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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W163541
審判 全部申立て  登録を維持 W163541
審判 全部申立て  登録を維持 W163541
審判 全部申立て  登録を維持 W163541
管理番号 1351632 
異議申立番号 異議2018-900211 
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-02 
確定日 2019-04-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6042646号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6042646号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6042646号商標(以下「本件商標」という。)は、「Scrum Master」の欧文字を標準文字により表してなり、第16類、第35類及び第41類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成29年6月19日に登録出願、第16類「紙類,文房具類,教材,書籍,定期刊行物,印刷物,書画,写真,写真立て」、第35類「広告業,広報活動の企画,広告用具の貸与,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,経営に関する指導及び情報の提供,業務改善に関する指導及び情報の提供,ベストプラクティスによる事業計画管理,ベンチマーキング(比較分析)を用いた業務効率改善に関する情報の提供及び助言,リスク評価分析を含む事業の管理に関する分析,経営・事業に関する情報の提供及び指導・助言,経営資源の最適配分のための事業の管理,経営資源を最適に配分するために行う経営の助言,市場の調査及びその評価,市場調査並びに企業におけるマーケティング事業に関する指導及び助言,事業の管理に関する評価及び事業の管理の効率性に関する分析,事業計画の評価,商業及び工業の管理に関する指導及び助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,マーケティング,マーケティング情報の提供,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,事業の評価,事業の管理に関する分析,事業の調査,統計情報の提供,人事管理,事業報告書の作成,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,データ入力・データ作成に関する事務処理の代行,コンピュータデータベースへの情報構築,コンピュータデータベースによるファイルの管理,電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行,コンピュータデータベースへの情報の蓄積,職業のあっせん,人材募集,人材の紹介,求人情報の提供,インターネット上でのオークションの運営,競売の運営」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,情報管理システムに関する教育訓練研修,情報技術の使用に関する教育訓練研修,それらのコンピュータ・電気通信を利用して行う教育訓練,組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供,プログラム・プロジェクト・ポートフォリオの管理及び作成のための教育訓練研修,コーチング(教育及び訓練),資格の認定及び付与の企画・運営並びにこれに関する情報の提供,資格検定試験並びに資格認定試験の企画・運営又は実施並びにこれに関する情報の提供,試験問題の作成,教育情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,ビジネス・事業戦略・科学・技術のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,その他のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,インターネット又はコンピュータネットワークを通じた通信端末を用いた書籍・雑誌の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・知識提供・教育訓練及び経営に関する書籍の制作(広告物を除く。),その他の書籍・雑誌・定期刊行物・冊子・カタログ及びその他の出版物の制作(広告物を除く。),教育・文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),書画の貸与,録画済み磁気テープの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,ポジフィルムの貸与,ネガフィルムの貸与,おもちゃの貸与,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,通信ネットワークを利用した音声・音楽・静止画・動画の提供(ダウンロードされるものを除く。),電気通信回線を通じて行う静止画像・動画像・音声付き静止画像・音声付き動画像・映像・電子出版物・教育情報の提供,通訳,翻訳」を指定商品及び指定役務として、同30年4月17日に登録査定、同年5月11日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、商標法第4条第1項第10号に該当するとして引用する商標は、「ScrumMaster」(以下「引用商標1」という。)の文字からなるものであり、また、商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、「CERTIFIED SCRUMMASTER」(以下「引用商標2」という。)の文字からなるものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第2号、同法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として証拠1ないし証拠3並びに添付1及び添付2を提出した。
本件商標は、「スクラム/Scrum」における主要な概念として広く一般に認識されている概念と同一である。スクラムのルールブックとして制定されている「Scrum Guide/スクラムガイド」(添付1及び2)に主要な概念として記載されており、スクラムを知る者には公知の名称となっている。
「Scrum」及び「スクラム」は、ソフトウェア開発に係るマネジメント方法論として、米国のジェフ・サザーランド(Jeff Suitherland)博士とケン・シュエイバー(Ken Schwaber)氏が1995年に発表したものである。2000年代後半から米非営利団体「Scrum Alliance」(以下「米非営利団体」という。)によって資格試験の体制が整備され、広く普及されるようになった。日本では、2008年より、同団体の資格トレーニングである「Certified ScrumMaster」、「Certified Scrum Product Owner」の研修が行われている。また、2010年より本手法に関するイベント「Scrum Gathering Tokyo」が行われ、例年300名程度の参加者が集まっている。関連する書籍として、「アジャイルソフトウェア開発スクラム(2007年 ピアソンエデュケーション)」「スクラム 仕事が4倍速くなる”世界標準”のチーム戦術(2015年 早川書房)」「SCRUM BOOT CAMP THE BOOK(2013年 翔泳社)」「アジャイル開発とスクラム?顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント(2013年 翔泳社)」などが出版されている。これらの活動の結果、「スクラム/Scrum」は共同発明者であるジェフ・サザーランド、ケン・シュエイバー両氏及び米非営利団体の運営に帰属するものとして、広く一般に認識されている。なお、米国ではスクラム共同開発者のケン・シュエイバーが「Scrum」の商標を申請し、棄却されている。
1 商標法第3条第1項第2号について
「スクラム」を採用してソフトウェア開発などの業務を行っている業者は多く、認定を受けているかどうかにかかわらず、広く一般に「ScrumMaster」という用語が利用されている。
2 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、「Scrum」における主要概念として広く認知されている「ScrumMaster」と同一であり、誤認を生ずる可能性がある。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、米非営利団体が保持している米国商標「CERTIFIED SCRUMMASTER」と極めて近く、当該商標を表示して、研修、資格認定を行っている同団体の商標と誤認される可能性がある。
4 商標法第4条第1項第19号について
提案者は、現在のところ、スクラムの研修事業において広く周知された団体とはいえず、本件商標の登録をもって、スクラムに関する業務への参入を目指していると考えられる。本件商標が既存の研修や役務と誤認される可能性がある。

第4 当審の判断
1 「Scrum Master」の文字の使用状況について
(1)申立人の提出に係る証拠(添付1及び2)及び同人の主張によれば、「Scrum Master」の文字の使用状況は、以下のとおりである。
申立人の提出に係る「The Scrum Guide」と題する書類(添付1)及びその日本語翻訳「スクラムガイド」(添付2)は、その表紙に「November2017」及び「2017年11月」の記載があることから、その頃作成されたものと解されるが、誰が何の目的で作成したものであるのかは不明であり、その作成部数、配布先、配布方法等も明らかではない。
そして、上記証拠(添付1及び2)には、「The Scrum Master」、「スクラムマスター」の項目があり、添付2には、「スクラムマスター」の項目に「スクラムマスターは、スクラムガイドで定義されたスクラムの促進と支援に責任を持つ。スクラムマスターは、スクラムの理論・プラクティス・ルール・価値基準を全員に理解してもらえるように支援することで、その責任を果たす。スクラムマスターは、スクラムチームのサーバントリーダーである(訳注:メンバーが成果を上げるために支援や奉仕をするリーダーのこと)。」の記載がある。
(2)しかしながら、「Scrum Master(スクラムマスター)」の文字が、本件商標の指定商品及び指定役務を取り扱う分野において、上記の意味合いを指称する語として、多数の同業者により広く使用されていることを示す証拠の提出はなく、「Scrum Master」の語が、本件商標の指定商品及び指定役務について慣用されている商標(商標法第3条第1項第2号)であることを明らかにする証拠の提出もない。
また、職権により調査するも、一般向けの新聞、雑誌、辞典等において、「Scrum Master」の語が掲載されている例や、慣用的に使用されていると認め得る客観的な証左は見いだせない。
2 商標法第3条第1項第2号該当性について
商標法第3条第1項第2号は、「その商品又は役務について慣用されている商標」については商標登録を受けることができない旨定めているところ、同号にいう、「慣用されている商標」とは、同業者間において一般的に使用されるに至った結果、自己の商品又は役務と他人の商品又は役務とを識別することができなくなった商標をいうと解される。
そこで、「Scrum Master」の文字についてみるに、該文字は、上記1のとおり、特定の商品又は役務の名称を表すものとして広く一般的に使用されているといった事実及びその商品又は役務について慣用されているといった事実は認められないものであるから、本件商標の指定商品及び指定役務の分野において、商品及び役務について慣用されている商標であるとはいえないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第2号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似するその商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されている。
そこで、申立人の提出に係る証拠をみるに、引用商標1が、周知・著名性を有すると認め得るような証拠(使用に係る商品・役務、使用の事実、使用開始の時期、販売数量、売上高、販売地域、宣伝広告の事実等を具体的に示す証左)は、一切提出されておらず、その他に引用商標1の周知・著名性を客観的に把握することができる事実も見いだせない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標1が他人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の提出した証拠からは、引用商標2が、米非営利団体の商標として、広く一般に知られているとは認められないし、その他に引用商標2の周知・著名性を客観的に把握することができる事実も見いだせない。
してみれば、引用商標2は、他人(米非営利団体)の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
また、本件商標と引用商標2とは、「CERTIFIED」の文字の有無の差異等から、明らかに異なるものであるから、類似性の程度は高くない。
その他、商品及び役務の出所について混同を生ずるとみるべき事情は見いだせない。
そうすると、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合であっても、これに接する取引者、需要者が、引用商標2ないしは他人(米非営利団体)を連想、想起するようなことはないというべきであり、当該商品又は役務が米非営利団体又は同団体と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そうすると、上記3及び4のとおり、引用商標1及び引用商標2が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人(米非営利団体)の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
また、申立人は、提案者(商標権者)は現在のところ、スクラムの研修事業において広く周知された団体とはいえず、本件商標の登録をもって、スクラムに関する業務への参入を目指していると考えられる旨主張しているが、それを裏付ける証拠の提出はなく、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第2号、同法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同法第3条及び第4条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-04-16 
出願番号 商願2017-80867(T2017-80867) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W163541)
T 1 651・ 271- Y (W163541)
T 1 651・ 25- Y (W163541)
T 1 651・ 12- Y (W163541)
最終処分 維持  
前審関与審査官 旦 克昌根岸 克弘 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
冨澤 美加
登録日 2018-05-11 
登録番号 商標登録第6042646号(T6042646) 
権利者 株式会社アーク
商標の称呼 スクラムマスター、スクラム、マスター 

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