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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1352492 
異議申立番号 異議2018-900239 
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-27 
確定日 2019-06-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第6047674号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6047674号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6047674号商標(以下「本件商標」という。)は、「EDGE POLICE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成29年5月15日に登録出願、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,せっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤又は医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,防犯・防災用警笛(ホイッスル)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,出口・通路・避難誘導灯の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ライト付き出口・通路・避難誘導棒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,出口・通路・避難誘導棒用ホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,警告灯の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,トラフィックコーン及びトラフィックコーン用錘の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,巻尺の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,人工呼吸用シートの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,防塵マスク・防毒マスク・溶接マスク・作業者の顔面保護用遮蔽具(ゴーグルを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,防煙マスク・安全ベストの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,事故防護用手袋・絶縁手袋・作業用手袋・軍手・事故防護用手袋ホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,保安用ヘルメットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,交通事故防止用反射テープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,蘇生訓練用マネキンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ロープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,記念楯・記念額の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,靴ひもの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録画済みビデオディスクの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アルミ製の防寒シートの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同30年5月15日に登録査定、同年6月1日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第5316893号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 POLICE(標準文字)
指定役務 第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,光学機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
登録出願日 平成19年8月2日
設定登録日 平成22年4月16日
2 国際登録第647709号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 POLICE
指定商品 第14類「Precious metals and their alloys and goods in precious metals or coated therewith, not included in other classes; jewellery, precious stones; horological and chronometric instruments.」、第18類「Leather and imitations of leather, goods made of these materials not included in other classes; animal skins; trunks and suitcases; umbrellas, parasols and walking sticks; whips and saddlery.」及び第25類「Clothing, footwear, headgear.」
国際商標登録出願日(事後指定) 2003年(平成15年)11月11日(第14類)及び2005年(平成17年)3月1日(第18類、第25類)
設定登録日 2005年(平成17)年6月24日(第14類)及び2006年(平成18年)11月17日(第18類、第25類)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、指定役務中の「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,せっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本件申立役務」という。)について、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標について
申立人は、引用商標を、眼鏡類、時計、身飾品、革製品、香水類について、長年にわたり、日本を含む世界において継続的に使用してきた。
その結果、遅くとも本件商標の登録出願日である平成29年5月15日には、引用商標は、需要者及び取引者の間で、申立人の業務に係る商品の出所を示す表示として、広く知られるに至っていたというべきであり、その周知・著名性は、現在に至るまで維持されている。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、欧文字「EDGE POLICE」を横一行に書してなるものである。他方、引用商標は、欧文字「POLICE」を横一行に書してなるものである。
本件商標は、その構成中に「POLICE」の文字を含み、上記のとおり、「POLICE」の文字は、申立人及びその関連会社の商標として、需要者及び取引者の間で広く認識されるに至っている。
よって、本件商標の構成中、「POLICE」は、強く支配的な印象を需要者に与え、本件商標は、引用商標と類似するというべきである。また、その指定役務も引用商標の指定商品と同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、需要者及び取引者の間で、申立人の業務に係る商品の出所を示す表示として、広く知られるに至っていたというべきであり、その周知・著名性は、現在に至るまで維持されている。
本件申立役務は、それぞれ、申立人の業務に係る商品と類似しており、密接に関連する。
本件商標は、「POLICE」の文字を含むことから、本件商標を指定役務に使用した場合、これに接する需要者及び取引者は、申立人又は同人と資本関係又は業務提携関係を有する者の業務に係る役務であるかのような印象を受け、その出所について誤認混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている引用商標と類似する。
また、本件商標権者は、日本において繊維製品を製造販売する業者であり、引用商標が申立人によって採択され、使用されているものであることを、本件商標の登録出願時点において認識していたことは明らかであるから、本件商標に係る登録出願は、不正の目的をもって行われたものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知・著名性について
(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
申立人は、イタリアのメーカーであり、主として、「眼鏡類」、「時計・身飾品・革製品類」及び「香水類」(以下「申立人商品」という。)に引用商標を使用している(甲4、甲6)。
ア 眼鏡類について
(ア)申立人の取扱いに係る眼鏡類は、我が国における申立人の100%子会社であるデリーゴジャパン株式会社を通じて、国内の眼鏡小売・卸売業者に販売され、各業者によって取り扱われている(甲4-EXHIBIT A(以下、甲第4号証における各「EXHIBIT」については、「甲4-A」のように称する。)、甲9の1?甲9の10)。
その中には、国内眼鏡小売業者として、メガネトップ、メガネスーパー、眼鏡の三城、愛眼等が含まれている(甲4-A、甲10の1)。
(イ)申立人は、申立人商品のうち、眼鏡類のみに絞った年間の売上高は、約700万半ばから800万強ユーロ(卸売価格)で推移しており、現在の為替で換算すれば、年間約9?10憶円前後である旨主張している(甲4、甲5)。
(ウ)我が国における近年の眼鏡小売市場規模は、年間5,000億円前後、ファッション眼鏡については、約4,000億円前後で推移している(甲10の1、甲10の2)。
(エ)日本国内で認知されている180の眼鏡ブランドをまとめたウェブサイトにおいて、引用商標が採り上げられている(甲12)。
(オ)申立人は、「自身の年間売上高が、約10憶円前後に相当するとして、これは、眼鏡市場総額の約0.33?0.40%、ファッション眼鏡市場の約0.41?0.5%に相当し、市場全体における申立人商品の売上高は相対的に決して少なくない。輸入眼鏡製品の市場に着目してみたときには、その小売市場規模が年間380億円前後(甲10)、卸売価格ベースで190?228億円であることから、申立人商品の輸入眼鏡市場における占有率は、約5%前後ということができ、これは輸入眼鏡市場の中でもトップクラスの数値であると推認される。」旨主張している。
(カ)引用商標が付された「眼鏡」は、「MEN’S CLUB」、「Safari」等の雑誌に掲載されていることがうかがえる(甲4-B)。
なお、引用商標が付された「眼鏡」については、特集を組んでいるというようなものは数件見られるものの、その多くは、多くの頁数を有する雑誌中の1頁に掲載されているものである。
(キ)2017年5月26日から28日にかけて、「POLICE POPUP EVENT」が開催された。参加者は、関係者を含め、114名であった(甲4-D)。
イ 時計・身飾品・革製品類について
(ア)申立人は、引用商標を付した時計及びブレスレット、ネックレス等の男性向けシルバーアクセサリーを取り扱っており、香港販売業者から、我が国の販売業者(株式会社ドウシシャ及びトレモントジャパン株式会社)を通じて販売しており、年別にバラツキはあるものの、時計は、年間約80?110万米ドルの範囲、ジュエリーは、136?181万米ドルの範囲、革製品は、50?58万米ドルの範囲で推移している(甲4、甲4-E、甲5)旨主張している。
(イ)引用商標を付した時計、ジュエリー、革製品に関して、ファッション雑誌等を通じて、販促、広告活動を行ってきた(甲4、甲4-F、甲5)。
ウ 香水類について
(ア)申立人は、引用商標を付した香水を取り扱っており、イタリアの販売業者から、我が国の販売業者(フィッツコーポレーション株式会社)を通じて販売しており、ここ5年間の日本における売上高は、年間12?20万ユーロ(約1,600?2,600万円)の範囲で推移している(甲4、甲4-H、甲5)旨主張している。
(イ)申立人は、引用商標を付した香水類に関して、ファッション雑誌等を通じて、販促、広告活動を行ってきた(甲4、甲4-I、甲5)。
(2)判断
ア 眼鏡類について
申立人の主張及び証拠をみるに、申立人の取扱いに係る眼鏡類は、我が国における申立人の100%子会社であると主張するデリーゴジャパン株式会社を通じて、国内の眼鏡小売・卸売業者に販売され、各業者によって取り扱われていることは認められ得るものの、申立人の供述書に添付されたデリーゴジャパン株式会社からの小売・卸売業者宛ての請求明細書の写し(甲4-A)は、「POLICE」以外のブランドも含んだ、株式会社タスクオプチカル等の12社宛ての、ある一時期のものに限られており、これからは、販売の継続性を確認することができない。
また、申立人の取扱いに係る引用商標が付された「眼鏡」が、「MEN’S CLUB」、「Safari」等の雑誌に掲載されていることはうかがえるものの、引用商標が付された「眼鏡」についての特集を組んでいるというようなものはわずかであり、その多くは、雑誌における多くの頁の中の1頁に掲載されているにすぎないものであるから、眼鏡の需要者である一般人が、広く目にして記憶にとどめるというようなものとはいい難く、小売・卸売業者のウェブサイトに引用商標を付した眼鏡が掲載されている(甲9の1ないし甲9の10)としても、これらの店におけるウェブサイト以外での広告状況も把握できないし、ウェブサイトにおける広告の継続性も確認することはできない。
さらに、申立人商品の広告に関するレポート(甲4-C)については、訳文が提出されていないことに加え、どのような内容の広告を行ったのかについての主張や裏付けもなく、申立人の主張するイベント「POLICE POPUP EVENT」(甲4-D)も、単発的なイベントであって、その参加者も決して多いとはいえないものであるし、日本国内で認知されている180の眼鏡ブランドをまとめたウェブサイトにおいて、引用商標が採り上げられている(甲12)としても、180のブランドのうちの一つにすぎないものである。
加えて、申立人の主張する約10憶円前後の売上高を裏付ける客観的な証拠は提出されておらず、たとえ、申立人主張のとおりの売上高であって、5%のシェアであるとしても、全体の市場規模からすれば、引用商標の周知・著名性を認めるに足りる数値とはいい難いものである。
その他、上記以外に、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取扱いに係る引用商標が付された「眼鏡類」が、需要者に広く知られていることを示す証拠は提出されていない。
したがって、申立人が提出した証拠からは、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「眼鏡類」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 時計・身飾品・革製品類について
申立人が、時計・身飾品・革製品類を、香港販売業者から、我が国の販売業者(株式会社ドウシシャ及びトレモントジャパン株式会社)を通じて販売している(甲4、甲4-E、甲5)ことはうかがえるとしても、インボイス(甲4-E)からは、実際の引用商標の使用態様を確認することはできず、また、販促、広告活動を行っていることはうかがえるものの、例えば、ポスターの掲示部数、掲示場所、掲示時期等、その販促、広告の事実は、提出された証拠(甲4-F、甲4-G)からは、具体的に把握することができない。
さらに、申立人の主張する約4憶円の売上高を裏付ける客観的な証拠は提出されておらず、たとえ、引用商標を付した時計・身飾品・革製品類が、申立人主張のとおりの売上高であるとしても、比較すべき市場全体の規模が不明であることから、引用商標の周知・著名性を判断することができない。
その他、上記以外に、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取扱いに係る引用商標が付された「時計・身飾品・革製品類」が、需要者に広く知られていることを示す証拠は提出されていない。
したがって、申立人が提出した証拠からは、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「時計・身飾品・革製品類」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
ウ 香水類について
申立人が、香水類を、イタリアの販売業者から、我が国の販売業者(フィッツコーポレーション株式会社)を通じて販売している(甲4、甲4-H、甲5)ことはうかがえるとしても、インボイス(甲4-H)からは、実際の引用商標の使用態様を確認することはできず、また、販促、広告活動を行っていることはうかがえるものの、その販促、広告の事実は、提出された証拠(甲4-I、甲4-J)からは、継続性も含め、具体的に把握することができない。
さらに、申立人の主張する約1,600?2,600万円の売上高を裏付ける客観的な証拠は提出されておらず、たとえ、引用商標を付した香水類が、申立人主張のとおりの売上高であるとしても、比較すべき市場全体の規模が不明であることから、引用商標の周知・著名性を判断することができない。
その他、上記以外に、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取扱いに係る引用商標が付された「香水類」が、需要者に広く知られていることを示す証拠は提出されていない。
したがって、申立人が提出した証拠からは、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「香水類」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
エ 以上のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品のいずれについても、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、本件申立役務及び「眼鏡類、時計・身飾品・革製品類、香水類」以外の本件申立役務に係る取扱商品については、引用商標の周知・著名性を立証する証拠は提出されていない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「EDGE POLICE」の欧文字よりなるところ、構成中の「EDGE」の語が「端、刃」等の意味を有する英語であり、「POLICE」の語が「警察」等の意味を有する英語(いずれも、「ジーニアス英和辞典第5版」大修館書店)であるとしても、これらを合わせた「EDGE POLICE」の文字は、辞書等に記載のないことから、商標全体として特定の観念を生ずるとはいえないものであり、その構成文字に相応して生ずる「エッジポリス」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
また、上記1のとおり、「POLICE」の文字は、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできないものであって、他に「POLICE」の文字部分が取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情、及び、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足りる事情は、いずれも見いだせない。
そうすると、本件商標からは、「エッジポリス」の称呼のみが生ずるものであり、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「POLICE」の欧文字よりなるところ、これからは、「ポリス」の称呼及び「警察」の観念が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると、外観については、「EDGE」の文字の有無の差異から、明らかに異なるものである。
次に、称呼については、本件商標から生じる「エッジポリス」の称呼と引用商標から生じる「ポリス」の称呼とは、構成音数の差異等から、明らかに異なるものである。
そして、観念については、引用商標からは「警察」の観念が生ずるものであるのに対し、本件商標からは特定の観念は生じないものであるから、観念において、紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情も見いだせない。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、商品及び役務の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知・著名性について
前記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品のいずれについても、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標は、前記2(3)のとおり、「EDGE」の文字の有無の差異等からすれば、明らかに異なるものであるから、類似性の程度は高いとはいえない。
(3)引用商標の独創性について
引用商標は、「警察」の意味を有する平易な英語である「POLICE」の文字よりなるものであるから、独創性の程度は高くない。
(4)本件申立役務と申立人の取扱いに係る商品・役務の関連性、需要者の共通性について
本件申立役務中の「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と申立人商品は、小売役務とその取扱商品との関係にあることから、商品・役務の関連性は高く、需要者の範囲も共通するものといえる。
一方、本件申立役務中の「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,せっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と申立人商品は、一般の需要者を対象にするものであることから、需要者の範囲を共通にする場合があるとしても、小売役務とその取扱商品との関係にはないことから、商品・役務の関連性が高いものとはいい難い。
(5)出所の混同のおそれについて
上記(1)ないし(4)のとおり、本件申立役務中の「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と申立人の取扱いに係る商品の関連性が高く、その需要者の範囲を共通にするものであるとしても、引用商標は、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、本件商標と引用商標とは類似性の程度が高いとはいえないものであって、かつ、引用商標の独創性の程度は高くないことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。
(6)小括
以上を総合的にみれば、本件商標は、商標権者がこれを本件申立役務について使用しても、取引者、需要者が、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で広く認識され周知になっていたということはできず、本件商標は、上記2において検討したとおり、引用商標とは、非類似の商標である。
また、申立人は、「本件商標権者は、日本において繊維製品を製造販売する業者であり、引用商標が申立人によって採択され、使用されているものであることを、本件商標の登録出願時点において認識していたことは明らかであるとして、本件商標に係る登録出願は、不正の目的をもって行ったものである」旨主張しているが、それを裏付ける証拠の提出はなく、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-06-11 
出願番号 商願2017-65552(T2017-65552) 
審決分類 T 1 652・ 222- Y (W35)
T 1 652・ 263- Y (W35)
T 1 652・ 271- Y (W35)
T 1 652・ 262- Y (W35)
T 1 652・ 261- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石井 亮庄司 美和 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
鈴木 雅也
登録日 2018-06-01 
登録番号 商標登録第6047674号(T6047674) 
権利者 株式会社シグナル
商標の称呼 エッジポリス、エッジ、ポリス 
代理人 山尾 憲人 
代理人 山広 宗則 
代理人 勝見 元博 
代理人 岩本 牧子 

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