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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1353372 
異議申立番号 異議2018-900072 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-23 
確定日 2019-07-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第6009212号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6009212号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6009212号商標(以下「本件商標」という。)は、「ポリリンコンクール」の文字を標準文字で表してなり、平成29年5月15日に登録出願、第3類「歯磨き,歯用漂白剤,口内洗浄剤及び口内すすぎ剤(医療用のものを除く。),せっけん類,化粧品,香料,口臭用消臭剤」を指定商品として、同年12月5日に登録査定、同30年1月5日に設定登録されたものである。

2 引用商標及び使用標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する登録商標及び申立人が使用する標章は、以下のとおりである。
(1)登録第2300458号商標(以下「引用商標」という。)は、「CONCOOL」の欧文字と「コンクール」の片仮名を上下二段に書してなり、昭和63年10月25日に登録出願、第4類「せつけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成3年1月31日に設定登録され、その後、同14年2月6日に指定商品を第3類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする書換登録がされ、さらに、同23年2月8日に区分を減縮する商標権の存続期間の更新登録がされた結果、指定商品については、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,薫料」とされたものである。
(2)申立人が使用する標章は、「ConCool」の文字からなるもの(以下「使用標章」という。)であり、申立人の子会社であるウエルテック株式会社(以下「ウエルテック」という。)が商品「マウスウォッシュ(洗口液)」(以下「洗口液」という場合がある。)に使用した結果、取引者及び需要者の間に広く認識されるに至っていると申立人が主張するものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第53号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成中の「ポリリン」の文字部分は、歯のホワイトニングに有効な「ポリリン酸」を意味し、指定商品との関係において、原料を表示するにすぎず、自他商品識別機能を発揮しないものであり、その構成文字全体から生じる「ポリリンコンクール」の称呼は9音と冗長であることから、その全体の構成に相応して「ポリリンコンクール」の称呼が生じるほか「コンクール」の称呼も生じる。
一方、引用商標は、前記2の構成に相応して、「コンクール」の称呼が自然に生じる。
また、ウエルテックの日本全国における長期にわたった使用実績によって、引用商標は、「洗口液」に係る取引者及び需要者において、「コンクール」の称呼とともに、広く一般に知られるに至っている。
本件商標と引用商標とを対比をしてみると、両商標の全体の外観が一見して相違することや、観念において対比できないことは明らかであるが、称呼においてみると、ともに「コンクール」の称呼が生じるものであるから、本件商標と引用商標とは、その称呼を共通にする類似の商標である。
加えて、引用商標が、実際の取引の場において「コンクール」の称呼をもって広く認知されていることを踏まえると、引用商標には大きな信用が化体し、非常に強い識別力があるといえ、本件商標が構成中に「コンクール」の文字を有することをもって、本件商標と引用商標とは、「出所を同じくする商品に使用される商標」と認識される程に類似した商標である。
以上に加え、本件商標と引用商標とは、その指定商品においても、抵触するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標と使用標章とは実質的に同一のものであり、使用標章は、「洗口液」の取引者及び需要者において広く知られるに至っている(甲25?甲53)。
そして、本件商標と使用標章はその称呼において共通し、類似することは明らかである。
そうすると、本件商標がその指定商品について使用された場合には、それがあたかも申立人あるいは申立人の子会社であるウエルテックに係る商品であると、もしくは、申立人やウエルテックと経済的、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると、取引者及び需要者において、誤認混同を生じる蓋然性が非常に高いものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)使用標章の周知性について
ア 申立人の提出した甲各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)ウエルテックは、1967年に申立人の事業部として創業し、その後、申立人のグループ会社(子会社)として、予防歯科製品の販売の事業を行っている(甲23、甲24)。
(イ)ウエルテックは、使用標章を付した「洗口液」(以下「使用商品」という。)を1990年から発売しており、使用商品を紹介するウエルテックのウェブサイトには、「ムシ歯、歯周病を予防したい方へ」、「内容量:100mL」、「本体価格:1,000円(税抜)」の記載及び入手方法として「『コンクールF』のお求めは、お近くの歯科医院へ。」の記載がある(甲25、甲26)。
(ウ)A社が発行した「歯科機器・用品年鑑」(2016年版(26版))によれば、2012年度から2015年度における医薬部外品洗口液のメーカー別販売実績において、ウエルテックの販売金額及びそのシェアは、それぞれ、6億4千万円ないし8億2千万円及び75.7%ないし77.2%である。また、製品は「コンクールF」で20数年以上の実績を持っている旨の記載がある(甲27)。
(エ)2016年に発行された、「nico」、「DHstyle」、「別冊Quintessence 小児歯科・デンタルホーム YEARBOOK 2016」(甲36?甲38)の歯科向けの医療系専門雑誌には、使用商品の広告が掲載されている。
(オ)インターネットのウェブサイトにおいて、使用商品が紹介されている(甲43、甲49?甲53)。
例えば、甲第43号証には、使用商品の写真とともに「歯医者さんが勧めるコンクールfって市販のモノとどう違うの?」の記載があり、また、甲第52号証には、「Amazon.co.jp ほしい物ランキング」の「マウスウォッシュのほしい物ランキング」及び「Amazon.co.jp 人気ギフトランキング」の「マウスウォッシュの人気ギフトランキング」においてそれぞれ第1位に「コンクールF」の文字とともに使用商品の写真が掲載され、さらに、「Amazon.co.jp 売れ筋ランキング」の「マウスウォッシュの売れ筋ランキング」の第2位に「コンクールF」の文字とともに使用商品の写真が掲載されている。
イ 上記アからすれば、以下のとおりである。
使用商品は、ウエルテックにより1990年から現在に至るまで、主に歯科医院を通じて販売されている。
そして、「歯科機器・用品」の医薬部外品洗口液の市場(2012年度から2015年度)における販売金額、販売実績では、ウエルテックは平均約7億5千万円及び76.7%であり、販売金額、販売実績とも医薬部外品洗口液の市場では第1位であることは認められるものの、ウエルテックの販売に係る医薬部外品洗口液の種類等の詳細は不明であり、これらが全て使用商品の販売金額、販売実績であるとは確認できない。
また、2013年12月4日?24日、2014年12月3日?18日及び2015年11月20日?12月2日の期間における「『コンクール』の日本全国におけるシェアが高いことを示す予防歯科用品取扱い調査『WEB編』」(甲28?甲33)並びに2008年4月から2016年3月までの期間の「『コンクール』の売上げ数量が年々増加していることを示す資料」(甲35)を提出しているが、その作成者、出典など明らかではなく、これらの内容を客観的に裏付ける証拠の提出はない。さらに、「『コンクール』の売上数量が5年連続100万個を越えたことを示す資料」(甲34)においても、ウエルテック作成の使用商品が掲載されているパンフレットに「5年連続売上数量100万個達成!」と記載されているのみであり、この記載を客観的に裏付ける証拠の提出はない。
広告宣伝の実績について、申立人は、ウエルテックは歯科医院等の医療機関へのDMによる宣伝広告を年間12回、「nico」等の医療系専門雑誌への広告掲載を年間約30回行っている(甲36?甲38)旨主張しているが、提出されている証拠は、歯科向けの医療系専門雑誌へ掲載されたもののみであり、その内容も2016年に僅か3回の広告しかなく、当該雑誌の販売地域、販売数などは明らかではない。
加えて、使用商品は、内容量が100mLで価格が1,000円という薬局やコンビニエンスストアで販売されている一般的な商品に比べて高額な商品といえるものであって、虫歯や歯周病の予防に特に高い注意を払う者向けの商品といえ、インターネットのウェブサイトにおいて「マウスウォッシュのほしい物ランキング」や「マウスウォッシュの人気ギフトランキング」で第1位などと紹介されているとしても、これらは、特定のウェブサイトにおけるランキングにすぎないものであり、さらに、使用商品が紹介されているウェブサイトのうち、本件商標の登録出願日前のものは、わずか1件(甲43)にすぎない。
そうすると、使用商品に使用されている使用標章は、歯科医院の関係者及びその看者並びに虫歯や歯周病の予防に特に高い注意を払う一部の需要者間においてはウエルテックの取扱いに係る商品を表すものとして、一定程度知られているとしても、商品「洗口液」に関する一般の需要者の間において広く知られているということはできない。
したがって、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、使用標章がウエルテックの業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「ポリリンコンクール」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同書、同大、等間隔で表されているものであり、視覚上、その構成全体をもって、まとまりある一体的なものとして看取、把握されるものといえ、そのうちのいずれかの文字部分のみが強く印象付けられることはないものである。
また、本件商標は、その構成全体から生じる「ポリリンコンクール」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものであり、当該文字は、辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを表す語として知られているものともいえないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、「ポリリンコンクール」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
なお、申立人は、本件商標の構成中の「ポリリン」の文字部分は、歯のホワイントニングに有効な「ポリリン酸」を意味し、指定商品との関係において、原料を表示するものにすぎず、自他商品識別標識としての機能を有しないものであり、かつ、本件商標全体から生じる「ポリリンコンクール」の称呼は9音と冗長であることから、「コンクール」の称呼も生じる旨主張し、証拠(甲3?甲22)を提出している。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠によれば、「ポリリン酸」が歯科医院において歯の美白の施術に使用され、また、歯磨きジェル、デンタルリンス、育毛剤、化粧品などの原料として使用されていることはうかがえるとしても、「ポリリン」の文字のみで単独で使用されている使用例はほとんどなく、さらに、本件商標の指定商品との関係において、「ポリリン」の文字が「ポリリン酸」の意味を表すものとして、需要者に認識される状況にあると認めるに足る証拠はない。
そうすると、本件商標から「ポリリン」の文字を捨象して、称呼しなければならない理由はない。
したがって、申立人の上記主張は、採用することができない。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「CONCOOL」の欧文字と「コンクール」の片仮名を、上段の欧文字部分は大きく、下段の片仮名部分は小さく、それぞれ同じ書体、同じ大きさで表してなるところ、下段の片仮名部分は、上段の欧文字部分の読みを表したものと容易に理解し得るものであるから、その構成文字に相応して「コンクール」の称呼を生じるものである。また、「CONCOOL」の欧文字は、一般の辞書等に掲載がなく、これに接する需要者は、引用商標を造語よりなるものと認識、理解するとみるのが相当であるから、引用商標は、特定の観念を生じないものである。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「コンクール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというべきである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、構成態様及び構成文字数において明らかに相違するものであるから、外観において、相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標から生じる「ポリリンコンクール」の称呼と引用商標から生じる「コンクール」の称呼とは、語頭における「ポリリン」の音の有無に差異を有するものであるから、称呼において、相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼が明らかに相違することから、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当である。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品中の第3類「歯磨き,歯用漂白剤,口内洗浄剤及び口内すすぎ剤(医療用のものを除く。),せっけん類,化粧品,香料」と引用商標の指定商品中の第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」とは、同一又は類似の商品である。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 使用標章の周知性について
使用標章は、上記(1)のとおり、ウエルテックの業務に係る商品(洗口液)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものである。
イ 本件商標と使用標章との類似性の程度
使用標章は、前記2(2)のとおり、「ConCool」の文字からなり、引用商標の欧文字部分とつづりを同じくするものであるから、上記(2)イと同様に、その構成文字に相応して、「コンクール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そうすると、本件商標と使用標章とは、上記(2)ウと同様の理由により、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、その類似性の程度は低いものである。
ウ 小括
上記アのとおり、使用標章は、ウエルテックの業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
また、上記イのとおり、本件商標と使用標章とは、別異の商標であり、両者の類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用をしても、取引者及び需要者がウエルテックの業務に係る商標を連想又は想起することはなく、その商品が、ウエルテック及びその親会社である申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-06-24 
出願番号 商願2017-66058(T2017-66058) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大橋 良成 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 中束 としえ
小松 里美
登録日 2018-01-05 
登録番号 商標登録第6009212号(T6009212) 
権利者 西尾 秀俊
商標の称呼 ポリリンコンクール 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 岩田 啓 
代理人 貝塚 亮平 

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