しかも、全体をもって称呼してもよどみなく一連に称呼できるものであり、構成中の「日本」の文字部分が我が国の国名を意味する語であるとしても、かかる構成においては、特定の商品及び役務の産地、提供地等を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものともいい難いことから、「日本」の文字部分を分離することなく、各構成文字全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。そして、他に、本件商標から「日本」の部分を省略して商品若しくは役務の取引に当たるとすべき特段の事情もなく、本件商標からは「ニッポンデルッチ」及び「ニホンデルッチ」の称呼のみを生じるものというべきであるから、かかる申立人の主張は採用することができない。
イ 申立人は、引用商標は、その中国近隣地域での著名性及び我が国における一定程度の周知性を勘案すれば、少なくとも本件商標の指定役務を取り扱う分野においては、「中国最大手の寝具の販売製造業である『DERUCCI』」との観念が想起される旨主張している。
しかしながら、引用商標の周知、著名性については、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、我が国又は中国その他の外国の需要者、取引者の間で、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、広く知られ、周知、著名になっていたということはできないから、かかる申立人の主張は採用することができない。
(5)小括
したがって、本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから、商品及び役務の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、我が国又は中国その他外国の需要者の間に広く認識されていた商標とは認められないものであり、また、上記2のとおり、本件商標と引用商標1は、非類似の商標であるから、本件商標と、引用商標1と構成態様を同一にするその他の引用商標についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であるというのが相当である。
そして、申立人が提出した甲各号証等を総合してみても、本件商標の商標権者が、引用商標の名声や信用についてフリーライドする又は稀釈化するなど、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る事実を示す具体的、客観的な証拠を見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、前記第1のとおりの構成からなるものであるところ、それ自体何ら、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるものではなく、申立人提出の証拠からは、本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くなどの具体的事実、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用することが、申立人との関係において、公正な取引秩序を乱し国際信義に反するものとすべき事情も見当たらない。加えて、本件商標は、他の法律によって本件商標の使用が禁止されていると認められるものではないから、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 申立人の主張について
(1)申立人は、「引用商標に係る『DERUCCI』の語は、申立人の創作に係る造語である。その創作の由来は、中国における法人名である『慕思』を連想させるものである。・・・中国語における『慕』は、『思いをはせる』、『憧れる』又は『期待』の意味を有する。そして、海外展開をするに当たり、中国語の『慕思』を連想させる『DERUCCI』を造語として創作したのである。したがって、引用商標はいずれも申立人に独自の造語よりなるものであって、第三者が偶然に同一の文字からなる商標を採用・採択する可能性は限りなく低いと言わざるを得ない」旨主張する。
しかしながら、「DeRUCCI」の文字は、我が国の一般的な辞書等に掲載のない文字であるから、特定の語義を有しない一種の造語として理解、認識されるとしても、上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして、広く認識されていたとは認められないものであり、かつ、上記2のとおり、引用商標は、本件商標とは別異の商標である。
そして、本件商標の使用が引用商標に蓄積された名声や信用にフリーライドし、それらを毀損させるものというべき損害の発生の事実は明らかでないばかりでなく、他に、本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを具体的、客観的に示す証拠の提出はない。
したがって、本件については、上記3及び4のとおり判断するのが相当であって、申立人のかかる主張は採用することができない。
(2)申立人は、以下のアないしウのように述べ、本件商標権者は、外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていないことを奇貨として、代理店契約締結等を強制する目的で出願及び登録したものと推認せざるを得ない旨主張している。
ア 本件商標権者の代表取締役は、申立人の日本法人である「日本デルッチ」の合弁合意にサインをした一人である(甲39、甲40)。本件商標権者は、家具・インテリア関連商品の輸入卸売を業とし(甲41)、平成15年に設立された日本法人であり(甲42)、本件商標の登録出願日前に、申立人から、「DERUCCIブランド」の商品を購入していた(甲43)。本件商標権者は、代理店等を介して、申立人から「DERUCCIブランド」の商品を仕入れており、本件商標の登録出願日前から申立人と一定の商取引関係にあった上、「DERUCCIブランド」の商品を十分に認識していた。
イ 本件商標権者の代表取締役と、本件商標の出願人であった「日本デルッチ株式会社」の代表取締役とは、夫婦関係である。本件商標権者の代表取締役は、本件商標の登録査定後であって設定登録前に、本件商標の出願人であった「日本デルッチ株式会社」の代表取締役印を使用して、申立人の許可なく、出願人名義変更届を提出して、本件商標を設定登録させたと考えられる。本件商標権者と本件商標の出願人であった「日本デルッチ株式会社」とが同じ住所であることから(甲42)、これらの会社が関連会社であることは容易に想像ができ、代表取締役印のやりとりが容易であることも想像ができる。
ウ 本件商標権者は、以前にも申立人に告知することなく、申立人が使用している商標を商標登録出願し、商標登録した後(甲44)、申立人に対して、高額で譲渡をした経緯がある(甲45、甲46)。
しかしながら、引用商標は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は中国その他の外国の需要者、取引者の間で、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、広く知られ、周知、著名になっていたということはできないことから、引用商標が「外国で周知な他人の商標」であるという申立人の主張は、採用することはできない。
また、上記(2)ウで申立人が主張する経緯については、特許庁に提出された「日本デルッチ株式会社」から本件商標権者への商標登録出願の譲渡証(甲44)、「日本デルッチ株式会社」、本件商標権者の代表取締役とされる個人及び申立人との3者間の契約書(甲45、甲46)の存在はうかがわれるものの、本件商標権者が申立人に告知することなく、申立人が使用している商標を無断で商標登録出願し、商標登録した後、申立人に対して高額で譲渡をした経緯を具体的かつ客観的に示す証拠はなく、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底認容し得ないような場合に該当すると認めるに足りる具体的事実を見いだすことはできない。
したがって、申立人のかかる主張は採用することができない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第19号及び同第7号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標1)


別掲2(引用商標2)


別掲3(引用商標3)



異議決定日 2019-07-31 
出願番号 商願2017-99925(T2017-99925) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W2035)
T 1 651・ 262- Y (W2035)
T 1 651・ 22- Y (W2035)
T 1 651・ 261- Y (W2035)
T 1 651・ 263- Y (W2035)
最終処分 維持  
前審関与審査官 清棲 保美 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
冨澤 美加
登録日 2018-05-25 
登録番号 商標登録第6045145号(T6045145) 
権利者 株式会社大地コーポレーション
商標の称呼 ニッポンデルッチ、デルッチ 
代理人 TRY国際特許業務法人 

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