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審決分類 審判 一部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
審判 一部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
管理番号 1354179 
審判番号 無効2018-890070 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-09-14 
確定日 2019-07-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第5611428号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5611428号の指定商品中、第30類「茶」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5611428号商標(以下「本件商標」という。)は、「red espresso」の欧文字を標準文字で表してなり、平成25年5月2日に登録出願、第30類「茶」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、同年8月9日に登録査定、同年8月30日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録の無効理由として引用する商標は、「red espresso」の欧文字のみからなる商標及び別掲のとおり「redespresso」の欧文字を含む商標であり(以下、これらを総称して「引用商標」という。)、引用商標の使用に係る商品は、「グラインド状・カプセル式などのルイボス茶」(以下「請求人商品」という。)である。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第23号証(枝番を含む。)を提出した。
なお、枝番の全てを示すときには、枝番を省略する。
1 請求人等について
請求人は、2005年創業のグラインド状・カプセル式などのルイボス茶及びその関連商品の製造販売を業とする南アフリカ共和国法人であり、創業以来、請求人名称の要部である「red espresso」の欧文字又は該文字を含む引用商標を、自らのハウスマークないし商号の要部として商品に使用し、また、請求人商品のブランド名として使用し、該商品の製造・販売に従事してきた(甲2?甲5、甲7)。
2 商標法第4条第1項第19号について
(1)引用商標の周知性について
引用商標は、2005年以降、請求人商品を表示するものとして継続的、かつ、大々的に使用された結果、本件商標の登録出願時点において、南アフリカ共和国を始め、カナダや米国等の外国における需要者に広く認識されているものである。なお、引用商標やこれと類似する「RED ESPRESSO」の文字からなる商標は、第30類「ルイボス茶」等を指定商品として、請求人により、南アフリカ共和国のほかにも、米国、香港及びマレーシア等の諸外国において商標登録されている(甲12)。
ア 受賞実績
請求人商品は、世界で初めての革新的なお茶のエスプレッソ又はエスプレッソのお茶として注目を浴び、2005年の発売以来、数々の国際的な展示会・大会で受賞した実績がある(甲13)。
イ 新聞・雑誌の記事
(ア)請求人商品は、一般的な新聞や業界紙の他、ノンカフェインで健康に良い飲み物であるとして、美容や健康への意識が高い女性向け雑誌や、ノンカフェインを好む妊婦や出産後の女性向けの親子雑誌、妊婦向け雑誌にも多く取り上げられてきている。請求人商品が、世界で初めての革新的なお茶のエスプレッソ又はエスプレッソのお茶として、また、新しいカテゴリーの飲み物として、南アフリカ共和国内で大きな注目を浴びたことは、多数の新聞、雑誌、業界紙等の記事に取り上げられてきていることからも明らかである(甲14の1?54)。
(イ)また、請求人商品は、南アフリカ共和国内の各地の主要なカフェやスーパーで手に入れられる人気商品であること、「red cappuccino」や「red latte」といったred espressoの飲み方のバリエーションも需要者に知られている(甲14の12・13・23・25・38・55?62)。
(ウ)さらに、請求人商品や同商品に関する国際マーケティングディレクターが南アフリカ共和国及び海外で受賞を受けたことや、請求人商品が南アフリカ共和国内、カナダや米国等の海外でも広く知られている(甲14の63?94)。
(エ)その他、請求人がClanwilliam ceder(ヒマラヤスギ属の植物)を絶滅から救う活動を行っているという記事(甲14の95・96)、韓国語の広告や記事(甲14の97)等を含め、請求人商品に関する記事・広告等がある(甲14の98)。
ウ インターネット上の記事
インターネット上でも、請求人商品は、世界で初めての革新的なお茶のエスプレッソ又はエスプレッソのお茶として、多数取り上げられている。例として、発売初期である2006年?2009年に掲載された請求人商品の紹介記事(甲15)がある。
エ 宣伝広告・マーケティング
請求人は、2005年の創業以来、引用商標を用いて様々な広告媒体を使って積極的にマーケティング活動を行っている。
(ア)例えば、2006年9月には、大きく表された商標「redespresso」とともに、南アフリカ共和国フード・レビューのNew Product Award2006の受賞者であることを伝える広告を南アフリカ共和国の複数の主要な新聞に連日掲載した(甲16)。
(イ)請求人は、2005年以降、現在に至るまで、カフェ、コーヒーショップやスーパーマーケット等の請求人商品の販売・提供場所において、販売促進のために、様々なマーケティング用資料・広告物を作成し、2005年から2017年の間の頒布により、請求人商品やそのバリエーション商品(「red latte」及び「red cappuccino」等)の周知に努めてきた。また、請求人は、南アフリカ共和国内のみならず、カナダ、米国、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、台湾、サウジアラビア、スウェーデン、ドイツ、スペイン、イタリア、オランダ、アイルランド、チェコ共和国、ポーランド、ブラジル、ボツワナ、ギリシャ等の世界各国で、これらのマーケティング用資料・広告物を頒布し、積極的に宣伝活動を行ってきている(甲17)。
オ 台湾における第三者模倣商標に対する異議事件
台湾において、第三者が、第30類「茶、茶飲料」等について、本件商標と同様に全て小文字からなる「red espresso」の商標を2014年4月11日に出願し、2014年10月16日に登録(登録第01671142号)されてしまったため(甲18の1)、請求人が、当時台湾では未登録であった自己の商標に基づき、当該登録の取消しを求め異議申立を行い、その結果として上記第三者の登録が取り消されたということもあった(甲18の2)。
カ 登録出願日以降における引用商標の使用状況
本件商標の登録出願日以降も請求人は南アフリカ共和国を始め、各国でマーケティング資料・広告物を頒布し(甲17)、請求人商品の販売を行って、一貫して引用商標の使用を継続してきた(甲13の7、甲19の1?6)。
キ 小括
以上の事実に照らせば、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、請求人商品を表示する商標として南アフリカ共和国を始め、米国、カナダ等の外国における需要者の間に広く認識されていたものであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたことは明白である。
よって、引用商標は、商標法第4条第1項第19号にいう「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」にあたる。
(2)本件商標と引用商標との類否
本件商標は、「red espresso」の欧文字を標準文字にて横書きしてなる商標であり、引用商標と綴りを同じくするものである。このため、本件商標より生じる称呼「レッドエスプレッソ」も、引用商標より生じる称呼と同一である。
また、外観及び観念に関しても同一又は類似である。
したがって、本件商標は引用商標と同一又は類似の商標である。
ちなみに、本件商標の指定商品は、「茶」であり、請求人が引用商標を使用する「ルイボス茶」とは同一又は類似の商品である。
(3)不正の目的をもっての使用
ア 被請求人は、2005年に設立され、ルイボス茶関連製品(ルイボスティーバッグ、ルイボス飲料)を専門に扱う会社であり、これら製品の卸売及び販売、ルイボス茶製品(OEM仕様)の企画及び製造、南アフリカ共和国産加工食品(フルーツジュース等)の卸売及び販売を行っている(甲20の1・4)。
また、被請求人の代表者A氏は、被請求人のウェブサイト(甲20の2)及びルイボス・マーケティング・リミテッドのウェブサイト(甲20の3)等の記載から、南アフリカ共和国出身の人物であることは明らかである。
さらに、被請求人は、被請求人のウェブサイト上において「ルイボスのトップメーカー、ルイボスリミテッドとのつながり」(甲20の2)として強調されていることからも、また、ルイボス・マーケティング・リミテッドのウェブサイト上の記載等(甲20の3・5)からも、「ルイボス界のトップメーカー」(甲20の2)である南アフリカ共和国の「ルイボスリミテッド社」と、その100%子会社であるルイボス・マーケティング・リミテッドと、密接な関係にあることは明らかである。
イ 加えて、「red espresso」の語は、一般的な英単語の組み合わせではなく、請求人が自社のハウスマークとして、ブランド名として採択した際に創作した、いわゆる造語であって、英和辞典等にも一切記載はない(甲21)。
ウ さらに、被請求人は、請求人には無断で、本件商標以外にも、同じく請求人の主力のバリエーション商品に係る商標「red cappuccino」及び「red latte」と、同一の綴り、かつ、語頭を含めて全て「小文字」からなる商標について、商品「茶」を指定し、本件商標の出願日と同日に出願を行い、登録を得ている(甲22)。
こうした事実からも、被請求人が、請求人、請求人商品、引用商標について全く知らずに、ルイボス茶を包括する「茶」を選び、指定して出願したということはありえない。
エ 請求人は、本件商標の登録出願(2013年5月2日)以前に、韓国、中国、シンガポール、マレーシア等、アジア諸国で請求人商品の販売を開始し、事業の成功を収めている。
日本においては、請求人商品の販売は開始されていなかったが、遅くとも2009年頃には、南アフリカ共和国のルイボス茶の5大輸出国には、ドイツ、英国、オランダ、米国とともに日本が含まれており(甲9、甲14の91)、日本は、アジアにおけるルイボス茶の主要な市場であったことは明らかである。
そうすると、被請求人の代表者の出身国である南アフリカ共和国を始め、米国・力ナダ等の外国で周知である引用商標が、アジアの主要市場の一つである日本においても、需要者の間に広く知られ得る蓋然性が大きく、かつ、請求人商品が日本で販売されることを極めて容易に予想することができたことは疑う余地がない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係るルイボス茶を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている引用商標と、同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 商標法第4条第1項第7号について
(1)被請求人は、請求人と同じくルイボス茶の販売・事業に従事し、請求人とは潜在的な競合関係にあり、遅くとも本件商標の登録出願前である2013年(平成25年)5月頃には、南アフリカ共和国、米国、カナダ、ポルトガル、韓国、シンガポール、中国、マレーシア、アラブ首長国連邦、スウェーデン、オーストラリア等、世界各国で、請求人らの商品に引用商標が使用され販売されていることを、各種受賞実績、新聞・雑誌の記事、宣伝広告、インターネット等を通じて十二分に知り得る状況にあった。
加えて、「red espresso」の語は一般的な英単語の組み合わせではなく、請求人が自社のハウスマークとして、ブランド名として採択した際に創作した、いわゆる造語であって、かかる造語商標と同一の綴り、かつ、語頭を含めて全て「小文字」で書された、構成上顕著な特徴を有する商標を偶然に採択することはありえない。
さらに、被請求人は、同じく請求人の主力商品に係る商標「red cappuccino」及び「red latte」と同一の綴り、かつ、語頭を含めて全て「小文字」からなる商標について、登録出願を行い、権利取得しており、客観的にも、請求人による請求人商品や複数の主力のバリエーション商品の日本での販売は阻止された状況であった。
このことは、ただ単に引用商標を知っていたというレベルを超え、極めて悪質なものであり、社会の一般的道徳観念に反するものといえる。
してみると、本件商標は、商標「red espresso」が我が国で登録されていないことを奇貨として、請求人の国内参入を妨害し、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的などの不正の目的をもって出願されたものと判断するのが相当である。
(2)まとめ
以上のとおり、本件商標に係る指定商品中、第30類「茶」についての登録は、その経緯において社会的相当性を欠くものであって、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものである。
また、本件商標の指定商品についての本件商標の使用は、社会公共の利益に反するというべきである。
よって、本件商標に係る指定商品中、第30類「茶」についての登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してなされたものである。
4 むすび
以上のとおり、本件商標に係る指定商品中、第30類「茶」についての登録は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にされるべきものである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、請求人の上記主張に対し、何ら答弁していない。

第5 当審の判断
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当すると主張しているので、以下検討する。
1 認定事実
請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)請求人と被請求人との関係について
請求人は、2005年創業のグラインド状・カプセル式などのルイボス茶及びその関連商品の製造販売を業とする南アフリカ共和国法人であり、創業以来、請求人名称の要部である「red espresso」の欧文字又は該文字を構成中に含む引用商標を、自らのハウスマークないし商号の要部として商品に使用するとともに、南アフリカ共和国をはじめ海外でも商標登録し、また、請求人商品のブランド名として使用し、該商品の製造・販売を行っていることが請求人のカタログやウェブサイト(請求人のヒストリー、請求人商品情報及び請求人の紹介記事など)等から推認できる(甲2?甲5、甲7、甲12の1?9)。
他方、被請求人は、2005年(平成17年)1月に創業され、ルイボス茶関連製品(ルイボスティーバッグ、ルイボス飲料)の卸売及び販売、ルイボス茶製品(OEM仕様)の企画及び製造、南アフリカ共和国産加工食品(フルーツジュース等)の卸売及び販売を行っている(甲20の1・4)。
また、被請求人の代表者であるA氏は、被請求人のウェブサイト(甲20の2)及びルイボス・マーケティング・リミテッドのウェブサイト(甲20の3)等の記載から、南アフリカ共和国出身の人物であって、「ルイボス界のトップメーカー」とされる南アフリカ共和国の「ルイボスリミテッド社」の100%子会社であるルイボス・マーケティング・リミテッドの代表も兼任しているといえる。
そうすると、請求人と被請求人とは、ルイボス茶関連の商品を取り扱っている同業者であり、被請求人の代表者が南アフリカ共和国出身であり、南アフリカ共和国在の「ルイボスリミテッド社」の子会社の代表をも兼任していることから、両社は、潜在的な競合関係があり、被請求人は、請求人及び請求人の引用商標を使用した請求人商品を容易に知ることができていたものといえる。
(2)引用商標の周知性について
ア 請求人商品は、革新的な側面を取り上げられ、南アフリカ共和国のフード・レビューの「New Product of 2006」を受賞、アメリカ・スペシャルティ・コーヒー協会の「Best New Product スペシャルティ飲料 2008/9年」を受賞、米国における「Top 10 New Product World Tea Expo 2008」、上海における「IUFoST Global Food Award Innovation 2008」、南アフリカ共和国における「Marketing Excellence Award 2009」を受賞している。
また、請求人商品は、南アフリカ共和国内の2006年頃からの新聞や業界紙、雑誌又はインターネットのウェブサイトにおいて、世界で初めての革新的なお茶のエスプレッソ又はエスプレッソのお茶として、また、新しいカテゴリーの飲み物として、取り上げられ(甲14の1?54、甲15)、南アフリカ共和国内の各地の主要なカフェやスーパーで手に入れられる人気商品であって、飲み方のバリエーションも紹介されている(甲14の12・13・23・25・38・55?62)。
そして、請求人は、2005年以降、現在に至るまで、カフェ、コーヒーショップやスーパーマーケット等の請求人商品の販売・提供場所において、販売促進のために、様々なマーケティング用資料・広告物を作成し、南アフリカ共和国のみならず、世界各国で頒布し、請求人商品やそのバリエーション商品の周知に努めてきた(甲17)と主張するが、マーケティング用資料・広告物を示すのみで、頒布の時期、範囲、回数等の事実が確認できない。
イ 以上からすると、引用商標は、2005年創業以来、請求人商品について使用し、南アフリカ共和国において、「New Product of 2006」、「Marketing Excellence Award 2009」を受賞し、主に南アフリカ共和国内の新聞、業界紙や雑誌などにおいて、請求人商品が掲載され、本件商標の登録出願時前に引用商標が使用されていることが認められる。
しかしながら、請求人商品については、南アフリカ共和国や日本をはじめとする各国における市場シェア、販売数量や販売金額、広告に関する頒布の時期、回数、範囲等が把握できる証拠の提出はないものであるから、請求人提出に係る証拠をもって、引用商標が請求人商品に使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、引用商標が日本国内外の取引者、需要者の間で請求人商品を表すものとして広く認識され、著名となっているとは認めることができない。
2 本件商標と引用商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「red espresso」の欧文字を標準文字で表してなるところ、「red」と「espresso」との間に1文字程度の間隔が設けられているとしても、同書、同大、等間隔で全体としてまとまりよく表されているものであることから、本件商標はその構成全体をもって一体のものとみるのが自然である。そうすると、本件商標からは、構成文字に相応して「レッドエスプレッソ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
他方、引用商標は、前記第2のとおり、「red espresso」の文字のみからなる商標及び「redespresso」の文字を含む商標(別掲)であるところ、引用商標からはいずれも「レッドエスプレッソ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
そうすると、本件商標は、引用商標と文字綴りを同じにし、さらに構成される欧文字を全て小文字で表されている点においても共通することから、外観及び称呼において類似するものであるから、本件商標と引用商標とは、類似の商標である。
3 商標法第4条第1項第19号の該当性について
上記1(2)のとおり、請求人提出に係る証拠をもって、引用商標が使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、引用商標が日本国内外の取引者、需要者の間で請求人商品を表すものとして広く認識され、著名となっているとは認めることができない。
そうとすれば、本件商標は、商標法第4条第1項第19号該当性の前提を欠くものといわなければならない。
したがって、本件商標の指定商品中、第30類「茶」についての登録は、商標法第4条第1項第19号に該当するとはいえないものである。
4 商標法第4条第1項第7号の該当性について
(1)商標法第4条第1項第7号の意義
商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は、商標登録を受けることができないとしている。ここでいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(a)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(c)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号、同18年9月20日判決参照)。
以下、本件商標が、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるかについて、上記判決の観点から検討する。
(2)検討
ア 上記1及び2によれば、以下のとおり認めることができる。
(ア)本件商標は、上記2のとおり、「red espresso」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的な印象を与える文字からなるものとはいえない。また、請求人から提出された資料をみても、本件商標を使用することが社会公共の利益や一般道徳観念に反するものとすべき事実は認められず、さらに、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められないうえに、特定の国や国民を侮辱し、又は国際信義に反する商標と認めるに足る事実もない。
(イ)一方、引用商標は、上記1(2)のとおり、本件商標の登録出願前である2005年頃には、請求人商品について請求人により使用が開始されていたといえ、南アフリカ共和国において、革新的な商品として「New Product of 2006」等を受賞し、各種新聞等で取り上げられている。
(ウ)被請求人は、上記1(1)のとおり、請求人と同じくルイボス茶関連の商品を取り扱う会社であって、その代表者は、南アフリカ共和国出身であり、請求人とは、潜在的な競合関係にあるといえ、被請求人は、請求人の引用商標を使用した請求人商品を容易に知ることができたものといえる。
イ 上記2によれば、本件商標「red espresso」は、引用商標と類似の商標と認められるところ、両者は文字綴りを同じくし、さらに構成される欧文字を全て小文字で表されている点も共通するものであり、また、「red espresso」の語が造語であることからすれば、被請求人が引用商標を知り得ることなく、偶然に本件商標を採択、使用したとは想定し難く、むしろ、被請求人は、請求人と同じルイボス茶関連の業務を行っており、請求人の販売に係る請求人商品を通して、引用商標の存在を知った上で、これが我が国において商標登録出願及び商標登録されていないことを奇貨として、剽窃的に出願したものというべきである。
以上よりすれば、このような行為に係る本件商標は、上記(1)中の(a
)ないし(d)には該当しないものの、(e)「当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」にあたるものであるから、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第30類「茶」についての登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものということはできないものの、同項第7号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標

(色彩については、請求人提出甲第2号証ないし甲第4号証を参照)

審理終結日 2019-05-17 
結審通知日 2019-05-21 
審決日 2019-06-03 
出願番号 商願2013-33161(T2013-33161) 
審決分類 T 1 12・ 22- Z (W30)
T 1 12・ 222- Z (W30)
最終処分 成立 
前審関与審査官 齋藤 貴博北口 雄基 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 小松 里美
岩崎 安子
登録日 2013-08-30 
登録番号 商標登録第5611428号(T5611428) 
商標の称呼 レッドエスプレッソ 
代理人 岩瀬 ひとみ 
代理人 船橋 理恵 
代理人 北村 周彦 
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