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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W24 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W24 |
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管理番号 | 1351569 |
審判番号 | 不服2018-5855 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-04-27 |
確定日 | 2019-05-09 |
事件の表示 | 商願2016-115436拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第24類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成28年10月19日に登録出願されたものである。 その後,当審における同31年2月1日付けの手続補正書により,その指定商品は,第24類「ギフト用のタオル」と補正された。 2 原査定の拒絶の理由の要点 (1)本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性 本願商標は,「極上タオル」の文字を表示してなり,「極上」の文字(語)は,「きわめて上等なこと。最もすぐれていること。また,その物。」の意味を有するものであり,「タオル」の文字(語)は,本願指定商品を指すものであって,全体として「きわめて上等なタオル」の意味を容易に認識することができる。そうすると,本願商標をその指定商品について使用するときは,これに接する取引者,需要者が,当該文字を「高品質なタオル」であることを表示したものと認識し得るものであり,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)本願商標の商標法第3条第2項の該当性 本願商標は,出願人の取扱いに係る商品を表示する商標として,全国的に需要者の間に広く知られているものとは認められない。したがって,本願商標は,使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至ったものとは認められず,商標法第3条第2項には該当しない。 3 当審における審尋 当審において,請求人に対し,平成30年12月20日付けで,別掲2に係る証拠を新たに示した上で,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨,加えて,同法第3条第2項に基づく主張をするのであれば,その主張立証をするよう審尋を発し,相当の期間を指定して,請求人に回答を求めた。 4 審尋に対する請求人の意見 請求人は,上記3の審尋に対して,上記1のとおり本願商標の指定商品を補正するとともに,本件商品のギフト用タオルの市場におけるシェアは2%程度(10億円/500億円)であると考えられ,本件商品がギフト用タオルの市場で大きなシェアを有していることから,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を満たす旨主張した。 5 当審の判断 (1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は,別掲1のとおり,「極上タオル」の文字を普通に用いられる方法で縦書きしてなるところ,その構成中,「極上」の文字は,「きわめて上等なこと。最もすぐれていること。」を,「タオル」の文字は,「主に綿製で,布面に輪奈を出した織物。」の意味をそれぞれ有する語(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)であって,いずれも一般に広く親しまれている語であるといえる。 そして,原審が拒絶査定で引用した証拠及び当審が審尋で引用した証拠(別掲2)によれば,タオルを取り扱う業界において「極上タオル」の文字が,タオルの品質等を表す語として取引上一般に使用されている事実が認められる。 そうすると,本願商標を補正後の指定商品「ギフト用のタオル」に使用した場合,これに接する需要者,取引者は,これが「極上」と「タオル」との各文字を結合した語であると直ちに理解し,その商品が「極上の(極めて上等な)タオル」の意味合いを容易に理解,認識するものというべきである。 以上によれば,「極上の(極めて上等な)タオル」の意味合いを容易に認識させる本願商標を「ギフト用のタオル」について使用するときは,これに接する取引者,需要者は,単に商品の品質を表示したものと理解し,認識するにとどまるというのが相当である。 したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)本願商標の商標法第3条第2項該当性について 請求人は,仮に本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても,同条第2項の規定により登録を受けることができる旨主張し,その証拠方法として,第1号証ないし第29号証(枝番号を含む。当該第1号証ないし第29号証は,以下,甲第1号証ないし甲第29号証と読み替える。)を提出している。 ところで,出願に係る商標が,商標法第3条第2項に該当し,登録が認められるかどうかは,使用に係る商標及び商品,商標の使用開始時期,使用期間及び使用地域,当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して,出願に係る商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものである。 ア 請求人提出の証拠,同人の主張及び職権調査(インターネット情報など)によれば,請求人及びスタイレム株式会社(以下,これらを「請求人等」という。)は,2008年に本願商標を使用した商品「タオル」(以下「使用商品」という。)の販売を開始し,現在まで継続して販売していること(甲6,職権調査),雑誌,カタログに使用商品を宣伝広告していること(甲9?13)及び使用商品はこだわりや,シャディ,高島屋,東武百貨店(ミルポッシュ),イオン,ベネッセなどの通販サイトで販売されていることが認められる(甲5,25,職権調査)。 そして,これに加えて,取扱い店舗,雑誌を通じての販売等を併せみれば,使用商品は全国的に販売されているということができる。 イ しかしながら,使用商品の生産数,販売数,売上金額及び宣伝広告費を裏付ける証左はなく,宣伝広告の内容(広告宣伝の方法,期間,地域,規模等)も明確ではない(中山観音駅の広告が示されている(甲14)が,その掲示期間などは不明である。)。 また,仮に請求人が主張する2008年度ないし2016年度までの売上金額の総額(約23億6千万円)が事実であるとしても,かかる金額がタオルの1ブランドの売上げとしてその周知性を基礎付けるほど多額であると認めるに足りる証左も見いだせない。 ウ そして,仮に請求人が提出した報告書(甲28,出典不明)をもとに,同人が算出したギフト用タオルの市場規模が事実であるとしても,ギフト用タオルの売上高約500億円に対し,使用商品の売上高約10億円(小売価格に換算)とすると,使用商品のシェアは2%程度にすぎず,ギフト用タオルの市場における請求人等の使用商品のシェアは決して高いものとはいえない。 エ さらに「極上タオル」の文字は,原審における拒絶査定で引用した証拠に加え,当審が審尋で引用した証拠(別掲2)によれば,タオルを取り扱う業界において,タオルの品質等を表す語として取引上一般に使用されている事実が認められる。 オ 以上のことからすると,本願商標は,取引者,需要者の間に広く認識されているとはいい難いものであり,その指定商品について使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものとはいえない。 (3)請求人の主張について ア 請求人は,本願商標は助詞「の」を挟まずに「極上タオル」と表現したことに特異性を有し,自他商品識別機能を発揮する旨主張するが,上記(1)のとおり,「極上」及び「タオル」の語は,ともに広く親しまれた語であって,「極上」と「タオル」の両語を,助詞を挟まずに結合した表現形態によって,上記とは別の語義や観念が生ずると見る特段の事情は見受けられず,本願商標に接する取引者,需要者は,その商品が「極上のタオル」であるという意味合い以上のことを認識することはできない。したがって,助詞「の」の有無によって本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断が左右されるものとは認めることができない。 イ 請求人は,原審で引用した証拠及び当審が審尋で引用した証拠の使用例は,一般的なタオルに関する使用例にすぎず,本願の指定商品である「ギフト用のタオル」に関する使用例とは言えないものである旨主張する。 しかしながら,本願の指定商品を「ギフト用のタオル」に縮減補正したとしても,そのことによって需要者層が限定されるということにはならないし,「ギフト用のタオル」と「自家消費用のタオル」について,特殊な取引の実情があることも見いだせないものであって,タオルを取り扱う業界において「極上タオル」の文字が,タオルの品質等を表す語として取引上一般に使用されている事実は上記のとおりであるから,当該補正をもってその判断が左右されるものではない。 ウ 請求人は,本件商品がギフト用タオルの市場で大きなシェアを有していることは,株式会社ベネッセコーポレーション発行の「たまひよの内祝い」の売上のランキングで,本件商品がギフトタオル部門の第3位になっていることからも分かる旨主張する。 しかしながら,出産内祝いを特集する一雑誌に本件商品の売上ランキングが掲載されているとしても,当該一事例をもって,ギフト用タオルの市場における請求人等の使用商品の市場全体のシェアが高いということはできない。 3 まとめ 以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同法第3条第2項の要件を具備するものでもないことから,登録することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 (本願商標) 別掲2 (「極上タオル」の文字が用いられている事例) 1 新聞記事 (1)2011年5月22日付け「大阪読売新聞」朝刊30ページ 「今治タオル専門店 国際ホテルに開店=愛媛」のタイトルのもと,「『一人ひとりに合った極上タオルを用意します』と益田ちなみ店長。」の記載があります。 (2)2017年4月15日付け「東京読売新聞」朝刊27ページ 「横須賀 商議所ネット店 全国の品続々 企業の参加負担軽減 ヤフーと=神奈川」のタイトルのもと,「『枕カバー 四国今治産 極上タオル』などの商品が並ぶ。」の記載があります。 2 インターネット情報 (1)「STORYweb」と称するウェブページ 「Lifstyle NEWS」として,「タオルソムリエが選ぶ“極上タオル”5選」のタイトルのもと,5種類のタオルが写真とともに紹介されています。 https://storyweb.jp/lifestyle/44331/ (2)「Pathee」のウェブページ 「ふわふわの幸せに包まれる!新宿で出会える極上タオル」として,新宿でおすすめのタオル専門店が紹介されている。 https://pathee.com/region/tokyo/shinjuku/towel.html (3)「楽天市場」の「MAXMATERIA」のウェブページ 「タオルソムリエが作った最高級タオル/Made in JAPAN/極上タオル」の記載のもと,タオルハンカチが写真とともに紹介されています。 https://item.rakuten.co.jp/maxmateria/stnd-flo-hand/ (4)「楽天市場」の「MAXMATERIA」のウェブページ 「タオルソムリエが作った最高級タオル/Made in JAPAN/極上タオル」の記載のもと,バスタオルが写真とともに紹介されています。https://item.rakuten.co.jp/maxmateria/stnd-box-widebath/ |
審理終結日 | 2019-03-11 |
結審通知日 | 2019-03-12 |
審決日 | 2019-03-25 |
出願番号 | 商願2016-115436(T2016-115436) |
審決分類 |
T
1
8・
17-
Z
(W24)
T 1 8・ 13- Z (W24) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 啓之、豊田 純一 |
特許庁審判長 |
小出 浩子 |
特許庁審判官 |
瀬戸 俊晶 平澤 芳行 |
商標の称呼 | ゴクジョータオル、ゴクジョー |
代理人 | 山田 威一郎 |