• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1351653 
異議申立番号 異議2018-900318 
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-02 
確定日 2019-05-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第6071560号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6071560号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6071560号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成29年10月30日に登録出願,第9類「自動車用位置探査装置,衛星を利用した位置追跡装置,無線通信用コンピュータネットワークで使用され無線通信を可能にし容易化する電気通信機械器具,ビーコン機械器具,電気通信機械器具,アプリケーションソフトウェア,無線通信用コンピュータネットワークで使用され無線通信及び無線通信における接続性を可能にし容易化する電子計算機用プログラム,ビーコン機械器具と衛星を利用した位置追跡装置を制御するコンピュータソフトウエア,ビーコン機械器具と衛星を利用した位置追跡装置を制御するコンピュータハードウエア,電子応用機械器具及びその部品,駐車場用車両ロック装置,駐車場用発券装置,駐車場用硬貨作動式ゲート」を指定商品として,同30年7月13日に登録査定され,同年8月17日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下,それらをまとめて「引用商標」という。),いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1232422号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 ROVER
指定商品 第6類,第9類,第12類,第13類,第19類及び第22類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 昭和49年3月22日
設定登録日 昭和51年11月8日
書換登録日 平成20年6月11日
(2)登録第1378962号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 昭和46年6月28日
設定登録日 昭和54年5月31日
書換登録日 平成21年6月10日
(3)登録第1371800号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 昭和46年6月28日
設定登録日 昭和54年2月22日
書換登録日 平成21年2月12日
(4)登録第1371801号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲4のとおり
指定商品 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 昭和46年6月28日
設定登録日 昭和54年2月22日
書換登録日 平成21年2月12日
(5)登録第3100512号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 別掲5のとおり
指定商品 「電子応用機械器具」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成4年5月25日
設定登録日 平成7年11月30日
(6)登録第4078003号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様 LAND ROVER
指定商品 「電子応用機械器具及びその部品」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成8年5月10日
設定登録日 平成9年10月31日
(7)登録第4085102号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様 別掲5のとおり
指定商品 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成8年5月9日
設定登録日 平成9年11月21日
(8)登録第4085104号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の態様 LAND ROVER
指定商品 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成8年5月10日
設定登録日 平成9年11月21日
(9)登録第4675541号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の態様 LAND ROVER(標準文字)
指定商品 第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成13年12月13日(優先権主張:2001年6月22日)
設定登録日 平成15年5月23日
(10)登録第975507号商標(以下「引用商標10」という。)
商標の態様 RANGE ROVER
指定商品 第6類,第9類,第12類及び第19類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 昭和44年7月16日
設定登録日 昭和47年8月16日
書換登録日 平成16年9月1日
(11)登録第3045517号商標(以下「引用商標11」という。)
商標の態様 RANGE ROVER
指定商品 「電子応用機械器具」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成4年5月25日
設定登録日 平成7年5月31日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)自動車ブランド「ROVER」の歴史・著名性について
引用商標の構成中に含まれる「ROVER」の文字は,英国最大の国営自動車メーカーであった「The Rover Group plc」(以下「ローバー社」という。)及び同社製の自動車の名称を表すものとして広く知られている(甲3)。
乗用車「Rover」は英国王室メンバーの私用車や,英国政府の閣僚・高級官僚の公用車としても用いられ,1964年(昭和39年)には,革新的メカニズムを採用したP6が,初代ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた(甲4)。
1976年(昭和51年)には「ROVER 3500」がデビューして,1977年(昭和52年)度のカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれている(甲6)。
日本の本田技研工業との共同開発車である「ROVER 800」が我が国や米国でも発売された(甲3)。
ローバー社は,数度の変遷を経て,2000年(平成12年)にフォード・モーター社の傘下に入り,その後,インドのタタモーターの傘下となり,Jaguar Cars Limitedと統合され,現在は,2008年(平成20年)に設立された申立人がこれを経営管理している。
我が国のメディアでもROVERブランド車の話題が取り上げられ(甲7?甲9),特に「ローバー・ミニ」は我が国において人気となっており,全世界の販売台数の4割を占める程であった(甲7?甲10)。
このような事実から,「Rover」の日本国での周知著名性は,特許庁おいても認定されている(甲11)。
(2)「Land Rover」「Range Rover」の著名性について
「Land Rover(ランド・ローバー)」は,1948年(昭和23年)に最初に製造されたオフロード向け車両の名称であり,現在も,高速道路から悪路の走破まで幅広く高い走行性能を持ち,イギリス軍の軍用車としても採用されている。また「Land Rover」は,英国の元首相ウィンストン・チャーチルや英国王室にも愛用されてきた由緒あるブランドである(甲12?甲14,甲23)。
「RANGE ROVER(レンジ・ローバー)」は,1970年(昭和45年)に開発された四輪駆動車に使用された名前であり,申立人の最上位車種として数々のモデルが発売され,世界最高峰の「SUV」の一つとして認知されている(甲15)。
「Land Rover」の日本国での周知著名性は,特許庁においても認定されている(甲16)。
現在,「Land Rover」は,「Range Rover」を筆頭に,6つのラインで構成されており,2013年(平成25年)の世界販売台数は34.8万台,2015年(平成27年)度は52.2万台であり,販売単価(日本円にして1千数百万円以上)を考慮すると,その人気の高さを十分に窺い知ることができる(甲17,甲18)。
また,「Range Rover」ブランドでの,コンパクトな車体を持つ「RANGE ROVER EVOQUE」は世界的なヒット作となり,出荷開始のわずか4年間で50万台に達した(甲19)。
我が国においては,ジャガー・ランドローバー・ジャパン株式会社を,申立人の正規ディーラーとして「LAND ROVER」「RANGE ROVER」ブランドの自動車の輸入販売,関連部品・用品の開発販売を行っており,現在,日本国内に45店舗を構え販売を強化している(甲20)。
また,車の専門誌のみならず各種雑誌でも「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」の特集記事が掲載される(甲21?甲28)など,申立人による不断の努力により,「ROVER」ブランドの正しき血統が,脈々と引き継がれており,現在においても価値の高いブランドとして,我が国においても人気が高いことは明らかである。
上記の事情を勘案すると,「ROVER」さらに「ROVER」ブランドの血統を正しく引き継ぐ「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」は,日本国において,遅くとも本件商標の出願時において,申立人の自動車ブランドである「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」又は,その前身であるローバー社の業務に係る「ROVER」ブランドの血統を正しく引き継ぐ商品(乗用車関連商品)を表すものとして取引者及び需要者の間で広く知られるに至っており,現在も,その周知著名性は継続されている。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標は「rover」の欧文字(「v」の文字は図案化してなる)を赤色に着色したやや太い字で大きく表し,その下段には,薄い水色の字で小さく表した「NAVI」の文字を配し,上段のroverの背後には,自動車を表したと思しき図形を配した構成よりなるところ,構成文字に相応して「ローバー」または「ローバーナビ」の称呼が生ずるものである。
そして,本件商標は,その構成中「rover」と「NAVI」を常に一体のものとして把握しなければならない格別の事情も見当たらず,「rover」の文字が目立つ赤色の文字で大きく表されていることに加え,「ROVER」の文字が申立人及びその前身となる各企業(以下「申立人等」という。)の業務に使用されてきた自動車のブランド「ROVER」を表すものとして周知著名なものになっているという取引の実情にかんがみれば,本件商標は,その構成中「rover」の文字部分が商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。
また,「NAVI」の文字は,本件商標の指定商品中「自動車用位置探査装置,衛星を利用した位置追跡装置」などが自動車用のナビゲーション・システムに深く関連する商品であることを考慮すれば,自他商品の識別機能がないか,極めて弱いものであるから,本件商標は,その構成中「rover」の部分のみが自他商品の識別標識としての機能を果たす要部である。
イ 引用商標は,いずれもその構成中「ROVER」の文字が申立人等の自動車のブランド「ROVER」を表すものとして周知著名なものであることから,その全体をもって把握されるのみならず,「ROVER」の文字が着目され,「ローバー」の称呼,「申立人の自動車ブランドである『LAND ROVER』及び『RANGE ROVER』,又は,その前身であるローバー社の業務に係る『ROVER』ブランドの血統を正しく引き継ぐ商品(乗用車関連商品)」を想起,連想する。
ウ そこで,本件商標と引用商標とを比較対照して観察すると,まず,本件商標は「rover」の文字列を含んでいることが明らかであり,外観において少なくとも引用商標と類似している。また,本件商標は「ローバー」の称呼も生じるものであるから,引用商標の称呼「ローバー」と類似する。さらに,観念においても,いずれも造語のようなものといえるものであるが,申立人の周知・著名商標を含んでいるところから,「申立人の自動車ブランドである『LAND ROVER』及び『RANGE ROVER』,又は,その前身であるローバー社の業務に係る『ROVER』ブランドの血統を正しく引き継ぐ商品(乗用車関連商品)」に関連する商品を想起,連想する点において,観念上も,引用商標と相当程度類似する。
以上を総合すると,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれの高い類似の商標である。
(4)商標法第4条第1項第11号について
上記したとおり,本件商標は,引用商標と類似する商標である。また,本件商標の指定商品のうち「自動車用位置探査装置,衛星を利用した位置追跡装置,無線通信用コンピュータネットワークで使用され無線通信を可能にし容易化する電気通信機械器具,ビーコン機械器具,電気通信機械器具,アプリケーションソフトウェア,無線通信用コンピュータネットワークで使用され無線通信及び無線通信における接続性を可能にし容易化する電子計算機用プログラム,ビーコン機械器具と衛星を利用した位置追跡装置を制御するコンピュータソフトウエア,ビーコン機械器具と衛星を利用した位置追跡装置を制御するコンピュータハードウェア,電子応用機械器具及びその部品」は,引用商標5,引用商標6及び引用商標11の指定商品と同一又は類似のものである。
よって,本件商標は,これら引用商標との関係において,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号について
本号に係る最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号)の判示基準等に照らして考察すると,本件商標は商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。以下,詳述する。
ア 引用商標の著名性,本件商標と引用商標との類似性について
上述したとおり「ROVER」「Land Rover」「Range Rover」は周知・著名なものである。
イ 引用商標の独創性の程度
「ROVER」,「Land Rover」及び「Range Rover」は,それが使用された1904年(明治37年)当時はもとより,引用商標2及び引用商標10の出願当時(昭和46年及び昭和44年)の日本国でなじみの少ない外国語であったことは明らかであるから,引用商標は,独創性にあふれた極めて斬新なものである。
ウ 商品間の関連性,取引者・需要者の共通性
近年の自動車には高度なナビゲーション装置,通信機能,音響・映像機能,ソフトウェアを用いた車載コンピュータ機能が搭載されている事実に鑑みれば,両商品の間には密接な関連性がある。また,両商標の商品の主たる需要者はいずれも一般消費者となるので高い共通性を有する。
エ 本件商標の指定商品の需要者において普通に払われる注意力その他取引の実情
両商標の商品の主たる需要者はいずれも一般消費者であり,決して高い注意力は期待できないものである。したがって,本件商標は,その構成中に「申立人又はその前身であるローバー社の会社名,又はその自動車」を想起,連想する「rover」を顕著に含んでなるので,出所混同を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。
オ 特許庁の審査基準
本件商標は,本号に関する特許庁の商標審査基準(商標審査基準〔改訂第12版〕十三の5)にいう「他人の著名な商標と他の文字又は図形を結合した商標」にあたるといえ,その外観構成がまとまりよく一体に表されていると否とにかかわらず,申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある商標と判断されるべきである。
カ 小括
上記のとおりであるから,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)「ROVER」,「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」の周知著名性について
ア 申立人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査(インターネット情報ほか)によれば,次の事実が認められる。
(ア)過去に英国の国営自動車メーカー「The Rover Group ple」及び同社製の乗用車が「Rover」と称され,同社は1906年(明治39年)に「Rover Co.」となり,その後,数度の変遷を経て,現在は,その事業を2008年(平成20年)に設立された申立人が引き継いでいる(甲3,甲17)。
(イ)乗用車「Rover 2000」が1964年(昭和39年)に,「Rover 3500」が1977年(昭和52年)に,欧州7か国のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞した(甲4,甲6,職権調査)。
(ウ)我が国においては,1990年(平成2年)11月から「ローバーミニクーパー1・3」,1992年(平成4年)から小型乗用車「ローバー100シリーズ」の販売が開始されたことが推認できる(甲7,甲9)。
(エ)1998年(平成10年)10月に横浜で開催された「ブリティッシュ・モーターショー」に「ローバー」が出展されたことが推認できる(甲10)。
(オ)乗用車「LAND ROVER」は1948年(昭和23年)に,同じく「RANGE ROVER」は1970年(昭和45年)に販売が開始され(甲13?甲15),2014年(平成26年)10月当時,「LAND ROVER」は,「レンジローバー」,「レンジローバー・スポーツ」,「ディスカバリー」「ディフェンダー」,「フリーランダー」及び「イヴォーク」の6つのラインで構成されていた(甲17)。
(カ)現在,我が国においては,申立人の子会社「ジャガー・ランドローバー・ジャパン株式会社」などが乗用車「RENGE ROVER」などの販売を行っている(甲20,職権調査)。
(キ)しかしながら,「ROVER(ローバー)」と称する乗用車の我が国における販売台数,輸入台数など取引実績に係る主張はなく,その証左も見いだせず,また,当該乗用車が1993年(平成5年)以降に販売された事実をうかがわせる証左も見いだせない。(2014年(平成26年)10月時点における「LAND ROVER」の6つのラインにも含まれていない。)
さらに,「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」と称する乗用車の我が国における販売台数,輸入台数など取引実績に係る主張はなく,その証左も見いだせない。
イ 上記アの事実によれば,次のとおり判断できる。
(ア)「ROVER」について
かつて「ROVER」と称される自動車メーカー及び乗用車が存在し,乗用車「Rover 2000」が1964年(昭和39年)に,「Rover 3500」が欧州7か国のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞し,我が国において「ROVER」と推認し得る乗用車が1990年(平成2年)頃に販売されていたことが認められる。
しかしながら,1998年(平成10年)10月1日付けの新聞記事(甲10)に,「ミニ ローバーグループは,『ローバー』のほかに四輪駆動車の『ランドローバー』,…の各ブランドで生産している。」との記載はあるものの,我が国における「ROVER(ローバー)」と称する乗用車の取引実績は確認できないし,1993年(平成5年)以降に販売された事実をうかがわせる証左も見いだせない。
そうすると,「ROVER」の文字は,その周知性を認めた平成13年(2001年)8月の審決があるとしても,本件商標の登録出願の時(出願日:平成29年(2017年)10月30日)及び登録査定時(平成30年(2018年)7月13日)において,申立人等の業務に係る商品(自動車)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお,申立人は,「ROVER」ブランドの歴史や「LAND ROVER」及び「RENGE ROVER」の周知著名性を主張,立証し,「ROVER」の文字が周知,著名である旨主張しているが,「LAND ROVER」及び「RENGE ROVER」の周知性と「ROVER」の周知性とは基本的に別異のものであるし,何より「ROVER」と称される乗用車の我が国における取引実績が確認できないから,申立人のかかる主張は採用できない。
さらに,他に「ROVER」の文字が申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めるに足る証左は見いだせない。
(イ)「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」について
乗用車「LAND ROVER」は1948年(昭和23年)から,同じく「RANGE ROVER」は1970年(昭和45年)から販売開始されたことが認められ,我が国においては,いずれも2000年(平成12年)以前から販売されていたことがうかがえ(職権調査),現在も継続して申立人等が乗用車に「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」の文字を使用していることが認められることから,「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」の文字は,本件商標の登録出願の時及び登録査定時)において,申立人等の業務に係る商品(自動車)を表示するものとして需要者の間にある程度知られているものいうことができる。
しかしながら,我が国における「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」と称する乗用車の取引実績に係る証左は見いだせないから,「LAND ROVER」及び「RANGE ROVER」の文字は,申立人等の業務に係る商品(自動車)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(ウ)小括
したがって,「ROVER」,「LAND ROVER」及び「RENGE ROVER」の文字は,いずれも本件商標の登録出願の時及び登録査定時において,申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,中央に赤色で,「ro」の欧文字,上下を反転させ円形に白抜きした水滴状の図形及び「er」の欧文字を描き(以下「赤色部分」という。),その背後に自動車を表したと思われる線図形を,下に「NAVI」の欧文字をいずれも薄い水色で表してなるものであるから,その構成中の文字「ro」「er」及び「NAVI」の文字に相応し,「アールオーイーアールナビ」の称呼を生じるものであって,特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
そして,本件商標は,その構成中濃い赤色で明瞭に表された赤色部分が外観上,取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえるから,該赤色部分の文字「ro」「er」に相応し,「アールオーイーアール」の称呼も生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
申立人が本号に該当するとして引用する引用商標5,引用商標6及び引用商標11について検討する。
(ア)引用商標5は,別掲5のとおり黒色の楕円で囲んだ黒色の横長の楕円形内に「LAND」と「ROVER」の文字を2段に表してなるもの(両文字は「Z」状の線図形で結合するように表されている。)であるから,該文字に相応し「ランドローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標6は,上記2(6)のとおり「LAND ROVER」の文字からなるものであるから,当該文字に相応し「ランドローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(ウ)引用商標11は,上記2(11)のとおり「RANGE ROVER」の文字からなるものであるから,当該文字に相応し「レンジローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標5,引用商標6及び引用商標11の類否
本件商標と引用商標5,引用商標6及び引用商標11を比較すると,上記のとおり,外観において,本件商標と引用商標5,引用商標6及び引用商標11とはそれぞれの構成態様が明らかに異なり,判然と区別できるものであるから,外観上,相紛れるおそれはない。
また,称呼において本件商標と引用商標5,引用商標6及び引用商標11とは語調,語感が明らかに異なり,称呼上,明確に聴別できるものである。
そして,観念において本件商標と引用商標5,引用商標6及び引用商標11とは比較できないものであるから,両者の外観,称呼及び観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。
エ 申立人の主張について
申立人は,本件商標の赤色部分は「rover」の文字を図案化してなる,及び引用商標5,引用商標6及び引用商標11の構成中「ROVER」の文字部分が周知著名であり着目されるなどとして,本件商標と引用商標5,引用商標6及び引用商標11は類似する商標である旨主張している。
しかしながら,上記アのとおり本件商標は「ro」の文字,図形及び「er」の文字からなるものと判断するのが相当である。また,上記(1)のとおり引用商標5,引用商標6及び引用商標11の「ROVER」の文字部分について,「ROVER」の文字は,(本件商標の登録査定時において,)他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。さらに,他に引用商標5,引用商標6及び引用商標11の構成中の「ROVER」の文字部分を分離抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断すべき事情は見いだせない。
したがって,申立人のかかる主張は採用できない。
オ 小括
上記のとおり,本件商標と引用商標5,引用商標6及び引用商標11とは非類似の商標であるから,本件商標の指定商品の一部が引用商標5,引用商標6及び引用商標11の指定商品と同一又は類似のものであるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類否
本件商標は,上記(2)アのとおり中央に赤色で「ro」の文字,図形及び「er」の文字を描き,その背後に自動車を表したと思われる線図を,下に「NAVI」の文字をいずれも薄い水色で表してなり,「アールオーイーアールナビ」及び「アールオーイーアール」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
引用商標は,それぞれ上記2(1)ないし(11)のとおりの構成からなり,それらの構成文字,又は構成中の文字「ROVER」,「LAND ROVER」及び「RENGE ROVER」に相応し「ローバー」,「ランドローバー」及び「レンジローバー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,両者の上記のとおりの外観,称呼及び観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。
イ 引用商標の周知性
上記(1)のとおり,「ROVER」,「LAND ROVER」及び「RENGE ROVER」の文字は,いずれも申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,また,他にこれらの文字からなる,又はこれらの文字を含む引用商標が,申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る証左は見いだせない。
したがって,引用商標はいずれも申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
ウ 出所混同のおそれ
上記アのとおり本件商標と引用商標は非類似の商標であり,上記イのとおり引用商標は申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから,本件商標は,これに接する取引者,需要者が,引用商標を連想又は想起するものということはできない。
してみれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,その商品が申立人等あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標:色彩は原本参照。)


別掲2(引用商標2)


別掲3(引用商標3)


別掲4(引用商標4)


別掲5(引用商標5,引用商標7)


異議決定日 2019-05-17 
出願番号 商願2017-148681(T2017-148681) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 261- Y (W09)
最終処分 維持 
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 榎本 政実
渡邉 あおい
登録日 2018-08-17 
登録番号 商標登録第6071560号(T6071560) 
権利者 株式会社オーク
商標の称呼 ローバーナビ、ローバー 
代理人 稲葉 良幸 
復代理人 石田 昌彦 
代理人 田中 克郎 
復代理人 右馬埜 大地 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ