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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W09
審判 査定不服 観念類似 登録しない W09
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W09
管理番号 1351512 
審判番号 不服2018-10425 
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-01 
確定日 2019-04-10 
事件の表示 商願2017-60682拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「キャタピラマルチテスター」の片仮名と「CATERPILLAR MULTI TESTER」の欧文字を2段に書してなり,第9類「測定機械器具,太陽電池,電池,電気磁気測定器,電気通信機械器具,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として,平成29年4月28日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,引用商標1から引用商標5をまとめて「引用商標」ということがある。)。
(1)登録第408419号商標(以下「引用商標1」という。)は,「CATERPILLAR」の欧文字を書してなり,昭和25年11月22日に登録出願,第69類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として同27年2月15日に設定登録,その後,平成15年10月29日に第9類「電気測定器」を含む第9類,第7類,第12類及び第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録が行われたものである。
(2)登録第2327987号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,昭和64年1月5日に登録出願,第10類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として平成3年8月30日に設定登録,その後,同14年1月16日に第9類「測定機械器具」を含む第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録が行われたものである。
(3)登録第2415897号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,昭和64年1月5日に登録出願,第11類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として平成4年5月29日に設定登録,その後,同14年9月11日に第9類「電気磁気測定器」を含む第9類,第7類,第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録が行われたものである。
(4)登録第5388472号商標(以下「引用商標4」という。)は,「CATERPILLAR」の欧文字を標準文字で表してなり,平成19年8月14日に登録出願,第9類「計量用機器,測定機械器具,検査用機械器具,試験装置(医療用のものを除く。),機械の誤作動・故障等の検知・分析装置,圧力計及び温度計,ゲージ,指示計器類,回路計,電圧計,組み立て式のバッテリーテスター,サーモスタット,水準儀,巻尺,定規(測定器具),回転計,寒暖計,水準器,乗物用の速度検査装置,水温調節機械器具,プローブ(「医療機械器具」に属するものを除く。),電流計,バッテリーテスター,ガス検出探知装置,流量計,オーム計,圧力測定装置」を含む第9類,第7類,第12類,第35類,第36類,第37類,第39類,第40類及び第42類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として同23年2月4日に設定登録されたものである。
(5)登録第5388473号商標(以下「引用商標5」という。)は別掲1のとおりの構成からなり,平成19年8月14日に登録出願,第9類「計量用機器,測定機械器具,検査用機械器具,試験装置(医療用のものを除く。),機械の誤作動・故障等の検知・分析装置,圧力計及び温度計,ゲージ,指示計器類,回路計,電圧計,組み立て式のバッテリーテスター,サーモスタット,水準儀,巻尺,定規(測定器具),回転計,寒暖計,水準器,乗物用の速度検査装置,水温調節機械器具,プローブ(「医療機械器具」に属するものを除く。),電流計,バッテリーテスター,ガス検出探知装置,流量計,オーム計,圧力測定装置」を含む第9類,第35類,第37類,第39類,第40類及び第42類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として同23年2月4日に設定登録されたものである。
(6)登録第5421378号商標は,「CATERPILLAR」の欧文字を標準文字で表してなり,平成19年8月14日に登録出願,第9類及び第37類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同23年6月24日に設定登録されたものである。
(7)登録第5421379号商標は,別掲1のとおりの構成からなり,平成19年8月14日に登録出願,第9類及び第37類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同23年6月24日に設定登録されたものである。

3 当審における審尋
当審において,請求人に対し,平成30年11月1日付けで,別掲2のとおりの事実を示した上で,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨の審尋を発し,相当の期間を指定して,これに対する意見を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は,上記3の審尋に対して,平成30年11月30日付けの回答書において,「別掲2の『マルチテスター』の使用例は,単に複数の測定を行っているということを示しているにすぎないことから,本願指定商品の品質を直接的かつ具体的に示している情報ではなく,『マルチテスター(MULTI TESTER)』からは『一つの』『測定器で計測できる』ということまで想起し得ない。そうすると,本願商標からは『キャタピラマルチテスター』の一連の称呼が生ずることから,本願商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念において互いに紛れることのない非類似の商標であって,商標法第4条第1項第11号には該当しない。」旨の意見を提出した。

5 当審の判断
(1)本願商標について
ア 本願商標は,上段に「キャタピラマルチテスター」の片仮名を一連に書し,下段に「CATERPILLAR」,「MULTI」及び「TESTER」の欧文字をそれぞれ半文字ほどのスペースを設けて「CATERPILLAR MULTI TESTER」と2段に書してなるところ,上段の片仮名は,下段の欧文字の読みを表したものと理解されるものである。
イ 本願商標の構成中の「CATERPILLAR」及び「キャタピラ」の文字は,「毛虫,無限軌道(の商標)」等(「リーダーズ英和辞典」株式会社研究社及び「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)の意味を有する英単語及びその読みを片仮名で表記したものと理解される。
ウ 本願商標の構成中の「MULTI」及び「マルチ」の文字は,「多数の,複数の,多面的」等の意味を,「TESTER」及び「テスター」の文字は「試験器,テスター,回路の電流・電圧・抵抗を簡便に測定する小型の計器」等の意味(いずれも,出典は,上記と同じ。)を有する一般によく知られた英単語及びそれらの読みを片仮名で表記したものと理解される。
そうすると,「MULTI」と「TESTER」の欧文字を一連に表した「MULTI TESTER」及びその読みを片仮名で表記した「マルチテスター」からは,「多面的な試験器,多面的な回路の電流・電圧・抵抗を簡便に測定する小型の計器」程の意味合いが認識されるものである。
エ 別掲2のインターネット情報によれば,本願商標の指定商品中「測定機械器具,電気磁気測定器」に関連する商品においては,「MULTI TESTER」の読みを表した「マルチテスター」の片仮名が,「多機能測定装置」の商品の名称として,一般に広く使用されている実情がある。
オ 上記ウ及びエよりすると,本願商標の構成中の「MULTI TESTER」及び「マルチテスター」の文字部分は,本願商標の指定商品中,第9類「測定機械器具,電気磁気測定器」との関係において自他商品の識別標識としての機能が極めて弱いか又はその機能を果たさないものとみるのが相当である。
カ 以上よりすると,本願商標は,これをその指定商品中,第9類「測定機械器具,電気磁気測定器」に使用するときは,構成中の「CATERPILLAR」の欧文字及びその読みを表示した「キャタピラ」の片仮名が強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であって,該文字部分をもって取引にあたる場合も決して少なくないものといえるから,本願商標から該文字部分を要部として分離,抽出し,他人の商標と比較することも許されるものといえる。
したがって,本願商標は,これをその指定商品中,第9類「測定機械器具,電気磁気測定器」に使用するときは,その構成全体より生ずる「キャタピラマルチテスター」の称呼の他にも要部である「CATERPILLAR」及び「キャタピラ」の文字部分に相応した「キャタピラ」の称呼及び「毛虫,無限軌道(の商標)」の観念をも生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標1及び4は,「CATERPILLAR」の欧文字を普通に用いられる方法で書してなり,引用商標2,3及び5は別掲1のとおり2文字目の「A」の文字を図案化しているもののこの程度の図案化では「CATERPILLAR」の欧文字からなるものと容易に認識できるものである。
そうすると,引用商標は,いずれも「CATERPILLAR」の文字に相応した「キャタピラ」の称呼及び「毛虫,無限軌道(の商標)」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の類否について検討するに,外観においては,両者は,その構成を異にするものであるが,本願商標を第9類「測定機械器具,電気磁気測定器」に使用するときは,本願商標の構成中,「CATERPILLAR」及び「キャタピラ」の文字部分が要部として抽出されるものであるところ,要部の「CATERPILLAR」の欧文字部分と引用商標においては,引用商標2,3及び5が図案化されているものの,そのつづりを,共通にするものであって,互いに近似した印象を与えるものである。
また,本願商標の要部と引用商標とは,「キャタピラ」の称呼及び「毛虫,無限軌道(の商標)」の観念を同一にするものである。
したがって,本願商標と引用商標とは,外観において,差異を有するものとしても,本願商標の要部の欧文字部分と引用商標においては,外観上,互いに近似した印象を与えるものであり,称呼においては,両者とも「キャタピラ」の称呼を共通にし,称呼上,同一であり,観念においては,両者とも「毛虫,無限軌道(の商標)」の観念を共通にし,観念上,同一であるから,これらを総合的に勘案すれば,本件商標と引用商標とは,互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願商標の指定商品中,第9類「測定機械器具,電気磁気測定器」と引用商標の指定商品の類否について
本願商標の指定商品中,第9類「測定機械器具,電気磁気測定器」は,引用商標1の指定商品中,第9類「電気測定器」と,引用商標2の指定商品中,第9類「測定機械器具」と,引用商標3の指定商品中,第9類「電気磁気測定器」と,引用商標4及び5の指定商品及び指定役務中,第9類「計量用機器,測定機械器具,検査用機械器具,試験装置(医療用のものを除く。),機械の誤作動・故障等の検知・分析装置,圧力計及び温度計,ゲージ,指示計器類,回路計,電圧計,組み立て式のバッテリーテスター,サーモスタット,水準儀,巻尺,定規(測定器具),回転計,寒暖計,水準器,乗物用の速度検査装置,水温調節機械器具,プローブ(「医療機械器具」に属するものを除く。),電流計,バッテリーテスター,ガス検出探知装置,流量計,オーム計,圧力測定装置」とそれぞれ同一又は類似の商品である。
(5)小括
以上のとおり,本願商標と引用商標とは類似するものであって,その指定商品も同一又は類似のものであるから,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張
請求人は,「本願商標は,片仮名部分に相応した『キャタピラマルチテスター』の一連の称呼が生ずる創造語(造語)よりなるものであって,本願商標と引用商標とは,称呼及び観念において全体的印象が紛れる余地のないほどに全く相違し,また,外観においても上記の差異を有するものであるから,互いに紛れることのない非類似の商標である」旨主張する。
しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標を,その指定商品中,第9類「測定機械器具,電気磁気測定器」に使用するときは,本願商標の構成中の,「CATERPILLAR」の欧文字部分及びその読みを表示する「キャタピラ」の片仮名部分が強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であって,該文字部分をもって取引にあたる場合も決して少なくないものといえるから,本願商標から該文字部分を要部として分離,抽出し,他人の商標と比較することも許されるものといえる。
したがって,請求人の主張は採用できない。
(7)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(引用商標2,引用商標3,引用商標5及び引用商標7)


別掲2 インターネット情報
(1)「株式会社セイシン企業」のウェブサイト
「測定機器」の見出しの下「マルチテスター MT-02 (多機能型粉体物性測定器)」の項に「測定項目」として「ゆるめかさ密度,固めかさ密度,圧縮度,安息角,崩壊角,スパチュラ角,擬集度,分散度,タップ密度(薬局方対応),川北の式測定」の記載がある。
(http://www.betterseishin.co.jp/product/measurement/mt/)
(2)「日本農業システム-オンラインショップ-(アイアグリ株式会社)」のウェブサイト
「ポータブルマルチテスター」の見出しの下,「商品説明」として「マルチパラメーター計器(pH,導電率及び温度を1つのパラメーターで測定) プラス浮力のIP67定格耐水・防塵ハウジング オートレンジ機能付きの導電率,pH校正用の自動バッファ識別機能 自動バッファ識別機能搭載の多点導電率校正(4点まで・各測定範囲につき1点)及び3点pH校正でフルレンジ精度を実現」の記載がある。
(https://www.nou.co.jp/shop/g/g0108042800302/)
(3)「コンシリアム・ニッタンマリーン株式会社」のウェブサイト
「火災探知器マルチテスター Testifire」の見出しの下,「Testifireは煙・熱・CO式火災探知器の検査ができる世界初のマルチテスター(複合疑似感応剤発生型)です。」の記載がある。
(http://www.consilium-nittan.com/product/fd-test.html)
(4)「モノタロウ(株式会社MonotaRO)」のウェブサイト
「プレシディアム/モアサナイト判定機」の見出しの下,「品番」欄に「マルチテスターIII」の記載及び「ダイヤモンド類似石のモアサナイトを高精度で判定,ダイヤモンドの真偽判定には欠かせません。」及び「測定方式 電気伝導率及び熱伝導率プロープ測定式 機能 モアサナイト,キュービック等の判定」の記載がある。
(https://www.monotaro.com/p/0934/4992/?utm_medium=cpc&utm_source=Adwords&gclid=EAIaIQobChMI38nX1dGj3gIVkA0qCh0e7gjMEAQYAyABEgLmMfD_BwE)
(5)「デンキラボ」のウェブサイト
「テスター(アナログ式とデジタル式)の選び方」の見出しの下,「テスターとは」の項に「テスターは一般的には,電圧,電流,抵抗,などを測定できる計器の事を指します。『回路計』とも言います。スイッチを用いるタイプで多機能(デジタル式)なものは『マルチメーター』や『マルチテスター』とも呼ばれます。」の記載がある。
(https://denkirabo.com/tesuta/erabikata/)
(6)「オーム電機ダイレクト(株式会社オーム電機)」のウェブサイト
「デジタルマルチテスター TDB-401 04-1891」の見出しの下「商品詳細」として「【特長】・・・●周波数/デューティー比,静電容量の測定が可能。●最大値/最小値測定及び偏差測定が可能。・・・」の記載がある。
(http://www.ohm-direct.com/shopdetail/002012000006/)
(7)「ELPA朝日電器株式会社」のウェブサイト
「電気配線」の見出しの下,「アナログマルチテスター KF-20」,「・・・1.5VHi/Loレンジの電池測定。・・・」及び「商品特徴」として「AC/DC 電圧」,「DC電流」,「抵抗」,「電池チェック」及び「直流電圧 0.3/3/12/30/120/300/1200V 交流電圧 12/30/120/300/1200V 直流電流 60μA/3mA/30mA/300mA 抵抗 5KΩ/500KΩ/5MΩ 電池チェック 1.5V」の記載がある。
(http://www.elpa.co.jp/product/el04/elpa175-6.html)
(8)「株式会社秋月電子通商」のウェブサイト
「マルチテスター/マルチメーター」の見出しの下,紹介されている商品中に「5in1デジタルマルチメータ 周波数+温度+音圧+レベル+照度計 MS8209 オートレンジ」及び「デジタルマルチメータ(テスタ)MS8264 温度+周波数+容量マニュアルレンジ」の記載のある商品が掲載されている。
(http://akizukidenshi.com/catalog/c/ctester)


審理終結日 2019-01-29 
結審通知日 2019-02-04 
審決日 2019-02-21 
出願番号 商願2017-60682(T2017-60682) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W09)
T 1 8・ 264- Z (W09)
T 1 8・ 261- Z (W09)
T 1 8・ 263- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 榎本 政実
大森 友子
商標の称呼 キャタピラマルチテスター、キャタピラーマルチテスター、キャタピラマルチ、キャタピラーマルチ、キャタピラ、キャタピラー、マルチテスター 
代理人 小山 輝晃 
代理人 澤木 紀一 

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