• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2013890028 審決 商標
不服2013650102 審決 商標
不服20207875 審決 商標
無効2017890071 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35414245
審判 全部申立て  登録を維持 W35414245
審判 全部申立て  登録を維持 W35414245
審判 全部申立て  登録を維持 W35414245
管理番号 1353391 
異議申立番号 異議2019-900046 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-02-04 
確定日 2019-07-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第6096368号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6096368号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6096368号商標(以下「本件商標」という。)は,「株式会社知財ランドスケープ」の文字を標準文字で表してなり,平成30年2月1日に登録出願,第35類,第41類,第42類及び第45類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として,同年10月19日に登録査定され,同年11月9日に設定登録されたものである。

2 引用商標
・商標:IPランドスケープ(標準文字:以下「引用商標」という。)
・登録出願日:平成29年4月26日
・設定登録日:平成29年12月1日
・指定商品及び指定役務:第16類,「工業所有権・著作権等の知的所有権に関する事業調査・分析又はこれらに関する情報の提供,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する市場調査・分析又はこれらに関する情報の提供,工業所有権・著作権等の知的所有権の実施に関する経営の診断若しくは事業の管理又はこれらに関する指導・助言,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」を含む第35類及び第36類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務並びに第45類「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,工業所有権に関する外国への手続の代理又は媒介,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する助言又は指導,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する情報の提供,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する技術的価値の評価,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する鑑定,工業所有権・著作権等の知的所有権の管理,工業所有権・著作権等の知的所有権に関する価値の証明並びに発明・考案・創作等の時期の証明,工業所有権等の知的所有権の先行調査及び分析,工業所有権のライセンスの契約の代理又は媒介,訴訟事件その他に関する法律事務(ただし、弁理士法において弁理士に許容されているものに限る。),法律事務に関する情報の提供,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介」

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第3条第1項第4号及び同法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として資料1ないし資料5(枝番号を含む。以下,甲第1号証ないし甲第5号証と読み替える。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第4号に該当することついて
ア 本件商標は,「株式会社知財ランドスケープ」の文字よりなるところ(甲1),その構成中の「株式会社」の文字部分は,会社形態の一つで会社法によって,その会社の商号の前か後ろには必ず入れなければならないとされているものである。
イ 一方,「知財ランドスケープ」の文字部分のうち,「知財」の文字部分は,「知的財産」又は「知的財産権」の略称であって,「IP」とも略記されるものである(甲2)。また,「ランドスケープ」の文字部分は,本来,「景観」(landscape)を意味する語ではあるが,その指定役務の分野においては,「知財」「IP」又は「知的財産」の語を冠して「知財ランドスケープ」「IPランドスケープ」又は「知的財産ランドスケープ」等として,知的財産を分析して将来の事業環境を予測し,どの分野ならば自社の強みを発揮できるかを探る知的財産を活用した経営戦略や知的財産の分析手法を意味し,その役務の内容や特徴を表すものとして普通に使用されているものである(甲3の1?11)。
加えて,「ランドスケープ」の文字は,会社名としても多数利用されている実情がある(甲5)。
ウ そうすると,本件商標は,その構成中の「株式会社」の文字が,会社形態の一つで,会社法によって商号の前か後ろには必ず入れなければならないとされている文字であり,一方,「知財ランドスケープ」の文字部分は,本件商標の指定役務が知的財産関連の役務であることをも勘案するならば,知的財産を活用した経営戦略や知的財産の分析手法を意味し,その役務の内容や特徴,ひいてはその事業内容を表すものとして認識されるにとどまるものであり,商号中にも,多数使用されている文字であるから,ありふれた名称を表示するものといえる。この点は,特許庁の審査基準においても,業種名等と商号や会社名の種類名を表す文字を結合させたものは,「ありふれた名称に該当すると判断する」としている。
そして,本件商標は,「株式会社知財ランドスケープ」を標準文字で表したものであるから,ありふれた名称普通に用いられる方法で表示した標章のみからなる商標といえる。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第4号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号に該当することについて
ア 本件商標は,上記(1)のとおり,商標法第3条第1項第4号に該当し,自他役務の識別力を有しないものではあるが,仮に上記(1)の主張が認められないとしても,引用商標との関係において,商標法第4条第1項第11号に該当する。
イ 商標の類否
(ア)本件商標は,「株式会社知財ランドスケープ」の文字よりなるところ,その構成中の「株式会社」の文字部分が会社法によって商号に入れなければならないとされている文字であるから,その要部は「知財ランドスケープ」の文字部分にあるということになる。
(イ)引用商標は,「IPランドスケープ」の文字よりなるものであり,本件商標の要部である「知財ランドスケープ」の文字部分とは,「ランドスケープ」の文字部分を共通にするものである。そして,両商標は,語頭の「知財」と「IP」の文字が異なってはいるが,その差異となっている「知財」と「IP」の文字とは,両商標の指定役務の分野においては,「知的財産権」の略語として,ともに親しまれているものであり,全体としてみた場合も,ともに「知的財産を分析して将来の事業環境を予測し,どの分野ならば自社の強みを発揮できるかを探る知的財産を活用した経営戦略や知的財産の分析手法」を意味するものとして普通に使用されている(甲2,甲3の1,甲3の2,甲3の4,甲3の5,甲3の7,甲3の8)。
加えて,引用商標の商標権者は,別途,「知財ランドスケープ」(商願2018-47669)の出願を行っているところ,当該出願については,商標法第3条第1項第3号に該当するとの拒絶理由通知がなされており,しかも,その根拠として「IPランドスケープ」の新聞記事をもとに商標の意味合いを認定していることからも,「知財ランドスケープ」と「IPランドスケープ」が同義の言葉として認識されていることがうかがえるといえる。
すなわち,両者の「知財」と「IP」の文字の外観上の差異及びそれに伴う語頭部の「チザイ」と「アイピイ」の称呼上の差異も,その指定役務の分野との関係を踏まえれば,商標の類否における全体への影響は,決して大きいものではなく,むしろ小さいものというべきである。
(ウ)そうすると,本件商標の要部である「知財ランドスケープ」の文字部分と引用商標とは,それらの外観,称呼,観念を総合的に考察すると,その差異である「知財」と「IP」の文字が全体に与える影響は大きくなく,むしろ,同じ意味合いを表す語として取引者,需要者に印象付けられ,認識されるものであるから,本件商標と引用商標とは,類似するものである。
(エ)しかも,本件商標と引用商標とは,その指定役務においても,同一又は類似であること明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号該当性について
ア 申立人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査(インターネット情報,新聞記事情報)によれば,本件商標の登録査定時において,「IPランドスケープ」及び「知財ランドスケープ」の語(文字)は,指定役務との関係においては,「知財を活用して経営戦略・事業戦略を策定し,これを実施する。」程の意味合いで用いられていることが認められる(甲3の2,甲3の4,甲3の5,甲3の7,甲3の8,職権調査)。
しかしながら,「IPランドスケープ」及び「知財ランドスケープ」の語が,上記意味合いを示す語として使用されている実情があるとしても,それらの語が,ある特定の事業や営業の種類(業種名)を表すものとして広く一般に理解されているとまで認め得る証拠は見いだせず,また,会社などの名称の一部に広く一般に使用されているというべき事情も見いだせない。
イ そうすると,「株式会社知財ランドスケープ」の文字からなる本件商標は,その構成中に,法人組織の種類を表す「株式会社」の語を有してなることから,全体として,「知財ランドスケープ」という特定の名称の会社を表したものと認識されるものではあるが,ありふれた名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第4号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は,上記1のとおり,「株式会社知財ランドスケープ」の文字からなるところ,上記(1)のとおり,その構成中に,法人組織の種類を表す「株式会社」の語を有してなることから,全体として,「知財ランドスケープ」という特定の名称の会社を表したものと認識され,いわゆる商号商標の一種として認識されるものというのが相当である。
ところで,いわゆる商号商標は,その構成全体をもって識別標識として機能することはもちろんのこと,簡易迅速が要請される取引の場面において,その構成中に含まれる法人組織の種類を表す語(「株式会社」,「有限会社」等)以外の文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないというのが取引の実情といえる。
そうすると,本件商標は,その構成中の「知財ランドスケープ」の文字部分をもって取引に資する場合があるといえる。
してみれば,本件商標は,その構成文字全体から「カブシキガイシャチザイランドスケープ」の称呼及び「知財ランドスケープという名称の株式会社」程の観念を生じるほか,その構成中の「知財ランドスケープ」の文字部分に相応して,「チザイランドスケープ」の称呼及び「知財を活用して経営戦略・事業戦略を策定し,これを実施する。」程の観念をも生じるものである。
イ 引用商標は,上記2のとおり,「IPランドスケープ」の文字からなるところ,その構成文字に相応して,「アイピイランドスケープ」の称呼を生じ,「知財を活用して経営戦略・事業戦略を策定し,これを実施する。」程の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について検討するに,本件商標と引用商標とは,その構成全体を比較すると,その文字数,語頭部における「株式会社」の文字の有無等において,明らかに異なるものであり,外観上,類似するものではない。また,本件商標の構成中の「知財ランドスケープ」の文字部分と,引用商標とを比較すると,文字商標における外観の識別上重要な要素である語頭部に「知財」と「IP」の文字の差異を有することから,両者は,視覚的な印象が相違し,外観上,類似するものではない。
次に,称呼においては,本件商標の構成文字全体から生じる「カブシキガイシャチザイランドスケープ」の称呼と引用商標から生じる「アイピイランドスケープ」の称呼とは,その音数,音構成において明らかに相違するものであり,それぞれを一連に称呼した場合,両者は,語調,語感を異にし,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。また,本件商標の構成中の「知財ランドスケープ」の文字部分から生じる「チザイランドスケープ」の称呼と引用商標から生じる「アイピイランドスケープ」の称呼とは,称呼の識別上重要な要素である語頭部において,「チザイ」と「アイピイ」の音の差異を有するものであって,両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合,語調,語感を異にし,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。
そして,観念においては,本件商標は,その構成文字全体から「知財ランドスケープという名称の株式会社」程の観念を生じ,かつ,その構成中の「知財ランドスケープ」の文字部分から「知財を活用して経営戦略・事業戦略を策定し,これを実施する。」程の観念をも生じるのに対し,引用商標は,「知財を活用して経営戦略・事業戦略を策定し,これを実施する。」程の観念を生じるものであるから,本件商標と引用商標とは,「知財を活用して経営戦略・事業戦略を策定し,これを実施する。」程の観念を共通にする場合がある。
そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において共通する場合があるとしても,外観においては,両者の構成文字に目立った差異を有するものであって,その印象が相違し,類似するものではなく,称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから,これらを総合して全体的に考察すれば,本件商標と引用商標とは,役務の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
エ 以上のとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから,両商標の指定役務の一部が同一又は類似のものであるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第4号及び同法第4条第1項第11号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標の指定役務
第35類「知的財産に関する事業・事業管理に関する調査・分析及びこれらに関する情報の提供,知的財産権に関する市場調査又はその市場調査の分析又はこれらに関する情報の提供,知的財産を活用するための経営の診断・指導・相談・助言及び情報の提供,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」
第41類「知的財産に関するフォーラム・シンポジウム・講演会・セミナーの企画・運営又は開催,知的財産権に関する研修の企画・運営又は開催,知的財産に関する人材育成及び能力開発のための教育,知的財産に関する知識の教授,知的財産に関する書籍の制作,知的財産に関する電子出版物の提供,セミナーの企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,書籍の制作,電子書籍の提供」
第42類「知的財産に関するウェブサイトの作成・保守及びこれらに関する情報の提供,コンピュータを用いて行う知的財産権データに関する情報処理,知的財産管理に関するコンピュータプログラムの設計・作成又はこれらに関するコンサルティング,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,ウェブサイトの作成又は保守」
第45類「知的財産に関する助言及びコンサルティング,知的財産権に関する調査・研究・分析及びこれらに関する情報の提供,知的財産に関する情報の収集・提供,知的財産の事業化のための仲介又はあっせん,知的財産に関連する契約に関する助言及び情報の提供,知的財産権の利用に関する契約の代理又は媒介,知的財産に関する先行調査,工業所有権に関する外国への手続の代理又は媒介,訴訟事件その他に関する法律業務についての情報の提供」

異議決定日 2019-07-01 
出願番号 商願2018-13120(T2018-13120) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W35414245)
T 1 651・ 262- Y (W35414245)
T 1 651・ 261- Y (W35414245)
T 1 651・ 14- Y (W35414245)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 平澤 芳行
渡邉 あおい
登録日 2018-11-09 
登録番号 商標登録第6096368号(T6096368) 
権利者 株式会社知財ランドスケープ 正林 真之
商標の称呼 チザイランドスケープ、ランドスケープ 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ