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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W35
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W35
審判 査定不服 観念類似 登録しない W35
管理番号 1354202 
審判番号 不服2018-11258 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-20 
確定日 2019-07-19 
事件の表示 商願2017-70444拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成29年5月25日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第1986509号商標(以下「引用商標」という。)は、「ドルチェ」の文字と「DOLCE」の文字とを上下二段に書してなり、昭和60年5月27日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同62年9月21日に設定登録され、その後、平成20年9月24日に指定商品を第30類「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、右上部が欠けた黄色の長方形図形とその下部に「DOLCE」の文字を配してなるものであるところ、視覚上、文字部分と図形部分とは、分離して看取されるものであり、文字部分と図形部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているというべき事情は認められない。
そして、本願商標の構成中の図形部分は、我が国において特定の事物を表したもの又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められず、当該図形部分からは特定の称呼及び観念を生じないものである。
また、本願商標の構成中の「DOLCE」の文字部分は、「甘い。菓子、ケーキ:デザート」(「伊和中辞典 第2版」(小学館))などの意味合いを有するイタリア語であるところ、本願の指定役務中の「菓子の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」との関係においては、識別力は弱いといわざるを得ないものである。
しかしながら、「DOLCE」の文字は、特定の意味合いを表す語として広く一般に親しまれているとまではいえないものであって、本願の指定役務である「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の需要者が一般の消費者であることからすれば、本願商標の構成中の「DOLCE」の文字部分は、これに接する需要者をして、菓子に関係する語であると認識される場合があるとしても、直ちに特定の意味合いを看取させるとまではいえないものである。
そうとすれば、本願商標は、その文字部分に相応して「ドルチェ」の称呼を生じ、特定の観念を想起させないものというのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、「ドルチェ」の文字と「DOLCE」の文字とを上下二段に書してなるところ、その構成中、上段の「ドルチェ」の文字は、下段の「DOLCE」の読みを表したものと容易に理解されるものであるから、引用商標からは、その構成文字に相応して「ドルチェ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標とを比較すると、外観においては、「DOLCE」の文字を同じくすることから、外観上、近似した印象を与えるものである。また、称呼においては、共に「ドルチェ」の称呼を生じるから、称呼上、同一のものである。さらに、観念においては、いずれも特定の観念を生じないから、観念上、比較することができないものである。
したがって、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観において近似した印象を与え、称呼を同一にするものであるから、その外観及び称呼によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合すれば、両商標は、商品及び役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本願の指定役務と引用商標の指定商品との類否について
本願の指定役務「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標の指定商品「菓子及びパン」は、商品の製造と役務の提供が同一事業者によって行われることが一般的であり、商品の販売場所と役務の提供場所を同一にし、さらに、需要者を共通にするものであるから、本願の指定役務と引用商標の指定商品とは、類似するものとみるのが相当である。
オ 小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品と類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「ドルチェ(dolce)」の語の意味及びインターネットにおける当該語の使用例及び「ドルチェ」、「Dolce」及び「DOLCE」の文字をその構成中に含む審査例を挙げ、「DOLCE」の文字は、「菓子の小売役務」については、自他役務を識別する機能がない旨主張している。
しかしながら、上記アのとおり、「DOLCE」の文字が、「甘い、菓子、ケーキ:デザート」などの意味合いを有するイタリア語であるとしても、特定の意味合いを有する語として広く一般に親しまれているとまではいえないものであって、本願の指定役務の需要者をして、直ちに特定の意味合いを看取させるとまではいえないものである。
また、請求人の挙げる使用例は、「ひんやりドルチェ」(第4号証)、「北海道ドルチェ」(第6号証)のように他の語と共に使用されているもの、「ケーキの店ドルチェ」、「欧風菓子ドルチェ」のように店舗名の一部として、あるいは、「ドルチェ/Dolce」の文字自体が店舗名として使用されていると思われるもの(第7号証ないし第13号証)及びレストランのメニューにおける使用例(第5号証、第14号証)であり、これらの使用例をもって、「ドルチェ/Dolce」の文字が本願の指定役務の分野全般において、取扱い商品の品質を表すものとして、広く一般に使用されているものであるとまでは認められないものである。
そして、本願の指定役務の需要者が広く一般の消費者であることも併せ考慮すれば、本願商標の構成中の「DOLCE」の文字は、それ自体が本願の指定役務との関係において、その識別力が高いとはいえないものであるとしても、取扱商品の品質を表したと直ちに認識させるとまではいえないものであって、識別力がないものとはいえない。
また、商標の類否の判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げる審査例は、商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、これをもって、本願の上記判断が左右されることはない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(本願商標)(色彩については、原本参照のこと。)


審理終結日 2019-05-09 
結審通知日 2019-05-17 
審決日 2019-05-29 
出願番号 商願2017-70444(T2017-70444) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W35)
T 1 8・ 261- Z (W35)
T 1 8・ 263- Z (W35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 亮庄司 美和 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 中束 としえ
有水 玲子
商標の称呼 ドルチェ、ドルス 
代理人 梅村 莞爾 

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