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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W02
審判 全部申立て  登録を維持 W02
審判 全部申立て  登録を維持 W02
審判 全部申立て  登録を維持 W02
審判 全部申立て  登録を維持 W02
管理番号 1354332 
異議申立番号 異議2018-900145 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-06-07 
確定日 2019-07-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6035923号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6035923号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6035923号商標(以下「本件商標」という。)は、「インク堂」の文字を標準文字で表してなり、平成29年7月24日に登録出願、第2類「トナーカートリッジ(充てんされたもの),プリンター用インクカートリッジ(中味が詰められたもの)」を指定商品として、同30年3月16日に登録査定、同年4月13日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由として引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「インク堂」の文字を横書きしてなり、申立人が、「互換トナーカートリッジ、プリンター用互換インクカートリッジ等」(以下「インクカートリッジ等」という。)の販売に使用しているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第3条第1項柱書並びに同法第4条第1項第10号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項柱書該当性について
商標権者は、既にインクカートリッジ等を販売する商標として「VIST ARKCOLOR」、店舗名として「モノモノショップ」を使用しており、本件商標を使用していない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、申立人の商標(ブランド名)として広く認識されている引用商標と同一名称であり、申立人が販売する商品を指定商品としている。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
仮に、商標権者が、同業他社である申立人の引用商標と同一名称でインクカートリッジ等を販売した場合、申立人の業務に係る商品と出所の混同が生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
商標権者は、申立人を含む複数の同業社がAmazon.co.jpにおいて作成した商品ページに「相乗り」して、インクカートリッジ等を販売している。
このような販売状況下において、商標権者は、上記「相乗り」している商品ページの他社ブランド名と同一名称で、複数の商標を登録出願して、登録商標を得ている。
これらのことから、本件商標の取得目的は、当該「相乗り」している商品ページを独占するなどして、同業他社にそのブランド名を使わせなくさせるなどの損害を加える不正の目的と強く推認される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標の出願は、同業他社である申立人の引用商標を剽窃したものであり「悪意の出願」と評価することが可能であって、このような出願は、取引の競争秩序を乱し、社会の一般的道徳観念に反する。
してみれば、本件商標は、公正な競争秩序を害する商標であり、公序良俗を害するおそれのある商標であるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項柱書該当性について
商標法第3条第1項柱書は、商標登録要件として「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」であることを規定するところ、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは、少なくとも登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標、あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(平成24(行ケ)第10019号)。
そうすると、商標権者が、本件商標の登録査定時において、本件商標を自己の業務に係る指定商品について現に使用をしていなくとも、将来においてその使用をする意思があれば、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するといえるところ、申立人が提出する全証拠によっても、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、将来、自己の業務に係る指定商品に本件商標を使用する意思を有していたことを否定するに足りる事実は見いだせない。
なお、申立人は、商標権者が複数の同業他社が使用する商号ないし商標と同一又は酷似する名称で登録商標を得ているにもかかわらず使用していないこと、商標権者が「モノモノショップ」の店舗名の下、「VIST ARKCOLOR」の商標でインクカートリッジ等を販売しており(甲19、甲20)、本件商標で商品を販売しておらず、また、インターネットショッピングモールで、既に登録されている申立人の商標名(インク堂)と同一名称でインクカートリッジ等を販売又は商品ページの作成をすることが、利用規約上できないことなどを主張するが、申立人の提出に係る証拠によれば、商標権者は、本件の指定商品に係る「互換トナーカートリッジ」を販売しており、商品の販売がインターネットのショッピングモールのみに限られるものでもないことからすれば、上記主張及び証拠によっては、本件商標の登録査定時はもとより、近い将来において、商標権者が本件商標をその指定商品について使用する意思がないことまでを具体的に裏付けるものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないということができない。
(2)引用商標の周知著名性について
ア 申立人は、平成24年1月に設立された会社であり、インクカートリッジ等について、「インク堂」という店舗名又はブランド名(商標)を使用して、楽天市場(以下「楽天」という。)には平成24年2月、Amazon.co.jp(以下「アマゾン」という。)には同年7月、Yahoo!ショッピングストア(以下「ヤフー」という。)には同25年11月に出店を開始しており、また、2012年(平成24年)6月頃に、アマゾンにおいて、上記商品に係る商品ページを作成して、「インク堂」というブランド名で新規出品(販売)している(甲2?甲7、甲9、甲10)。
イ 申立人は、西日本新聞(2012年7月17日付)にインクカートリッジ等について、「インク堂」と表示して広告をしている(甲12)。
ウ 申立人は、楽天、ヤフーにおける「インク堂」の売上額、アクセス件数(ページビュー数)及びインターネットモールショッピングにおけるレビュー(評価)数をもって、引用商標が広く知られていると主張している(甲13?甲16)が、申立人の業務に係るインクカートリッジ等に関する市場規模及び市場シェアが不明であるから、その売上高、アクセス数及びレビュー件数をもって、周知性を推し量ることができない。
エ 上記アないしウからすれば、引用商標は、我が国において、平成24年2月から申立人の業務に係るインクカートリッジ等の販売に使用され、当該商品のインターネット上での販売が継続的に行われていることが認められる。
しかしながら、引用商標に関する新聞広告は、わずか1件にすぎないものであり、また、申立人の業務に係るインクカートリッジ等に関する市場規模及び市場シェアも不明であるから、その周知性を推し量ることができない。
その他、引用商標の周知性を客観的に判断するための資料、すなわち、広告宣伝した期間、回数及びその方法等を具体的に示す証拠はない。
そうすると、申立人提出の甲各号証によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、我が国の需要者の間で広く認識されていたとはいえず、まして、外国の需要者の間で広く認識されていたとは到底いえない。
(3)商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号該当性について
上記(2)によれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、我が国の需要者の間で広く認識されていたとは認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また、引用商標が、上記のように広く認識されていたと認められない以上、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、引用商標を連想、想起して、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように認識することはなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
さらに、引用商標は、上記(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、我が国の需要者間はもとより、外国の需要者の間で広く認識されていたとは認められないものである。
そして、申立人が提出した証拠をみても、商標権者が、引用商標の名声と信用にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る事実を見いだすことができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができないとしているところ、商標法は、出願人からされた商標登録出願について、当該商標について特定の権利利益を有する者との関係ごとに、類型を分けて、商標登録を受けることができない要件を、同法第4条各号で個別的具体的に定めているから、このことに照らすならば、当該出願が商標登録を受けるべきでない者からされたか否かについては、特段の事情がない限り、当該各号の該当性の有無によって判断されるべきであるといえる。
また、当該出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨や、国際調和や不正目的に基づく商標出願を排除する目的で設けられた商標法第4条第1項第19号の趣旨に照らすならば、それらの趣旨から離れて、同法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。
そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(平成19年(行ケ)第10391号)。
これを本件についてみると、以下のとおりである。
申立人は、平成24年6月に、アマゾンにおいて、インクカートリッジ等に商品登録し、「インク堂」又は「KAND」の商標名(ブランド名)でこれを販売していたが(甲10)、商標権者は、既に作成されている商品ページに出店する「相乗り」という出品方法を行っており、商標権者は、同業他者として、「インク堂」を認識又は認識し得る状態にあったといえること及び申立人の商号「KAND」についても、本件の登録出願日の2日後に登録出願しており、引用商標及び申立人の商号を認識し、本件商標を登録出願したと強く推認され、また、商標権者は、平成29年6月から7月までの2か月間において、本件商標及び「KAND」の他にも、同業他社の複数の商号又は商標を選択して意図的に登録出願をしていると考えられることから、申立人の商号に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る、あるいは、申立人による商号の使用を排除する目的をもって、本件商標の登録出願を行い、登録を受けたものであり、商標法の目的に反するものといえ、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反するものである旨主張している。
しかしながら、申立人は、平成24年1月に会社を設立して以降、例えば引用商標について、自ら速やかに登録出願し、商標権の権利を取得する機会は十分にあったにも関わらず、出願を怠っており、また、契約等によって、他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにも関わらず、適切な措置をしなかったものであって、そのような商標に係る権利者と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない。
なお、申立人は、商標権者が本件以外に複数の登録出願を行い商標権を得ていることなども主張しているが、申立人の提出した証拠によっては、これらの出願に関して、1社が同一の表示をもって、アマゾンで商品(互換インクカートリッジ等)を上記商標の登録出願日前から販売していることは確認できるものの(甲25の1)、甲第25号証の2及び甲第26号証のリストに記載されている上記商標権者に係る商標と同一の表示からなるものの使用開始時期や使用者等は明らかではなく、他に、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実も見いだせない。
そうすると、本件商標について、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあるということはできないし、公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということもできない。
もとより、「インク堂」の文字からなる本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、それを指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。
また、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではないし、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は国際信義に反するものでもない。
その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる証拠もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書並びに同法第4条第1項第10号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
なお、申立人は、本件の主張内容及び証拠が多いことを理由に口頭審理を求めているが、本件の申立理由は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号であって、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)が提出されているところ、登録異議の申立てについての審理は書面審理を原則としており
(商標法第43条の6)、かつ、本件は、申立人の主張及び提出された証拠により、上記のとおり判断し得るので、本件の審理は書面審理によるものとした。
また、申立人は、別件「KAND」(登録第6037028号商標)に対する異議申立との併合審理を求めているが、登録異議の申立てについての併合は、同一の商標権に係るものであり(商標法第43条の10)、本件商標と上記登録商標とは、商標権を同一にするものではないから、申立人の上記主張は採用することができない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-07-19 
出願番号 商願2017-98174(T2017-98174) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W02)
T 1 651・ 22- Y (W02)
T 1 651・ 271- Y (W02)
T 1 651・ 25- Y (W02)
T 1 651・ 18- Y (W02)
最終処分 維持 
前審関与審査官 大橋 良成 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 小松 里美
中束 としえ
登録日 2018-04-13 
登録番号 商標登録第6035923号(T6035923) 
権利者 トラアークス株式会社
商標の称呼 インクドー 
代理人 岩佐 祐希 
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