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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W141825
審判 全部申立て  登録を維持 W141825
審判 全部申立て  登録を維持 W141825
審判 全部申立て  登録を維持 W141825
審判 全部申立て  登録を維持 W141825
管理番号 1351643 
異議申立番号 異議2018-900127 
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-05-25 
確定日 2019-05-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第6022846号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6022846号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6022846号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成29年4月17日に登録出願,第14類「宝飾品,キーホルダー用チャーム,指輪,ブレスレット,ネクタイピン,ネックレス,イヤリング,ブローチ,カフスボタン,靴用宝飾品,時計バンド」,第18類「革ひも,革製包装用袋,革製又はレザーボード製の箱,動物用革製引きひも,財布,クレジットカード入れ(財布),札入れ,名刺入れ,カード入れ,キーケース,革製肩掛けベルト及び革製肩掛けひも,旅行用衣服かばん,ハンドバッグ,アタッシェケース,ブリーフケース,スーツケース,バックパック,旅行かばん,旅行用小型手さげかばん,革製旅行用具入れ,通学用かばん,旅行かばん用タグ,リュックサック,買物袋,キャンプ用バッグ,登山用バッグ,網製買物袋,家具用革製飾り,日傘,傘,つえ,なめし革,家具用張り革」及び第25類「皮革製被服,手袋(被服),帽子,ベレー帽,ベルト,マネーベルト,靴用甲革,履物用甲革,ハーフブーツ,履物用継ぎ目革,サンダル靴及びサンダルげた」を指定商品として,同29年10月25日に登録査定,同30年3月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第1295724号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,2015年(平成27年)9月3日に国際商標登録出願,第3類「Cosmetics; make-up powder; toilet water; skin lotions; cosmetic creams; shaving creams; cosmetic rouges; hair care preparations; perfumes; bath oils; incenses and fragrances; perfume; natural perfumery prepared from vegetables; synthetic perfumery; soaps and detergents; shampoos; dentifrices; breath freshening preparations; deodorants for animals; anti-static preparations for household purposes; de-greasing preparations for household purposes; laundry bleach.」,第9類「Spectacles [eyeglasses and goggles]; sunglasses; goggles for sports; divers' masks; parts and accessories for spectacles; spectacle cases; spectacle frames; protective helmets for sports; electronic publications; telecommunication machines and apparatus; parts and accessories for telecommunication machines and apparatus; headphones; portable telephones; loudspeakers; portable audio players; computer programs; computers and their peripherals; downloadable music files; downloadable image files.」,第18類「Bags; shoulder bags; briefcases; suitcases; trunks; handbags; shopping bags; rucksacks; pouches; purses; wallets; business card cases; vanity cases [not fitted]; umbrellas and their parts; parasols; clothing for domestic pets; walking sticks; canes; saddlery; fur.」,第25類「Clothing; outerclothing; sweaters; shirts; nightwear; underwear [underclothing]; swimwear [bathing suits]; swimming caps [bathing caps]; aprons [clothing]; socks; stockings; shawls; scarves; gloves and mittens [clothing]; neckties; neckerchiefs; bandanas; thermal underwear; mufflers; ear muffs [clothing]; belts for clothing; headgear for wear; footwear.」及び第35類「Retail services or wholesale services for clothing; retail services or wholesale services for footwear; retail services or wholesale services for bags and pouches.」を指定商品及び指定役務として,平成28年11月25日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第11号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
(1)引用商標の周知性
申立人は,1957年(昭和32年)創業のイタリアのアパレル企業であり,申立人の商品の優れた品質は,非常に高い評価を得て,1970年代には,他の国際的なブランドとも事業提携をしていた。引用商標を付した「Paul&Shark」ブランドは,1975年(同50年)に立ち上げられたイタリアの高級レーベルであり,「Paul&Shark」ブランドの商品は,今日,73か国,458都市,474の店舗で販売され(甲4),ミラノ,パリ,ニューヨーク,香港,上海,ドバイ,モスクワ等の大都市にも専門店を構えている。
イタリアのファッション専門コンサルタントであるPambianco社が,2013年(平成25年)に行った,企業の株式公開の妥当性についての調査報告書によれば,申立人のハウスマークは,2012年(同24年)のランキングでは11位に,2013年(同25年)のランキングでは13位に入っている(甲8)。また,同報告書では,同ブランドの輸出割合が全体の77%にのぼり,売上額について,2010年(同22年)が1億5200万ユーロ,2011年(同23年),2012年(同24年)が1億7000千万ユーロであった旨の記載もあり,同ブランドの商品はイタリア国内に限らず,世界各地で販売されている。
申立人は,1976年(昭和51年)から継続して,衣類や服飾品に引用商標を付して,世界各地で使用し,遅くとも,1996年(平成8年)12月の時点で,公式ウェブサイトで引用商標を使用していた(甲9)。引用商標又は申立人及びその商品が,欧米において,多くの雑誌やインターネッ卜記事にも取り上げられ(甲5?7,14),引用商標は,その指定商品・役務に継続して使用されており,本件商標が出願された平成29年4月17日時点でも,外国において,広く親しまれ,周知となっていた。そして,現在においてもその周知性が失われるような事情はない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,構成文字に相応して「アトリエ シャーク」,「アトリエ」,「シャーク」等の称呼と,「サメ」の図形部分に相応して,「サメ」の称呼をも生ずるものといえる。また,本件商標中の文字部分「Atelier」,「Shark」からは,「アトリエ」,「サメ」といった観念が生じ得る。
引用商標は,構成文字に相応して「ポールアンドシャーク ヨッティング」,「ポールアンドシャーク」,「ヨッティング」,「ポール」,「シャーク」等の称呼と,「サメ」の図形部分に相応して,「サメ」の称呼も生ずるものといえる。また,「PAUL&SHARK」及び下部の「yachting」からは,「ポール(人名)とサメ」,「ヨットの操縦」といった観念が漠然と生じ得る。
両商標を対比すると,一方が黒塗りのシルエット図であり,他方が線図である点や構成文字の内容といった差異があるものの,図形部分は,いずれの商標においても,頭部を左にした横向きの「サメ」を表したものであり,ヒレの位置や伸びる角度が似通っている点で構成の軌を一にするものであって,これらの共通点が看者の印象に強く残るものといえる。
本件商標と引用商標とを直接対比して観察するとすれば,時と場所を異にして離隔的に接した場合には明瞭に把握できない程度の差異があるものの,衣類や服飾品の分野においては,ロゴマークが比較的小さく表示される場合があることからして,細部の相違点まで注意が及ばないことも多いといえ,また,簡易迅速を重んじる取引の実際においては,このような構成上の差異を明瞭に意識するとはいえないことを考慮すれば,本件商標と引用商標とは,外観において類似する商標である。
両商標の称呼のうち「アトリエ(Atelier)」,「ヨッティング(yachting)」は,全ての消費者が容易にこれらの称呼に到達し得るとはいえず,両商標におけるサメの図形の存在も手伝って,それぞれの商標の構成文字の中でもとりわけ「シャーク(shark)」の称呼が生じやすく,さらに,両商標における図形部分のみから,「サメ」との称呼も生ずるものといえる。よって,両商標は,「シャーク」,「サメ」の称呼において共通しており,称呼上,相紛れるおそれがある。
本件商標の文字部分は,具体的な観念を想起させるものではないが,引用商標の文字部分からは,「ポール(人名)とサメ」,「ヨットの操縦」といった観念が生じ得るため,本件商標と引用商標とは,それぞれの文字部分においては,観念上相紛れるおそれはない。
しかし,本件商標,引用商標,いずれの図形部分も「サメ」を描いたものであることが明らかであり,それぞれの商標の構成文字の一つである「Shark」の存在とあいまって,両商標とも,「サメ」の観念を生ずるため,両商標は,観念上,相紛れるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は,申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されており,本件商標権者は,本件商標の登録出願前より,引用商標を知っていたことは明らかである。
本件商標権者は,申立人の商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)することを意図して,本件商標を取得したことは明らかであって,不正の目的をもって使用をするものであるから,本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号について
引用商標は,外国において,衣類や服飾品に関する主たる取引者・需要者の間で広く認識されており,本件商標は,引用商標と近似するものである。
このような本件商標を,申立人とは何ら関係を有しない本件商標権者が使用することは,本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を,申立人の商標の外国における周知性ただ乗り(フリーライド)により得ようとすることにほかならず,申立人の商標に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがある。
よって,本件商標を不正の目的をもって使用し,申立人商標が持つ顧客吸引力等にただ乗りしようとする意図があると推認することは至極妥当であり,このような行為は,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するので,商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標及び引用商標の構成
(ア)本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,背ビレ,胸ビレ,腹ビレ,尻ビレ,及び上側が長く下側を短くした尾ビレを有した,頭部を左向きにしたサメと思しき魚類をシルエット風に描いてなる図形(以下「本件図形」という。)を中央に描き,その下に「Atelier Shark」の欧文字(以下「本件文字」という。)を配した構成よりなるものである。
(イ)引用商標
引用商標は,別掲2のとおり,背ビレ,胸ビレ,腹ビレ及びほぼ上下対称にした尾ビレを有し,目及び口を有した左向きのサメと思しき魚類を線画風に描いてなる図形(以下「引用図形」という。)を中央に描き,該図形の上段に円弧状に「PAUL&SHARK」の欧文字と同下段に「yachting」の欧文字(以下,これらをまとめて「引用文字」という。)を,それぞれ異なった書体で配した構成よりなるものである。
(ウ)本件商標及び引用商標の要部
本件商標及び引用商標は,いずれも図形と文字が結合された構成からなるところ,各商標の図形部分と文字部分は,間隔を開けて配置され,図形と文字という構成要素の相違から,それぞれが視覚上分離して認識されるものであり,図形部分と文字部分に特段の観念上のつながりも見出せないことから,両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。
そうすると,本件商標及び引用商標は,構成上,図形部分と文字部分とに分離して看取されるもので,それぞれが独立した構成部分であるとの印象を与えるものであるから,本件及び引用商標に接する需要者,取引者は,図形部分と文字部分のそれぞれを,自他商品識別標識として強い印象を与える要部として認識,理解し,取引に当たるというべきである。
イ 本件図形と引用図形の対比
(ア)外観
本件図形と引用図形とは,いずれも上記ア(ア)及び(イ)のとおり,背ビレ,胸ビレ,腹ビレ,尾ビレを有し,サメと思しき魚類の頭部を左にした側面の図形からなり,本件図形はシルエット風に,また引用図形は線画風に表してなるものである。
本件図形と引用図形を比較すると,両者はいずれも頭部を左にしたサメと思しき魚類を看取し得る図形からなるものである。しかしながら,本件図形は目に相当する部分は明確に視認できないが,口部分に相当する切れ込みを含め,その外形を把握できるシルエットからなるのに対し,引用図形は線図からなり,目や口の位置まで明確に描かれたものであるから,両者は,その全体の構成態様が異なる。また,ヒレの数及び配置,尾ビレの上下の長短において差異を有するものであって,別異の印象を与えるものであるから,両者は,その構成態様及び描写方法の相違により,時と所を異にして離隔的に観察した場合であっても外観上明確に区別し得るものである。
(イ)称呼及び観念
商標として採択されやすい動物を描く場合,多様な表現によるのが通常であり,当該図形により特定の動物が看取されるとしても,需要者等がこれを単に当該動物の名称の称呼及び観念をもって区別し,商取引に当たるものとはいい難いものである。
そうすると,本件図形と引用図形は,いずれも頭部を左にしたサメと思しき魚類を看取し得るものの,直ちに特定の称呼及び観念を生じるとまではいえない。
(ウ)類否
以上のとおり,本件図形と引用図形は,外観において明確に区別し得るものであり,称呼及び観念において比較することができないものであるから,両者は相紛れることはない。
ウ 本件文字と引用文字の対比
(ア)本件文字
「Atelier」及び「Shark」の文字は,それぞれ「画家・彫刻家・工芸家・デザイナーなどの仕事部屋,工房。」及び「サメ,フカ。」の意味を有する外国語として知られているものであり,両語の中間に半角程度の間隙を有するものの,その構成文字は同書,同大,同間隔で,まとまりよく一体に表されているため,一体的に看取され得るものであって,構成全体から生じると認められる「アトリエシャーク」の称呼も,よどみなく一連に称呼し得るものであるから,本件文字は,その構成全体から「アトリエシャーク」の称呼のみを生じ,「シャークという名の工房」程の観念を生じるものである。
(イ)引用文字
「PAUL&SHARK」の文字部分は,中間の「&」が,英語の接続詞「and」を表す略記号として一般に親しまれているものであり,また,構成文字は同書,同大,同間隔で,まとまりよく一体に表され,該文字から生じる「ポールアンドシャーク」の称呼も格別冗長というべきものでなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。
また,「PAUL」及び「SHARK」の文字が,それぞれ「ポール(男子名)」及び「サメ,フカ」の意味を有する既成の英語(参照:リーダーズ英和辞典 初版)であるとしても,これらの語を「&」で結合した全体が我が国において親しまれているということもできず,これらの文字に接する取引者,需要者が直ちに特定の意味合いを理解するとはいい難いから,「PAUL&SHARK」の文字部分は,特定の観念を生ずることのない造語であるといえる。
さらに,「yachting」の文字部分は,「ヨッティング」の称呼を生じ,「ヨット遊び」程の意味を有する英語(前掲書)であるとしても,我が国では,一般になじみのある語ではなく,その意味合いをもって認識されるというよりは,むしろ,特定の意味合いを生じない一種の造語として認識されるものというべきであるから,特定の観念を生じないものである。
してみれば,引用文字は,その構成文字に相応して,「ポールアンドシャーク」及び「ヨッティング」の各称呼を生じ,特定の観念を生じないものというのが相当である。
(ウ)類否
本件文字と引用文字は,その構成文字,つづり及び書体が異なるから,外観において紛れるおそれはない。
また,本件文字から生ずる「アトリエシャーク」と引用文字から生ずる「ポールアンドシャーク」及び「ヨッティング」との各称呼は,その構成音が異なり,明確に聴別し得るものである。
そして,本件文字からは,「シャークという名の工房」程の観念が生じ得るのに対し,引用文字からは特定の観念が生じないことから,両者は観念において相紛れるおそれはない。
そうすると,本件文字と引用文字とは,外観及び称呼において明らかに相違し,観念上も相紛れるおそれはなく,両者は非類似というべきである。
エ 本件図形と引用文字,本件文字と引用図形の対比
本件図形と引用文字,本件文字と引用図形とをそれぞれ比較すると,両者は文字と図形からなるという構成態様の明らかな差異があることに加え,上記のとおり本件図形及び引用図形からは直ちに特定の称呼及び観念が生じないため,それら図形を引用文字又は本件文字と比較することはできない。
オ 小括
以上のことを総合して考察すると,本件商標と引用商標とは,その要部の比較において,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはない。
その他,本願商標と引用商標とが類似する商標であるとする理由は,見いだせない。
したがって,本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから,その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものを含むものであるとしても,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 引用商標の周知性
(ア)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
a 申立人は,1957年(昭和32年)年創業のイタリアのアパレル企業であり,1975年(同50年)から使用を始めた引用商標を付した申立人の商品(衣類,服飾品等)は,平成30年8月現在で,73か国,458都市,474の店舗で販売されており,ミラノ,パリ,ニューヨーク,香港,上海,ドバイ,モスクワにおける高級ショッピングエリアにも専門店を構えている(甲4)。
b 2001年(平成13年),申立人は,オートレースの大会フェラーリ・チャレンジに出場するデイトナ・チームのスポンサーや国際的なセーリングの大会のスポンサーを務めている(甲5,6)。
そして,該大会のパンフレットや自動車の車体,ヨットの帆等に引用商標及び「PAUL & SHARK」が表示されている。
c 申立人は,1992年(平成4年)のバルセロナ五輪におけるイタリア代表チームの公式スポンサーも務め,スポンサー活動において引用商標が使用されている(甲7)。
d イタリアのファッション専門コンサルタントであるPambianco社が,2013年(平成25年)に行った,ファッション及び家庭用品デザイン分野における企業のランキングの調査報告書によれば,申立人は,2012年(同24年)のランキングでは11位に,2013年(同25年)のランキングでは13位に入っている(甲8)。しかしながら,当該調査報告書に記載されたランキングの明確な評価基準が証拠からは不明である。
e 1996年(平成8年)12月時点の申立人のウェブサイトのスクリーンショットには引用商標が表示されていた(甲9)。
f 申立人のウェブサイトは,英語,イタリア語,ドイツ語,フランス語,スペイン語,ロシア語,アラビア語,ベトナム語及び中国語で構成されており,当該ウェブサイトのトップページに引用商標が表示されているところ,同サイトの下部には「NEW FALL WINTER COLLECTION‘18」の記載があることから,同ウェブサイトは2018年(平成30年)の秋冬用コレクションに関するものと推認できる(甲10)。
g 甲12は,「PAUL&SHARK」ブランドのイタリア8か所,ベルギー2か所,フランス,ルーマニア各1か所の店舗一覧と写真である。
しかしながら,各店舗の入り口に引用商標及び「PAUL&SHARK」が表示されているが,当該写真の撮影日,撮影者等は明らかでない。
h 甲13は,上海にオープンした新店舗の写真と記事であり,店舗外観に「PAUL&SHARK」及び紹介記事に引用商標の表示がある。
i 欧州や米国・カナダ等多くの海外の雑誌やインターネッ卜記事(甲14)において,引用商標が掲載されていたり,または,申立人及びその商品が取り上げられているが,これら商品の外国における販売時期(期間),売上高や市場シェアなどの事業規模は不明であるし,雑誌記事については,その発行部数,販売地域,販売数量等,インターネット記事については,そのアクセス数等も不明である。
j 我が国における,申立人による引用商標の使用については,その使用開始時期及び使用期間,あるいは,引用商標の付された商品の宣伝広告の回数や宣伝広告費の額といったものを定量的に確認できる客観的な資料は提出されていない。
(イ)上記(ア)からすると,申立人は,申立人の業務に係る商品に引用商標を使用し,73か国で事業展開し,また,申立人のウェブサイト,「PAUL&SHARK」ブランドのパンフレット及び雑誌やインターネット記事には,引用商標の掲載があるとしても,日本国内及びイタリアを始めとする外国における引用商標に係る申立人の業務に係る商品の売上高や市場シェアなどの販売実績,事業規模,海外の雑誌やインターネットを通じた広告宣伝の程度(発行部数,販売地域,販売数量,アクセス数等)を示す証左は,いずれも見いだせず,提出された証拠によっては,本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
以上のことから,引用商標が,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国及び外国の取引者,需要者の間に広く認識されていたことを認めることはできない。
不正の目的
申立人の提出に係る証拠によれば,本件商標権者による本件商標の使用が、引用商標に蓄積された名声や信用にフリーライドし,それらを毀損させるものというべき事実は見いだし難いばかりでなく,他に,本件商標が不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的,その他不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証拠はない。
ウ 小括
本件商標と引用商標は,上記(1)のとおり類似する商標といえず,また,引用商標は,上記アのとおり,我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていると認めることはできないものであり,加えて本件商標は不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる事情が見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は,上記1(1)アのとおり,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,きょう激又は他人に不快な印象を与えるような構成からなるものではないところ,その商標登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等,その出願経緯などに公序良俗に反するおそれがあることを具体的に示す証拠の提出もない。
申立人は,本件商標は外国で周知な引用商標と近似するものであり,本件商標権者による本件商標の使用は,申立人商標に関連して獲得した業務上の信用,顧客吸引力にフリーライドするもので,これを登録することは社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反する旨を主張する。
しかしながら,上記(2)アのとおり,引用商標は,我が国及び外国において広く認識されているということはできないものであり,申立人の提出した証拠からは,具体的に本件商標権者が申立人の事業の遂行を妨害や阻止しようとしていることを裏付ける証拠は見出すことができない。
その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る証拠もない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。

4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号,同項第11号及び同項第19号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきでものである。
よって,結論のとおり決定する。


別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標)


異議決定日 2019-03-29 
出願番号 商願2017-61168(T2017-61168) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W141825)
T 1 651・ 262- Y (W141825)
T 1 651・ 261- Y (W141825)
T 1 651・ 22- Y (W141825)
T 1 651・ 263- Y (W141825)
最終処分 維持 
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 小出 浩子
田村 正明
登録日 2018-03-02 
登録番号 商標登録第6022846号(T6022846) 
権利者 合同会社AtelierShark
商標の称呼 アトリエシャーク 
代理人 西尾 隆弘 
代理人 杉村 憲司 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 門田 尚也 
代理人 中山 健一 
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