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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y16
管理番号 1351532 
審判番号 取消2016-300754 
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-10-26 
確定日 2019-04-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4811454号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第4811454号商標の指定商品中,第16類「全指定商品」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4811454号商標(以下「本件商標」という。)は,「桃鉄」の漢字と「モモテツ」の片仮名を上下二段に書してなり,平成15年11月12日に登録出願,第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,印刷物,書画,版画,写真,写真立て,トレーディングカード」並びに第9類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同16年10月22日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成28年11月9日にされた(以下,当該登録前3年以内を「要証期間」という。)。
なお,本件商標は,「株式会社ハドソン」を権利者(以下「旧商標権者」という。)として設定登録されたものであるが,その後,平成26年7月7日に申請により一般承継による本商標権の移転登録がされ,被請求人が権利者(以下「現商標権者」という。)となった。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中の第16類「全指定商品」について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれの者によっても使用した事実が存在しないから,その商標登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件使用印刷物について
ア 印刷物(乙2。以下「本件使用印刷物」という。)に記載がある「2016年3月26日(土)27日(日)」の日付は,クイズイベントの開催日についての日付であって,本件使用印刷物の配布日を示したものではない。
また,本件使用印刷物には,「人気ゲームの『桃太郎電鉄』が広島電鉄を舞台にした現実のイベントになりましたよ! サイコロをふってクイズに答えて目的地を目指しましょう!」の記載及び「あなたも社長に昇格! 社長VS社長のクイズ決戦」の記載,さらには参加料として「大人2600円/こども700円(3才?小学生) ※広島電鉄電車一日乗車券(大人600円/小児300円)が別途必要です。」の記載があり,これらを踏まえれば,本件使用印刷物は,ゲームイベントを宣伝,案内するために供されているものであるといえる。
したがって,本件使用印刷物は,クイズイベントの広告媒体であって,それ自体が独自に商取引の対象として流通性及び取引性を有していないことは明らかであって,商品「印刷物」としての商標の使用を証明したものとはいえない。
イ 本件使用印刷物中の「リアル桃鉄初の広島開催!!」の記載は,全体が弓状に配置され,「リアル桃鉄」及び「の広島開催」の文字は,全体として一体的不可分な文字配列であって,少なくとも「リアル桃鉄」は一体不可分の構成となっている。本件使用印刷物中の下部に「主催:リアル桃太郎電鉄広島県実行委員会」の記載や「リアル桃太郎電鉄/公式サイト」とあることから,「リアル桃鉄」の語は一連一体の造語として表示されていることは明白であり,格別「桃鉄」の語のみを抽出して認識される余地はなく,この点をもってしても「桃鉄」と「モモテツ」の二段併記からなる本件商標が使用されていることを証明したものとはいえない。
ウ 被請求人が主張する「(c)Konami Digital Entertainment」(「(c)」は,○印内に「c」文字が小さく書されている。以下同じ。)及び「企画制作:株式会社ドーンマジック」の表示のうち,「(c)」の表示は,著作権者を示す表示であり,少なくとも商標についてのライセンス表示ではない。また,「企画制作:株式会社ドーンマジック」とあるが,その記載自体,「主催:リアル桃太郎電鉄広島編実行委員会(広島県/広島ホームテレビ)」の箇所に記載されていることから,「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」の役務についての企画制作を行ったのが「株式会社ドーンマジック」であるとの記載であると推認することはできるが,本件使用印刷物を何人が作成したものか証明されていない。
エ したがって,本件使用印刷物は,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するのに十分なものということはできない。
(2)本件検索結果及び本件書籍について
ア 本件検索結果に係る使用について
「Amazon ホームページ検索結果(写)」(乙3)(以下「本件検索結果」という。)は,仮にウェブサイト運営者が作成したものであれば,当該運営者が本件商標の使用権者であることの証明が必要であるところ,その証明もなされていない。
しかも,本件検索結果の「2010/1」,「2010/02」の文字が,被請求人の主張どおり,本件検索結果に掲載された「旨いべさ!桃鉄ごはんB級グルメ旅?北海道・東北編」,「旨いでぇ!桃鉄ごはんB級グルメ旅?北陸・関東・中部・近畿・海外編」及び「旨かばい!桃鉄ごはんB級グルメ旅?中国・四国・九州・沖縄編」の3種類の書籍(以下「本件書籍」という。)の発行日であったとしても,2010年(平成22年)1月及び2月,並びに,本件検索結果が印刷された日と主張する平成28年12月22日はいずれも要証期間外であって,この平成22年1月から平成28年12月22日までの間において継続的に使用された事実を何ら証明していないことから,本件検索結果から要証期間内に本件商標の使用を証明したものとはいえない。
イ 本件書籍に係る使用について
(ア)本件検索結果をみるに,被請求人が主張する本件書籍は,その表紙の上部中央に,共通して「桃鉄ごはん」の文字が赤文字で白色の縁取りされており,いずれも「単行本」と記載されていることから,商品「印刷物」の出所を表示する識別表示としてはなく,その書籍の内容を表示する題号として用いられるものであって,本件商標の使用を証明したものとはいえない。
また,被請求人は,本件書籍の帯紙部分に「桃鉄グルメが旨すぎる!」及び「美味しい桃鉄」の記載を根拠に,「桃鉄」部分が分離抽出して看取されるため,本件商標と社会通念上の同一の商標であると主張する。
しかしながら,商標法第50条における商標の使用といえるためには,要証期間内に商標の使用を行っていることの証明が必要であるにもかかわらず,被請求人は,帯紙付きの本件書籍を,要証期間内に販売などした事実を何ら証明していない。
(イ)使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一であることについて
本件書籍が仮に定期刊行物であったとしても,その構成中の「桃鉄ごはん」の語は,一連一体の造語として表示されていることは明白であり,格別「桃鉄」の語のみを抽出して認識される余地はなく,この点をもってしても「桃鉄」と「モモテツ」の二段併記からなる本件商標が使用されていることを証明したものとはいえない。
また,本件書籍の帯紙部分に書された「桃鉄グルメが旨すぎる」及び「美味しい桃鉄」のいずれの表示も広告宣伝で使用される書籍の帯紙部分に広告宣伝用のキャッチフレーズとして認識される態様にて表示されているから,いずれの表示も商標的使用態様による使用とはいえない。また,表示の全体としても,書籍の帯紙のレイアウトにより,二段に配置されているものの,外観上,全体として同一フォント・同一の大きさの文字でまとまりよく表示されており,また,「桃鉄グルメ」の語は,「桃太郎電鉄で紹介されたグルメの情報」,「美味しい桃鉄」は,「桃太郎電鉄で紹介される美味しい情報」といった一体的な観念を生じるものであって,分離抽出される余地はなく,本件商標が使用されていることを証明したものとはいえない。
なお,被請求人は,「桃鉄」の語が「桃太郎電鉄」の略称として広く知られていることを主張し,この強い自他商品識別力を発揮する「桃鉄」部分が分離抽出されるため,使用に係る商標は社会通念上同一の商標である旨主張する。
しかしながら,単に「桃鉄」の語が知られていることのみを根拠に,「桃鉄」の語が分離抽出されるとの解釈は,社会通念を無視した解釈であり,使用されている表示の態様や,商品における取引の実情を考慮して判断されるべきであるといえる。
その点を踏まえ,本件書籍の題号をみるに,当該題号は,書籍によって地域の表示は異なるものの「旨かばい!」,「桃鉄ごはん」及び「B級グルメ旅」の語は共通の表示として一体的に表示されている。また,「桃鉄ごはん」の表示は,白縁取りの赤文字で大きく特徴ある字体で一連一体に表示されており,外観上,分離される余地のない態様となっている。さらに,被請求人が主張するように「桃太郎電鉄」は日本全国を旅行するゲームであり,また,観光名所などが紹介される内容となっていることから,全体として「桃太郎電鉄で紹介されているごはん」との一体的な観念が生じるものであり,分離抽出される余地はない。
このように,被請求人が主張する書籍に使用されている題号は「旨かばい!桃鉄ごはん B級グルメ旅」の一体的な表示であって,仮に分離抽出されるとしても一体的な観念も生じる「桃鉄ごはん」であって「桃鉄」の略称が生じる余地はない。
(ウ)使用者について
被請求人は,契約書(乙21?23)により,株式会社笠倉出版社(以下「笠倉出版社」という。)が本件商標の通常使用権者である旨主張する。
しかしながら,当該契約書のそれぞれの契約締結日をみるに,乙第21号証は平成22年(2010年)10月1日,乙第22号証は平成27年(2015年)10月1日,及び乙第23号証は平成22年(2010年)2月25日となっており,株式会社ディーライツ(以下「ディーライツ社」という。)と笠倉出版社との書籍に関する出版許諾契約(乙23)が締結された後に,旧商標権者とディーライツ社他2社間で「桃太郎電鉄」の商品化に関する契約(乙21)が締結されている。
つまり,ディーライツ社は,商品化に関する権利を取得する前に出版権に関する契約を締結していることから,笠倉出版社は商標を始めとする商品化権についての許諾を受けていないことが明らかであり,当該契約書の記載よっても,笠倉出版社が被請求人から通常使用権の許諾を受けていたことの証明にはならない。
これに対し,被請求人は,平成22年3月に発売された本件書籍に,監修者として旧商標権者の名称が記載されている(乙24,25)ことを根拠に,平成22年2月18日以前に商品化権を許諾していると主張する。また,取引実務上,口頭などで契約内容の合意が成立し,その後正式な書面による契約が取り交わされることは決して珍しくないと主張する。
しかしながら,両契約書(乙21,23)は,半年以上もの間が空いており,これほどの期間,大手企業が契約を懈怠することは考えにくく,ましてやそのような口頭で契約を取り交わしたとの事情を理解した上で,旧商標権者とディーライツ社間の契約(乙21)において,第2条第2項で,ディーライツ社に対し,旧商標権者ら全員の書面による承諾を必要としている条項を付すこと自体,不自然であるといわざるを得ない。むしろ,ディーライツ社と笠倉出版社は,旧商標権者に無断で出版社契約を取り交わし,その事実を旧商標権者は知ることなく,半年後にディーライツ社は旧商標権者と契約を取り交わしたと推認するのが合理的である。そうすると,乙第24及び第25号証自体,契約上無権限のものによる出版であることが推認されるものであって,笠倉出版社が通常使用権の許諾を受けていたことの証明にはならない。
また,被請求人は,「桃鉄」が「桃太郎電鉄」の略称として広く認識されていることをもって,乙第21号証に示す「本件商品化権の許諾」に「桃鉄」を利用(使用)する権利も許諾されていると主張する。
しかしながら,乙第21号証において示されている「本件著作物」には,「桃太郎電鉄」シリーズ及びこれを構成するタイトル(ロゴも含む),サブタイトル,キャラクターの形状・名称,シナリオ,ストーリ,音声,効果音等となっているが,「桃鉄」は,被請求人が主張するように「桃太郎電鉄」の略称であって,タイトル名でもサブタイトルでもない。さらにはキャラクターなどでもないことから,少なくとも乙第21号証の記載より,略称である「桃鉄」の表示について使用の許諾を受けていると明文上解釈することはできない。
さらに,乙第21号証の第2条第2項に「前条の定めにも関わらず,丁(ディーライツ社)は次の各号に定める業務については甲,乙及び丙による当事者全員からの書面による許諾がない限り,これを実施することができない」とあり,同項第3号に「本件商品化権の許諾に際し,ライセンシーに対し第三者への再許諾権を与えること」として再許諾権について書面の承諾を必要としている。また,同契約書の第2条第3項に「丁(ディーライツ社)は,甲(旧商標権者)乙丙の事前の承認を取得せずに本件著作物の商品化権をライセンシー以外の第三者に許諾してはならないものとする」と規定されており,丁は,甲乙丙の承諾なく,商品化権の許諾を認めないとの規定になっており,これら甲乙丙の承諾についての証明がなされていない以上,丁であるディーライツ社は,商品化権などの許諾を笠倉出版社に与えることができないため,乙第21号証ないし乙第23号証の記載からは,笠倉出版社が通常使用権の許諾を受けていたことの証明にはならない。
(エ)使用商品について
本件検索結果によると,本件書籍は,いずれも中古品であることがうかがえる。
そうとすると,本件書籍を販売しているのは,古本を取り扱う出品者であって,本件商標権者と関係のない第三者である。すなわち,過去に販売され,現在は販売されていない商品が中古品として市場に流通することは特に書籍においては一般的な取引であって,このような商標権者及び使用権者とは無関係の第三者による商品の販売についても商標権者等による商標の使用と認めることは,商標法第50条に規定する不使用商標取消審判制度を否定するものであって認められるべきではなく,本件商標が商標権者等により使用をしていることを証明したものということはできない。
なお,被請求人は,上記の中古品の販売に関し,平成14年(行ケ)第346号の判決を引用し,「通常使用権者である笠倉出版社が,『桃鉄』の語を含む表示を当該書籍に正当に付して販売しており,その後,中古品として第三者により販売されているとしても,当該表示には何ら手が加えられておらず,したがって,第三者による当該書籍の中古品の販売は,通常使用権者による商標の使用行為(商標法第2条第3項第2号)と同視できる」と主張する。
しかしながら,当該判決は,外国の流通業者が輸入した行為について商標法第2条第3項の商標の使用に該当するか否かが争点となった事案であり,最終消費者である顧客に販売された後に改めて流通される「中古品」とは事案が異なる。すなわち,上記判決で述べている「商標権者等が商品に付した商標は,その商品が転々流通した後においても,当該商標に手が加えられない限り,社会通念上は,当初,商品に商標を付した者による商標の使用であると解される」との判示は,製造業者から新品の商品が卸売業者,輸入業者などの流通業者の間を転々流通したとしても,商標の機能である品質は保証されているのであるから,商品に商標を付した者による商標の使用であると解されるべきであって,最終消費者である顧客に販売され,顧客による商品の使用により,中古品となった後に中古市場に流通している商品に及ぶとの解釈は,上記判決の解釈を逸脱したものであり,認められるべきものではない。
ウ したがって,本件検索結果及び本件書籍は,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものということはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第34号証を提出した。
1 本件商標の使用について
本件商標は,要証期間内において本件商標の通常使用権者により使用されていたものであるから,その登録は取り消されるべきものではない。
(1)「桃鉄」の名称について
「桃鉄」は,著名なゲームシリーズ「桃太郎電鉄」の略称として,広く知られている。ゲームシリーズ「桃太郎電鉄」は,1988年(昭和63年)に第1作目が発売されて以来,現在に至るまで,ゲームソフトやゲームアプリ等に多数展開され,およそ30年という長期にわたり人気を誇り続ける大ヒット作品であり,第1作目のゲームカセット発売時には,既に「桃鉄」(ももてつ)の名称が使用されていた(乙4,9?18)。
(2)本件使用印刷物について
本件使用印刷物の上部中央には,「リアル桃鉄初の広島開催!!」として,「桃鉄」が記載されている。
また,やや下段には「2016年3月26日(土)27日(日)」及び「会場広島電鉄市内線及び沿線周辺」と記載されており,要証期間内に日本国内において配布された印刷物である。
そして,「(c)Konami Digital Entertainment」の記載及び下部の「企画制作:株式会社ドーンマジック」の記載から,本件商標権者(株式会社コナミデジタルエンタテインメント)が正式に株式会社ドーンマジックに通常使用権を許諾して制作させたものである。
以上のことから,本件使用印刷物により,本件商標は,本件審判の請求に係る指定商品「印刷物」について,要証期間内に,日本国内において本件商標の通常使用権者により使用されていた。
(3)本件書籍について
ア 本件書籍の使用について
本件検索結果(乙3)によれば,2010年(平成22年)2月に発行された本件書籍がそれぞれ複数の出品者から出品されていた。
そして,本件書籍が要証期間内に販売されていたことを示す証拠として,「WaybackMachine」(審決注:「Wayback Machine」(ウェイバック・マシン)とは,アメリカの非営利団体インターネット・アーカイブが運用する,ある一時点でのウェブページの内容を保存するサービスである。以下同じ。)により保存された販売ページのプリントアウトを提出する。
乙第5号証は,2015年(平成27年)4月23日時点の通販サイト「amazon.co.jp」における「旨いべさ!桃鉄ごはんB級グルメ旅?北海道・東北編」の販売ページのプリントアウトであり,乙第6号証は,2016年(平成28年)4月19日時点の通販サイト「amazon.co.jp」における「旨いでえ!桃鉄ごはんB級グルメ旅?北陸・関東・中部・近畿・海外編」の販売ページのプリントアウトであり,乙第7号証は,2014年(平成26年)8月2日時点の通販サイト「amazon.co.jp」における「旨かばい!桃鉄ごはんB級グルメ旅?中国・四国・九州・沖縄編」の販売ページのプリントアウトである。
イ 使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一であることについて
上記(1)のとおり,「桃鉄」は,著名なゲームシリーズ「桃太郎電鉄」の略称として,広く知られている。
(ア)本件書籍の題号中には「桃鉄ごはん」の文字が記載されており,本件書籍の内容が,ゲームシリーズ「桃太郎電鉄」の内容と関連して,ゲーム内で登場する料理や惣菜,菓子類等,食に関する情報であることからすれば,「桃鉄ごはん」中,「ごはん」部分は,当該書籍の内容を表したものであり,識別力を発揮しないか極めて弱い。
さらに,本件書籍の主な購入者はゲームシリーズ「桃太郎電鉄」のプレイヤーであると考えるのが自然であることからすると,本件書籍の「桃鉄ごはん」の表示に接する需要者等は,「桃鉄」部分が,「桃太郎電鉄」の略称であると容易に認識し,当該部分に注目することは想像に難くないから,「桃太郎電鉄」の著名性を考慮しても,当該題号中の「桃鉄ごはん」の文字のうち,「桃鉄」の文字が看者の注意をひく部分であり,強い自他商品識別力を発揮すると考えるのが相当である。
そうすると,当該題号中の「桃鉄ごはん」の文字は,「桃鉄」部分が分離抽出して看取され,同一の称呼「モモテツ」が生じるから,本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
(イ)本件書籍のうち,「旨かばい!桃鉄ごはんB級グルメ旅?中国・四国・九州・沖縄編」に付された帯紙には,大きく「桃鉄グルメが旨すぎる!」と記載されていた(乙19,26,31?33)。当該「桃鉄グルメが旨すぎる!」の文字は,「桃鉄」・「グルメ」・「旨すぎる!」の文字がそれぞれ分離して表されており,上記(ア)と同様に,「桃鉄」部分が需要者等の注意をひき,当該部分が出所識別標識と認識されると考えるのが相当である。
また,本件書籍のうち,「旨かばい!桃鉄ごはんB級グルメ旅?中国・四国・九州・沖縄編」に付された帯紙には,大きく「桃鉄グルメが旨すぎる!」と記載されている(乙19,26,31?33)。当該「桃鉄グルメが旨すぎる!」の文字は,「桃鉄」・「グルメが」・「旨すぎる!」の文字がそれぞれ分離して表されており,同様に,「桃鉄」部分が出所識別標識と認識されると考えるのが相当である。
次に,本件書籍のうち,「旨いでえ!桃鉄ごはんB級グルメ旅?北陸・関東・中部・近畿・海外編」に付された帯紙には,大きく「美味しい桃鉄」と記載されている(乙20,27,31,32,34)。当該「美味しい桃鉄」の文字も,「美味しい」・「桃鉄」の文字がそれぞれ分離して表されており,同様に,「桃鉄」部分が出所識別標識と認識されると考えるのが相当である。
そうすると,当該帯紙に付された文字は,「桃鉄」部分が分離抽出して看取され,同一の称呼「モモテツ」が生じるから,本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
ウ 使用者について
本件書籍は,笠倉出版社が発売したものである(乙24,25,33,34)。
旧商標権者とディーライツ社他2社との間で交わされた「桃太郎電鉄」の商品化に関する契約書(乙21),現商標権者とディーライツ社他2社との間で交わされた当該契約書に関する覚書(乙22)により,現商標権者がディーライツ社に対し,本件商標の使用を許諾していた。
なお,現商標権者は,平成24年に旧商標権者を吸収合併しており,当該吸収合併により桃太郎電鉄に関する一切の権利を承継している。
ディーライツ社と笠倉出版社との間で交わされた本件書籍に関する出版許諾契約書(乙23)により,ディーライツ社が笠倉出版社に対し本件商標の使用について再許諾していた。
以上より,笠倉出版社が通常使用権者であったことは明らかである。なお,「桃鉄」が「桃太郎電鉄」の略称として広く認識され,使用されていることは周知の事実であるから,「本件商品化権の許諾」には,「本件著作物」たる「『桃太郎電鉄』シリーズ及びこれを構成するタイトル(ロゴを含む),サブタイトル等」に「認められる」商標として,「桃鉄」を利用(使用)する権利も許諾されていることは明らかである。
エ 請求人の主張に対し
(ア)請求人は,「過去に販売され,現在は販売されていない商品が中古品として市場に流通することは特に書籍においては一般的な取引であって,このような商標権者及び通常使用権者とは無関係の第三者による商品の販売についても商標権者等の使用による商標の使用と認めることは,商標法第50条に規定する不使用取消審判制度を否定するものであって認められるべきではなく,本件商標が商標権者等により使用をしていることを証明したものということはできない」と主張している。
しかしながら,東京高裁平成15年7月14日判決(平成14年(行ケ)第346号)では,「商標法第2条第3項が同法上の標章の『使用』の定義を規定した趣旨は,商品に標章が表示される場合において,それが何人の使用と認められるものであるかについては社会通念にゆだねるとともに,同法の目的との関係を考慮し,特に商品の識別標識として機能すると認められる事実についてのみ,これを『使用』であると定義することにより,同法上の『使用』としての法的効果を認めるべき行為の範囲を限定したものであると解される。そして,商標権者等が商品に付した商標は,その商品が転々流通した後においても,当該商標に手が加えられない限り,社会通念上は,当初,商品に商標を付した者による商標の使用であると解されるから,その商品が実際に何人によって所有,占有されているとを問わず,同法第2条第3項に該当する行為が行われる限り,その行為は,当初,商品に商標を付した者による商標の『使用』行為であるというべきである」と判示されている。かかる判決の趣旨に照らせば,通常使用権者である笠倉出版社が,「桃鉄」の文字を含む表示を当該書籍に正当に付して販売しており,その後,中古品として第三者により販売されているとしても,当該表示には何ら手が加えられておらず,したがって,第三者による当該書籍の中古品の販売は,通常使用権者による商標の使用行為(商標法第2条第3項第2号)と同視できる。
したがって,請求人の主張は失当である。
(イ)請求人は,ディーライツ社と株式会社笠倉出版社との間で交わされた書籍「桃鉄ごはん」シリーズに関する出版許諾契約書(乙23)の締結日は平成22年2月18日,旧商標権者とディーライツ社との間で交わされた「桃太郎電鉄」の商品化に関する契約書(乙21)の締結日は同年10月1日とあることからすると,ディーライツ社は,商品化に関する権利を取得する前に出版権に関する契約を締結していることから,笠倉出版社は商標を始めとする商品化権についての許諾を受けていないことが明らかであるとし,笠倉出版社が通常使用権者であることは証明されていない旨主張する。
しかしながら,旧商標権者は,平成22年2月18日以前より,ディーライツ社に対し,商標「桃鉄」の使用を含む「桃太郎電鉄」の商品化権を許諾しており,これを前提に,ディーライツ社は笠倉出版社との間で出版許諾契約を取り交わし(乙23),笠倉出版社に対し商標「桃鉄」の使用を許諾している。このことは,平成22年3月に発売された本件書籍に,監修者として旧商標権者の名称が記載されていることからも当然に推認できる(乙24,25)。
また,取引実務上,口頭などで契約内容の合意が成立し,その後正式な書面による契約が取り交わされることは決して珍しくなく,当然に,実質的に契約が有効となった時期と契約書締結の日付が前後するという事態は生じ得る。そうすると,当該契約書の締結日の比較のみをもって「ディーライツ社は,商品化に関する権利を取得する前に出版権に関する契約を締結している」ということはできず,よって,「笠倉出版社は商標を始めとする商品化権についての許諾を受けていないことが明らかである」とする請求人の主張は失当である。
2 まとめ
以上のとおり,本件商標と社会通念上同一の商標が,日本国内において,要証期間内に,本件商標の通常使用権者により,本件審判の請求に係る指定商品中「印刷物」について使用されていた。

第4 当審の判断
1 事実認定
証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)「桃鉄」の名称について
「桃鉄」とは,旧商標権者が開発,販売した日本全国の鉄道駅をマスとしたすごろく風の家庭用テレビゲーム機用のソフトウェアの名称「桃太郎電鉄」の略称であって,「モモテツ」と称呼される(乙9?13)。
(2)本件使用印刷物について
本件使用印刷物は,A4版紙1枚により構成され,その表面上部中央には,「リアル桃鉄初の広島開催!!」の記載,その下には「広島のみなさ?ん!/人気ゲームの『桃太郎電鉄』が広島電鉄を舞台にした/現実のイベントになりましたよ!/サイコロをふってクイズに答えて/目的地を目指しましょう!」の記載,下部には「2016年3月26日(土)27日(日)」の記載,「時間 10時スタート/11時スタート」及び「会場 広島電鉄市内線および沿線周辺」の記載,その下には「リアル桃太郎電鉄 ノリ乗りデラックスクイズの旅 HIROSIMA広島編」及び「(c)Konami Degital Entertainment」の記載,並びに,その下には「集合場所 旧広島市民球場跡地 参加料 大人2600円/子供700円(3才?小学生)」の記載がある。
上記記載内容からすれば,本件使用印刷物は,広島市内を実際に走行する広島電鉄市内線を舞台にして,ゲームソフトウェア「桃太郎電鉄」を模したイベントの開催を告知・案内する広告媒体(広告用のポスター・チラシ等の印刷物)と認められる。
(3)使用に係る書籍(乙6,7)について
ア 乙第6号証は,平成28年4月19日付けで「Wayback Machine」において保存されたインターネットの通販サイト「amazon.co.jp」における「旨いでぇ!桃鉄ごはんB級グルメ旅-北陸・関東・中部・近畿・海外編」の販売ページの写しであるところ,当該販売ページには,「旨いでぇ!桃鉄ごはんB級グルメ旅-北陸・関東・中部・近畿・海外編 単行本-2010/2」の見出しにて,「北陸・関東・中部・近畿・海外編」の書籍の写真が掲載されている。そして,当該書籍の表紙には,「旨いでぇ!/桃鉄ごはん/B級グルメ旅/北陸・関東・中部・近畿・海外編」の記載がある。なお,当該書籍には,帯紙は付されていない。
イ 乙第7号証は,平成26年8月2日付けで「Wayback Machine」において保存されたインターネットの通販サイト「amazon.co.jp」における「旨かばい!桃鉄ごはんB級グルメ旅-中国・四国・九州・沖縄編」の販売ページの写しであるところ,当該販売ページには,「旨かばい!桃鉄ごはんB級グルメ旅-中国・四国・九州・沖縄編【単行本】」の見出しにて,「中国・四国・九州・沖縄編」の書籍の写真が掲載されている。そして,当該書籍の表紙には,「旨いでぇ!/桃鉄ごはん/B級グルメ旅/中国・四国・九州・沖縄編」の記載がある。なお,当該書籍には,帯紙は付されていない。(以下,当該書籍と上記アに係る書籍をまとめて「本件使用書籍」という。)
ウ 本件使用書籍は,平成22年2月25日に,監修者を「さくまあきら」及び旧商標権者として,笠倉出版社から発売された(乙23?25)。
エ 本件使用書籍は,ゲームソフトウェア「桃太郎電鉄2010」に登場する物件駅におけるグルメや名所を実際に紹介するものであって,販売店や飲食店が掲載されている(乙33,34)。
オ 以上よりすると,本件使用書籍は,単行本であって,平成22年2月25日に,ゲームソフトウェア「桃太郎電鉄」シリーズに関連して笠倉出版社から発売されたものであり,その題号を「旨いでぇ!桃鉄ごはんB級グルメ旅-北陸・関東・中部・近畿・海外編」又は「旨かばい!桃鉄ごはんB級グルメ旅-中国・四国・九州・沖縄編」とし,その内容は,ゲームソフトウェア「桃太郎電鉄2010」中に登場する物件駅におけるグルメや名所の販売店や飲食店を実際に紹介するものである。
(4)ディーライツ社と笠倉出版社の契約について
ディーライツ社は,平成22年2月18日,笠倉出版社に対し,本件使用書籍を制作し,これを印刷及び頒布する非独占的権利を許諾する契約を締結した(乙23。以下「本件契約書」という。)。
本件契約書の有効期間については,第14条第1項に「本契約の有効期間は,本締結日より1年間とする。」と記載されており,また,同条第2項に「前項の規定に拘わらず,本契約の有効期間満了の日の60日前までに,乙(審決注:笠倉出版社)から甲(審決注:ディーライツ社)に対し書面により契約延長の申し出があった場合,甲及び乙は,本契約の有効期間の延長について協議し,有効期間満了の日までに契約の延長について合意した場合は,合意した条件に従って,1年間延長するものとする。なお,有効期間満了の日までに合意に達しなかった場合,甲より乙に対して何らの通知を要することなく,本契約は,有効期間の満了の日をもって終了するものとする。本項の規定は,延長後の有効期間の満了時にも適用されるものとし,爾後も同様とする。」と記載されているところ,同条項に基づき本件契約書の有効期間が延長されたと認めるに足りる証拠はない。
したがって,本件契約書の有効期間は,その締結日である平成22年2月18日から1年間のみであったと認められる。
2 判断
(1)本件使用印刷物に係る本件商標の使用について
本件使用印刷物は,上記1(2)よりすると,広島市内で開催されるイベントに係る広告媒体(広告用のポスター・チラシ等の印刷物)であるから,本件使用印刷物の構成中に「リアル桃鉄初の広島開催!!」という「桃鉄」の文字を含む記載があるとしても,当該記載はあくまでも当該イベントに関しての告知記載であるから,本件使用印刷物自体の出所識別表示と解されるものではない。
したがって,本件使用印刷物をもって,本件審判の請求に係る指定商品中の「印刷物」について本件商標の使用がされたということはできない。
(2)本件使用書籍に係る本件商標の使用について
被請求人は,平成26年8月2日付け及び同28年4月19日付け「Wayback Machine」において保存されたインターネットの通販サイトにおいて,本件使用書籍が掲載されていた(乙6,7)ことをもって,本件商標が,要証期間内に,本件商標に係る通常使用権者である笠倉出版社により使用されていた旨主張するので,以下検討する。
ア 本件契約書について
被請求人は,本件契約書をもって,笠倉出版社が本件商標の通常使用権者であると主張しているが,上記1(4)認定事実によれば,本件契約書の有効期間は,平成22年2月18日から1年間のみであったと認められるから,そうである以上,たとえ,本件契約書により笠倉出版社が本件商標の通常使用権者であったと認められるとしても,同社は要証期間内において通常使用権者であったとは認められない。
イ 本件使用書籍について
(ア)本件使用書籍の表紙に表示された「旨いでぇ!/桃鉄ごはん/B級グルメ旅/北陸・関東・中部・近畿・海外編」及び「旨かばい!/桃鉄ごはん/B級グルメ旅/中国・四国・九州・沖縄編」は,いずれも書籍(単行本)の題号と認められるところ,本来,商品としての「書籍」の出所(製造者・販売者)を表示するのは題号ではなく,出版者の商号やハウスマーク等であり,書籍の題号として使用される文字等は商品としての「書籍」の出所を表示するための商標とはいえないから,当該題号中に「桃鉄」の文字を有するとしても,当該題号の表示をもって,本件使用書籍について本件商標が使用されていたものとは認められない。
(イ)本件使用書籍は,いずれもその題号中において「桃鉄ごはん/B級グルメ旅」の部分を共通にし,それに続き地域名と「編」の文字が組み合わせて表示され,本件使用書籍の内容を示していることから,仮に「桃鉄ごはん/B級グルメ旅」の部分が,本件使用書籍のシリーズ名称と理解され,出所識別標識として機能するとした場合についても念のため検討する。
a 本件商標は,上記第1のとおり,「桃鉄」の漢字と「モモテツ」の片仮名を上下二段に書してなるところ,その構成中,「桃鉄」の漢字及び「モモテツ」の片仮名は,上記1(1)認定の事実によれば,「桃鉄」の名称は,「モモテツ」と称呼され,ゲームソフトウェア『桃太郎電鉄』の略語として,ゲームソフトウェアの需要者において,それ相応に広く知られていたといえるものの,ゲームソフトウェアの需要者と本件審判の請求に係る指定商品中の「印刷物」の需要者は共に一般需要者であるとしても,ゲームソフトウェアと印刷物はその目的・用途が異なることから,印刷物の需要者は,必ずしもゲームソフトウェアに関心の高い者であるとはいえない。
そうすると,本件商標は,下段の「モモテツ」の片仮名が上段の漢字の読みを特定したものと無理なく認識できるから,「モモテツ」の称呼のみを生じるものと認められるものの,直ちに特定の観念を生じさせるものとはいえない。
b 他方,本件使用書籍の表紙に表示された題号中の「桃鉄ごはん/B級グルメ旅」のうち,「桃鉄ごはん」の文字部分は,赤色のやや丸みを帯びたデザイン化された同じ書体,同じ大きさ,等間隔でまとまりよく一体的に表されているものであり,白色のゴシック体で表された「B級グルメ旅」の文字部分に比べて4倍程の大きさで書されているから,「桃鉄ごはん」の文字部分は,取引者,需要者に対して強く支配的な印象を与え,要部として認識されるというのが相当である。
そして,本件使用書籍の内容が,ゲームソフトウェア「桃太郎電鉄2010」に登場する物件駅のグルメや名所を実際に紹介するものであって,販売店や飲食店を紹介する,いわゆる「グルメ本」であり,当該文字中の「ごはん」の文字が,「めし・食事の丁寧な言い方」(広辞苑第六版)を意味するものとしても,「グルメ本」の品質等を表示するものとして,取引上普通に使用されていることをうかがわせる証拠はない。
そうすると,当該「桃鉄ごはん」の文字部分は,「桃鉄」の文字部分のみが独立して認識され,これより生ずる称呼をもって,取引に資されるものとは認め難いから,全体として「モモテツゴハン」又は「トウテツゴハン」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
c 以上よりすると,当該「桃鉄ごはん」の文字部分は,本件商標と同一の称呼を生じるものとはいえないから,本件商標と社会通念上同一の商標ということができない。
したがって,本件使用書籍における「桃鉄ごはん/B級グルメ旅」の部分が,本件使用書籍のシリーズ名称と理解されたとしても,本件使用書籍について本件商標が使用されていたものとは認められない。
(ウ)以上によれば,本件商標は,本件使用書籍について使用されていたものとは認められない。
ウ 被請求人の主張に対し
(ア)被請求人は,本件使用書籍の主な購入者はゲームシリーズ「桃太郎電鉄」のプレイヤーであると考えるのが自然であることからすると,本件使用書籍の「桃鉄ごはん」の表示に接する需要者等は,「桃鉄」部分が,「桃太郎電鉄」の略称であると容易に認識し,当該部分に注目することは想像に難くないから,「桃太郎電鉄」の著名性を考慮しても,当該題号中の「桃鉄ごはん」の文字のうち,「桃鉄」の文字が看者の注意をひく部分であり,強い自他商品識別力を発揮する旨主張する。
しかしながら,仮に,本件使用書籍の主な購入者がゲームシリーズ「桃太郎電鉄」のプレイヤーであったとしても,その者が本件使用書籍の「桃鉄ごはん」の表示に接した場合,「桃鉄」部分から想起,認識するのは,ゲームシリーズ(ゲームソフトウェア)の「桃太郎電鉄」なのであるから,本件使用書籍それ自体の出所を表示するものとは認識しないというべきである。そして,上記イ(ア)のとおり,本件使用書籍の表紙に表示された「旨いでぇ!/桃鉄ごはん/B級グルメ旅/北陸・関東・中部・近畿・海外編」及び「旨かばい!/桃鉄ごはん/B級グルメ旅/中国・四国・九州・沖縄編」は,いずれも書籍(単行本)の題号と認められ,当該題号中に「桃鉄」の文字を有するとしても,当該題号の表示をもって,本件使用書籍について本件商標を使用していたものとは認められない。また,上記イ(イ)のとおり,本件使用書籍における「桃鉄ごはん/B級グルメ旅」部分がシリーズ名称と理解された場合であっても,当該「桃鉄ごはん」の文字部分は,本件商標と社会通念上同一の商標ということができないから,本件使用書籍について本件商標が使用されていたものとは認められない。
(イ)被請求人は,本件使用書籍には,「旨かばい!桃鉄ごはんB級グルメ旅?中国・四国・九州・沖縄編)には帯紙が付されており(乙19,33),当該帯紙には「桃鉄/グルメが旨すぎる!」の文字が記載され,「桃鉄」の文字部分が出所識別標識と認識され,同様に,本件書籍のうち,「旨いでぇ!桃鉄ごはんB級グルメ旅?北陸・関東・中部・近畿・海外編」)には帯紙が付されており(乙20,34),当該帯紙には「美味しい/桃鉄」と記載されおり,「桃鉄」の部分が出所識別標識と認識されると考えるのが相当である旨主張する。
しかしながら,そもそも,被請求人は,要証期間内に当該帯紙の記載内容が確認できる本件使用書籍を販売ないし広告したとする事実については何ら立証していないのであるから,上記主張は前提を欠くものといわざるを得ない。また,仮に,そのことが立証できたとしても,当該帯紙に記載されている「桃鉄最新作『桃太郎電鉄2010』に登場する中国・四国・九州・沖縄の旨グルメ全部見せます!」(乙33)及び「桃鉄最新作『桃太郎電鉄2010』に登場する北陸・関東・中部・近畿・海外の旨グルメ全部見せます!」(乙34)との記載も踏まえれば,「桃鉄/グルメが旨すぎる!」(乙33)及び「美味しい/桃鉄」(乙34)の表示は,ゲームソフトウェアである「桃鉄最新作『桃太郎電鉄2010』」に登場する各地域の旨いグルメを「桃鉄グルメが旨すぎる!」や「美味しい桃鉄」と評しているにすぎないものと容易に理解できるから,当該「桃鉄」の文字部分も本件使用書籍それ自体の出所識別標識として取引者,需要者に理解,認識されるものではない。
(ウ)したがって,被請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
エ 小括
以上によれば,笠倉出版社は,要証期間内において本件商標の通常使用権者であったということはできないし,また,本件使用書籍は,その表紙に「桃鉄」の文字が使用されているとしても,当該文字は,本件使用書籍の題号の一部として使用されているものであって,本件使用書籍それ自体の出所を識別させるための商標として使用されたものではない。さらに,本件使用書籍における「桃鉄ごはん/B級グルメ旅」部分がシリーズ名称と理解された場合であっても,当該「桃鉄ごはん」の文字部分は,本件商標と社会通念上同一の商標ということができないから,本件使用書籍について本件商標が使用されていたものとは認められない。
したがって,本件使用書籍をもって,要証期間内に通常使用権者によって,本件審判の請求に係る指定商品「印刷物」について本件商標の使用があったと認めることはできない。
3 結論
以上のとおり,本件審判の請求に係る指定商品中「印刷物」については本件商標の使用が認められないところ,本件審判の請求に係るその余の指定商品について,本件商標を使用したものと認めるに足りる証拠の提出はない。
そうすると,被請求人は,要証期間に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについて,本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,結論掲記の指定商品についてその登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-12-25 
結審通知日 2018-12-27 
審決日 2019-03-15 
出願番号 商願2003-100100(T2003-100100) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y16)
最終処分 成立 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 平澤 芳行
田村 正明
登録日 2004-10-22 
登録番号 商標登録第4811454号(T4811454) 
商標の称呼 モモテツ、トーテツ 
代理人 永岡 愛 
代理人 北口 貴大 
代理人 舩越 輝 
代理人 城山 康文 
代理人 横川 聡子 
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