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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2018900240 審決 商標
無効2018890073 審決 商標
不服201810016 審決 商標
不服20187002 審決 商標
不服201810015 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W41
審判 査定不服 外観類似 登録しない W41
審判 査定不服 観念類似 登録しない W41
管理番号 1354153 
審判番号 不服2017-16900 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-14 
確定日 2019-07-10 
事件の表示 商願2016-100589拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「ありがとう」の文字を標準文字で表してなり,第41類「当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」を指定役務として,平成28年9月14日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願商標の拒絶の理由に引用した登録第5158466号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成19年4月12日に登録出願,第41類「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,セミナーの企画・運営又は開催,学校における教育,学習塾・専門学校・国家資格取得講座・小学校・中学校・高等学校・高等専門学校又は大学に関する情報の提供,健康に関する知識の教授に関する情報の提供,スポーツ施設の提供に関する情報の提供,美術品の展示,技芸・スポーツ又は知識の教授,学習塾における技芸の教授,セミナー・講演会・研修会・シンポジウムの企画・運営又は開催,写真撮影,出版物の企画・編集・制作」,並びに第35類,第39類,第40類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同20年8月8日に設定登録され,その後,同30年7月31日に,商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 当審の判断
(1)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,その商品等の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきところ,その際には,使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであり,しかもその商品等の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決参照)。
また,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合は,その構成部分を抽出し,当該部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されない。他方,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品等の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合等には,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標について
本願商標は,「ありがとう」の文字を標準文字で表してなるところ,該文字は,「感謝の意をあらわす挨拶語」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)の意味を有するものであるから,本願商標は,「ありがとう」の文字に相応して「アリガトウ」の称呼及び「感謝の意をあらわす挨拶語」といった程度の観念を生じるものである。
(3)引用商標について
引用商標は,別掲のとおり,上部が丸みを帯びて半円形状となっており,下に向かって幅が徐々に狭くなっている赤色の背景に,鈴を付けて右前足を挙げた招き猫の上半身と,当該招き猫の下部に左前足で支持されるように描かれた赤色で縁取りされた白色無地の扇形とで構成される図形(以下「招き猫の図形部分」という。)と,当該扇形の内側に黒色の明朝体風の書体で横一列に「ありがとう」の文字を配した結合商標と解されるものである。
そして,引用商標の構成中,「ありがとう」の文字部分は,図形の内部に記載されているものの,引用商標の中央下部に位置し,商標の横幅いっぱいの大きさがある白色無地の扇形の中というひときわ目立つ場所に,当該扇形の横幅全体を使うほどの大きさで,黒色の読み取りやすい書体で明瞭に記載されていることから,外観上,招き猫の図形部分とは一見して明確に区別して認識できるものである。また,「ありがとう」の語は,平仮名5文字からなる極めて平易なものであって,称呼しやすく,感謝の意を表す際に日常的に多用される馴染みのある言葉であることを考え合わせると,「ありがとう」の文字部分は,引用商標を見る者に強い印象を与えるとともに,その注意を強く引くものであるというのが相当である。
加えて,招き猫の図形部分と「ありがとう」の語とは,観念上,密接な関連性を有しているとはいい難く,称呼上も,一連一体となって特定の称呼を生じるとはいえないものである。
また,招き猫の図形部分及び「ありがとう」の文字部分は,引用商標の指定役務との関係において,当該役務の質等を表すものとはいえず,このほかに各部分が単独では出所識別機能を有しないと認めるに足りる事情も見当たらないものである。
以上からすると,招き猫の図形部分と「ありがとう」の文字部分とは,これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできず,当該図形部分と当該文字部分は,それぞれが独立して出所識別機能を有する要部となり得るものである。
そうすると,引用商標は,その構成中の「ありがとう」の文字部分を要部として抽出し,他人の商標と比較して,商標そのものの類否の判断をすることも許されるというのが相当である。
したがって,引用商標は,その全体から生じる「アリガトウ」の称呼及び「感謝の意を表す招き猫」といった程度の観念のほかに,その要部である「ありがとう」の文字に相応して,「アリガトウ」の称呼及び「感謝の意を表す挨拶語」といった程度の観念をも生じるものである。
(4)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標との類比について検討すると,外観においては,それぞれ上記(2)及び(3)のとおりの構成からなるところ,その全体の構成においては,両者は差異を有するものであるが,本願商標と引用商標の要部である「ありがとう」の文字とを比較すると,これらは,その書体が相違するものの,全て同じ平仮名からなるものであるから,外観上,近似するものである。
次に,称呼においては,両者は「アリガトウ」の称呼を同一にするものである。
そして,観念においては,両者は「感謝の意をあらわす挨拶語」の観念を同一にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標は,外観において近似し,称呼及び観念を同一にするものであるから,外観,称呼,観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(5)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,美術品の展示,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,運動施設の提供,写真の撮影」は,引用商標の指定役務中の第41類「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,セミナーの企画・運営又は開催,学校における教育,学習塾・専門学校・国家資格取得講座・小学校・中学校・高等学校・高等専門学校又は大学に関する情報の提供,健康に関する知識の教授に関する情報の提供,スポーツ施設の提供に関する情報の提供,美術品の展示,技芸・スポーツ又は知識の教授,学習塾における技芸の教授,セミナー・講演会・研修会・シンポジウムの企画・運営又は開催,写真撮影,出版物の企画・編集・制作」と,同一又は類似の役務である。
(6)小括
本願商標と引用商標は,前記(4)のとおり,互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり,かつ,前記(5)のとおり,本願商標の指定役務は,引用商標の指定役務と同一又は類似する役務を含んでいるものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)請求人の主張について
請求人は,引用商標について,「全体としてデザインとして統一性があり,招き猫が,来客に対して『来て頂いてありがとう』の意を伝えるモチーフを,『ありがとう』の文字を書した物(扇子の扇面形状の表示物)を左手に持った招き猫の図で表現したものであり,わざわざ『ありがとう』の文字と,『ありがとう』の文字を抜いた白色の表示物を左手に持った招き猫の図に分断して観察するのが妥当であるという特段の事情はない。」旨主張している。
しかしながら,引用商標は,前記(3)のとおりの構成からなるところ,その構成において「ありがとう」の文字部分は,そのほかの図形部分と外観上明確に区別して認識できる態様で記載されている上に,平仮名5文字の平易なものであって,我が国において馴染みのある称呼しやすい言葉であることからすると,引用商標に接する取引者,需要者に,強い印象を与えるとともに,その注意を強く引くものであることは明らかであるというのが相当である。
また,当該「ありがとう」の文字部分が,引用商標の指定役務との関係で,単独で出所識別機能を有しないと認めるに足りる事情を見いだすこともできない。
そうすると,引用商標の構成中から「ありがとう」の文字部分を抽出し,これをもって他の商標との類否を検討することは許されるものであるから,上記請求人の主張を採用することはできない。
(8)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標:色彩については,原本参照。)



審理終結日 2019-04-26 
結審通知日 2019-05-07 
審決日 2019-05-28 
出願番号 商願2016-100589(T2016-100589) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W41)
T 1 8・ 261- Z (W41)
T 1 8・ 263- Z (W41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 旦 克昌 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 真鍋 恵美
鈴木 雅也
商標の称呼 アリガトウ、アリガトー 
代理人 佐藤 富徳 

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