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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W1635 審判 全部申立て 登録を維持 W1635 審判 全部申立て 登録を維持 W1635 |
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管理番号 | 1351652 |
異議申立番号 | 異議2018-900214 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-08-03 |
確定日 | 2019-05-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6042532号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6042532号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6042532商標(以下「本件商標」という。)は、「アルバムカフェ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成29年8月30日に登録出願、第16類「紙類,文房具類,印刷物」及び第35類「紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同30年4月18日に登録査定、同年5月11日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5405374号商標(以下「引用商標」という。)は、「アルバムカフェ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年9月28日に登録出願、第40類「カメラ・デジタルカメラ又はカメラ付き携帯電話により撮影した写真画像の焼付け,インターネット又は移動体電話による通信若しくはその他の通信手段を介して送信された写真用デジタル画像の焼付け,その他の写真の焼付け,写真用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の現像用・焼付け用・引き伸ばし用又は仕上げ用の機械器具の貸与」、第41類「静止画のデジタル画像処理,動画のデジタル画像処理,電子計算機端末・移動体電話より送信された画像データのデジタル画像処理,その他のデジタル画像処理,受託によるアルバム・写真集の制作,書籍の制作,撮影会・フォトコンテストの企画・運営又は開催,写真の展示,写真用アルバムの作成方法及び関連知識の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,カメラ・デジタルカメラ又はビデオカメラの貸与」、第42類「写真展示を目的とした電子掲示板又はホームページのためのサーバーの記憶領域の貸与,その他のウェブサイトにおけるサーバーの記憶領域の貸与,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」及び第43類「多目的ホール・会議室・会議場の提供,会議場又は会議室及び多目的ホールの提供に関する情報の提供,インターネット通信装置を利用できる喫茶店における飲食物の提供,その他の喫茶店における飲食物の提供」を指定役務として、同23年4月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標及び引用商標は、いずれも「アルバムカフェ」(標準文字)であるから、両商標は同一商標である。 本件商標の指定商品及び指定役務は、「紙類,印刷物,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であるのに対し、引用商標の指定役務は、写真・画像に関する役務である。 引用商標の商標権者は、富士フイルム株式会社(以下「富士フイルム」という。)であり、申立人の親会社である。引用商標は、申立人が富士フイルムの下で写真・画像関係の現場事業を拡大すべく、「アルバムカフェ」という識別標識で参加費を徴収して母親などに写真を持ち寄ってもらい、アルバムを手作りしてもらう場を設ける活動をサポートしていくために、富士フイルムが取得したものである。 「アルバムカフェ」とは、アルバム手作りを指南する講師(「アルバム大使」申立人が商標登録済:甲16)の下で、母親などの参加者が撮影済み写真を持ち寄ってアルバムをきれいに手作りしていく集まりである(甲4第2頁)。申立人が、自ら、あるいは、この集まりの開催を主催者に委託して開催するものであり、申立人又は主催者は、参加者から参加費を徴収するものである(甲4第6頁)(以下「アルバムカフェ事業」という。)。 富士フイルムが引用商標を取得した後、申立人は、平成23年9月から、このアルバム手作り場であるアルバムカフェ事業を精力的に展開し(甲3?甲14)、その結果、「アルバムカフェ」が申立人(若しくは富士フイルム)の役務であることを一般需要者に認識させるに至った。 そのような状況において、本件商標の商標権者は、平成29年8月30日に商品「アルバム」が属する「文房具類」を含む商品及び役務を指定して、本件商標を商標登録出願し、商標登録した。 商標権者の子会社であるサンポリ株式会社(以下「サンポリ社」という。)は、申立人がアルバムカフェ事業を関西方面で展開していた平成29年6月に、「アルバム大使」のあっせんを申立人に依頼し、それに応えて申立人はアルバム大使2名を紹介した。 上記経緯から、商標権者は、「アルバムカフェ」が申立人(若しくは富士フイルム)の事業であることは重々認識しているのに、富士フイルムが商標権を取得していない商品「アルバム」が属する「文房具類」等の商品及び役務を指定して商標登録出願を行っている。 これは、申立人のアルバムカフェ事業に関係した会社として、申立人(若しくは富士フイルム)との信義を違えるものであり、本件商標の登録出願は、申立人(若しくは富士フイルム)が資本・労力を投下して築き上げたアルバムカフェ事業へ化体された業務上の信用にただ乗りするものであって到底容認できない。 よって、本件商標の登録出願は、「当該商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある等、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合」に該当し、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標は、申立人(若しくは富士フイルム)の役務と混同を生ずるおそれがあり、特に商品「アルバム」について「アルバムカフェ」を付した場合には、申立人(若しくは富士フイルム)の「アルバムカフェ」に関係したアルバムであると需要者に誤認混同を起こしかねず、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 商標法第4条第1項第19号該当性について アルバムカフェ事業は、現場の事業展開のみならず、テレビ、新聞などのマスコミに多数報道されており、日本国内において需要者の間に広く認識されるに至ったものであるので、申立人(若しくは富士フイルム)には「アルバムカフェ」の名でこの事業に関する多大な業務上の信用が化体されており、そこに本件商標の商標権者が「アルバムを含む文房具等」について「アルバムカフェ」の商標権を取得することは図利目的をもって使用をすることであり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について 申立人は、引用商標が申立人(若しくは富士フイルム:以下「申立人ら」という。)の業務に係るアルバムカフェ事業を表示するものとして、広く一般需要者に認識されている旨、主張している。 そこで、申立人の提出した証拠及び主張を検討するに、申立人らは、アルバムカフェ事業において、全国各地で開催される「アルバム大使養成講座」を受講し、認定された「アルバム大使」と称する講師が、母親などの参加者が持ち寄った撮影済み写真を利用して、手作りのアルバムの作成方法を教授する集まりを開催していたと認められるから、引用商標の指定役務中、第41類「写真用アルバムの作成方法及び関連知識の教授」を提供しているといい得るものである(甲3、甲4)。 そして、アルバムカフェ事業の説明書には、「2011年12月 アルバム大使養成講座 第1回開催」と記載があり、アルバム大使が主催するアルバムカフェ開催回数及び受講者数は、2013年度は657回及び3,254人、2014年度は3,244回及び17,140人、2015年度は3,932回及び21,566人、2016年度は3,988回及び18,772人、2017年度は3,404回及び17,213人との記載がある(甲3)。 しかしながら、甲第3号証には、「アルバムカフェ」の定義、開催回数及び受講者数等の記載があるものの、それらの裏付けとなる客観的な証拠は示されておらず、本件商標の使用状況も明確に把握することができない。 また、「アルバム大使 エンジョイ講座ご案内」2016年及び2017年のチラシ(甲5、甲6)については、配布数、配布地域等については不明であり、富士フイルムが、2013年4月19日に「STVどさんこワイド179」にて、「富士フイルム アルバムカフェ」の文字を表示し放映しているとするキャプチャー画面(甲7)については、放映の回数、時間及び地域等が不明である。 さらに、新聞記事(甲8?甲14)には、「アルバムを作る 思い出の写真かわいくデコ」のタイトルの下、記事中に「アルバム作りのイベント『アルバムカフェ』が全国各地で開かれており、インターネット(http://・・・)で見られる。」の記載(甲8:2013年2月2日朝日新聞)、「カメラ女子幸せパチリ」のタイトルの下、記事中に「全国約900か所で『アルバムカフェ』を開催。」の記載(甲9:2013年2月3日読売新聞)、「アルバム作り母親に人気」のタイトルの下、記事中に「秋田市・・・で先月中旬に開かれたイベント『アルバムカフェ』。」、「アルバムカフェは富士フイルム(東京)が2009年に始めた事業。」、「アルバムカフェは写真プリントの販売促進事業の一環だが、・・・」の記載(甲10:2015年1月10日秋田さきがけ)、「私だけの思い出アルバム作り」のタイトルの下、記事に掲載された者のコメントとして、「『アルバム大使』が作り方を教えてくれる『アルバムカフェ』は全国各地で開かれています。」の記載(甲11:2015年3月15日朝日中高生新聞)等があるものの、新聞記事の掲載数は7件とさほど多いものではない上に、「アルバムカフェ」の文字が、目立つ態様で記載されたものでもない。 また、各アルバム大使が「アルバムカフェ」を900か所で開催しているとしても、その参加人数、規模、開催場所及び開催に係る宣伝広告等がどのようなものか、さらには、アルバム大使がその場で本件商標をどのように表示しているかは不明である。 してみれば、これらの証拠をもって、本件商標が、申立人らの業務に係る「写真用アルバムの作成方法及び関連知識の教授」を表示するものとして、需要者間において周知であったということはできない。 そして、その他に、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして、周知性を獲得していたと認めるに足りる証拠も見いだすことはできない。 したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く知られていたと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知著名性について 前記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人(申立人ら)の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)本件商標と引用商標の類似性について 本件商標及び引用商標は、前記第1及び第2のとおり、いずれも「アルバムカフェ」の片仮名からなるものであるから、類似性の程度は相当高いものである。 (3)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定役務の関連性、需要者の共通性について 引用商標の指定役務中「写真用アルバムの作成方法及び関連知識の教授」は、講師が、母親などの参加者が持ち寄った撮影済み写真を利用して、手作りのアルバムの作成方法を教授するものであり、本件商標の指定商品中「文房具類」及び指定役務中「文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、目的、販売場所又は提供場所、業種等において全く異なるものであるから、両者の関連性は認められず、その取引者、需要者の共通性が高いとはいえない。 (4)出所の混同のおそれについて 上記(1)ないし(3)のとおり、本件商標と引用商標は、類似性の程度が高いものであるとしても、引用商標は、申立人らの業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、かつ、本件商標の指定商品及び指定役務と、引用商標の指定役務との間の関連性はなく、需要者の共通性は、高いとはいえないことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人らに係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者が、その役務が他人(申立人ら)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は、「商標権者の子会社であるサンポリ社は、申立人がアルバムカフェ事業を関西方面で展開していたときに事業のサポートを申し出た会社であり、その申出に応じて申立人がサポート要員をサンポリ社に紹介した経緯から、商標権者は、『アルバムカフェ』が申立人らの事業であることは重々認識した上で、富士フイルムが商標権を取得していない商品及び役務を指定して商標登録出願を行っており、これは申立人のアルバムカフェ事業に関係した会社として信義を違えるものであり、商標法の予定する競業秩序に反する」旨主張している。 しかしながら、平成29年6月に、サンポリ会社が申立人に「アルバム大使」のあっせんを依頼した事実を裏付ける証拠の提出はなく、また、申立人が提出した関西テレビの番組のキャプチャー画像(甲15)の日付(「平成29年12月7日(水)」も、本件商標の登録出願日(平成29年8月30日)後のものであり、商標権者が申立人の事業の名称であることを知った上で商標登録出願を行ったとする申立人の主張を裏付けるものともいい難いものである。 また、申立人らの事業の名称と同じ商標を、該事業とは関連性のない商品及び役務について商標権を取得することが、直ちに信義則に反するということはできない。 そして、その他に、サンポリ社や商標権者の行為が信義則に違反するとの具体的な事実を裏付ける証拠は提出されていない。 そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、公の秩序又は善良の風俗を害するということはできない。 また、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではないし、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。 その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と 認めるに足りる証拠はない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 前記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人(申立人ら)の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商標権者が不正の目的を持って本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。 そうすると、本件商標は、引用商標と類似するとしても、その登録出願時及び登録査定時において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標ということはできず、また、不正の目的をもって使用をするものであるということもできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2019-05-08 |
出願番号 | 商願2017-114976(T2017-114976) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W1635)
T 1 651・ 222- Y (W1635) T 1 651・ 271- Y (W1635) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 滝口 裕子 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
冨澤 美加 鈴木 雅也 |
登録日 | 2018-05-11 |
登録番号 | 商標登録第6042532号(T6042532) |
権利者 | セキセイ株式会社 |
商標の称呼 | アルバムカフェ、カフェ |
代理人 | 松浦 憲三 |