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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W30
審判 査定不服 観念類似 登録しない W30
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W30
管理番号 1354150 
審判番号 不服2018-10955 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-09 
確定日 2019-07-10 
事件の表示 商願2017-92913拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「癒しのタルト」の文字を標準文字で表してなり、第30類「タルト」を指定商品として、平成29年7月11日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4527957号商標(以下「引用商標」という。)は、「いやしの」の文字を標準文字で表してなり、平成13年2月13日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、同年12月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「癒しのタルト」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「癒し」の文字は、「いやすこと。治癒。」の意味を有する語として、「タルト」の文字は、「パイ生地またはビスケット生地を型に入れて焼き、クリームや果物をのせた菓子。」の意味を有する語として、いずれも一般によく知られた語であるから、本願商標を構成する「癒しのタルト」の文字は、両語を格助詞「の」をもって結合したものとして看取、理解されるとはいい得るものの、その構成全体をもって、熟語的な関連性があるものとして認識されるとまではいい難い。
また、本願商標の構成中、「癒しの」の文字は、上記意味を有する語であるものの、本願の指定商品「タルト」との関係においては、商品の品質などを表したものとして認識されることはなく、商品の出所識別標識としての機能を発揮し得るものである一方、「タルト」の文字は、その指定商品との関係においては、商品の普通名称と把握され、出所識別標識としての機能を発揮し得ないものであるから、本願商標にあっては、その構成中の「癒しの」の文字が、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、「癒しの」の文字と「タルト」の文字とを分離して観察することが、取引上、不自然であると思われるほどに不可分的に結合しているものとはいえない上、その構成中の「癒しの」の文字が、商品の出所識別標識として、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるものといえるから、当該文字を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して、商標そのものの類否を判断することが許されるものというべきである。
してみれば、本願商標は、その構成全体から「イヤシノタルト」の称呼を生じるほか、その構成中の要部たる「癒しの」の文字から「イヤシノ」の称呼を生じ、「いやすことについての。治癒という。」といった観念を生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「いやしの」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、その構成全体をもって特定の意味を有する単語などとして知られているものとはいえない一方、その構成中の「いやし」の文字についてみれば、その称呼と同音の「癒し」の文字が、上述のとおり、「いやすこと。治癒。」の意味を有する語として一般に広く知られていることから、当該「いやし」の文字について、需要者が「癒し」の文字を想起し、それを平仮名表記したものとして看取、理解する場合も少なくないとみるのが相当である。
そうすると、引用商標は、「癒し」の文字を平仮名表記してなる「いやし」の文字と格助詞「の」の文字とを結合してなるものとして認識され得るといえる。
してみれば、引用商標は、その構成全体から「イヤシノ」の称呼を生じ、「いやすことについての。治癒という。」といった観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標は、上記(1)のとおり、「癒しのタルト」の文字を標準文字で表してなるものであり、その指定商品との関係においては、その構成中の「癒しの」の文字が要部たり得るものであって、当該文字に相応する「イヤシノ」の称呼を生じ、「いやすことについての。治癒という。」といった観念を生じるものである一方、引用商標は、上記(2)のとおり、「いやしの」の文字を標準文字で表してなり、その構成全体から「イヤシノ」の称呼を生じ、「いやすことについての。治癒という。」といった観念を生じるものである。
そうすると、本願商標の要部である「癒しの」と引用商標との比較においては、両者は、「イヤシノ」の称呼及び「いやすことについての。治癒という。」といった観念を同じくするものである上、外観においても、漢字の有無という差異はあるものの、いずれも標準文字で表してなるものであって、その差異が視覚的にさほど強く印象付けられるとはいい難く、両者の類否に大きく影響を及ぼすものともいえないことからすれば、これらを総合勘案するときは、両者は、相紛れるおそれがあるというべきである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標である。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願の指定商品である第30類「タルト」は、引用商標の指定商品中、第30類「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,菓子及びパン」と同一又は類似するものである。
(5)請求人の主張について
請求人は、本願商標について、標準文字で一連一体に構成されているものであること、また、その構成中の「癒しの」の文字がいかなる「タルト」であるかを認識させるものであり、構成全体として「心や体が癒されるタルト」という観念を生じるものであることから、「タルト」の文字を省略して「癒しの」の文字のみから称呼、観念を生じることはあり得ない旨主張する。
しかしながら、本願商標が、標準文字により、「癒しのタルト」の文字を同じ書体及び大きさで、等間隔に表してなるものであるとしても、本願の指定商品との関係においては、「癒しの」の文字と「タルト」の文字とを分離して観察することが、取引上、不自然であると思われるほどに不可分的に結合しているとはいえない上、その構成中、「癒しの」の文字が、自他商品の識別標識として、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるものであって、当該文字を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して、商標そのものの類否を判断することが許されるといえることは、上記(1)のとおりである。
また、請求人は、「癒しの」の文字と他の文字とを組み合わせてなる過去の商標登録例や、識別力のある修飾語のみからなる商標と、その修飾語に食品の普通名称を組み合わせてなる商標が併存して登録されている例を挙げ、本願商標も一連一体のものとして登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる商標の登録例は、いずれも商標の構成態様を本願商標と異にするものであって、本願とは事案を異にするというべきものであるばかりでなく、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるものであるところ、本願商標と引用商標とは、上記(3)のとおり、類似の商標であるから、請求人の挙げた商標登録例があるからといって、それらが上記判断を左右するものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(6)まとめ
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2019-04-23 
結審通知日 2019-05-10 
審決日 2019-05-21 
出願番号 商願2017-92913(T2017-92913) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W30)
T 1 8・ 262- Z (W30)
T 1 8・ 261- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 駒井 芳子太野垣 卓中島 光 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 石塚 利恵
小田 昌子
商標の称呼 イヤシノタルト、イヤシノ、イヤシ 
代理人 梅村 莞爾 

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