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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X41
管理番号 1354197 
審判番号 取消2018-300018 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-01-09 
確定日 2019-07-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5202927号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5202927号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5202927号商標(以下「本件商標」という。)は、「YOUKU」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年3月28日に登録出願、第41類「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネット・携帯電話による通信を用いて行う動画の提供,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出」を指定役務として、同21年2月6日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年1月24日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年1月24日から同30年1月23日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)平成30年4月27日付弁駁の要旨
被請求人が提出した証拠から、本件商標が被請求人又はその使用権者により、本件指定役務の全てについて使用されたことを確認することはできない。
ア 乙第1号証及び乙第4号証について
乙第1号証は、被請求人がドメインネーム「youku.jp」を所有することを示す資料であるが、そもそもドメインネームとは、インターネット上の住所表示にすぎず、本来的に自他商品等識別力を有する商標とは性質を異にする(甲4)。乙第1号証からは、被請求人がドメインネーム「youku.jp」をいずれの指定商品又は指定役務との関係で使用をするものなのかさえ確認することができず、本件商標の本件指定役務への使用は到底立証できない。
乙第4号証は、乙第1号証に示すドメインネームを披請求人が自ら管理運営するホームページ(以下「被請求人ホームページ」という。)で使用していることを示す資料であるが、乙第4号証から、本件商標が本件指定役務中「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,放送番組の制作における演出」について使用されたことは一切確認することができない。
本件指定役務中「インターネット・携帯電話による通信を用いて行う動画の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用のビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」への本件商標の使用について検討するに、商標法上の役務とは、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうるべきもの」をいい、「商品の譲渡に伴い、付随的に行われるサービスは、それが、それ自体にのみ着目すれば、他人のためにする労務又は便益に当たるとしても、市場において独立した取引の対象となっていると認められない限り、商標法にいう『役務』には該当しないものと解するのが相当である」と過去の判決例(平成11年(行ケ)第390号)においても示されている。
これを本件に照らすと、被請求人ホームページは、被請求人が製造販売するジュース(以下「被請求人ジュース」という。)の作り方など、被請求人ジュースに関連する情報を、被請求人ジュースを購入した顧客に対して紹介することを目的として設けられたものである。さらに、被請求人ホームページは、被請求人ジュースの売上金の一部を用いて運用されているものである(甲5)。そうすると、被請求人が被請求人ジュースに関する動画を制作し、又は、被請求人ホームページにおいて動画を配信する行為は、専ら被請求人ジュースの販売に付随するものであって、動画の制作又は動画の配信行為は「独立して商取引の目的たりうるべきもの」には該当しないと理解するのが相当である。
また、市場において独立した商取引の対象となる労務又は便益の提供には、それに対し、一般的に対価が要求されるものであって、そのような有償性は、独立取引対象要件を具備するか否かの客観的な指標となり得るが、被請求人ホームページにおいて公開される動画等は全て無償であることからも、これらの動画提供及び制作行為は、被請求人ジュースに付随的に行われているものであって、「独立して商取引の目的たりうるべきもの」には該当しない。
したがって、乙第1号証及び乙第4号証からは、要証期間における本件商標の本件指定役務への使用を立証することはできない。
イ 乙第2号証について
乙第2号証は、大手ソーシャル・ネットワーキング・サービス「Facebook」内のアカウント「You KU」において投稿された記事を示す資料であるが、かかるアカウントが被請求人のものであることが、乙第2号証からは確認できない。なお、被請求人は、乙第2号証を被請求人ホームページ(乙4)の宣伝広告資料として提出していると思われるが、上述のとおり、乙第4号証は、要証期間における本件商標の本件指定役務への使用を何ら立証するものではない。
したがって、乙第2号証からは、要証期間における本件商標の本件指定役務への使用を立証することはできない。
ウ 乙第3号証について
乙第3号証は、被請求人が、オンラインショップにおいて、ジュースを販売していることを示す資料であるが、乙第3号証から確認できるのは、本件商標が被請求人ジュースの販売にあたり、かかる商品表示に用いられていることのみである。乙第3号証からは、本件商標が第32類における商品「果実飲料,飲料用野菜ジュース」に使用されていると思われることは確認できるものの、本件商標が本件指定役務において使用されている事実は、一切確認できない。なお、被請求人は、乙第3号証を被請求人ホームページ(乙4)の宣伝広告資料として提出していると思われるが、上述のとおり、乙第4号証は、要証期間における本件商標の本件指定役務への使用を何ら立証するものではない。逆に、被請求人自ら被請求人ホームページのことを「作り方の写真動画配信共有サイトYOUKU」と紹介していることから、あくまで被請求人の主たる業務はジュースの製造販売であって、被請求人ジュースに関する動画の配信行為等は、付随的なサービスであることは明らかである(甲6)。
したがって、乙第3号証より、要証期間における本件商標の本件指定役務への使用を立証することはできない。
エ 乙第5号証について
乙第5号証は、第三者が被請求人ホームページ(乙4)において宣伝広告物を有償で掲載したことを示す資料であるが、乙第5号証からは本件商標が本件指定役務において使用されたことは確認できない。むしろ、被請求人ホームページ(乙4)には「広告記載募集?1000円?」とあり、乙第5号証には、本件商標が、第35類における役務「インターネット上の広告スペースの貸与」との関係において使用されている事実のみが示されている。
したがって、乙第5号証より、要証期間における本件商標の本件指定役務への使用を立証することはできない。
(2)平成30年11月16日付弁駁の要旨
ア 乙第6号証ないし乙第9号証の3について
乙第6号証ないし乙第9号証の3は、「被請求人ホームページ」の更新ログを示す資料であって、被請求人は要証期間内に当該ホームページが存在したことから、本件商標の本件指定役務への使用が立証された旨を述べているが、乙第6号証ないし乙第9号証の3からは、本件商標が本件指定役務中「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,放送番組の制作における演出」について使用されたことは一切確認することができない。
乙第6号証ないし乙第9号証の3が、要証期間における本件商標の本件指定役務への使用に係る立証証拠となり得ない理由は、被請求人が被請求人ホームページにおいて無償の動画を配信する行為は、専ら被請求人が製造販売するジュースに付随するものであるから、動画の制作又は動画の配信行為は「独立して商取引の目的たりうるべきもの」には該当しないというものである。
かかる判断は、過去の判決例(平成11年(行ケ)第390号)にも示されているところ、この点、被請求人は何らの回答をすることなく、乙第4号証が要証期間に存在したことを示すにすぎない乙第6号証ないし乙第9号証の3を提出している。
したがって、乙第6号証ないし乙第9号証の3からは、要証期間における本件商標の本件指定役務への使用を立証することはできない。
イ 乙第10号証ないし乙第15号証について
乙第10号証ないし乙第15号証は、第三者が被請求人ホームページにおいて宣伝広告物を有償で掲載したことを示す資料であるが、これらの資料からは本件商標が本件指定役務において使用されたことは確認できない。
むしろ、乙第10号証ないし乙第15号証は、本件商標が、第35類における役務「インターネット上の広告スペースの貸与」との関係において使用されている事実のみを示すものである。
したがって、乙第10号証ないし乙第15号証より、要証期間における本件商標の本件指定役務への使用を立証することはできない。
ウ さらに、被請求人は、請求人に対し、本件商標及び被請求人が所有するドメインの買取交渉を持ちかけている(甲7)。商標法上の保護は、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であるから、不使用の登録商標に対して排他独占的な権利を維持し与えておくのは、国民一般の利益を不当に害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることは、商標法第50条の法的趣旨にのっとり、妥当ではない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、答弁書及び回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
2009年4月から、ドメイン「youku.jp」を保有して現在まで運営しており、現在も動画写真投稿共有サイト「YOUKU」で記載広告主から広告料を受け取っている(乙4、乙5)。
顧客の要望で、「coldpress」というジュースの作り方や情報の写真や動画配信共有サイトを2015年3月頃立ち上げた(乙4)。
これらの証拠から、被請求人が運営しているのは明白であり、日本国内で使用していることは明らかである。
2 平成30年8月16日付回答書における主張
(1)乙第6号証は、被請求人ホームページの基本ソフト「ワードプレス」の更新ログであり、当該ログは、更新するたびに自動で日時が記録され、後から日時を改変することはできない。
これにより、乙第4号証が要証期間内に存在していたこと、要証期間内に動画が提供されていたことが客観的に立証される。
具体的には、要証期間内である2017年12月18日に記事「M様からのバナナと人参のジュース」、2017年11月7日に記事「鈴木マシーン」、2015年4月15日に記事「ジュースの作り方 UP」、2015年3月15日に記事「動画写真投稿サイト YOUKU 2015.3 リニューアルオープン 無農薬野菜ジュースの作り方や情報をお待ちしております」が、それぞれ更新されている。
(2)乙第7号証は、乙第6号証に示す記事「M様からのバナナと人参のジュース」のページのスクリーンショットで、動画の変化の状態を数枚の画面を利用して明確に示したものであり、ジュースが注ぎ込まれる様子が動画で表示されている。また、第三者からコメントがつけられていることが分かる。
乙第8号証は、乙第6号証に示す記事「鈴木マシーン」のページのスクリーンショットで、動画の変化の状態を数枚の画面を利用して明確に示したものであり、SUZUKIというメーカーのジュースマシンの細部が動画で紹介される構成となっている。
乙第9号証は、乙第6号証に示す記事「動画写真投稿サイト YOUKU 2015.3 リニューアルオープン 無農薬野菜ジュースの作り方や情報をお待ちしております」のページのスクリーンショットで、動画の変化の状態を数枚の画面を利用して明確に示したものであり、風景を映した動画となっている。
以上により、要証期間内に、動画が提供されたことが客観的に立証される。
なお、URLが作成日と記事名になっており、作成日によってURLが自動的に定められ、後から変更できないことが、ワードプレスの特徴である。
また、各動画は乙第4号証に示すトップページに掲載されており、要証期間中も掲載されていたことは明らかである。
(3)乙第10号証ないし乙第12号証は、「津田農園」、「TRAVIS」及び「STATE ROOM」との広告掲載に関する契約書であり、これらにより、要証期間内に、被請求人ホームページ(乙4)において、上記三者の広告を掲載していた事実を把握することができる。
(4)乙第6号証によれば、記事「広告 STATE ROOM」は、2017年9月23日に公開され、記事「広告 TRAVIS」は、2017年6月1日に公開されている。
乙第13号証は、ワードプレスの編集画面のうちダッシュボードといわれるトップ画面であり、「アクティビティ」欄にはこれらの広告の公開された時間が表示されている。
乙第14号証及び乙第15号証は、被請求人ホームページにおける「TRAVIS」及び「STATE ROOM」の広告画像の要素を検証する画面を示すスクリーンショットである。乙第14号証によれば、「TRAVIS」の広告画像が2017年6月、乙第15号証によれば、「STATE ROOM」の広告画像が2017年9月に、それぞれアップロードされたことが、そのURLから分かる。
以上により、要証期間内であって、上述の契約書と合致する時期に、少なくとも「TRAVIS」及び「STATE ROOM」の広告が提供されたことが客観的に立証される。
以上のように、被請求人が要証期間内に本件商標をその指定役務中「インターネット・携帯電話による通信を用いて行う動画の提供」等に使用したことが明確となった。
(5)弁駁書によれば、ドメインネームは自他商品等識別力を有さず商標の使用に当たらない、とのことであるが、平成22年(ワ)第4461号(モンシュシュ事件)、平成15年(ワ)第2226号(Careerjapan事件)では、ドメインネームも自他商品等識別力を有し商標の使用に当たる、との判断がなされている。
また、弁駁書では、平成11年(行ケ)第390号(シャディ事件)を引用し、動画の配信行為等は「独立して商取引の目的たりうべきもの」に該当しない、とのことであるが、シャディ事件は、小売役務のない時代に、小売役務に類する役務を指定することに対し争われた審決取消請求事件であり、本件とは性質が異なる。
本件は、むしろ、平成19年(行ケ)第10008号(東京メトロ事件)を参考にすべきものであり、当該判決によれば、「商標法上の『商品』とは、商取引の対象であって、出所表示機能を保護する必要のあるものでなければならない(法1条)。一般的に『商品』は、売買契約の目的物として対価と引換えに取引されるが、『商取引』はこれに限られるものではなく、営利を目的とした様々な契約形態が含まれるので、取引全体を観察して『商品』を対象にした商取引といえるものであれば足りる。」「無料紙は、読者から対価を得ていないが、広告主から広告料を得て居り、これにより経費を賄い、利益を得ているビジネスモデルである。(略)これは、『商品』と『役務』との違いはあるが、民間放送のテレビ放送の場合と同じビジネスモデルである。もし、視聴者から対価を徴収していないから、第38類『テレビジョン放送』に該当しないとすると、民放放送業者は商標法上の保護を受けられなくなってしまうが、これは商標法の予定するところではない。」と判示されている。被請求人ホームページでは動画を提供すると共に広告を表示して広告主から対価を得ている。東京メトロ事件と同様に、動画の視聴者から対価を得ていないとしても、動画が商取引の対象であって、出所表示機能を保護する必要のあるものである以上、動画の配信行為は、本件指定役務中「インターネット・携帯電話による通信を用いて行う動画の提供」等への本件商標の使用に該当する。
3 平成31年3月1日付回答書における主張
(1)乙第6号証について
乙第16号証によれば、2017年7月14日に「T様からの野菜」のコンテンツがアップロードされ、2017年12月18日に「M様からバナナと人参のジュース」のコンテンツがアップロードされたことが分かる。
これに対応して、乙第17号証によれば、T氏が2017年7月14日に、youku.jpのトップページに「T様からの野菜」の動画をアップロードしたことが分かる。このことから、被請求人ホームページにおいて、第三者が動画を掲載したことが分かる。
また、乙第18号証によれば、M氏が2017年12月18日に、youku.jpのトップページに「M様からバナナと人参のジュース」の動画をアップロードしたことが分かる。このことから、被請求人ホームページにおいて、第三者が動画を掲載したことが分かる。
これらの証拠から、各動画は乙第4号証に示すトップページに掲載されており、要証期間中も掲載されていたことは明らかである。
(2)第三者からの投稿動画であること
乙第17号証及び乙第18号証によれば、第三者が被請求人ホームページに投稿したことが明確に把握できる。
被請求人が管理するホームページではあるものの、被請求人は、第三者からの投稿を管理ページからログインし、管理者アカウントからページを更新してもらう方法を採用していたにすぎず、このことは、第三者からの投稿動画を裏付ける証拠である。
(3)独立性、反復継続性があること
上記のように、被請求人は、被請求人の管理するホームページにおいて、第三者に対し、管理者アカウントから動画を投稿し掲載してもらう方法を採用していたのであって、このことは、乙第10号証ないし乙第12号証の契約書にのっとった方法であり、何ら不合理な点はない。
独立主体である津田農園ほかの当事者に依頼していたことから独立性が認められ、かつ、複数の契約当事者がいたことからしても、反復継続性があることは明らかである。
(4)CD-R(乙19)について
乙第7号証の動画は、全体として15秒の動画であり、バナナと人参のジュースを製作する様子を表すものである。
乙第8号証の動画は、全体として24秒の動画であり、「鈴木マシーシ」と呼ばれるジュースを製作する機械を説明する様子を表すものである。
乙第9号証の動画は、全体として20秒の動画であり、被請求人が管理するホームページをリニューアルした際に掲載する目的で風景を撮影した様子を表すものである。
(5)平成30年11月16日付「審判事件弁駁書」に対する反論
乙第6号証ないし乙第18号証によれば、要証期間内に、動画が提供されたことが客観的に立証される。
なお、被請求人が管理するホームページは、URLが作成日と記事名になっており、作成日によってURLが自動的に定められ、後から変更できないことが、ワードプレスの特徴である。
要証期間内に、第三者によって動画が投稿され、更新されていることが明らかであり、また、各動画は乙第4号証に示すトップページに掲載されており、要証期間中も掲載されていたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 認定事実
(1)被請求人ホームページについて
ア 乙第4号証は、2018年(平成30年)8月15日出力の被請求人ホームページのスクリーンショットであり、1葉目から2葉目には、「NEWS」の見出しの下、「2017.12.18 M様からバナナと人参のジュース UP」、「2017.11.7 手動式鈴木マシーン紹介 UP」、「2017.7.14 T様から野菜 UP」、「2015.4.6 会社概要 UPしました。動画写真投稿共有サイトYOUKU 2015.3 リニューアルオープン」等の記載がある。また、3葉目から6葉目及び9葉目には、野菜、機械、風景及び流動物を写した画像が表示されている。
また、9葉目には、「動画配信?写真投稿サイトYOUKU」、「運営 名古屋市中村区名駅5-23-19 有限会社キャッツハワイ」の表示がある。
イ 乙第5号証は、領収証(控)の写しであり、1葉目には、「津田農園」宛て「¥12,000 但 2018.4.14まで youku.jp記載広告代 入金日 2017年4月15日」の記載、2葉目には、「TRAVIS」宛て「¥12,000 但 2018.6.3まで youku.jp記載広告代 入金日 2017年6月2日」の記載、3葉目には、「STATE ROOM」宛て「¥12,000 但 2018.9.26まで youku.jp記載広告代 入金日 2017年9月25日」の記載がある。
ウ 乙第6号証は、被請求人が被請求人ホームページの基本ソフト「ワードプレス」の更新ログと主張するものであり、右上部には、「こんにちは、wpmasterさん」の表示があり、「M様からのバナナと人参のジュース」と記載された行には「2017年12月18日」の日付、「鈴木マシーン」と記載された行には「2017年11月7日」の日付、「広告 STATE ROOM」と記載された行には「2017年9月23日」の日付、「T様から野菜」と記載された行には「2017年7月14日」の日付、「広告 TRAVIS」と記載された行には「2017年6月1日」の日付、「ジュースの作り方 UP」と記載された行には「2015年4月15日」の日付、「動画写真投稿共有サイトYOUKU 2015.3 リニューアルオープン 無農薬野菜ジュースの作り方や情報をお待ちしております」と記載された行には「2015年3月15日」の日付が表示されている。また、これらの作成者の欄には、いずれも「wpmaster」の表示がある。
エ 乙第7号証の1ないし乙第7号証の3は、被請求人が「M様からのバナナと人参のジュース」のページ及びその変化を示すスクリーンショットと主張するものであり、そこには、橙色の流動物が容器にあけられる状態が3枚の画像で表されており、画像の上には、「M様からのバナナと人参のジュース HOME/2017/12月/18/M様からのバナナと人参のジュース」の表示がある。
オ 乙第8号証の1ないし乙第8号証の3は、被請求人が「鈴木マシーン」のページ及びその変化を示すスクリーンショットと主張するものであり、そこには、機械が3枚の画像で表されており、乙第8号証の2には、機械に添付されたシールに「鈴木の生きたジュースマシン」の表示があり、画像の上には、「鈴木マシーン HOME/2017/11月/7/鈴木マシーン」の表示がある。
カ 乙第9号証の1ないし乙第9号証の3は、被請求人が「動画写真投稿サイトYOUKU 2015.3 リニューアルオープン 無農薬野菜ジュースの作り方や情報をお待ちしております」のページ及びその変化を示すスクリーンショットと主張するものであり、そこには、風景が3枚の画像で表されており、画像の上には、「動画写真投稿サイトYOUKU 2015.3 リニューアルオープン 無農薬野菜ジュースの作り方や情報をお待ちしております HOME/2015/3月/15/動画写真投稿サイトYOUKU 2015.3 リニューアルオープン 無農薬野菜ジュースの作り方や情報をお待ちしております」の表示がある。
キ 乙第10号証は、被請求人と「津田農園」との広告掲載に関する契約書であり、「インターネット広告掲載契約書」のタイトルの下、第2条(目的)に「甲は乙に対し、乙が適切と判断する内容の広告を本契約の条件で広告掲載することを委託し、乙はこれをポータルサイト『youku.jp』の一部分に広告掲載する。」、第5条(掲載条件)に「乙は、甲が入稿した広告または第4条に基づき変更された広告を、以下の条件にて、乙が運営するサイト『youku.jp』の一部分に掲載する。/1.掲載期間 自:2017年4月15日 至:2018年4月14日/2.掲載場所 トップページ」の表示があり、末尾には、平成29年3月30日の日付、(甲)として津田農園、(乙)として被請求人の住所及び名称並びに代表者の記名捺印がある。
ク 乙第11号証は、被請求人と「Travis」との広告掲載に関する契約書であり、「インターネット広告掲載契約書」のタイトルの下、第2条(目的)に「甲は乙に対し、乙が適切と判断する内容の広告を本契約の条件で広告掲載することを委託し、乙はこれをポータルサイト『youku.jp』の一部分に広告掲載する。」、第5条(掲載条件)に「乙は、甲が入稿した広告または第4条に基づき変更された広告を、以下の条件にて、乙が運営するサイト『youku.jp』の一部分に掲載する。/1.掲載期間 自:2017年6月2日 至:2018年6月3日/2.掲載場所 トップページ」の表示があり、末尾には、平成29年5月15日の日付、(甲)としてTravis、(乙)として被請求人の住所及び名称並びに代表者の記名捺印がある。
ケ 乙第12号証は、被請求人と「STATE ROOM」との広告掲載に関する契約書であり、「インターネット広告掲載契約書」のタイトルの下、第2条(目的)に「甲は乙に対し、乙が適切と判断する内容の広告を本契約の条件で広告掲載することを委託し、乙はこれをポータルサイト『youku.jp』の一部分に広告掲載する。」、第5条(掲載条件)に「乙は、甲が入稿した広告または第4条に基づき変更された広告を、以下の条件にて、乙が運営するサイト『youku.jp』の一部分に掲載する。/1.掲載期間 自:2017年9月25日 至:2018年9月26日/2.掲載場所 トップページ」の表示があり、末尾には、平成29年9月15日の日付、(甲)としてSTATE ROOM、(乙)として被請求人の住所及び名称並びに代表者の記名捺印がある。
コ 乙第16号証は、被請求人が「2017.12.18『M様からのバナナと人参のジュース』及び2017.7.14『T様からの野菜』のコンテンツがアップロードしたことを示す履歴画面」と主張するものであり、「2017.12.18 M様からバナナと人参のジュース UP」及び「2017.7.14 T様から野菜 UP」の表示がある。
なお、乙第16号証に係る全体の構成は不明である。
サ 乙第17号証は、乙第4号証の6葉目に表示された画像(以下「野菜画像」という。)の拡大図の下部に、「youku.jpのトップページに2017.7.14に私が動画を投稿しました。」との記載とともに、「津田農園」の代表者T氏と同一の住所及び氏名の記載並びに捺印がある。
シ 乙第18号証は、乙第4号証の4葉目に表示された「M様からのバナナと人参のジュース」の画像の拡大図の下部に、「youku.jpのトップページに2017.12.18に私が動画を投稿しました。」との記載とともに、「STATE ROOM」の代表者M氏と同一の住所及び氏名の記載並びに捺印がある。
ス 乙第19号証は、乙第7号証ないし乙第9号証の動画を記録したCD-Rであり、乙第7号証の動画は、全体で15秒であり、橙色の流動物が容器にあけられる状態が映されている。
また、乙第8号証の動画は、全体で24秒の動画であり、「鈴木の生きたジュースマシン」のシールが付された機械が映っており、乙第9号証の動画は、全体で20秒の動画であり、風景が映っている。
なお、いずれの動画にも、特段の音声(コメント)は記録されていない。
(2)使用商標の態様について
乙第4号証の被請求人ホームページの1葉目及び8葉目の左上部には、緑色で「youku」の文字が表示されている。
2 判断
(1)被請求人ホームページについて
被請求人は、自己のホームページ(乙4)を運営し、要証期間内に、「津田農園」、「TRAVIS」及び「STATE ROOM」の広告を当該ホームページに掲載していたことがうかがえる(乙5、乙10?乙12)ことから、乙第4号証のホームページは、要証期間内に存在していたとみて差し支えない。
(2)使用商標について
当該ホームページ(乙4)には、「M様からのバナナと人参のジュース」というタイトルの動画(乙7)、「鈴木マシーン」というタイトルの動画(乙8)及び「動画写真投稿サイトYOUKU 2015.3 リニューアルオープン 無農薬野菜ジュースの作り方や情報をお待ちしております」というタイトルの風景の動画(乙9)が掲載されており、当該ホームページ(乙4)の1葉目及び8葉目の左上部には、緑色で「youku」の文字が表示されている。
(3)役務性について
「商標」とは、業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用するものである(商標法第2条第1項第2号)。
「役務」とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものと解される(特許庁編 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説)。
そして、役務についての「使用」とは、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為(商標法第2条第3項第3号)」、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為(商標法第2条第3項第4号)」、「役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為(商標法第2条第3項第5号)」、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為(商標法第2条第3項第6号)」、「電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為(商標法第2条第3項第7号)」及び「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)」をいう。
ア 被請求人ホームページにおける動画の掲載方法
被請求人ホームページ(乙4)において、動画の投稿方法に関する記載は確認できず、乙第9号証の動画は、被請求人自身が掲載しているものである。
被請求人は、「自己の管理するホームページにおいて、第三者に対し、管理者アカウントから動画を投稿し掲載してもらう方法を採用していた」旨主張しているが、乙第6号証の更新ログにおける作成者の欄には、被請求人自身が掲載した乙第9号証の動画に関する記載も含め、被請求人が第三者からの投稿動画であると主張する野菜画像、乙第7号証及び乙第8号証の動画のいずれについても「wpmasterさん」の表示がされており、これらの動画の作成者(投稿者)が第三者であることを確認することができない。
また、一般に動画を投稿しようとする者が、被請求人ホームページの「管理者アカウント」を事前に知り得るとは考え難い。
被請求人は、乙第17号証に係る野菜画像及び乙第18号証に係る動画(乙第7号証の動画)を被請求人ホームページに投稿したのはT氏及びM氏であると主張するが、通常、動画投稿サイトに掲載された動画には、投稿者を示す何らかのニックネーム又は投稿者のアカウントが表示されるものであるところ、被請求人ホームページに掲載された動画には、上記した「wpmaster」の記載がある(乙4、乙6、乙7?乙9)ものの、投稿者を示す表示は一切確認することができない。
そうすると、被請求人ホームページは、「動画投稿サイト」とうたっているものの、「動画投稿サイト」としての体をなしていないといわざるを得ない。
イ 役務の提供の有無
商標法の保護対象である「役務」とは、前述のとおり、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的となるものでなければならない以上、「動画の提供」という役務については、動画を提供する行為が、商業上の事業として成立していなければならないというべきであって、例えば、個人的にインターネット上で動画を公開する行為については、形式的に動画を提供しているといい得ても、直ちに商標上の役務として動画を提供しているとはいえない。
近年、スマートフォンの普及が急速に進み、誰もが手軽に動画を撮影し、インターネット上に公開できる状況にあるが、これらの個人的な行為が商標法上の「動画の提供」という役務でないことはいうまでもない。
被請求人ホームページ(乙4)に掲載されている動画のうち、乙第19号証に記録された乙第7号証の動画は、全体で15秒であり、何らかの流動物が容器にあけられる状態が映されているものの、特段の説明等の音声もなく、被請求人の主張する「ジュースを製作する様子」を表した動画とはいい難いものであり、乙第8号証の動画は、全体で24秒の動画であり、「鈴木の生きたジュースマシン」のシールが付された機械が映されているものの、特段の説明等の音声もなく、被請求人の主張する「機械を説明する様子」を表した動画とはいい難いものである。乙第9号証の動画は、全体で20秒の動画であり、風景が映っているところ、当該動画は、被請求人自身が掲載したものである。
T氏及びM氏が動画を提供したことを示す証拠は、乙第17号証及び乙第18号証にある、それぞれの者の陳述と署名、捺印のみであり、T氏及びM氏が動画を投稿した事実を客観的に証明する証拠はない。
乙第4号証からは、野菜画像が動画であるか否かを把握することはできないが、乙第17号証と併せて、これが動画と推認し得るものであるとしても、被請求人ホームページに掲載された動画は、当該野菜画像及び乙第18号証に係る乙第7号証の動画のほか、乙第8号証の動画と被請求人自身が掲載した乙第9号証の動画のみであり、その他に、要証期間内に、前記動画の掲載以外に、世間一般から投稿された動画の掲載はない。
以上を総合的にみれば、被請求人の主張する動画の投稿方法も不自然であり、被請求人ホームページに他人が動画を投稿した事実も認め難いばかりか、当該ホームページに掲載された動画についても投稿者を示す表示が一切確認できないものであるから、被請求人ホームページは、世間一般にいうところの「動画投稿サイト」としての体をなしていないといわざるを得ず、商業上の事業として、動画投稿サイトにおいて動画を提供しているとはいい難いものである。
被請求人の行為は、単に、無農薬ジュースを販売するに当たり、自身のホームページを開設し、リニューアルオープンと銘打ち、「動画写真投稿サイト」であると宣言した上で、4種の動画を単発的に掲載したにすぎず、当該動画にしても、一つは自身が掲載した動画であり、その他の動画については第三者からの投稿動画であることが確認できない。
そして、これ以外に、要証期間において、提供された動画が確認できないことからしても、反復継続性をもって、商業上の事業として動画を提供していたとはいい難い。
また、動画の内容自体も、請求人の主張する「ジュースを製作する様子」や「機械を説明する様子」を撮影したものとはいえず、その他の動画についても、単に山並みの風景や、野菜売り場の野菜を十数秒撮影したにすぎないものであって、いずれの内容も中途半端なものといわざるを得ず、このようなものを第三者が投稿する蓋然性も想定できない。
してみれば、被請求人が自身のホームページに動画を掲載しているとしても、上記したスマートフォンで撮影した動画を個人的にインターネット上で公開することと、本質的に変わるところはなく、単に、ホームページという手段を利用したにすぎないというべきものであって、当該行為を商標法上の役務としての「動画の提供」とみることはできない。
(4)小括
以上を総合勘案すれば、被請求人ホームページにおける、上記した動画の掲載のみをもって、要証期間内に、「インターネット・携帯電話による通信を用いて行う動画の提供」という商標法上の役務を、業として提供したということはできない。
その他、要証期間において、被請求人(商標権者)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが「インターネット・携帯電話による通信を用いて行う動画の提供」に係る商業上の事業を反復性、継続性をもって営んでいる事実を認めるに足りる証拠は見いだせない。
また、その他、要証期間内に、その請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしたことを認めるに足りる証拠の提出もない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人が提出した証拠における使用商標は、本件商標の指定役務について使用をしたものとは認められない。
そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2019-05-14 
結審通知日 2019-05-17 
審決日 2019-05-30 
出願番号 商願2008-23891(T2008-23891) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X41)
最終処分 成立 
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
鈴木 雅也
登録日 2009-02-06 
登録番号 商標登録第5202927号(T5202927) 
商標の称呼 ヨウク、ヨーク 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 特許業務法人アイザック国際特許商標事務所 
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