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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1353380 
異議申立番号 異議2018-900354 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-30 
確定日 2019-07-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6080399号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6080399号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6080399号商標(以下「本件商標」という。)は,「OPSO」の文字を標準文字で表してなり,平成29年11月24日に登録出願,第9類「コンピュータ周辺機器,デジタル画像処理用のコンピュータソフトウエア,電気アダプター,ソケット,プラグその他の電気接続具,電源アダプター,扉用のデジタル式錠,電池,データ同期用ケーブル,移動電話用のコンピュータアプリケーションソフトウエア」を指定商品として,同30年8月6日に登録査定,同年9月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標等
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するとして引用する商標は,「OPPO」の欧文字からなり(以下「使用商標」という。),中華人民共和国所在の「広東欧珀移動通信有限公司」などの業務に係る商品(スマートフォンなど)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとするものである。
(2)申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は次のとおりであり(以下,それらをまとめて「引用商標」という。),いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
ア 登録第5620482号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成25年1月8日に登録出願,第9類「バッテリーチャージャー,電池」を指定商品として,同年10月4日に設定登録されたものである。
イ 登録第6000742号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成25年1月8日に登録出願,第9類「コンパクトディスクプレーヤー,ラジオ,スピーカー,音声用カセットプレーヤー,ビデオテーププレーヤー,MP3プレーヤー,携帯電話機,未記録のオーディオ用テープ,未記録のビデオテープ,ヘッドホンと有線及び無線マイクロホンとオーディオミキサーとその他の附属品から構成されるオーディオ会議のための電気通信機械器具,ビデオカメラ及びその附属品,ビデオモニター及びその附属品,ビデオモニターとビデオカメラとビデオモニター用コントローラーとビデオカメラ用コントローラーとキャビネットとマイクロホンとその他の附属品で構成されるテレビ会議システムのための電気通信機械器具,ビデオプロジェクター及びその附属品,大型スクリーンビデオディスプレイユニット及びその附属品,カムコーダー,ヘッドホン,イヤホン,DVDプレーヤー,ネットワーク用電気通信機械器具,携帯電話機の附属品及びその他の電気通信機械器具,ビデオプリンター」を指定商品として,同29年12月1日に設定登録されたものである。
ウ 登録第2421827号商標(以下「引用商標3」という。)は,「OPSON」の文字をゴシック体で横書きしてなり,平成2年1月18日に登録出願,第10類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同4年6月30日に設定登録,その後,同14年11月13日に指定商品を第9類「理化学機械器具,光学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,測定機械器具」とする指定商品の書換登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に違反して登録されたものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は,中華人民共和国に所在する広東欧珀移動通信有限公司(Guangdong OPPO Mobile Telecommunications Corp.,Ltd)(以下「OPPO社」という。)及びその日本法人であるオッポジャパン株式会社(以下「オッポジャパン社」という。)並びにオッポデジタルジャパン株式会社(以下「オッポデジタルジャパン社」という。)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている使用商標に類似するものであり,またその商品はこれらに類似する商品に使用されるものに該当し,商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
ア 需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標について
OPPO社は,2003年に設立され,中国広東省に所在する会社であり,主にDVDプレイヤー,家庭用電気器具,デジタルミュージックプレーヤー,携帯電話機,スマートホン等を含む電気通信機械器具及び携帯情報端末を製造・販売している(甲5)。
OPPO社は,2008年に中国の携帯電話機市場に参入し,2011年には使用商標に係るスマートフォンの販売を開始した。広告には世界的に有名な俳優のレオナルドディカプリオを使い,一気に中国市場で人気を獲得した。この点については,日本においても記事に取り上げられた(甲6)。そして,OPPO社は2016年に中国のスマートフォン市場で売り上げのトップとなり(甲7),2017年から,スマートフォンの販売台数でアジア1位,世界4位のシェアを有している(甲8)。
OPPO社の「OPPO」ブランドのスマートフォン商品は,2014年から海外展開が進められ,東南アジア,欧州,米国,インド等で販売等され(甲9?甲11),2017年に東南アジアでは出荷台数が第2位となった(甲12)。これらの情報が本件商標の登録出願日前には日本において多数の記事に取り上げられた結果(甲13?甲18),使用商標は,スマートフォンを含む携帯情報端末商品について日本の需要者の間に広く認識された。
一方,OPPO社は,2013年にオッポデジタルジヤパン社を設立し,AV機器の展開を行っている(甲19)。2018年現在,日本のハイエンドブルーレイプレーヤ市場シェア1位を獲得している(甲20)。OPPO社は主にブルーレイプレーヤー,ヘッドフォン,ヘッドフォン用のケーブル等を含む電気通信機械器具並びに電線及びケーブルを販売している(甲21,甲22)。
さらに,OPPO社は2017年8月に携帯電話部門の子会社であるオッポジャパン社を設立し,2018年1月31日に,東京で記者会見を開き同年2月9日から日本国内でスマートフォンの販売に乗り出す旨を発表した(甲23?甲25)。
また,OPPO社は世界中において宣伝広告を行ってきた(甲26?甲33)結果,中国・日本を含む,世界中の国・地域の需要者の間に広く認識されるようになった。なお,本件商標の登録出願日前には,本拠地である中国及び日本以外に世界中に商標登録出願を行った(甲34)。
イ 類似する商標について
本件商標は,その文字「OPSO」により,「オプソ」の称呼を,使用商標は,「OPPO」の文字よりなるものであるから,「オッポ」又は「オポ」の称呼を生ずるものである。
両商標は,外観上,「P」と「S」が相違するものの,これ以外の欧文字はすべて共通している点から,両商標は外観上非常に紛らわしいものといえる。
また,両商標は,称呼の観点から,「オポ」と「オプソ」とが異なるものの,語頭の「オ」の部分が共通しており,語尾の「ポ」と「ソ」の母音はいずれも「オ」である点から,両商標が聴覚される際には非常に紛らわしいものといわざるを得ない。もっとも,「オプソ」を称呼する際には,「O-PU-SO」の「PU」の「U」の部分と,「SO」の「S」の部分が略音で称呼される傾向にある,「オプソ」の全体の称呼が「オッポ」に近い印象になる。
以上により,本件商標と使用商標とは,外観上,極めて類似するものであり,かつ,実際に聴覚される場合においても紛らわしいものであるから,両商標は類似するものであり,かつ,本件商標の指定商品と使用商標が使用されている商品も互いに類似するものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否について
本件商標は,「OPSO」の文字を横書きに,全体としてはまとまりよく一体的に表されているものである。本件商標は,「オプソ」の称呼を生ずるものであり,また,観念においては特に具体的な意味合いを有していない造語である。これに対して,需要者の間に広く認識されている引用商標1及び引用商標2は,アルファベット4文字「OPPO」を横書きにされたものであり,その称呼は「オッポ」又は「オポ」の称呼を生じる。
本件商標と引用商標1及び引用商標2は,外観上,「P」と「S」が相違するものの,これ以外の欧文字はすべて共通している点から,非常に紛らわしいものといえる。
また,称呼の観点から,「オポ」と「オプソ」とが異なるものの,語頭の「オ」の部分が共通しており,また,本件商標と引用商標1及び引用商標2は,語尾の「ポ」と「ソ」の母音はいずれも「オ」である点から,聴覚される際には非常に紛らわしいものといわざるを得ない。もっとも,「オプソ」を称呼する際には,「O-PU-SO」の「PU」の「U」の部分と,「SO」の「S」の部分が略音で称呼される傾向にある,「オプソ」の全体の称呼が「オッポ」に近い印象になる。
以上により,本件商標と引用商標1及び引用商標2とは,外観上で極めて類似するものであり,かつ,実際に聴覚される場合においても紛らわしいものであるから,類似する。
そして,引用商標1及び引用商標2の指定商品は,本件商標と抵触する部分のほか,生産部門,販売部門が一致し,需要者の範囲もほぼ共通しているため,互いに類似する。
イ 本件商標と引用商標3との類否について
引用商標3は,「OPSON」の文字を横書きしたものであり,特定な書体で表されている。全体としてはまとまりよく一体的に表されているものであり,特定な観念を生じない造語である。引用商標3はその構成より,「オプソン」の称呼を生じる。一方,本件商標は,「OPSO」の文字を横書きに,全体としてはまとまりよく一体的に表されている。本件商標の文字部分により,「オプソ」の称呼を生ずるものであり,また,観念においては特に具体的な意味合いを有していない造語である。
両商標の構成を比較する場合,本件商標の語尾に「N」が存在しない点のみが相違点であるが,これ以外に異なる部分がほぼ存在しない。
本件商標は,引用商標3に比べ,語尾の「N」の部分が存在していない点から,引用商標3の「オプソン」の称呼の「ン」の部分が本件商標では称呼されないのが確かだが,称呼全体においては,「ン」の部分が語尾に所在し,かつその音量においてはその部分の有無により商標全体の音量に対して大きな影響を与えるものではない。聴覚上,「ン」は明瞭でなく響きの弱い音ということが可能である。これ以外の部分,「オ」,「プ」及び「ソ」はそれぞれの母音又は子音が称呼される際には明瞭でかつ称呼の全体に大きな音量及び多くの音節数を示している部分に該当する。かかる状況では,「オプソン」と「オプソ」とは聴覚される際に,特に普通又はやや小さい音量で称呼される場合には,互いに極めて混同されやすいといわざるを得ない。
また,本件商標は,外観上,引用商標3とは単に「N」を一文字欠く程度の相違しかなく,非常に紛らわしいものといえる。
一方,本件商標の指定商品については,引用商標3は第9類の「理化学機械器具,光学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,測定機械器具」を含むものとして,取引実情においては,生産部門,販売部門が一致し,需要者の範囲も共通していることが十分に考えられる。したがって,両商標の指定商品は,互いに類似する商品に該当する。
ウ 小括
以上により,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 使用商標の周知性について
(ア)証拠及び申立人の主張並びに職権調査によれば,以下の事実が認められる
a OPPO社は,2003年(平成15年)に設立された法人であって,東南アジア,欧州,米国などで主にスマートフォンの製造販売を行っており(甲5,甲8),2016年(平成28年)の中国におけるスマートフォン出荷台数では1位,2017年(平成29年)現在のスマートフォン市場における販売台数ではアジア1位,世界4位のシェアを有している(甲5,甲7,甲8,甲15?甲18,甲20,甲23,甲24)。
b OPPO社は,2017年(平成29年)8月に子会社であるオッポジャパン社を設立し,オッポジャパン社は2018年(平成30年)2月から我が国においてスマートフォンの販売を開始し,現在も販売しており,当該スマートフォンには使用商標が付されている(甲5,甲8,甲20,甲24,職権調査)。
c オッポデジタルジャパン社は,我が国において,2013年(平成25年)に設立し,2018年(平成30年)以前からブルーレイプレーヤー,ヘッドフォン,ヘッドフォン用のケーブル等を販売しており,それら商品には使用商標が付されている(甲5,甲8,甲19,甲21,甲22)。
そうすると,オッポデジタルジャパン社に係るブルーレイプレーヤー,ヘッドフォン,ヘッドフォン用のケーブル等は,オッポデジタルジャパン社が設立された平成25年頃から販売が開始されたものと推認され,スマートフォンについては,平成30年2月から我が国において販売が開始されたものと認められる。
d 我が国の新聞やインターネットにおいて,本件商標の登録出願日前に,スマートフォンに関するOPPO社に係る記事を掲載しているものがある(甲6,甲7,甲9?甲11,甲13,甲15?甲18)。
e しかしながら,OPPO社,オッポジャパン社及びオッポデジタルジャパン社(以下,3社をまとめて「申立人等」という。)の取扱いに係る使用商標を付した商品(スマートフォンなど)の我が国における販売台数,売上額など販売実績を示す証拠は見いだせない。
なお,日本経済新聞の記事(甲20)には,オッポデジタルジャパン社がハイエンドブルーレイプレーヤ市場で1位のシェアを持つ旨の記載があるが,ハイエンドブルーレイプレーヤ市場に係る需要者がどの程度の人数で,どの程度のシェア(%)を占めるかは明らかでないから,該記載が,申立人等販売実績を示すものとは認められない。
(イ)上記(ア)の事実からすれば,申立人等に係る商品は,ブルーレイプレーヤー,ヘッドフォン,ヘッドフォン用のケーブル等を販売が,オッポデジタルジャパン社が設立された平成25年頃に販売が開始されたものと推認され,そして,スマートフォンについては,平成30年2月から我が国において販売を開始されたものであるから,それらの販売期間は,6年程度であって,長いものということはできない。
また,本件商標の登録出願日前に新聞やインターネットにおいてスマートフォンに関する申立人等に係る記事が掲載された回数は,7年弱の期間に10回程度と少なく,さらに,申立人等の商品の我が国における販売実績を示す証拠は見いだせないから,使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人等の業務に係る商品(スマートフォンなど)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(ウ)申立人は,中国や世界におけるスマートフォンの出荷実績などを主張し,使用商標が我が国において周知である旨主張する。
しかしながら,外国における事情が,我が国における需要者の認識に直接反映されるものとはいい難いから,申立人の上記主張は採用できない。
(エ)以上よりすると,使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 本件商標と使用商標との類否について
本件商標は,上記1のとおり,「OPSO」の文字からなるところ,該文字は辞書に掲載されていない文字であって,特定の意味合いを有しない造語といえるものである。
そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して,「オーピーエスオー」及び「オプソ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
使用商標は,上記2(1)のとおり,「OPPO」の文字からなるものであるところ,該文字は辞書に掲載されていない文字であって,特定の意味合いを有しない造語といえるものである。
したがって,使用商標は,その構成文字に相応して,「オーピーピーオー」及び「オッポ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
そこで,本件商標と使用商標の類否を検討すると,両商標は,外観において,3文字目における「S」と「P」の文字の有無という顕著な差異を有するから,外観上,判然と区別することができるものである。
次に,称呼においては,本件商標から生じる「オーピーエスオー」の称呼と使用商標から生じる「オーピーピーオー」の称呼とは,中間部における「エス」と「ピー」の差異音を有するものであり,両称呼は,共に一連の成語を形成するものではなく,欧文字4文字を羅列してなるものであって,このような場合,発音に際しては一気一連というよりも,一文字一文字を区切って明確に発音されるのが常といえるから,明瞭に聴別し得るものである。
そして,本件商標から生じる「オプソ」の称呼と使用商標から生じる「オッポ」とは,語尾部における「プソ」と促音を伴う「ポ」の音の差異を有し,短い音構成において,「プソ」と「ポ」の音の有無の相違が両称呼全体に与える影響は大きく,それぞれを一連に称呼するときは,語調,語感が相違し,明瞭に聴別し得るものである。
さらに,「オーピーエスオー」と「オッポ」及び「オプソ」と「オーピーピーオー」の称呼とは,語頭における「オ」の音以外の音に差異を有するから,それぞれを称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。
また,観念においては,両商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,比較することができない。
そうすると,本件商標と使用商標とは,外観,称呼において相紛れるおそれがなく,観念において比較できないものであるから,両者の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
ウ 小括
使用商標は,上記アのとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,上記イのとおり,本件商標と使用商標とは非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と使用商標が使用されている商品が類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標1及び2との類否
本件商標は,上記(1)イのとおり,「OPSO」の文字からなり,「オーピーエスオー」及び「オプソ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
引用商標1及び2は,別掲のとおり,いずれも「OPPO」の文字をややデザイン化して表してなるところ,その構成文字に相応して,「オーピーピーオー」及び「オッポ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
そうすると,本件商標と引用商標1及び引用商標2とは,上記(1)イと同様の理由により相紛れるおそれのない非類似の商標ということができる。
イ 本件商標と引用商標3との類否について
本件商標は,上記(1)イのとおり,「OPSO」の文字からなり,「オーピーエスオー」及び「オプソ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
引用商標3は,上記2(2)ウのとおり,「OPSON」の文字からなるところ,その構成文字に相応して,「オプソン」の称呼を生じるものである。そして,該文字は,辞書に掲載されていない文字であって,特定の意味合いを有しない造語といえるものであるから,特定の観念を生じるものではない。
したがって,引用商標3は,「オプソン」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
そこで,本件商標と引用商標3の類否を検討すると,両者は,外観においては,語尾における「N」の文字の有無という顕著な差異を有するから,外観上,判然と区別することができるものである。
次に,称呼についてみると,まず本件商標から生じる「オーピーエスオー」の称呼と引用商標3から生じる「オプソン」の称呼とは,その構成音数,構成音の差異により,明瞭に聴取し得るものである。
また,本件商標から生じる「オプソ」の称呼と,引用商標3ら生じる「オプソン」の称呼とは,語尾において「ン」の音の有無という差異を有し,前者は3音,後者は4音という短い音構成において,「ン」の音の有無の相違が両称呼全体に与える影響は大きく,それぞれを一連に称呼するときは,語調,語感が相違し,明瞭に聴別し得るものである。
さらに,観念においては,本件商標と引用商標3は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,比較することができない。
そうすると,本件商標と引用商標3とは,外観,称呼において相紛れるおそれがなく,観念において比較できないものであるから,両者の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
ウ 本件商標と引用商標に係る指定商品の類否
(ア)本件商標と引用商標1に係る指定商品の類否
本件商標の指定商品と,引用商標1の指定商品とは同一又は類似する。
(イ)本件商標と引用商標2に係る指定商品の類否
本件商標の指定商品の「コンピュータ周辺機器,デジタル画像処理用のコンピュータソフトウエア,電気アダプター,ソケット,プラグその他の電気接続具,電源アダプター,扉用のデジタル式錠,電池,データ同期用ケーブル,移動電話用のコンピュータアプリケーションソフトウエア」は,電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素にしている「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品,電力を配給すること,制御することを目的とした「配電用又は制御用の機械器具」の範ちゅうに属する商品,電気を使って施錠解錠ができる鍵,化学的な反応によって起電力を発生させる装置,データ同期処理用のケーブルである。
一方,引用商標2に係る指定商品の「コンパクトディスクプレーヤー,ラジオ,スピーカー,音声用カセットプレーヤー,ビデオテーププレーヤー,MP3プレーヤー,携帯電話機,未記録のオーディオ用テープ,未記録のビデオテープ,ヘッドホンと有線及び無線マイクロホンとオーディオミキサーとその他の附属品から構成されるオーディオ会議のための電気通信機械器具,ビデオカメラ及びその附属品,ビデオモニター及びその附属品,ビデオモニターとビデオカメラとビデオモニター用コントローラーとビデオカメラ用コントローラーとキャビネットとマイクロホンとその他の附属品で構成されるテレビ会議システムのための電気通信機械器具,ビデオプロジェクター及びその附属品,大型スクリーンビデオディスプレイユニット及びその附属品,カムコーダー,ヘッドホン,イヤホン,DVDプレーヤー,ネットワーク用電気通信機械器具,携帯電話機の附属品及びその他の電気通信機械器具,ビデオプリンター」は,電気の作用をその機械器具の機能の本質的な要素にしている「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する商品である。
そうすると,本件商標の指定商品と引用商標2の指定商品とは,その生産部門,販売部門,商品の性質,用途,需要者の範囲を踏まえて総合的に考慮したとしても,それらの商品に同一又は類似の商標を使用する場合でも,同一の営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるものではなく,互いに類似する商品とはいえない。
(ウ)本件商標と引用商標3に係る指定商品の類否
本件商標の指定商品は,上記(イ)のとおりの商品である。
引用商標3に係る指定商品の「理化学機械器具,光学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,測定機械器具」は,自然科学の研究用又は実験用に専ら使用される機械器具,光の屈折・反射などの性質を応用した機械器具,写真撮影のための機械器具,映画の撮影・現象・仕上げ・録音・映写等に専用される機械器具である。
そうすると,本件商標の指定商品と引用商標3の指定商品とは,その生産部門,販売部門,商品の性質,用途,需要者の範囲を踏まえて総合的に考慮したとしても,それらの商品に同一又は類似の商標を使用する場合でも,同一の営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるものではなく,互いに類似する商品とはいえない。
エ 小括
上記ア及びイのとおり,本件商標は引用商標のいずれとも非類似の商標であって,上記ウ(ア)のとおり,本件商標の指定商品と,引用商標1の指定商品とは同一又は類似するとしても,上記ウ(イ)(ウ)のとおり,本件商標の指定商品と,引用商標2及び3の指定とは非類似の商品である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第11号のいずれにも該当するものではなく,その登録は同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標1及び引用商標2)


異議決定日 2019-06-27 
出願番号 商願2017-154617(T2017-154617) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 25- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 伊藤 文華安達 輝幸 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 平澤 芳行
大森 友子
登録日 2018-09-14 
登録番号 商標登録第6080399号(T6080399) 
権利者 シェンチュン オーピーエスオー テクノロジー カンパニー リミテッド
商標の称呼 オオピイエスオオ 
代理人 崔 海龍 
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所 

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