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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W3641 |
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管理番号 | 1352442 |
審判番号 | 不服2018-12420 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-09-18 |
確定日 | 2019-06-18 |
事件の表示 | 商願2017-42342拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「保険診断士」の文字を標準文字で表してなり、第36類及び第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成29年3月29日に登録出願され、その後、本願の指定役務については、当審における同30年9月18日受付の手続補正書により、第36類「保険に関する助言,保険に関するコンサルティング,保険に関する情報の提供,保険契約の締結の代理又は媒介」及び第41類「保険に関する知識の教授,保険に関するセミナーの企画・運営又は開催」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標の構成中にある『○○士』のような文字は、国家、地方公共団体若しくはこれらの機関又は公益に関する団体が認定する資格であることを容易に認識させるものであり、また、本願商標と同様に、『診断士』の文字を含む国家資格として、『中小企業診断士』(中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則:平成12年通商産業省令第192号)が存在していることからすれば、本願商標についても、あたかも国家資格であるかのように認識させる場合も少なくないものとするのが相当である。そうすると、一私人である出願人が、自己の商標として、このような国家資格等と一見紛らわしく、誤認を生ずるおそれのある本願商標を採択することは、あたかも『国家資格の一種を有する者により提供される役務』であるかのように需要者を誤認させ、商取引の秩序を乱すのみならず、国家資格等の制度の秩序を乱すおそれがあるものであり、穏当でない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 本願商標は、前記1のとおり、「保険診断士」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「保険診断」の文字部分は、「保険の欠陥の有無を調べて判断する」ほどの意味合いを想起させるものといえる。 また、「士」の文字は、「兵卒の指揮をつかさどる人。また、軍人。兵。」、「近世封建社会の身分の一つ。もののふ。さむらい。」、「学徳を修めたりっぱな男子。また、男子の敬称。」、「一定の資格・役割をもった者。」といった意味を有する語であるところ、そのうちの「一定の資格・役割をもった者。」という意味で用いられる場合には、例えば、弁護士、弁理士、税理士等のように法律で規定され、その使用が規制されている資格名称も存在することから、一般国民が、末尾に「士」の文字が付された名称に接した場合、一定の国家資格を付与された者を表したものと理解することも少なくないということができるが、他方、このような法律には準拠しない、いわゆる民間資格として、「士」の文字を含む名称が使用されている事実も少なからず見受けられるところである。 そうすると、本願商標は、その構成全体から「保険の欠陥の有無を調べて判断する資格ないし役割をもった者」ほどの意味合いを想起させるものとみるのが相当であるところ、「保険診断士」の文字は、法律等に規定されたものではなく、かつ、その構成文字の一部を含め、その使用が制限されているものとはいえず、また、当該文字からなる本願商標と誤認を生ずるおそれのある国家資格又は公的資格も見いだし得ないことから、本願商標は、国家又は公的機関が付与する資格や称号と紛らわしいものともいい難い。 してみれば、本願商標をその指定役務に使用をしても、これに接する取引者、需要者は、国家資格又は公的資格を表す名称や称号を表したものであるかのように誤信するようなことはないというべきであるから、これが、直ちに国家資格等の制度に対する社会的信頼を失わせ、ひいては公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものとはいうことができない。 さらに、本願商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、また、その構成自体がそのようなものではなくとも、本願商標を本願の指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものでもない。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-06-03 |
出願番号 | 商願2017-42342(T2017-42342) |
審決分類 |
T
1
8・
22-
WY
(W3641)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 堀内 真一 |
特許庁審判長 |
田中 敬規 |
特許庁審判官 |
石塚 利恵 小田 昌子 |
商標の称呼 | ホケンシンダンシ、ホケンシンダン |
代理人 | 辻田 朋子 |