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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W19
管理番号 1351634 
異議申立番号 異議2018-900113 
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-05-07 
確定日 2019-05-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第6022380号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6022380号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6022380号商標(以下「本件商標」という。)は,「mamaro」の欧文字を標準文字により表してなり,平成29年3月28日に登録出願,第19類「簡易更衣室組立セット(金属製のものを除く。),簡易授乳室組立セット(金属製のものを除く。),建造物組立てセット(金属製のものを除く。)」を指定商品として,同年12月25日に登録査定され,同30年2月23日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標(以下「引用商標」という。)は,「mamaro」の欧文字からなり,同人が「保育のための設置型個室,授乳・離乳食・おむつ交換・着替え等,乳幼児ケアのための設置型個室,可搬式建造物組み立てユニット(金属製のものを除く),保育のための設置型個室の貸与,授乳・離乳食・おむつ交換・着替え等,乳幼児ケアのための設置型個室の貸与」に使用しているとするものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標の登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は,申立人の使用する未登録商標(引用商標)について,剽窃的に登録出願されたと推認でき,公正な取引秩序を害するものであるから,公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標として,商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人提出の証拠及び同人の主張によれば,次のとおりである。
ア 申立人は,授乳室やオムツ替え施設の情報が検索・投稿でき,その結果を地図上に表示する機能を有するスマートフォン等の情報端末向けアプリケーションソフトウェア及び移動可能な設置型個室タイプの授乳室の提供,開発といった育児関連サービス事業を行っている(甲5,甲7?甲12,甲14,甲18)。
イ 申立人は,平成28年11月16日に開催された横浜市経済局主催(運営委託先:トーマツベンチャーサポート株式会社)の「第3回横浜ベンチャーピッチ」において,可搬設置型授乳室について引用商標に言及し事業内容を公開した(甲6,甲7)。
ウ WEBメディア「Techcrunch」において,2017(平成29)年3月23日付けで,引用商標とともに可搬設置型授乳室についての記事が掲載された(甲8)。
エ 京浜急行株式会社のホームページの2017(平成29)年6月29日付けニュースリリースにおいて,引用商標とともに申立人の開発した可搬設置型授乳室を同年7月1日より京急グループの商業施設「京急サニーマート」内に試験的に設置するとの記事が掲載され(甲9),東京新聞の同年9月8日付け夕刊の記事(甲10)及び「ドリームゲート」のウェブサイトにおける同年10月5日付けの記事(甲11)においても,引用商標とともに申立人の開発した可搬設置型授乳室が同年7月1日より上記商業施設内に設置されたことが掲載されている。
オ 京橋経済新聞において,2018(平成30)年1月26日付けで,引用商標とともに申立人の開発した可搬設置型授乳室が同年1月より大阪・森ノ宮のショッピングモール「もりのみやキューズモールBASE」内に設置されたとの記事が掲載された(甲12)。
カ 長崎県大村市長園田氏のブログにおける2018(平成30)年2月5日付け記事(甲13)及び長崎新聞の同月6日付け記事(甲14)において,引用商標とともに申立人の開発した可搬設置型授乳室を同年2月5日より大村市の市民交流プラザ内に設置したことが掲載された。
キ 日本経済新聞電子版において,2018(平成30)年2月28日付けで,スルガ銀行は,引用商標とともに申立人の開発した可搬設置型授乳室を同年3月1日より横浜市のたまプラーザ支店内に設置するとの記事が掲載された(甲15)。
(2)上記(1)からすれば,申立人は,平成28年11月16日から引用商標を申立人の開発した可搬設置型授乳室について使用していることが認められる。
しかしながら,申立人の提出に係る甲各号証を検討しても,引用商標とともに申立人の開発した可搬設置型授乳室を紹介する掲載記事は,WEBメディア「Techcrunch」のものを除き,いずれも本件商標の登録出願後のものである。また,申立人の開発した可搬設置型授乳室が設置された場所は「京急サニーマート」(甲9?甲11),「もりのみやキューズモールBASE」(甲12),「大村市の市民交流プラザ」(甲13,甲14)及び「スルガ銀行たまプラーザ支店」(甲15)の4箇所であり,これを紹介する7件の掲載記事を含め,いずれも本件商標の登録出願後のものである上,これらの証拠からは,どの程度の需要者が閲覧したのか不明であり,引用商標に関する具体的な顧客数,市場占有率,広告の範囲及び回数等についての使用状況も明らかではない。
してみれば,引用商標は,本件商標の登録出願時及び査定時に,申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることができない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は,引用商標は,授乳等の育児に携わる女性を指し示す「mama」に部屋を意味する「room」の接頭の「ro」を組合わせた独創的な造語であり辞書に掲載されている既成語ではなく,本件商標と引用商標は全く同一であり,これは偶然の一致とはいい難いこと,また,本件商標にかかる指定商品のうち,「簡易授乳室組立セット」,「簡易更衣室組立セット」は,申立人が生み出したおむつ替えや授乳が可能な,少なくとも国内で初めての商品である可搬設置型授乳室と一致するものであり,該商品はありふれた商品ではなく,極めて独創的であるからこれも偶然の一致と考えることは不自然であること,及び商標権者が,申立人が引用商標にかかる事業に関連し,平成28年11月16日に公表した子育てソーシャルネットワーキングサービスに使用する商標「Make Local」と同一文字構成の商標を本件商標と同日に登録出願していること(甲6,甲7,甲19),などを総合的に勘案すれば,商標権者が,申立人が使用する商標について剽窃的に登録出願したことは明白である旨を主張している。
しかしながら,商標権者が,引用商標と全く同一の商標を,申立人が使用する可搬設置型授乳室と同一又は類似の商品を指定して登録出願しており,また,申立人が使用する商標「Make Local」と同一文字構成の商標を本件商標と同日に登録出願しているとしても,そのことをもって直ちに商標権者が不正の意図をもって,剽窃的に商標登録出願したということはできないものである。
すなわち,申立人の主張及び提出の証拠(甲6,甲7)によれば,申立人が引用商標にかかる事業計画を公表したのは,平成28年11月16日に開催された「横浜ベンチャーピッチ」の場において,であるところ,このイベントは登壇企業5社,定員70名という比較的小規模なものであり,ここに商標権者が参加していたとする証拠はなく,申立人と商標権者との業務上の関係も明らかではない。
また,WEBメディア「Techcrunch」へ引用商標に関する記事が掲載(甲8)されているとしても,当該情報は,アクセスしない限り知り得ない情報であって,その記事掲載日も2017(平成29)年3月23日のことであるから,本件商標の登録出願までの期間は僅か5日間であり,この間に商標権者が引用商標の存在を偶然発見し商標登録出願に至ったと認めることは困難である。
加えて,申立人からは,他に,商標権者が,本件商標の登録出願日前に引用商標の存在を知り得る状況にあったと認め得るような証拠の提出や不正の目的をもって登録出願したことを示す具体的な証拠の提出はないから,本件商標の登録出願が,引用商標による信用・利益を不正に得る意図で行われた剽窃的なものということはできない。
また,引用商標は,上記1(2)のとおり,申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることもできず,このことを認めるに足りる証拠(例えば,売上高,広告宣伝費,広告期間,規模及び回数等)の提出もないから,本件商標は,引用商標の周知性に化体した信用,名声及び顧客吸引力へのただ乗りをするものであるとはいえない。
そして,申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても,商標法の先願登録主義を上回るような,本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底認容し得ないような場合に該当すると認めるに足りる具体的事実を見いだすことができない。
さらに,本件商標を,その指定商品について使用することが,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するということもできず,他の法律によってその使用が禁止されているものでもなく,本件商標の構成自体が,非道徳的,卑わい,差別的,きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるような構成態様でもない。
その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る証拠の提出はない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当せず,その登録は同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-04-24 
出願番号 商願2017-42054(T2017-42054) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W19)
最終処分 維持  
前審関与審査官 豊田 純一高橋 梨理子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 薩摩 純一
大森 友子
登録日 2018-02-23 
登録番号 商標登録第6022380号(T6022380) 
権利者 島田 雅祥
商標の称呼 ママロ 
代理人 森戸 啓太郎 

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