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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1354328 
異議申立番号 異議2018-900371 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-12-07 
確定日 2019-07-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第6080021号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6080021号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6080021号商標(以下「本件商標」という。)は,「i-クラウド」の文字を標準文字で表してなり,平成29年4月21日に登録出願,第9類「計算器,距離記録装置,方位儀(測量機械),気圧計,体重計,計算機,コンパレーター,測定用コンパス,カウンター,デジタル式気象観測装置,方位コンパス,流量計,傾斜計,赤外線検出器,測定装置,電気式測定機械器具,気象観測用具,精密測定装置,圧力計,圧力測定装置,鉄道用保安機械器具,速度計,計量用機器,計量機」を指定商品として,同30年7月17日に登録査定され,同年9月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下,それらをまとめて「引用商標」という。),いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5302656号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 iCLOUD(標準文字)
指定商品及び指定役務 第9類,第35類,第38類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成21年9月30日
設定登録日 平成22年2月19日
(2)登録第5498440号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 iCloud
指定商品及び指定役務 第9類,第28類,第35類,第37類ないし第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成23年5月31日
優先権主張 2010年(平成22年)12月7日 ジャマイカ
設定登録日 平成24年6月1日
(3)国際登録第1216753号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲のとおり
指定商品及び指定役務 第9類,第39類,第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務
国際商標登録出願日 2013年(平成25年)7月8日
優先権主張 2013年(平成25年)1月8日 Jamaica
設定登録日 平成27年9月4日
(4)登録第5814812号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 ICLOUD
指定商品 第14類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成27年9月3日
優先権主張 2015年(平成27年)3月27日 ジャマイカ
設定登録日 平成27年12月18日
(5)登録第5890807号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 ICLOUD(標準文字)
指定商品 第18類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成28年3月15日
優先権主張 2015年(平成27年)9月25日 域内市場における調和のための官庁(意匠及び商標)
設定登録日 平成28年10月21日
(6)登録第5896101号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様 ICLOUD
指定商品及び指定役務 第10類,第12類及び第36類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成28年2月26日
優先権主張 2015年(平成27年)9月1日 ジャマイカ
設定登録日 平成28年11月11日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第15号,同項第19号及び同項第7号に該当し,商標登録を受けることができないものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人について
米国カリフォルニア州に本社を置く申立人は,パーソナルコンピュータを市販化した最初の会社であり,その存在は日本を含む世界中で知られていることは周知の事実である。アメリカの経済誌として広く知られている「フォーブス」雑誌が毎年発表する「世界の最も価値あるブランドランキング」では,申立人は2011年(平成23年)から8年連続で首位の座を維持している(甲3)。
(2)申立人の商標「iCloud」の周知・著名性について
申立人が提供する「iCloud」は,メールや写真,メモ,ファイル,バックアップデータ,などの個人が所有するデータの保存・共有・復元等を可能とするクラウドコンピューティングサービスの名称であり,申立人の全ての製品に組み込まれている(甲5)。そして,製品の初期設定時に設定を行うことで以後自動的に動作し,データのクラウドサーバヘの保存を行う。
申立人の「iCloud」サービスを利用するにはApple ID(申立人のサービスにサインインする時に使うアカウント)が必要であるところ,申立人のコンピュータ機器を所有する者はほぼ例外なく取得するもので(甲6),同IDを取得することで,申立人が提供する「iCloud」の他,「AppStore」,「AppleMusic」,「iTunes」等のサービスを受けることが可能となる。このApple IDの設定において,製品利用者は「iCloud」サービスを目にする(甲6,甲7)。
つまり,申立人の製品を使用する者は全てこの「iCloud」の存在を認識している。そして,申立人の製品は日本において広く利用されていることから,「iCloud」は広く認識されているといえる。以下,申立人の製品の普及度について紹介する。
ア 「iPhone」スマートフォン
「iPhone」スマートフォンは,申立人が製造販売する唯一のスマートフォンであり,申立人の主力製品である(甲8)。当該製品「iPhone」は,申立人が2007年(平成19年)に発表したものであって(甲9),世界的なヒット商品であるが,特に日本のスマホ市場は当該製品の人気が突出している(甲10)。スマートフォンのメーカー別シェアを見ると,2017年(平成29年)には申立人が2012年(平成24年)から6年連続の首位を獲得している(甲11)。このような事実から,「iPhone」製品が著名であることは明らかである。このことは特許庁においても認識されている(甲12)。
2016年(平成28年)のスマートフォンのメーカー別シェアにおいては,申立人は54.1%のシェアを占めている(甲13)。
総務省の情報通信白書(平成28年度)によれば,2015年(平成27年)末のインターネット利用者数は1億46万人で人口普及率は83.0%であり,インターネット利用端末として54.3%の人がスマートフォンを使用している(甲15)。そうすると,2016年(平成28年)のスマートフォンのメーカー別シェア(甲13)から考慮すると,約2,951万人(インターネット利用者数の約3割)が申立人の「iPhone」を使用しているといえる。これは,日本人の4人に1人が申立人の「iPhone」を使用し,「iCloud」を認識し使用しているといえる。
イ 「iPad」タブレットコンピュータ
申立人のタブレットコンピュータ「iPad」は「iPhone」同様に日本を含む世界中で広く普及されている。
総務省の情報通信白書(平成25年度)によれば,2013年(平成25年)の申立人のタブレット端末の出荷台数シェアは39.6%と最も大きいことがわかる(甲16)。また,近年におけるタブレットの人気ランキングをみても申立人の製品が上位10位以内にいくつも含まれている(甲17)。日本経済新聞によると,2017年(平成29年)のタブレット国内出荷数について863万台とし,「調査を始めた2010年から連続で米アップルがトップを維持した。17年の国内市場シェアは40%で,17年3月に販売した第5世代『iPad』が手ごろな価格で人気を集めた。」と紹介している(甲18)。この数字に基づくと,申立人の製品は2017年(平成29年)に345万台販売されたことになる。これは,日本人の約35人に1人が2017年(平成29年)の1年に申立人の「iPad」タブレットコンピュータを購入したことになり,その人数が「iCloud」に接したことが理解できる。
ウ クラウドサービス
株式会社ICT総研が行った2016年(平成28年)ないし2018年(平成30年)の市場調査によれば,申立人の「iCloud」サービスは,3年連続で最も利用者数が多いことがわかる(甲19)。かかる調査結果によると,クラウドストレージサービスの利用者は2016年(平成28年)は3,907万人,2017年(平成29年)は4,353万人,2020年度(令和2年度)には5,169万人になると試算する。そのなかで最も利用者が多いクラウドストレージサービスを申立人の「iCloud」であるとしている。このように統計として申立人の「iCloud」クラウドサービスが最も広く利用され,その分野で周知であることが理解できる。
申立人自身の業績をみても,申立人は,「iPhone」,「Macbook」等の主力製品に加え,「iCloud」等のサービス部門の強化にも注力しており,2018年度(平成30年度)の第四半期の決算では,「iCloud」を含むサービス部門の売上高は,109億ドルと売上全体の13%を占めている(甲20)。
エ 小括
上記のとおり「iCloud」商標が,申立人のクラウドコンピューティングサービスを示すものとして広く認識されていることは明らかである。
なお,「iCloud」クラウドサービスは,申立人の製品を使用する者がそのまま利用者となるため,それ自体の広告は行っておらず,これ自体の売上は公表していない。しかしながら,上記のとおりその製品の普及率は非常に高い数字であることから,相当数の「iCloud」クラウドサービス利用者が存在していることは十分に把握できる。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 本件商標とその他人の標章との類似性の程度
申立人の著名商標「iCloud」は,「アイクラウド」の称呼が生ずる。
これに対し,本件商標は,「i-クラウド」の文字を横書きした構成よりなるものであり,「アイクラウド」の称呼が生じる。
そこで,本件商標と申立人の著名商標「iCloud」の類否を検討すると,称呼においては,「アイクラウド」の称呼を共通にするものである。
外観においては,「-(ハイフン)」の有無及び欧文字と片仮名という文字種を異にするところがあるとしても,両商標とも基本的に,「i」と「Cloud」又は「クラウド」の文字を結合させたものと看取される。加えて,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼の生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり,デザイン化したりすることが一般的に行われており,特に,クラウドコンピューティングサービスの分野では,インターネット経由でのWebサービス利用をする環境の総称として,片仮名の「クラウド」の文字が使用されている実情もある(甲21)。そうすると,本件商標の構成中「クラウド」の文字部分と申立人の著名商標の構成中「Cloud」の文字部分の文字種の相違が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいい難く,さらに,両者がいずれも特定の観念を有しないものであることからすれば,両者の類否判断において,称呼が重要な役割を果たすものというのが相当である。
したがって,本件商標と申立人の著名商標「iCloud」とは,外観において文字種の相違等はあるものの,称呼を共通にするものであるから,両者は同一又は極めて類似性の高い商標である。
イ その他人の標章の周知度
申立人の「iCloud」商標はクラウドサービスの分野で周知であることは上記のとおりである。また,コンピュータ製品に組み込まれているプログラムでもあるため,コンピュータ製品においても周知であるといえる。
ウ その他人の標章が創造標章であるかどうか
申立人の「iCloud」商標は既存の言葉にはなく,申立人が創作した造語商標である。
エ その他人の標章がハウスマークであるかどうか
申立人のハウスマークには該当しないが,申立人が製造・販売するスマートフォン及びコンピュータ機器で利用するデータの保存,共有等を行うクラウドコンピューティングサービスの名称として使用される商標であり,需要者・消費者の認知度は非常に高い。
オ 企業における多角経営の可能性
申立人は,コンピュータの分野以外にも音楽事業等,様々な事業分野で商品・役務を展開している(甲22,甲23)。したがって,多角経営の可能性は十分に認められる。
カ 商品間,役務間又は商品と役務間の関連性
本件商標の指定商品中,例えば,「計算器」,「方位コンパス」,「傾斜計」等は,スマートフォンやタブレットに使用されるアプリケーションソフトウェアが多数存在している(甲24)。そうすると,申立人は,第9類「電子応用機械器具及びその部品」,「コンピュータソフトウェア」等の商品を指定する「iCloud」商標を所有しており(引用商標1?3),これらの商品と本件商標の指定商品「方位コンパス」及び「速度計」における商品間の関連性は十分に認められる。
また,申立人が製造,販売するスマートフォン「iPhone」には,「計算機」や「方位コンパス」の機能を有するアプリケーションが搭載されていることから(甲24),本件商標がその指定商品中の「計算機」や「方位コンパス」に使用された場合,少なくとも,申立人と何らかの関係にある営業主の業務に係る商品と誤認されるおそれがあることは明らかである。
キ 商品等の需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定商品中,例えば,「体重計」についてみても,計測したデータをクラウド上で保存,共有できる体重計が存在する(甲24)。このような取引の実情を考慮すると,取引者及び需要者の範囲は共通するといえる。事実,申立人は引用商標で紹介した「iCloud」商標を多数所有している。
ク 小括
以上のとおり,本件商標は,出所混同が生じると総合的に判断されるべきものである。
さらに,本件商標は,単純な「出所の混同」のみならず「ただ乗り」,「希釈化」により,申立人の業務上の信用が損なわれる状況となっている。
したがって,本件商標が,商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかというべきである。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性
上記のとおり,申立人の著名商標「iCloud」は,申立人が創作した造語商標である。したがって,本件商標権者が,申立人の著名商標「iCloud」と同一の称呼を生じ,「-(ハイフン)」の有無,文字種のみが相違する本件商標を偶然に採択し,創作されることは絶対にあり得ない。加えて,申立人の商標「iCloud」が本件商標の出願時において著名であったこと,両商標が類似の商標であることは明らかである。
したがって,本件商標は,申立人の名声にフリーライドする意図があったことは明白であり,「不正の目的」をもって出願されたものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性
上記のとおり,本件商標は,申立人の名声にフリーライドする意図があったことは明白であるから,本件商標の登録は,著しく社会的相当性を欠くものとして,公序良俗に反することは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張並びに職権調査(インターネット情報,新聞記事情報など)によれば,次の事実を認めることができる。
(ア)申立人が提供する「iCloud」は,「インターネットを経由したソフトウェアの提供」や「インターネットを経由した記憶領域の貸与」といったような「クラウドコンピューティング」の役務の名称であり,申立人の全ての製品で利用することができる(甲5,甲6)。
(イ)申立人の製品,スマートフォン「iPhone」及びタブレットコンピュータ「iPad」は,我が国において,前者が平成28年(2016年)に1,591万台出荷され,後者が同29年(2017年)に345万台出荷されたと,いずれも認められる(甲13,甲18)。
(ウ)申立人の製品の利用者は,製品の利用開始時に,申立人が提供する各種サービスを受けるために必要な「Apple ID」の設定において,標章「iCloud」を目にする(甲6,甲7)。
(エ)しかしながら,我が国又は外国における「iCloud」の具体的な利用者数,取引額などの取引実績を示す証左は見いだせず,また,申立人の製品の利用者が,製品の利用開始時における「Apple ID」の設定の後,どのような機会に標章「iCloud」に接するのか,及び「iCloud」自体の広告は,申立人提出の証拠からはいずれも確認できなかった。
なお,申立人は,「iCloud」自体の広告は行っていない旨述べている。
さらに,引用商標1及び3ないし6が使用されている証左も見いだせない。
イ 上記アのとおりの我が国における申立人の製品の出荷台数からすれば,「iCloud」の利用者が相当数存在することがうかがえるものの,その取引実績を示す証左は見いだせないこと,申立人の製品の利用者が「Apple ID」の設定の後,標章「iCloud」に接する機会が確認できないこと,及び「iCloud」自体の広告を確認できないことから,標章「iCloud」は,本件商標の登録出願の時及び登録査定時において,申立人の業務に係る役務を表示するものとして,我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
そうすると,「iCloud」の文字からなる引用商標2,並びに使用されていることが確認できない引用商標1及び3ないし6は,いずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして,我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標等の類似性の程度
本件商標は,上記1のとおり,「i-クラウド」の文字からなり,該文字に相応し「アイクラウド」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
引用商標及び標章「iCloud」(以下まとめて「引用商標等」という。)は,その構成文字又は構成中の文字「iCloud」,「ICLOUD」に相応し「アイクラウド」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
そこで,本件商標と引用商標等の類否を検討すると,両者は,外観において構成文字等の差異により異なり,称呼を共通にし,観念において比較できないものであるが,一般に商標の使用をするに際して,同一の称呼を生じる範囲内で構成文字を片仮名及びローマ字を相互に変更することが行われていること,両者の構成文字はいずれも一般的な書体で表され特徴的な態様でないこと,及び両者がいずれも特定の観念を有しないものであることをあわせ考慮すれば,両者の類否判断にあっては称呼が重要な役割を果たすものというのが相当である。
そうすると,称呼を共通にする本件商標と引用商標等は類似の程度が高いというべきものである。
なお,本件商標と引用商標3は,構成文字の差異に加え,図形部分の有無の差異を有するが,後者の構成中「iCloud」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るから,上記と同様に類似の程度が高いといえる。
イ 引用商標等の周知著名性及び独創性の程度
上記(1)のとおり,引用商標等はいずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
また,引用商標等は,英語の既成語「Cloud」に極めて簡単でありふれた標章といえる欧文字1字「i」の文字を冠したものと理解,認識し得るものであるから,独創性の程度は高いといえない。
ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る役務等との間の関連性など
本件商標の指定商品は上記1のとおり計測,測定のための機器であり,データの保存等においてインターネットを経由した「クラウドコンピューティング」を利用する場合があるとしても,当該指定商品と,申立人の業務に係る役務,すなわち「インターネットを経由したソフトウェアの提供」や「インターネットを経由した記憶領域の貸与」といったような「クラウドコンピューティング」の役務とは,事業者,用途,目的又は需要者において,明確に異なるものであるから,両者の関連性は低いものである。
エ 小括
上記のとおり,本件商標と引用商標等は類似の程度が高いものであるが,両者の指定商品と指定役務及び申立人の業務に係る役務の関連性は低いものであり,何より引用商標等はいずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから,本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断すれば,本件商標は,これに接する取引者,需要者をして引用商標等を連想又は想起させるものということはできない。
してみれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標等を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第19号及び同項第7号について
上記(1)のとおり引用商標等は,申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,上記(2)のとおり本件商標は引用商標等を連想又は想起させるものでもない。
そうとすれば,本件商標は,引用商標等の名声にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
さらに,本件商標が,その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど,公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当するものとはいえない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものでなく,その登録は,同条第1項の規定に違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標3)



異議決定日 2019-07-18 
出願番号 商願2017-62906(T2017-62906) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W09)
T 1 651・ 22- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
最終処分 維持 
前審関与審査官 小林 裕子有水 玲子 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 薩摩 純一
浜岸 愛
登録日 2018-09-14 
登録番号 商標登録第6080021号(T6080021) 
権利者 株式会社ビーラトラスト
商標の称呼 アイクラウド、クラウド 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
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