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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1353395 
異議申立番号 異議2018-900079 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-30 
確定日 2019-07-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第6008718号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6008718号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6008718号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成29年6月16日に登録出願,第25類「寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,靴類,げた,草履類,運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),ウインドサーフィン用シューズ」を指定商品として,同29年12月11日に登録査定,同30年1月5日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下の1ないし21のとおりであり,いずれも,現に有効に存続しているものである。
1 登録第2704525号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和61年2月7日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成7年2月28日に設定登録,その後,同17年6月29日に第18類,第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
2 登録第2693723号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和61年2月7日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成6年8月31日に設定登録,その後,同17年9月14日に第9類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
3 登録第2693724号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲3のとおりの構成よりなり,昭和61年2月7日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成6年8月31日に設定登録,その後,同17年9月14日に第9類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
4 登録第2671515号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲3のとおりの構成よりなり,昭和61年2月7日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成6年6月29日に設定登録,その後,同17年8月17日に第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
5 登録第2609079号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲4のとおりの構成よりなり,昭和49年12月26日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成5年12月24日に設定登録,その後,同16年3月3日に第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
6 登録第1587778号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲4のとおりの構成よりなり,昭和49年12月26日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同58年5月26日に設定登録,その後,平成16年9月22日に第9類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
7 登録第1423465号商標(以下「引用商標7」という。)は,別掲4のとおりの構成よりなり,昭和49年12月26日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同55年6月27日に設定登録,その後,平成22年4月28日に第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
8 登録第2671514号商標(以下「引用商標8」という。)は,別掲5のとおりの構成よりなり,昭和61年2月7日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成6年6月29日に設定登録,その後,同17年8月17日に第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
9 登録第2693722号商標(以下「引用商標9」という。)は,別掲5のとおりの構成よりなり,昭和61年2月7日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成6年8月31日に設定登録,その後,同17年9月14日に第9類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
10 登録第2708505号商標(以下「引用商標10」という。)は,別掲6のとおりの構成よりなり,平成2年11月8日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同7年7月31日に設定登録,その後,同18年1月4日に第9類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
11 登録第2593080号商標(以下「引用商標11」という。)は,別掲6のとおりの構成よりなり,平成2年11月8日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同5年10月29日に設定登録,その後,同16年5月26日に第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
12 登録第4025668号商標(以下「引用商標12」という。)は,別掲6のとおりの構成よりなり,平成2年11月8日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同9年7月11日に設定登録,その後,同20年5月28日に第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
13 登録第4180654号商標(以下「引用商標13」という。)は,別掲6のとおりの構成よりなり,平成2年11月8日に登録出願,第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同10年8月21日に設定登録,その後,同20年11月5日に第14類,第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
14 登録第4376378号商標(以下「引用商標14」という。)は,別掲7のとおりの構成よりなり,平成10年6月26日に登録出願,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同12年4月14日に設定登録されたものである。
15 登録第4378318号商標(以下「引用商標15」という。)は,別掲7のとおりの構成よりなり,平成10年6月26日に登録出願,第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同12年4月21日に設定登録されたものである。
16 登録第4376377号商標(以下「引用商標16」という。)は,別掲7のとおりの構成よりなり,平成10年6月26日に登録出願,第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同12年4月14日に設定登録されたものである。
17 登録第5645150号商標(以下「引用商標17」という。)は,別掲8のとおりの構成よりなり,平成24年8月10日に登録出願,第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同26年1月24日に設定登録されたものである。
18 登録第2528490号商標(以下「引用商標18」という。)は,別掲9のとおりの構成よりなり,平成2年12月14日に登録出願,第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同5年4月28日に設定登録,その後,同16年12月15日に第14類及び第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。
19 登録第4522862号商標(以下「引用商標19」という。)は,別掲10のとおりの構成よりなり,平成12年4月6日に立体商標として登録出願,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,商標法第3条第2項の適用を受けて,同13年11月16日に設定登録されたものである。
20 登録第4522863号商標(以下「引用商標20」という。)は,別掲11のとおりの構成よりなり,平成12年4月6日に立体商標として登録出願,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,商標法第3条第2項の適用を受けて,同13年11月16日に設定登録されたものである。
21 登録第4522864号商標(以下「引用商標21」という。)は,別掲12のとおりの構成よりなり,平成12年4月6日に立体商標として登録出願,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,商標法第3条第2項の適用を受けて,同13年11月16日に設定登録されたものである。
以下,これらをまとめていうときは,単に「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第156号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号について
申立人の引用する3本のストライプを基本的構造とする商標(以下「3本線商標」という。)は,申立人の製造販売に係るスポーツシューズ,スポーツウェア等の取扱い商品について1949年から現在に至るまで継続的に使用されており,本件商標の登録出願時及び査定時には,申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして取引者及び需要者の間で全世界的に広く認識されていたものであって,その著名性の程度は極めて高い(甲2?150)。
申立人の使用に係る3本線商標は,その登録に係る3本線商標(引用商標1?21)の構成に限定されるものではなく,引用商標22として例示するとおり,3本線を構成するストライプに関して,輪郭線の形状(波形・楔形,直線,曲線),ストライプとその間隔の幅の広狭,ストライプの表面等に施されたデザイン,ストライプの配色などにおいて数多くの異なるデザインバリエーションが存在する(甲3?88,100,101,127?150)。
本件商標は,仮想垂直線に対して左方向に傾けた同幅で長さが等しい細長の長方形(「ストライプ」)2本を互いに平行に並べ,全体の外形が四角形である点で,引用商標1ないし4(又はその図形部分)及び申立人の使用に係る3本線商標の多くの類型と図形印象が類似することに加え,申立人の現実の使用に係る3本線商標に採択されているストライプの構成の様々なデザインのバリエーションの特徴を備えているものであり,申立人の3本線商標と類似性の程度が極めて高い。
本件商標の指定商品(本件指定商品)は,申立人が3本線商標を継続使用しているスポーツシューズ,スポーツウェア等の主要取扱い商品と同一又は類似のものである。
本件指定商品の取引界では,一般に,靴の甲の側面に商標を付す表示態様が多く採用されており,商標の構成の細部までを視認することが必ずしも容易ではない(甲99)。また,商品の地色等と商標部分を様々な異なる色の組み合わせで配色することも一般的に行われており,色彩によっては,商標の構成の細部が明確に看取されない場合がある(甲98)。さらに商標を被服,靴等のワンポイントマークとして付す使用態様も多く採用されている(甲98)。
このような取引実情を斟酌すれば,本件商標が使用された場合,商品の地色等との配色如何により,本件商標の着色例(甲156)が示すとおり,ほぼ同幅の「3本のストライプ」を均等間隔で互いに平行に並べた構成の商標として看者を印象づけるものとなり,申立人の3本線商標と相紛らわしい。また,ワンポイントマークとして使用された場合,商標部分の細部の構成を正確に視認することは必ずしも容易ではなく,ワンポイントマークとして使用されている申立人の3本線商標と判別することが困難である。
本件指定商品の最終需要者は一般消費者であり,その注意力の程度はさほど高いものとはいえない。
したがって,本件商標が指定商品に使用された場合,これに接した取引者,需要者は,申立人の商品出所識別標識として広く認識されている3本線商標を想起連想し,本件商標を申立人の使用に係る3本線商標(3本のストライプを基調とする商標)の一類型として認識し,当該商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的関連を有する者の業務に係る商品であると誤信することにより,その出所について誤認混同を生ずるおそれがあることが明らかである。
また,本件商標は,申立人の商品出所識別標識として極めて著名な3本線商標を直観させることにより,その信用力,名声及び顧客吸引力にフリーライドせんとするものといわざるを得ず,その登録及び使用により,申立人の3本線商標の出所表示機能が希釈化されることが明らかである
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は,申立人の商品出所表示として世界的に著名な3本線商標の信用力,顧客吸引力にフリーライドする不正な目的で採択使用されたものと推認せざるを得ない。
また,本件商標が指定商品に使用された場合,申立人の長年の企業努力及び宣伝活動によって,その業務に係る商品を表示するものとして周知著名に至っている3本線商標の出所表示機能が稀釈化され,申立人に経済的及び精神的損害を与えることは疑いない。
したがって,本件商標は,公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の目的,社会一般道徳及び国際信義に反するものであるから,公の秩序を害するおそれがある。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)3本線商標の周知著名性及び独創性の程度について
ア 証拠及び申立人の主張並びに職権調査によれば,以下の事実が認められる。
(ア)申立人は,1920年にスポーツシューズを開発し,1949年から自己の取扱いに係るスポーツシューズの左右側面に3本線商標を採択使用して以来(甲2の6),今日に至るまで該標章を使用している。
(イ)3本線商標を使用したスポーツシューズは,1952年のオリンピックヘルシンキ大会で西ドイツ選手によって着用されて以来,その後のオリンピック,世界選手権,欧州選手権等の国際試合における参加選手によって着用され,オリンピックにおいては,例えば1964年の東京大会から1976年のモントリオール大会までは,参加選手の80%以上により着用されている(甲7)。
(ウ)3本線商標は,スポーツシューズのみならず,スポーツウェア等の他のスポーツ用品にも使用されており,例えば,該標章を使用したサッカーユニホームは,世界各国の代表チームやプロリーグチームを初め,日本代表チームにも採択使用されている(甲41?43,87の2,88)。そして,申立人は,世界的なバスケットボール選手やテニスプレーヤー等と専属契約を締結し,自己のスポーツ用品を供与し広告に起用している(甲39,40)。
(エ)我が国においては,申立人の業務に係るポロシャツ,ティーシャツ,スウェットスーツ,帽子,運動靴,運動用特殊衣服(靴),かばん類等の商品について,1971年(昭和46年)頃から1998年(平成10年)頃までは申立人の日本における使用権者であったデサント株式会社を通じて販売され,1999年(平成11年)以降は,申立人の日本法人であるアディダスジャパン株式会社によって販売され,これらの商品及びその広告に3本線商標が使用されている(甲3?40,44?88,100,101,127?150)。
(オ)証拠(甲2?88,100,101,127?150)によれば,申立人の使用に係る3本線商標には,3本線を構成する平行四辺形・台形様図形等(以下「ストライプ」という。)に関して,その輪郭の形状(波形・楔形,直線,曲線),ストライプとその間隔の幅の広狭,ストライプの表面や余白部分に施されたデザイン(ステッチやパンチングによる模様,ライン入りや部分的な配色のデザイン,ストライプとストライプの間に付したパンチングの模様など),ストライプの配色などにおいて数多くの異なるデザインバリエーションが存在することが認められる。
イ 上記アの認定事実によれば,申立人は,1920年からスポーツシューズを開発,製造し,また,3本線商標を,1949年からスポーツシューズに使用し,その後,3本線商標が付された申立人の取扱いに係る商品は,各種競技の多くの選手に広範に使用され,スポーツウェア等のスポーツ関連用品についても使用する商標として,我が国を含む世界各国において長年にわたり継続して使用している。
そうすると,3本線商標は,申立人の業務に係る商品「スポーツシューズ,スポーツウェア,運動具」等の商品(以下「申立人商品」という。)を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,既に,我が国のスポーツ,ファッション関連分野の需要者の間に広く認識され,著名性を獲得している商標といえるものである。
また,3本線商標は,縦長の平行四辺形様図形を3本並べた構成又は単なる3本の線(帯状図形)のみで構成されるものであることからすると,独創性の程度は高いとはいえない。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
ア 本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,同幅で長さが等しく,左右の斜辺を鋸の歯形状にした,黒塗りの縦長の平行四辺形様図形2本(それぞれの中央部には破線とジグザグの実線が白で描かれている。)を,仮想垂直線に対し,左方向にやや傾け,上記平行四辺形様図形の幅に比して約半分程度の幅からなる空間を挟んで互いに平行に,仮想底辺に対し右上方向に並べた構成からなるものである。
イ 引用商標について
引用商標1及び2は,別掲2のとおり,仮想垂直線に対し,左方向にやや傾けた,左右の斜線を鋸の歯形状にした同じ長さからなる3本の黒塗り縦長の平行四辺形様図形を極めて狭い間隔をもって仮想底辺にそろうようにしたものである。
引用商標3及び4の構成中の図形部分は,別掲3のとおり,引用商標1及び2と同様に,仮想垂直線に対し,左方向にやや傾けた,左右の斜線を鋸の歯形状にした同じ長さからなる3本の黒塗り縦長の平行四辺形様図形を極めて狭い間隔をもって仮想底辺にそろうようにしたものである。
引用商標5ないし7は,別掲4のとおり,仮想垂直線に対し,左方向に僅かに傾けた,左右の斜線を鋸の歯形の輪郭で描いた縦長の平行四辺形様図形を,該図形の幅とほぼ同じ程度の間隔をもって仮想底辺に沿うように3本並べ,そのうちの左端に位置するものから右方向に向かって順次長くしていき,右端に位置するものを左端よりもわずかに長くした構成からなるものである。
引用商標8及び9の構成中の図形部分は,別掲5のとおり,左に行くに従い順次短くなる3つの黒塗りの縦長台形様図形を,仮想底辺で下部がそろい,頭部が一直線になるように,左に傾斜させて配したものである。
引用商標10ないし13の構成中の図形部分は,別掲6のとおり,左方向にやや傾けた黒塗りの3つの台形様図形を,右端のものを最も長くし,左に行くに従い順次短くなるようにし,仮想底辺で下部がそろうようにしたものである。
引用商標14ないし16は,別掲7のとおり,引用商標10ないし13の構成中の図形部分と同様に,左方向にやや傾けた黒塗りの3つの台形様図形を,右端のものを最も長くし,左に行くに従い順次短くなるようにし,仮想底辺で下部がそろうようにしたものである。
引用商標17の構成中の図形部分は,別掲8のとおり,引用商標10ないし13の構成中の図形部分と同様に,左方向にやや傾けた黒塗りの3つの台形様図形を,右端のものを最も長くし,左に行くに従い順次短くなるようにし,仮想底辺で下部がそろうようにしたものである。
引用商標18は,別掲9のとおり,仮想垂直線に対し,右方向に約45度傾けた細長の台形様図形を,極めて狭い間隔をもって3つ並べ,そのうちの左上端に位置するものを最も長くし,右下方向に向かって順次短くしていき,右下端に位置するものを最も短くした図形よりなるものである。また,3つの台形様図形の上底部と下底部の内側には,それぞれ輪郭に沿って線が引かれているものである。
引用商標19の上着の襟から両袖の側面及び引用商標20のズボンの両側面に描かれた図形部分は,別掲10及び11のとおり,黒塗りの長さ及び幅が均等な細長の帯状の図形を当該帯状の図形の幅とほぼ同じ幅の間隔をもって3本並べた構成からなるものである。
引用商標21は,別掲12のとおり,靴の両側面につま先に向かって傾けた3つの黒塗りの台形様図形を靴底で下部がそろうように配した構成からなるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標1ないし引用商標18及び引用商標21の構成中の各図形部分とを対比すると,両商標は,長短のある四辺形様図形等を複数本並べた構成の図形からなるという点において共通性があるといえる。
しかしながら,本件商標は,左方向にやや傾けた,左右の斜線を鋸の歯形状にした2本の細長い平行四辺形様図形(それぞれの中央部には破線とジグザグの実線が白で描かれている。)から構成されているのに対して,上記各引用商標の図形部分は,いずれも3本の細長い台形様図形等から構成されている点が相違し,構成する図形の数,破線とジグザグ線の有無において最も大きな差異が認められる。
さらに,本件商標と上記各引用商標の図形部分との間には,次のような特徴において構成上の差異のあることが認められる。
本件商標を構成する2本の平行四辺形様図形の中央部には破線とジグザグの実線が描かれ,全体の傾斜角度は急なものとして看取されるものである。
一方,引用商標1ないし引用商標4の3本の平行四辺形様図形は,均等な長さのものが並列しており,引用商標5ないし引用商標7の3本の平行四辺形様図形は,ほぼ均等な長さのものが並列して描かれているものである。
引用商標8ないし引用商標17の図形部分及び引用商標21の構成中の靴の側面に描かれた3本の台形様図形は,左側(引用商標21についてはつま先側)が短く表され,全体としてかなり急な傾斜角度を有する図形として看取されるものである。また,引用商標5ないし引用商標7を構成する3本の台形様図形には長短の差があるものの,視覚的には極めて僅かなものであって,むしろ3本の台形様図形が並列しているかのごとき印象を与えるものである。
そして,引用商標18は,3本の二重輪郭からなる台形様図形からなるものではあるが,各台形様図形が比較的狭い間隔で配置されていることから,むしろ,全体として,縞模様を有する一つの台形様図形であるかのごとき印象を与えるものである。
その他,本件商標と引用商標19及び引用商標20の構成中の帯状図形部分とを対比すると,それらを構成する図形の数及び形状のいずれもが相違し,黒色であること以外に共通点を見出すことはできない。
加えて,引用商標は,上記(1)イのとおり,3本線商標として周知著名なものであるから,需要者はその本数に着目するものであるといえ,2つの平行四辺形様図形からなる本件商標との違いは見極めることができ,簡潔な構成からなる両商標におけるその相違は大きいものといえる。
そうすると,本件商標と引用商標構成中の図形部分とは,その構成態様において明らかな差異を有しているものというべきであり,これらの差異は,比較的簡潔な構成からなるこれら商標の外観に与える影響は大きく,図形全体から受ける視覚的印象を異にするものであるから,これらを時と所を異にして離隔的に観察するも,外観において相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また,本件商標と引用商標との称呼及び観念についてみても,申立人の主張によれば,当該引用商標は3本のストライプを基本的構造とする商標であるとのことであるから,仮に「サンボンセン」あるいは「スリーストライプス」の称呼及び「3本線」の観念を生ずることがあったとしても,本件商標からは,直ちに特定の称呼及び観念を生ずることはないものというべきであるから,両者の称呼及び観念については類似するものではない。
したがって,本件商標と引用商標の外観,称呼及び観念を総合して考察すれば,本件商標と引用商標とは類似するものではなく,類似性の程度は低いものというべきである。
(3)本件商標の指定商品と申立人商品との関連性並びに商品の取引者及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品は,上記第1のとおり,「寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,靴類,げた,草履類,運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),ウインドサーフィン用シューズ」であるところ,これらは日用的に使用され,ファッションとしても用いられる商品であって,その需要者は一般の消費者である。
他方,申立人商品は,人が運動するときのみならず,ファッションの一環として着用されることもあり,その需要者はスポーツを行う者だけでなく一般の消費者も含まれるといえる。
本件商標の指定商品と申立人商品とは,その製造販売者も共通する場合があるといえることから,商品の取引者及び需要者を共通にすることも少なくないといえるものである。
(4)出所の混同を生ずるおそれについて
上記(1)のとおり,3本線商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人商品を表すものとして,我が国のスポーツ,ファッション関連分野の需要者の間に広く認識されていたものである。また,本件商標と引用商標とは,上記(2)のとおり,外観のみならず,称呼及び観念においても類似するものではなく,類似性の程度は低いものというべきである。
そして,例えば,スポーツシューズの側面に,様々な線状の図形を商標として付すことは一般に行われており,スポーツシューズを購入する際,需要者は側面のデザインに注意を払うことは普通のことといえる。また,引用商標は,「3本線商標」として周知著名なものであって,需要者は商標を構成する図形の本数に着目するものであり,2本線の商標とは明らかに異なるものと認識することから,本件商標の指定商品と引用商標が使用される商品とが関連性が高く,かつ,その需要者を共通にする場合があることを考慮しても,本件商標に接する需要者が,引用商標を想起又は連想することはないというのが相当である。
そうすると,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,その取引者,需要者をして,該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれのある商標ということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は,別掲1のとおりの構成からなるものであるから,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,きょう激又は他人に不快な印象を与えるような構成からなるものではなく,これをその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。
また,本件商標は,3本線商標と商品の出所について混同を生じさせるおそれはないから,引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)をするなどの不正な目的をもって使用するものとはいえず,他の法律によって,その商標の使用等が禁止されているものではないし,特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反するものでもない。
さらに,申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても,本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る証拠もない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 申立人の主張について
申立人は,本件指定商品の取引界では,商品の地色等と商標部分を様々な異なる色の組み合わせで配色することが一般的に行われていることから,本件商標が本件指定商品に実際に使用される際は,構成中の2本のストライプは商品本体の地色やパーツ等と配色されることが容易に推認される。この場合,本件商標は,その配色方法により,その着色例(甲156)のように,左右2本のストライプと中央1本のストライプを異なる色で配色した「3本のストライプ」として看取され,申立人の使用に係る3本線商標の一類型と酷似することが明らかである旨主張する。
そこで,本件商標が商品本体の地色と配色された場合について検討するに,一般に商品の地色は,表示された商標(本件の場合,2本の平行四辺形様図形)の周囲にも広がっているのが通常であるから,本件商標がその指定商品に現実に使用された場合を想定しても,それを見た需要者は,本件商標の構成そのままに,2本の平行四辺形様図形が付されたものと認識するものであって,わずか2本の図形から構成される本件商標にあっては,いずれが地色でいずれが商標構成部分かが紛らわしくなることもなく,平行四辺形様図形の間隙の地色を含めて3本で構成される図形と認識することはないというのが相当である。
なお,申立人の主張が,仮に2本の平行四辺形様図形の間隙に,それら2本の図形とも平行四辺形様図形外側の商品本体の地色とも異なる色が配され,3本で構成される図形からなる商標のように視認される場合を想定しているのであれば,そのように表された商標は,単色の2本の平行四辺形様図形から構成される本件商標の態様とは異なるものといわざるを得ない。
したがって,申立人の主張は,採用することができない。
4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 引用商標1及び2


別掲3 引用商標3及び4


別掲4 引用商標5ないし7


別掲5 引用商標8及び9


別掲6 引用商標10ないし13


別掲7 引用商標14ないし16


別掲8 引用商標17


別掲9 引用商標18


別掲10 引用商標19


別掲11 引用商標20


別掲12 引用商標21


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異議決定日 2019-07-04 
出願番号 商願2017-79942(T2017-79942) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 22- Y (W25)
最終処分 維持 
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 平澤 芳行
板谷 玲子
登録日 2018-01-05 
登録番号 商標登録第6008718号(T6008718) 
権利者 株式会社丸紅フットウェア
代理人 柳田 征史 
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