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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効としない W35
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W35
審判 全部無効 称呼類似 無効としない W35
審判 全部無効 観念類似 無効としない W35
管理番号 1351564 
審判番号 無効2016-890073 
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-11-30 
確定日 2019-05-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第5790605号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5790605号商標(以下「本件商標」という。)は、「エナジア」の片仮名を標準文字で表してなり、平成27年1月13日に登録出願、第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業管理,財務書類の作成,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」を指定役務として、同年8月19日に登録査定され、同年9月4日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の無効の理由として引用する商標は、次のとおり(以下、それらをまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第3104821号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、平成4年6月11日に登録出願、第39類「電気の供給」を指定役務として、同7年12月26日に設定登録され、その後、同18年4月11日及び同27年8月18日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
なお、引用商標1に係る商標権には、第39類「ガスの供給,水の供給,熱の供給」を指定役務として、防護標章登録がされている。
2 登録第4964802号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(B)のとおりの構成からなり、平成17年10月31日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与」を指定役務として、同18年6月30日に設定登録され、その後、同28年4月26日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第57号証(枝番号を含む。ただし甲8?甲13及び甲17?甲20は欠番。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、商標法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきである。
2 具体的な理由
(1)請求の利益
請求人は、引用商標の商標権者であり、これら引用商標を使用して、電気を供給しているところ、本件商標は引用商標と類似し、両商標の指定役務は類似するから、被請求人が本件商標を指定役務に使用した場合、引用商標との関係で出所の混同をきたすおそれがある。
したがって、請求人は、本件商標の登録により直接不利益を有する者であるから、本件商標の登録を無効とする本審判の請求につき利害関係を有する。
(2)本件商標等の手続
ア 被請求人は、本件商標ついて「早期審査に関する事情説明書」を提出した(甲16)。
イ 被請求人は、特許庁に平成27年4月15日付けで「エナジア」の文字を含むイ号標章と引用商標1に関し判定を求め(甲21)、特許庁は、これを判定2015-600012号事件として審理し、平成27年7月24日に判定をした(甲23。以下「本件判定」という。)。
ウ 請求人は、平成27年12月10日に、登録第5791831号商標及び本件商標に関し、それぞれに異議を申立て、特許庁は、前者を異議2015-900372号事件として、後者を異議2015-900371号事件として審理し、いずれも平成28年6月16日に決定をした(甲24の1及び2。以下、それら決定を総括して「本件異議決定」という。)。
(3)商標法第4条第1項第11号
ア 商標の類否の判断
本件商標と引用商標の類否について、最高裁判決(昭和39年(行ツ)第110号,昭和37年(オ)第953号,平成3年(行ツ)第103号,平成19年(行ヒ)第223号)の見地から検討する。
イ 本件商標について
(ア)本件商標
本件商標は、「エナジア」の片仮名を標準文字にて書した構成からなり、「エナジア」の称呼を生じ、特定の観念を生じないところである。
(イ)本件商標の採択の経緯
被請求人は、平成25年8月12日に商号を「株式会社グリーン・ストラテジー&アソシエイツ」として設立され、平成26年7月4日に商号を「株式会社エナジア」に変更した(甲14)。
被請求人が、本件商標の「早期審査に関する事情説明書」において、上段に大きく「energia」の欧文字を配し、下段に小さく「エナジア」の片仮名を配した構成からなる結合商標をもって、本件商標の使用の事実を証しており(甲16)、本件判定の判定請求書(以下「判定請求書」という。)において、「欧文字『energia』に代え会社名の略称である片仮名『エナジア』をあてたイ号標章に変更し、平成27年1月26日から使用を開始し、現在に至っている。」と述べている(甲21)。
したがって、本件商標「エナジア」は、「energia」の欧文字に由来する語であり、その「energia」の欧文字から「エナジア」の称呼を生じることは、被請求人も否定し得ないところである。
(ウ)本件商標の取引の実情
被請求人は、判定請求書において「energia」の欧文字に代えて「エナジア」の片仮名に変更したと述べている(甲21)。
しかしながら、これを証する「株式会社エナジアのホームページ写し」において、本件商標が表示されている他、左上のホームページアドレスとして「http://energia.xyz/」、住所及び連絡先のEメールアドレスとして「info@energia.xyz」と表示されている(甲22)。
また、請求人の調べによる平成27年12月21日時点の被請求人のホームページ「http://energia-jp.com/」において、被請求人の住所及び連絡先のEメールアドレスとして「info@energia-jp.com」、著作権の表示として「2015 ENERGIAInc.All Rights Reserved.」と表示されている(甲25)。
したがって、本件商標は、専ら被請求人のホームページにおいて使用されており、そのホームページでは、「energia」の欧文字を有するホームページアドレス、Eメールアドレスや著作権の表示とともに使用されていることは、被請求人も否定し得ないところである。
(エ)本件判定及び本件異議決定
本件判定及び本件異議決定は、本件商標の採択の経緯と取引の実情について、何ら認定せず意識的に除外しており、「取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする」との判断基準から許容されないものである。
ウ 引用商標1について
(ア)外観について(分離観察の可否と一部比較の可否)
引用商標1は、左に欧文字「E」を捻りながら延伸させ延伸の中間部に円弧状の輪を配した図形を配し、右に「EnerGia」(「G」の文字は、直前の小文字と縦の長さを同一にした大きさのもの。以下同じ。)の欧文字を配した構成からなる結合商標である。
そして、図形部分と欧文字部分は、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないところである。また、「EnerGia」の欧文字部分は、取引者、需要者に対し、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるところである。
したがって、引用商標1の類否判断に際し、「EnerGia」の欧文字部分を対比することは許容されるところである。
(イ)称呼について
引用商標1の「EnerGia」の欧文字は、一般的な辞書等に掲載されていない造語と考えられることから、この欧文字より如何なる称呼を生じるか明らかではなく、他方で、先行商標採択例、商標使用例、及び、前述の被請求人の本件商標の採択の経緯を考慮すると、この欧文字部分に相応し、出所識別標識としての「エネルギア」の称呼の他、出所識別標識としての「エナジア」の称呼を生じるところである。
「energia」の欧文字につき、仮に、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ポーランド語において「エネルギー」の意味合いを有する語であるとしても、我が国の取引者、需要者が、これら馴染みのない言語を理解し、これら馴染みのない言語に応じた発音で称呼することは極めて稀である。
むしろ、我が国の取引者、需要者は、「EnerGia」の欧文字と綴りを異にするも、「エネルギー」の意味合いを有する外来語「energie」について「エネルギー」と称呼し(甲26)、英語においては「energy」となって「エナジー」と称呼しているところである(甲27)。
したがって、「EnerGia」の欧文字は、これらと綴りは異なるも、我が国の取引者、需要者は、特定の意味合いを有しない造語と理解し、外来語「energie」(エネルギー)になぞらえてドイツ語風に「エネルギア」と、また英語「energy」(エナジー)になぞらえて、英語風に「エナジア」と称呼するところである。
加えて、我が国における英語の普及度を考慮すると、「ENERGIA(Energia)」の欧文字と「エナジア」の片仮名を併記した先行商標採択例(甲28?甲32。甲32は出所混同から守ることを目的の一として、請求人が譲り受けたもの。)や商標使用例(甲33、甲34)のように、引用商標の「EnerGia」の欧文字を英語風に「エナジア」と称呼することは自然である。
そして、欧文字からなる商標であって、ドイツ語風や英語風など、複数の自然的称呼を生じる場合、各々の称呼が生じる商標と類似すると判断することは、東京高裁昭和54年(行ケ)第17号同年8月29日判決からも許容されるところである。
(ウ)観念について
引用商標の「EnerGia」の欧文字は、一般的な辞書等に掲載されていない造語であって、特定の観念を生じないところである。
(エ)取引の実情について
a 引用商標の使用と取引の実情
「ENERGIA」の欧文字や「エネルギア」の片仮名は、請求人及び請求人のグループ企業のキーコンセプトとして平成3年1月に制定され、請求人が、CI(コーポレート・アイデンティティー)まで定めて引用商標の使用の統一に努めてきたばかりでなく、「各種の雑誌、新聞、テレビ、インターネット等の媒体を通じ、宣伝広告に努めてきた結果、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、電気の供給区域内の取引者、需要者間はもちろんのこと、供給区域外の取引者、需要者間にも広く認識されているところである」(甲35,甲36)。
したがって、引用商標の商標権者である請求人の努力の結果、引用商標はもちろん、「EnerGia」の欧文字、「エネルギア」の片仮名、これより生じる「エネルギア」の称呼や「EnerGia」の欧文字に由来する「中国電力のブランド」の観念をもって、請求人の出所識別標識として取引者、需要者に理解されるに至っているところである。
b 本件判定及び本件異議決定
(a)商標使用に伴う類似範囲の収縮的解釈
本件異議決定は、「EnerGia」の欧文字より「エネルギア」と「エナジア」の2つの称呼を生じると認定しているにもかかわらず、引用商標の使用や周知著名性の獲得といった取引の実情を考慮すると、他の「エナジア」の称呼を除外し、「エネルギア」の称呼や「中国電力のブランド」の観念に限定して類否判断する解釈である。
この様な解釈に基づく類否判断は、対比に係る商標から2つ以上の称呼、観念が生じる場合であっても、その登録商標について、1つの称呼に特定した商標使用や、周知著名性の獲得に伴う1つの観念の発生といった取引の実情を考慮すると、その登録商標の保護は、出所識別標識として機能している1つの称呼、観念という専用権(商標法第25条)の範囲に限定して解釈する。そして、他の称呼、観念は除外することで、実質その禁止権は放棄したとして、類似範囲が収縮ないし消滅したと解釈するものである。
この様な解釈に基づく類否判断は、知財高裁平成17年(行ケ)第10018号同年4月13日判決からも許容されないところである。
請求人は、引用商標の使用や周知著名性の獲得といった取引の実情を考慮すると、引用商標はもちろん、「EnerGia」の欧文字、「エネルギア」の片仮名、これより生じる「エネルギア」の称呼や「EnerGia」の欧文字に由来する「中国電力のブランド」の観念をもって、請求人の専用権たる出所識別標識として理解されるに至っていると認識し、これを否定するものではない。
「EnerGia」の欧文字より生じる他の「エナジア」の称呼は、引用商標の専用権を防衛する禁止権に属するところ、この称呼を除外することは、実質その禁止権を放棄したとして、類似範囲を収縮ないし消滅したと解することである。これでは、請求人の業務上の信用の維持を図ることができず、また、取引者、需要者の利益を保護することができないため、商標制度に沿わない結果を招来するところである。
(b)不使用商標の類似範囲との対比
本件異議決定は、「EnerGia」の欧文宇より「エネルギア」と「エナジア」の2つの称呼を生じると認定しているところ、仮に、引用商標が不使用登録商標であるなど、引用商標の使用や周知著名性の獲得といった取引の実情を考慮できないのであれば、「エネルギア」の称呼のみならず他の「エナジア」の称呼も含めて類否判断するものである。
この様な解釈に基づく類否判断は、対比に係る商標から2つ以上の称呼、観念が生じる場合に、その登録商標について使用されておらず取引の実情を考慮できないときには、その登録商標の保護は、1つの称呼、観念という専用権の範囲に限定して解釈できないため、他の称呼、観念を含めて類似範囲を広く解釈するものである。
そして、この様な解釈に基づく類否判断は、商標法が、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ることを法目的(同法1条)としているにもかかわらず、上記の商標使用に伴う類似範囲の収縮的解釈のもと、CI等を定めて商標使用の統一に努め、1つの称呼、観念に特定して登録商標を使用すると、その登録商標の保護が、1つの称呼、観念という専用権の範囲に限定して解釈されるのに対し、登録商標を使用しなければ、他の称呼、観念を含めて類似範囲を広く解釈されるところである。その結果、業務上の信用の化体していない不使用登録商標は、他人による類似商標の登録を阻却し使用を排除することができ、不使用登録商標の権利性が相対的に拡張されることとなり、商標制度に沿わない結果を招来するところである。
(c)禁反言の拡張的解釈
本件異議決定では、引用商標1に関し、請求人による「EnerGia」の欧文字より「エネルギア」の称呼を生じるとの先行主張と「EnerGia」の欧文字より「エネルギア」の称呼と「エナジア」の称呼を生じるとの後行主張は、相反する矛盾する主張であり、禁反言の主張であって許されないとするものである。
請求人は、先行主張において、引用商標より「エネルギア」の称呼を生じると主張していることを何ら否定するものではなく是認するところであるが、後行主張において、引用商標より「エネルギア」の称呼が生じることはなく「エナジア」の称呼のみを生じると主張したことは一度もない。引用商標につき、「エネルギア」の称呼を生じるとの先行主張と「エネルギア」と「エナジア」の2つの称呼を生じるとの後行主張は、先行主張も後行主張も「エネルギア」の称呼を生じるとの点において何ら矛盾することなく両立し得る主張であり、本件異議決定の判断は、このような主張についてまで、矛盾行為を禁ずる禁反言の法理に照らして許されないとするものであり、禁反言の拡張的解釈である。
(d)制度上の不都合の検証
上記のとおり、本件異議決定における商標使用に伴う類似範囲の収縮的解釈、不使用商標の類似範囲との対比、禁反言の拡張的解釈によれば、対比に係る商標から2つ以上の称呼、観念が生じる場合に、商標制度に沿わない結果を招来するところである(甲37?甲42)。
登録商標について、1つの称呼に特定した商標使用や、周知著名性の獲得に伴う1つの観念の発生といった取引の実情は、その登録商標の現在の特殊的、限定的な取引の実情である。登録商標について、2つ以上の称呼、観念が生じる場合であれば、他の称呼、観念をもって、取引者、需要者をして商取引に資されるおそれがあるため、その登録商標の全般についての一般的、恒常的な取引の実情として、他の称呼、観念についてまで、類否判断しなければならず、特殊的、限定的な取引の実情を誇大に解し、一般的、恒常的な取引の実情を無視することは、許容されないところである。このことは、最高裁昭和47年(行ツ)第33号同49年4月25日第一小法廷判決からも、許容されないものである。
エ 引用商標2について
(ア)外観について
a 引用商標2の構成(分離観察の可否と一部比較の可否)
引用商標2は、上段に「エネルギア」の片仮名を配し、下段に「EnerGia」の欧文字を配した二段併記の構成からなる結合商標である。
そして、下記のとおり、この種の二段併記の構成からなる結合商標は、取引の実情において独立して別個に使用されていることから、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合ではないところである。
また、商標の全体の構成から、上段の片仮名部分以外の部分、すなわち、下段の「EnerGia」の欧文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合ではないばかりか、下段の「EnerGia」の欧文字部分が取引者、需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合である。
そして、あたかも権利不要求の意思表示をしたかの如く、下段の「EnerGia」の欧文字部分を除外し、上段の「エネルギア」の片仮名部分の構成に限定された商標と同様に解さなければならない特段の事情も見受けられないことから、上段の片仮名部分のみを比較することは許容されないところである。
したがって、引用商標2の類否判断に際し、独立して出所識別標識としての称呼、観念が生じ、また、出所識別標識として強く支配的な印象を与える下段の「EnerGia」の欧文字部分を独立して別個に比較しなければならず、下段の「EnerGia」の欧文字部分を除外し、上段の読み仮名の「エネルギア」の片仮名に限定して比較することは許容されないところである。
b 二段併記商標
(a)二段併記の構成からなる結合商標については、普通一般に商標出願され、商標登録されており、これを踏まえ、審査基準や審判便覧に定められているところである。
(b)引用商標2は、上記のとおりの構成からなるところ、請求人は、二段併記の構成を使用しているのみならず(甲36の1)、下段の「EnerGia」の欧文字部分や「エネルギア」の片仮名部分を独立して、別個にも使用している(甲36の3?7)。
そして、個別の「EnerGia」の欧文字や「エネルギア」の片仮名をもって、請求人の出所識別標識として理解されるに至っていることからも、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいいがたいところである。
(c)二段併記商標の出願の意図
一般に、欧文字の造語からなる商標を採択した場合であって、その欧文字から2つ以上の称呼を生じるときに、その欧文字より如何なる称呼を生じるかは明らかではないため、商取引において使用する1つの称呼を片仮名として併記し、片仮名部分と欧文字部分の二段併記の構成からなる結合商標として出願するところである。
その意図は、商取引において使用する1つの称呼をわざわざ読み仮名の片仮名として併記して出願することにより、その出願の審査官に対し、少なくとも、併記された片仮名より生じるその1つの称呼を失念することなく、その称呼を中心に審査して欲しいがために併記したところであり、他の称呼を除外し、その禁止権を放棄し権利不要求とする意図で併記したものではない。
引用商標2は、仮に、上段の「エネルギア」の片仮名を併記せずに、「EnerGia」欧文字のみの商標として出願すると、審査官によっては、「energia」の綴りの欧文字と「エナジア」の片仮名を二段併記した先行商標採択例(甲28?甲32)を参考に、ドイツ語風の「エネルギア」の称呼を失念し、英語風の「エナジア」の称呼をもって審査してしまうおそれがある。
そこで、請求人らは、後日の他人により商標「エネルギア」について商標登録されてしまう不都合を回避すべく、わざわざ読み仮名の片仮名「エネルギア」を併記して出願し、「エネルギア」の称呼を中心に審査して欲しいために併記したところであり、他の称呼「エナジア」の称呼を除外し、その禁止権を放棄し権利不要求とする意図で併記したものではない。
また、「ENEOS」と「エネオス」の二段併記の登録商標(甲43)及び「agnes b.」と「アニエスベー」の二段併記の登録商標(甲46)も同様の意図と考えられる。
(イ)称呼について
引用商標2は、上段の「エネルギア」の片仮名部分に相応して、「エネルギア」の称呼を生じる。
また、下段の「EnerGia」の欧文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合ではないばかりか、該欧文字部分が取引者、需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合であるから、下段の「EnerGia」の欧文字部分を独立して別個に比較しなければならないところである。
そして、該欧文字部分は、一般的な辞書等に掲載されていない造語と考えられ、如何なる称呼を生じるか明らかではなく、また、出所識別標識として強く支配的な印象を与えることから、この欧文字部分に相応し、出所識別標識として「エナジア」の称呼を生じる。
(ウ)観念について
引用商標2は、その構成中「エネルギア」の片仮名、「EnerGia」の欧文字は一般的な辞書等に掲載されていない造語であって、特定の観念を生じない。
(エ)取引の実情について
「ENERGIA」の欧文字や「エネルギア」の片仮名は、請求人及び請求人のグループ企業のキーコンセプトとして平成3年1月に制定され、請求人の努力の結果、取引者、需要者において、引用商標はもちろん、「EnerGia」の欧文字や「エネルギア」の片仮名は、「EnerGia」の欧文字に由来する「中国電力のブランド」の観念をもって、出所識別標識としての観念を生じる(甲35、甲36)。
会社案内(甲36の1)の3頁において、「キーコンセプト」として、上段に「エネルギア」の片仮名を配し、下段に「ENERGIA」の欧文字を配した二段併記の構成からなる結合商標を使用している事実は、むしろ引用商標2に相応する事実である。
また、請求人が「ENERGIA」の欧文字の称呼を「エネルギア」と特定して使用している事実も、引用商標2に当てはまる事実であり、引用商標1が需要者に広く知られている周知商標である事実も、引用商標2が「中国電力のブランド」の観念を生じるとする事実に相応する事実である。
したがって、引用商標2の類否判断に際し、上記の引用商標1における認定と異なり、特定の観念を生じないと認定するのは、明らかな矛盾であり、上記の引用商標1と同様、取引の実情等を考慮すると「EnerGia」の欧文字に由来する「中国電力のブランド」との観念を生じるところである。
オ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、上記のとおり、「エナジア」の称呼を生じ、その採択の経緯と取引の実情を考慮すると、「energia」の欧文字に由来するブランドとの観念を生じる。
これに対し、引用商標1は、上記のとおり、「エネルギア」と「エナジア」の称呼を生じる。このことは、被請求人も否定しえないところであり、また、本件判定及び本件異議決定でもそのように認定しているところである。
また、引用商標2は、上記のとおり、「エネルギア」と「エナジア」の称呼を生じ、引用商標の使用と取引の実情を考慮すると、「中国電力のブランド」との観念を生じる。このことは、本件異議決定でもそのように認定しているところである。
ここで、本件商標と引用商標から生じる称呼をみると、引用商標から「エナジア」の称呼を生じる点は、本件商標から生じる「エナジア」の称呼を生じる点と同一である。また、観念をみると、引用商標から取引の実情等を考慮すると「EnerGia」の欧文字に由来する「中国電力のブランド」との観念を生じる点については、本件商標から取引の実情等を考慮すると「energia」の欧文字に由来するブランドとの観念を生じる点において同一ではないものの関連するところである。
このように、「対比に係る商標から2つ以上の称呼、観念が生じる場合、そのうちの1つの称呼、観念が類似するときは、両商標は類似するというべきである」(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決,知財高裁平成28年(行ケ)第10062号同年7月20日判決)から、本件商標と引用商標とは、類似する商標である。
その他、本件商標と引用商標は、外観上の相違はあるものの、その相違は、上記の称呼及び観念の同一性を凌駕し、覆すほどのものではない。
カ 指定役務の類否について
本件商標の指定役務中「広告業」(類似群:35A01)、「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業管理」(類似群:35B01)、電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」(類似群:35G04)は、引用商標2の指定役務と類似する。
(4)商標法第4条第1項第15号
最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決の見地から、本件商標と引用商標の混同を生じるおそれの有無を検討する。
ア 当該商標と他人の表示との類似性の程度
上記のとおり、本件商標と引用商標の類似性の程度は極めて高い。
イ 他人の表示の周知著名性及び独創性の程度
引用商標は、請求人により永年使用されてきた商標であり、引用商標1が防護標章登録を受けていることや特許庁の審決、判定の認定からも、電気の供給区域内のみならず、供給区域外の取引者、需要者一般にも広く知られている商標であることが明らかであり、その周知著名性の程度は極めて高いところである(甲35,甲36,甲23)。
また、引用商標は、請求人のハウスマークとして使用されており、しかもグループブランドとしても使用されていることから(甲35,甲36)、その周知著名性の範囲は、「電気の供給」の役務に限られず、これと密接な営業上の関係にある役務についてまで及んでいる。
さらに、引用商標は、平成28年の家庭向けの電力小売全面自由化も始まり、請求人自らも、西日本全域で「電気の供給」の役務を提供するなど、従前の電気の供給区域にとらわれることもないことから、その周知著名性の地域は、広く日本全国に及んでいる。
そして、引用商標の独創性の程度については、「EnerGia」の欧文字は、一般的な辞書等に掲載されていない造語と考えられることから、独創性の程度は高い。
ウ 当該商標の指定役務と他人の業務に係る役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度
本件商標の指定役務と引用商標2の指定役務の関連性の程度については、役務間の性質、用途又は目的において同一の役務であって、関連性の程度は極めて高い。
エ 役務の取引者及び需要者の共通性
本件商標の指定役務は、上記のとおり、第35類「広告業」等であり、他方、引用商標2の指定役務は第35類「広告」等であるから、その取引者、需要者は、いずれも広告物の作成等の役務の提供を受ける者であり、共通性の程度は極めて高い。
オ その他取引の実情
本件商標は、被請求人のホームページのアドレス、Eメールアドレスなどにおいて、「energia」の欧文字と一緒に使用され(甲22,甲25)、該欧文字と密接な関連をもって使用されている。
そして、被請求人の名称「株式会社エナジア」をインターネット上の検索サイト「Google」において検索すると、被請求人が検出されるほか、請求人のグループ企業の多数検出される(甲54)。
カ 具体的出所の混同について
本件商標と引用商標の類似性のほか、引用商標が、請求人の役務を表示する商標として、電気の供給区域内のみならず、供給区域外の取引者、需要者一般にも広く知られ、請求人により永年にわたりハウスマークとして、またグループブランドとして使用されていること、請求人の経営の規模、環境保護活動、社会貢献活動の実績、企業経営の多角化の傾向等をも併せて考慮すると、本件商標を被請求人が使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本件商標を使用した被請求人の提供する指定役務について、請求人又はそのグループ企業との間に、密接な営業上の関係又は同一の表示による事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る役務であると誤信し、役務の出所につき誤認を生じさせる。
(5)答弁に対する弁駁
ア 商標法第4条第1項第11号
(ア)引用商標の「EnerGia」の欧文字より生ずる称呼
被請求人は、引用商標の「EnerGia」の欧文字と綴りを同じくする「energia」の欧文字について、乙第1号証ないし乙第6号証を挙げて、「今や『energia』の欧文字は、英語か否かに関係なく、電気・熱等のエネルギー、特に再生可能エネルギーの業界において、最も基本的、かつ取引上、不可欠な語『エネルギー』を意味し、この業界の取引者、需要者であれば、誰でも目にし、かつ、その使用を欲するありふれた語なのである。」旨主張している。
しかし、かかる被請求人の主張は、我が国の取引者、需要者の一部が、スペイン語等に精通し、引用商標の「EnerGia」の欧文字や「energia」の欧文字をスペイン語等と理解することを前提としたものであり、特殊的、限定的な取引の実情である。
むしろ、我が国の取引者、需要者のほとんどが、スペイン語等に精通しておらず、引用商標の「EnerGia」の欧文字や「energia」の欧文字を特定の意味合いを有しない造語と理解することこそ、一般的、恒常的な取引の実情である。
そして、引用商標から2つ以上の称呼が生じる場合であれば、たとえ、引用商標の使用や周知著名性の獲得といった取引の実情を考慮し、「引用商標の称呼を『エネルギア』と特定し」たとしても、他の「エナジア」の称呼をもって、取引者、需要者をして商取引に資されるおそれがある以上、その引用商標の全般についての一般的、恒常的な取引の実情として、他の「エナジア」の称呼についてまで、類否判断しなければならないことは、氷山・しょうざん事件最高裁判決(昭和39年(行ツ)第110号)や亀甲紋章事件最高裁判決(昭和34年(オ)第856号)からも明らかである。
(イ)被請求人のホームページアドレスの変更
被請求人は、被請求人のホームページアドレスを「http://energia-jp.com/」(甲25)から「http://enagia.co.jp/」(乙17:平成29年1月26日印刷)に変更したことをもって、「ホームページ上のアドレス等の表示は恒常的なものと言えないことから、実際の需要者、取引者の認識を裏付ける証拠になり得ないことは明らかである。」と主張している。
しかし、かかる被請求人の主張は、無効審判の判断基準時を誤解した主張であり、失当である。本件商標の査定時は、平成27年8月19日であり(甲2)、その査定時後となる請求人の調べによる平成27年12月21日時点の被請求人のホームページにおいて、ホームページのアドレスとして「http://energia-jp.com/」が採択され、Eメールアドレスとして「info@energia-jp.com」と表示され、また、著作権の表示として「2015 ENERGIA Inc.All Rights Reserved.」と表示され(甲25)、さらに、平成28年度版「再生可能エネルギ一事業支援ガイドブック」において、問い合わせ先として、被請求人の商号とともに、「http://energia-jp.com/」が表示されていることから(乙25)、被請求人のホームページアドレスの変更は(乙17)、査定時後の取引の実情である。
一般的、恒常的な取引の実情において、ホームページのアドレス等が変更されたことがあるにせよ、そのアドレス等が査定時後に「http://energia-jp.com/」から「http://enagia.co.jp/」に変更されたことを考慮することは、許容されない。
むしろ、査定時において、本件商標「エナジア」が「energia」の欧文字を有するホームページアドレス、Eメールアドレスの表示等とともに使用されている取引の実情において(甲22,甲25,乙25)、取引者、需要者が、本件商標「エナジア」を「energia」の欧文字に由来するブランドと理解することこそ、商標の類否判断において考慮すべき一般的、恒常的な取引の実情である。
(ウ)被請求人の事業活動
被請求人は、「被請求人は、2011年3月11日の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた福島において、主として再生可能エネルギーの組合せによる小規模・自立・分散型の再生エネルギー施設の導入・普及・拡大を目指して2014年7月に設立されたベンチャー企業である。」、「さらに、被請求人は、福島県の一小企業ながら、再生可能エネルギーの導入によって地方が抱える過疎化等の課題の解消にも努めている。」と述べ、福島県において再生可能エネルギー関連の事業を営んでいることを主張している(乙17?乙24)。
しかし、かかる被請求人の主張は、再生可能エネルギー関連の事業や被請求人の事業が福島県に限定されていることを前提としたものであり、特殊的、限定的な取引の実情である。
むしろ、再生可能エネルギー関連の事業は、日本全国において行われており、請求人やそのグループ企業も中国地方において、この事業を行っているところ(甲36の1:12頁,甲36の2:19・20頁,甲36の6,甲36の8:8頁)、再生可能エネルギー関連の事業は、日本全国において行われている事業と解することこそ、一般的、恒常的な取引の実情である。
(エ)本件商標の取引者、需要者
被請求人は、「被請求人は、会社名に本件商標の片仮名『エナジア』を含み、『エナジア』の略称で、お客様(需要者)や取引先はもちろんのこと、国や地方公共団体等の公的な機関、銀行等からも、請求人若しくはその関連会社と誤認された事実は一切ないのである。」と述べ、本件商標が、取引者、需要者により、「請求人若しくはその関連会社と誤認された事実は一切ない」と主張している。
しかし、かかる被請求人の主張は、本件商標の取引者、需要者を誤解した主張であり、失当である。
本件商標は、第35類に属する前記第1に記載のとおりの役務に使用される商標である。
被請求人は、「お客様(需要者)や取引先はもちろんのこと」と述べるものの、取引者、需要者の認識についての説明はなく、「国や地方公共団体等の公的な機関、銀行等」の認識として、補助金の交付元の「国」経済産業省や資源エネルギー庁の認識(乙18,乙25)、整備協定の相手方、農地転用の許可元の「地方公共団体」川内村の認識(乙19,乙20)、資金の融資元の「銀行」株式会社東邦銀行の認識(乙21?乙23)として新聞記事等を挙げているのみである。
これら「国や地方公共団体等の公的な機関、銀行等」は、第40類「再生可能エネルギーによる発電」や第39類「電気の供給」の指定役務の取引者、需要者ではないため、「国や地方公共団体等の公的な機関、銀行等」の認識を考慮することは許容されない。
(オ)過去の特許庁の判断事例について
出願商標「商願2002-55255」(甲56の1)に対し、登録商標「登録第2611017号,登録第2701779号,登録第2703728号,登録第2703729号」(甲56の3?6)と類似する商標である、また、出願商標「商願2005-106951」(甲57の1)に対し、登録商標「登録第2325850号,登録第3366613号,登録第4043221号,登録第4673191号」(甲57の3?6)と類似する商標である旨の拒絶理由(商標法4条1項11号)がそれぞれ通知されており、引用商標と抵触する指定商品を削除する補正をすることにより拒絶理由を解消し、それぞれ商標登録(「登録第4673191号」(甲56の2)、「登録第4982644号」(甲57の2))を受けるに至った事例があり、請求人の主張(引用商標3及び4から生じる称呼は、「エネルギア」及び「エナジア」であること。)が、過去の特許庁の判断事例からも正しいことは明らかである。
イ 商標法第4条第1項第15号
(ア)取引の実情について
被請求人は、査定時前となる請求人の調べによる平成27年3月15日時点のインターネット検索サイト「Google」での「株式会社エナジア」の検索結果(甲54)について「甲第54号証によれば、検索された『株式会社エナジア』の表示に必ず旧のホームページアドレス『www.energia.xyz』が含まれているわけではなく、例えば、請求人主張の(c)ないし(f)の会社が表示された同じページにおいて、『株式会社エナジア』の中には『energia』の欧文字が一切表示されていないのである。」と述べている。
しかし、同検索結果からは、被請求人「株式会社エナジア」を検索したのにもかかわらず、50%(10/20)が被請求人を指すタイトルとして表示されているにすぎず、35%(7/20)が請求人又はそのグループ企業を指すタイトルとして表示されているところである。このため、同検索結果だけを見ても、被請求人と請求人又はそのグループ企業が混在していることと相まって、インターネット検索サイト「Google」において被請求人「株式会社エナジア」を検索した35%の者が、あたかも被請求人を請求人のグループ企業の一と誤認するおそれがあるところである。
(イ)独創性の程度について
被請求人は、「energia」の欧文字は英語ではないが、主要な言語で「エネルギー」を意味する語であり、特に再生可能エネルギーの業界に係る需要者、取引者であれば、「エネルギー」を意味する語として認識するのが普通であり、「energia」の欧文字が請求人の創作した独創性のある語でないことは明らかである旨主張する。
しかし、引用商標の「EnerGia」の欧文字と綴りを同じくする、「energia」の欧文字につき、仮に、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ポーランド語において、「エネルギー」の意味合いを有する語であるとしても、我が国の取引者、需要者が、これら馴染みのない言語を理解し、これら馴染みのない言語に応じた発音で称呼することは極めて稀である。このため、引用商標の「EnerGia」の欧文字につき、我が国の取引者、需要者は、特定の意味合いを有しない造語と理解する結果、左に図形を配し、右に「EnerGia」の欧文字を配した構成からなる引用商標1が「電気の供給」の指定役務の分野において、周知著名性を獲得するに至り、「EnerGia」の欧文字に由来する「中国電力のブランド」の観念を想起させるに至っていることからも、引用商標の「EnerGia」の欧文字の独創性の程度は高いところである。
(ウ)混同のおそれについて
被請求人は、上記のとおり、「請求人若しくはその関連会社と誤認された事実は一切ないのである。」と主張する。
しかし、「混同を生じるおそれ」の有無は、取引の実情に照らし、引用商標の第40類「再生可能エネルギーによる発電」や第39類「電気の供給」の指定役務の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるものであって、その判断において混同の主体とされるのは、上記のとおり、取引者である東北電力株式会社や需要者である需要家であるから、「国や地方公共団体等の公的な機関、銀行等」により「誤認された事実は一切ない」ことをもって、「混同を生じるおそれ」がなくなるわけではないことは、明らかである。
むしろ、被請求人が述べる「お客様(需要者)や取引先はもちろんのこと」と述べるも、取引者、需要者の認識についての説明はないことから、やはり「混同を生じるおそれ」は高いところである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第25号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、「エナジア」の片仮名を標準文字により表してなるものである。
そして、片仮名「エナジア」は、一般的な辞書等に掲載されている語でないことから、特定の意味を有しない一種の造語であり、その構成文字に相応して「エナジア」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1は、別掲(A)のとおりの構成からなるものである。
イ 引用商標2は、「エネルギア」の片仮名を上段に「EnerGia」の欧文字を下段にそれぞれ横書きしてなるものである。
そして、上段の片仮名は、下段の「EnerGia」の欧文字の読みを特定したものとして認識されると考えるのが自然である。
また、上段の「エネルギア」の片仮名は、特定の意味をもたない一種の造語であり、他方、下段の「EnerGia」の欧文字は、後述するとおりスペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ポーランド語において、「エネルギー」の意味合いを有する語であるが、一般的な辞書等に掲載されている語ではなく、エネルギー業界に係る取引者、需要者以外の者にとって親しまれ知られているとはいえないことから、下段の「EnerGia」の欧文字からも特定の意味合いを看取することができず、一種の造語と考えるのが相当である。
してみれば、引用商標2は、その構成文字に相応して「エネルギア」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 請求人は、引用商標2の称呼につき、「エネルギア」の称呼の他、「エナジア」の称呼を生じる旨主張している。
しかるに、請求人は、引用商標2と同一の構成態様の商標(乙1)の称呼について、「エネルギア」の称呼をもって商取引に資される商標である旨主張している(乙1?乙3)。
そうすると請求人が、本件で引用商標2につき「エナジア」の称呼が生じると主張することは、上記構成態様を同じくする商標につき「エネルギア」の称呼をもって商標取引に資される商標と主張していることと相反するものであり、禁反言の主張であり、失当である。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標と引用商標1の類否
本件商標と引用商標1とは、商標の類否を検討するまでもなく、両商標の役務が非類似であることは明らかである。
イ 本件商標と引用商標2の類否
本件商標と引用商標2とを比較すると、外観においては、本件商標は片仮名を構成文字とするものであり、引用商標2は片仮名と欧文字を構成文字とする二段書きのものであるから、外観上、明確に区別できるものである。
また、称呼においては、本件商標から生じる「エナジア」の称呼と引用商標2から生じる「エネルギア」の称呼は、語頭の「エ」と語尾の「ア」が共通するものの、4音と5音と音数も異なることから、それぞれ一連に称呼した場合には、その語調及び語感も異なり、称呼上、明瞭に聴別することができるものである。
さらに、観念においては、本件商標及び引用商標2は、共に特定の観念を生じないものである。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において明確に区別できる非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1とはその役務が異なり、また本件商標と引用商標2とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)「energia」の欧文字の意味
ア 「energia」の欧文字は、スペイン語(乙4)、ポルトガル語(乙5)、イタリア語(乙6)、ポーランド語(乙7)などヨーロッパ及び南米の主要な言語で「エネルギー」を意味する語である。
たしかに「エネルギー」と言えば、英語表記の「energy」が一般的ではあるが、世界的にみれば、スペイン、ポルトガル、イタリア、ポーランドなどヨーロッパの主要な国、またスペイン語を公用語とするアルゼンチン、メキシコなど、ポルトガル語を公用語とするブラジルなど南米のほぼ全域で、「エネルギー」と言えば「energia」の欧文字が使用され、また、公的な機関の名称の一部にも使用されその名称が我が国でも広く紹介されている(乙8)。
イ また、電気・熱等のエネルギー業界において、取引者、需要者の間で2011年3月の東日本大震災以降、再生可能エネルギーが大きな注目を集めており、我が国の多くの企業が再生可能エネルギーの先進国の企業と取引きし、その取引相手は英語圏の企業に限られているわけではない。
実際に被請求人も被災地の企業として再生可能エネルギーによる電気・熱などの供給を実現すべく、ヨーロッパのフィンランド最大規模のエネルギー会社の一つである「HELSINGIN ENERGIA」と熱エネルギー設備の供給に向けた交渉を行うなど、積極的にヨーロッパの再生可能エネルギーの関連企業と取引をしている(乙9)。
ウ さらに、我が国において、再生可能エネルギー業界の取引者、需要者がスペイン語若しくはポルトガル語を公用語とする国々と交流若しくは情報を収集していることは、書籍の記載からも裏付けることができる(乙10,乙11)。
エ 以上を総合的に検討すれば、今や「energia」の欧文字は、英語か否かに関係なく、電気・熱等のエネルギー、特に再生可能エネルギーの業界において、最も基本的、かつ、取引上、不可欠な語「エネルギー」を意味し、この業界の取引者、需要者であれば、誰でも目にし、かつ、その使用を欲するありふれた語なのである。
(2)引用商標1について
請求人は、引用商標1に基づき平成19年11月9日に防護標章登録出願し(商願2007-118184)、同23年2月25日に防護標章登録第1号として設定登録を受けている(甲4)。
請求人は、上記防護標章登録を受けるにあたり、その審査及び審判の中で電気の供給分野に係る取引の実情を多数の証拠により明らかにしている。
請求人は、平成3年1月にCI宣言し、キーコンセプトを「エネルギア」と決定し、それ以降現在に至るまで25年以上も引用商標1を「エネルギア」とのみ称呼し、他の称呼で使用した事実は一切ない。請求人はキーコンセプトとして引用商標1の欧文字「EnerGia」と同じ綴りの「ENERGIA」の上段に、その読みを示すよう小さく片仮名「エネルギア」を併記し、「EnerGia」の欧文字が「エネルギア」と称呼するものであることを需要者、取引者に知らしめているのである(乙12,乙13,甲36)。
また、請求人は、上記防護標章登録出願の審査・審判において、取引者、需要者に対して自ら「EnerGia」の欧文字が「エネルギア」と称呼されることを示唆し、引用商標1が「EnerGia」の欧文字から「エネルギア」とのみ称呼され、この称呼が多くの一般世人(需要者、取引者)に認識されていると結論付けているのである(乙14,乙15)。
上記の請求人の主張は、特許庁でも認めているところである(乙16)。そして、特許庁審判官が、請求人の主張及び証拠により、電気の供給分野の需要者、取引者が引用商標1から請求人の出所を認識すると判断したのは、引用商標1を「エネルギア」と称呼し、この称呼から請求人の「キーコンセプト」である「エネルギア」を想起することで、請求人の業務に係る役務を認識すると結論付けたに他ならない。
以上より、引用商標1は、電気の供給等のエネルギーの業界において、請求人自身が「EnerGia」の欧文字から「エネルギア」と称呼し、この称呼を平成3(1991)年から25年以上変わらず、継続して使用している事情、その結果、引用商標1が「エネルギア」と称呼されるものとして需要者、取引者に広く知られている事情があるからこそ、引用商標1の図形部分と相まって「中国電力のブランド」を認識せしめるに至ったと言えるのである。
よって、引用商標1は、「EnerGia」の欧文字から「エネルギア」の称呼のみを生じ、その構成態様全体より「中国電力のブランド」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1とを比較すると、外観においては、本件商標は「エナジア」の片仮名から構成されるものであり、引用商標1は、図形と「EnerGia」の欧文字から構成されるものであるから外観上、明確に区別できるものである。
また、称呼においては、本件商標から生じる「エナジア」の称呼と引用商標1から生じる「エネルギア」の称呼は、語頭の「エ」と語尾の「ア」が共通するが、4音と5音と全体の音数が異なることから、それぞれ一連に称呼した場合には、その語調及び語感も異なり、称呼上、明瞭に聴別することができるものである。
さらに、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであり、引用商標1は、電気の供給等に係るエネルギー業界において「中国電力のブランド」の観念を想起せしめる。
よって、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念において非類似の商標であって別異の商標であることは明らかである。
(4)本件商標と引用商標との類否
本件商標は、引用商標1とは上記(3)のとおり、引用商標2とは上記2(3)のとおり、何れも非類似の商標であって別異の商標である。
(5)請求人の主張について
ア 本件商標と他人の表示との類似性の程度
請求人は、引用商標から「エナジア」の称呼も生じると主張し、さらに「引用商標から取引の実情等を考慮すると、「EnerGia」の欧文字に由来する「中国電力のブランド」との観念を生ずる点については、本件商標から取引の実情等を考慮すると「energia」の欧文字に由来するブランドとの観念を生じる点において同一ではないものの関連するところである」旨を主張する。
しかるに請求人は、上記したとおり、引用商標が取引の実際において取引者、需要者に「エネルギア」の称呼をもって親しまれ、「エネルギア」の称呼をもって取引に資される商標と主張しており、この主張と本件で新たに引用商標から「エナジア」の称呼も生じるとする主張とは相反するものであり、請求人の主張は失当なものである。
また、請求人は、第1に被請求人の過去のホームページ上のアドレス、Eメールアドレス、著作権表示などにより、第2に「株式会社エナジア」をインターネット上の検索サイト「Google」で検索すると、請求人及び請求人のグループ企業のホームページが検索されたことにより、「本件商標の取引の実情」を立証しようとしている。
しかるに被請求人は、ホームページのアドレスを既に片仮名「エナジア」をローマ字表記した「http://enagia.co.jp」と変更しており(乙17)、上記ホームページ上のアドレス等の旧表示は恒常的なものと言えない。
また、請求人提出のインターネット上の「株式会社エナジア」の検索結果(甲54)によれば、検索された「株式会社エナジア」の表示に必ず旧のホームページアドレス「www.energia.xyz」が含まれているわけではない。
してみれば、請求人のホームページの旧アドレス表示や上記インターネットの検索結果から、需要者・取引者が「エナジア」の片仮名から「energia」の欧文字を結びつけると結論付けるには無理がある。
むしろ請求人主張の「中国電力のブランド」の観念は、引用商標1が「エネルギア」と称呼されて取引された結果、その「エネルギア」の称呼と一体的に「中国電力のブランド」を想起したに他ならず、「energia」の欧文字から直ちに想起されたものではない。
けだし、「energia」の欧文字は、上記したとおりヨーロッパ及び南米の主要な言語で「エネルギー」を意味する語であり、電気・熱等のエネルギー、特に再生可能エネルギーの業界において、取引者、需要者は、エネルギーを意味する「energia」の欧文字を想起するからである。
請求人は、これが英語等の辞書に掲載されていないことを奇貨として、「エネルギア」の称呼とは関係なく、単なる「energia」の欧文字から「中国電力のブランド」を関連付けようとした失当なものである。
イ 他人の表示の独創性の程度
請求人は、「EnerGia」の欧文字は、一般的な辞書等に掲載されていない造語と考えられることから、独創性の程度が高い旨主張している。
しかるに、「energia」の欧文字は英語ではないが、上記のとおり主要な言語で「エネルギー」を意味する語であり、特に再生可能エネルギーの業界に係る需要者、取引者であれば、「エネルギー」を意味する語として認識するのが普通であり、「energia」の欧文字が請求人の創作した独創性のある語でないことは明らかである。
むしろ、請求人が「エネルギア」の称呼と離れて、「energia」の欧文字自体に独創性があると主張することは、少なくとも再生可能エネルギーの業界において、一企業が「エネルギー」を意味する語を独占しようとする意図さえ看取できる悪質なものであり、失当なものである。
(6)具体的な出所の混同について
被請求人は、2011年3月11日の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた福島において、主として再生可能エネルギーの組合せによる小規模・自立・分散型の再生エネルギー施設の導入・普及・拡大を目指して2014年7月に設立されたベンチャー企業である。
そして、被請求人は、再生エネルギー施設の導入活動の一環として、国から再生可能エネルギー発電設備等導入促進復興支援補助金(半農半エネモデル等推進事業)を受け(乙18)、福島県川内村との間で2014年9月10日、「福島第1原発事故に伴う同村の避難指示解除準備区域に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を設置する基本協定」を結んだことが、2014年9月11日付け福島民報(乙19)や河北新報(乙20)等で大きく報道されている。
他にも、被請求人の事業等について新聞等で多数紹介されている(乙21?乙25)。
してみれば、被請求人は、会社名に本件商標「エナジア」を含み、「エナジア」の略称で、需要者や取引先はもちろんのこと、国や地方公共団体等の公的な機関、銀行等からも、請求人若しくはその関連会社と誤認された事実は一切ないのである。
加えて被請求人は、再生可能エネルギーを活用した地域復興を実践した結果、再生可能エネルギーの業界において、再生可能エネルギーのトップランナーと称される程、需要者、取引者の間では「エナジア」の称呼が被請求人を指称するものとして浸透しているのである。
以上の取引の実情を鑑みれば、本件商標をその指定役務に使用しても、取引者・需要者は、本件商標の「エナジア」の称呼と全く異なる「エネルギア」の称呼で知られる引用商標を想起し、請求人若しくはその関連会社に係る役務であると、出所を誤認混同することは有り得ないのである。
(7)小括
本件商標と引用商標の非類似性、及び具体的な取引の実情によれば、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標を連想し、又は想起させることはなく、その役務が請求人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものではないから、同法第46条第1項第1号に該当しない。

第5 当審の判断
1 利害関係
請求人が本件審判を請求することの利害関係の有無については当事者間に争いがなく、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。
2 引用商標等の周知性について
(1)請求人提出の甲各号証によれば、請求人が「電気の供給」について遅くとも2012年5月頃から現在まで継続して、引用商標1(外観上同一と認められる商標を含む。)を使用していること、請求人の会社案内にキーコンセプトとして「エネルギア」と「ENERGIA」の文字を二段併記した標章が表記されていること、及び請求人のパンフレット及び社内報に「EnerGia」及び「エネルギア」の文字が記載されていることが認められる(甲36)。
(2)上記(1)の事実に加え、電気の供給は、2000年から徐々に自由化が進められているものの、地域毎に特定の事業者が中心(中国地方においては請求人)となって行われていること、並びに請求人が「ENERGIA」及び「EnerGia」の欧文字の称呼を「エネルギア」と特定して使用していると述べていることをあわせみれば、引用商標1は、本件商標の登録出願の日前から、「エネルギア」と称呼され、請求人の業務に係る役務「電気の供給」を表示するものとして、中国地方を中心として使用され、その需要者及び取引者の間に広く認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日においても継続していたものと判断するのが相当である。
さらに、「エネルギア」と「ENERGIA」の文字を二段に配した構成からなる商標、「EnerGia」の文字からなる商標及び「エネルギア」の文字からなる商標(以下、これらをあわせて「使用商標」という。)のいずれも、引用商標1と同様に本件商標の登録出願の日前から、「エネルギア」と称呼され、請求人の業務に係る役務「電気の供給」を表示するものとして、中国地方を中心として使用され、その需要者及び取引者の間に広く認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日においても継続していたものと判断するのが相当である。
しかしながら、引用商標2は、それが使用された指定役務についての取引額、取引数量など取引の実績を示す証左は見いだせないから、請求人の業務に係る指定役務を表示するものとして需要者及び取引者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「エナジア」の片仮名からなるところ、該文字は、一般的な辞書等に掲載されていない造語であると認められるから、該文字に相応し「エナジア」の称呼を生じ、この称呼が我が国においてエネルギーの意味の外来語「エナジー」と近似した印象を与えることによって、エネルギーに関する何らかの観念を想起される場合があるとしても、特定の観念を生じさせるとまではいえず、特定の観念を有しない一種の造語と認識されるものである。
(2)引用商標
ア 引用商標1
(ア)引用商標1は、別掲(A)のとおり、「EnerGia」の文字を横書きし、「E」の文字から2本の帯を左下方に捻るよう描き、帯の中間部に円弧を配した構成からなるものであるところ、「EnerGia」の文字部分は、その構成文字に相応して、「エネルギア」及び「エナジア」の称呼を生じ得ると認められるものである。
また、「エネルギア」及び「エナジア」の称呼が、我が国においてエネルギーの意味の外来語「エネルギー」及び「エナジー」と近似した印象を与えることによって、エネルギーに関する何らかの観念を想起される場合があるとしても、特定の観念を生じさせるとまではいえず、加えて、「EnerGia」の文字はスペイン語(乙4)、ポルトガル語(乙5)、イタリア語(乙6)、ポーランド語(乙7)において「エネルギー」を意味する成語であるが、いずれも我が国で英語ほど親しまれた語ではないことからすれば、特定の観念を有しない一種の造語といい得るものである。
しかしながら、上記2のとおり、引用商標1は、「エネルギア」と称呼され請求人の業務に係る役務「電気の供給」を表示するものとして需要者及び取引者の間に広く認識されている商標であるから、引用商標1の指定役務である「電気の供給」及びこれと関連した電気、熱等を始めとするエネルギーに関する役務(発電、発熱、それぞれの供給等)(以下「エネルギーに関する役務」という。)との関係においては、「エネルギア」のみの称呼を生じ、「中国電力のブランド」の観念を生じるというべきものである。
また、引用商標1は、上記エネルギーに関する役務以外の役務との関係においては、請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできないから、「エネルギア」の称呼のほか、「エナジア」の称呼も生じ得るものであり、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(イ)なお、請求人は、引用商標1の構成中「EnerGia」の文字が造語であり、また登録商標及び使用商標の例を挙げ、制度趣旨を述べ、更に特殊的、限定的な取引の実情を誇大に解し、一般的、恒常的な取引の実情を無視することは許容されないなどとして、引用商標1はその構成中「EnerGia」の文字から常に「エナジア」の称呼も生じる旨主張している。
しかしながら、商取引において商標(特に文字商標)は特定の一つの称呼で取引に資され、その称呼は変更されることなく継続して使用されるのが一般的であり(請求人が提示した商標「ANA」(甲41)のように「エーエヌエー」及び「アナ」の2つの称呼で取引に資されている事例、商標「DENON」(甲51)のように称呼を「デンオン」から「デオン」に変更した事例等は、極めて限られたものといえる。)、また、商標の称呼は、商標の採択の経緯などに係わらず、取引の実情からみて、取引者・需要者が当該商標をどのように称呼するのが通常であるかといった観点から決せられるべきものである。
そして、引用商標1が上記のとおりエネルギーに関する役務の提供について、「エネルギア」と称呼され請求人の業務に係る役務を表示するものとしてその需要者及び取引者に広く認識されている商標であるという、本件商標の登録査定時における広く、かつ一般の需要者及び取引者の認識(かかる需要者及び取引者の認識は特殊的、限定的な取引の実情とはいえない。)からすれば、エネルギーに関する役務の提供については、引用商標1は「エネルギア」とのみ称呼されると判断するのが相当である。
よって、請求人のかかる主張は採用できない。
イ 引用商標2
(ア)引用商標2は、別掲(B)のとおり、黒色で「エネルギア」と「EnerGia」の文字を2段に表してなるものである。
そして、一般に、欧文字と仮名文字とを併記した構成の商標において、その仮名文字部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるときは、仮名文字部分より生じる称呼が、その欧文字部分より生じる自然の称呼とみるのが相当である(知財高裁平成23年(行ケ)第10203号同24年2月21日判決参照)。
そうすると、引用商標2における「EnerGia」の欧文字は、「EnerGia」の欧文字の上段に「エネルギア」と大きく記載されており、欧文字部分が「エネルギア」及び「エナジア」の称呼を生じ得るとしても、片仮名「エネルギア」が欧文字「EnerGia」の読みを特定したものと無理なく理解できるから、引用商標2は「エネルギア」のみの称呼を生じると判断するのが相当である。
また、この称呼が、我が国においてエネルギーの意味の外来語「エネルギー」と近似した印象を与えることによって、エネルギーに関する何らかの観念を想起される場合があるとしても、特定の観念を生じさせるとまではいえず、特定の観念を有しない一種の造語と認識されるものである。
(イ)なお、請求人は、引用商標2の構成中の強く支配的な印象を与える「EnerGia」の文字部分を独立して比較すべきであるとして、また、審査、審判の事案の解釈や二段併記の商標の出願の意図を述べるなどし、引用商標2は「EnerGia」の文字部分から「エナジア」の称呼も生じる旨、及び引用商標2は「EnerGia」の文字に由来する「中国電力のブランド」の観念を生じる旨主張している。
しかしながら、引用商標2は、その構成中の片仮名「エネルギア」が欧文字「EnerGia」の読みを特定したものと無理なく理解できるものであり、両文字は一文字の大きさは前者が大きく、太さは後者が太く表され、また両文字(語)はほぼ同じ幅で記載されており、いずれかの文字(語)が取引者・需要者に対して役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められず、かつ、いずれかの文字部分から出所識別標識としての称呼・観念が生じないとも認められないから、引用商標2は、その構成部分の一部(「EnerGia」の文字部分)を抽出し、その部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されないものと判断するのが相当である。
また、引用商標2は、上記2のとおり、その指定役務との関係では、請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者及び取引者の間に広く認識されている商標と認めることはできないものであるから、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
よって、請求人のかかる主張はいずれも採用できない。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1とを比較すると、両者の構成態様は上記のとおりであり、外観上、明らかに相違する。
次に、称呼について比較してみるに、上記3(2)のとおり、引用商標1からは、「エネルギア」の称呼のみが生じるものであるから、本件商標の称呼「エナジア」と引用商標1の称呼「エネルギア」とは、中間音において「ナジ」と「ネルギ」の差異を有し、その差異が4音と5音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものである。
さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないのに対し、引用商標1からは「中国電力のブランド」の観念を生じることから、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。
イ 本件商標と引用商標2との類否
本件商標と引用商標2とを比較すると、両者の構成態様は上記のとおりであり、外観上、明らかに相違する。また、両者の称呼「エナジア」と「エネルギア」とは中間音において「ナジ」と「ネルギ」の差異を有し、その差異が4音と5音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものである。さらに、観念においては、両者はいずれも特定の観念を生じないものであるから観念において比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標2は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼を異にし、これらを総合的に勘案すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、両商標が類似するというべき事情も見いだせない。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否
ア 本件商標の指定役務と引用商標1の指定役務との類否
本件商標の指定役務は、前記第1のとおり、第35類に属する「広告業,経営の診断又は経営に関する助言」等の役務であり、他方、引用商標1の指定役務は、前記第2の1のとおり、第39類「電気の供給」であるから、両指定役務は明らかに類似しないものといえる。
イ 本件商標の指定役務と引用商標2の指定役務との類否
本件商標の指定役務は、前記第1のとおりであり、引用商標2の指定役務は前記第2の2のとおりであるから、本件商標の指定役務中「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業管理,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」は、引用商標2の指定役務と同一又は類似する役務である。
また、本件商標の指定役務中「財務書類の作成」は、引用商標2の指定役務と同一又は類似する役務とはいえないものである。
(5)小括
上記(4)のとおり、本件商標の指定役務中の「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業管理,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」は、引用商標2の指定役務と同一又は類似する役務であるが、上記(3)のとおり、本件商標は、引用商標1及び2のいずれとも外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)商標法第4条第1項第15号における「混同を生ずるおそれ
同号における「混同を生ずるおそれ」の有無は、(ア)当該商標と他人の表示との類似性の程度、(イ)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、(ウ)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、並びに(エ)商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、(オ)当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決参照)。
(2)本件商標と引用商標1との混同を生ずるおそれについて
ア 本件商標と引用商標1との類似性の程度
(ア)上記2のとおり、引用商標1は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において、「エネルギア」と称呼され請求人の業務に係る役務「電気の供給」を表示するものとして、その需要者及び取引者の間に広く認識されているものであるから、エネルギーに関する役務との関係においては、「エネルギア」のみの称呼を生じ、「中国電力のブランド」の観念を生じるというべきものであり、エネルギーに関する役務以外の役務との関係においては「エネルギア」及び「エナジア」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
(イ)本件商標の指定役務である第35類の役務の範囲において、本件商標と引用商標1中の「EnerGia」の欧文字からなる商標とを比較してみるに、本件商標からは「エナジア」の称呼が生じ特定の観念は生じないものである。
そして、引用商標1中「EnerGia」の欧文字からなる商標からは、エネルギーに関する役務以外の役務においての著名性は認められないことから、その構成文字に相応して「エネルギア」のほか「エナジア」の称呼をも生じ、特定の観念は生じないというべきものであるから、本件商標と引用商標1中の「EnerGia」の欧文字からなる商標は外観を異にするものの、「エナジア」の称呼において称呼を共通とし、観念において比較できないものであることから、類似する場合がある。
イ 引用商標1の周知著名性及び独創性の程度
上記2のとおり、引用商標1は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において、「エネルギア」と称呼され請求人の業務に係る役務「電気の供給」を表示するものとして、その需要者及び取引者の間に広く認識されているものである。
そして、引用商標1における「EnerGia」の文字についてみるに、該文字は、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ポーランド語において「エネルギー」を意味する成語であり、また、スペイン語、ポルトガル語を公用語とする国々も多く、我が国の「エネルギー」に係ることを業務とする電気・熱等のエネルギー業界においては、これらの国々との取引、交流、情報収集が行われていることが認められる(乙8?乙11)。
してみれば、「EnerGia」の文字は、独創性の程度が高いものといえない。
ウ 本件商標と引用商標1の役務の提供の手段、目的又は場所における関連性の程度、並びに取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定役務は、前記第1のとおり、「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業管理,財務書類の作成,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」であって、広告代理店等が広告主の依頼に基づいて行うもの、他人の依頼に基づいて経営の診断や経営に関する助言を行う「経営コンサルタント」が行うもの等であり、他方、引用商標1が使用されている役務は、請求人の業務に係る「電気の供給」であって、その役務の提供の手段、目的及び場所等が異なるものであるから、両役務の関連性の程度は高いものといえず、また、その取引者及び需要者についても、明確に異なるものである。
エ 小括
上記アないしウを総合的に考慮し、本件商標の指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として判断すれば、本件商標と引用商標1中「EnerGia」の欧文字からなる商標とが類似する場合があり、引用商標1の周知著名性が認められるとしても、その独創性の程度は高いものとはいえず、本件商標の指定役務と引用商標1の指定役務との関連性の程度は高いものとはいえず、さらに取引者及び需要者も異なるものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標1を連想又は想起させることはなく、その役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(3)本件商標と使用商標との混同を生ずるおそれについて
ア 本件商標と使用商標との類似性の程度
(ア)上記2のとおり、引用商標1は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において、「エネルギア」と称呼され請求人の業務に係る役務「電気の供給」を表示するものとして、その需要者及び取引者の間に広く認識されているものであるところ、請求人の業務に係る役務「電気の供給」を表示するものとして、引用商標1とあわせて使用されてきた使用商標についても、引用商標1と同様にエネルギーに関する役務との関係においては、「エネルギア」のみの称呼を生じ、「中国電力のブランド」の観念を生じるというべきものであり、エネルギーに関する役務以外の役務との関係においては、使用商標中「エネルギア」と「ENERGIA」の文字を二段に配した構成からなる商標及び「エネルギア」の文字からなる商標からは、「エネルギア」のみの称呼を生じ、特定の観念は生じず、使用商標中「EnerGia」の文字からなる商標は「エネルギア」及び「エナジア」の称呼が生じ、特定の観念は生じないというべきである。
(イ)本件商標の指定役務である第35類の役務の範囲において、本件商標と使用商標中の「EnerGia」の欧文字からなる商標とを比較してみるに、本件商標からは「エナジア」の称呼が生じ特定の観念は生じないものである。
そして、使用商標中「EnerGia」の欧文字からなる商標からは、エネルギーに関する役務以外の役務においての著名性は認められないことから、その構成文字に相応して「エネルギア」のほか「エナジア」の称呼をも生じ、特定の観念は生じないというべきものであるから、本件商標と使用商標中の「EnerGia」の欧文字からなる商標は外観を異にするものの、「エナジア」の称呼において称呼を共通とし、観念において比較できないものであることから、類似する場合がある。
イ 使用商標の周知著名性及び独創性の程度
上記ア(ア)のとおり、引用商標1と同様に、使用商標は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において、請求人の業務に係る役務「電気の供給」を表示するものとして、その需要者及び取引者の間に広く認識されているものである。
そして、使用商標における「EnerGia」又は「ENERGIA」の文字についてみるに、該文字は、スペイン語(乙4)、ポルトガル語(乙5)、イタリア語(乙6)、ポーランド語(乙7)において「エネルギー」を意味する成語であり、また、スペイン語、ポルトガル語を公用語とする国々も多く、我が国の「エネルギー」に係ることを業務とする電気・熱等のエネルギー業界においては、これらの国々との取引、交流、情報収集が行われていることが認められる(乙8?乙11)。
してみれば、「EnerGia」又は「ENERGIA」の文字及びこれらを片仮名で表した一つである「エネルギア」の文字は、独創性の程度が高いものといえない。
ウ 本権商標と使用商標の役務の提供の手段、目的又は場所における関連性の程度、並びに取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定役務は、前記第1のとおり、「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業管理,財務書類の作成,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」であって、広告代理店等が広告主の依頼に基づいて行うもの、他人の依頼に基づいて経営の診断や経営に関する助言を行う「経営コンサルタント」が行うもの等であり、他方、使用商標が使用されている役務は、請求人の業務に係る「電気の供給」であって、その役務の提供の手段、目的及び場所等が異なるものであるから、両役務の関連性の程度は高いものといえず、また、その取引者及び需要者についても、明確に異なるものである。
エ 小括
上記アないしウを総合的に考慮し、本件商標の指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として判断すれば、本件商標と使用商標中「EnerGia」の欧文字からなる商標とが類似する場合があり、使用商標の周知著名性が認められるとしても、その文字部分における独創性の程度は高いものとはいえず、本件商標の指定役務と使用商標の役務との関連性の程度は高いものとはいえず、さらに取引者及び需要者も異なるものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(4)本件商標と引用商標2との混同を生ずるおそれについて
ア 本件商標と引用商標2との類似性の程度
(ア)引用商標2は、上記3(2)イのとおり、「エネルギア」のみの称呼が生じ、特定の観念は生じない。
(イ)本件商標は、その構成文字に相応して「エナジア」の称呼が生じ特定の観念は生じない。
(ウ)本件商標と、引用商標2とを比較してみるに、上記3(3)イのとおり、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
イ 引用商標2の周知著名性及び独創性の程度
引用商標2については、上記2のとおり、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、その需要者及び取引者の間に広く認識されているものと認められないものである。
そして、引用商標2における「Energia」の文字についてみるに、該文字は、スペイン語(乙4)、ポルトガル語(乙5)、イタリア語(乙6)、ポーランド語(乙7)において「エネルギー」を意味する成語であり、また、スペイン語、ポルトガル語を公用語とする国々も多く、我が国の「エネルギー」に係ることを業務とする電気・熱等のエネルギー業界においては、これらの国々との取引、交流、情報収集が行われていることが認められる(乙8?乙11)。
してみれば、「EnerGia」又は「ENERGIA」の文字及びこれらを片仮名で表した一つである「エネルギア」の文字は、独創性の程度が高いものといえない。
ウ 本件商標と引用商標2の役務の提供の手段、目的又は場所における関連性の程度、並びに取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定役務は、前記第1のとおり、「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業管理,財務書類の作成,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」であって、広告代理店等が広告主の依頼に基づいて行うもの、他人の依頼に基づいて経営の診断や経営に関する助言を行う「経営コンサルタント」が行うもの等であり、他方、引用商標2の指定役務は、前記2のとおり「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与」であって、本件商標の指定役務を含むものであるから、その役務の提供の手段、目的又は場所等が共通し、その関連性の程度が高いといえるものであって、その取引者及び需要者も共通するものである。
エ 小括
上記アないしウを総合的に考慮し、本件商標の指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として判断すれば、本件商標と引用商標2の指定役務において、その役務の提供の手段、目的又は場所等が共通し、その関連性の程度が高いといえるものであって、その取引者及び需要者も共通するとしても、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであり、引用商標2は、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、その需要者及び取引者の間に広く認識されているものと認められず、その独創性の程度も高いものとはいえないものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標2を連想又は想起させることはなく、その役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(5)まとめ
上記(2)ないし(4)のとおり、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標及び使用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(A)引用商標1


(B)引用商標2



審理終結日 2017-12-06 
結審通知日 2017-12-11 
審決日 2018-03-29 
出願番号 商願2015-5589(T2015-5589) 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (W35)
T 1 11・ 271- Y (W35)
T 1 11・ 261- Y (W35)
T 1 11・ 262- Y (W35)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一
平澤 芳行
登録日 2015-09-04 
登録番号 商標登録第5790605号(T5790605) 
商標の称呼 エナジア 
代理人 原田 雅章 
代理人 小椋 崇吉 
代理人 大竹 正悟 
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