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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1353386 |
異議申立番号 | 異議2018-900172 |
総通号数 | 236 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-08-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-07-08 |
確定日 | 2019-07-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6033851号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6033851号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6033851号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成29年11月1日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,香料」を指定商品として、同30年3月15日に登録査定、同30年4月6日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の(1)ないし(5)であり、また、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する登録商標は、以下の(4)及び(5)であって、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5187787号(以下「引用商標1」という。) 商標:「ラボ」(標準文字) 登録出願日:平成20年5月9日 設定登録日:平成20年12月12日 指定商品:第3類「化粧品,香料類」 (2)登録第242626号(以下「引用商標2」という。) 商標:「らぼ」、「LABO」及び「ラボ」の文字を三段に横書きした商標 登録出願日:昭和7年7月16日 設定登録日:昭和8年4月20日 書換登録日:平成16年11月24日 指定商品:第3類「せっけん類」 (3)登録第4078611号(以下「引用商標3」という。) 商標:「LAB」及び「ラボ」の文字を二段に横書きした商標 登録出願日:平成7年11月2日 設定登録日:平成9年11月7日 指定商品:第3類「せっけん類」 (4)登録第4698350号(以下「引用商標4」という。) 商標:「Ci:Labo」の文字を横書きした商標 登録出願日:平成14年10月31日 設定登録日:平成15年8月8日 指定商品:第3類「せっけん類,化粧品,香料類」を含む第3類に属する商標登録原簿記載の商品 (5)登録第4698348号(以下「引用商標5」という。) 商標:「シーラボ」(標準文字) 登録出願日:平成14年10月31日 設定登録日:平成15年8月8日 指定商品:第3類「せっけん類,化粧品,香料類」を含む第3類に属する商標登録原簿記載の商品 以下、上記の引用商標1ないし3をまとめて「引用商標A」といい、引用商標4及び5をまとめて「引用商標B」といい、引用商標A及び引用商標Bをまとめて「引用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第56号証(枝番号を含む。なお、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略して記載する。)を提出した。 (1) 商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 本件商標は、「Be Labo」からなるところ、その外観は、英単語「Be」と「Labo」を組合せた英語的構成であるから、一般需要者はその観念が「実験室・研究室である」「実験室・研究室の存在」と認識し(甲12)、その称呼は、「ビーラボ」「ラボ」であると認識する。 イ 引用商標A 引用商標Aの観念はいずれも「実験室・研究室」を意味していること明らかであり(甲11)、一般需要者は両者を実質的に同じ意味と認識する。 そこで、本件商標と引用商標Aを比較すると、その自他商品識別機能を有する要部は、両者とも「Labo」「ラボ」の部分にあるから、両者は観念及び称呼において類似する。 ウ 引用商標B 引用商標4は「Ci:Labo」であるが、この商標は、申立人のハウスマークの一種であり、その由来は、申立人の会社名が創業者であるドクター城野の美容研究所であることを示すものとして「Dr.Ci:Labo」や「Ci:Labo」や「シーラボ」をハウスマークとしてネーミングされたものである(甲8)。 引用商標Bは、1999年2月、株式会社ドクターシーラボの設立以来、現在に至るまで19年間、ハウスマークとして長年にわたり継続して盛大に使用してきたものである。その間、申立人の会社は急速に拡大、成長し、2003年3月JASDAQ市場に株式上陸、2005年2月には東京証券取引所市場1部へ株式上場して更に発展、成長して、今や2017年度の年間売上高が429億円以上にも達するようになっており(甲9)、そのため化粧品業界のドクターコスメの分野では、リーディングカンパニーになっている。 したがって、業界では当該「Ci:Labo」や「シーラボ」は、申立人のハウスマークとして周知商標になっている(甲14?甲56)。 本件商標と引用商標Bとを比較すると、両者とも美容研究所の意味合い(イメージ)があって、しかも称呼において1音しか相違せず、語調が同じであるうえ、商標の要部が「Labo」「ラボ」の部分にあるので、本件商標と引用商標Bとは称呼及び観念において類似している。 (2) 商標法第4条第1項第15号について 化粧品業界では当該「Ci:Labo」や「シーラボ」は、申立人のハウスマークとして周知商標になっているのであり、本件商標と引用商標Bは類似している。 したがって、取引者や需要者において、本件商標を使用した商品と引用商標Bを使用した商品とは、あたかも何等かの関連があるとして同一の出所にかかる商品であるかの如く混同することが少なくないと判断されるから、本件商標は、他人の業務に係る商品と混合を生ずるおそれがある商標である。 4 当審の判断 (1)引用商標Bの周知性について ア 申立人の提出した証拠並びに同人の主張によれば、以下の事実を認めることができる。 (ア)申立人は、平成11年2月に申立人の前身である株式会社ドクターシーラボを設立し、アクアコラーゲンゲルをはじめとする、スキンケア製品の通信販売を開始し、平成27年12月に商号を「株式会社シーズ・ホールディングス」(申立人)に変更した(甲9)。 なお、申立人は引用商標Bを設立当初からハウスマークとして使用している旨述べるが、その証拠の提出はない。 (イ)さらに、株式会社ドクターシーラボは2003年3月にJASDAQ市場に株式上場し、2005年2月に東京証券取引所市場1部へ株式上場した。申立人の第19期(平成29年7月決算)の有価証券報告書によれば、売上高及び営業利益は、4,771,713(千円)であることの記載はうかがえるが、「2017年度の年間売上高が429億円以上にも達する」との主張の根拠となる記載は上記資料からは見い出せない(甲9)。 (ウ)株式会社ドクターシーラボが販売する化粧品(以下「申立人商品」という。)に引用商標5を付して使用している具体的事例として提出した写真(甲14?甲24)によれば、申立人商品に引用商標5を付して使用していることはうかがえるものの、それらの撮影日、撮影場所、撮影者等は明らかではない。 (エ)インターネット上の通信販売又はオンラインショップ(甲25?甲36)の記載によれば、甲第26号証においては申立人商品に引用商標4を付して使用し、甲第25号証及び甲第27号証ないし甲第36号証においては申立人商品とともに引用商標5を使用していることはうかがえるものの、その掲載日は明らかではない。 なお、甲第25号証及び甲第26号証については出力日(2018年6月29日)は記載されているが、その他の証拠と同様にその掲載日は明らかではない。 (オ)雑誌(甲37?甲50、甲52?甲56)において、申立人商品とともに引用商標5を使用していることはうかがえるものの、これらの雑誌は、2006年12月から2010年6月までに発行されたものであり、その掲載回数は2006年に1回、2007年に4回、2008年に3回、2009年に5回、2010年に6回と、5年間の合計でもわずか19回しかないうえ、当該雑誌の販売地域、販売数などは明らかではない。 なお、甲第51号証については、発行年等を示す表紙や奥付などは提出されていない該当ページのみの証拠であるから、これが雑誌であることを確認することはできない。 イ 上記アからすると、株式会社ドクターシーラボが申立人商品に引用商標Bを使用していることがうかがえるとしても、引用商標4についてはわずか1回の使用であって、その使用に係る日付も不明であることから、引用商標4を本件商標の登録出願日前に使用した事実は認められない。 また、本件商標の登録出願日前に申立人商品とともに引用商標5を使用した証拠は、雑誌(甲37?甲50、甲52?甲56)に19回掲載されたもののみであり、その掲載回数はさほど多いものとはいえないばかりか、そのほとんどが、他社の商品とともに掲載されているものであって、他社の商品と比較して申立人商品を印象付ける方法により、掲載されているというものでもないから、これらの雑誌の掲載によって、申立人商品のみが強く印象付けられるとは認められないし、さらに当該雑誌の販売地域、販売数なども明らかではない。 その他、申立人商品に係る引用商標Bの使用の事実を量的に把握することができる資料の提出はなく、我が国における販売数量等の量的規模を客観的かつ具体的に把握することはできない。また、引用商標Bが申立人商品に使用された取引実績や市場におけるシェアなども把握することができないから、引用商標Bの周知性の程度を推し量ることができないものといわざるを得ない。 そうすると、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標Bが、申立人(又は、株式会社ドクターシーラボ)の業務に係る商品「化粧品」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、別掲のとおり、多少図案化した「Be Labo」の欧文字を赤色で表してなるところ、その構成全体は、同一の書体をもって横一連に、外観上まとまりよく一体的に表されたものであるから、その構成中の「Labo」の文字部分のみが強く印象付けられるものとはいえない。また、本件商標全体から生じる「ビーラボ」の称呼も無理なく称呼し得るものである。 そして、上記のとおりの構成及び称呼を併せみれば、本件商標は、その構成全体として、一体不可分の商標というのが相当である。 また、本件商標は、「ある。存在する。」の意味を有する英語の「Be」と「実験室」の意味を有する英語の「laboratory」の略語である「Labo」を結合したものであるとしても、これら2語を結合することにより、親しまれた観念が生じるものではないことから、本件商標は、構成全体をもって、一種の造語を表したと認識されるというべきである。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ビーラボ」の一連の称呼のみを生じるものであって、特定の観念を生じないものというのが相当である。 イ 引用商標 (ア)引用商標A 引用商標1は、「ラボ」の文字を標準文字で表してなるから、その構成文字に相応して「ラボ」の称呼を生じるものといえる。 引用商標2は、上段に「らぼ」の平仮名、中段に「LABO」の欧文字、下段に「ラボ」の片仮名を三段に横書きしてなるところ、上段の平仮名及び下段の片仮名が中段の欧文字の読みを特定したものと無理なく理解できるから、引用商標2からは、「ラボ」の称呼が生じるものといえる。 引用商標3は、上段に「LAB」の欧文字、その下段に「ラボ」の片仮名を二段に横書きした構成からなるところ、下段の片仮名が上段の欧文字の読みを特定したものと無理なく理解できるから、引用商標3からは、「ラボ」の称呼が生じるものといえる。 そうすると、引用商標Aは、それらを構成する文字に相応して「ラボ」の称呼を生じる。 また、引用商標1の「ラボ」、引用商標2の「らぼ」「LABO」「ラボ」及び引用商標3の「LAB」「ラボ」の文字については、「ラボ」は「ラボラトリーの略」であること、「LABO」及び「LAB」は「実験室」の意味を有する英語の「laboratory」の略語であるとしても、当該各語が我が国において一般的に親しまれ知られているとはいえないことから、一種の造語と理解されるものである。 そうすると、引用商標Aは、いずれもその構成文字全体から「ラボ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (イ)引用商標B 引用商標4は、「Ci:Labo」の文字を横書きしてなるところ、その構成は、「Ci」と「Labo」の文字の間に「:」があるとしても、構成各文字は同書、同大、等間隔で表されており、視覚上、その構成全体をもって、まとまりある一体的なものとして看取、把握されるといえ、そのうちのいずれかの文字部分のみが強く印象付けられることはないとみるのが相当である。 また、引用商標4は、その構成全体から生じる「シーラボ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。 さらに、引用商標4は、その構成中、「Labo」の文字が「実験室」の意味を有する英語の「laboratory」の略語であるとしても、当該語が我が国において一般的に親しまれ知られているとはいえないことから、引用商標4は、その構成文字全体として、特定の意味合いを看取されることのない一種の造語と理解されるものである。 そうすると、引用商標4は、その構成全体が一体不可分のものとして認識されるものであり、その構成文字全体に相応して「シーラボ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。 引用商標5は、「シーラボ」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字よりは、直ちに親しまれた特定の語を想起させるものではなく、造語として認識されるものである。 そうすると、引用商標5は、その構成文字全体に相応して「シーラボ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである したがって、引用商標Bは、いずれもその構成文字から「シーラボ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標の類否について (ア)引用商標Aとの類否 本件商標と引用商標Aとを比較すると、両商標は、上記ア及びイ(ア)のとおりの構成からなるところ、構成態様及び構成文字数において明らかに相違するものであるから、両商標は、外観上、相紛れるおそれはない。 また、本件商標から生じる「ビーラボ」の称呼と引用商標Aから生じる「ラボ」の称呼とは、「ビー」の音の有無の差異があるから、称呼上、相紛れるおそれはない。 そして、両商標は、いずれも特定の観念は生じないことから、観念において比較できないものである。 そうすると、本件商標と引用商標Aとは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼が明らかに相違するから、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。 (イ)引用商標Bとの類否 本件商標及び引用商標Bとを比較すると、両商標は、上記ア及びイ(イ)のとおり、構成態様及び構成文字数において明らかに相違するものであるから、両商標は、外観上、相紛れるおそれはない。 また、本件商標から生じる「ビーラボ」の称呼と引用商標Bから生じる「シーラボ」の称呼とは、語頭における「ビー」と「シー」の音という明らかな差異があるから、称呼上、相紛れるおそれはない。 そして、両商標は、いずれも特定の観念は生じないことから、観念において比較できないものである。 そうすると、本件商標と引用商標Bとは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼が明らかに相違するから、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。 エ 小括 上記ウのとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標Bは、上記(1)のとおり、申立人(又は、株式会社ドクターシーラボ)の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日において、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されていたものと認めることができないものである。 また、本件商標と引用商標Bとは、前記(2)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、その類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標Bを連想、想起することはなく、該商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれのないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標)(色彩は、原本参照。) |
異議決定日 | 2019-07-02 |
出願番号 | 商願2017-144504(T2017-144504) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W03)
T 1 651・ 271- Y (W03) T 1 651・ 261- Y (W03) T 1 651・ 262- Y (W03) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大橋 良成 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
小田 昌子 小松 里美 |
登録日 | 2018-04-06 |
登録番号 | 商標登録第6033851号(T6033851) |
権利者 | 株式会社Kプロジェクト |
商標の称呼 | ビーラボ |
代理人 | 大津 洋夫 |